JP2002338313A - 高強度製鋼スラグ、土木工事用材料およびスラグ製造方法 - Google Patents

高強度製鋼スラグ、土木工事用材料およびスラグ製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高圧縮強度の製鋼スラグを安定して確実に得
ることができ、また、スラグ分析から判明する項目の制
御のみで高圧縮強度が得られるようにする。 【解決手段】 製鋼工程で発生する製鋼スラグであり、
(1) 1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO2)≦6.0 、(2) 未滓
化酸化カルシウム(F.CaO)の含有量≦20質量%、(3) 粗
粒鉄(>4mm)の含有量<2質量%、かつ、 0.1質量%
≦細粒鉄(≦4mm)の含有量≦5質量%の3条件と、必
要に応じて、(4) フッ素(F)の含有量≦3質量%、
(5) 0.1 質量%≦酸化チタン(TiO2)の含有量≦5質量
%の2条件を満足するように、転炉等のスラグ造滓材の
配合調整,吹錬制御や底吹ガス流量制御等により、圧縮
強度指数が1.0 (一軸圧縮強度のJIS規格の最低値+
20%=141N/cm2) を超える製鋼スラグを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮強度の高い高
強度製鋼スラグ、この高強度製鋼スラグを用いた土木工
事用材料および高強度製鋼スラグの製造に好適なスラグ
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の環境規制の高まりを受け、廃棄物
や埋め立て材料として処分されていた製鋼スラグを再利
用するために様々な取り組みがなされている。製鋼スラ
グを路盤材、コンクリート骨材、アスファルトコンクリ
ート骨材、道路用バラス、港湾工事用材料など種々の土
木工事用材料として有効利用するためには、様々な条件
を満たさなければならない。中でも圧縮強度は、路盤材
に関してJIS規格に最低値が決められている他、他の
土木工事用材料に関しても、圧縮強度は高ければ高い方
が望ましいことが分かっている。従って、原料の一部ま
たは全部として製鋼スラグが採用されるためには、製鋼
スラグそれ自身が安定して高い圧縮強度を示す必要があ
る。しかし、製鋼スラグの水浸膨張特性やF(フッ素)
溶出特性などは広く調べられており、調査報告も多い
が、基本的な機械特性である圧縮特性に関しては、十分
な調査が行なわれていなかった。
【0003】製鋼工場において発生するスラグの有効利
用方法は、いろいろと試みられているものの、圧縮強度
に関して明確に規定された文献は少ない。従来は自然に
発生するバラツキを許容しているのみであり、安定した
高圧縮強度化を意図的に狙うことが難しかった。その結
果、例えば路盤材原料として必要な水浸膨張性やF溶出
などの規格は合格しても、圧縮強度未達で不合格となる
比率が僅かながら残り、確実に目標強度をクリアできる
技術指標が求められていた。
【0004】例えば製鋼スラグからの路盤材の製造方法
として、特開平9−52740号公報、特開平9−20
2655号公報などに開示された従来技術があるが、こ
れらは、Naを含有するスラグからNa溶出の少ないス
ラグを製造するための方法であり、いずれも圧縮強度に
ついては言及しておらず、実際には圧縮強度は相当のバ
ラツキがあったと考えられる。
【0005】また、特開平8−259282号公報にも
記載されているように、エージング処理は、水浸膨張率
抑制やアルカリ水発生防止には非常に効果的であるが、
圧縮強度の向上という観点では、なお不十分であり、原
料自身の特性向上が求められていた。
【0006】さらに、特開平7−62346号公報で
は、スラグ組成とエージング処理方法が開示されている
が、同公報第6頁の表3に記載されている一軸圧縮強度
が 120N/cm2(12.2kgf/cm2)〜 160N/cm2(16.3kgf/cm2)
と、バラツキが大きい上、ミニマム値の120N/cm2は、一
軸圧縮強度のJIS規格である 118N/cm2(12kgf/cm2)を
ぎりぎりでクリアしているに過ぎず、決して安定してク
リアできているわけではなかった。また、このバラツキ
の原因については十分に解明されていなかった。
【0007】また、スラグ中の鉄分を除去する方法とし
て、特開平6−281363号公報があるが、これは製
鋼スラグの鉄分の回収が目的であり、本発明の粒鉄の含
有量制御とは目的が異なる。また、同公報の第5頁右欄
中段に記載されているように、スラグを細粒に破砕した
時のサイズは 100mm以下と大きく、その大きさで磁選
できる地金は、本発明における数mmのサイズとは明ら
かに対象が異なる。さらに、転炉スラグを再利用するた
めにCaO 濃度や金属酸化物濃度、冷却速度を規定してい
るが、冷却速度はコントロールが困難である上、実績ト
レースが難しく、不適合品が混入しても分からないなど
管理上の問題も多く、優れた指標とは言えない。また、
CaO 濃度や金属酸化物濃度の規定は、膨張崩壊特性の改
善には有効であるが、圧縮強度の観点からは、なおバラ
ツキがあり、別の指標が求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】圧縮強度に及ぼす影響
因子のうち、スラグの冷却速度などはコントロールが難
しい上、実施有無や実績レベルの事後確認が困難である
ため、不適合品が混入しても判別不可能という問題があ
った。このようなことが最終製品の強度のバラツキの一
つでもあると考えられ、もっとコントロール容易な因子
で、適合・不適合の判別が確実な指標が求められてい
た。本発明は、このような課題を解決すべくなされたも
のであり、高圧縮強度の製鋼スラグを安定して確実に得
ることができ、また、スラグ分析から判明する項目の制
御のみで高圧縮強度を得ることができる高強度製鋼スラ
グ、土木工事用材料およびスラグ製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、圧縮強度への
影響因子として CaO,SiO2 に加え、従来は有害と思われ
ていた粒鉄、あるいは強度との関係が不明確であった
F,TiO2 などの影響を定量化し、最適化することによ
り、高強度スラグに必要な条件を見出し、これを指標と
することにより、安定して高い圧縮強度を示すスラグを
確実に得ると共に、スラグ分析から判明する項目の制御
のみで高圧縮強度が得られるようにしたものである。
【0010】本発明の請求項1は、製鋼工程で発生する
製鋼スラグであり、(1) 1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO
2)≦6.0 、(2) 未滓化酸化カルシウム(F.CaO)の含有量
≦20質量%、(3) 平均粒径が4mmを超える粗粒鉄の含有
量<2質量%、かつ、0.1 質量%≦平均粒径が4mm以下
(好ましくは10μm〜4mm)の細粒鉄の含有量≦5質量
%の3条件を満足する高強度製鋼スラグである。
【0011】本発明の請求項2は、製鋼工程で発生する
製鋼スラグであり、(1) 1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO
2)≦6.0 、(2) 未滓化酸化カルシウム(F.CaO)の含有量
≦20質量%、(3) 平均粒径が4mmを超える粗粒鉄の含有
量<2質量%、かつ、0.1 質量%≦平均粒径が4mm以下
(好ましくは10μm〜4mm)の細粒鉄の含有量≦5質量
%、(4) フッ素(F)の含有量≦3質量%の4条件を満
足する高強度製鋼スラグである。
【0012】本発明の請求項3は、製鋼工程で発生する
製鋼スラグであり、(1) 1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO
2)≦6.0 、(2) 未滓化酸化カルシウム(F.CaO)の含有量
≦20質量%、(3) 平均粒径が4mmを超える粗粒鉄の含有
量<2質量%、かつ、 0.1質量%≦平均粒径が4mm以下
(好ましくは10μm〜4mm)の細粒鉄の含有量≦5質量
%、(4) フッ素(F)の含有量≦3質量%、(5) 0.1 質
量%≦酸化チタン(TiO2)の含有量≦5質量%の5条件
を満足する高強度製鋼スラグである。
【0013】本発明の請求項4は、原料の一部または全
部が製鋼スラグからなる土木工事用材料であり、(1) 1.
2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO2)≦6.0 、(2) 未滓化酸化
カルシウム(F.CaO)の含有量≦20質量%、(3) 平均粒径
が4mmを超える粗粒鉄の含有量<2質量%、かつ、 0.1
質量%≦平均粒径が4mm以下(好ましくは10μm〜4m
m)の細粒鉄の含有量≦5質量%、(4) フッ素(F)の
含有量≦3質量%、(5)0.1 質量%≦酸化チタン(Ti
O2)の含有量≦5質量%の5条件を満足する土木工事用
材料である。即ち、製鋼スラグや高炉スラグ等を原料と
し、配合やエージングなどの各種処理が終了した最終原
料段階で前記5条件の組成範囲を満たしている土木工事
用材料である。
【0014】本発明の請求項5は、原料の一部または全
部が請求項1、2または3に記載の高強度製鋼スラグか
らなることを特徴とする土木工事用材料である。即ち、
請求項1、2または3に記載の高強度製鋼スラグのうち
の1種類だけ用い、これを土木工事用材料の原料の一部
または全部とする。あるいは、請求項1、2または3に
記載の高強度製鋼スラグのうちから任意の数種類を選択
し、これらを土木工事用材料の原料の一部または全部と
する。得られた材料に対して、必要に応じて、エージン
グや熱処理等を施し、路盤材、コンクリート骨材、アス
ファルトコンクリート骨材、道路用バラス、港湾工事用
材料などを製造する。なお、前記高強度製鋼スラグに高
炉スラグ等を配合してもよい。
【0015】本発明の請求項6は、上底吹転炉におい
て、転炉吹錬または溶銑予備処理を行う際、上吹酸素吹
錬終了時点の底吹ガス流量を1とすると、上吹酸素吹錬
終了後に0.6 〜1.6 の底吹ガス流量で、出湯開始まで0.
5 分以上6分以内攪拌し、スラグ中の粒鉄量を調整する
ことを特徴とするスラグ製造方法である。
【0016】(1) 1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO2)≦6.
0 スラグの造滓剤等の配合や酸化・還元反応の計算などに
よってスラグ塩基度を最適の範囲に制御することによ
り、図2に示すようにスラグ圧縮強度が向上する。スラ
グ塩基度が 1.2より小さい場合、溶融時のスラグ粘度が
高く、フォーミングし易く、気泡がトラップされるた
め、圧縮強度が低下する。スラグ塩基度が 6.0より大き
い場合、融点が高く、スラグが均一に混合しないため、
圧縮強度のバラツキが大きい。なお、T.CaO は後述のF.
CaO も含むトータルCaO である。
【0017】(2) 未滓化酸化カルシウム(F.CaO)の含有
量≦20質量% F.CaO は未滓化生石灰(フリーライム)であり、このF.
CaO が多いということは、スラグ組織が完全に均一化さ
れておらず、圧縮強度のバラツキが大きく、その強度の
弱い部分が圧縮強度を律速する。スラグ攪拌強化、スラ
グ融点低下、スラグ温度上昇、蒸気エージングなどによ
り、F.CaO の低減を図ることで、スラグ圧縮強度が向上
する。図5に示すように、スラグ塩基度が1.2 〜6.0 の
範囲でF.CaO の含有量を20質量%以下とすることによ
り、スラグ圧縮強度の低下が防止される。
【0018】(3) 粗粒鉄(>4mm)の含有量<2質量
%、かつ、 0.1質量%≦細粒鉄(≦4mm)の含有量≦5
質量% 粒鉄は溶鉄からスラグ中に粒状に捕捉されるものであ
り、粒鉄とスラグ母相との境界が亀裂の起点となるた
め、従来は有害なものと考えられていたが、粒径が約4
mmより小さい径の粒鉄は粒鉄−母相界面で亀裂を止める
効果があるため、粒径が4mmを超える粗粒鉄は少ないほ
ど、4mm以下の細粒鉄は存在する方が、スラグ圧縮強度
が向上する。粗粒鉄(>4mm)は、破壊時の亀裂起点あ
るいは亀裂を促進するように作用するので、図6に示す
ように、粗粒鉄の含有量<2質量%とすることにより、
スラグ圧縮強度が向上する。細粒鉄(≦4mm)は、粒子
分散強化の作用として強度上昇方向に作用するため、図
6に示すように、細粒鉄の含有量≧ 0.1質量%とするこ
とにより、スラグ圧縮強度が向上する。また、多すぎる
と粒鉄間の距離が近くなり、相互作用の結果、悪化方向
となるため、図6に示すように、細粒鉄の含有量≦5質
量%とすることにより、スラグ圧縮強度が向上する。
【0019】請求項1では、上記 (1)〜(3) の条件を全
て満たすことで、図6、図7に示すように、スラグ圧縮
強度指数を1.0(目標値:一軸圧縮強度のJIS規格の最
低値+20%=141N/cm2(14.4kgf/cm2))以上とすることが
できる。
【0020】(4) フッ素(F)の含有量≦3質量% Fは、必要に応じてスラグ融点低下や流動性向上のため
にホタル石(CaF2)として添加されるものであり、その配
合量や反応等を調整することで、図8に示すように、ス
ラグ圧縮強度が若干向上する。Fが多すぎると、スラグ
中に気泡がトラップされ、強度が低下するため、Fの含
有量≦3質量%とすることにより、圧縮強度の低下が防
止される。
【0021】請求項2では、上記 (1)〜(4) の条件を全
て満たすことで、図8、図9に示すように、スラグ圧縮
強度指数を1.1 以上とすることができる。
【0022】(5) 0.1 質量%≦酸化チタン(TiO2)の含
有量≦5質量% TiO2は、融点降下作用と粘度上昇作用があり、その含有
量を調整することで、図10に示すように、スラグ圧縮
強度が向上する。TiO2の含有量≧0.1 質量%とすること
により、融点が下がり、組織が緻密化し、スラグ圧縮強
度が向上する。TiO2の含有量≧5質量%では、粘度が上
昇し、気泡トラップ等が増え、スラグ圧縮強度が低下す
る。
【0023】請求項3では、上記 (1)〜(5) の条件を全
て満たすことで、図10に示すように、スラグ圧縮強度
指数を1.3 以上とすることができる。
【0024】本発明の製鋼スラグは、図1に示すよう
に、転炉前段の取鍋内溶銑予備処理後スラグ、転炉内溶
銑予備処理後スラグ、転炉吹錬後スラグ、CC鋳込後取
鍋スラグであり、前述のようにして得られたスラグ圧縮
強度指数が1.0 以上の高強度製鋼スラグを原料の全部と
し、あるいは原料の一部として任意に選択して配合する
ことにより、さらに高炉スラグ等の強度の低いスラグを
配合しても、目標強度をクリアする高強度の土木工事用
材料が得られる。
【0025】本発明の圧縮強度を向上させる指標(T.CaO
/SiO2 、F.CaO 、粒鉄、F、TiO2)のうち、粒鉄の濃度
調整に関しては、転炉吹錬または溶銑予備処理を行う
際、上吹酸素吹錬終了後に上吹酸素吹錬終了時点の0.6
〜1.6 倍の底吹ガス流量で、出湯開始まで0.5 分以上6
分以内攪拌し、図11、図12に示すように、転炉の上
吹酸素吹錬時に上昇した粒鉄濃度を底吹ガスの適度の攪
拌で減少させることにより、粗粒鉄(>4mm)の含有量
<2質量%、かつ、 0.1質量%≦細粒鉄(≦4mm)の含
有量≦5質量%とすることができる。図11に示すよう
に、底吹ガス流量比が0.6 より小さい場合は、攪拌力が
小さすぎ、スラグ中粒鉄量は殆ど変化しない。1.6 より
大きい場合は、攪拌力が強すぎて、溶鉄からスラグへの
粒鉄供給量が粒鉄沈降量を上回って増加する。攪拌時間
は、0.5 分未満では粒鉄沈降が不十分となる。6分を超
えると、溶鉄の温度降下が著しくなり、スラグからの復
Pも大きくなる。
【0026】前述の粒鉄の濃度調整方法は、熱間で実施
できるため、効率的であるが、スラグの冷却、破砕、磁
選という方法などでも実施できる。また、前述の粒鉄の
濃度調整方法は、転炉内スラグに適用されるものである
が、その他の製鋼スラグについては、発生したスラグを
前記の指標を用いて分析し取捨選択することで、高強度
スラグを得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する一実施形
態に基づいて説明する。この実施形態は、製鋼工程で発
生するスラグを100 サンプル以上採取し、圧縮強度に与
える影響を調査した例である。スラグの発生源は、溶銑
予備処理後スラグ、転炉吹錬後スラグ、CC(連続鋳
造)鋳込後取鍋スラグである。溶銑予備処理後スラグ
は、取鍋内溶銑予備処理で、あるいは転炉型反応容器を
用いた溶銑予備処理で発生したスラグである。製鋼プロ
セスのフローと採取したスラグの関係を図1に示す。ま
た、各プロセスにおける操業条件範囲を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】通常、スラグの組成は粒鉄を除去した後に
百分率で表記することが多いが、本発明では、粒鉄自身
がスラグ強度に影響を与えている可能性が高いことに着
目したことから、粒鉄を含めた質量%でスラグ組成を評
価した。スラグ分析は任意に採取した500g以上の質量を
粉砕して均一混合した後、分析に供した。採取したスラ
グから直径20mm、高さ30mmの直方体の試験片を切り出
し、圧縮試験を行なった。圧縮強度を指数化し、相対強
度を比較した。スラグを有効利用するに際して目標とし
た圧縮強度指数の目標値は1.0 以上である。なお、目標
値はJIS規格が規定する最低値の+20%、つまり路盤
材の一軸圧縮強度のJIS規定値は118N/cm2(12kgf/c
m2) 以上であるので、目標値は 141N/cm2(14.4kgf/cm2)
とした。+20%を目標値としたのは、20%程度の余裕が
あれば、確実であるためである。
【0030】(1) スラグ塩基度(T.CaO/SiO2)の影響 図2に、(T.CaO/SiO2)とスラグ圧縮強度の関係を示す。
なお、ここで、CaO 濃度は未滓化のCaO 分(F.CaO(フリ
ーライム))も含むトータルCaO 濃度である。図2に示す
ように、(T.CaO/SiO2)が 1.2〜6.0 の範囲ではバラツキ
があるものの強度指数 0.6以上を示した。(T.CaO/SiO2)
<1.2 と(T.CaO/SiO2)>6.0 ではバラツキがさらに大き
く、目標値≧1.0 を安定して得るのは困難であると思わ
れる。
【0031】(T.CaO/SiO2)<1.2 で強度が安定しないの
は、図3に示すように、低塩基度では溶融時のスラグ粘
度が高いため、スラグフォーミングを起こし易くスラグ
中の気泡率が高い場合があるからである。
【0032】また、(T.CaO/SiO2)>6.0 で強度が安定し
ないのは、融点が高いため十分に均一溶融混合していな
い場合が多いからである。平均スラグ組成中(T.CaO/SiO
2)>6.0 のスラグを局部的にサンプル採取してみると、
部位によるバラツキが大きい。例えば平均(T.CaO/SiO2)
=6.8 のスラグ塊から3箇所の局部的サンプルを100gず
つ採取して分析した場合、(T.CaO/SiO2)は3.8 , 8.5 ,
6.2 とバラツキが大きいことが判明した。(T.CaO/SiO2)
が 6.0を超えると、急激にバラツキが増える理由として
は、図4のCaO/SiO2二元系状態図から分かるように、
(T.CaO/SiO2)= 6.0(SiO2が約15%) の融点は約2400°
C であり、通常の製鋼プロセスにおいては溶鉄への酸素
吹付時火点などの局部的な最高温度によって溶融できる
限界であるためだと推定できる。
【0033】他の第三元素が入った場合には融点が下が
るため、溶融に関しては有利となることから、(T.CaO/S
iO2)>6.0 でも完全溶融し均一混合した場合には、バラ
ツキが高強度側にシフトしていると考えられる。しか
し、第三元素による融点降下を定量的に見積もるのは非
常に困難であり、工業的に簡易な指標には適さないた
め、今回の圧縮強度の指標作成因子からは除外した。同
様の理由で、(T.CaO/SiO2)<1.2 の場合でも、第三元素
により粘度が低下する場合には、スラグ中への気泡トラ
ップを減少させるため、圧縮強度は有利な方向に働く。
しかし、これも第三元素の影響評価が難しく簡易指標に
は適さないため、(T.CaO/SiO2)<1.2 は除外することと
した。
【0034】(2) F.CaO の影響 次に、(T.CaO/SiO2)が 1.2〜6.0 の範囲内で圧縮強度に
影響があると考えられる F.CaO(フリーライム=未滓化
生石灰)の影響を調査した。その結果を図5に示す。こ
の図5から分かるように、 F.CaOが20質量%を超える
と、圧縮強度指数の顕著な低下が見られた。未滓化分が
多いということはスラグ性状が不均一であることを示し
ており、これが強度劣化の原因になっていることが分か
った。以上のことから、1.2 ≦(T.CaO/SiO2)≦6.0 、か
つ、 F.CaO≦20質量%の条件を満たせば、少なくとも圧
縮強度指数は0.8 以上を確保できることが分かった。
【0035】(3) 粒鉄の影響 1.2 ≦(T.CaO/SiO2)≦6.0 と F.CaO≦20質量%の両方を
満たしても、まだ圧縮強度指数の目標値≧1.0 を安定し
てクリアすることができなかった。そこで、圧縮試験で
破壊したサンプルの破面の亀裂を観察すると、粒鉄と母
相との境界が亀裂の起点となり破壊している傾向が見ら
れた。更に詳しく観察すると、粒鉄の径によって挙動が
異なる傾向を発見した。即ち、径の大きな粒鉄は、亀裂
の起点となり、あるいは、亀裂進展を促進している傾向
が見られたが、径の小さな粒鉄は、粒鉄−母相界面で亀
裂を止める効果があることが分かった。この小さな粒鉄
と大きな粒鉄の臨界値は、多数の例を観察した結果、約
4mmであった。即ち、圧縮強度の観点では、大きい粒鉄
は少ないほど良く、小さい粒鉄は存在する方が良い、と
いうことが推察される。
【0036】破面観察結果から、粒鉄が破断に寄与した
サンプルを詳細に観察すると、直径4mm以上の粒鉄が2
質量%以上存在する場合に、粒鉄は破断に寄与する傾向
が強く、直径4mm以上の粒鉄が存在しても、その含有量
が2質量%未満であれば、破断のクラック進展に及ぼす
影響は小さかった。これらの結果を踏まえ、直径4mm以
上の粒鉄(粗粒鉄)が2%以上と2%未満に分類し、直
径4mm以下の粒鉄(細粒鉄)の含有量が圧縮強度に及ぼ
す影響を調べた。なお、細粒鉄の粒鉄の下限は10μmま
でカウントした。その結果を図6に示す。
【0037】図6から分かるように、細粒鉄が 0.1〜5
質量%(粗粒鉄<2質量%) である場合に圧縮強度指数
は1.0 以上を確保した。これは、一定量の細粒鉄が母材
強度を高める働きをしているからだと考えられる。この
理由は、粒子分散型複合材料の考え方で説明ができ、細
粒鉄が破壊亀裂の曲げや枝分かれ及びピンニング効果に
よる亀裂進展抑制の役割を果たしているからである。細
粒鉄の濃度が少なすぎると、この効果が少なく、多すぎ
ると、逆に粒鉄間の距離が近くなり、粒鉄の近傍に生じ
た応力場が相互に影響し合うため、悪影響側に働く。従
来、粒鉄は、体積膨張・収縮を起こし易いため、存在す
ると、母材強度には悪影響を与えると言われていたが、
今回の調査により、悪影響を及ぼすのは2質量%以上の
粗粒鉄または5質量%より多い細粒鉄であり、5質量%
以下の細粒鉄であれば、むしろ強度発現には効果的であ
ることが明らかとなった。即ち、従来は非制御因子であ
った粒鉄の含有量と粒度分布を意図的に制御することに
より、不可避的と考えられていた圧縮強度のバラツキを
大幅に低減し、高位に安定させることができた。
【0038】なお、ここで得られた粒鉄条件は、通常の
製鋼プロセスで得ることは難しい。転炉を用いた処理や
溶銑脱S処理など、スラグ−メタル攪拌が激しいプロセ
スでは、通常、粗粒鉄≧2質量%、細粒鉄≧5質量%で
ある。また、RH処理(真空脱ガス処理)など、スラグ
−メタル攪拌が極めて小さいプロセスでは、細粒鉄≦0.
05質量%である。従って、前者は粒鉄を減少させる操作
が、後者は粒鉄を増加させる操作が必要となる。今回の
データで様々な粒鉄条件がデータが得られたのは、各プ
ロセス(図1参照)の条件を意図的に変化させているか
らである(転炉上底吹パターンの変更、RH−OB条件
の変更等)。このうち、粒鉄条件を作為的にコントロー
ルできる方法として転炉上底吹方法の最適パターンを発
見したので、後述する。
【0039】以上の結果、1.2 ≦(T.CaO/SiO2)≦6.0 、
F.CaO≦20質量%、直径4mm以上の粒鉄濃度<2質量
%、直径4mm未満の粒鉄濃度= 0.1〜5質量%の4条件
を揃えた場合に、図7に示すように(黒三角)、圧縮強
度指数が目標値である1.0 (一軸圧縮強度のJIS規格
の最低値+20%=141N/cm2(14.4kgf/cm2))を確保できる
ことが分かった。しかも、これらの条件は、スラグから
採取した代表サンプルの成分分析と粒径調査だけで合否
の判定が可能であり、簡易的かつ経済的な判定方法であ
る。
【0040】(4) Fの影響 上記の条件を満たした上で、さらに圧縮強度を高める因
子としてF(フッ素)に着目した。Fは、スラグの融点
低下、流動性の向上のため、ホタル石(CaF2)として添加
される場合が多い。また、環境規制の強化に伴い、F溶
出量に関する様々な調査が行なわれているが、圧縮強度
に及ぼす影響は十分に調査されていない。今回上記の条
件を揃えた上で、F濃度が圧縮強度に及ぼす影響を調べ
た。その結果、図8に示すように、F≦3質量%であれ
ば、圧縮強度はほぼ一定であるが、F>3質量%では、
圧縮強度が低下する傾向が見られた。
【0041】即ち、1.2 ≦(T.CaO/SiO2)≦6.0 、 F.CaO
≦20質量%、直径4mm以上の粒鉄濃度<2質量%、直径
4mm未満の粒鉄濃度= 0.1〜5質量%の4条件に、F≦
3質量%の条件を加えることにより、圧縮強度指数は安
定して1.1 以上が確保できる。F量が多すぎると、常温
まで冷却されたスラグ中に気泡が多い現象が見られ、こ
れが強度悪化の原因となっていると思われる。この原因
は、熱伝導・粘性などの影響が考えられるが、明確な原
因は分かっていない。従って、F≦3質量%に抑制する
ことが重要であると同時に、別の見方をすれば、F≦3
質量%を満たせるのであれば、F源を添加しても圧縮強
度の低下は起こらない。
【0042】また、これらのスラグ特性に及ぼすスラグ
発生源の影響を確認するために、図8を発生源ごとにプ
ロットを変えて図9に整理した。このようにスラグ発生
源による影響は見られない。従って、圧縮強度は、上記
のスラグ成分と粒鉄条件によってのみ支配されているこ
とが分かる。また、Fが圧縮強度に与える影響を前述の
ように明確に定量化できたのは、他の条件(T.CaO/Si
O2、F.CaO 、粒鉄条件)の絞り込みが行なわれたからで
あり、その工業的な意義は非常に大きい。
【0043】(5) TiO2の影響 上記条件を満たしたスラグサンプルをさらに詳細に調査
した結果、圧縮強度指数が1.3 以上を示したものは、Ti
O2(酸化チタン)含有量が 0.1〜5質量%の範囲である
ことが分かった。この理由を考える。TiO2には、スラグ
の融点を下げる性質とスラグの粘性を高める性質があ
る。TiO2が 0.1質量%以上存在する場合に圧縮強度が上
昇するのは、Ti含有相の融点が下がり、組織が緻密化す
るためであると考えられる。しかし、TiO2が5質量%を
超えると、粘度上昇の悪影響が大きくなり、フォーミン
グ等によって発生した気泡を排出しきれない場合がある
ため、相対的に強度は低くなるものと考えられる。
【0044】従来、TiO2がスラグ性状に及ぼす影響は、
フォーミングの観点からSiO2と同列に並べられることが
多く、フォーミング予測を CaO/(SiO2+TiO2) という指
標で整理することも多かったが、今回のようにTiO2を圧
縮強度の観点で整理した例はなかった。従来、TiO2は有
害元素と見られることが多かったが、前述のように濃度
コントロールすることによって有益な元素となることが
分かった。
【0045】(6) 粒鉄含有量の調整方法 本発明で明らかになった指標(T.CaO/SiO2 、F.CaO 、粒
鉄、F、TiO2) のうち、T.CaO/SiO2、F、TiO2に関して
は、スラグの造滓剤等の配合と、酸化・還元反応等の計
算によってコントロールすることができる。F.CaO に関
しては、スラグ攪拌強化、スラグ融点低下、スラグ温度
上昇、蒸気エージングなどの施策により、F.CaO の低減
を図ることができる。しかし、粒鉄のコントロール方法
については、従来の一般的な知見では、良い方法がない
ため、粒鉄条件を上記範囲に入れるためには偶然に頼る
しかなかった。今回、粒鉄条件をコントロールするため
に様々な方法を試行錯誤した結果、粒鉄含有量をコント
ロールする方法を発見した。この粒鉄含有量の調整方法
を以下に示す。
【0046】上底吹転炉で、転炉吹錬または溶銑予備処
理の吹錬を行う時、上吹酸素吹錬終了直前の上吹酸素流
量をA、底吹ガス流量をBとする。通常は、上吹酸素吹
錬が終了すると、復P抑制、また転炉耐火物保護のた
め、即座に(≦0.4 分) 出湯する。また、上吹吹錬終了
後(上吹酸素流量=0)の底吹ガス流量は、復P抑制の
ため底吹ガス孔が閉塞しない程度に極力低減させるのが
一般的である。しかし、今回、次に示すように上吹酸素
吹錬終了後のスラグ挙動に着目して実験を行った。
【0047】図11(細粒鉄の例)に示すように、上吹
酸素吹錬終了後の底吹ガス流量が 0.6B以下の時は、粒
鉄濃度の変化は小さく、 0.6B〜 1.6Bの時は、粒鉄濃
度は減少傾向となり、 1.6B以上の時は、粒鉄濃度は増
加傾向となった。粒鉄濃度の増減は、スラグ−メタル間
の粒鉄供給と減少(沈降)のバランスによって決まる
が、底吹ガス量が 1.6B以上の時は、攪拌が強すぎて溶
鉄からスラグに粒鉄が供給される方が上回り、 1.6B以
下の時は、攪拌力が小さくなり、スラグへの粒鉄供給が
少なくなるため、スラグからの粒鉄沈降量が供給量を上
回り、減少方向に働く。しかし、 0.6B以下になった時
に粒鉄量変化が極めて小さくなっている理由は、攪拌力
が小さすぎると、溶鉄からスラグへの熱供給も小さくな
り、スラグ表面からの放熱ロスが増えるため、スラグ温
度が急激に低下し、スラグ流動性の減少の結果、スラグ
中の粒鉄量は殆ど変化しなくなると考えられる。
【0048】通常、転炉容器を用いた上吹酸素吹錬時に
は粒鉄濃度が上昇するため、前述した(3) の粒鉄条件を
満たすためには、上吹酸素吹錬後に粒鉄濃度を減少させ
る操作が必要となる。従って、今回得られた結論から、
上吹酸素吹錬終了後に底吹ガス流量を 0.6B〜 1.6Bの
範囲で攪拌するとよいことが分かる。なお、攪拌時間
は、0.5 分〜6分が最適である。何故ならば、0.5 分未
満では、粒鉄沈降の時間が不十分であり、6分を超える
と、溶鉄の温度効果が著しく、またスラグからの復Pも
大きくなりすぎ、経済的ではないからである。このよう
な粒鉄濃度調整は、生成したスラグを冷却後、破砕、磁
選という方法でも調整可能であるが、磁選では細粒鉄の
除去、調整が難しいなどの問題があり、熱間で実施する
本方法の方がより効率的である。
【0049】本知見を得たことによる粒鉄濃度制御性の
改善の程度を図12に示した。図12は、転炉を用いて
の脱P後、あるいは脱C後のスラグ中の粒鉄濃度を示し
ている。従来、上吹吹錬終了後の底吹条件の制御なしで
操業した時は、白丸で示すように、粒鉄は目標としてい
る範囲より高めにシフトしており、偶然10%程度のスラ
グが目標範囲内に入るのみであった。今回得られた知見
を用い、底吹ガス流量を上吹ガス終了後に 0.6〜 1.6倍
の範囲に制御して、想定される粒鉄濃度から底吹ガス攪
拌時間を0.5 〜6分の間で調整して操業を行った結果、
黒三角で示すように、100 %目標範囲内に的中させるこ
とができるようになった。
【0050】今回、転炉から発生するスラグに関して
は、上記のような粒鉄含有量の制御方法を見出したた
め、操業方法と造滓剤・媒溶剤等の配合量の調整により
有効利用可能なスラグの意図的な生産が可能となった。
二次精錬スラグ等、他の製鋼スラグに関しては、現在の
ところ確実な粒鉄制御方法はないが、本発明の前述した
指標を用いることにより、発生した製鋼スラグを分析し
て取捨選択し、良品のみを識別することが可能となった
ので、スラグの有効利用適合性のレベルは大幅に改善さ
れることになった。
【0051】(7) スラグの応用 今回規定された条件を満たす高強度スラグは、高圧縮強
度を必要とする様々な分野への適用が可能である。例え
ば、路盤材、コンクリート骨材、アスファルトコンクリ
ート骨材、道路用バラスなどの原料の一部または全部と
して本発明で得られた高強度スラグを用いると、最終製
品の高強度化につながる。最終製品の必要とする特性を
満たすためのエージングや熱処理などの各種処理は、今
回得られた条件を満たす範囲で実施しても全く問題な
い。例えば、水浸膨張率を抑制するために実施するエー
ジング処理は、F.CaO を低減させる方向であるため、元
のスラグが F.CaO≦20質量%を満たしている限り、本発
明の条件を外れることはない。
【0052】また、発生元の異なるスラグを配合して、
路盤材、コンクリート骨材、アスファルトコンクリート
骨材、道路用バラスなどの原料を製造する時に配合やエ
ージングなとの各種処理が終了した最終原料段階で本発
明の前述した組成範囲が満たされている時、やはり非常
に高い強度が得られることが分かった。なお、配合する
スラグは、製鋼スラグだけでなく、高炉スラグ等を配合
させてもよく、最終原料の組成のみで判定可能である。
【0053】これらの実例を次に述べる。今回得られた
スラグ成分の各々の条件が異なる代表的な製鋼スラグ4
種類と高炉スラグ1種類を用意した。その条件と得られ
た圧縮強度指数を表2に示す。これらのスラグを適宜配
合した。配合に当たっては各スラグを粉砕した後混合
し、極力均一な成分分布になるようにした。そのように
した理由は、各原料を均一に混合できなかった場合に
は、圧縮強度は最も弱い相で規定されてしまう可能性が
高くなるため、望ましくないからである。混合後の圧縮
強度指数を表3に示す。圧縮強度はほぼ混合比の加重平
均となっている。当然配合前の原料の強度が高ければ高
いほどよい。同時にこれは高強度スラグの原料がある
と、通常であれば用途の少ない強度未達のスラグを配合
できるメリットが生まれることも分かる。これにより、
強度未達スラグを有効利用できる選択枝が増えるため、
環境面やコスト面からも望ましい結果を得る。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】なお、試験的に配合後のスラグを水蒸気に
てエージング処理し、その後の圧縮強度を再測定し結果
を表3に示した。エージングによって圧縮強度は殆ど変
化しなかった。水浸膨張性を満足させるためにエージン
グを実施することは有効であるが、それによる圧縮強度
の変化は少ないため、必要に応じて実施すればよいこと
がわかる。
【0057】また、今回得られた指標は、圧縮強度とい
う基本的な機械特性に関する指標であるため、現在用い
られている路盤材やコンクリート骨材などの例のみなら
ず、全く新しい用途の土木工事用材料にも有効であると
考えられ、その将来性は極めて大きいといえる。
【0058】
【発明の効果】(1) 製鋼スラグの圧縮強度への影響因子
として CaO,SiO2 に加え、従来は有害と思われていた粒
鉄、あるいは強度との関係が不明確であったF,TiO2
どの影響を定量化し、最適化することにより、製鋼スラ
グの圧縮強度のバラツキを大幅に低減できると共に、目
標値を大幅に上回る高強度スラグを安定して確実に得る
ことができる。これにより、土木工事用材料の原料とし
て製鋼スラグを使用する際、従来は使用方法が殆どなか
った圧縮強度未達のスラグを配合しても、強度が稼げる
ようになり、環境面・コスト面で大きなメリットを得る
ことができる。
【0059】(2) 高強度の製鋼スラグを安定して得るた
めの指標(T.CaO/SiO2 、F.CaO 、粒鉄、F、TiO2) が得
られ、この指標は代表サンプルを分析するだけで判別可
能な簡易的な指標であると同時に、製鋼条件による制御
が可能な指標であり、高強度のスラグや土木工事用材料
を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における製鋼プロセスのフローと採取し
たスラグの関係を示すフローチャートである。
【図2】本発明のスラグ塩基度とスラグ圧縮強度指数の
関係を示すグラフである。
【図3】Al2O3-CaO-SiO2等粘度曲線を示すグラフであ
る。
【図4】CaO-SiO2二元系状態図である。
【図5】本発明のF.CaO とスラグ圧縮強度指数の関係を
示すグラフである。
【図6】本発明の細粒鉄濃度とスラグ圧縮強度指数の関
係を示すグラフである。
【図7】本発明のスラグ塩基度とスラグ圧縮強度指数の
関係を示すグラフである。
【図8】本発明のCaF2とスラグ圧縮強度指数の関係を示
すグラフである。
【図9】本発明のCaF2とスラグ圧縮強度指数の関係を示
すグラフである。
【図10】本発明のTiO2とスラグ圧縮強度指数の関係を
示すグラフである。
【図11】本発明の転炉における底吹ガス流量比と細粒
鉄濃度変化の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の底吹条件による細粒鉄濃度と粗粒鉄
濃度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1……取鍋内溶銑予備処理後スラグ 2……転炉内溶銑予備処理後スラグ 3……転炉吹錬後スラグ 4……CC鋳込後取鍋スラグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 葛西 篤也 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 上山 隆徳 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 Fターム(参考) 4K070 AB11 BA07 BB02 BB05 BC02 BC12 EA02 EA09 EA14 EA19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製鋼工程で発生する製鋼スラグであり、
    1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO2)≦6.0 、未滓化酸化カ
    ルシウム(F.CaO)の含有量≦20質量%、平均粒径が4mm
    を超える粗粒鉄の含有量<2質量%、 0.1質量%≦平均
    粒径が4mm以下の細粒鉄の含有量≦5質量%であること
    を特徴とする高強度製鋼スラグ。
  2. 【請求項2】 製鋼工程で発生する製鋼スラグであり、
    1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO2)≦6.0 、未滓化酸化カ
    ルシウム(F.CaO)の含有量≦20質量%、フッ素(F)の
    含有量≦3質量%、平均粒径が4mmを超える粗粒鉄の含
    有量<2質量%、 0.1質量%≦平均粒径が4mm以下の細
    粒鉄の含有量≦5質量%であることを特徴とする高強度
    製鋼スラグ。
  3. 【請求項3】 製鋼工程で発生する製鋼スラグであり、
    1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO/SiO2)≦6.0 、未滓化酸化カ
    ルシウム(F.CaO)の含有量≦20質量%、フッ素(F)の
    含有量≦3質量%、 0.1質量%≦酸化チタン(TiO2)の
    含有量≦5質量%、平均粒径が4mmを超える粗粒鉄の含
    有量<2質量%、 0.1質量%≦平均粒径が4mm以下の細
    粒鉄の含有量≦5質量%であることを特徴とする高強度
    製鋼スラグ。
  4. 【請求項4】 原料の一部または全部が製鋼スラグから
    なる土木工事用材料であり、1.2 ≦スラグ塩基度(T.CaO
    /SiO2)≦6.0 、未滓化酸化カルシウム(F.CaO)の含有量
    ≦20質量%、フッ素(F)の含有量≦3質量%、 0.1質
    量%≦酸化チタン(TiO2)の含有量≦5質量%、平均粒
    径が4mmを超える粗粒鉄の含有量<2質量%、 0.1質量
    %≦平均粒径が4mm以下の細粒鉄の含有量≦5質量%の
    条件を満たしていることを特徴とする土木工事用材料。
  5. 【請求項5】 原料の一部または全部が請求項1、2ま
    たは3に記載の高強度製鋼スラグからなることを特徴と
    する土木工事用材料。
  6. 【請求項6】 上底吹転炉において、転炉吹錬または溶
    銑予備処理を行う際、上吹酸素吹錬終了時点の底吹ガス
    流量を1とすると、上吹酸素吹錬終了後に0.6 〜1.6 の
    底吹ガス流量で、出湯開始まで0.5 分以上6分以内攪拌
    し、スラグ中の粒鉄量を調整することを特徴とするスラ
    グ製造方法。
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