JP2002323252A - 空調機制御用の温度変化量算出方法、および空調機のフィードフォワード制御方法 - Google Patents
空調機制御用の温度変化量算出方法、および空調機のフィードフォワード制御方法Info
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Abstract
度との偏差にしたがって制御入力を決定するために、設
定値、あるいは外気条件が違うとそれによって応答性が
異なる。 【解決手段】 加湿器による温度変化量を算出する方法
であって、空気線上における飽和蒸気線の任意の点と、
加湿を始める前の点との距離を算出する距離算出ステッ
プと、距離算出ステップによって算出された距離に基づ
いて、加湿前後の温度変化量を算出する温度変化量算出
ステップと、を備える。
Description
変化量算出方法に関する。特に本発明は、空調機の制御
に用いられる加湿器のモデル構築に関する。
空気の温度を塗装に適した温湿度に維持する必要があ
る。ブース内の温湿度の調節は、空調機によって行われ
ている。従来の空調機の温湿度制御では、PID(Prop
ortion Integration Differential)制御などによるフ
ィードバック制御が行われている。空調機の特性(モデ
ル)を加味した制御系(モデルベース制御、またはフィ
ードフォワード制御)は行われていない。
は、設定温湿度との偏差にしたがって制御入力を決定す
るために、設定値、あるいは外気条件が違うとそれによ
って応答性が異なる。特に偏差が大きいときは、フィー
ドバック制御は、オーバーシュートやハンチングを起こ
しやすい。したがって、オーバーシュート等を起こさな
いようにするにはPIDフィードバックのゲインを小さ
くするしかない。その結果、応答(設定温湿度に達する
までの時間)が遅くなる。このためフィードバック制御
では、設定温湿度に達するまでの時間(条件を満たして
いないので塗装できない時間、すなわち、非稼働時間)
が長いために、エネルギーロスが大きい。また、PID
フィードバックゲインを大きくできないことから、設定
温湿度に対し定常偏差が残る場合があり、制御の精度が
悪く、場合によっては設定温湿度を外れることがある。
すなわち、温湿度制御の高精度化の要求に対してはPI
Dフィードバック制御では対応に限界がある。
いない背景には、断熱加湿器のモデル化が容易ではない
こと、および、理論式に基づいて数理モデルを立てると
非常に複雑なモデルになり、数理モデルを制御系に組み
込むのが困難であることが挙げられる。断熱加湿器のモ
デル化が難しい理由は、加湿器での加湿、温度変化のメ
カニズムが複雑で、かつその変化量は、加湿器前段の温
湿度やそのバラツキ、加湿効率など、様々な要因の影響
を受け、それらが複雑に絡み合っているためであると考
えられる。また、数理モデルが複雑な理由は、空気線図
上の状態の推移を数式で表すと、非常に複雑になるた
め、また、個々のパラメータの同定が不可能に近いため
であると考えられる。
とのできる加湿器による温度変化量算出方法、および空
調機のフィードフォワード制御方法を提供することを目
的とする。
温度変化量を算出する方法であって、空気線上における
飽和蒸気線の任意の点と、加湿を始める前の点との距離
を算出する距離算出ステップと、距離算出ステップによ
って算出された距離に基づいて、加湿前後の温度変化量
を算出する温度変化量算出ステップと、を備える。
る前の点を含む等エンタルピ線と飽和蒸気線との交点か
ら、加湿を始める前の点までの距離を算出する。
算出ステップによって算出された距離を変数とする関数
によって温度変化量を算出する。
をフィードフォワード制御する方法であって、空気線上
における飽和蒸気線の任意の点と、加湿を始める前の点
との距離に基づいて算出された温度変化量に基づいて、
加熱器による加熱量を制御する。
制御される加湿器による温度変化量を算出する方法であ
って、分割領域ごとに、空気線上における飽和蒸気線の
任意の点と、分割領域における加湿を始める前の点との
距離を算出するステップと、分割領域ごとに、算出され
た距離に基づいて、加湿前後の温度変化量を算出する温
度変化量算出ステップと、を備える。
湿器のモデル化について、以下に説明する。加湿器の典
型例は、水を含む濡れ壁である。濡れ壁中の水の量はバ
ルブ開度により調節することができる。
の温度変化を表わすグラフである。このグラフにおい
て、同じバルブ開度におけるプロットは、異なる温湿度
条件における結果を表わす。このグラフ中、実線はバル
ブ開度と温度変化との関係を、2次関数でフィッテング
したものである。2次関数によるモデルと、実際のデー
タとの相関係数は0.47である。このように、バルブ
開度をパラメータとして温湿度変化を制御するモデル
は、加湿前の温湿度条件によってバラツキが大きく、精
度が十分得られない。したがって、加湿器をモデル化す
るには、バルブ開度以外のパラメータが必要であること
がわかる。しかし、モデルを理論式により求めようとす
ると、加湿器前段の空気温湿度、または、加湿器固有の
形状、もしくは特性など様々な条件が入り込むため、非
常に複雑になり、非現実的である。そこで、空気線図上
のあるパラメータに着目し、簡潔かつ精度の良いモデル
を得る方法を提案する。
したときに、加湿前の空気の温湿度を様々な条件にした
場合の温度変化量を表わす3次元グラフである。このグ
ラフの底面の2軸は、それぞれ、加湿を開始する前の空
気の温度、絶対水分量を示す。各外気条件(温度、絶対
水分量)において、加湿を行った場合の温度変化量ΔT
が、上記温度を示す軸、および絶対水分量を示す軸と直
交する軸に示されている。このグラフから、各外気条件
における温度変化量を示す点がほぼ同一平面上に乗って
いることがわかる。そして、この平面と3次元グラフの
底面とが交差する線は、飽和蒸気線とほぼ一致すること
が見出された。さらに、各温度変化量ΔTは、加湿をす
る前の外気の温度、および絶対水分量を示す点が、飽和
蒸気線より遠いほど大きくなる傾向があることがわか
る。すなわち、温度低下量ΔTは、加湿前の空気温湿度
と飽和蒸気線との距離に依存することが明らかになっ
た。以下では、加湿前の空気温湿度と飽和蒸気線との距
離を、パラメータdと呼ぶ。パラメータdによって、加
湿器の温度低下モデルが表わされる。
ータdを空気線図上で表わしたグラフである。パラメー
タdは、理論式で表わす場合には、温度Tのみに着目し
た一例として、Wexler−Hylandの式などを
用いて記述できる。しかし、この式は非常に複雑である
ので、以下の式のようにbの2次関数で近似した。ここ
で、bは加湿前の空気の状態を含む等エンタルピ線の切
片に相当する。
8b−4.9283)
を用いて、次式のように表わす。
ば、算出したパラメータdと実測したΔTについて最小
二乗法により求める。
気線図上のパラメータdに依存するとしたことにより、
加湿器前段の温度、湿度など、様々な要因に依存する加
湿器での温度変化量を一つのパラメータだけで表現で
き、モデルが非常に簡潔化できる。また、モデルが簡潔
なため、加湿器を含む空調機の制御系にモデルを組み込
むことが容易になる。また、加湿器の高精度かつ簡潔な
モデルにより、ブース空調の制御の高性能化(応答性、
追従性)が可能となり、空調に要する無駄なエネルギー
を削減することができる。
器による状態変化が断熱変化の場合には、加湿前の点を
通る等エンタルピ線上が好適な例である。また、断熱変
化を伴わない加湿器については、パラメータdの経路と
して、加湿器の温水の温度等で決まる線上を用いてもよ
い。
本発明を説明する。
れる空調システムの概略を示す図である。本実施形態に
おいては、ブース200内に空調機10によって調節さ
れた空気が送られる。空調が必要とされる設備の好適な
例として、車両の塗装作業が行われる塗装ブースがあ
る。塗装ブースにおいては、ブース200内の空気は、
塗装工程に適した所定の温湿度に維持される必要があ
る。
た外気を所定の温湿度に調節する。所定の温湿度に調節
された空気は、ファン300によりブース200内に送
られる。ブース200には、別のファン310が設置さ
れており、ファン310によりブース200内の空気が
排気される。
30、第2の加湿器40を有する。加熱器20、第1の
加湿器30、および第2の加湿器40の具体例を図5に
示す。加熱器20は、加熱器20を通過する空気の温度
を所定の温度まで上昇させる。加熱器20の典型例はス
チームヒータである。加熱器20は加温のみを行い、湿
度への影響は無視できる。第1の加湿器30は、第1の
加湿器30を通過する空気の湿度を所定の湿度まで上昇
させる。第1の加湿器30の典型例は、水を含む濡れ壁
(ワッシャ)である。濡れ壁中の水の量はバルブ開度に
より調節することができる。空気は、濡れ壁を通過する
ことにより加湿される。加湿量はバルブ開度により調節
可能である。なお、加湿がされると空気の温度低下も同
時に起きる。このときの状態変化は、断熱変化である。
第2の加湿器40は、第2の加湿器40を通過する空気
の湿度を微調整する。第2の加湿器40を通過する空気
の温度はほぼ一定である。第2の加湿器40の典型例
は、スチーム噴霧装置である。
ロック図である。空調制御装置50は、温湿度設定部1
10、FF(フィードフォワード)制御部60、および
FB(フィードバック)制御部100を備える。温湿度
設定部110は、外気温度および外気湿度、並びにブー
ス200内の空気の設定温度、および設定湿度について
の入力を受け付ける。また、温湿度設定部110は、受
け付けた設定温湿度等の情報を、FF制御部60および
FB制御部100に送信する。FF制御部60は、ブー
ス200に供給される空気が所定の設定温湿度になるよ
うに、空調機10の制御量を調節する。
の加湿制御部80、および第2の加湿制御部90を含
む。加熱制御部70は、加熱器20の動作を制御する。
スチームヒータの例では、スチームの温度、または流量
が制御される。第1の加湿制御部80は、第1の加湿器
30の動作を制御する。ワッシャの例では、バルブ開度
が制御される。第2の加湿制御部90は、第2の加湿器
40の動作を制御する。スチーム噴霧装置の例では、ス
チームの噴霧量が制御される。
るために、加熱器20、第1の加湿器30、および第2
の加湿器40の動作特性(モデル)に基づいて行われ
る。加熱器20、第1の加湿器30、および第2の加湿
器40の動作特性は、それらを通過する空気の状態変化
を予め調べることにより求められる。FF制御に用いる
モデルの算出方法、およびモデルに基づいたFF制御に
ついては後述する。
けられた温湿度センサ210から、ブース200内の温
湿度に関する情報を受け取り、ブース200内の設定温
湿度と偏差がある場合には、その偏差を打ち消すように
空調機10の制御量を調節する。なお、FB制御は、F
F制御を補佐するためのものであり、本実施形態におい
ては、必ずしも必須ではないが、FB制御により、設定
温湿度に達した後の、空調機10の制御をよりきめ細か
く行うことができる。
ロー]図7は、第1の加湿器30の温度変化モデルを算
出するフローチャートである。第1の加湿器30には、
加湿前後の空気の温湿度を測定する温湿度センサが設け
られている。まず、第1の加湿器30による加湿前の空
気の温度および湿度が測定される(S10)。次に、加
湿前の空気の温度および湿度からそれに対応するパラメ
ータdが求めらる(S20)。続いて、第1の加湿器3
0による空気の加湿が行われる(S30)。加湿後の空
気の温度と、加湿前の空気の温度との差ΔTが測定され
る(S40)。パラメータdに対して温度変化量ΔTが
グラフ上にプロットされる(S50)。プロットされた
点について、たとえば最小二乗法により一次近似式が算
出され、算出された一次近似式と、実際の点との相関係
数が計算される(S60)。相関係数が所定の条件(た
とえば「相関係数≧0.9」)を満たすか否かが判定され
る(S70)。相関係数が所定の条件を満たす場合に
は、高相関とみなされ、一次近似式で求まった係数をF
F制御に用いる。相関係数が所定の条件を満たさない場
合には、加湿前の空気温湿度を変化させた後(S8
0)、再度、加湿前空気温湿度測定(S10)に続く処
理が行われる。
いて算出することができる。
8b−4.9283)
温湿度からその温湿度の等エンタルピ線を求め、その直
線の切片から直線と飽和蒸気線の交点を2次式を解いて
求め、加湿前空気温湿度の点との差を取ることによって
近似的に得た式である。
たパラメータdとそれに対応する温度変化量ΔTの実測
値をプロットしたグラフである。このグラフ中の実線
は、dとΔTとの関係を最小二乗法によりフィッティン
グした線を表わす。これにより、ΔTがdの一次式で近
似することができる。
との差に基づいて、第1の加湿器30のバルブ開度が設
定される。第1の加湿器30による加湿量は、設定湿度
を越えない範囲で、なるべく設定湿度に近づくような量
である。次に、第1の加湿器30による加湿の際に生じ
る温度低下量ΔTが予測される。ΔTは上記のようにし
て求めたdの一次式を使って予測される。
の空気の温度との差に、温度低下量ΔTを加えた量であ
る。すなわち、第1の加湿器30による温度低下量ΔT
が予測されることにより、加熱器20による温度上昇を
適切に設定することができる。
加湿器30による加湿、冷却後の空気の湿度と、設定湿
度との差に相当する量である。
湿器30、および第2の加湿器40を上記の条件を満た
すように制御する。
度に調整されるときの状態変化を説明する。図9の例
は、外気(空調機に取り込まれた空気、または初期状態
の空気)が、設定温湿度に比べて、温度、湿度ともに低
い場合に該当する。具体的には、冬季における空調の例
である。まず加熱器20により、空気の温度が点Aまで
上げられる。次に、第1の加湿器30により、空気の温
湿度が点Bに変えられる。最後に、第2の加湿器40に
より、空気温湿度が設定温湿度に微調整される。このよ
うに、空調前の空気の温湿度と、設定温湿度に基づい
て、空調機の動作を決める制御量が調節される。
る第1の加湿器30のモデルを用いたFF制御の効果を
示すグラフである。FF制御によれば、設定温度に到達
する時間は約5分であるのに対して、FB制御では、設
定温度に達するのに約15分を要する。このように、F
F制御を用いることにより、設定温度に到達するまでの
時間(不稼働時間)を従来に比べて大幅に短縮すること
ができた。不稼働時間の短縮により、無駄なエネルギー
の消費を抑制することができ、ひいては、CO2排出量
の軽減に寄与することが可能となる。
る第1の加湿器30の構成を示す図である。この場合、
第1の加湿器30は、複数の部分に分割され、それぞれ
部分のバルブ開度が制御可能である。分割された各部分
のバルブ開度は、第1の加湿制御部80によって制御さ
れる。第1の加湿器30の前段の空気温度に分布がある
場合を考える。実際のケースとしては、第1の加湿器3
0の前段にある加熱器20の温度分布が一様でない場合
が挙げられる。この場合には、第1の加湿器30を単一
のモデルで表わそうとすると、加湿される空気温度のバ
ラツキが考慮されないため、加湿前後の温度変化量を正
しく見積もることができない場合がある。
力(たとえば、加湿器への水供給量調整バルブの開度な
ど)の区切り)ごとに、異なるモデル式を構築する。
前段の温湿度分布に起因する、単一モデルでは表しきれ
ない温度変化量のばらつき、第1の加湿器30による加
湿を個々のモデルで吸収でき、ばらつきに影響されない
精度の良いモデルとして表現できる。
たが、本発明の変形例として、断熱変化を伴なう加湿器
が複数段ある場合にも、上記手法の組み合わせにより実
施できることはもちろんである。
に基づいて温度変化量を算出する方法を開示したが、こ
の算出方法を加湿器による加湿前後の湿度変化量の算出
に応用することが可能であることは言うまでもない。
よれば加湿器についての簡潔なモデルを提供することが
できる。
すグラフである。
係を示すグラフである。
ある。
を示す図である。
の加湿器40の具体例を示す図である。
ある。
るフローチャートである。
度変化量ΔTの実測値をプロットしたグラフである
化を表わす空気線図である。
デルを用いたFF制御の効果を示すグラフである。
成を示す図である。
0 第2の加湿器、50 空調制御装置、60 FF制
御部、70 加熱制御部、80 第1の加湿制御部、9
0 第2の加湿制御部、100 FB制御部、110
温湿度設定部、200 ブース、210 温湿度セン
サ。
Claims (5)
- 【請求項1】 加湿器による温度変化量を算出する方法
であって、 空気線上における飽和蒸気線の任意の点と、加湿を始め
る前の点との距離を算出する距離算出ステップと、 距離算出ステップによって算出された距離に基づいて、
加湿前後の温度変化量を算出する温度変化量算出ステッ
プと、を備えることを特徴とする加湿器による温度変化
量算出方法。 - 【請求項2】 前記距離算出ステップは、加湿を始める
前の点を含む等エンタルピ線と飽和蒸気線との交点か
ら、加湿を始める前の点までの距離を算出することを特
徴とする請求項1に記載の加湿器による温度変化量算出
方法。 - 【請求項3】 前記温度変化量算出ステップは、距離算
出ステップによって算出された距離を変数とする関数に
よって温度変化量を算出することを特徴とする請求項1
または2に記載の加湿器による温度変化量算出方法。 - 【請求項4】 加熱器と加湿器とを含む空調機をフィー
ドフォワード制御する方法であって、 空気線上における飽和蒸気線の任意の点と、加湿を始め
る前の点との距離に基づいて算出された温度変化量に基
づいて、加熱器による加熱量を制御することを特徴とす
る空調機のフィードフォワード制御方法。 - 【請求項5】 分割された領域ごとに加湿量が制御され
る加湿器による温度変化量を算出する方法であって、 分割領域ごとに、空気線上における飽和蒸気線の任意の
点と、分割領域における加湿を始める前の点との距離を
算出するステップと、 分割領域ごとに、算出された距離に基づいて、加湿前後
の温度変化量を算出する温度変化量算出ステップと、を
備えることを特徴とする加湿器による温度変化量算出方
法。
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- 2001-04-24 JP JP2001125281A patent/JP4383688B2/ja not_active Expired - Fee Related
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