JP2002330783A - アレイ解析のための標的の濃縮と増幅 - Google Patents

アレイ解析のための標的の濃縮と増幅

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JP2002330783A JP2001256653A JP2001256653A JP2002330783A JP 2002330783 A JP2002330783 A JP 2002330783A JP 2001256653 A JP2001256653 A JP 2001256653A JP 2001256653 A JP2001256653 A JP 2001256653A JP 2002330783 A JP2002330783 A JP 2002330783A
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Shoulian Dong
ドン,ショウリアン
Giulia Kennedy
ケネディー,ジュリア
Linda Mcallister
マカリスター,リンダ
Xing Su
スー,シン
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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】核酸集団から特定の核酸標的配列を再現性よく
濃縮および増幅する新規な方法及び、そのためのキット
と装置を提供すること。 【解決手段】核酸集団を断片化して断片を作製する工
程;複数の標的−プローブ複合体を形成する工程;分離
エレメントを介して、前記標的−プローブ複合体を分離
する工程;ならびに前記標的−プローブ複合体を変性し
て、分離された標的断片と選択プローブとを作製する工
程、を含む方法、対象領域の少なくとも一部に相補的な
核酸挿入配列を含んでなるクローニングベクターを含有
してなる細胞の集団;ならびに前記クローニングベクタ
ーの断片に結合され得る、複数の分離エレメント、を含
んでなるキット、ならびに固体支持体に固定化された選
択プローブのアレイを含んでなり、前記選択プローブの
各々が標的断片の1つの少なくとも一部に相補的である
ようにデザインされたものである、標的断片の集団を再
現性よく得るための装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の核酸配列の
濃縮と増幅に関し、長いDNA配列の濃縮と増幅にも短
いDNA配列の濃縮と増幅にも非常に適している。一態
様として本発明は、さらなる解析を目的とする全染色体
または部分的染色体の濃縮と増幅に関する。もう一つの
態様として本発明は、既知の多型領域または多型領域と
推定される領域の濃縮と増幅に関する。したがって本発
明は分子生物学と遺伝学の分野に関する。
【0002】
【従来の技術】標的DNA配列を増幅する方法は多額の
費用を要し、複雑になりがちであり、各実験ごとに合成
しなければならない多数の特異的プライマー配列を必要
とする場合も多い。費用と難しさは標的配列の長さと共
に劇的に増加する。多型領域、染色体領域および全染色
体を含む特定の核酸配列を濃縮し増幅する、より経済的
に有効でより複雑でない新規方法の開発が望まれてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、核酸集団か
ら特定の核酸標的配列を再現性よく濃縮および増幅する
新規な方法を提供することを目的とする。さらに本発明
は核酸集団から特定の核酸標的配列を濃縮および増幅す
るためのキットと装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の態様と
して、標的断片の集団であって該標的断片のそれぞれが
対象領域を含んでいる集団を再現性よく(reproducibl
y)取得する方法を提供する。この方法では核酸集団を
断片化し、その断片を選択プローブにばく露することを
含む。選択プローブは分離エレメント(element)と、
対象領域に相補的な領域とを含む。相補的な断片と選択
プローブとをハイブリダイズさせて、プローブ−標的複
合体を形成させる。次にそのプローブ−標的複合体をハ
イブリダイズしていない断片から上記分離エレメントを
介して分離する。次にそのプローブ−標的複合体を変性
して、濃縮された標的断片の集団と選択プローブを作製
する。所望であれば選択プローブは上記分離エレメント
を介して除去してもよい。
【0005】第2の態様として、本発明は核酸試料の解
析方法を提供する。この方法では核酸集団を断片化し、
その断片を選択プローブにばく露することを含む。選択
プローブは分離エレメントと、対象領域に相補的な領域
とを含む。相補的な断片と選択プローブとをハイブリダ
イズさせて、プローブ−標的複合体を形成させる。次に
そのプローブ−標的複合体をハイブリダイズしていない
断片から上記分離エレメントを使って分離する。次にそ
のプローブ−標的複合体を変性して、濃縮された標的断
片の集団と選択プローブを作製する。所望であれば選択
プローブは上記分離エレメントを介して除去してもよ
い。次に標的断片を増幅し、核酸アレイにハイブリダイ
ズさせる。
【0006】第3の態様として、本発明は、標的断片の
集団であって、標的断片のそれぞれが対象領域を含んで
いる集団を再現性よく取得するためのキットを提供す
る。このキットにはクローニングベクターを含有する細
胞の集団が含まれる。このクローニングベクターは上記
対象領域の少なくとも一部に相補的な核酸挿入配列を含
んでいる。さらにこのキットは、クローニングベクター
由来の断片に結合させる(attached)ことが可能な複数
の分離エレメントを含んでいる。
【0007】第4の態様として、本発明は個体を遺伝子
型タイピング(genotyping)する方法を提供する。この
方法では個体からゲノムDNAの試料を採取し、その試
料を断片化してゲノム断片を形成させ、そのゲノム断片
を選択プローブにばく露することを含む。選択プローブ
は分離エレメントと、ある多型部位に隣接することが知
られているまたはある多型部位に隣接すると考えられる
DNAの領域に相補的な領域とを含む。ゲノム断片は、
ハイブリダイゼーションによってプローブ−標的複合体
を形成させうるのに適した条件で、選択プローブにばく
露される。次にそのプローブ−標的複合体をハイブリダ
イズしていない断片から上記分離エレメントを使って分
離する。ハイブリダイズしていない断片から分離された
ら、そのプローブ−標的複合体を変性して、標的断片と
選択プローブを作製する。次に標的配列を増幅し、上記
多型部位を調べる(interrogating)ことができる固定
化プローブのアレイにハイブリダイズさせる。固定化プ
ローブは固体支持体の既知の位置に結合される。次に固
定化プローブと標的配列の間のハイブリダイゼーション
を検出する。多型塩基のアイデンティティはそのハイブ
リダイゼーション情報から決定される。
【0008】第5の態様として、本発明は対象領域を含
む単離された断片を提供する。この単離された断片は、
核酸集団を断片化し、その断片を選択プローブにばく露
することによって得られる。選択プローブは分離エレメ
ントと、対象領域に相補的な領域とを含む。選択プロー
ブは相補的な断片にハイブリダイズして、プローブ−標
的複合体を形成する。次にそのプローブ−標的複合体を
ハイブリダイズしていない断片から上記分離エレメント
を介して分離する。次にそのプローブ−標的複合体を変
性して、標的断片と選択プローブを作製する。次にその
標的断片を選択プローブから単離する。
【0009】第6の態様として、本発明は、さらなる分
析を行なうために標的配列を再現性よく取得する方法を
提供する。この方法は核酸試料を断片化し、その断片を
固定化された選択プローブ(各選択プローブは標的断片
の一つの少なくとも一部に相補的であるようにデザイン
される)からなる核酸アレイにハイブリダイズさせるこ
とを含む。次にハイブリダイズしていない断片を除去す
る。次にハイブリダイズした断片を上記アレイから溶出
して、標的配列のプールを作製する。
【0010】第7の態様として、本発明は、固体支持体
に固定化された選択プローブのアレイ(各選択プローブ
は標的断片の一つの少なくとも一部に相補的であるよう
にデザインされる)を含む、標的断片の集団を再現性よ
く取得するための装置を提供する。
【0011】すなわち、本発明は、〔1〕 標的断片の
集団を再現性よく得る方法であって、前記標的断片の各
々が対象領域を含むものであり:核酸集団を断片化して
断片を作製する工程;分離エレメントと前記対象領域に
相補的な領域とを各々含んでなる、複数の選択プローブ
に前記断片を曝露して複数の標的−プローブ複合体を形
成する工程;前記分離エレメントを介して、ハイブリダ
イズしていない、いずれの断片からも前記標的−プロー
ブ複合体を分離する工程;ならびに前記標的−プローブ
複合体を変性して、分離された標的断片と選択プローブ
とを作製する工程、を含む方法、〔2〕 前記標的断片
を単離する工程をさらに含む前記〔1〕記載の方法、
〔3〕 前記単離工程が前記分離エレメントを介して前
記選択プローブを除去する工程を含む前記〔2〕記載の
方法、〔4〕 前記標的断片を増幅する工程をさらに含
む前記〔1〕記載の方法、〔5〕 前記増幅工程が:前
記標的断片の末端にアダプター配列を結合する工程;な
らびに前記アダプター配列に相補的な増幅プライマーを
付加する工程、を含む、前記〔4〕記載の方法、〔6〕
前記対象領域が多型遺伝子座を含んでなるものである
前記〔1〕記載の方法、〔7〕 前記対象領域が染色体
領域である前記〔1〕記載の方法、〔8〕 前記断片化
工程が少なくとも1つの制限酵素に前記核酸集団を曝露
する工程を含む前記〔1〕記載の方法、
〔9〕 前記分
離エレメントが固体支持体である前記〔1〕記載の方
法、〔10〕 前記固体支持体がビーズである前記
〔9〕記載の方法、〔11〕 前記固体支持体がストレ
プトアビジンで被覆した磁気ビーズである前記
〔9〕記
載の方法、〔12〕 前記分離エレメントが核酸配列で
ある前記
〔9〕記載の方法、〔13〕 前記選択プロー
ブが:前記対象領域に対する相補配列を含んでなる核酸
配列を断片化する工程;ならびに得られた断片に分離エ
レメントを結合する工程、により得られるものである、
前記〔1〕記載の方法、〔14〕 前記核酸配列がクロ
ーニングベクター中の挿入配列である前記〔13〕記載
の方法、〔15〕 前記挿入配列が染色体領域である前
記〔14〕記載の方法、〔16〕 核酸集団を断片化し
て断片を作製する工程;分離エレメントと対象領域に相
補的な領域とを各々含んでなる選択プローブに前記断片
を曝露して複数のプローブ−標的複合体を形成する工
程;前記分離エレメントを介して、ハイブリダイズして
いない、いずれの断片からも前記プローブ−標的複合体
を分離する工程;前記プローブ−標的複合体を変性し
て、標的断片と選択プローブとを作製する工程;前記標
的断片を増幅する工程;ならびに核酸アレイに前記増幅
された標的断片をハイブリダイズさせる工程、を含む、
核酸試料を解析する方法、〔17〕 前記対象領域が多
型遺伝子座を含んでなるものである前記〔16〕記載の
方法、〔18〕 前記対象領域が染色体領域である前記
〔16〕記載の方法、〔19〕 標的断片の集団を再現
性よく得るためのキットであって、前記標的断片の各々
が対象領域を含むものであり:前記対象領域の少なくと
も一部に相補的な核酸挿入配列を含んでなるクローニン
グベクターを含有してなる細胞の集団;ならびに前記ク
ローニングベクターの断片に結合され得る、複数の分離
エレメント、を含んでなるキット、〔20〕 前記分離
エレメントがビーズである前記〔19〕記載のキット、
〔21〕 核酸挿入配列が染色体領域を含んでなるもの
である前記〔19〕記載のキット、〔22〕 個体を遺
伝子型タイピングする方法であって:前記個体からゲノ
ムDNAの試料を得る工程;前記試料を断片化してゲノ
ム断片を形成する工程;前記ゲノム断片を、分離エレメ
ントと、多型部位に隣接していることが知られている、
または隣接していると考えられるDNAの領域に相補的
な領域とを含んでなる選択プローブに、前記選択プロー
ブと前記ゲノム断片との間でハイブリダイゼーションが
可能な好適な条件下に曝露して複数のプローブ−標的複
合体を形成する工程;前記分離エレメントを介して、ハ
イブリダイズしていない、いずれの断片からも前記プロ
ーブ−標的複合体を分離する工程;前記プローブ−標的
複合体を変性して、標的断片と選択プローブとを作製す
る工程;前記標的断片を増幅する工程;前記多型部位を
調べることができる、既知の位置において固体支持体に
固定化されたプローブのアレイに前記増幅された標的断
片をハイブリダイズさせる工程;ならびに前記多型部位
において核酸塩基を検出し、従って、前記個体を遺伝子
型タイピングする工程、を含む方法、〔23〕 対象核
酸集団を断片化し、それにより断片を作製する工程;分
離エレメントと対象領域に相補的な領域とを含んでなる
選択プローブに前記断片を曝露してプローブ−標的複合
体を形成する工程;前記分離エレメントを介して、ハイ
ブリダイズしていない、いずれの断片からも前記プロー
ブ−標的複合体を分離する工程;前記プローブ−標的複
合体を変性して標的断片と選択プローブとを作製する工
程;ならびに前記選択プローブから前記標的断片を単離
する工程、により得られる対象領域を含んでなる単離さ
れた断片、〔24〕 核酸試料を断片化して核酸断片を
作製する工程;相補配列間でのハイブリダイゼーション
を行うのに好適な条件下に、標的配列の一つの少なくと
も一部に相補的であるようにデザインされ、固体支持体
に固定化された複数の選択プローブに前記断片を曝露す
る工程;ハイブリダイズしていない、いずれの断片をも
除去する工程;ならびに前記ハイブリダイズした断片を
溶出して標的配列のプールを作製する工程、を含む、さ
らなる解析のための標的配列を再現性よく得る方法、
〔25〕 前記選択プローブが、多型性であることが知
られている、または多型性であると考えられる前記核酸
試料の領域に相補的であるようにデザインされたもので
ある前記〔24〕記載の方法、〔26〕 前記選択プロ
ーブが、特定の表現型と関連することが知られている、
または関連すると考えられる前記核酸試料の領域に相補
的であるようにデザインされたものである前記〔24〕
記載の方法、〔27〕 前記核酸試料がゲノムDNAで
ある前記〔24〕記載の方法、ならびに〔28〕 固体
支持体に固定化された選択プローブのアレイを含んでな
り、前記選択プローブの各々が前記標的断片の一つの少
なくとも一部に相補的であるようにデザインされたもの
である、標的断片の集団を再現性よく得るための装置、
に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】(A)定義 「核酸」、「配列」または「核酸配列」という用語は一
本鎖型または二本鎖型のデオキシリボヌクレオチドポリ
マーまたはリボヌクレオチドポリマーを指し、別段の限
定がない限り、自然界に存在するヌクレオチドと同様に
機能できる天然ヌクレオチドの類似物を包含する。核酸
は、例えば天然のまたは自然界に存在する核酸もしくは
その模倣物質(mimetics)、クローン、液相または固相
合成での合成などを含む様々な供給源に由来しうるが、
これらに限定されるものではない。
【0013】「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌク
レオチド」は、少なくとも2、好ましくは少なくとも
8、より好ましくは少なくとも20のヌクレオチドの長
さを持つ核酸、またはあるポリヌクレオチドに特異的に
ハイブリダイズする化合物である。本発明のポリヌクレ
オチドにはデオキシリボ核酸(DNA)もしくはリボ核
酸(RNA)の配列またはその模倣物質が包含され、そ
れらは天然供給源から単離されたものでも、組換え生産
されたものでも、人工的に合成されたものでもよい。本
発明のポリヌクレオチドのもう一つの例としてペプチド
核酸(PNA)を挙げることができる。本発明は、非伝
統的塩基対〔例えば、ある種のtRNA分子中に確認さ
れ三重ヘリックス中に存在するとみなされているフーグ
スティーン(Hoogsteen)型塩基対など〕が存在する状
況も包含する。「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌ
クレオチド」は本願では互換可能に使用される。
【0014】「断片」、「セグメント」または「DNA
セグメント」という用語は、より大きなDNAポリヌク
レオチドまたはDNAの一部を指す。例えばポリヌクレ
オチドは多数のセグメントに分割または断片化できる。
【0015】「ゲノム」とは、ある生物のDNAにコー
ドされているその生物に関する遺伝的指令の完全な単一
コピーのセットを意味する。ゲノムは、DNAが細胞内
で複数の個々の染色体に分布しているような多染色体性
であってもよい。例えば、ヒトには22対の染色体と性
別に関係するXXまたはXY対がある。
【0016】「染色体」という用語は、生細胞の遺伝を
担う遺伝子担体を指し、これはクロマチンに由来し、D
NA成分とタンパク質成分(特にヒストン)からなって
いる。本明細書では、従来の国際的に認められた個々の
ヒトゲノム染色体付番方式を使用する。個々の染色体の
サイズは、所定の多染色体型ゲノムでは染色体の種類ご
とに、またゲノムごとに異なりうる。ヒトゲノムの場
合、所定の染色体の全DNA量は通常約100,00
0,000bpを越える。例えば、全ヒトゲノムのサイ
ズは約3×109 bpである。最も大きい染色体である
1番染色体は約2.4×108 bpを含有し、最も小さ
い染色体である22番染色体は約5.3×107 bpを
含有する。
【0017】「染色体領域」は染色体の一部である。個
々の染色体領域の実際の物理的サイズまたは範囲は大き
く変化しうる。領域は個々の遺伝子の特定のコードセグ
メント(エキソン)を特に考慮する必要はないので、
「領域」という用語は必ずしも特定の1つの(または複
数の)遺伝子を必ずしも示すわけではない。
【0018】「標的配列」という用語は、核酸(多くの
場合、生物学的試料に由来するもの)であって、それに
特異的にハイブリダイズするようにプローブがデザイン
されるものを指す。標的核酸は対応するプローブの核酸
配列に相補的な配列を含む。標的核酸という用語は、プ
ローブが指向するより大きい核酸のうち特定の部分配列
を指すか、または配列全体を指しうる。標的配列には生
物学的意義があってもなくてもよい。常にそうであるわ
けではないが、一般的には特定の実験で研究されている
ことが標的配列の意義である。制限的でない例として、
標的配列は、1または複数の多型部位を含有すると考え
られるゲノムDNA、機能既知また機能未知の遺伝子ま
たは遺伝子の一部をコードするまたはコードすると考え
られるDNA、機能既知または機能未知のタンパク質ま
たはタンパク質の一部をコードするまたはコードすると
考えられるDNAの領域などを含みうる。
【0019】本明細書にいう「プローブ」とは、相補的
な配列を持つ標的核酸に1または複数種類の化学結合に
よって(通常は、相補的塩基対形成、一般には水素結合
形成によって)結合できるオリゴヌクレオチドなどの核
酸として定義される。本明細書で用いられるようにプロ
ーブは天然の塩基(すなわちA、G、U、Cもしくは
T)または修飾塩基(7−デアザグアノシン、イノシン
など)を含みうる。それに加えて、プローブ中の塩基
は、それがハイブリダイゼーションを妨害しない限り、
リン酸ジエステル結合以外の結合によってつなぎ合わせ
てもよい。したがってプローブは、構成塩基がリン酸ジ
エステル結合よりむしろペプチド結合によってつながれ
ているペプチド核酸であってもよい。
【0020】「クローニングベクター」は、通例、ウイ
ルス、プラスミドまたは高等生物の細胞に起源を持つD
NA分子であって、その中にそのベクターの自己複製能
を失うことなく適当なサイズの別のDNA断片を組み込
むことができるものである。ベクターは外来DNAを大
量に複製できる宿主細胞に外来DNAを導入する目的で
しばしば使用される。プラスミド、コスミド、酵母人工
染色体(YAC)及び細菌人工染色体(BAC)などが
その例である。ベクターは数種類の起源を持つDNA配
列を含有する組換え分子であってもよい。
【0021】本発明は当業者に詳細が知られている多く
の特許、特許出願および他の文献に依拠している。した
がって以下の説明で特許、特許出願または他の文献が引
用または反復される場合、それは説明した問題だけでな
く、あらゆる目的のために、参照により全て本明細書に
組み込まれると理解すべきである。
【0022】(B)総論 一態様として本発明は核酸集団中の特定の核酸標的配列
を濃縮する方法を提供する。この態様では、本発明は、
標的断片の集団であって、該標的断片のそれぞれが対象
領域を含む集団を再現性よく取得する方法を提供する。
この方法では核酸集団を断片化し、その断片を選択プロ
ーブにばく露することを含む。選択プローブは分離エレ
メントと、対象領域に相補的な領域とを含む。相補的な
断片と選択プローブをハイブリダイズさせて、プローブ
−標的複合体を形成させる。次にそのプローブ−標的複
合体をハイブリダイズしていない断片から上記分離エレ
メントを介して分離する。次にそのプローブ−標的複合
体を変性して、濃縮された標的断片の集団と選択プロー
ブを作製する。所望であれば選択プローブは上記分離エ
レメントを介して除去してもよい。
【0023】図1は本発明の好ましい一態様の一般的工
程の概略図である。まず、いくつかの対象領域101、
102および103を含有する核酸集団100を得る。
核酸集団100を断片化して断片105を生成させる。
これらの断片の部分集団は対象領域を含有する。次にそ
の断片を選択プローブ110にばく露する。各選択プロ
ーブは選択エレメント114と、対象領域の一つの少な
くとも一部にハイブリダイズできる相補セグメント11
1、112および113とを含む。図1では、相補セグ
メント111は対象領域101にハイブリダイズでき、
相補セグメント112は対象領域102にハイブリダイ
ズでき、相補セグメント113は対象領域103にハイ
ブリダイズできる。選択プローブを断片に特異的にハイ
ブリダイズさせて、標的−プローブ複合体120を生成
させる。選択プローブは、対象領域を含有しないそれら
の断片が選択プローブにハイブリダイズしないようにデ
ザインされる(ハイブリダイズしていない断片121を
参照)。次にその標的−プローブ複合体を集団から上記
分離エレメントを介して単離する。その後、所望であれ
ば、対象領域101、102、103(一括して「標的
配列」)を含有する断片を分離し選択プローブ110か
ら単離して、単離された標的配列130を生成させる。
要すれば、様々な方法でこれらの標的配列を増幅し及び
/又は解析してもよい。
【0024】核酸集団としてはゲノムDNA、cDN
A、断片のプール(pools)、クローン化された配列な
どを含む数多くの供給源から得られる試料が挙げられ得
る。適当な生物学的試料はいずれもゲノムDNAのアッ
セイに使用できる。便利で適当な組織試料には全血、精
液、唾液、涙、尿、糞便成分、汗、頬、皮膚および毛髪
が含まれる。純粋な赤血球は適さない。当業者には理解
されるであろうが、cDNAまたはmRNAのアッセイ
を行なうには、標的核酸を発現させている器官(例えば
標的核酸がチトクロムP450なら肝臓)から組織試料
を採取しなければならない。
【0025】対象領域は任意の長さを持ち、任意の配列
を含むことができる。例えば、対象領域は、多型部位で
あって単一のヌクレオチド塩基を含んでいてもよいし、
染色体全体であって百万以上のヌクレオチド塩基からな
ってもよい。対象領域は可変領域を含有してもよい。そ
の可変領域は特定の表現型に関連しても関連しなくても
よい。
【0026】既知の断片化法はいずれも使用できる。核
酸を断片化する様々な方法は当業者にとって公知のこと
だろう。これらの方法は、例えば、事実上、化学的方法
であっても物理的方法であってもよい。化学的断片化と
しては、DNA分解酵素による部分消化、酸、制限酵素
又は核酸を既知のもしくは未知の位置で切断する他の酵
素による部分的脱プリン化を挙げることができる。物理
的断片化法では核酸を高い剪断速度にさらすことを含み
得る。高い剪断速度は、例えば窪みまたは突起を持つ槽
もしくは水路を通して核酸を移動させるか、制限された
サイズを持つ流路(例えばミクロン域またはサブミクロ
ン域の断面積を持つ開口部)に核酸試料を通すことによ
って生み出すことができる。熱とイオンが媒介する加水
分解による断片化など、物理的断片化法と化学的断片化
法との組み合わせも同様に使用できる。
【0027】制限酵素による核酸の消化は当業者にはよ
く知られているだろう。本発明の好ましい一態様とし
て、特にゲノムDNAを試料源として使用する場合は、
制限酵素の特定の組み合わせにより、増幅に適した長さ
のゲノムDNA断片の割合が高くなりうるので、制限酵
素の組み合わせを使用する。
【0028】当業者には理解されるであろうが、DNA
断片が長いほど高い忠実度で増幅することは困難にな
る。ある特定の制限酵素は通例、DNAを所定の認識配
列で切断し、その認識配列は統計的にはゲノムDNA中
にX塩基対(Xは前記所定の認識配列の長さによって異
なる)ごとに出現する(すなわち4塩基認識部位を持つ
制限酵素は6または8塩基認識部位をもつ制限酵素より
頻繁に切断を行なう)。したがって、望ましいサイズ範
囲の断片を生成させるために、使用する制限酵素の組み
合わせを変えることができる。
【0029】選択プローブへのばく露に先立って標的配
列を変性させることが望ましいかもしれない。変性は断
片化前または断片化後に行いうる。変性を断片化前に行
なうべきか断片化後に行なうべきかは使用する断片化法
に依存しうる。さらに、後述するようにアダプター配列
を結合する場合は、変性に先立って二本鎖アダプター配
列を二本鎖断片に結合することが好ましいかもしれな
い。また、いくつかのアダプター結合(adapter attach
ment)法では一本鎖鋳型を必要とする場合もある。
【0030】標的配列と選択プローブとの間での適当な
ハイブリダイゼーションを可能とするのに必要な条件
は、当業者にはよく知られているだろう。例えばMan
iatisら、「Molecular Clonin
g:A LaboratoryManual」第二版、
Cold Spring Harbor Labora
tory Press、ニューヨーク州コールドスプリ
ングハーバー、(1989)(「Maniatis
ら」)を参照されたい。
【0031】選択プローブは数多くの供給源から得るこ
とができる。一態様として選択プローブは、より大きい
核酸配列の断片から構成される。もう一つの選択肢とし
て選択プローブは、合成されたまたは生物学的もしくは
非生物学的供給源から単離された短い核酸配列から構成
されてもよい。分離エレメントは化学的手段または他の
手段を使って選択プローブに結合させてもよいし、その
選択プローブに固有の部分であってもよい。選択プロー
ブを新規に合成する場合は、分離エレメントを選択プロ
ーブと一緒に合成するか、合成中に選択プローブに結合
させるか、合成後の工程で結合させることができる。
【0032】選択プローブの長さは様々でありうる。そ
の長さは、所望の領域に特異的にハイブリダイズするの
に十分な長さでありさえすればよい。選択プローブは通
例17〜250塩基、より具体的には20〜35塩基に
なるだろう。
【0033】各選択プローブの相補領域は図1の場合の
ように異なってもよいし、又は選択プローブは全てが同
一の相補領域を含んでもよい。相補領域は対象領域の少
なくとも一部に選択的にハイブリダイズする任意の配列
を含みうる。したがって対象領域が部分的染色体領域な
どのように非常に長い場合、相補領域はその染色体領域
に正確に相補的である必要はなく、核酸集団中の他のど
の配列よりも高い親和性でその染色体領域に選択的にハ
イブリダイズできれば足りる。本発明は選択プローブの
それぞれが核酸断片にハイブリダイズすることを必要と
しない。選択プローブのプールのごく一部だけが、所定
の試料に由来する核酸断片にハイブリダイズしても構わ
ない。このようにして、様々な異なる試料に使用できる
汎用の選択プローブプールを作製することが可能であ
り、いくつかの選択プローブは多くの異なる試料に由来
する核酸断片にハイブリダイズでき、他の選択プローブ
は試料特異的であるようにすることができる。例えばあ
る選択プローブプールは、2以上の異なる種間で保存さ
れることが知られている配列用の相補領域を持つプロー
ブを含有しうる。同じ選択プローブプールは種特異的配
列用の相補領域も含有しうる。次いで、このプローブプ
ールは1以上の種から提供された試料を濃縮するために
使用できるだろう。
【0034】一態様として、長い調査(interrogatio
n)配列を断片化し、各断片を分離エレメントに結合さ
せることによって選択プローブを得る。これにより、例
えば全コード領域、遺伝子、オペロン、部分的染色体、
全染色体または全ゲノムを含む長い配列を共同して調べ
ることができる多数の選択プローブが作製される。これ
らの長いDNA配列は数十ヌクレオチドから数百万ヌク
レオチドの長さを持ちうる。適切な長さのセグメントに
断片化したら、そのセグメントを分離エレメントに結合
させて選択プローブを形成させることができる。
【0035】一態様として、断片化に先立って長いDN
A配列をベクター中にクローン化する。この態様は調査
配列が部分的染色体や全染色体のようにとりわけ長い場
合に好ましい。この態様の利点は染色体領域または全染
色体を含有するクローニングベクターを広く入手できる
ことである。クローニングベクターにDNA配列を挿入
するには既知の方法を使用できるが(例えば上記の参照
によって組み込まれるManiatisらを参照された
い)、全染色体および/または染色体領域を含有するク
ローニングベクターは、例えばResearch Ge
netics(アラバマ州ハンツビル)を含む数多くの
供給源から取り寄せることができる。好ましい一態様で
はクローニングベクターが細菌人工染色体(BAC)ま
たは酵母人工染色体(YAC)である。BACとYAC
は長い染色体領域やさらには全染色体などといった極め
て長い配列を保持できる。好都合なことに、内因性のバ
ックボーンDNAでできてる部分はBACまたはYAC
の極めてわずかな部分に過ぎないので、内因性の細菌ま
たは酵母DNAを含有する断片の数は実験を妨害するほ
ど十分ではない。この態様のもう一つの利点は、所望の
調査配列を含むクローニングベクターを細胞集団内に維
持できることである。
【0036】図2ではクローニングベクター201がバ
ックボーン210と染色体配列202とを含む。まずク
ローニングベクターを断片化し、次にベクター断片20
5を分離エレメント211に結合させて、選択プローブ
210を生成させる。
【0037】分離エレメントには標的−プローブ複合体
を核酸集団から単離できる任意の機構を利用できる。例
えば分離エレメントはビーズ、繊維またはアレイなどの
固体支持体を結合しうるものでもよい。分離エレメント
は、例えば特定の核酸配列、レセプターを結合しうる抗
体、レセプターを結合しうるリガンド、抗体を結合しう
る抗原、抗体を結合しうる抗イディオタイプ抗体、抗イ
ディオタイプ抗体を結合しうる抗体、抗体を結合しうる
ハプテン基、ハプテン基を結合しうるハプテン基の抗
体、酵素阻害剤を結合しうる酵素、酵素を結合しうる酵
素阻害剤などを含みうる。分離エレメントが核酸配列で
ある例では、分離エレメントに相補的な配列を固体支持
体に結合させることができる。また、分離エレメントは
固体支持体そのものであってもよく、その場合、相補セ
グメントは固体支持体に直接固定化される。
【0038】好ましい一態様として分離エレメントは相
補配列を結合させた固体支持体を含む。この固体支持体
としては、ビーズ、スライドガラス、シリコン、石英及
び繊維を含む多種多様な支持体を挙げることができる
が、これらに限定されない。固体支持体と固体支持体に
核酸配列を結合させる方法は当業者にはよく知られてい
るだろう。これらは例えば米国特許番号:5,800,
992号、6,040,193号、5,143,854
号、5,384,261号、5,405,783号、
5,412,087号、5,424,186号、5,2
52,743号、5,451,683号、5,482,
867号、5,510,270号、5,744,305
号および5,837,832号などに記載されている。
【0039】好ましい一態様では、選択プローブのアレ
イが固体支持体に固定化されている選択アレイを使用す
る。この態様ではプローブを既知のまたは未知の位置に
固定化してもよい。この態様に適したアレイを作製し使
用する方法は、例えば5,143,854号、5,24
2,979号、5,252,743号、5,324,6
63号、5,384,261号、5,405,783
号、5,412,087号、5,424,186号、
5,445,934号、5,451,683号、5,4
82,867号、5,489,678号、5,491,
074号、5,510,270号、5,527,681
号、5,550,215号、5,571,639号、
5,593,839号、5,599,695号、5,6
24,711号、5,631,734号、5,677,
195号、5,744,101号、5,744,305
号、5,753,788号、5,770,456号、
5,831,070号、5,856,011号、5,8
58,695号、5,861,242号、5,871,
928号、5,874,219号、5,858,837
号、5,919,523号、5,925,525号、
5,959,098号、5,968,740号、5,9
81,185号、6,013,440号、6,022,
963号、6,027,880号、6,040,138
号、6,045,996号および6,083,697号
に記載されており、これらはあらゆる目的のため参照に
より全て本明細書に組み込まれるものとする。この態様
では、核酸試料を断片化し、その断片を上記核酸アレイ
にばく露する。固定化したプローブに相補的な領域を含
有する断片はアレイにハイブリダイズするだろう。ハイ
ブリダイゼーション後に、ハイブリダイズしていない断
片を除去する。次にハイブリダイズした断片をアレイか
ら溶出して、固定化した選択プローブに相補的なそれら
の配列が濃縮された断片のプールを生成させる。
【0040】好ましい一態様として、ベクター断片を磁
気ビーズに結合させる。好ましい態様の1つの具体例で
は、ベクター断片をビオチンで標識し、そのビオチン標
識ベクター断片をストレプトアビジンで被覆した磁気ビ
ーズ〔Dynal(ノルウェイ・オスロ)およびPro
mega(ウィスコンシン州マディソン)から入手可
能〕にばく露する。次に選択プローブ170に結合した
標的配列を核酸集団から分離エレメント160を介して
単離する。その後、単離された標的配列120を選択プ
ローブ140から分離し、単離する。
【0041】核酸をビオチンで標識する方法は当業者に
は知られているだろう(例えばAusubelら編「C
urrent Protocols in Molec
ular Biology」のSection 3およ
び12全体を参照されたい)。これにはrTDT−ビオ
チン標識法が含まれる。簡単に述べると、この方法では
核酸断片をビオチン化ddATPにばく露する。次にタ
ーミナルトランスフェラーゼによりビオチンをATP分
子から各断片の3’末端に転移する。ビオチンはストレ
プトアビジンに対して高い親和性を持っているので、ビ
オチン標識核酸断片はストレプトアビジンで被覆した磁
気ビーズに結合するだろう。これに代わるもう一つの好
ましい態様では、カラムに充填されたビーズにベクター
断片を結合させる。これらのビーズは例えばポリスチレ
ン製であるか、または上述したような他の任意の適当な
支持体で形成されていてよい。
【0042】通例、分離エレメントが何らかの種類の固
体支持体を含む場合、標的−プローブ複合体は固体支持
体に可逆的に固定化され、ハイブリダイズしていない断
片は洗い流される。この洗浄は、ハイブリダイズしてい
る配列を除去することなく、結合していない配列を除去
するのに十分なストリンジェンシーで行なわなければな
らない。適当なストリンジェンシー条件は当業者にはよ
く知られているだろう。例えば上記の参照によって本明
細書に組み込まれるManiatisらを参照された
い。
【0043】標的配列の分離エレメントからの単離は通
例、標的−プローブ複合体を適当な条件で変性して標的
配列を放出させた後、分離エレメントの特性を利用して
選択プローブを除去することによって達成される。例え
ば分離エレメントが固体支持体である場合は、変性した
標的配列をその固体支持体から溶出させる。分離エレメ
ントが核酸配列であって、その核酸配列自体が、固体支
持体に固定化されている別の配列に結合している場合
は、標的配列だけが溶出され、分離エレメントは溶出さ
れないように注意を払わなければならない。これは、固
定化配列に対する分離エレメントの親和性が標的配列に
対する分離エレメントの親和性より高くなるように分離
エレメントと変性条件とを操作することによって行なう
ことができる。
【0044】本願発明のさらにもう一つの態様では、標
的配列の末端にアダプター配列を付加する。アダプター
配列とその使用法は当業者にはよく知られているだろ
う。通例それらは配列がわかっている5〜20塩基長の
短いオリゴヌクレオチドであるが、特定の用途には所望
に応じてこれよりはるかに長くてもよい。アダプターは
プライマー、タグ、分離エレメントとして作用するよう
に、または所望する任意の用途のために、しばしば核酸
配列に結合される。アダプター配列の使用、結合法およ
びデザインに関する情報は、例えば上記の参照によって
本明細書に組み込まれるManiatisらに見出すこ
とができる。
【0045】図3に図解するように、アダプター配列は
濃縮後に標的断片を増幅するために使用できる。核酸試
料300を断片化して断片305を生成させる。その断
片の5’および3’末端にアダプター配列304を付加
して、標的配列306を生成させる。分離エレメント3
11を含有する選択プローブ310を適切なハイブリダ
イゼーション条件で標的配列にばく露する。ハイブリダ
イズした配列320をハイブリダイズしていない断片3
21から分離エレメントを介して単離する。単離後、標
的配列を選択プローブから分離して、濃縮された標的配
列330を得る。標的配列の増幅を開始させるために
5’および3’アダプター配列に相補的なプライマー3
07を加えて、増幅された標的331を得る。
【0046】図3には選択プローブへのばく露に先立っ
てアダプター配列を付加する例を示したが、単離過程の
任意の時点でアダプター配列を付加できることは当業者
には理解されるだろう。DNAを既知の制限酵素で断片
化する態様では、使用する特定の制限酵素によって生成
する既知の突出末端に特異的にハイブリダイズするアダ
プターをデザインすることができる。これらのアダプタ
ーは後にプライマー部位としてPCRに利用できるの
で、適当なPCRプライミング配列であることがわかっ
ている配列を含有するアダプターをデザインすることが
望ましいかもしれない。もう一つの選択肢として、国際
PCT出願WO90/06995に記載されているよう
な線形増幅法を使用する場合は、1または複数のアダプ
ターはまた、プロモーター配列を含んでもよい。
【0047】もう一つの選択肢として、断片の末端がわ
からないような断片化法を使用する場合は、例えばクレ
ノウなどを使って断片の末端を適当なヌクレオチドで埋
め込み、その断片にアダプターを平滑末端結合させても
よい。DNA突出末端を埋め込む方法は当業者には知ら
れているだろう。例えばAusubelら編「Curr
ent Protocols in Molecula
r Biology」のSection 3.5.9と
全編を参照されたい。平滑末端ハイブリダイゼーション
は例えばAusubelら編「Current Pro
tocolsin Molecular Biolog
y」のSection 3.143.2および3.1
6.8に記載されている。もちろんこの方法を断片の末
端がわかっている場合に使用してもよい。
【0048】さらにもう一つの方法として、テーリング
反応と伸長反応を使ってアダプター配列を結合させても
よい。図4に示すこの方法では、複合体試料400を熱
変性した後、上述した手段のいずれかを使って断片化す
る(これらの工程は図示していない)。次にターミナル
トランスフェラーゼとdATPの添加によって、断片4
20の3’末端にポリAテール440を付加する。例え
ばAusubelら編「Current Protoc
ols in Molecular Biology」
のSection 3.6.2を参照されたい。次に、
ポリT配列と5’タグ配列441とを含有するプライマ
ー配列442を該断片にハイブリダイズさせ、ポリメラ
ーゼで伸長する。次に得られた二本鎖伸長産物443を
変性した後、ポリAテール444を一本鎖伸長産物に上
述のように付加する。次に、ポリU配列と5’タグ配列
446とを含有する第2のプライマー配列445を、上
で得た配列にハイブリダイズさせて、伸長する。得られ
た標的配列447は5’タグ配列、5’ポリTまたはポ
リU、元の断片、3’ポリAおよび3’タグ配列を含
む。次に、5’および3’タグ配列に相補的なプライマ
ーを添加することによって、標的断片を増幅することが
できる。
【0049】核酸配列を増幅する方法は例えばPCRを
含めて数多く知られている。例えば「PCR Tech
nology:Principles and App
lications for DNA Amplifi
cation」(H.A.Erlich編、Freem
an Press、ニューヨーク州ニューヨーク、19
92)、「PCR Protocols:A Guid
e to Methods and Applicat
ions」(Innisら編、Academic Pr
ess、カリフォルニア州サンディエゴ、1990)、
Mattilaら,Nucleic Acids Re
s. 19,4967(1991)、Eckertら,
PCR Methods and Applicati
ons1,17(1991)、「PCR」(McPhe
rsonら編、IRL Press、オックスフォー
ド)、米国特許第4,683,202号などを参照され
たい。
【0050】他の適切な増幅法にはリガーゼ連鎖反応
(LCR)(例えばWuおよびWallace,Gen
omics 4,560(1989)とLandegr
enら,Science 241,1077(198
8))、転写増幅法(Kwohら,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 86,1173(19
89))ならびに3SR(self−sustaine
d sequence replication)法
(Guatelliら,Proc.Nat.Acad.
Sci.USA,87,1874(1990))および
NABSA(nucleic acid based
sequence amplification)法が
ある。最後に挙げた2つの増幅法には等温的転写に基づ
く等温反応が含まれ、この反応では一本鎖RNA(ss
RNA)と二本鎖DNA(dsDNA)の両方がそれぞ
れ約30または100:1の比率で増幅産物として生成
する。
【0051】当業者には理解されるだろうが、単離と増
幅の後、得られた配列を配列決定、HPLC、ハイブリ
ダイゼーション解析などを含む任意の既知の方法でさら
に解析することができる。
【0052】好ましい一態様として、単離し増幅した配
列を、固体支持体に固定化したプローブ(例えばDNA
マイクロアレイ)にハイブリダイズさせる。本願発明の
方法に従って調製された配列は指向型アレイ(directed
array)にも汎用「タグ」アレイにも適している。
【0053】指向型アレイではアレイ上の固定化プロー
ブが調査対象配列(調査配列)に相補的になるようにデ
ザインされた配列を含む。市販されている指向型アレイ
の例はGene Chip(登録商標)HuSNP(商
標)プローブアレイとGene Chip(登録商標)
HIV PRT Plusプローブアレイ(どちらもカ
リフォルニア州サンタクララのAffymetrix
Inc.から入手可能)である。これらのアレイはそれ
ぞれヒトおよびHIVウイルスに由来する特定の配列を
調べるものであり、研究者はこれらのアレイにより、与
えられた試料が、そのアレイのデザイン上の調査対象で
ある正常または野生型配列と相違する配列を含有するか
どうかを決定できる。
【0054】汎用タグアレイでは固定化プローブは調査
対象である特定の配列に相補的であるようにはデザイン
されない。むしろプローブは任意の調査対象配列に結合
させることができる一組のタグ配列に相補的になるよう
にデザインされる。これらのタグアレイにより解析を実
施する際の自由度が増す。市販されているタグアレイの
一例はGene Chip(登録商標)GenFlex
アレイ(Affymetrix, Inc.、カリフォ
ルニア州サンタクララ)である。本願発明に記載の方法
を使って調製される配列は汎用タグアレイとの使用にと
りわけよく適合させることができる。なぜなら、標的配
列の増幅に使用されるアダプター配列は、タグアレイ上
のプローブにハイブリダイズするタグ配列を含有するよ
うにデザインできるからである。
【0055】アレイの製造法とその使用法は、例えば、
米国特許番号:5,143,854、5,242,97
9、5,252,743、5,324,663、5,3
84,261、5,405,783、5,412,08
7、5,424,186、5,445,934、5,4
51,683、5,482,867、5,489,67
8、5,491,074、5,510,270、5,5
27,681、5,550,215、5,571,63
9、5,593,839、5,599,695、5,6
24,711、5,631,734、5,677,19
5、5,744,101、5,744,305、5,7
53,788、5,770,456、5,831,07
0、5,856,011、5,858,695、5,8
61,242、5,871,928、5,874,21
9、5,858,837、5,919,523、5,9
25,525、5,959,098、5,968,74
0、5,981,185、6,013,440、6,0
22,963、6,027,880、6,040,13
8、6,045,996および6,083,697など
に記載されており、これらはすべて参照によりあらゆる
目的でそのまま本明細書に組み込まれるものとする。
【0056】使用法 本願発明の方法と単離された断片は個体または個体群の
遺伝子型タイピングを含む多種多様な応用に使用でき
る。また、本願発明の方法と単離された断片は、ゲノム
DNAの極めて大きな領域、例えば染色体領域などの研
究と特徴づけにもとりわけ適している。
【0057】図5に図解する一使用法では、本願発明の
方法と単離された断片を使って個体の遺伝型タイピング
を行なう。1または複数の対象領域は、その領域での多
型遺伝子座101、102および103の存在がわかっ
ていることから選択できる。DNA試料100を遺伝子
型タイピングの対象個体から採取する。そのDNAを断
片化する。その断片を、対象領域の一部にハイブリダイ
ズできる相補セグメントと分離エレメントとから構成さ
れる選択プローブ511、512および513に、標的
配列と選択プローブの相補的部分間でのハイブリダイゼ
ーションが可能な好適な条件でばく露する。標的−プロ
ーブ複合体521、522および523を非標的配列か
ら分離エレメントを介して単離する。標的配列が核酸集
団から単離されたら、次にそれを選択プローブから分離
し、単離する。次に標的配列を増幅し(この工程は図示
していない)、対象多型部位を含有する標的配列の単離
され増幅された集団を得ることができる。次にこの標的
配列の集団635は、例えば伝統的な配列決定法、アレ
イへのハイブリダイゼーションなどといった数多くの既
知の方法を使って遺伝子型タイピングすることができ
る。多型を専門に調べるマイクロアレイが市販されてい
る。〔例えばAffymetrix,Inc.(カリフ
ォルニア州サンタクララ)から入手できるGeneCh
ip(登録商標)HuSNP(商標)アレイを参照され
たい〕。
【0058】標的配列と選択プローブの間の相補領域は
多型部位を包含しても包含しなくてもよい。最初の核酸
試料はランダムに断片化されるので、選択プローブは、
多型部位が確実に断片内に含まれるように、多型部位に
隣接する領域に相補的であるべきである。好ましくは、
選択プローブは多型部位の少なくとも25塩基以内にあ
るべきである。正確に相補的な配列は1塩基のミスマッ
チを持つ配列よりも高い親和性でハイブリダイズするの
で、多型部位をまたぐ選択プローブを使用すると、多型
の一つに対して偏りが生じる可能性があることに注意す
べきである。これは様々な方法で克服できる。例えば洗
浄条件のストリンジェンシーを操作するか、プローブが
標的配列に結合する位置で多型のどちらか一方と効果的
にハイブリダイズする塩基を置換することができる。も
う一つの選択肢として、多型部位を相補部分の一端に移
動させると、親和性に対する非相補性の影響が減少する
だろう。理想的には、対象領域を含有する断片が最もう
まく捕捉されるように、多型部位をまたぐ選択された重
複プローブを使用する。
【0059】アレイ上のハイブリダイゼーションを検出
する方法は当業者にはよく知られているだろう。その方
法にはプローブ、標的またはプローブ−標的二本鎖の標
識を含む場合も含まない場合もある。
【0060】もう一つの使用法として、対象領域は染色
体領域または全染色体であってもよい。例えば実験計画
を簡略化し、実験結果に集中させるには、全ゲノムDN
Aの試料から単一の染色体または染色体領域を単離し増
幅することが、往々にして望ましい。例えば全ゲノムを
調べようとする研究では、1つの実験で全ゲノムを調べ
ようとするのではなく、一度に1つの染色体または染色
体領域を調べるように実験を計画できる。また、一定の
現象に関係することがわかっているまたは関係すると考
えられる1つの染色体に実験を集中させることが望まし
い場合もある。
【0061】単離対象の染色体または染色体領域を含有
するDNA試料を得る。例えば全ゲノムDNAを一次試
料として使用することができる。そのDNA試料を断片
化する。ここでも上述のように任意の断片化法を使用で
きる。しかし好ましい態様では、既知の突出末端が残る
ように1または複数の制限酵素を使った酵素消化によっ
て断片を生成させる。
【0062】アダプター配列を断片の5’および3’末
端に付加して、標的配列と非標的配列とを含む配列のプ
ールを作る。次にその配列のプールを、単離対象の染色
体または染色体領域にハイブリダイズできる相補セグメ
ントと分離エレメントとを含む選択プローブに、標的配
列と選択プローブの相補的部分間でのハイブリダイゼー
ションが可能な好適な条件でばく露する。この場合は、
共同して染色体または染色体領域の全長にまたがる多く
の選択プローブを使用することが望ましいだろう。例え
ば図2に示す方法を使って、所望の領域の全長にまたが
る多数の選択プローブを生成させることができる。選択
プローブは、平均長が50〜150塩基対になるような
ランダムな断片化によって、または標的DNAを断片化
する際に使用したものと同じ組み合わせの制限酵素を使
った酵素消化によって生成させることができる。
【0063】次に標的−プローブ複合体を単離する。上
述のように単離の方法はベクター断片を結合させる固体
支持体の種類に依存しうる。例えば、ベクター断片を磁
気ビーズに結合させる場合は、そのビーズの磁性を利用
してもよい。しかし、ベクター断片をカラムに充填され
るビーズに結合させる場合は、ゲノムDNAをそのカラ
ムに通すと、ハイブリダイズしない断片はそのカラムに
留まることができないだろう。他の単離方法は当業者に
は自明だろう。
【0064】次に標的配列を選択プローブから分離し単
離する。通例これは、ベクターDNA断片とゲノムDN
A断片がもはやハイブリダイズしないように洗浄条件の
ストリンジェンシーを変えることによって行なわれるだ
ろう。これには例えば温度、pHまたは他の条件の変更
を含めることができる。ここでも、一例として、ベクタ
ー断片を磁気ビーズに結合させる場合は、そのビーズの
磁性を利用してベクター断片を除去することができる。
分離エレメントがカラムに充填されたビーズであるか、
または何らかの固体支持体に結合されている場合は、ゲ
ノム断片をそのカラムまたは固体支持体から溶出させる
ことができる。
【0065】単離した断片を増幅することが望ましい場
合は、所望の配列を含有するゲノム断片を単離したら、
それらをアダプター配列に相補的なプライマーを使った
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他の既知の方法
によって増幅することができる。
【0066】次に、これらの単離され増幅された染色体
または染色体領域は、任意の既知手段、例えば配列決
定、遺伝子型タイピング、ハイブリダイゼーション解析
などによって解析することができる。
【0067】
【実施例】A.高密度オリゴヌクレオチドアレイをアフ
ィニティー試薬として使用する標的断片の濃縮 試料をHuSNP(商標) GeneChip(登録商
標)アレイ(Affymetrix, Inc.、カリ
フォルニア州サンタクララ)に必要な標準的プロトコー
ルに従って調製し、HuSNP(商標)アレイにハイブ
リダイズさせた。この第一ハイブリダイゼーションの像
を標準的技術でスキャンした。次にアレイを洗浄し、ハ
イブリダイズした断片を溶出し、残留ハイブリダイゼー
ションの有無を確認するためにそのアレイを再びスキャ
ンした。溶出した断片を再増幅し、第2のHuSNP
(商標)アレイにハイブリダイズさせた。
【0068】図6は第一ハイブリダイゼーションのスキ
ャン像である。図7は溶出後の第1アレイのスキャン像
である。図6と比較してごくわずかなシグナルしか認め
られず、ハイブリダイズした断片の溶出が成功したこと
を示している。図8は再増幅した溶出断片の第2アレイ
へのハイブリダイゼーションのスキャン像である。図8
を図6と比較するとはるかに鮮明なシグナルを示し、バ
ックグラウンドノイズはかなり少ないようである。
【0069】B.アフィニティー試薬としてオリゴヌク
レオチドアレイを使用する少量の出発物質の濃縮 HuSNP(商標) GeneChip(登録商標)ア
レイ(Affymetrix,Inc.、カリフォルニ
ア州サンタクララ)に必要な標準的プロトコールに従っ
て試料を調製した。次に得られた断片を1010、1
9 、108 、10 7 および105 コピーに希釈した
(通常のアッセイでは約1011コピーが生成される)。
次に様々な希釈液をHuSNP(商標)アレイにハイブ
リダイズさせた。そのアレイを洗浄し、ハイブリダイズ
した断片を溶出した。次に溶出した断片を再増幅し、第
2のHuSNP(商標)アレイにハイブリダイズさせ
た。
【0070】図9は107 希釈液の第一ハイブリダイゼ
ーションのスキャン像である。シグナルはほとんど存在
しない。図10は、第2のアレイにハイブリダイズさせ
た、図9から得た再増幅溶出断片のスキャン像である。
図11は105 希釈液の第一ハイブリダイゼーションの
スキャン像である。シグナルはほとんど存在しない。図
12は、第2のアレイにハイブリダイズさせた、図11
から得た再増幅溶出断片のスキャン像である。鮮明で明
確なシグナルが認められることから、105 コピー程度
しかない少量の初期物質でもこの技術を使えば検出でき
ることが実証されている。
【0071】C.ビーズを用いる特定断片の濃縮と包括
的(generic)増幅 ビオチン化した短いオリゴヌクレオチドを、予洗したス
トレプトアビジンで被覆した磁気ビーズ(Dynal、
ノルウェイ・オスロ)に結合させた。オリゴヌクレオチ
ドは、標的断片の1つの鎖に25ヌクレオチドで相補的
になるようにデザインした。そのビーズを室温にて洗浄
溶液〔5mM Tris−HCl(pH7.5)、0.
5mM EDTAおよび1mM NaCl〕で2回洗浄
した。
【0072】標的ゲノムDNAを、1M NaClの入
った10mM MES緩衝液(pH6.5)中で、ヒト
Cot−1 DNAと共に15分間煮沸した。次にその
混合物を氷で3分間冷却した。次にその混合物をオリゴ
ヌクレオチド結合ビーズと混合した。標的DNAは前も
ってEcoRIで消化し、アダプター〔5’−d(GA
TCCGAAGGGGTTCGAATT)−3’(配列
番号:1)および5’−d(pGAATTCGAACC
CCTTCGGATC)−3’(配列番号:2)〕と結
合しておいた。
【0073】次に標的DNAを回転式インキュベーター
(rotisserie)にて終夜50℃でビーズにハイブリダイ
ズさせた。次にビーズを50μlの洗浄緩衝液で2回洗
浄し、その溶液をきれいな新しいチューブに移し、50
μlの洗浄緩衝液でさらに3回洗浄した。次にビーズを
蒸留水50μlに再懸濁し、80℃で2分間インキュベ
ートした後、溶液を回収した。
【0074】濃縮された標的を、15mM Tris−
HCl(pH8.0)、50mMKCl、2.5mM
MgCl2 、200mM dNTP、3mMプライマー
〔5’−d(GATCCGAAGGGGTTCGAAT
T)−3’(配列番号:1)〕、鋳型として2μlの濃
縮した標的DNAおよび1単位のAmpliGoldポ
リメラーゼ(PE)を含む50μlの混合物中でPCR
によって増幅した。PCRは95℃10分間のインキュ
ベーションによって開始し、次に94℃で2分間、57
℃で0.5分間、72℃で2分間のサイクルを35サイ
クル行なった。その混合物を最後に72℃で5分間イン
キュベートして、4℃に保った。
【0075】PCR産物はQIAquick PCR精
製キット(Qiagen)を使ってその製造者の指示に
従って精製した。次に以下に述べるようにDNAをDN
アーゼIで断片化し、ビオチン−N6 −ddATPで標
識した。各チューブで、10mM Tris−酢酸(p
H7.5)、10mM酢酸マグネシウムおよび50mM
酢酸カリウムを含む合計45μlの混合物中、5μgの
DNAを0.3単位のDNアーゼI(Promega)
と共に37℃で15分間インキュベートした。試料を9
5℃に15分間加熱することによって反応を停止した。
次に30単位のターミナルトランスフェラーゼと2pm
olのビオチン−N6 −ddATP(Dupont N
EN)を添加した後、37℃で90分間インキュベート
し、95℃で15分間熱失活させることによって、試料
を標識した。
【0076】標識したDNAを、40rpmの回転式イ
ンキュベーターで、2μgの標識DNA、3.5M塩化
テトラエチルアンモニウム、10mM MES(pH
6.5)、0.01%トリトン−100、20μgのニ
シン精子DNA、100μgのウシ血清アルブミンおよ
び200pM対照オリゴマーを含有するハイブリダイゼ
ーション混合物中、44℃で40時間、チップにハイブ
リダイズさせた。次に40rpmの回転式インキュベー
ターで、10mM MES中の0.1M NaClを使
って、44℃で30分間、チップを洗浄した。まず、染
色液〔10mMMES(pH6.5)、1M NaC
l、10μg/mlストレプトアビジンR−フィコエリ
スリン、0.5mg/mlアセチル化BSA、0.01
%トリトン−100〕を使って40℃で15分間染色し
た。次に、フルイディクス・ステーション(fluid
ics station)(Affymetrix)
で、6×SSPET〔0.9M NaCl、60mM
NaH2 PO4 (pH7.4)、6mM EDTA、
0.005%トリトン−100〕を使って22℃で10
回洗浄した。次に、抗体溶液〔10mM MES(pH
6.5)、1M NaCl、2mgの抗ストレプトアビ
ジン抗体(Vector)、0.5mg/mlアセチル
化BSA、0.01%トリトン−100〕を使って、抗
ストレプトアビジン抗体染色を40℃で30分間行なっ
た。次に再び染色溶液を使って15分間染色した後、6
×SSPET洗浄を先の工程と同様に行なった。そのチ
ップを共焦点チップスキャナを使って560nmでスキ
ャンした。
【0077】図13にハイブリダイゼーションの結果を
示す。
【0078】D.クローン化配列を用いた染色体配列の
濃縮と包括的増幅 細菌からクローンp_M11(アクセッション番号AC
004033)のBAC DNAを単離した。次に、そ
のBACを制限酵素(EcoRI、Sau3AI、Hp
aII、Csp6AI、MseIおよびBfaI)で断
片化した。次に酵素を熱失活させた。
【0079】30単位のターミナルトランスフェラーゼ
と2pmolのビオチン−N6 −ddATP(Dupo
nt NEN)を添加した後、37℃で90分間インキ
ュベートし、95℃で15分間熱失活させることによ
り、50μlの溶液中で、5μgの消化BACをビオチ
ン化した。遊離のビオチン−ddATPをマイクロコン
−10カラムで除去した。
【0080】そのBAC DNAを室温で45分間イン
キュベートすることによってストレプトアビジンで被覆
した磁気ビーズに結合させた。そのビーズを50μlの
洗浄緩衝液で2回洗浄し、その溶液をきれいな新しいチ
ューブに移し、50μlの洗浄緩衝液でさらに3回洗浄
した。次に2M NaClを含む50μlの20mMM
ES(pH6.5)にビーズを再懸濁した。
【0081】次に6μgの全ヒトゲノムDNAを6種類
の制限酵素(EcoRI、Sau3AI、HpaII、
Csp6AI、MseIおよびBfaI)で個別に消化
した。次に制限酵素を熱失活させた。
【0082】次に消化したDNAを対応するアダプター
に結合させた。
【0083】次に、結合したゲノムDNAを50μlの
最終液量でプールし、変性させた。その溶液を氷で冷却
した。
【0084】次にそのゲノムDNAをビーズと混合し
た。回転式インキュベーターにて、50℃で終夜ハイブ
リダイズさせた。
【0085】そのDNA溶液を回収し、上述のように洗
浄した。そのビーズを10μlの新たに調製した0.1
N NaOHに再懸濁し、その溶液を回収した。次に1
0μlの1M Tris−HCl(pH7.4)で中和
し、1μlをPCR用鋳型としてPCR増幅に使用し
た。
【0086】次に、15mM Tris−HCl(pH
8.0)、50mM KCl、2.5mM MgC
2 、200mM dNTP、3mMプライマー〔5’
−d(GATCCGAAGGGGTTCGAATT)−
3’(配列番号:1)〕および1単位のAmpliGo
ldポリメラーゼ(PE)を含む50μlの最終液量で
PCR増幅を行なった。PCRは95℃10分間のイン
キュベーションによって開始し、次に94℃で2分間、
57℃で0.5分間、72℃で2分間のサイクルを35
サイクル行なった。その混合物を最後に72℃で5分間
インキュベートし、4℃に保った。
【0087】次に上記Cと同様に精製し、消化し、標識
し、マイクロアレイにハイブリダイズさせた。
【0088】図14は増幅前と増幅後の濃縮DNAのア
レイのスキャン像である。
【0089】結び本願発明は核酸集団中の対象領域を単
離し増幅するための著しく改良された方法を提供する。
上記の説明は例示であって制限ではないと理解すべきで
ある。上記の説明を精査すれば当業者には本発明の多く
の変更態様が明らかになるだろう。したがって本発明の
範囲は、特許請求の範囲に別段の記載がある場合を除い
て制限されないと理解すべきである。
【0090】配列表フリーテキスト 配列番号:1は、アダプターとしての合成オリゴヌクレ
オチドの配列である。
【0091】配列番号:2は、アダプターとしての合成
オリゴヌクレオチドの配列である。
【0092】
【発明の効果】本発明により、核酸集団から特定の核酸
標的配列を再現性よく濃縮および増幅する新規な方法が
提供さえる。さらに本発明により、核酸集団から特定の
核酸標的配列を濃縮および増幅するためのキットと装置
が提供される。
【0093】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Affymetrix, Inc. <120> TARGET ENRICHMENT AND AMPLIFICATION FOR ARRAY ANALYSIS <130> HM-01-029 <150> US 60/228,253 <151> 2000-08-26 <150> US 09/766,212 <151> 2001-01-19 <160> 2 <170> FastSEQ for Windows(登録商標) Version 4.0 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic oligonucleotide <400> 1 gatccgaagg ggttcgaatt 20
【0094】 <210> 2 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic oligonucleotide <400> 2 gaattcgaac cccttcggat c 21
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、核酸集団から標的配列を単離する方法
の概略図である。
【図2】図2は、クローニングベクターから選択プロー
ブを得る方法の概略図である。
【図3】図3は核酸集団から標的配列を増幅する方法の
概略図である。
【図4】図4は、タグ配列とテーリングを使って核酸断
片にアダプター配列を結合させる一方法の概略図であ
る。
【図5】図5は、核酸集団中の特定の多型部位を単離す
る方法の概略図である。
【図6】図6は、核酸アレイに対する試料の初期ハイブ
リダイゼーションのスキャン像である。
【図7】図7は、ハイブリダイズした試料をアレイから
溶出した後の図6のアレイのスキャン像である。
【図8】図8は、図6の再増幅された溶出断片の第2ア
レイに対するハイブリダイゼーションのスキャン像であ
る。
【図9】図9は、107 のコピーを含有する試料の初期
ハイブリダイゼーションのスキャン像である。
【図10】図10は、第2アレイにハイブリダイズさせ
た、図9の再増幅された溶出断片のスキャン像である。
【図11】図11は、105 のコピーを含有する試料の
第一ハイブリダイゼーションのスキャン像である。
【図12】図12は、第2アレイにハイブリダイズさせ
た、図11の再増幅された溶出断片のスキャン像であ
る。
【図13】図13は、HGEおよび全ゲノムDNAから
ビーズ濃縮した標的のスキャン像を示す。
【図14】図14は、PCR増幅前とPCR増幅後のB
AC3 DNAのスキャン像を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成14年1月8日(2002.1.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 37/00 102 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 ケネディー,ジュリア アメリカ合衆国 カリフォルニア 94116 サン フランシスコ,カステナーダ ア ベニュー 360 (72)発明者 マカリスター,リンダ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94127 サン フランシスコ,セリトス アベニ ュー 140 (72)発明者 スー,シン アメリカ合衆国 カリフォルニア 95014 クペルティーノ,グラナダ アベニュー 21811 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 BA80 CA01 CA09 HA12 4B029 AA07 BB20 CC03 CC08 FA12 4B063 QA01 QA17 QQ01 QQ42 QR08 QR42 QR55 QR62 QR82 QR83 QS12 QS15 QS25 QS34 QS36 QX02

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標的断片の集団を再現性よく得る方法で
    あって、前記標的断片の各々が対象領域を含むものであ
    り:核酸集団を断片化して断片を作製する工程;分離エ
    レメントと前記対象領域に相補的な領域とを各々含んで
    なる、複数の選択プローブに前記断片を曝露して複数の
    標的−プローブ複合体を形成する工程;前記分離エレメ
    ントを介して、ハイブリダイズしていない、いずれの断
    片からも前記標的−プローブ複合体を分離する工程;な
    らびに前記標的−プローブ複合体を変性して、分離され
    た標的断片と選択プローブとを作製する工程、を含む方
    法。
  2. 【請求項2】 前記標的断片を単離する工程をさらに含
    む請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記単離工程が前記分離エレメントを介
    して前記選択プローブを除去する工程を含む請求項2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 前記標的断片を増幅する工程をさらに含
    む請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記増幅工程が:前記標的断片の末端に
    アダプター配列を結合する工程;ならびに前記アダプタ
    ー配列に相補的な増幅プライマーを付加する工程、を含
    む、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記対象領域が多型遺伝子座を含んでな
    るものである請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記対象領域が染色体領域である請求項
    1記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記断片化工程が少なくとも1つの制限
    酵素に前記核酸集団を曝露する工程を含む請求項1記載
    の方法。
  9. 【請求項9】 前記分離エレメントが固体支持体である
    請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記固体支持体がビーズである請求項
    9記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記固体支持体がストレプトアビジン
    で被覆した磁気ビーズである請求項9記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記分離エレメントが核酸配列である
    請求項9記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記選択プローブが:前記対象領域に
    対する相補配列を含んでなる核酸配列を断片化する工
    程;ならびに得られた断片に分離エレメントを結合する
    工程、により得られるものである、請求項1記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 前記核酸配列がクローニングベクター
    中の挿入配列である請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記挿入配列が染色体領域である請求
    項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 核酸集団を断片化して断片を作製する
    工程;分離エレメントと対象領域に相補的な領域とを各
    々含んでなる選択プローブに前記断片を曝露して複数の
    プローブ−標的複合体を形成する工程;前記分離エレメ
    ントを介して、ハイブリダイズしていない、いずれの断
    片からも前記プローブ−標的複合体を分離する工程;前
    記プローブ−標的複合体を変性して、標的断片と選択プ
    ローブとを作製する工程;前記標的断片を増幅する工
    程;ならびに核酸アレイに前記増幅された標的断片をハ
    イブリダイズさせる工程、を含む、核酸試料を解析する
    方法。
  17. 【請求項17】 前記対象領域が多型遺伝子座を含んで
    なるものである請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記対象領域が染色体領域である請求
    項16記載の方法。
  19. 【請求項19】 標的断片の集団を再現性よく得るため
    のキットであって、前記標的断片の各々が対象領域を含
    むものであり:前記対象領域の少なくとも一部に相補的
    な核酸挿入配列を含んでなるクローニングベクターを含
    有してなる細胞の集団;ならびに前記クローニングベク
    ターの断片に結合され得る、複数の分離エレメント、を
    含んでなるキット。
  20. 【請求項20】 前記分離エレメントがビーズである請
    求項19記載のキット。
  21. 【請求項21】 核酸挿入配列が染色体領域を含んでな
    るものである請求項19記載のキット。
  22. 【請求項22】 個体を遺伝子型タイピングする方法で
    あって:前記個体からゲノムDNAの試料を得る工程;
    前記試料を断片化してゲノム断片を形成する工程;前記
    ゲノム断片を、分離エレメントと、多型部位に隣接して
    いることが知られている、または隣接していると考えら
    れるDNAの領域に相補的な領域とを含んでなる選択プ
    ローブに、前記選択プローブと前記ゲノム断片との間で
    ハイブリダイゼーションが可能な好適な条件下に曝露し
    て複数のプローブ−標的複合体を形成する工程;前記分
    離エレメントを介して、ハイブリダイズしていない、い
    ずれの断片からも前記プローブ−標的複合体を分離する
    工程;前記プローブ−標的複合体を変性して、標的断片
    と選択プローブとを作製する工程;前記標的断片を増幅
    する工程;前記多型部位を調べることができる、既知の
    位置において固体支持体に固定化されたプローブのアレ
    イに前記増幅された標的断片をハイブリダイズさせる工
    程;ならびに前記多型部位において核酸塩基を検出し、
    従って、前記個体を遺伝子型タイピングする工程、を含
    む方法。
  23. 【請求項23】 対象核酸集団を断片化し、それにより
    断片を作製する工程;分離エレメントと対象領域に相補
    的な領域とを含んでなる選択プローブに前記断片を曝露
    してプローブ−標的複合体を形成する工程;前記分離エ
    レメントを介して、ハイブリダイズしていない、いずれ
    の断片からも前記プローブ−標的複合体を分離する工
    程;前記プローブ−標的複合体を変性して標的断片と選
    択プローブとを作製する工程;ならびに前記選択プロー
    ブから前記標的断片を単離する工程、により得られる対
    象領域を含んでなる単離された断片。
  24. 【請求項24】 核酸試料を断片化して核酸断片を作製
    する工程;相補配列間でのハイブリダイゼーションを行
    うのに好適な条件下に、標的配列の一つの少なくとも一
    部に相補的であるようにデザインされ、固体支持体に固
    定化された複数の選択プローブに前記断片を曝露する工
    程;ハイブリダイズしていない、いずれの断片をも除去
    する工程;ならびに前記ハイブリダイズした断片を溶出
    して標的配列のプールを作製する工程、を含む、さらな
    る解析のための標的配列を再現性よく得る方法。
  25. 【請求項25】 前記選択プローブが、多型性であるこ
    とが知られている、または多型性であると考えられる前
    記核酸試料の領域に相補的であるようにデザインされた
    ものである請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記選択プローブが、特定の表現型と
    関連することが知られている、または関連すると考えら
    れる前記核酸試料の領域に相補的であるようにデザイン
    されたものである請求項24記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記核酸試料がゲノムDNAである請
    求項24記載の方法。
  28. 【請求項28】 固体支持体に固定化された選択プロー
    ブのアレイを含んでなり、前記選択プローブの各々が前
    記標的断片の一つの少なくとも一部に相補的であるよう
    にデザインされたものである、標的断片の集団を再現性
    よく得るための装置。
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