JP2002331613A - 脂環式構造含有重合体樹脂積層体 - Google Patents

脂環式構造含有重合体樹脂積層体

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JP2002331613A
JP2002331613A JP2001138015A JP2001138015A JP2002331613A JP 2002331613 A JP2002331613 A JP 2002331613A JP 2001138015 A JP2001138015 A JP 2001138015A JP 2001138015 A JP2001138015 A JP 2001138015A JP 2002331613 A JP2002331613 A JP 2002331613A
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Kotaro Hatake
好太郎 畠
Haruhiko Takahashi
治彦 高橋
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多層膜の密着性、耐久性、及び光学性能に優れ
た、熱可塑性樹脂積層体を提供すること。さらには、該
積層体を光学部品等として有効に利用すること。 【解決手段】脂環式構造含有重合体樹脂からなり、且
つ、90℃にて1時間保持した場合の単位表面積当たり
のガス発生量が200μg/m以下である成形体をス
パッタリング装置内に設置し、該装置内に酸素ガス及び
/又は窒素ガスを導入しながらスパッタリングを行い、
該成形体表面に平均膜厚が50〜1,000nm、平均
膜厚のフレ幅が平均膜厚の±5%以下であるスパッタリ
ング膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂環式構造含有重
合体樹脂からなる積層体に関し、さらに詳しくは光学部
品として好適な積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂成形体は、金属反射膜、反射防止
膜、透明導電膜、及び波長選択透過膜などの各種光学薄
膜を、表面に何層にも積層して多層膜を形成し、高度な
機能を付与した光学部品として利用されている。このよ
うな光学部品では、樹脂成形体と多層膜との密着強度が
十分でないと、温度変化のある環境下においては多層膜
と樹脂成形体の熱膨張率の違いによって多層膜にマイク
ロクラックが発生したり、多層膜が樹脂成形体から剥離
したりなどする。
【0003】光学薄膜を樹脂成形体表面に形成する方法
としては、真空蒸着法が一般的であり、均一な膜を形成
できるという利点を有するが、その反面、密着強度が十
分に得られなかったり耐久性が低下しやすいという問題
がある。
【0004】一方、光ディスクの製造工程などにおいて
は、金属記録膜を形成するのにスパッタリング法が用い
られている。ノルボルネン系重合体などの脂環構造含有
重合体樹脂膜の上にスパッタリングを用いて導電層を形
成して回路基板を製造する方法も提案されている。ま
た、特開平6−238805号公報には、ノルボルネン
系開環重合体の水添物で成形したフィルム状の成形体上
に、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて酸化
アルミニウムの膜を成膜した例も報告されている。
【0005】スパッタリング法は小さい装置で短時間に
膜形成ができ、加速粒子を成形体に衝突させるために膜
の密着強度にも優れる。しかし一般的には、真空蒸着膜
のような均一な膜形成は困難であり、光学性能に優れた
積層体の製造は困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多層
膜の密着性、耐久性、及び光学性能に優れた積層体を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂からなり、高温にて一定時間保持したときの単位表
面積当たりのガス発生量が一定量以下の樹脂成形体表面
に、スパッタリング法により平均膜厚のフレ幅が平均膜
厚の±5%以下の均一な光学薄膜を形成することによ
り、膜の初期密着性及び耐久試験後の密着性に優れるだ
けでなく、反射率の均一性にも優れ、光学膜を反射防止
膜として使用する場合には、低反射率の膜が形成できる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】かくして本発明によれば、脂環式構造含有
重合体樹脂からなり、且つ、90℃にて1時間保持した
場合の単位表面積当たりのガス発生量が200μg/m
以下である成形体表面に、平均膜厚が50〜1,00
0nm、平均膜厚のフレ幅が平均膜厚の±5%以下であ
るスパッタリング膜を形成してなる光学積層体が提供さ
れる。
【0009】また、本発明によれば、 (1)スパッタリング膜の光線透過率が50%以上であ
る前記の積層体 (2)スパッタリング膜が酸化物及び/又は窒化物を主
成分とするものである前記の積層体 (3)スパッタリング膜が反射防止膜である前記の積層
体 (4)スパッタリング膜が透明導電膜である前記の積層
体 が、それぞれ提供される。
【0010】さらに本発明によれば、液晶表示素子用の
フロントライト型導光板又は反射防止フィルムである前
記の積層体が提供される。
【0011】さらに本発明によれば、脂環式構造含有重
合体樹脂からなり、且つ、90℃にて1時間保持した場
合の単位表面積当たりのガス発生量が100μg/m
以下である成形体をスパッタリング装置内に設置し、該
装置内に酸素ガス及び/又は窒素ガスを導入しながらス
パッタリングを行い、該成形体表面に平均膜厚が50〜
1,000nm、平均膜厚のフレ幅が平均膜厚の±5%
以下であるスパッタリング膜を形成することを特徴とす
る積層体の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の積層体は、脂環式構造含
有重合体樹脂からなり、且つ、90℃にて1時間保持し
た場合の単位表面積当たりのガス発生量が200μg/
以下である成形体表面に、平均膜厚が50〜1,0
00nm、好ましくは75〜750nmであり、平均膜
厚のフレ幅が平均膜厚の±5%以下、好ましくは±4%
以下であるスパッタリング膜が形成されていることを特
徴とするものである。
【0013】上記脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体
の繰り返し単位中に脂環式構造を含有するものであり、
主鎖及び/または側鎖のいずれに脂環式構造を有してい
てもよい。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、
シクロアルケン構造などが挙げられるが、透明性の観点
からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成
する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30
個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個
の範囲であると、透明性に優れる。
【0014】脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有
する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択
されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70
重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂
環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単
位の割合が過度に少ないと透明性が低下し、好ましくな
い。なお、脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有す
る繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用
目的に応じて適宜選択される。
【0015】こうした脂環式構造を含有する重合体樹脂
の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、
(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役
ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、
及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中
でも、透明性の観点から、ノルボルネン系重合体水素添
加物、ビニル脂環式炭化水素重合体又はその水素化物な
どが好ましく、ノルボルネン系重合体水素添加物がより
好ましい。
【0016】(1)ノルボルネン系重合体 本発明に使用されるノルボルネン系重合体は、例えば、
特開平3−14882号公報や、特開平3−12213
7号公報などに開示されている公知の重合体であり、具
体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノル
ボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマ
ーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物、ノルボ
ルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマ
ーと共重合可能なその他のモノマーとの付加型共重合体
などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点か
ら、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が
最も好ましい。
【0017】ノルボルネン系モノマーとしては、ビシク
ロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボ
ルネン)、5−メチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプ
ト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2.2.
1〕−ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2.
2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ
〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビ
シクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−オクチ
ル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−
オクタデシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−
エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプ
ト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ〔2.2.
1〕−ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2.
2.1〕−ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシク
ロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メトキシ−
カルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エ
ン、5−シアノ−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2
−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシク
ロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メトキシカ
ルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エ
ン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕
−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボ
ニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビ
シクロ〔2.2.1〕−ヘプト−5−エニル−2−メチ
ルプロピオネイト、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−
5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ〔2.
2.1〕−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無
水物、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ〔2.2.1〕
−ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)
−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ヒ
ドロキシ−i−プロピル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘ
プト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2
−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ〔2.2.
1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘ
プト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、5−シ
クロペンチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−
エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕−
ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ
〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビ
シクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、トリシクロ
〔4.3.12,5.01,6〕−デカ−3,7−ジエ
ン(慣用名ジシクロペンタジエン)、トリシクロ〔4.
3.12,5.01,6〕−デカ−3−エン、トリシク
ロ〔4.4.12,5.01,6〕−ウンデカ−3,7
−ジエン、トリシクロ〔4.4.12,5.01,6
−ウンデカ−3.8−ジエン、トリシクロ〔4.4.1
2,5.01,6〕−ウンデカ−3−エン、テトラシク
ロ〔7.4.110,13.01,9.02,7〕−ト
リデカ−2,4,6−11−テトラエン(1,4−メタ
ノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンとも
いう)、テトラシクロ〔8.4.111,14.0
1,10.03,8〕−テトラデカ−3,5,7,12
−11−テトラエン(1.4−メタノ−1.4.4a.
5.10.10a−ヘキサヒドロアントラセンともい
う)、テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10
0〕−ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセンともい
う)、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.12,5
7,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−テ
トラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ド
デカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ〔4.4.
2,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−
メチリデン−テトラシクロ〔4.4.12,5.1
7,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−
テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−
ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ〔4.
4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、
8−プロペニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.1
7,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メトキシカル
ボニル−テトラシクロ〔4.4.12,5
7,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−8
−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.1
2,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−ヒ
ドロキシメチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.1
7,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−
テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−
ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−テトラシクロ
〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−
エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ〔4.4.1
,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−シ
クロヘキセニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.1
7,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−フェニル−テ
トラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ド
デカ−3−エン、ペンタシクロ〔6.5.11,8.1
3,6.02,7.09,13〕−ペンタデカ−3.1
0−ジエン、ペンタシクロ〔7.4.13,6.1
10,13.0 ,9.02,7〕−ペンタデカ−4.
11−ジエンなどが挙げられる。これらのノルボルネン
系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上組み合
わせて用いられる。
【0018】これらノルボルネン系モノマーの開環重合
体、またはノルボルネン系モノマーと開環共重合可能な
その他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー成分
を、開環重合体触媒の存在下で重合して得ることができ
る。たとえば、開環重合触媒としては、例えば、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウ
ム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセ
チルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、ある
いは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステ
ン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチ
ルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからな
る触媒系を用いられる。重合反応は溶媒中または無溶媒
で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50k
gf/cmの重合圧力で行われる。
【0019】ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能
なその他のモノマーとしては、例えば、特開昭64−6
6216号公報に開示されているシクロヘキセン、シク
ロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィ
ン系単量体などを挙げることができる。
【0020】ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素
添加物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、水素添
加触媒を添加し、水素添加することにより得ることがで
きる。水素添加触媒としては、特に限定されないが、通
常、不均一系触媒や均一系触媒が用いられる。
【0021】ノルボルネン系モノマー、またはノルボル
ネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付
加(共)重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中ま
たは無溶媒で、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化
合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存
在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜5
0kgf/cmの重合圧力で(共)重合させる方法に
より得ることができる。
【0022】共重合可能なその他のモノマーとしては、
例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペン
テン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メ
チル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−
メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、
4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−
1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル
−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデ
セン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オク
タデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−
オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘ
キセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチル
シクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シク
ロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テ
トラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシ
クロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−
1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジ
エン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;など
が用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特に
エチレンが好ましい。
【0023】これらの共重合可能なその他のモノマー
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。ノルボルネン系モノマーと共重
合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、
付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の繰り返
し単位と共重合可能なその他のモノマー由来の繰り返し
単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、
好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは7
0:30〜95:5の範囲となるように適宜選択され
る。
【0024】(2)単環の環状オレフィン系重合体 単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開
昭64−66216号公報に開示されているシクロヘキ
セン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環
状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができ
る。
【0025】(3)環状共役ジエン系重合体 環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−
136057号公報や特開平7−258318号公報に
開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエ
ンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,
4−付加重合した重合体及びその水素添加物などを用い
ることができる。
【0026】本発明で使用されるノルボルネン系重合
体、単環の環状オレフィン系重合体、または環状共役ジ
エン系重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択さ
れるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない
場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロ
マトグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチ
レン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜50
0,000、好ましくは8,000〜200,000、
より好ましくは10,000〜100,000の範囲で
あるときに、成形体の機械的強度、及び成形加工性とが
高度にバランスされて好適である。
【0027】(4)ビニル脂環式炭化水素重合体 ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、特開昭
51−59989号公報に開示されているビニルシクロ
ヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭
化水素系単量体の重合体及びその水素添加物、特開昭6
3−43910号公報、特開昭64−1706号公報な
どに開示されているスチレン、α−メチルスチレンなど
のビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素添
加物などを用いることができる。この場合、ビニル脂環
式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、これらの
単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合
体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素添加
物であってもよい。ブロック共重合体としては、ジブロ
ック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロック
や傾斜ブロック共重合体など、特に制限はない。具体的
には、スチレン・ブタジエン・ブロック共重合体、スチ
レン・イソプレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタ
ジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソ
プレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタ
ジエン・スチレン・ブタジエン・ブロック共重合体、ス
チレン・ブタジエン・スチレン・ブタジエン・スチレン
・ブロック共重合体などの水素化物などが挙げられる。
【0028】本発明で使用されるビニル脂環式炭化水素
重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択される
が、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合
はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマト
グラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン
換算の重量平均分子量で、通常10,000〜300,
000、好ましくは15,000〜250,000、よ
り好ましくは20,000〜200,000の範囲であ
るときに、成形体の機械的強度、及び成形加工性とが高
度にバランスされて好適である。
【0029】本発明で使用される脂環式構造含有重合体
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適
宜選択されればよいが、通常80℃以上、好ましくは1
00℃〜250℃、より好ましくは120℃〜200℃
の範囲である。この範囲において、耐熱性と成形加工性
とが高度にバランスされ好適である。
【0030】本発明に用いる成形体は、上記脂環式構造
含有重合体樹脂を成形して得られるものであり、且つ、
90℃にて1時間保持した場合に、成形体からのガスの
発生量が該成形体の単位表面積当たり、通常は200μ
g/m以下、好ましくは150μg/m以下、最も
好ましくは100μg/m以下であることを特徴とす
る。成形体のガス発生量が上記範囲にあるときに該成形
体上にスパッタリング膜を形成した場合に、得られる膜
が、全面に渡り膜全体に対する厚みムラのより小さい均
一なものとなる。
【0031】成形体からのガスの発生量は、ダイナミッ
ク・ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィ−・マスス
ペクトロメトリー法(DHS−GC−MS法)にて測定
することができる。この場合に、成形体から発生するガ
スは固体吸着剤で捕集した後に濃縮してDHS−GC−
MS装置の試料注入口に注入する。
【0032】上記のような成形体は、以下に記載する方
法を組み合わせることにより得ることができる。
【0033】(1)脂環構造含有重合体樹脂の合成後の
反応溶液を、減圧下(常圧以下の圧力)で特定の温度以
上に加熱し、溶媒及び脂環構造含有重合体樹脂中に含ま
れる揮発成分を蒸発除去する方法(直接乾燥法という)
を用いる。
【0034】(2)目的に応じて用いられる添加剤とし
て、分子量が特定値以上のものを用い、その添加量も特
定量以下にする。
【0035】(3)成形体を成形する前に、脂環構造含
有重合体樹脂からなる成形材料(例えばペレット状のも
の)を加熱及び/又は減圧する。
【0036】(1)直接乾燥法における反応溶液の加熱
温度は、270〜340℃、好ましくは275〜330
℃の範囲である。加熱温度が低すぎると脂環構造含有重
合体樹脂中の低分子量成分や残留溶媒の除去効率が低下
し、加熱温度が高すぎると熱による樹脂の分解を生じて
しまう可能性がある。また、減圧時の圧力は、26.7
kPa以下、好ましくは13.4kPa以下、より好ま
しくは6.7kPa以下である。
【0037】(2)本発明の成形体を得るためには、脂
環構造含有重合体樹脂中に含まれる、分子量が1,00
0以下の成分の含有量を少なくすることが好ましく、2
重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ま
しくは0.5重量%以下にする。
【0038】ここでいう分子量1,000以下の成分と
は、脂環構造含有重合体樹脂の合成工程で樹脂中に残留
してくる成分であって分子量が1,000以下のもので
あり、具体的には、樹脂を重合する際に残留する未反
応のモノマー成分、オリゴマー成分(例えば重合度が
10以下のもの)、低分子量ポリマー成分、水分や
有機溶媒などが挙げられる。これらの成分の中で、ポリ
マーやオリゴマーの分子量は、通常、シクロヘキサンを
溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)によりポリイソプレン換算値として測定した
重量平均分子量(Mw)である。
【0039】脂環構造含有重合体樹脂には、酸化防止
剤、離型剤、滑剤、耐候安定剤、着色剤(染料、顔
料)、帯電防止剤、軟質重合体、該脂環構造含有重合体
樹脂以外の樹脂等を配合してもよいが、成形体表面にブ
リードしたり、低分子量の成分を多量に含むものは好ま
しくない。添加剤は分子量の大きいものを用い、その配
合量も少なくする。分子量は700以上、好ましくは
1,000以上である。また添加量は、添加剤の種類に
よっても異なるが、脂環構造含有重合体樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好
ましくは0.05〜5重量部である。分子量が700以
上でも1,000以下の添加剤を配合する場合には、前
述する分子量1,000以下の成分との合計が2重量%
を超えない範囲で添加するのが好ましい。
【0040】(3)成形前の加熱及び/又は減圧処理に
おける、加熱時の温度は、脂環構造含有重合体樹脂のガ
ラス転移温度をTgとしたとき、(Tg−100℃)〜
(Tg−2℃)、好ましくは(Tg−50℃)〜(Tg
−5℃)である。また、減圧時の圧力は、26.7kP
a以下、好ましくは13.4kPa以下、より好ましく
は6.7kPa以下である。
【0041】成形体は、板状、レンズ形状、ディスク
状、フィルム又はシート状、プリズム状などの、主に光
学部品として好適な各種形状に成形して使用することが
できる。成形方法としては、射出成形法、押出成形法、
プレス成形法などの加熱溶融成形法、及びキャスト成形
法などの溶液を用いた成形法のいずれを用いても成形す
ることができる。
【0042】(スパッタリング膜)スパッタリング膜
は、スパッタリング法により、成形体上に無機化合物を
積層形成することができる。
【0043】無機化合物としては、金属やアルカリ金
属、ケイ素などの、酸化物、硫化物、及び弗化物などが
挙げられる。
【0044】酸化物の具体例としては、酸化アルミニウ
ム、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化クロム、酸化ユ
ーロピウム、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化インジウ
ム、酸化ランタン、酸化モリブデン、酸化マグネシウ
ム、酸化ネオジミウム、酸化鉛、酸化プラセオジミウ
ム、酸化サマリウム、酸化アンチモン、酸化スカンプジ
ウム、酸化スズ、酸化チタン、一酸化チタン、三酸化二
チタン、五酸化タンタル、酸化タングステン、酸化イッ
トリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられ
る。これらの酸化物は混合物(例えば、酸化インジウム
と酸化錫の混合物:ITO)であってもよい。
【0045】その他の酸化物(無機酸化物)の具体例と
しては、酸化ケイ素、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素など
が挙げられる。
【0046】硫化物の具体例としては、硫化亜鉛などが
挙げられる。
【0047】弗化物の具体例としては、弗化アルミニウ
ム、弗化バリウム、弗化セリウム、弗化カルシウム、弗
化ランタン、弗化リチウム、弗化マグネシウム、クリオ
ライト、チオライト、弗化ネオジミウム、弗化ナトリウ
ム、弗化鉛、弗化サマリウム、弗化ストロンチウムなど
が挙げられる。
【0048】上記無機化合物は、単独でも2種以上を混
合したものであってもよい。
【0049】スパッタリングの方法は、一般的に用いら
れているスパッタリング法を用いることができる。具体
的には、2極スパッタ、3極或いは4極スパッタ、マグ
ネトロンスパッタなどのプラズマ方式によるもの、イオ
ンビームスパッタ、ECRスパッタなどのビーム方式に
よるものなどいずれの方式でも良く、電源は直流電源及
びRF電源、マイクロ波のいずれも使用できる。
【0050】使用するターゲット材料は、膜の種類、使
用目的等に合わせて適宜選択することができる。一般
に、酸化物の膜を形成する場合には、金属酸化物や酸化
ケイ素(例えばSiO)のターゲットを用い、RF電
源の高周波スパッタリング装置を使用する。
【0051】本発明においては、膜全体に対する厚みム
ラの小さい、より均一かつ表面精度に優れるスパッタリ
ング膜を得るために、反応性スパッタリングを用いるの
が好ましい。
【0052】反応性スパッタリングとは、ターゲットの
材料を、スパッタリング時に反応によって変性させなが
ら膜を形成することを特徴とし、変性反応は酸化反応や
窒化反応などが一般的である。具体的には、ターゲット
にタンタル(Ta)、チタン(Ti)などの金属やケイ
素(Si)などを用い、スパッタリング反応時に、チャ
ンバー内に酸素ガスや窒素ガスを導入しながら材料を酸
化物や窒化物にしながら膜形成を行うことを特徴とす
る。酸素や窒素は、アルゴンガスなどの不活性ガスに一
定量を添加することによりチャンバー内に導入すること
ができる。
【0053】スパッタリングの方式は、直流電源を用い
たマグネトロンスパッタ方式を用いるのが好ましい。
【0054】本発明においては、以上の方法により単層
膜を形成してもよいが、より光学性能に優れる膜を得る
ためには、成分や組成の異なる膜を2層以上積層するの
が好ましく、屈折率の異なる膜を交互に積層するのがよ
り好ましい。膜は10〜20層程度に積層することもで
きる。
【0055】以上の方法により得られるスパッタリング
膜の平均膜厚は、合計で、50〜1,000nm、好ま
しくは75〜750nmである。
【0056】以上のようにして得られたスパッタリング
膜は、反射防止膜、反射膜、波長選択透過膜、透明導電
膜、及び偏光膜などとして機能させることができるの
で、得られた積層体は、レンズ、プリズム、光ディス
ク、光学フィルター、ビームスプリッター、ミラー、導
光板、タッチパネル、液晶基板などの光学部品として使
用することができる。
【0057】中でも、液晶表示素子用のフロントライト
型導光板や反射防止フィルムなどとして使用したとき
に、画像の均一性等及び耐久性に優れるディスプレイを
提供することができる。
【0058】また、本発明の積層体は、光学部品に限ら
ず、ラップフィルム、ストレッチフィルム、シュリンク
フィルム、ガスバリアーフィルムなどの包装フィルム:
プレススルーパッケージシート、ブリスターパッケージ
シートなどのパッケージ用のシート;導電フィルム、絶
縁フィルム、フレキシブル回路基板などの電気・電子部
品用フィルムなどにも使用できる。
【0059】
【実施例】以下、本発明について、製造例、実施例、及
び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明の
範囲はこれらの例に限定されるものではない。
【0060】これらの例において、[部]は、特に断り
のない限り、重量基準である。また、各種物性の測定法
は、次の通りである。
【0061】(1)Tgは、示差走査熱量計(DSC
法)により測定した。
【0062】(2)分子量は、特に記載しない限り、シ
クロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレン換
算値として測定した。
【0063】(3)オリゴマーや低分子量ポリマー成分
の分子量は、シクロヘキサンを溶剤とするゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリイソ
プレン換算値として重量平均分子量(Mw)を測定し
た。その中で、分子量1,000以下のものの含有量
は、得られたチャートのポリマーピーク面積を(A)、
分子量1,000以下の成分のピーク面積を(B)とし
たときに、〔(A)+(B)〕に対する(B)の割合
(%)として計算により求めた。
【0064】未反応モノマーや、モノマー分解物、溶媒
などの分子量、及び含有量はガスクロマトグラフィー・
マススペクトル(GC−MS)により求めた。
【0065】(4)成形体のガス発生量は以下の方法に
より測定した。
【0066】成形体を、表面積が一定となるようにカッ
トして試料を作成した。その後、試料を純度99.99
9%以上の窒素ガス気流中で90℃で1時間加熱し、試
料から発生したガスを固体吸着剤で捕集濃縮し、ダイナ
ミック・ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィ−・マ
ススペクトロメトリー法(DHS−GC−MS法)にて
その量を測定した。
【0067】(5)スパッタリング膜の厚み、及び膜全
体に対する厚みムラは以下の方法により測定した。
【0068】成膜された基板を、X、Y方向に20mm
程度の間隔に等分割で切り取り、得られた20mm四方
の試験片を対角線方向にさらにミクロトームで切断し、
その切断面の中心点を電子顕微鏡で観察して厚みを測定
した。測定精度を上げる為に成膜した基板をエポキシ樹
脂等の樹脂で包埋して切断する方法を用いた。基板を2
5分割して測定した値の平均値を平均膜厚とし、該平均
値にする最小値と最大値のそれぞれの差の、平均値に対
する割合(%)を計算し、膜全体に対する厚みムラとし
た。
【0069】(6)スパッタリング膜の初期密着強度は
碁盤目剥離試験を用い、以下の方法で評価した。
【0070】成形体にスパッタリング膜を形成したもの
を試験片とした。試験片の中央1か所に、カッターナイ
フを用いて、1mm間隔で100マスの碁盤目状の切り
傷をつけた。切り傷をつけるときのカッターナイフの刃
先は常に新しいものを用い、塗面に対して35〜45度
の範囲で一定の角度を保つようにした。切り傷は、塗膜
を貫通して試験片の素地に届くように、切り傷1本につ
き約0.5秒間かけて等速で引いた。碁盤目の上に接着
部分の長さが約50mmになるようにセロハン粘着テー
プ(JIS Z 1522に規定するセロハン粘着テー
プで、粘着力2.94N/10mm以上のもの)を貼り
付け、消しゴム(JIS S6050に規定するもの)
で擦ってテープを塗膜に完全に付着させた。テープを付
着させてから1〜2分後に、テープの一方の端を持っ
て、塗面に直角に保ち、瞬間的に引きはがした。
【0071】(評価法):切り傷によりできた正方形1
00マス中、剥がれた正方形の数を評価した。剥がれが
少ない(剥がれない)ほど密着性が良好と判断した。
【0072】(7)スパッタリング膜の耐久性は、以下
の3種の信頼性試験を行った後に、上記(6)の初期密
着強度の評価と同じ方法により試験後1時間放置しての
密着強度を測って評価した。
【0073】 高温試験:80℃、湿度50%、50
0時間 高温高湿度試験:温度60℃、湿度90%、500
時間 低温試験:−30℃、湿度10%、500時間 (8)光学性能は以下の方法により評価した。
【0074】膜の形成された成形体を縦横等間隔に5分
割ずつして、合計25エリアの各エリア中心部のスパッ
タリング膜の反射率を、日立製作所製分光光度計U40
00を用いて波長350〜750nmの波長範囲におい
て任意の入射角で測定した。平均値を反射率とし、その
値に対する最小値と最大値の差を、平均値に対する割合
(%)で計算した。
【0075】〔製造例1〕窒素雰囲気下、脱水したシク
ロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブ
チルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム
0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に
保ちながら、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、ET
Dと略す)30部、トリシクロ[4.3.0.
2,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエ
ン、以下、DCPという)170部および六塩化タング
ステン0.7%トルエン溶液40部を2時間かけて連続
的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエー
テル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を
加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
【0076】次いで、得られた開環重合体を含有する反
応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加
え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒
(日揮化学社製)5部を加え、水素により50kg/c
に加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した
後、4時間反応させ、ETD/DCP開環重合体水素化
ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。
【0077】得られた溶液から、溶媒であるシクロヘキ
サン及びガスの原因となる低分子量成分を、円筒型濃縮
乾燥器(日立製作所製)を用いて除去しつつ水素化ポリ
マーを回収した。溶媒及び低分子量成分の除去は、2段
階に分けて行った。濃縮器の運転条件は、第1段階:温
度280℃、圧力13.4kPa(100Torr)、
第2段階:温度280℃、圧力0.7kPa(5Tor
r)とした。重合体中の各ノルボルネン類の共重合比率
を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスク
ロマトグラフィー法による)から計算したところ、ET
D/DCP=15/85でほぼ仕込組成に等しかった。
このETD/DCP開環重合体水素添加物の、重量平均
分子量(Mw)は31,000、水素添加率は99.9
%、Tgは100℃で、分子量1,000以下の成分量
は0.12%であった。
【0078】(成形体の成形)製造例1で得られた開環
重合体水素添加物100部に、老化防止剤(吉富製薬社
製トミノックスTT:分子量1,178)0.5部と、
軟質重合体(旭化成社製タフテックH1052)0.0
2部を添加し、2軸混練機(東芝機械社製TEM−35
B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー
回転数250rpm、樹脂温度230°C、フィードレ
ート10kg/時間)で混練して押し出し、ペレット化
した。
【0079】上記ペレットを、80℃、4時間で加熱予
備乾燥を行った後(低分子量成分量は0.08%に減
少)、射出成形装置(ファナック株式会社製の製品番
号:α−100B)を用いて、射出成形により、厚さ1
mm、長さ5インチ、幅4インチの板を成形した。成形
条件は、金型温度70℃、シリンダー温度270℃とし
た。成形体のガス発生量は60μg/cmであった。
【0080】〔製造例2〕製造例1において、水素化反
応により得られた溶液から、溶媒であるシクロヘキサン
及びガスの原因となる低分子量成分を除去する際の濃縮
器の運転条件を、第1段階:温度260℃、圧力13.
4kPa(100Torr)、第2段階:温度270
℃、圧力20kPa(5Torr)に変えた結果、分子
量1,000以下の成分量は4%であった。さらに老化
防止剤の添加量を2部に増やし、成形体の成形前の加熱
予備乾燥を実施しなかった以外は、製造例1同様に成形
体を成形した。成形体のガス発生量は250μg/cm
であった。
【0081】〔実施例1〕製造例1で得られた成形体の
表面に、反応性スパッタリング法により4層多層構造の
光反射防止層を形成した。膜構成は以下の通りである。
【0082】第1層:窒化ケイ素(SiNx)層(平均
膜厚nd=0.10λ) 第2層:二酸化珪素(SiO)層(nd=0.06λ
) 第3層:窒化ケイ素(SiNx)層(nd=0.24λ
) 第4層:二酸化ケイ素(SiO)層(nd=0.25
λ) λ=550nm (成形体側から第1,2,3,4層の順序)尚、スパッ
タリング法は、直流電源のマグネトロンスパッタ装置を
使用した。ターゲットにはシリコンを用い、ロードロッ
ク式の装置を用い、1層目にはアルゴンガスと同時に窒
素ガスを、アルゴンガスの1〜2.5倍量導入し、2層
目にはアルゴンガスと同時に酸素ガスを、アルゴンガス
の1〜2.5倍量導入して反応性スパッタリングを実施
した。
【0083】3層目及び4層目も同様に反応性スパッタ
リングを実施した。
【0084】真空度は5×10−4〜1.5×10−3
torrであった。
【0085】スパッタリング膜の平均膜厚は203n
m、膜全体に対する厚みムラは±7nm以下(すなわち
3.5%以下)であった。
【0086】得られた光反射防止層を有する積層体の、
該光反射防止層の密着性、耐久性、光学性能をそれぞれ
評価した。結果を表1に記載する。
【0087】
【表1】 〔比較例1〕製造例2で得られた成形体を用いた以外は
実施例1同様に4層多層膜を形成して評価した。結果を
表1に記載する。
【0088】スパッタリング膜の平均膜厚は213n
m、膜全体に対する厚みムラは±9.5nm以(すなわ
ち4.5%以下)であった。
【0089】〔比較例2〕製造例2で得られた成形体を
使用し、通常のスパッタリング法を用いて4層光反射膜
を形成した。
【0090】スパッタリングにはRF電源装置を使用
し、ターゲットにはTa.SiOを使用して酸
化物を直接形成した。各層の構成は以下の通り。
【0091】 第1層:Ta層(nd=0.14λ) 第2層:SiO層(nd=0.12λ) 第3層:Ta層(nd=0.24λ) 第4層:SiO層(nd=0.26λ) λ=550nm スパッタリング膜の平均膜厚は237nm、膜全体に対
する厚みムラは±18nm以下(すなわち8.2%以
下)であった。
【0092】以上、ガス発生量が200μg/cm
下の成形体を使用し、反応性スパッタリング法により膜
形成を行った本発明の実施例1においては、膜の密着強
度、耐久性、反射防止性能、反射率分布の均一性に優れ
るのに比較して、ガス発生量の多い成形体を用いた比較
例1、さらに通常のスパッタリング法により膜形成した
比較例2においては、反射防止性能が大幅に低下し(反
射率が0.5%以上のものは反射防止膜としての効果を
十分に発揮し得ない)、密着強度、耐久性及び反射率分
布均一性も低下した。
【0093】
【発明の効果】本発明によれば、多層膜の密着性、耐久
性、及び光学性能に優れた積層体を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/13357 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H091 FA23X FA37X FB02 FC02 FC25 LA30 2K009 AA02 CC02 CC03 CC06 DD04 EE03 4F100 AA12B AA17B AA20 AK02A BA02 BA07 CA06 EH36 EH66B GB41 JG01B JL00 JL11 JN01B JN30B YY00A YY00B

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂環式構造含有重合体樹脂からなり、且
    つ、90℃にて1時間保持した場合の単位表面積当たり
    のガス発生量が200μg/m以下である成形体表面
    に、平均膜厚が50〜1,000nm、平均膜厚のフレ
    幅が平均膜厚の±5%以下であるスパッタリング膜を形
    成してなる光学積層体。
  2. 【請求項2】 スパッタリング膜の光線透過率が50%
    以上である請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 スパッタリング膜が酸化物及び/又は窒
    化物を主成分とするものである請求項1又は2記載の積
    層体。
  4. 【請求項4】 スパッタリング膜が反射防止膜である請
    求項1乃至3のいずれか記載の積層体。
  5. 【請求項5】 スパッタリング膜が透明導電膜である請
    求項1乃至3いずれか記載の積層体。
  6. 【請求項6】 液晶表示素子用のフロントライト型導光
    板である請求項1乃至4いずれか記載の積層体。
  7. 【請求項7】 反射防止フィルムである請求項1乃至4
    いずれか記載の積層体。
  8. 【請求項8】 脂環式構造含有重合体樹脂からなり、且
    つ、90℃にて1時間保持した場合の単位表面積当たり
    のガス発生量が200μg/m以下である成形体をス
    パッタリング装置内に設置し、該装置内に酸素ガス及び
    /又は窒素ガスを導入しながらスパッタリングを行い、
    該成形体表面に平均膜厚が50〜1,000nm、平均
    膜厚のフレ幅が平均膜厚の±5%以下であるスパッタリ
    ング膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012214654A (ja) * 2011-04-01 2012-11-08 Bridgestone Corp メタルフォーム用基材ウレタンフォーム
WO2015037585A1 (ja) 2013-09-12 2015-03-19 日本ゼオン株式会社 光学素子
WO2024142641A1 (ja) * 2022-12-27 2024-07-04 デクセリアルズ株式会社 光学積層体及び物品

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