JP2002327128A - 安定化された含ハロゲン樹脂組成物 - Google Patents

安定化された含ハロゲン樹脂組成物

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JP2002327128A
JP2002327128A JP2001134100A JP2001134100A JP2002327128A JP 2002327128 A JP2002327128 A JP 2002327128A JP 2001134100 A JP2001134100 A JP 2001134100A JP 2001134100 A JP2001134100 A JP 2001134100A JP 2002327128 A JP2002327128 A JP 2002327128A
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Shigeo Miyata
宮田茂男
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KAISUI KAGAKU KENKYUSHO KK
Sea Water Chemical Institute Inc
Original Assignee
KAISUI KAGAKU KENKYUSHO KK
Sea Water Chemical Institute Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無毒性で初期着色性が良好で、熱安定性が極め
て良好な、含ハロゲン樹脂の熱安定剤である、ハイドロ
タルサイト類の唯一の欠点である、成形時の脱結晶水に
よる成形体の発泡の問題を解決する。 【解決手段】 水酸化マグネシウム系化合物の結晶表面
近傍のマグネシウムをアルミニウムで置換固溶させた、
新規な水酸化マグネシウム系固溶体を熱安定剤として用
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、水酸化マグネシ
ウム結晶表面近傍のマグネシウムが、アルミニウムで置
換されている水酸化マグネシウム系固溶体を含有する、
安定化された含ハロゲン樹脂組成物に関する。さらに詳
しくは、非発泡性で初期着色および熱安定性が良好な、
無毒性の含ハロゲン樹脂組成物に関する。さらには、上
記水酸化マグネシウム系固溶体およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】 含ハロゲン樹脂は、熱や光に対して不
安定である。そのため、鉛化合物、有機スズ化合物、C
d/Ba系、Ba/Zn系およびCa/Zn系金属石ケ
ン、ハイドロタルサイト類等の熱安定剤が使用されてき
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 安全性および環境に
対する影響に社会的関心が高まりつつあり、その結果、
有害な熱安定剤である鉛系、有機スズ系、バリウム系、
およびカドミウム系化合物の使用を禁止する方向が、先
進諸国で打ち出されている。この様な背景にあって、無
毒でしかも熱安定性に優れているハイドロタルサイト類
が、その使用量を拡大しつつある。
【0004】 しかしハイドロタルサイト類は、それが
持っている結晶水が、加工温度で脱離して、成形品に発
泡を生じる欠点がある。そのため、パイプとか射出成
形、異形押出等の製品の製造には使用が難しい。しか
も、これら製品の含ハロゲン樹脂全体の利用分野に占め
る割合が大きい。
【0005】したがって本発明は、ハイドロタルサイト
類の特長を極力生かしながら、その欠点である発泡の問
題を解消できる新規な熱安定剤を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明は、含ハロゲン
樹脂100重量部に、水酸化マグネシウム結晶表面近傍
のMg等の金属がAlで置換されて、且つ水酸化マグネ
シウムのみのX線回析パターンを示す、水酸化マグネシ
ウム系固溶体を含有する安定化された含ハロゲン樹脂組
成物を提供する。そして、さらに本発明は、水酸化マグ
ネシウムを水に分散、攪拌下に、水溶性アルミニウム塩
水溶液を加え、反応させることを特長とする該水酸化マ
グネシウム系固溶体の製造方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】 本発明は、次の様な考えにより
達成されたものである。第一に、含ハロゲン樹脂中では
熱安定剤は、その表面部分しか反応に利用されていな
い。第二に、初期着色性は、電子供与性の高い順、換言
すると、アルカリ性の強い順に強くなっている。具体的
には、Ba>Ca>Mg>Zn>Alの順に、初期着色
は少なくなる。以上2つの考えを総合すると、水酸化マ
グネシウムをベース結晶として選択し、その結晶表面近
傍部分のMg等の金属をAlで置換するほど、水酸化マ
グネシウムよりも初期着色は良くなり、しかも無定形の
ハイドロタルサイト類が極めて少量生成しても、その結
晶水量が少ないために、加工温度での脱水量は、極めて
低く抑えられるはずである。但し、本発明で言う水酸化
マグネシウムとは、水酸化マグネシウムだけでなく、C
aおよび/またはZnが固溶した、下記式(1)で表さ
れる水酸化マグネシウム類を表す。
【化1】 (但し、式中、xは次の範囲、0≦x<0.2を満足す
る)
【0008】 以上の考えに基づいてなされた本発明の
水酸化マグネシウム系固溶体は、結晶表面近傍の、主と
してMgがAlで置換されており、そのX線回析パター
ンは水酸化マグネシウムのみである。しかも各回析ピー
クは、わずかに高角度側にシフトしており、シフト巾は
Alの置換量に対応して大きくなっている。
【0009】 熱重量分析を行い、100℃から250
℃に達するまでの重量減少を測定すると、少なくとも約
2%以下、ほとんどの場合1%以下であり、ハイドロタ
ルサイト類(商品名:アルカマイザー)の約11%と比
較すると、格段に少ない。したがって、大口径パイプの
成形、射出成形等に於いても、実質的に発泡を防ぐこと
ができる。
【0010】しかも、熱安定性は水酸化マグネシウムよ
りも改善されている。その理由は、結晶表面がハイドロ
タルサイト化しているためと推測される。
【0011】 本発明の水酸化マグネシウム系固溶
体は、樹脂中での分散性が良く、且つ反応性が良いこと
が必要であり、そのためには、BET比表面積が2〜3
0平方メートル/g、好ましくは5〜20平方メートル
/g、特には7〜15平方メートル/gであり、且つ累
積50%および90%の平均2次粒子径が2μm以下、
特には1μm以下であることが好ましい。さらに、水酸
化マグネシウム系固溶体の結晶表面を高級脂肪酸、高級
脂肪酸のアルカリ金属塩、リン酸エステル、シラン・チ
タン・アルミニウムのカップリング剤、多価アルコ−ル
と脂肪酸のエステル類等で表面処理することが好まし
い。
【0012】表面処理剤による表面コ−ティングは、そ
れ自体公知の方法により実施できる。好ましくは本発明
固溶体を水に高分散後、温水等に溶解した表面処理剤を
添加・反応・混合させて行うことができる。
【0013】表面処理剤の添加量は適宜選択できるが、
本発明の水酸化マグネシウム系固溶体の重量に基づいて
約0.1〜約10重量%、好ましくは0.5〜5重量%
である。表面処理後は、必要に応じ、例えば水洗、脱
水、乾燥、粉砕、分級等の手段を適宜選択して実施し、
最終製品形態とすることができる。
【0014】本発明の水酸化マグネシウム系固溶体の製
造は、水酸化マグネシウムを水に分散処理後、攪拌下
に、アルミニウム塩の水溶液を添加し、反応させること
により行う。ここで用いる水酸化マグネシウムは結晶が
比較的大きく、且つ平均2次粒子径が小さい(凝集が少
ない)ものを用いることが好ましい。その様な水酸化マ
グネシウムとしては、BET比表面積が約1〜30平方
メートル/g、好ましくは5〜20平方メートル/g、
特に好ましくは7〜15平方メートル/gで、且つ累積
50%の平均2次粒子径が2μm以下、特に好ましくは
1.0μm以下である。BET比表面積が30平方メー
トル/gより大きくなると、ハイドロタルサイト類が生
成し易くなり、逆に5平方メートル/gより小さくなっ
てくると、熱安定性が低下してくる。
【0015】反応で用いるアルミニウム塩とは、例えば
塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウ
ム、酢酸アルミニウム等の水溶性アルミニウム塩を挙げ
ることができる。
【0016】アルミニウム塩水溶液添加後の反応は、常
温でも行えるが、約50〜90℃で約20〜60分、攪
拌下に加温することが好ましい。アルミニウム塩の水酸
化マグネシウムに対する添加量は、Mg+Ca+Zn:
Alのモル比で約1:0.15以下、好ましくは1:
0.01、特に好ましくは1:0.02〜0.06であ
る。アルミニウム塩の添加量が多くなり過ぎると、ハイ
ドロタルサイト類が生成してくると共に、初期着色改善
効果も減少してくる。
【0017】 本発明の安定化された含ハロゲン樹脂組
成物は、含ハロゲン樹脂100重量部に、0.01〜1
0重量部の本発明の水酸化マグネシウム系固溶体を配合
する以外に、 (a)0.01〜2重量部の亜鉛化合物 (b)0.001〜2重量部のβ−ジケトン類 (c)0.01〜2重量部の多価アルコール類 (d)0〜1重量部の過塩素酸塩類 (e)0〜0.5重量部のハイドロタルサイト類および
/または水酸化カルシウム をさらに含有することが好ましい。
【0018】 本発明で用いる(a)亜鉛化合物として
は、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等
の有機酸の亜鉛塩、酸化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機亜鉛化
合物等を挙げることができる。好ましくは亜鉛の有機酸
塩である。この亜鉛化合物は、本発明の水酸化マグネシ
ウム系固溶体に必須であり、初期着色防止および滑剤と
して有用である。
【0019】 本発明で用いる(b)β−ジケトンは初
期着色防止に有用な化合物であり、下記一般式(2)
【化2】 (式中、R1およびR3は同一または異なってもよく、3
0個までの炭素原子を有する直鎖、または分枝状のアル
キル、またはアルケニル基、アリ−ル基、または脂環式
基、R2は水素、アルキル基、アルケニル基を表わす)
で表される化合物である。このようなβ−ジケトン類の
中で好ましく用いられる物として、例えばジベンゾイル
メタン(DBM)、ステアロイルベンゾイルメタン(S
BM)、ベンゾイルアセトン、アセチルアセトン、デヒ
ドロ酢酸等を挙げることができる。
【0020】本発明で用いる(c)多価アルコール類は
熱安定性の改良に有用であり、多価アルコ−ル、または
多価アルコ−ルとモノ、またはポリカルボン酸との部分
エステルである。その様な化合物としては、マンニト−
ル、ソルビト−ル、ペンタエリスリト−ル、ジペンタエ
リスリトール、トリメチロ−ルプロパン等を挙げること
ができる。
【0021】 本発明で用いる(d)過塩素酸塩類は初
期着色防止に有用であり、例えば過塩素酸のNa,K,
Ca,Ba等の金属塩および下記式(3)
【化3】 (式中、M2+はMgおよび/またはZnを示し、An-
CO3 2-,H2PO3等のClO4 -以外のn(=1〜4)
価のアニオンを示し、x,y,zおよびmはそれぞれ次
の範囲、0.1<x<0.5、好ましくは0.2≦x≦
0.4,0<y<0.5、好ましくは0.2≦y≦0.
4,0≦z<y,y+nz=x,0≦m<3、を満足す
る0または正の数を示す)で表される過塩素酸イオンを
層間アニオンとして含有するハイドロタルサイト類を挙
げることができる。
【0022】本発明で用いる(e)ハイドロタルサイト
類は熱安定性の改良に有用であり、式(3)で表され、
且つ層間アニオンがCO3 2-を主成分とするものを用い
ることが好ましい。
【0023】本発明で用いる含ハロゲン樹脂としては、
次の様なものが例示される。ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレ
ン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エ
チレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩
化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレ
ン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩
化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化
ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン
共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩
化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル
−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリ
ル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル
共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等
の含塩素合成樹脂。これらの含塩素合成樹脂相互のある
いは、他の塩素を含まない合成樹脂とのブレンド品、ブ
ロック共重合体、グラフト共重合体等。
【0024】 本発明の樹脂組成物には、慣用の他の添
加剤を配合することもできる。このような他の添加剤と
しては、次のものを例示できる。エポキシ化植物油、エ
ポキシ化オレイン酸エステル類、エポキシ化エルシン酸
エステル類等のエポキシ系安定助剤類。チオジプロピオ
ン酸、ジエチルチオジプロピオン酸エステル等の含硫黄
化合物系安定助剤。アルキルガレート、アルキル化フェ
ノール等のフェノール、スチレン化フェノール等のフェ
ノール系安定助剤。グリシン、アラニン、ロイシン、イ
ソロイシン、グリシンアミド、ヒスチジンエチルエステ
ル、トリプトファンベンジルエステル等のα−アミノ酸
およびその官能性誘導体系安定助剤。スチレン化パラク
レゾール、2,6−ジ第3級ブチル−4−メチルフェノ
ール、ブチル化アニソール、4,4'−メチレンビス
(6−第3級ブチル−3−メチルフェノール)、2,
2'メチレンビス(6−第3級ブチル−4−メチルフェ
ノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン、テトラキス[3−(4−ヒドロキシ−
3,5−ジ第3級ブチルフェニル)プロピオニルオキシ
メチレン]メタン等の酸化防止剤。酸化防止剤の働き
は、熱安定性の改良である。
【0025】これら添加剤の配合量は適宜選択すること
ができ、例えば含ハロゲン樹脂100重量部に対して約
0.01〜約5重量部の安定助剤類、約0.01〜約2
重量部の酸化防止剤が例示される。本発明は前期添加物
以外に、慣用の他の添加剤、例えば可塑剤、滑剤、加工
助剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、強化剤、充
填剤、顔料等を配合してもよい。本発明において、含ハ
ロゲン樹脂と本発明の添加剤および他の添加剤との混合
混練は、両者を均一に混合できる慣用の方法を採用すれ
ばよい。例えば、一軸または二軸押出機、ロール、バン
バリーミキサー等の任意の混合混練手段を採用できる。
成形方法にも特別の制約はなく、例えば射出成形、押出
成形、ブロー成形、プレス成形、回転成形、カレンダー
成形、シートフォーミング成形、トランスファー成形、
積層成形、真空成形等の任意の成形手段を採用できる。
【0026】以下、実施例に基づき、本発明をより詳細
に説明する。以下の各例において、%は特に断りの無い
限り重量%を意味する。
【0027】
【実施例1】 BET比表面積が10平方メートル/
g、累積50%および90%の平均2次粒子径が、それ
ぞれ0.60μm,1.08μmである水酸化マグネシ
ウム粉末1モルを約1リットルの水に加え、攪拌して均
一に分散させた。0.025モルの硝酸アルミニウム水
溶液150ミリリットルを、攪拌下に水酸化マグネシウ
ムに加え、全量加えた後、約80℃まで加熱した。この
系に、攪拌下に1.3gのステアリン酸ナトリウム(純
度90%)を約100ミリリットルの約80℃の温水に
溶解した溶液を加え、表面処理を行った。この後、ろ
過、水洗、乾燥、粉砕した。
【0028】 この物のX線回析を行った結果、わずか
に高角度側にピークがシフトしているが、水酸化マグネ
シウムのみの回析パターンであった。したがって、Al
は水酸化マグネシウムに固溶していることが判る。この
物のBET比表面積は10平方メートル/g、累積50
%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.60
μm,1.1μmであった。化学分析(キレート滴定
法)の結果、モル比Al/(Al+Mg)=0.026
であった。熱重量分析により、100℃から250℃ま
でに脱離した水分量は0.39%であった。
【0029】粒度分布の測定は、試料を超音波で5分間
処理後、レーザー回析法粒度分布測定機を用いて測定し
た。BET比表面積は、液体窒素吸着法により測定し
た。
【0030】
【実施例2】実施例1において、添加する硝酸アルミニ
ウムを0.06モル、溶液量を300ミリリットルに、
それぞれ変更する以外は実施例1と同様の操作を行っ
た。その結果、得られた粉末のX線回析パターンは、少
し高角度側にシフトしているが、水酸化マグネシウムの
みの回析パターンを示した。したがって、Alは水酸化
マグネシウムに固溶していることが判る。この物のBE
T比表面積は12平方メートル/g、累積50%および
90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.62μm,
1.28μmであった。化学分析の結果、モル比Al/
(Al+Mg)=0.062であった。熱重量分析の結
果、100℃から250℃までに脱離した水分量は0.
77%であった。
【0031】
【実施例3】実施例1において、用いる水酸化マグネシ
ウムとして、BET比表面積が6平方メートル/g、累
積50%および90%の平均2次粒子径が、それぞれ
0.78μm,1.21μmを用い、添加するAl塩と
して、塩化アルミニウムを0.1モル含有する水溶液6
00ミリリットルを用いる以外は実施例1と同様の操作
を行った。その結果、得られた粉末のX線回析パターン
は、少し高角度側にシフトしているが、水酸化マグネシ
ウムのみの回析パターンを示した。したがって、Alは
水酸化マグネシウムに固溶していることが判る。この物
のBET比表面積は11平方メートル/g、累積50%
および90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.80μ
m,1.35μmであった。熱重量分析の結果、100
℃から250℃までの脱水量は1.84%であった。化
学分析の結果、モル比Al/(Al+Mg)=0.10
8であった。
【0032】
【比較例1】実施例1において、用いる水酸化マグネシ
ウムをBET比表面積が65平方メートル/g、累積5
0%および90%の平均2次粒子径が、それぞれ2.5
4μm,9.40μmである水酸化マグネシウムを用い
る以外は実施例1と同様の処理を行った。その結果、得
られた粉末のX線回析パターンは、水酸化マグネシウム
以外に、わずかにハイドロタルサイト類と考えられるd
=7.6Åとd≒3.8Å近傍に弱い回析ピークが観測
された。この粉末のBET比表面積は65平方メートル
/g、累積50%および90%の平均2次粒子径は、そ
れぞれ1.39μm,5.97μmであった。熱重量分
析の結果、100℃から250℃までの脱水量は2.1
4%であった。化学分析の結果、モル比Al/(Al+
Mg)=0.051であった。
【0033】
【比較例2】ハイドロタルサイト類(BET比表面積=
8平方メートル/g、累積50%および90%の平均2
次粒子径が、それぞれ0.46μm,0.82μm、化
学組成:Mg0.67Al0.33(OH)2(CO30.165
0.5H2O)100gを実施例1の方法で、純度90
%のステアリン酸ナトリウムを2g用い表面処理した物
について、熱重量分析を行った結果、100℃から25
0℃までに脱離した水分量は11.20%であった。
【0034】
【実施例4】実施例1において、水酸化マグネシウムの
代わりに、BET比表面積=15平方メートル/g、累
積50%および90%の平均2次粒子径が、それぞれ
0.38μm,0.56μm、化学組成がMg0.93Zn
0.07(OH)2である水酸化マグネシウム・亜鉛固溶体
を用い、硝酸アルミニウムとして0.04モル含有する
水溶液を100ミリリットル用いる以外は実施例1と同
様に行った。
【0035】得られた粉末のX線回析パターンは、上記
水酸化マグネシウムより少し高角度側にシフトしている
が、水酸化マグネシウムのみの回析パターンであった。
したがって、Alは水酸化マグネシウム・亜鉛固溶体に
固溶していることが判る。この物のBET比表面積は1
6平方メートル/g、累積50%および90%の平均2
次粒子径は、それぞれ0.38μm,0.57μmであ
った。熱重量分析の結果、100℃から250℃までの
脱水量は0.44%であった。化学分析の結果、モル比
Al/(Al+Mg+Zn)=0.042であった。
【0036】
【実施例5】下記処方でポリ塩化ビニルに、実施例1〜
4で得られた水酸化マグネシウム系固溶体を熱安定剤と
して混合した後、オープンロールを使用して165℃で
3分間混錬し、厚さ約1mmのシートを作成した。 ポリ塩化ビニル(信越化学株式会社製、分子量700) 100重量部 ステアリン酸亜鉛 0.5重量部 ジペンタエリスリトール 0.5重量部 熱安定剤 1.0重量部
【0037】上記シートを約3cm×3cmのテストピ
ースを切り出し、185℃に設定したギヤオーブンに入
れ、10分間隔で取り出し、初期着色の発現時間と熱安
定時間(黒化するまでの時間)を目視で測定した。その
結果を表1に示す。
【0038】
【比較例3〜5】実施例5において、熱安定剤として比
較例1で得られた水酸化マグネシウム系化合物[比較例
3]、実施例1で用いた水酸化マグネシウムを実施例1
と同様に表面処理を行った物[比較例4]、比較例2で
用いたハイドロタルサイト類を用いた場合、[比較例
5]の評価結果を表1に示す。
【0039】
【実施例6】β−ジケトンを添加した下記処方のポリ塩
化ビニルに、熱安定剤として実施例2で得られた水酸化
マグネシウム系固溶体を用い、均一に混合した。 ポリ塩化ビニル(信越化学株式会社製、分子量700) 100重量部 ステアロイルベンゾイルメタン 0.15重量部 ステアリン酸亜鉛 0.30重量部 ジペンタエリスリトール 0.20重量部 熱安定剤 1.0重量部 この混合物を、オープンロールを使用し165℃で3分
間混錬後、実施例5と同様に行って評価した。その結果
を表2に示す。
【0040】
【実施例7】実施例6の処方において、熱安定剤として
実施例2で得られた水酸化マグネシウムを0.98重量
部と、過塩素酸含有ハイドロタルサイト類:Mg0.67
0. 33(OH)2(ClO40.27(CO30.03を0.
02重量部用いる以外は、実施例6と同様に行った。評
価結果を表2に示す。
【0041】
【実施例8】実施例6の処方において、熱安定剤として
実施例2で得られた水酸化マグネシウム系固溶体を0.
8重量部、比較例2で用いたハイドロタルサイト類を
0.2重量部配合する以外は、実施例6と同様に行って
評価した。その結果を表2に示す。
【0042】
【比較例5〜6】実施例6の処方において、熱安定剤と
して実施例1で用いた水酸化マグネシウム[比較例
5]、比較例2で用いたハイドロタルサイト類[比較例
6]を用いる以外は、実施例6と同様に行って評価し
た。その結果を表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】 本発明によれば、水酸化マグネシウム
系化合物結晶表面近傍のマグネシウムをアルミニウムで
置換させた、新規な水酸化マグネシウム系固溶体を、含
ハロゲン樹脂の熱安定剤として含有させることにより、
初期着色および熱安定性が優れ、しかも成形時に発泡す
る恐れが無い、無毒性の含ハロゲン樹脂成形体を得るこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/053 C08K 5/053 5/07 5/07 5/098 5/098 9/04 9/04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含ハロゲン樹脂100重量部に、下記
    式(1) 【化1】 (但し、式中、xは次の範囲、0≦x<0.2を満足す
    る)で表される水酸化マグネシウムの結晶表面近傍の金
    属がアルミニウムで置換され、且つ水酸化マグネシウム
    のみのX線回析パターンを示す水酸化マグネシウム系固
    溶体を0.01〜10重量部含有することを特徴とする
    安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 該水酸化マグネシウム系固溶体に占める
    Alの量が、モル比Al/(Mg+Ca+Zn+Al)
    で0.15以下、好ましくは0.01〜0.10である
    ことを特徴とする請求項1記載の安定化された含ハロゲ
    ン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 該水酸化マグネシウム系固溶体のBET
    比表面積が2〜30平方メートル/g、好ましくは5〜
    20平方メートル/gの範囲であることを特徴とする請
    求項1記載の安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】該水酸化マグネシウム系固溶体の累積50
    %の平均2次粒子径が2μm以下、好ましくは1μm以
    下であることを特徴とする請求項1記載の安定化された
    含ハロゲン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 該水酸化マグネシウム系固溶体が、0.
    1〜10重量%のアニオン系界面活性剤で表面処理され
    ていることを特徴とする請求項1記載の安定化された含
    ハロゲン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】含ハロゲン樹脂100重量部に、 (a)0.01〜2重量部の亜鉛化合物 (b)0.001〜2重量部のβ−ジケトン類 (c)0.01〜2重量部の多価アルコール類 (d)0〜1重量部の過塩素酸塩類 (e)0〜0.5重量部のハイドロタルサイト類および
    /または水酸化カルシウム をさらに含有することを特徴とする請求項1記載の安定
    化された含ハロゲン樹脂組成物。
  7. 【請求項7】下記式(1) 【化1】 (但し、式中、xは次の範囲、0≦x<0.2を満足す
    る)で表される水酸化マグネシウム結晶表面近傍の金属
    がアルミニウムで、モル比Al/(Mg+Ca+Zn+
    Al)で0.15以下、好ましくは0.01〜0.10
    で置換されていることを特徴とする水酸化マグネシウム
    系固溶体。
  8. 【請求項8】水を含む溶媒に分散した式(1)で表され
    る水酸化マグネシウムに、攪拌下に水溶性アルミニウム
    塩の水溶液を、水酸化マグネシウム1モルに対し0.1
    5モル以下、好ましくは0.1モル以下の割合で加え、
    反応させることを特徴とする請求項8記載の水酸化マグ
    ネシウム系固溶体の製造方法。
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