JP2002336970A - せん断補強筋のスポット溶接方法 - Google Patents
せん断補強筋のスポット溶接方法Info
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Abstract
ットを製造可能なせん断補強筋のスポット溶接方法を提
案すること。 【解決手段】 梁主筋にあばら筋をスポット溶接するた
めの方法において、本溶接工程Bにおける溶接電流およ
び通電時間の積を溶接エネルギーと規定した場合に、焼
き戻し溶接工程Dにおいては、約70%の溶接エネルギ
ーにより焼き戻しを行うようにしている。また、本溶接
後の冷却時間を本溶接工程の通電時間と同一としてあ
る。このように溶接条件を規定すると、せん断補強筋の
溶接強度を当該せん断補強筋の規格降伏点強度以上にす
ることができると共に、主筋の引張強度および伸びを溶
接前の規格基準値以上の値にすることができる。従っ
て、剛性、強度および靭性の高い溶接鉄筋枠ユニットを
製造できる。
Description
るシングル配筋された鉄筋コンクリート梁として用いる
のに適したシングル配筋用梁枠ユニット等において、梁
主筋にせん断補強筋としてのあばら筋を溶接するために
用いるのに適したせん断補強筋のスポット溶接方法に関
するものである。
ト製の梁、基礎梁等としては、上下一対の梁主筋に一定
のピッチであばら筋を取り付けた構成のシングル配筋の
ものが知られている。また、かかる梁筋として、上下の
梁主筋にあばら筋の上下端をスポット溶接した構成の鉄
筋枠ユニットが知られている。このような鉄筋枠ユニッ
トは、工場生産により製造され、建築現場において鉄筋
枠ユニットを相互に繋ぐことにより所定長さの梁筋が構
築され、また、鉄筋枠ユニット同士を直角あるいは十文
字状に繋ぐことにより、布基礎の角部分等の配筋が可能
となっている。
用いた配筋構造は、例えば、本件出願人の一人によって
実公平7−48881号公報に開示されている。
が入ると、その硬度は増すものの靭性が低下してしま
い、伸び率が低下し脆弱になってしまう。鉄筋コンクリ
ート構造では鉄筋により引っ張り力を負担させ、脆性破
壊を防止しているので、鉄筋には十分な伸び率が要求さ
れる。かかる観点から、鉄筋の靭性を損なうことの無い
ように、鉄筋の溶接強度は鉄筋母材の規格降伏点強度の
1/3から2/3程度となるように管理されている。
コンクリートにおける配筋設計の基本的な考え方は、鉄
筋とコンクリートとの付着強度を高めて双方を一体化
し、作用荷重によって発生する圧縮力をコンクリートに
負担させ、引張力を鉄筋に負担させるというものであ
る。この考え方に立脚すれば、梁の配筋に溶接を使用す
ることは鉄筋の靭性が低下するので、極力避ける必要が
ある。
筋の応力分担状態、梁の継ぎ手部分における実際の応力
状態等については、依然として不明な点が多い。本発明
者らは、この点に鑑みて、梁筋とあばら筋の結合強度等
を変えて、鉄筋コンクリート梁の載荷試験等を行なうこ
とにより、新たな配筋設計の考え方を案出するに至り、
特願2001−50609号明細書において、かかる新
たな配筋設計の考え方に基づき新たに考え出されたシン
グル配筋用梁枠ユニット、この新しいシングル配筋用梁
枠ユニットの継ぎ手部分に用いるのに適した継ぎ手枠ユ
ニット、およびこのような新しいシングル配筋用梁枠ユ
ニットの継ぎ手部分を、新しい継ぎ手枠ユニットを用い
て構成した継ぎ手構造を提案している。
コンクリート梁のシングル配筋用梁枠ユニットは、所定
間隔で平行に延びる上下の梁主筋と、これらに対して所
定のピッチで溶接されたあばら筋とを備え、前記梁主筋
と前記あばら筋との溶接強度を、鉄筋母材の規格降伏点
強度以上としたことを特徴としている。
では、梯子状に組まれたユニットの面内剛性が高いの
で、この剛性によって梁に作用する引張力および圧縮力
に耐える。梁筋とあばら筋の溶接強度は、それらの母材
の規格降伏点強度よりも高いので、鉄筋が降伏状態にな
る前に溶接部分が破断あるいは分離することはない。こ
のために、コンクリートは圧縮破壊状態に至っても、ユ
ニットによって保持されているので、鉄筋コンクリート
梁全体としての靭性を高め、その脆性破壊を防止でき
る。
度だけでなく、溶接により梯子状に組み立てた梁筋およ
びあばら筋からなる鉄筋枠ユニットの剛性も考慮して配
筋を行なうようにしているので、各鉄筋の定着長さを、
従来より短くしても、全体として強度の高い、しかも安
全性の高い鉄筋コンクリート梁を実現できる。
配筋された鉄筋コンクリート梁の上下の梁主筋の継ぎ手
部分に使用する継ぎ手筋ユニットは、所定間隔で平行に
延びる上下の継ぎ手筋と、これらの継ぎ手筋に所定ピッ
チで取り付けられた複数本のあばら筋とを有し、各あば
ら筋の上下の端部は、それぞれ、上下の継ぎ手筋に溶接
されており、各あばら筋と上下の継ぎ手筋の溶接強度
は、鉄筋母材の規格降伏点強度以上であることを特徴と
している。
継ぎ手筋のような定着強度のみによって継ぎ手部分の強
度を確保する代わりに、定着強度と、強固に溶接された
継ぎ手筋ユニットの剛性とによって、梁筋の継ぎ手部分
の強度を確保することができる。よって、従来に比べ
て、鉄筋の定着長さを短くすることができる。
対して同一の側に溶接されていることが望ましい。ま
た、上下の継ぎ手筋の間隔は、上下の継ぎ手筋が、継ぎ
対象の上下の梁主筋の間に納まる寸法とされていること
が望ましい。
ぎ手筋を納めることができるので、継ぎ手部分に必要と
なる鉄筋幅を、梁主筋の外径寸法と、その両側に位置す
るあばら筋の外径寸法の合計とすることができる。よっ
て、鉄筋コンクリート製の梁幅を狭くすることができ
る。
枠ユニットなどにおいて、溶接強度がせん断補強筋の規
格降伏点強度以上となるように、梁主筋に対してせん断
補強筋を溶接できると共に、梁主筋の引張強度および伸
びも溶接前の値を確保可能なスポット溶接方法を提案す
ることにある。
めに、本発明は、住宅用鉄筋コンクリート梁の梁主筋に
所定ピッチでスポット溶接されるせん断補強筋のスポッ
ト溶接方法において、所定の溶接電流を所定の時間だけ
通電して本溶接を行い、所定の焼き戻し冷却時間を置
き、前記溶接電流の約60ないし80%の範囲内の焼き
戻し電流を所定の時間だけ通電して焼き戻しを行い、前
記梁主筋に対する前記せん断補強筋の溶接強度を、前記
せん断補強筋の規格降伏点強度以上の値とすることを特
徴としている。特に、前記焼き戻し電流を前記溶接電流
の約70%の値とすることが望ましい。
いても梁主筋の伸びを規格基準値以上に保持可能なこと
が確認された。
間を、前記溶接電流を通電する時間と同一とすることが
望ましい。
梁の梁主筋に所定ピッチでスポット溶接されるせん断補
強筋のスポット溶接方法において、所定の溶接電流を所
定の時間だけ通電して本溶接を行い、所定の焼き戻し冷
却時間を置き、前記本溶接における溶接電流と通電時間
の積で規定される溶接エネルギーの約60ないし80%
の範囲内の溶接エネルギーとなるように、焼き戻し電流
およびその通電時間を決めて焼き戻しを行ない、前記梁
主筋に対する前記せん断補強筋の溶接強度を、前記せん
断補強筋の規格降伏点強度以上の値とすることを特徴と
している。
る溶接エネルギーを、前記本溶接時における前記溶接エ
ネルギーの約70%とすることが望ましい。
主筋の伸びを規格基準値以上に保持できることが確認さ
れた。
流を通電する時間と同一とすることが望ましい。
を適用したせん断補強筋のスポット溶接方法の例を説明
する。
を採用して製造したシングル配筋梁のI型継ぎ手構造を
示す説明図である。
2の構造を説明すると、これらは基本的に同一構造であ
り、それぞれ、上下一対の梁主筋11、12および2
1、22と、これらの間に一定のピッチで架け渡された
あばら筋13および23とを備え、各あばら筋13、2
3は、それらの上下の端部が梁主筋に対してスポット溶
接されている。梁丈が高い場合には中間位置に、梁主筋
に平行となるように腹筋が配置される場合もあり、上下
にそれぞれ複数本の梁主筋が配置される場合もある。こ
のような溶接鉄筋枠ユニット1、2は一般には工場生産
されて、建築現場に搬入される。注目すべき点は、梁主
筋11、12に対するあばら筋13、23の溶接強度
が、これらの鉄筋母材の規格降伏点強度以上の値となる
ように設定されている点である。
ぎ手筋ユニット3は、上下一対の継ぎ手筋31、32
と、これらの間に一定のピッチで架け渡した複数本のあ
ばら筋33とを備えている。図示の例では4本のあばら
筋33が架け渡されている。各あばら筋33の上下の端
部は、それぞれ継ぎ手筋31、32にスポット溶接され
ている。継ぎ手筋ユニット3も一般的には工場生産され
る。また、あばら筋と継ぎ手筋の溶接強度は、これらの
鉄筋母材の規格降伏点強度以上の値とされている。この
ようにすると、継ぎ手枠ユニット3の面内剛性を高める
ことができ、継ぎ手部分に作用する力の一部を当該剛性
によって負担させることができる。
あばら筋33は、上下の継ぎ手筋31、32に対して同
一の側に溶接されている。また、上下の継ぎ手筋31、
32は、上下の梁主筋11、12の間、梁主筋21、2
2の間に納まるように、それらの間隔が決定されてい
る。溶接鉄筋枠ユニット1、2においても、各あばら筋
13、23が上下の梁主筋11、12、21、22に対
して同一の側に溶接されている。
分を構成する場合には、直線状に配列した溶接鉄筋枠ユ
ニット1、2の継ぎ手位置4に長さ方向の中心が位置す
るように、継ぎ手枠ユニット3を側方から溶接鉄筋枠ユ
ニット1、2に取り付ける。すなわち、継ぎ手筋ユニッ
ト3の中心3aに継ぎ手位置4が一致するように、溶接
鉄筋枠ユニット1、2におけるあばら筋取り付け側とは
反対側に取り付ける。また、溶接鉄筋枠ユニット1、2
におけるあばら筋13、23が取り付けられていない側
に、継ぎ手筋ユニット3のあばら筋33が取付けられて
いない側を重ね合わせる。
の梁主筋11、21および12、22の間に上下の継ぎ
手筋31、32が入り込み、各継ぎ手筋31、32は梁
側のあばら筋13、23に当たった状態になる。この状
態で、継ぎ手筋31、32を、それぞれ、上下の梁主筋
11、12、21、22に結束線(図示せず)を用いて
結束する。このようにして、図1(a)に示すI型継ぎ
手構造が構成される。
い継ぎ手筋ユニット3を溶接鉄筋枠ユニット1、2の継
ぎ手部分に重ね合わせて結束しているので、当該継ぎ手
部分の剛性を高めることができる。この結果、継ぎ手部
分に作用する引張り力は、継ぎ手筋31、32のコンク
リートに対する付着力と、継ぎ手筋31、32に溶接さ
れているあばら筋33による支圧力により分担される。
コンクリート梁に作用する引張力を継ぎ手筋に負担させ
ていた従来の継ぎ手構造に比べて、付着力への依存度を
低減できるので、必要とされる継ぎ手筋の長さL1を短
くできる。
に、上下の梁主筋11、21、12、22の幅内に継ぎ
手筋31、32が納まっているので、継ぎ手部分におい
て必要な梁幅Wは、梁主筋の直径と、左右のあばら筋の
直径との合計寸法に、左右のコンクリート被り厚さを足
した寸法でよい。従って、梁幅の増加を抑制できる。
記構成の溶接鉄筋枠ユニット1、2および継ぎ手枠ユニ
ット3は工場生産されるものであるが、それらにおける
梁主筋にあばら筋をスポット溶接する方法を説明する。
図2には本例のスポット溶接の1工程分を示す説明図で
ある。この図に示すように、スポット溶接工程自体は一
般的なものと同一であり、予熱工程Aと、本溶接工程B
と、焼き戻し冷却工程Cと、焼き戻し溶接工程Dとを含
んでいる。
の通電時間s1と、冷却工程Cの冷却時間s2と、焼き
戻し溶接工程Dの通電時間s3を同一時間としている。
また、焼き戻し溶接工程Dの溶接電流を、本溶接工程B
の溶接電流の約70%の値としている。従って、溶接電
流値と通電時間の積で規定されている溶接エネルギー
は、本溶接時を100%とすると、焼き戻し溶接時は約
70%になる。
ところ、溶接強度をあばら筋の規格降伏点強度以上にで
きると共に、主筋の引張強度および伸びを溶接前の規格
基準値以上に保持できることが確認された。
組み合わせに対する好適な溶接条件を次の表に示す。な
お、本溶接時の加圧力は550kg以上とし、主筋のD
−19、D−22はSD345を使用し、それ以外の鉄
筋はSD295Aを使用した。この表の条件に従ってス
ポット溶接を行うことにより、溶接強度をせん断補強筋
の規格降伏点強度以上にでき、主筋の引張強度および伸
びを規格基準値以上に保持できることが確認された。
強筋のスポット溶接方法においては、その焼き戻し溶接
時における溶接電流あるいは溶接エネルギーを、本溶接
時における溶接電流あるいは溶接エネルギーに対して6
0ないし80%、好ましくは約70%としている。
筋の溶接強度を、せん断補強筋の規格降伏点強度以上に
しながらも、主筋の伸びを溶接前の規格基準値以上の値
に保持できる。また、主筋の引張強度も溶接前の規格基
準値以上の値に保持できる。よって、本発明のスポット
溶接方法を採用すれば、剛性および靭性のある溶接鉄筋
枠ユニットを製造することができる。
溶接鉄筋枠ユニットおよび継ぎ手枠ユニットから構成さ
れるI型継ぎ手構造を示す説明図である。
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 住宅用鉄筋コンクリート梁の梁主筋に所
定ピッチでスポット溶接されるせん断補強筋のスポット
溶接方法において、 所定の溶接電流を所定の時間だけ通電して本溶接を行
い、 所定の焼き戻し冷却時間を置き、 前記溶接電流の約60ないし80%の範囲内の焼き戻し
電流を所定の時間だけ通電して焼き戻し溶接を行い、 前記梁主筋に対する前記せん断補強筋の溶接強度を、前
記せん断補強筋の規格降伏点強度以上の値とすることを
特徴とするせん断補強筋のスポット溶接方法。 - 【請求項2】 請求項1において、 前記焼き戻し電流を前記溶接電流の約70%の値とした
ことを特徴とするせん断補強筋のスポット溶接方法。 - 【請求項3】 請求項1または2において、 前記焼き戻し電流を通電する時間を、前記溶接電流を通
電する時間と同一としたことを特徴とするせん断補強筋
のスポット溶接方法。 - 【請求項4】 住宅用鉄筋コンクリート梁の梁主筋に所
定ピッチでスポット溶接されるせん断補強筋のスポット
溶接方法において、 所定の溶接電流を所定の時間だけ通電して本溶接を行
い、 所定の焼き戻し冷却時間を置き、 前記本溶接における溶接電流と通電時間の積で規定され
る溶接エネルギーの約60ないし80%の範囲内の溶接
エネルギーとなるように、焼き戻し電流およびその通電
時間を決めて焼き戻し溶接を行ない、 前記梁主筋に対する前記せん断補強筋の溶接強度を、前
記せん断補強筋の規格降伏点強度以上の値とすることを
特徴とするせん断補強筋のスポット溶接方法。 - 【請求項5】 請求項4において、 前記焼き戻し時における溶接エネルギーを、前記本溶接
時における前記溶接エネルギーの約70%としたことを
特徴とするせん断補強筋のスポット溶接方法。 - 【請求項6】 請求項1または4において、 前記焼き戻し冷却時間を、前記溶接電流を通電する時間
と同一としたことを特徴とするせん断補強筋のスポット
溶接方法。 - 【請求項7】 請求項1または4において、 前記梁主筋の径および前記せん断補強筋の径の組み合わ
せに対する、前記本溶接時の電流値および通電時間、前
記焼き戻し冷却時間、前記焼き戻し時の電流値および通
電時間を、次の表のように規定したことを特徴とするせ
ん断補強筋のスポット溶接方法。 【表1】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001144331A JP3658337B2 (ja) | 2001-05-15 | 2001-05-15 | せん断補強筋のスポット溶接方法 |
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-
2001
- 2001-05-15 JP JP2001144331A patent/JP3658337B2/ja not_active Expired - Lifetime
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