JP2002322716A - 水洗式便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】洗浄及び排出に要する洗浄水の必要量をさらに
低下可能な水洗式便器を提供する。 【解決手段】使用者Ｈの大便を受ける大便鉢面５ｃと、
大便鉢面５ｃの前方で使用者Ｈの小便を受ける小便鉢面
５ｄとが各々独立して形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は水洗式便器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の水洗式便器には単一の便鉢面が形
成されている。それが洋風水洗式便器の場合、使用者は
その洋風水洗式便器に便座を介して着座し、この状態で
便鉢面内に排便を行うこととなる。また、それが和風水
洗式便器の場合、使用者はその和風水洗式便器を跨いで
しゃがみこみ、この状態で便鉢面内に排便を行うことと
なる。こうして便鉢面が受けた汚物は、便鉢面を洗浄す
る洗浄水とともに排出されることとなる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の水
洗式便器は便鉢面が単一であり、その便鉢面は、使用者
の尿道口と肛門とが着座時又はしゃがみこんだ時には前
後にずれているにもかかわらず、それらから排泄される
大便及び小便を共通して受けなければならないことか
ら、必然的に容積が大きくなっている。

【０００４】このため、その水洗式便器では、使用者が
大便だけをする場合及び使用者が小便及び大便をする場
合、便鉢面の容積を加味したある程度大量の洗浄水を必
要とする。使用者が小便だけをする場合、その必要量は
低下するものの、依然として便鉢面の容積を加味し、未
だ大量の洗浄水を必要とする。

【０００５】本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされ
たものであって、洗浄及び排出に要する洗浄水の必要量
をさらに低下可能な水洗式便器を提供することを解決す
べき課題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の水洗式便器は、
使用者の大便を受ける大便鉢面と、該大便鉢面の前方で
該使用者の小便を受ける小便鉢面とが各々独立して形成
されていることを特徴とする。

【０００７】この水洗式便器は大便鉢面と小便鉢面とを
有している。大便鉢面は、着座時又はしゃがみこんだ時
の使用者の肛門の下方に位置し、大便のみを受ける。こ
のため、この大便鉢面の容積は従来の単一の便鉢面の容
積より小さくなり得る。他方、小便鉢面は、着座時又は
しゃがみこんだ時の使用者の尿道口の下方に位置し、小
便のみを受ける。このため、この小便鉢面の容積は従来
の単一の便鉢面の容積よりかなり小さくなり得る。そし
て、この水洗式便器では、大便鉢面の容積と小便鉢面の
容積とを合計しても、その合計の容積は、従来の単一の
便鉢面の容積に比し、使用者の尿道口と肛門との間の下
方の空間の分だけ小さくなり得る。このため、大便鉢面
の容積と小便鉢面の容積との合計の容積を加味した量の
洗浄水で汚物の洗浄及び排出が可能である。

【０００８】したがって、本発明の水洗式便器によれ
ば、洗浄及び排出に要する洗浄水の必要量をさらに低下
することができる。

【０００９】また、本発明の水洗式便器では、大便鉢面
と小便鉢面とがそれぞれ小容積となっているため、大便
及び小便の跳ね返り、小便の飛散等を生じにくく、衛生
的である。

【００１０】大便鉢面と小便鉢面とは洗浄水により独立
して洗浄可能に設けられていることが好ましい。こうで
あれば、使用者が小便だけをする場合、小便鉢面のみを
洗浄し、かつ小便を排出することができる。この際、小
便鉢面の容積が従来の単一の便鉢面の容積に比してかな
り小さくなるため、従来の小便のみの洗浄時に比し、か
なりの洗浄水の節約が可能である。また、大便鉢面を洗
浄する必要がなくなるため、特にこの効果は大きい。他
方、使用者が大便だけをする場合、大便鉢面のみを洗浄
し、かつ大便を排出することができる。この際、やはり
大便鉢面の容積が従来の単一の便鉢面の容積に比して小
さくなるため、従来の小便のみの洗浄時に比し、洗浄水
の節約が可能である。また、小便鉢面を洗浄する必要が
なくなるため、やはりこの効果は大きい。

【００１１】大便鉢面と小便鉢面とは上面より低い境界
部で隣接されていることが好ましい。子供等では、肛門
の位置と尿道口の位置との距離には差がある。そうであ
っても、この手段を採用しつつ、肛門を大便鉢面上に位
置させれば、境界部にされた小便を大便鉢面又は小便鉢
面に導くことができる。

【００１２】大便鉢面の洗浄時には大便鉢面内の洗浄水
が境界部を乗り越えて小便鉢面に至ることが好ましい。
こうであれば、大便鉢面を洗浄する洗浄水により境界部
を洗浄することができる。

【００１３】大便鉢面には大便鉢用トラップが接続さ
れ、小便鉢面には小便鉢用トラップが接続されているこ
とが好ましい。これにより、それぞれ独立して封水を形
成できるため、一方のみの排便時に他方の封水の入れ替
えが必要でなくなり、節水効果が大きい。

【００１４】小便鉢用トラップは大便鉢用トラップより
細いことが好ましい。これによりさらに節水効果を大き
くすることができる。

【００１５】大便鉢用トラップと小便鉢用トラップとは
単一の筒体に接続されていることが好ましい。これによ
り施工が容易になるとともに、製造コストの低廉化を実
現できる。この場合、各封水の水位を等しくすることが
逆流を防止する点で好ましい。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施形
態を図面を参照しつつ説明する。

【００１７】実施形態の水洗式便器は、図１〜６に示す
ように、洋風水洗式便器である。この洋風水洗式便器
は、床面１上に設けられた陶磁器製の支持体３と、この
支持体３の上方に固定された陶磁器製の鉢体５とからな
る。

【００１８】支持体３は、図５に示すように、略筒状を
なしており、上端の内側には外側より低く、水平な載置
面３ａが形成されている。支持体３内には図示しない給
水管と接続された便器洗浄装置７及び局部洗浄装置９が
設けられている。この支持体３の前部側壁からは、図１
〜４及び図６に示すように、床面１より高く、鉢体５の
上面５ａより低いステップ３ｂが両側に突出している。

【００１９】図５に示すように、鉢体５には支持体３の
載置面３ａと整合する被載置面５ｂが形成され、これに
より鉢体５は支持体３上に差し込みにより固定されるよ
うになっている。鉢体５の上面５ａは前方に向かって下
方に傾斜しており、鉢体５の上面５ａには、使用者Ｈの
大便を受ける大便鉢面５ｃと、大便鉢面５ｂの前方で使
用者Ｈの小便を受ける小便鉢面５ｄとが各々独立して凹
設されている。大便鉢面５ｃと小便鉢面５ｄとは、上面
５ａより低く、大便鉢面５ｃの洗浄時に大便鉢面５ｃ内
の洗浄水が乗り越えて小便鉢面５ｄに至る高さの境界部
５ｅで隣接されている。

【００２０】鉢体５の上部には、大便鉢面５ｃを囲む大
便鉢用リム５ｆと、小便鉢面５ｄを囲む小便鉢用リム５
ｇとが独立して形成されており、大便鉢用リム５ｆと小
便鉢用リム５ｇとはそれぞれ大便鉢射水口５ｈと小便鉢
射水口５ｉとにより大便鉢面５ｃと小便鉢面５ｄとに開
口している。大便鉢用リム５ｆと小便鉢用リム５ｇとは
それぞれ便器洗浄装置７に図示しない配管により接続さ
れ、それぞれには独立して洗浄水が供給されるようにな
っている。

【００２１】また、鉢体５の境界部５ｅ内には局部洗浄
装置９と図示しない配管で接続されたノズル装置１１が
収納されており、境界部５ｅに形成された開口１１ａか
らノズル装置１１のおしり用又はビデ用の両ノズルが封
止された状態で突出可能になっている。

【００２２】さらに、鉢体５では、大便鉢面５ｃに大便
鉢用トラップ５ｊが接続され、小便鉢面５ｄには大便鉢
用トラップ５ｊより細い小便鉢用トラップ５ｋが接続さ
れている。大便鉢用トラップ５ｊと小便鉢用トラップ５
ｋとは単一の筒体５ｌを形成しており、筒体５ｌは床面
１に突出した排出管１３に封止状態で接続されている。

【００２３】上記のように構成された実施形態の洋風水
洗式便器は、使用者Ｈが直接着座し、図６にも示すよう
に、その肛門Ｈ１を大便鉢面５ｃの上方に位置させると
ともに、その尿道口Ｈ２又はＨ３（男性はＨ２、女性は
Ｈ３）を小便鉢面５ｄの上方に位置させて使用される。
なお、Ｈ４は女性器である。そして、使用者Ｈが大便を
すれば、大便鉢面５ｃが大便のみを受ける。また、使用
者Ｈが小便をすれば、小便鉢面５ｄが小便のみを受け
る。この際、この洋風水洗式便器では、大便鉢面５ｃと
小便鉢面５ｄとがそれぞれ小容積となっているため、大
便及び小便の跳ね返り、小便の飛散等を生じにくく、衛
生的である。

【００２４】子供等が使用する場合、肛門Ｈ１を大便鉢
面５ｃ上に位置させれば、大便鉢面５ｃと小便鉢面５ｄ
とが上面５ａより低い境界部５ｅで隣接されているた
め、境界部５ｅにされた小便は大便鉢面５ｃ又は小便鉢
面５ｄに案内される。

【００２５】また、使用者Ｈが排便等の後、局部洗浄装
置９を駆動すれば、境界部５ｅの開口１１ａからおしり
用又はビデ用の両ノズルが封止された状態で突出し、肛
門Ｈ１又は女性器Ｈ４の洗浄が可能である。

【００２６】そして、使用者Ｈが小便だけをした場合、
便器洗浄装置７を駆動すれば、洗浄水が小便鉢用リム５
ｇ及び小便鉢射水口５ｉを経て小便鉢面５ｄのみを洗浄
した後、小便鉢用トラップ５ｋ、筒体５ｌ及び排出管１
３を経て小便を排出する。この際、小便鉢面５ｄの容積
がかなり小さいため、さほどの洗浄水を必要としない。
また、大便鉢面５ｃを洗浄しないため、特にこの効果は
大きい。

【００２７】また、使用者Ｈが大便だけをした場合、便
器洗浄装置７を駆動すれば、洗浄水が大便鉢用リム５ｆ
及び大便鉢射水口５ｈを経て大便鉢面５ｃのみを洗浄し
た後、大便鉢用トラップ５ｊ、筒体５ｌ及び排出管１３
を経て大便を排出する。この際、やはり大便鉢面５ｃの
容積が小さいため、大量の洗浄水を必要としない。ま
た、小便鉢面５ｄを洗浄しないため、やはりこの効果は
大きい。

【００２８】これらの間、大便鉢用トラップ５ｊと小便
鉢用トラップ５ｋとは独立して封水を形成するため、一
方のみの排便時に他方の封水の入れ替えが必要でない。

【００２９】さらに、使用者Ｈが小便及び大便をした場
合、便器洗浄装置７を駆動すれば、洗浄水が大便鉢用リ
ム５ｆ及び大便鉢射水口５ｈを経て大便鉢面５ｃを洗浄
するとともに、小便鉢用リム５ｇ及び小便鉢射水口５ｉ
を経て小便鉢面５ｄを洗浄した後、大便鉢用トラップ５
ｊ、小便鉢用トラップ５ｋ、筒体５ｌ及び排出管１３を
経て大便及び小便を排出する。この際、大便鉢面５ｃの
容積と小便鉢面５ｄの容積とを合計しても、その合計の
容積も小さく、やはりさほど大量の洗浄水を必要としな
い。

【００３０】大便鉢面５ｃの洗浄時には大便鉢面５ｃ内
の洗浄水が境界部５ｅを乗り越えて小便鉢面５ｄに至る
ため、大便鉢面５ｃを洗浄する洗浄水により境界部５ｅ
を洗浄することができる。

【００３１】したがって、この洋風水洗式便器によれ
ば、洗浄及び排出に要する洗浄水の必要量を低下し、大
きな節水効果を得ることができる。特に、この洋風水洗
式便器では、小便鉢用トラップ５ｋが大便鉢用トラップ
５ｊより細いため、節水効果が大きい。

【００３２】また、この洋風水洗式便器では、大便鉢用
トラップ５ｊと小便鉢用トラップ５ｋとが単一の筒体５
ｌに接続されているため、施工が容易であるとともに、
製造コストの低廉化を実現している。

【００３３】なお、上記実施形態では支持体３及び鉢体
５を陶磁器製としたが、これらの少なくとも一方をガラ
ス、金属、プラスチック等により構成することもでき
る。これらをガラス又は金属により構成した場合にはリ
サイクルが容易になる。また、鉢体５をガラス製とした
場合には審美感を呈することができる。

【００３４】また、上記実施形態では本発明の水洗式便
器を洋風水洗式便器に具体化したが、本発明の水洗式便
器を和風水洗式便器に具体化することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施形態の洋風水洗式便器の正面図である。

【図２】実施形態の洋風水洗式便器の側面図である。

【図３】実施形態の洋風水洗式便器の背面図である。

【図４】実施形態の洋風水洗式便器の平面図である。

【図５】実施形態の洋風水洗式便器に係り、使用状態の
垂直断面図である。

【図６】実施形態の洋風水洗式便器に係り、使用状態の
水平断面図である。

【符号の説明】

Ｈ…使用者 ５ｃ…大便鉢面 ５ｄ…小便鉢面 ５ｅ…境界部 ５ｊ…大便鉢用トラップ ５ｋ…小便鉢用トラップ ５ｌ…筒体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 崔 宰熏 愛知県常滑市鯉江本町５丁目１番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 中村 佳代子 愛知県常滑市鯉江本町５丁目１番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 益田 文和 東京都港区浜松町１−５−10 株式会社オ ープンハウス内 Ｆターム(参考） 2D039 AA05 AC03 AD04 DA05

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】使用者の大便を受ける大便鉢面と、該大便
   鉢面の前方で該使用者の小便を受ける小便鉢面とが各々
   独立して形成されていることを特徴とする水洗式便器。
2. 【請求項２】大便鉢面と小便鉢面とは洗浄水により独立
   して洗浄可能に設けられていることを特徴とする請求項
   １記載の水洗式便器。
3. 【請求項３】大便鉢面と小便鉢面とは上面より低い境界
   部で隣接されていることを特徴とする請求項１又は２記
   載の水洗式便器。
4. 【請求項４】大便鉢面の洗浄時には該大便鉢面内の洗浄
   水が境界部を乗り越えて小便鉢面に至ることを特徴とす
   る請求項３記載の水洗式便器。
5. 【請求項５】大便鉢面には大便鉢用トラップが接続さ
   れ、小便鉢面には小便鉢用トラップが接続されているこ
   とを特徴とする請求項１、２、３又は４記載の水洗式便
   器。
6. 【請求項６】小便鉢用トラップは大便鉢用トラップより
   細いことを特徴とする請求項５記載の水洗式便器。
7. 【請求項７】大便鉢用トラップと小便鉢用トラップとは
   単一の筒体に接続されていることを特徴とする請求項５
   又は６記載の水洗式便器。