JP2002327213A - 転動装置の製造方法 - Google Patents

転動装置の製造方法

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JP2002327213A JP2001131343A JP2001131343A JP2002327213A JP 2002327213 A JP2002327213 A JP 2002327213A JP 2001131343 A JP2001131343 A JP 2001131343A JP 2001131343 A JP2001131343 A JP 2001131343A JP 2002327213 A JP2002327213 A JP 2002327213A
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惠造 堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浸炭及び浸炭窒化の熱処理を行うことなく、
軸受寿命及び耐磨耗性を向上させるとともに、地球環境
に優しい転動装置の製造方法を提供する。 【解決手段】 C:0.7〜1.1重量%、Si:0.
1〜0.5重量%、Mn:0.2〜0.8重量%、C
r:0.9〜2.0重量%、残部:Feおよび不可避不
純物からなる合金鋼で形成した転動部品に焼入れを行っ
た後、−47℃以下で1時間以上保持する低温処理を行
い、しかるのち、焼き戻しを行うことで、転動部品の表
面に存在する炭化物のうち、平均粒径0.4μm 以下の
炭化物が面積率32%以上であり、平均粒径1μm 以上
の炭化物が面積率2%以下であるとともに、転動部品の
全体積のうち、残留オーステナイト量が体積率0〜0.
2%である転がり軸受を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業機械、 建設機
械、 自動車、 およびその他産業機械等に使用される転が
り軸受、ボールねじ装置、リニア軸受等転動装置の製造
方法に関し、特に、 磨耗特性を向上させるために有効な
技術に関する。
【0002】
【従来の技術】転動装置の一例として、転がり軸受は、
高面圧下で繰り返しせん断応力を受けるため、そのせん
断応力に耐える硬度を有し、転がり疲労寿命 (以下、寿
命という)を確保する必要がある。このため、転がり軸
受の転動部品である内輪、外輪、転動体の形成材料とし
て、鋼の内部まで硬化された完全硬化鋼として知られる
高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)が広く使用されてい
る。そして、このSUJ2に焼き入れ及び焼き戻し等の
熱処理を施し、鋼に内在するオーステナイト相をマルテ
ンサイト相に変態させることによって、ロックウェル硬
さHRC58〜64とし、寿命の確保を図っている。
【0003】また、上記SUJ2の代わりに表面硬化鋼
として知られる肌焼き鋼を用いることで、寿命を向上さ
せる手段も知られている。この表面硬化鋼は、完全硬化
鋼に比べて衝撃荷重が大きく、耐衝撃性を必要とする軸
受に広く使用されている。この場合には、接触面圧に起
因する内部せん断応力分布に合わせて硬さカーブを設定
する必要があり、その形成材料として焼き入れ性の良好
な低炭素肌焼き鋼であるSCR420H、SCM420
H、SAE8620H、SAE4320H等が用いられ
ている。そして、これら低炭素肌焼き鋼に、浸炭(肌焼
き)又は浸炭窒素処理、焼入れ、焼戻し等の熱処理を施
し、表面の炭素濃度を高くすることで硬度を向上させ、
必要な寿命を確保していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
転がり軸受の支持する回転機械の高速化、 高負荷化が進
むにつれて、より過酷な条件下で転がり軸受が使用され
る傾向が顕著になってきている。このため、高負荷化及
び高速化により転がり軸受を構成する転動部品の温度が
著しく上昇することで、転がり軸受構成部材の硬度を低
下させてしまい、転がり疲労特性及び磨耗特性を劣化さ
せてしまう不具合があった。特に、高速化による滑りの
増大及び温度上昇による潤滑油の低粘度化によって潤滑
油不足状態となることで、耐磨耗性を著しく劣化させ、
寿命の短縮を引き起こしてしまう。
【0005】また、上記焼入れの後、引き続き焼き戻し
の熱処理を施すことで、綱に内在する残留オーステナイ
トが安定化してしまう。ここで、この残留オーステナイ
トの硬度は、焼入れ組織であるマルテンサイトと比べ
て、著しく低いため、軸受軌道輪表面等に残留オーステ
ナイトが存在すると、表面損傷が発生しやすくなってし
まう。
【0006】ところで、上述した肌焼き鋼に浸炭及び浸
炭窒化処理を施す際に排出されるCO2 等熱処理雰囲気
ガスが、オゾン層破壊等の地球環境保全の観点から懸念
される傾向にある。そこで、本発明は、上記事情に鑑み
てなされたものであり、浸炭及び浸炭窒化の熱処理を行
うことなく、転動装置の軸受寿命及び耐磨耗性を向上さ
せるとともに、地球環境に優しい転動装置の製造方法を
提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明は、転動部品の少なくともいずれか一
つを、C:0.7〜1.1重量%、Si:0.1〜0.
5重量%、Mn:0.2〜0.8重量%、Cr:0.9
〜2.0重量%、残部:Feおよび不可避不純物からな
る合金鋼で形成するとともに、焼入れを終了した前記転
動部品に、マルテンサイト変態最終温度以下で一定時間
保持する低温処理を行ったのち、焼戻しを行う転動装置
の製造方法としている。
【0008】本発明における転動装置の製造方法におい
て、焼入れの終了した合金鋼に、マルテンサイト変態最
終温度以下で一定時間以上保持する低温処理を行うこと
によって、微細な炭化物が析出する条件が得られるた
め、その後の焼き戻しによって、合金綱の内部に微細な
炭化物を多数析出させることができる。この微細な炭化
物の析出により、組織の微細化等マトリックスを強化さ
せるだけでなく、 表面損傷が発生しやすい隙間を限りな
く小さくすることができるため、耐磨耗性を向上させ、
長寿命化を図ることが可能となる。
【0009】ここで、マルテンサイト変態最終温度以下
で一定時間以上保持する低温処理の温度は、その一定時
間マルテンサイト変態最終温度以下を保持するのであれ
ば、必ずしも等温保持する必要はなく、変動しても構わ
ない。尚、マルテンサイト変態最終温度とは、合金鋼に
内在するオーステナイト相からマルテンサイト相への変
態が確実に行われる温度の下限であり、合金綱を構成す
るCの重量%によって変動する。例えばCが0.7%で
あるときは−47℃であり、Cが1.1%である場合は
−200℃である (図3参照)。
【0010】また、本発明における合金綱の形成材料と
して、Cを含有することによって、合金綱をマルテンサ
イト化するため、焼入れ及び焼き戻し後の硬度を向上さ
せるために有効である。ここで、Cの下限を0.7重量
%としたのは、炭化物を析出してもなお合金綱組織中に
十分な炭素を含有させ、転動部品として十分な硬度を確
保するためである。一方、Cの上限を1.1重量%とし
たのは、これを超えると素材の段階で粗大な炭化物が析
出し、焼入れにおいてもその粒形を十分に小さくでき
ず、軸受寿命に悪影響を及ぼすためである。
【0011】また、Siを含有することによって、焼入
れ性を向上させるとともに、合金綱のマルテンサイトを
硬化させるため、軸受寿命を向上させるために有効であ
る。このような効果を奏するために0.1重量%を下限
とする必要であるが、多すぎると被削性や鍛造性を含む
加工性が劣化するため、上限を0.5重量%とした。さ
らに、Mnを含有することによって、焼入れ性を向上さ
せるために有効であり、このような効果を奏するために
0.2重量%を下限とする必要がある。一方、多すぎる
と素材のフェライトを強化させ、加工性を低下させてし
まうため、上限を0.8重量%とした。ここで、Mn
は、熱処理時に結晶粒を粗大化させ、軸受として重要な
清浄度も低下させる傾向があるため、好ましくは0.2
5〜0.50重量%とするのが望ましい。
【0012】さらに、Crを含有することによって、焼
入れ性を向上させ、合金綱を固溶強化させるほか、熱処
理により炭化物を析出させるとともに、寿命及び耐磨耗
性を向上させるために有効である。ここで、Crの下限
として0.9重量%としたのは、これ以下の数値では添
加効果が少ないためである。一方、多量に添加すると、
巨大炭化物が発生し、軸受寿命を低下させる可能性があ
るため、上限を2.0重量%とした。
【0013】請求項2に係る発明は、転動部品の表面に
存在する炭化物のうち、平均粒径0.4μm 以下の炭化
物が面積率32%以上となるとともに、平均粒径1μm
以上の炭化物が面積率2%以下となり、さらに、転動部
品の全体積のうち、残留オーステナイト量が体積率0〜
0.2%となるように、低温処理を行うものとしてい
る。
【0014】請求項2に記載の発明において、転動部品
の表面に存在する炭化物のうち、平均粒径0.4μm 以
下の炭化物が全表面積の32%以上となるとともに、平
均粒径1.0μm以上の炭化物を全表面積の2%以下と
なるように低温処理を行うことによって、組織の微細化
等マトリックスを強化するだけでなく、 表面損傷が発生
しやすい隙間を限りなく小さくすることができるため、
耐磨耗性を向上させ、長寿命化を図ることが可能とな
る。
【0015】また、転動部品の全体積のうち、残留オー
ステナイト量が0〜0.2体積%となるように低温処理
を行うことによって、転動部品の表面硬度を確保するこ
とができるため、表面損傷を抑制し、耐磨耗性を向上さ
せることが可能となる。ここで、転動装置とは、例え
ば、転がり軸受やボールねじ装置、及びリニア軸受等を
指し、転動部品の相対運動によって、回転或いは揺動運
動をする軸を支持するものである。
【0016】また、転動部品とは、転動装置を構成する
部品であり、例えば、転がり軸受であれば内輪、外輪、
転動体を指し、ボールねじ装置であれば、ボールねじ
軸、ボールナット及びボールを指す。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は、転動装置の一例で
ある転がり軸受の製造方法に、本発明を適用した一実施
形態における熱処理加工を示す概略図である。なお、図
1における縦軸は温度を、横軸は時間を示しており、A
〜Iは、熱処理パターンにおける変化点を示している。
【0018】本実施形態における転がり軸受の製造方法
において、その前提条件として、転がり軸受を構成する
内輪、外輪、転動体の転動部品のうち、少なくとも一つ
の形成材料を、C:0.7〜1.1重量%、Si:0.
1〜0.5重量%、Mn:0.2〜0.8重量%、C
r:0.9〜2.0重量%、残部:Feおよび不可避不
純物からなる合金鋼で形成する。
【0019】次に、室温からオーステナイト化温度TB
(840〜920℃)に昇温(図1中A→B)し、一定
時間tBC(0.5〜1.0時間)保持したのち(図1中
B→C)、一気にマルテンサイト変態開始温度Ms (2
70℃)を下回るように急冷して室温に戻す(図1中C
→D)ことにより焼入れを行う。ここで、マルテンサイ
ト変態開始温度Ms とは、合金綱に内在するオーステナ
イトからマルテンサイトへの変態が始まる温度の上限で
ある。
【0020】次いで、焼入れを行った合金綱を、マルテ
ンサイト変態最終温度Mf (−47℃)以下の温度TE
(−50℃)に速やかに冷却し(図1中D→E)、Mf
点以下で一定時間tEF(一時間)保持する低温処理を行
う(図1中E→F)。この時の温度は、必ずしもTE
等温保持する必要はなく、EF間でMf 点以下の温度で
あれば、変動しても構わない。ここで、図3に示すよう
に、この合金綱においてCが0.7%である場合のMs
は270℃であり、Mf は−47℃であるが、例えばC
が1.1%の場合、Ms は175℃であり、Mf は−2
00℃である。
【0021】次いで、速やかに、室温にまで昇温し(図
1中F→G)、焼き戻し温度TH (160〜180℃)
に加熱し(図1中G→H)、一定時間tHI(2〜4時
間)保持することにより焼き戻しを行う(図1中H→
I)。上記製造方法において、焼入れの完了した合金綱
を、速やかに、マルテンサイト変態最終温度Mf (−4
7℃)以下の温度TE (−50℃)に冷却し、Mf 点以
下で一定時間tEF(一時間)保持することによって、そ
の表面に微細なCr炭化物を多量に析出させることがで
きる。このため、組織の微細化などマトリックスを強化
するだけでなく、炭化物の析出していない素地の隙間を
小さくすることができるようになる。よって、表面損傷
が発生しやすい隙間を限りなく小さくすることにより、
軸受寿命を向上させることが可能となる。
【0022】ここで、その微細な炭化物として平均粒径
0.4μm以下の炭化物を、合金綱の表面積の32%以
上となるように低温処理を調節することで、表面損傷の
発生しやすい隙間を限りなく小さくすることが可能とな
る。ところが、球状化焼鈍や焼入れ条件によっては、微
細な炭化物が部分的に凝集して比較的大きな炭化物とな
ってしまう場合もあり、この凝集によって大きな炭化物
となった箇所は、表面損傷に対して急激に寿命が低下し
てしまう結果となる。このため、上記球状化焼鈍や焼入
れ条件を調節し、平均粒径1μm以上の炭化物の面積率
を、表面積の覆う全炭化物の2%以下にすれば、表面損
傷をより少なくすることが可能となる。
【0023】また、焼入れ後、速やかにMf 点以下に冷
却することによって、合金綱にオーステナイトが安定化
するのを抑制するため、熱処理の完了した合金綱の全体
積に対して、残留オーステナイト量を0〜0.2体積%
とすることが可能となる。よって、転動体の表面硬度を
確保することができるため、表面損傷を抑制し、軸受の
長寿命化を図ることが可能となる。
【0024】さらに、浸炭や浸炭窒化等の熱処理を行わ
ずに、必要な硬度及び良好な耐磨耗性を得ることができ
るため、上記浸炭や浸炭窒化処理によって生じるCO2
問題を解消することができる。よって、地球環境に優し
い転がり軸受の製造方法を提供することができる。次
に、本発明における方法によって製造された転がり軸受
の実施例No.1〜11と、従来の方法によって製造さ
れた転がり軸受との比較試験について、表1に示す。
尚、この比較試験における試験片として、2種類の軸受
綱(JIS SUJ2)を使用した。
【0025】
【表1】
【0026】表1のNo.1〜5は、焼入れ温度をそれ
ぞれ変更した実施例を示し、焼入れ以後の熱処理条件は
いずれも同様のものとしている。同様に、No.6〜8
は、低温処理温度をそれぞれ変更した実施例を示し、焼
入れ温度及び低温処理時間はいずれも同様のものとして
いる。さらに、No.9〜11は、低温処理時間をそれ
ぞれ変更した実施例を示し、焼入れ時間及び低温処理温
度はいずれも同様のものとしている。一方、比較例と
は、焼入れ及び焼き戻しの熱処理のみを行ったものであ
り、焼き入れ後の低温処理を行っていない場合を示す。
【0027】ここで、−196℃の低温処理は、試験片
を液体窒素に浸漬することで行い、−100〜−30℃
の間の低温処理は、試験片をドライアイスで冷やしたエ
チルアルコールに浸漬することで行った。また、いずれ
の実施例においても、焼入れ冷却剤(焼入れ油)の温度
は60〜80℃であり、焼き戻しの条件は160〜18
0℃×2時間としている。
【0028】また、上記のように熱処理条件を変えた試
験片の耐磨耗性は、荷重:2kN、回転数:10rp
m、滑り率:20%、潤滑油:スピンドル油、湯温:8
0℃の条件下、図2に示す磨耗試験装置において測定し
た。この試験は、上下に対向させた一対の軸にそれぞれ
試験片を装着して、上面から荷重を負荷させながら互い
に接触状態で逆方向に低速回転させるもので、両試験片
の磨耗率(g/m)の平均値を求めるものである。尚、
磨耗試験に使用した試験片は、上記条件の熱処理後、試
験面を研削仕上げしたものを使用した。また、特に潤滑
油不足状態での磨耗特性を測定するため、回転中には油
膜が切れやすい低粘度の潤滑油を注入するようにした。
【0029】表1のNo.1〜5に示す結果より、いず
れも磨耗率比率が1%未満であり、焼入れ後の低温処理
を施すことで磨耗特性が向上していることが分かる。特
に、No.2〜4においては磨耗特性が著しく向上して
いるとともに、試験片表面に存在する炭化物のうち平均
粒径0.4μm以下のものが面積率で32%以上であっ
て、かつ、平均粒径1μm以上のものが2%以下である
ことも満たしている。
【0030】上記結果から、炭化物の微細化のために必
要とされる低温処理前の焼入れ温度として、840〜9
20℃とするのが望ましい。この範囲で焼入れされたN
o.2〜4の実施例においては残留オーステナイト量が
0.2%以下であることも満たしている。ここで、焼入
れ温度が高くなるにつれ、平均粒径0.4%以下の炭化
物が多くなり、平均粒径1.0μm以上の炭化物が少な
くなるのは、焼入れ温度が高いほど焼入れ前に存在した
炭化物が多く分解され、試験片組織のオーステナイトに
固溶されるC量が多くなることにより、その後の冷却処
理を経た焼き戻しで新たに析出する微細な炭化物が多く
なるためである。
【0031】また、焼入れ温度が高くなると、高温オー
ステナイト中に溶け込む炭素量が多くなるためオーステ
ナイトが安定化し、焼入れ後の残留オーステナイト量が
多くなる傾向にある。本発明によれば、焼入れの後の低
温処理によって、確実にマルテンサイト化することがで
きるため、高い焼入れ温度においても残留オーステナイ
ト量を抑制することが可能となる。
【0032】次に、表1のNo.6〜8に示す結果よ
り、No.7及びNo.8においては、No.2と同等
の磨耗率比率を示していることが分かる。ところが、N
o.6においては、比較例と同等の磨耗率比率を示して
いる。これは、No.6が試験片のMf 点である−47
℃よりも高い温度で低温処理を施したため、微細な炭化
物を析出する条件が整わなかったことによると考えられ
る。
【0033】上記結果から、低温処理温度は、マルテン
サイト変態最終温度Mf 点以下とするのが望ましい。次
いで、表1のNo.9〜11に示す結果より、No.9
においては比較例と同等の磨耗率比率であり、No.1
0及びNo.11においては低温処理時間20時間処理
されたNo.2と同等の磨耗率比率であることが分か
る。上記結果から、低温処理時間は、1時間以上とする
ことが望ましい。
【0034】ここで、本実施形態において、転動装置と
して転がり軸受を用いたが、これに限らず、ボールねじ
装置やリニア軸受等いずれの転動装置に適用することが
可能である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐磨耗性及び軸受寿命を向上させた転動装置を提供する
ことが可能となる。また、浸炭及び浸炭窒化等の熱処理
を行わず、転動装置を製造することができるため、上記
熱処理により発生するCO2 問題を解消し、地球環境に
優しい転動装置の製造方法を提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】転動装置の一例である転がり軸受の製造方法
に、本発明を適用した一実施形態における熱処理加工を
示す概略図である。
【図2】磨耗試験装置を示し、(a)は正面図、(b)
は側面図である。
【図3】マルテンサイト変態開始温度Ms 及びマルテン
サイト変態最終温度Mf を示すグラフである。
【符号の説明】
1 磨耗試験装置 2 試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/64 F16C 33/64 // C22C 38/00 301 C22C 38/00 301Z 38/18 38/18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転動部品の少なくともいずれか一つを、
    C:0.7〜1.1重量%、Si:0.1〜0.5重量
    %、Mn:0.2〜0.8重量%、Cr:0.9〜2.
    0重量%、残部:Feおよび不可避不純物からなる合金
    鋼で形成するとともに、 焼入れを終了した前記転動部品に、マルテンサイト変態
    最終温度以下で一定時間保持する低温処理を行ったの
    ち、焼戻しを行うことを特徴とする転動装置の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記転動部品の表面に存在する炭化物の
    うち、平均粒径0.4μm 以下の炭化物が面積率32%
    以上となるとともに、平均粒径1μm 以上の炭化物が面
    積率2%以下となり、前記転動部品の全体積のうち、残
    留オーステナイト量が体積率0〜0.2%となるよう
    に、前記低温処理を行うことを特徴とする請求項1に記
    載の転動装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021027188A1 (zh) * 2019-08-14 2021-02-18 南京钢铁股份有限公司 一种铸坯生产超低温高强度抗酸容器钢的方法

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