JP2002325579A - ポリぺプチドの生産方法 - Google Patents

ポリぺプチドの生産方法

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JP2002325579A
JP2002325579A JP2001147081A JP2001147081A JP2002325579A JP 2002325579 A JP2002325579 A JP 2002325579A JP 2001147081 A JP2001147081 A JP 2001147081A JP 2001147081 A JP2001147081 A JP 2001147081A JP 2002325579 A JP2002325579 A JP 2002325579A
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Japan
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recombinant baculovirus
sequence
insect
polypeptide
derived
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JP2001147081A
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Kenichi Sano
健一 佐野
Yoshiyo Maeda
佳代 前田
Yuichiro Maeda
雄一郎 前田
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RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】昆虫細胞中、組換えバキュロウイルスでポリぺ
プチドを発現させる場合の低い生産量を増加させる。 【解決手段】組換えバキュロウイルスで目的のポリぺプ
チドを発現させる場合に、そのコーディング配列の上流
側にロブスター由来の21塩基対の非翻訳領域を連結す
ることにより、目的のポリぺプチドの発現量を顕著に増
加させることができる。この方法に使用する前記21塩
基対のポリヌクレオチド配列及びこの配列を含むトラン
スファーベクター、この配列を含む組換えバキュロウイ
ルスゲノム並びにこの組換えバキュロウイルスゲノムを
含む組換えバキュロウイルスを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はタンパク質の生産方
法に関する。さらに具体的には、本発明は組換え技術に
よりポリぺプチドを昆虫等で生産する場合におけるその
生産効率を向上させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリペプチドを生産する方法としては、
今日多くの方法が開発されている。例えば、生体成分で
あるタンパク質を例にとると、生体から直接タンパク質
試料を調製することも可能であるが、大量に調製するこ
とは困難である場合が少なくなく、費用がかかる上にア
イソフォームの存在など、その品質が不均一であったり
するという問題がある。今日最も多用されているのは遺
伝子工学的手法である。その場合最も多いのが大腸菌を
用いる方法である。大腸菌はその取り扱いが最も容易
で、その系による発現は最も迅速であるが問題もある。
大腸菌は原核生物であるため、真核生物由来の外来タン
パク質を発現しようとすると、折畳みが上手くいかず水
に溶けないタンパク質ができてしまったり、機能に重要
な翻訳後修飾が行われないなどの問題にしばしば遭遇す
る。このような場合これらの問題を避けるため、バキュ
ロウイルスを用いて昆虫培養細胞にタンパク質を作らせ
る方法が広く行われている。しかし、この系では発現す
るタンパク質の量が少ないという問題にしばしば悩まさ
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、バキュロウイルスを用いて昆虫又は昆虫培養細胞で
タンパク質を発現させる場合にタンパク質の発現量が低
いという上記の課題を解決する方法を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、複数の生
物種由来のトロポミオシンタンパク質を昆虫細胞で発現
させたところ、驚くべきことに、ロブスター由来のトロ
ポミオシンの発現量のみが著しく多く、例えば、ウサギ
由来のものと比較して、30倍以上にものぼった。本発明
者らはこの知見に基づいて、さらに研究を重ねたとこ
ろ、ロブスター由来の非翻訳ポリヌクレオチド配列にタ
ンパク質発現を増加させる機能が存在することを発見し
た。本発明はこれらの知見に基づき、さらに研究を重ね
て完成するに至ったものである。
【0005】すなわち、本発明の第1の態様において
は、その下流に置かれたコーディング配列の発現を増加
させる機能を有する、ロブスターの非翻訳領域由来の配
列番号:1に記載の塩基配列が提供される。また、配列
番号:1に記載の塩基配列において1若しくは数個のヌ
クレオチドが欠失、置換、挿入及び/又は付加された塩
基配列であって、その下流に置かれたコーディング配列
の発現を増加させる機能を有する塩基配列もすべて本発
明の範囲内に含まれる。
【0006】本発明の第2の態様においては、配列番
号:1に記載の前記配列又は配列番号:1に記載の塩基
配列において、1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、
置換、挿入及び/又は付加された塩基配列であって、そ
の下流に置かれたコーディング配列の発現を増加させる
機能を有する塩基配列、及びその下流に連結された目的
のポリぺプチドをコードするDNA配列をバキュロウイ
ルス由来のプロモーター配列の下流に挿入して得られる
トランスファーベクターが提供される。このようなバキ
ュロウイルス由来のプロモーター配列としては、ポリヘ
ドリン遺伝子配列が例示できる。このプロモーターはト
ランスファーベクターをバキュロウイルスゲノム中に組
み込むためのものである。このようなバキュロウイルス
由来のプロモーターを含むベクターとしては、例えばp
VL1392ベクターが挙げられる。このベクターを用
いる場合は、配列番号:1に記載の本発明の配列等及び
その下流に連結された目的のポリぺプチドをコードする
DNA配列を、そのマルチクローニングサイトに挿入す
ることが好ましい。
【0007】本発明の第3の態様においては、本発明の
トランスファーベクター由来の、目的のポリぺプチドの
発現に関連のある塩基配列を生体中で相同組換えにより
組み込んで構築した、目的のポリぺプチドを発現するこ
とができる組換えバキュロウイルスゲノムが提供され
る。この相同組換えは昆虫又は昆虫培養細胞内で起こる
ものであっても、酵母細胞や大腸菌細胞内で起こるもの
であってもよい。また、前記昆虫としては蚕が好まし
く、昆虫培養細胞としてはSf9細胞、Sf21細胞又
は High five(商標)細胞(イン・ビトロゲン社)が好
ましい。また、相同組換えの代わりに大腸菌細胞内でト
ランスポゾン由来のトランスエレメントにより目的のポ
リぺプチドの発現に関連のある塩基配列をバキュロウイ
ルスゲノム中に挿入することもできる。そのためには、
市販のキットを利用することができる。
【0008】本発明の第4の態様においては、本発明の
組換えバキュロウイルスゲノムを有する組換えバキュロ
ウイルスが提供される。この組換えバキュロウイルス
は、本発明の第3の態様において調製された組換えバキ
ュロウイルスゲノムを、バキュロウイルスが宿主とする
ことができる昆虫又は昆虫培養細胞内にトランスフェク
ションすることにより得ることができる。
【0009】本発明の第5の態様においては、本発明の
組換えバキュロウイルスを昆虫又は昆虫培養細胞に感染
させて目的のポリぺプチドをその細胞中で発現させ、そ
して発現したポリぺプチドを回収することによる目的ポ
リぺプチドを生産する方法が提供される。
【00010】上記の本発明の第2〜第5の態様におけ
る目的のポリぺプチドとしては、トロポミオシンのほか
に、ルシフェラーゼ、インターフェロンβ、インターフ
ェロンγ、インターロイキン1α,インターロイキン1
β、インターロイキン2、インターロイキン3、インタ
ーロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン
6、ウシ・ソマトトロピン、エリスロポエチン、顆粒球
コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージ・コロニー刺
激因子、マクロファージ・コロニー刺激因子、血液凝固
第VII 因子、血液凝固第VIII因子、血液凝固第IX因子、
血液凝固第XIII因子、骨成長因子、コロニー刺激因子、
上皮細胞成長因子、成長ホルモン放出因子、繊維芽細胞
増殖因子、ティッシュ・プラスミノーゲン・アクチベー
ター、トランスフォーミング成長因子、トロンボポエチ
ンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではな
い。上記の中でも、糖タンパク質である、インターフェ
ロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン1α,
インターロイキン1β、インターロイキン5、エリスロ
ポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファ
ージ・コロニー刺激因子、マクロファージ・コロニー刺
激因子、血液凝固第VII 因子、血液凝固第VIII因子、血
液凝固第IX因子、血液凝固第XIII因子、ティッシュ・プ
ラスミノーゲン・アクチベーターなど、及びトロンボポ
エチンなどが本発明の目的タンパク質として好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】ポリぺプチド発現を増加させる機
能を有する本発明の配列は、ロブスター由来の非翻訳リ
ーダー配列、すなわちaactcctaaa aaac
cgccac c (配列番号:1)である。そしてこ
の配列において、1若しくは数個のヌクレオチドが欠
失、置換、挿入及び/又は付加された塩基配列であっ
て、その下流に置かれたコーディング配列の発現を増加
させる機能を有する塩基配列も本発明の対象に含まれ
る。この配列は常法に従って、化学的に合成することも
できるし、ロブスターのトロポミオシンcDNAから得
ることもできる。
【0012】本発明のポリぺプチド発現用トランスファ
ーベクターは次のようにして得ることができる。すなわ
ち、配列番号:1に記載の本発明の配列及びその下流に
連結された目的のポリぺプチドをコードするDNA配列
であって、下記のマルチクローニングサイトに対応する
制限部位を有するものを常法に従って調製し、これをバ
キュロゴールド・トランスフェクション・キット(ファ
ーミンジェン社製)添付のpVL1392ベクターのマ
ルチクローニングサイト、例えばXbaIサイトとBa
mHIサイトの間に挿入することにより調製することが
できる。あるいは、別法として、上記のようにして構築
したトロポミオシン発現用トランスファーベクターをN
coI−BamHIで消化してロブスターのトロポミオ
シンの翻訳領域を除き、これに目的のポリぺプチドをコ
ードするcDNAを挿入することにより目的のポリぺプ
チド発現用トランスファーベクターを一般的に構築する
ことができる。こうして得られるポリぺプチド発現用ト
ランスファーベクターの1例の概要を、図1に模式的に
示す。図中、XbaIサイトとコーディング配列の間の
21塩基対が配列番号:1に記載の本発明のロブスター
由来の非翻訳リーダー配列である。この配列はその一部
であっても、又はこの配列若しくはその一部を含むポリ
ヌクレオチドであっても、この配列が示す発現増加機
能、すなわち、この配列の下流に連結されたコーディン
グ配列がコードするポリぺプチドの発現を顕著に増大さ
せる機能を保持するかぎり本発明に使用することができ
る。
【0013】本発明のポリぺプチド発現用トランスファ
ーベクター中で本発明の配列の下流に連結されるコーデ
ィング配列がコードするポリぺプチドとしては、例え
ば、トロポミオシン、インターフェロンβ、インターフ
ェロンγ、インターロイキン1α,インターロイキン1
β、インターロイキン2、インターロイキン3、インタ
ーロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン
6、ウシ・ソマトトロピン、エリスロポエチン、顆粒球
コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージ・コロニー刺
激因子、マクロファージ・コロニー刺激因子、血液凝固
第VII 因子、血液凝固第VIII因子、血液凝固第IX因子、
血液凝固第XIII因子、骨成長因子、コロニー刺激因子、
上皮細胞成長因子、成長ホルモン放出因子、繊維芽細胞
増殖因子、ティッシュ・プラスミノーゲン・アクチベー
ター、トランスフォーミング成長因子、トロンボポエチ
ンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではな
い。上記の中でも、糖タンパク質である、インターフェ
ロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン1α,
インターロイキン1β、インターロイキン5、エリスロ
ポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファ
ージ・コロニー刺激因子、マクロファージ・コロニー刺
激因子、血液凝固第VII 因子、血液凝固第VIII因子、血
液凝固第IX因子、血液凝固第XIII因子、ティッシュ・プ
ラスミノーゲン・アクチベーターなど、及びトロンボポ
エチンなどが本発明の目的タンパク質として好ましい。
【0014】本発明の組換えバキュロウイルスは次のよ
うにして構築される。前記のポリぺプチド発現用トラン
スファーベクターを生体細胞中でバキュロウイルスと相
同組換えさせることにより前記ポリぺプチド発現用トラ
ンスファーベクターのポリぺプチド発現に関連する配列
をバキュロウイルス中に組み込ませ、ついで目的の組換
えバキュロウイルスを選択する方法により構築すること
ができる。相同組換えを行わせる生体細胞としては、バ
キュロウイルスの宿主となる昆虫又は昆虫培養細胞が好
ましいが、酵母細胞や大腸菌細胞を使用する方法も開発
されている。昆虫としては蚕が好ましい。
【0015】昆虫培養細胞内で相同組換えを行わせる場
合は、例えば、昆虫培養細胞としてSf9細胞、Sf2
1細胞、又は High five(商標)細胞を用い、ファーミ
ンジェン社製のバキュロゴールド・トランスフェクショ
ン・キットにより、添付のプロトコルに従ってトランス
フェクションを行い、常法に従って、プラークアッセイ
法により組換えバキュロウイルスをスクリーニングする
方法が本発明にも使用できる。
【0016】また、酵母細胞内での相同組換えを利用す
る場合の組換えバキュロウイルスゲノムの単離は、例え
ば、グローバー及びヘイムズによる記載(D. M. Glover
andB. D. Hames, DNA Cloning 2 Expression Systems,
Second Ed., A PracticalApproach) に従って行うこと
ができる。
【0017】また、大腸菌内での組換えバキュロウイル
スゲノムを経由する組換えバキュロウイルスの作成は、
例えば、ギブコBRL・Bac−to−Bac・バキュ
ロウイルス発現システム(ライフ・テック社)を用いて
行うことができる。簡単に述べると、1)発現したいタ
ンパク質をコードする遺伝子を、フレームが合うように
専用の組換えドナープラスミドに挿入し、2)得られた
ベクターを用い大腸菌DH10Bacを形質転換し、
3)抗生物質やβ−ガラクトシダーゼによるスクリーニ
ングにかけ、組換え体を得、4)得られた組換え体から
組換えBacmid・DNAを回収し、PCRにより確
認し、そして5)得られた組換えBacmid・DNA
を昆虫細胞にトランスフェクションし、5〜7日間培養
を行って、目的の組換えバキュロウイルスを得ることが
できる。
【0018】こうしてえられる組換えバキュロウイルス
は必要に応じて増幅し、培地中に含まれる牛胎児血清濃
度が低い場合、終濃度が約4%以上になるように牛胎児
血清を加え、ポリぺプチド発現に使用するまで4℃で保
存することが通常好ましい。また、長期的な保存は、小
分けして−80℃で行うことが好ましい。
【0019】本発明の組換えバキュロウイルスを用いて
目的のポリぺプチドを生産するには通常次のようにして
行う。まず、昆虫細胞、例えば、Sf9細胞を培養し、
細胞の濃度が適当な濃度に達したときに、十分な感染多
重度で上記の組換えバキュロウイルス溶液を加え、さら
に適当な時間培養を続けた後、遠心分離により細胞を集
める。次いで、低張細胞破砕溶液中で細胞を破砕し、そ
の遠心分離上清から目的のタンパク質を常法に従って単
離精製する。また、膜蛋白質等を発現させたりしたとき
は界面活性剤を含む溶液中で細胞を破砕する。
【0020】本発明の配列(配列番号:1)の下流にあ
るコーディング配列の発現に及ぼす効果は、トロポミオ
シン又はルシフェラーゼを目的ポリぺプチドとして検討
した結果(詳細は実施例で述べる)から明らかである。
すなわち、まず、ウサギ骨格筋由来のトロポミオシンc
DNA又はホタル由来の変異型ルシフェラーゼDNA
を、常法(クルーエ,ランほか、Journal of Muscle Re
search and Cell Motility 16, 103-110 (1995))に従っ
て、pAcC4トランスファーベクターに挿入し、これ
をバキュロウイルスに組み込んで、Sf9細胞中で発現
させたところ、トロポミオシンの発現量は約20〜30
mg/3リットルであった。これに対し、ロブスターの
トロポミオシンのコーディング配列の上流に本発明の配
列(配列番号:1)を有する組換えバキュロウイルスで
トロポミオシンを発現させた場合は、トロポミオシンの
発現量は約600〜1200mg/3リットルに達し、
その量は本発明の配列を含まない系で発現させたウサギ
のトロポミオシンの発現量の約30倍〜40倍にも及ん
だ。さらに、ウサギ骨格筋由来のトロポミオシンcDN
Aを、本発明の配列(配列番号:1)を含むトロポミオ
シン発現用トランスファーベクターに挿入し、相同組換
えにより構築したウサギのトロポミオシンcDNAの上
流に本発明の配列を含む組換えバキュロウイルスで発現
させた場合も本発明の配列を含まない組換えバキュロウ
イルスで発現させた場合と異なり、本発明の配列を含む
ロブスター由来のトロポミオシンの発現量とほぼ同等の
トロポミオシン発現が観察された。また、ルシフェラー
ゼの発現においては、充分な条件検討がなされていない
が、本発明の配列を含む系で発現させた場合は、ルシフ
ェラーゼの発現量は、本発明の配列を含まない系で発現
させた場合の少なくとも約7倍に達した。これらの観察
は、本発明の21塩基対の非翻訳配列がその下流に連結
したコーディング配列の発現を数10倍まで増大させる
効果を有することを示すものである。
【0021】
【実施例】基本的な遺伝子操作は、サムブルック、フリ
ッチュ及びマルアティス著「モレキュラー・クローニン
グ:ア・ラボラトリー・マニュアル」第2版(1989
年)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリ
ー、コールド・スプリング・ハーバー・ニューヨークに
従って行った。基本的な昆虫培養細胞であるバキュロウ
イルスの取扱いについては、以下のマニュアルによっ
た。オライリー、ミラー及びルッコウ著「バキュロウイ
ルス発現ベクター:ア・ラボラトリー・マニュアル(1
992年)」、フリーマン・アンド・コウ.、ニューヨ
ーク。サマーズ及びスミス著「ア・マニュアル・オブ・
メソッズ・フォア・バキュロウイルス・ベクターズ・ア
ンド・インセクト・セル・カルチャー・プロシーデュ
ア、テキサス・アグリカルチュラル・エクスペリメント
・ステーション・ブレタンNo.1555。
【0022】実施例1ロブスター筋肉由来のトロポミオシン発現用トランスフ
ァーベクターの構築 ロブスター筋肉由来のトロポミオシンcDNA0.2μ
gと、以下の2種類の合成DNA、すなわち、ggtctaga
aa ctcctaaaaa accgccacc (配列番号:2)及びttggatc
cga gagtgtttag tagccagac(配列番号:3)の各100
ピコモル、宝酒造製のExTaqポリメラーゼ1μl、
ポリメラーゼ添付の10×バッファー10μl、dNT
Pミックス8μlを0.5mlのチューブに加え、さら
に蒸留水を加え最終的にチューブの中の溶液を100μ
lにした。その後、チューブをアトー社製PCR装置ザ
イモリアクターIIにより、93℃で5分、各サイクルが
93℃で1分、55℃で1分、72℃で1分の25サイ
クル、72℃で10分の反応プログラムによりPCRを
行った。このときのPCR生成物は、制限酵素XbaI
サイト、ロブスター筋肉由来トロポミオシン翻訳開始点
上流の21塩基対の非翻訳領域、全翻訳領域、及び制限
酵素BamHIサイトを含む。PCR生成物及びトラン
スファーベクターのpVL1392を制限酵素XbaI
/BamHI(宝酒造社製)で消化した後、0.8%の
TAE−アガロースゲル電気泳動を行った。電気泳動の
後、臭化エチジウムで染色を行い、トランスイルミネー
ター上でDNAバンドの検出を行った。トロポミオシン
cDNA断片、及びpVL1392のバンドをカッター
ナイフにより切り出し、ジーン・クリーンIIキット(バ
イオ101社)によりDNAを抽出した。これらのDN
Aを混合し、T4DNAリガーゼ(宝酒造社製)を加
え、16℃で一晩反応を行った。反応の後、大腸菌に形
質転換を行い、アンピシリン含有LB寒天培地上で展開
しコロニーを形成させた。できたコロニーを爪楊枝で拾
い、サークル・グロウ培地(バイオ101社)で培養を
行い、十分に大腸菌を生育させた後、キアゲン社製プラ
スミド・マキシ・プレプ・キットを用いてトランスファ
ーベクターの調製を行った。このトランスファーベクタ
ー(図1)は、ポリヘドリンプロモーター下流のポリヘ
ドリン起源の開始コドンが壊れており、さらに下流のX
baIサイトからBamHIサイトまでの間に、21塩
基対の非翻訳領域を含むロブスター由来トロポミオシン
遺伝子が挿入されたものである。
【0023】比較例1ウサギ骨格筋由来のトロポミオシン発現用トランスファ
ーベクターの構築 ウサギ骨格筋由来のトロポミオシンcDNA及びトラン
スファーベクターpAcC4を、制限酵素NcoI/B
amHI(宝酒造社製)で消化した後、0.8%のTA
E−アガロースゲル電気泳動を行った。このとき、cD
NA電気泳動の後、臭化エチジウムで染色を行い、トラ
ンスイルミネーター上でDNAバンドの検出を行った。
トロポミオシンcDNA断片、及びpAcC4のバンド
をカッターナイフで切り出し、ジーン・クリーンIIキッ
ト(バイオ101社)によりDNAを抽出した。これら
のDNAを混合し、T4DNAリガーゼ(宝酒造社製)
及び添付のバッファーを加え、16℃で一晩反応を行っ
た。反応後、大腸菌に形質転換を行いアンピシリン含有
LB寒天培地上に展開し、コロニーを形成させた。でき
たコロニーを爪楊枝で拾い、サークル・グロウ培地(バ
イオ101社)で培養を行い、十分に大腸菌を生育させ
た後、キアゲン社製プラスミド・マキシ・プレプ・キッ
トを用いてトランスファーベクターの調製を行った。こ
のトランスファーベクター(図2)は、ポリヘドリンプ
ロモーター下流のポリヘドリン起源の開始コドンからウ
サギ由来のトロポミオシン遺伝子が挿入されたものであ
る。
【0024】実施例2ロブスタートロポミオシン由来の21塩基対の非翻訳領
域を含むウサギ骨格筋由来のトロポミオシン発現用トラ
ンスファーベクターの構築 これは、上述のウサギ骨格筋由来のトロポミオシン発現
用トランスファーベクターの構築と同様に行った。異な
る点は、トランスファーベクターpAcC4ではなく、
ロブスター筋肉由来のトロポミオシン発現用トランスフ
ァーベクターを、NcoI/BamHIで消化してロブ
スターのトロポミオシンの翻訳領域を除いたものに、ウ
サギ骨格筋由来のcDNAを挿入したことである。この
トランスファーベクター(図3)は、ポリヘドリンプロ
モーター下流のポリヘドリン起源の開始コドンが壊れて
おり、さらに下流のXbaIサイトの下流に隣接するロ
ブスタートロポミオシン遺伝子由来の21塩基対の非翻
訳領域の下流に、ウサギ由来のトロポミオシン遺伝子が
挿入されたものである。
【0025】実施例3組換えバキュロウイルスの作成・増幅 実施例1、比較例1及び実施例2で構築したトランスフ
ァーベクターを用い、ファルミンゲン社製のバキュロゴ
ールド・トランスフェクション・キットにより、添付の
プロトコル通りSf9細胞のトランスフェクションを行
った。その後、以下のプラークアッセイ法により、組換
えウイルスのスクリーニングを行った。
【0026】<プラークアッセイ> (1)10%FBS(シグマ社製の牛胎児血清・非働化
済)含有TNM−FH培地で培養したSf9細胞を1m
l当たり5×105 個に同培地で希釈する。 (2)ファルコン社製6cm細胞培養用プレート(N
o.3002)に4mlの(1)で調製した細胞を蒔
く。 (3)27℃に30分間静置する。 (4)培地を吸い取り、代わりにウイルスを適当な濃度
に10%FBS含有TNM−FH培地で希釈したウイル
ス液2mlを加える。 (5)27℃に1時間静置する。 (6)ウイルス液を吸い取り、代わりに50℃の4ml
の1.5%低融点寒天・10%FBS含有TNM−FH
培地を加え、寒天が固まるまで室温で静置する。 (7)27℃で4日間静置培養した後に、50℃の2m
lの0.01%ニュートラルレッド・0.75%低融点
寒天・10%FBS含有TNM−FH培地を重層し、寒
天が固まるまで室温で静置する。 (8)27℃で4時間静置する。 (9)プラークは白く抜けるのでパスツールピペットに
より単一プラークを選ぶ。 以上の方法で、スクリーニングを行った後に、ウイルス
の増幅を以下の方法により3段階で行った。
【0027】<ウイルス増幅その1> (1)単一のプラークからもう一度プラークアッセイを
行う。 (2)10%FBS含有TNM−FH培地で培養したS
f9細胞を1ml当たり5×104 個に同培地で希釈し
たSf9細胞2.5mlを、ファルコン社製6穴プレー
ト(No.3046)に入れる。 (3)(1)で調製したプラークを1穴当たり4個ずつ
入れる。 (4)27℃で5日間静置培養する。 (5)ファルコン社製15ml遠心チューブ(No.2
097)に培養液を移し、1,200Gで10分間遠心
分離を行い、上清のウイルス液を回収する。
【0028】<ウイルス増幅その2> (1)10%FBS含有TNM−FH培地で培養したS
f9細胞を1ml当たり4×105 個に同培地で希釈し
たSf9細胞10mlを、コースター社製25cm2
ラスコ(No.3055)2個に各5mlずつ入れる。 (2)(1)に20mlの<ウイルス増幅その1>で増
幅したウイルスを加える。 (3)27℃で7〜10日間静置培養する。 (4)フラスコ二つ分の培養液を併せて、ファルコン社
製15ml遠心チューブに移し、1,200Gで10分
間遠心分離を行い、上清のウイルス液を回収する。
【0029】<ウイルス増幅その3> (1)ベルコ社製の3リッターのスピナーフラスコに、
850〜900mlの0.2%プルロニックF68(ギ
ブコ社製)含有修正Sf900II培地(90%ギブコ社
製Sf900II培地・9%ギブコ社製グレースインセク
トメディウムサプリメンテッド・1%FBS)中でSf
9細胞を細胞の濃度が1ml当たり1.8〜2.0×1
6 個に達するまで27℃で攪拌培養する。攪拌は和研
薬社製マグネティックスターラーで約90〜100rp
mの速度で行う。 (2)<ウイルス増幅その2>で増幅したウイルス液を
5ml加える。 (3)27℃で7〜10日間静置培養する。 (4)培養液を合わせて、ファルコン社製225ml遠
心チューブ(No.2075)に移し、1,200Gで
10分間遠心分離を行い、上清のウイルス液を回収す
る。 (5)このウイルス液に終濃度が4%になるようにFB
Sを加え、4℃で保存する。 (6)同時に、上述のプラークアッセイ法によりウイル
スのタイターを検定する。
【0030】実施例4バキュロウイルス−Sf9細胞によるポリぺプチドの発
和研薬社製セルマスターコントローラーを用いて行っ
た。ベルコ社製の3リッターのスピナーフラスコに、3
リッターの0.2%プルロニックF68(ギブコ社製)
含有修正Sf900II培地中でSf9細胞を27℃で攪
拌培養する。このとき、酸素濃度は水の飽和酸素濃度に
対して60〜70%の間でコントロールされており、ま
た、攪拌はベルコ社製マグネティックスターラーで約7
0〜80rpmの速度で行った。細胞の濃度が1ml当
たり1.8〜2.0×106 個に達したとき、感染多重
度が約2.0になるように<ウイルス増幅その3>で調
製したウイルス溶液を加え、そのままで48〜52時間
攪拌培養を続けた。その後、遠心分離操作で細胞を集め
た。そのとき、発現チェック用に培養液10mlをファ
ルコン社製15ml遠心チューブに移し、1,500G
で10分間遠心分離を行い細胞を集めた。
【0031】発現チェック 上述の発現チェック用に集めた細胞に、500μlの低
張細胞破砕溶液(20mMトリス塩酸pH8.0、1m
MのEDTA、5mMのDTT)を加え、ピペッティン
グにより細胞を壊し、1.5mlのチューブに移し、ト
ミー社製遠心分離機(MX−160)で、15,000
rpmで15分間遠心分離を行った。その上清を集め、
95℃で10分間インキュベートした。その後室温でサ
ンプルをゆっくり冷やし、トミー社製遠心分離機で1
5,000rpmで5分間遠心分離を行った。その上清
10μlを、SDS−PAGEにかけた。このときのア
クリルアミドの濃度は15%で行った。泳動後、クマシ
ーブリリアントグリーンで染色を行い、バイオラッド社
製ゲルドック2000によりトロポミオシンに相当する
バンドのデンシトメトリーにより発現量を検定した。
【0032】発現したトロポミオシンの粗精製 上述の方法でトロポミオシンを発現させたSf9細胞を
以下の方法により処理して発現トロポミオシンの粗精製
を行い、次いでタンパク質濃度の測定を行い、発現量の
検討を行った。 <ウサギ骨格筋由来のトロポミオシンの場合> (1)回収した細胞に、100mlの低張細胞破砕溶液
(20mMトリス塩酸pH8.0、1mMのEDTA、
5mMのDTT)を加え、ピペッティングにより細胞を
壊し、38,000G、30分間遠心分離を行い上清を
集める。 (2)終濃度35%の硫酸アンモニウムを加え、30分
以上攪拌した後、38,000G、30分間遠心分離を
行い上清を集める。 (3)終濃度70%の硫酸アンモニウムを加え、30分
以上攪拌した後、38,000G、30分間遠心分離を
行い上清を捨てる。 (4)沈澱を100〜150mlの10mMトリス塩酸
pH8.0、1mMのEDTA、5mMのDTTで溶か
した後、同液で透析を行う。 (5)ガラスビーカーに移し、90℃で温浴させる。試
料に温度計を入れておきその温度を測定し、温度が85
℃に達してから10分後に試料を室温に戻し、ゆっくり
冷やす。室温に戻ったら、38,000G、30分間遠
心分離を行い上清を集める。 (6)pHメーターでpHをモニターしながら、前操作
の上清に塩酸を加えていきpHを4.5に合わせ、3
8,000G、30分間遠心分離を行い上清を捨てる。 (7)沈澱を約50mlの10mMトリス塩酸pH8.
0、0.5mMのDTTで溶かした後、同液で透析を行
う。 (8)マイクロビュレット法によりタンパク質濃度の測
定を行い、総蛋白量を測定する。同時に、SDS−PA
GE(発現チェック参照)を行い、同様にデンシトメト
リーから、総タンパク質におけるトロポミオシンの割合
を測定しトロポミオシン量も見積もった。
【0033】<ロブスター由来のトロポミオシンの精製
> 上記の方法に若干の修正を加えた。修正点は以下の通り
であった。 (a)(1)の低張細胞破砕溶液を500ml用いて細
胞を破砕したこと。 (b)(1)と(2)の操作の間に、終濃度が0.1M
になるように塩化ナトリウムを加えたこと。 (c)(4)での沈澱を溶かす溶液の量を200〜25
0mlにしたこと。 (d)(7)での沈澱を溶かす溶液の量を約150ml
にしたこと。
【0034】実施例5ロブスター由来のトロポミオシンの発現 本発明の21塩基対の非翻訳配列を含まない組換えバキ
ュロウイルスで発現させた比較例2に示したウサギ骨格
筋由来のトロポミオシン発現と比べて、本発明の21塩
基対の非翻訳配列を含む組換えバキュロウイルスで発現
させたロブスターのトロポミオシンの発現レベルは非常
に高く、アクリルアミドゲル上で、トロポミオシンに相
当する位置のデンシティは平均123ODU(optical
densityunit) (n=3)であった。また、粗精製後の
3リッター培養分の総蛋白量は、約0.8〜1.5gで
あり、デンシトメトリーによるトロポミオシンの割合は
全体の約80%と見積もることができた。ここで、トロ
ポミオシンの発現量を見積もると、3リッターで約0.
6〜1.2g程度であった。本発明の21塩基対の非翻
訳配列を含まない比較例2のウサギでのデータと比べる
と、ODUの比較で約10倍、粗精製後の比較で約30
倍以上のタンパク質発現が確認された。
【0035】実施例6ロブスターのトロポミオシン遺伝子由来の21塩基対の
非翻訳配列を含むバキュロウイルスベクターを用いたウ
サギ骨格筋由来のトロポミオシン発現 ウサギ由来のトロポミオシンを発現させ、上記の発現チ
ェックを行った。アクリルアミドゲル上で、トロポミオ
シンに相当する位置のデンシティは平均107ODU
(n=3)であった。これらの試料については粗精製は
行っていないが、21塩基対の非翻訳配列を含まない比
較例の場合とのODUの比較では、約9倍のタンパク質
発現が確認できた。
【0036】比較例2本発明の21塩基対の非翻訳配列を含まない組換えバキ
ュロウイルスベクターを用いたウサギ骨格筋由来のトロ
ポミオシンの発現 ウサギ由来のトロポミオシンを発現させ、上記の発現チ
ェックを行った。アクリルアミドゲル上で、トロポミオ
シンに相当する位置のデンシティ(ODU)は平均12
であった。また、粗精製後の3リッター培養分の総蛋白
量は約100〜150mgであり、デンシトメトリーに
よるトロポミオシンの割合は全体の約20%と見積もる
ことができた。ここで、トロポミオシンの発現量を見積
もると3リッターで20〜30mg程度であった。
【0037】実施例7ホタル由来変異型ルシフェラーゼ発現用トランスファー
ベクターの構築 pGL3−ベーシックベクター(プロメガ社)と、以下
の2種類の合成DNA、すなわち、ctgttggtaaagccacca
tgg (配列番号:4)及びggatccttacacggcgatctttccgc
(配列番号:5)を各50ピコモル、宝酒造製のExTa
qポリメラーゼ1μl、ポリメラーゼ添付の10×バッ
ファー5μl、dNTPミックス4μlを0.2 mlのチ
ューブに加え、さらに蒸留水を加え最終的にチューブの
中の溶液を50μlにした。その後、チューブをパーキ
ンエルマー社製PCR装置モデル9700により、93℃で
5分、各サイクルが93℃で1分、55℃で2分、72
℃で1分の25サイクル、72℃で10分の反応プログ
ラムによりPCRを行った。このときのPCR生成物
は、制限酵素NcoIサイト、全翻訳領域、及び制限酵
素BamHIサイトを含む。PCR生成物及びトランス
ファーベクターpAcC4を、制限酵素NcoI/Ba
mHI(宝酒造社製)で消化した後、0.8%のTAE
−アガロースゲル電気泳動を行った。この電気泳動の
後、臭化エチジウムで染色を行い、トランスイルミネー
ター上でDNAバンドの検出を行った。変異型ルシフェ
ラーゼDNA断片、及びpAcC4のバンドをカッター
ナイフで切り出し、ジーン・クリーンIIキット(バイオ
101社)によりDNAを抽出した。
【0038】これらのDNAを混合し、T4DNAリガ
ーゼ(宝酒造社製)及び添付のバッファーを加え、16
℃で一晩反応を行った。反応後、大腸菌に形質転換を行
いアンピシリン含有LB寒天培地上に展開し、コロニー
を形成させた。できたコロニーを爪楊枝で拾い、サーク
ル・グロウ培地(バイオ101社)で培養を行い、十分
に大腸菌を生育させた後、キアゲン社製プラスミド・マ
キシ・プレプ・キットを用いてトランスファーベクター
の調製を行った。このトランスファーベクターは、ポリ
ヘドリンプロモーター下流のポリヘドリン起源の開始コ
ドンからホタル由来の変異型ルシフェラーゼ遺伝子が挿
入されたものである。
【0039】実施例8ロブスタートロポミオシン由来の21塩基対の非翻訳領
域を含むホタル由来変異型ルシフェラーゼ発現用トラン
スファーベクターの構築 これは、上述のホタル由来変異型ルシフェラーゼ発現用
トランスファーベクターの構築と同様に行った。異なる
点は、トランスファーベクターpAcC4ではなく、ロ
ブスター筋肉由来のトロポミオシン発現用トランスファ
ーベクターを、NcoI/BamHIで消化してロブス
ターのトロポミオシンの翻訳領域を除いたものに、ホタ
ル由来変異型ルシフェラーゼ遺伝子を挿入したことであ
る。このトランスファーベクターは、ポリヘドリンプロ
モーター下流のポリヘドリン起源の開始コドンが壊れて
おり、さらに下流のXbaIサイトの下流に隣接するロ
ブスタートロポミオシン遺伝子由来の21塩基対の非翻
訳領域の下流に、ホタル由来変異型ルシフェラーゼ遺伝
子が挿入されたものである。
【0040】組換えバキュロウイルスの作成・増幅 上記のホタル由来変異型ルシフェラーゼ発現用トランス
ファーベクター又はロブスタートロポミオシン由来の2
1塩基対の非翻訳領域を含むホタル由来変異型ルシフェ
ラーゼ発現用トランスファーベクターを用いる組換えバ
キュロウイルスの作成及びその増幅は実施例3に記載し
た手順に従い、プラークアッセイ、ウイルス増殖その
1、ウイルス増殖その2、及びウイルス増殖その3をそ
れぞれ行った。
【0041】<ホタル由来変異型ルシフェラーゼの発現
>培地10ml中の7.5×106個のSf9細胞を、10c
mシャーレに固定した。次いで、moiが2になるよう
にウイルス増幅その3で作成したウイルスを感染させ、
27℃で2時間インキュベートした。培地を取り除きあ
らたに10mlの修正 Sf900II培地を加え27℃で48
時間培養した。細胞をシャーレからはがしてファルコン
社製15ml遠心チューブに移し、1,200Gで10
分間遠心分離を行い、上清を捨てた。得られた細胞に、
500μlの低張細胞破砕溶液II(20mMトリス塩
酸,pH 8.0、5mMの2−メルカプトエタノール) を
加え、ピペッティングにより細胞を壊し、1.5mlの
チューブに移し、トミー社製遠心分離機(MX−16
0)で、15,000rpmで15分間遠心分離を行っ
た。その上清を集め、上述の低張細胞破砕溶液IIで10
00倍に希釈した。この1000倍希釈液20μlをル
ミノメーターキュベットに添加し、プロメガ社製ルシフ
ェラーゼ・アッセイ試薬100μlをオートインジェク
ターを利用して混合し、混合8秒後から10秒間の発光を
積算したものをRLUとした。その結果、ロブスター由
来リーダー配列を持つ場合15208.4RLU(n=
5)、持たない場合は2162.0RLU(n=5)で
あり、リーダー配列がある場合は、ない場合に比べて約
7倍の活性を示した。
【0042】
【発明の効果】本発明のポリヌクレオチド配列(配列番
号:1)若しくはその一部又はこれらを含むポリヌクレ
オチド配列の下流に目的のポリぺプチドをコードするコ
ーディング配列を連結することにより、目的のポリぺプ
チドの発現を顕著に増加させることができる。また、本
発明のトランスファーベクター又は本発明の組換えバキ
ュロウイルスを用いて目的のポリぺプチドを生体細胞中
で発現させることにより目的のポリぺプチドを容易に大
量生産することができる。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> RIKEN <120> A method for producing polypeptides <130> RJH13- <160> 5 <210> 1 <211> 21 <212> DNA <213> Homarus americanus <400> 1 aactcctaaa aaaccgccac c 21 <210> 2 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 2 ggtctagaaa ctcctaaaaa accgccacc 29 <210> 3 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 3 ttggatccga gagtgtttag tagccagac 29 <210> 4 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 4 ctgttggtaa agccaccatg g 21 <210> 5 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <400> 5 ggatccttac acggcgatct ttccgc 26
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ベクターpVL1392のマルチクロ
ーニングサイトのXbaIサイトとBamHIサイトの
間にロブスター由来のトロポミオシンcDNAを挿入し
て構築したトランスファーベクターの模式図である。ト
ロポミオシンのコーディング配列の上流側でXbaIサ
イトの下流側にトロポミオシンcDNA由来の21塩基
対の非翻訳領域が存在することが示されている。なお、
ポリヘドリンプロモーターの開始コドンは壊れている。
【図2】図2は、ベクターpAcC4のNcoIサイト
とBamHIサイトの間にウサギ骨格筋のα−トロポミ
オシンcDNAを挿入して構築したトランスファーベク
ターの模式図である。このベクターでは、NcoIサイ
トの直ぐ下流側にトロポミオシンのコーディング配列が
連結されている。
【図3】図3は、ベクターpVL1392のマルチクロ
ーニングサイトのXbaIサイトとBamHIサイトの
間にウサギ骨格筋由来のα−トロポミオシンcDNAを
挿入して構築したトランスファーベクターの模式図であ
る。トロポミオシンのコーディング配列の上流側でXb
aIサイトの下流側にトロポミオシンcDNA由来の2
1塩基対の非翻訳領域が存在することが示されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 佳代 兵庫県揖保郡新宮町光都2−3−21 (72)発明者 前田 雄一郎 兵庫県揖保郡新宮町光都2−3−21 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 AA20 BA08 BA80 CA04 CA20 DA02 EA02 EA04 FA01 FA02 GA11 GA18 HA20 4B064 AG01 CA10 CA19 CC01 CC03 CC12 CC24 CE02 CE04 CE06 CE14 DA01 DA13 DA16 4B065 AA90X AA90Y AB01 AC14 BA02 BB01 BC03 BC09 BC14 BC26 BD01 BD14 BD15 BD17 CA24 CA43 CA44 CA46

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1に記載のロブスター由来の
    非翻訳リーダー配列であって、その下流に置かれたコー
    ディング配列の発現を増加させる機能を有する塩基配
    列。
  2. 【請求項2】 配列番号:1に記載の塩基配列におい
    て、1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、挿入
    及び/又は付加された塩基配列であって、その下流に置
    かれたコーディング配列の発現を増加させる機能を有す
    る塩基配列。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の塩基配列及
    びその下流に連結された目的のポリぺプチドをコードす
    るDNA配列をバキュロウイルス由来のプロモーター配
    列の下流に挿入して得られるトランスファーベクター。
  4. 【請求項4】 前記バキュロウイルス由来のプロモータ
    ー配列がポリヘドリン遺伝子配列である請求項3記載の
    トランスファーベクター。
  5. 【請求項5】 請求項3又は請求項4記載のトランスフ
    ァーベクター由来の前記ポリぺプチドの発現に関連のあ
    るDNA配列を生体内相同組換え、又はトランスポゾン
    由来のトランスエレメントによる挿入により組み込ん
    だ、目的のポリぺプチドを発現することができる組換え
    バキュロウイルスゲノム。
  6. 【請求項6】 前記相同組換えが、バキュロウイルスが
    宿主とすることができる昆虫又は昆虫培養細胞内で起こ
    るものである請求項5記載の組換えバキュロウイルスゲ
    ノム。
  7. 【請求項7】 前記昆虫が蚕である請求項6記載の組換
    えバキュロウイルスゲノム。
  8. 【請求項8】 前記昆虫培養細胞がSf9、Sf21、
    又は High five(商標)細胞である請求項6記載の組換
    えバキュロウイルスゲノム。
  9. 【請求項9】 前記相同組換えが、酵母細胞内で起こる
    ものである請求項5記載の組換えバキュロウイルスゲノ
    ム。
  10. 【請求項10】 前記相同組換え又はトランスポゾン由
    来のトランスエレメントによる挿入が大腸菌細胞内で起
    こるものである請求項5記載の組換えバキュロウイルス
    ゲノム。
  11. 【請求項11】 請求項5〜請求項10いずれか1項に
    記載の組換えウイルスゲノムを有する組換えバキュロウ
    イルス。
  12. 【請求項12】 請求項5〜請求項10いずれか1項に
    記載の組換えバキュロウイルスゲノムを、バキュロウイ
    ルスが宿主とすることができる昆虫又は昆虫培養細胞に
    トランスフェクションして得られる組換えバキュロウイ
    ルス。
  13. 【請求項13】 請求項11又は請求項12記載の組換
    えバキュロウイルスを昆虫又は昆虫培養細胞に感染さ
    せ、この細胞内で目的のポリぺプチドを発現させる工
    程、発現したポリぺプチドを回収する工程を含む前記ポ
    リぺプチドの生産方法。
  14. 【請求項14】 前記昆虫が蚕である請求項13記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 前記昆虫培養細胞がSf9、Sf21
    又は High five(商標)細胞である請求項13記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 配列番号:1記載の塩基配列、又はこ
    の配列において1若しくは数個のヌクレオチドが欠失、
    置換、挿入及び/又は付加された塩基配列であってその
    下流に置かれたコーディング配列の発現を増加させる機
    能を有する塩基配列を、目的のポリぺプチドをコードす
    る塩基配列の開始コドンの上流側に連結したトランスフ
    ァーベクターを調製する工程、次いで前工程で得られた
    トランスファーベクター中の目的ポリぺプチドの発現に
    関連する塩基配列を昆虫又は昆虫培養細胞内での相同組
    換えにより又は大腸菌細胞内で相同組換え若しくはトラ
    ンスポゾン由来のトランスエレメントによる挿入により
    バキュロウイルスに組み込んで組換えバキュロウイルス
    ゲノムを調製する工程、こうして得られた組換えバキュ
    ロウイルスゲノムをバキュロウイルスが宿主とし得る昆
    虫又は昆虫培養細胞にトランスフェクションして組換え
    バキュロウイルスを調製する工程、こうして得られた組
    換えバキュロウイルスを昆虫又は昆虫培養細胞に感染さ
    せ、この細胞内で目的のポリぺプチドを発現させる工
    程、そして発現された目的のポリぺプチドを回収する工
    程、を含むポリぺプチドの生産方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006011646A1 (ja) * 2004-07-27 2006-02-02 Riken N-デアセチラーゼ/n-スルホトランスフェラーゼ2を発現するベクター

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