JP2002322570A - 高耐食性アルミニウム材及びその表面処理方法 - Google Patents

高耐食性アルミニウム材及びその表面処理方法

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JP2002322570A
JP2002322570A JP2001127898A JP2001127898A JP2002322570A JP 2002322570 A JP2002322570 A JP 2002322570A JP 2001127898 A JP2001127898 A JP 2001127898A JP 2001127898 A JP2001127898 A JP 2001127898A JP 2002322570 A JP2002322570 A JP 2002322570A
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treatment method
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Yoshinori Furukawa
義徳 古川
Takeya Ohashi
健也 大橋
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高い耐食性を有し、かつ表面処理の際に
も環境上の問題を起こすことのないアルミニウム材を実
現する。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なる基体金属101の表面に、外表面より、アルミニウ
ムの水和酸化物層105、酸化アルミニウムを主成分と
し空孔率30体積%以下、好ましくは10〜25体積%
の酸化皮膜104、及びAl富裕層103が順に形成さ
れている。水和酸化物層105、酸化皮膜104及びA
l富裕層103を形成するには、基体金属101にブラ
スト又はホーニング処理を施した後、温度100〜30
0℃の高温純水中にて酸化処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐食性のアルミ
ニウム材及びその表面処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム又はアルミニウム合金製品
は、自動車部品や家電品用等への急速な応用展開が図ら
れ、近年、生産量がますます増加する傾向にある。これ
は主として、アルミニウム又はアルミニウム合金の次の
ような特徴によるものである。 (1) 軽量で取り扱い性に優れる。 (2) 鋳造性・加工性に優れ、薄肉・複雑な形状にも適
する。 (3) 時効変形量が小さく、寸法精度が高い。 (4) 耐食性が比較的よく、生産性が良い。
【0003】アルミニウム純金属も多く使われるが、多
く使用されるのはアルミニウム合金で、その種類別で
は、Al−Cu−Si系合金が生産量の大部分を占めて
いる。
【0004】アルミニウム又はアルミニウム合金は、耐
食性や外観上の問題から表面処理が必要とされる場合が
多く、陽極酸化、化成処理、めっき及び塗装などの方法
が用いられてきた。なかでも、耐食性や耐摩耗性に優れ
る陽極酸化処理やメッキ処理が多く採用されてきた。
【0005】しかし、アルミニウム又はアルミニウム合
金で用いられている陽極酸化や化成処理等の表面処理時
にはいくつかの問題があり、その一つが陽極酸化皮膜に
見られる局部的な溶解である。これが原因で外観性が劣
り、また、陽極酸化皮膜では、空孔が多いなど欠陥を有
し、耐食性が十分ではないのが実情であった。
【0006】また、金属Niメッキ処理表面の例におい
ては、チル層の特性及び急冷による内部残留応力の影
響、弱酸性環境の影響等で、メッキ剥がれが生じやす
く、特に、温度変化の激しい所、弱酸性(pH2〜4)
雰囲気中での使用材にあっては、前述のような不具合の
発生が顕著であった。
【0007】従来、これらの問題に対しては、1)合金成
分の添加量を検討する等の材料組成側からの検討、2)鋳
造欠陥を減少させるための鋳造条件及び鋳造法の改善、
3)前処理も含めた表面処理法の改良といった三方向から
の検討がなされてきた。しかし、1)に関しては、合金組
成は前述のアルミニウム及びアルミニウム合金の特性、
特に鋳造性、寸法精度及び生産性と機械的特性上の点か
ら現状を大きく変更することは困難で、また 2)に関し
ても生産性等の制約があり問題を解決するまでには至っ
ていない。従って、従来通りの材料組成及び製造法でつ
くられたものに対して如何に高性能な表面処理を施すか
という 3)の検討が重要となる。
【0008】これに関連し、特開平9−1319号公報
では、研掃処理、フッ酸及びフッ素化合物処理、化学研
磨を順に行った後に陽極酸化処理を施すことが提案され
ている。物理的あるいは化学的に表面を削ることで表面
性状を均一にし、均一染色性と光輝性のある陽極酸化皮
膜を形成させるものである。
【0009】しかし、工程が複雑になれば作業性及び経
済性が低下するとともに、度重なる研掃、研磨処理によ
りアルミニウム又はアルミニウム合金の特徴である寸法
精度に誤差を与える可能性がある。そのため、陽極酸化
皮膜の黄色化を防止するにしても簡易かつ寸法精度を維
持できる方法が求められている。
【0010】そこで、特開平9−184093号公報に
は、アルミニウム又はアルミニウム合金に対して、ベー
マイト処理後に0.07〜0.3μm厚さの無孔質陽極酸
化皮膜を形成することが提案されている。
【0011】また、特開3−39499号公報や特開3
−100198号公報には、表面層のSi粒子を除去す
る方法としてフッ化水素、硝酸等の混合液を使用し、そ
の後に硫酸、しゅう酸、クロム酸、リン酸等の電解液を
使用して陽極酸化処理を行うことが提案されている。
【0012】さらに、特開平1−287916号公報に
は、アルミニウム箔を純水ボイル工程後に、クエン酸水
溶液による陽極酸化工程に通して、静電容量を高めるこ
とが提案されている。
【0013】また、特開2000−64092号公報に
は、アルミニウム又はアルミニウム合金表面にベーマイ
ト処理を施すことが提案されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術では、優れた表面外観と耐食性の両立を目指し
たために、耐食性が充分ではなく、被膜の密着性につい
ても充分ではなかった。
【0015】さらに、フッ酸又はフッ素化合物処理によ
るチル層のSiを溶解除去及び陽極酸化処理法では、硫
酸、しゅう酸、りん酸、クロム酸、酒石酸、スルファミ
ン酸、ベンゼンスルホン酸等を少なくとも一種以上含む
水溶液を使用するので、環境上でも二次的な諸問題を残
す。
【0016】アルミニウム又はアルミニウム合金の用途
を更に将来にわたって拡大する上で重要な要素である、
基本的に一層から形成される皮膜で、対環境性において
も優れた特性を有する高耐食性皮膜の開発に向けて検討
を重ねてきた。
【0017】本発明の目的は、より高い耐食性を有し、
かつ表面処理の際にも環境上の問題を起こすことのない
アルミニウム材、及びその表面処理方法を提供すること
にある。
【0018】
【課題を解決するための手段】アルミニウム基合金部材
に対するベーマイト処理の効果を種々検討し、酸化アル
ミニウムの水和による体積膨張で被処理材表面をベーマ
イトがほぼ均質に覆い、かつ色むらの原因や耐食性を阻
害するAl−Si共晶組織等を合金部材極表面層から溶
出除去させることを高温水中で並行処理させた。その結
果、表面はベーマイト皮膜で、その下部のアルミニウム
基合金基材部表面はAl富裕として耐食性を改善させ、
製法においても環境に対しても優位で、かつ陽極酸化皮
膜やメッキ処理等の皮膜より広pH範囲にわたって高耐
食性であることを特徴とする処理法を見出し、本発明を
なすに至った。
【0019】すなわち、本発明の特徴の第一は、アルミ
ニウム及びアルミニウム合金の表面に、ショットサイズ
#70〜#240の鉄片又はアルミナ粉等を用いたブラ
スト又はホーニング処理による機械研削処理を施し、表
面層のチル不均一層や機械加工疵の除去、表面層への若
干の加工硬化によるひずみによる硬化層、及び微細な凹
凸を形成したことにある。本処理におけるショット吹き
付け空気圧は、1〜10kg/cmで、吹き付けガン
と製品との距離は5〜30cmが望ましい。
【0020】本発明の特徴の第二は、このようなチル層
の除去処理後にベーマイト皮膜形成処理を行うもので、
アルミニウムの水和酸化物を主成分とする外層と、空孔
率30体積%以下、好ましくは10〜25体積%で、高
密度のアルミニウム酸化物を主成分とする内層とから構
成される皮膜を形成させることにある。
【0021】本発明による被膜の特徴は、上述のアルミ
ニウム又はアルミニウム合金に前記ベーマイト皮膜形成
処理を施す過程において、皮膜形成と同時にアルミニウ
ム又はアルミニウム合金基材極表面を組織的に改良する
ものである。すなわち、本処理によって合金内の特に初
晶Siや共晶Si等が形成されるアルミニウム合金基材
表面からこれらのSiを溶出脱落させ、表面層にAl富
裕層とその皮膜を形成させ、その生成させた酸化アルミ
ニウムを主成分とした皮膜が高耐食性を発揮するという
ものである。
【0022】前述のアルミニウム又はアルミニウム合金
母材部内の耐食性に悪影響を及ぼす過飽和SiやAl−
Si共晶組織部等の溶出による減少は、前記ベーマイト
皮膜中のSiやSiO量をも減少させて、外部からの
腐食因子の金属表面への到達を抑制する効果の高い酸化
アルミニウム皮膜の形成を促している。
【0023】本ベーマイト皮膜形成処理は純水中に浸漬
し加熱することにより行われるが、この時の処理温度・
処理圧力をコントロールし、アルミニウム又はアルミニ
ウム合金表面からの適度な金属及び金属間化合物等の溶
出を図り、特にマトリックス中極表面の過飽和SiやA
l−Si共晶組織部等を溶出させて高耐食性皮膜の形成
を促し、耐食性に劣る過飽和SiやAl−Si共晶組織
部等の少ない金属表面層を同時形成するものである。
【0024】この方法により、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金の表面にベーマイト皮膜がほぼ全体を覆い、
かつその下部のアルミニウム及びアルミニウム合金基材
表面においてもより高耐食性のAl富裕層を多くした均
一な耐食性能表面が形成されることとなる。
【0025】前記皮膜形成処理において、使用純水は常
温での溶存酸素濃度が8〜32ppm、処理温度と時間
がそれぞれ100〜300℃、1〜100時間であるの
が好ましい。溶存酸素濃度が8ppm以下ではアルミニ
ウム酸化物の生成速度が遅すぎて長時間を要し、また3
2ppm以上では非実用的で作業性が劣る。また、使用
純水は常温での比抵抗値が1MΩcm以上であるのが好
ましい。さらに、温度が100℃未満ではベーマイト皮
膜の形成が遅く不安定で、またアルミニウム合金基材表
面からの組成溶出量が小さく、逆に300℃を超えると
アルミニウム合金基材表面の溶出が激しくなりすぎて皮
膜部分の形成が不安定になる。処理時間は、1時間以下
ではアルミニウム及びアルミニウム合金基材表面の溶出
が不十分で、100時間を超えると生産性の点から好ま
しくない。
【0026】本処理にあたって、前処理として行うブラ
スト又はホーニング処理は、製造時の汚れや機械加工疵
を除去し、併せて、製造時の内部残留応力を開放させる
と同時に金属極表面に加工による転位ひずみを与えて、
純水中処理時の溶出をほう助する。
【0027】また、前述の高温純水中処理終了後に行う
有機被覆層やフッ素樹脂コートは、部材のはっ水性や潤
滑性を向上させることを目的として設けられ、それによ
り、より耐食性の向上に大きな効果を及ぼす。
【0028】ここで、本発明に用いられるアルミニウム
又はアルミニウム合金の組成の代表例を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】本発明の前記高温純水中での処理は、溶存
酸素を有する高温純水以外の他の化学物質を一切含まな
いことが好ましい。
【0031】そして、本発明は、表面処理作業法におい
ても、環境問題に関する廃液処理等についても解決諸課
題が極めて少なく、かつ、より耐食性に優れたアルミニ
ウム又はアルミニウム合金とその処理方法及び用途が得
られる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に従って説明する。 (実施の形態1)図1は、本発明に係る高耐食性アルミ
ニウム材の製造処理工程を示す概略図である。図1
(a)は被処理材1の断面における表面状態を示してい
る。被処理材100は、アルミニウム又はアルミニウム
合金からなるベース基体(ダイカスト基材)101を備
え、その表面近傍には厚さ数μm〜数十μmの急冷凝固
組織であるチル層102が形成されている。チル層10
2は、急冷されたために微細な組織を有し、またAlと
合金元素との共晶、固溶体及び金属間化合物が複雑に形
成されている場合が多い。このような組織の不均一性が
表面処理時における皮膜の不均一性、すなわち生成する
皮膜の不健全性の主な原因となる。特にSiは、皮膜中
に分散することによって表面色むらを引き起こすなど影
響が大きい。なお、被処理材1がアルミニウム合金の場
合はAl−Cu−Si系合金が多用されている。また図
では最外表面にある極めて薄い自然酸化膜は省略されて
いる。
【0033】次に、被処理材100はアセトン及び純水
等によって脱脂洗浄が行われ、その後、#240アルミ
ナ粉によるホーニング処理が施される。このとき、アル
ミナ粉ショット噴出空気圧は3kg/cm、ガンと被
処理材100との距離は約15cm、ホーニング処理時
間は20〜30秒である。ホーニング処理によってチル
層の殆どは除去される。すなわち前述の組織的に不安定
で不均一な層が本処理によって除去され、同時にダイカ
スト疵や機械加工疵が殆ど除去される。その結果、図1
(a)のチル層102はほぼ削除される。光学顕微鏡に
よる表面観察では被処理材100の表面に小さな凹凸が
みられ、表面には加工による僅かな硬化層が付与されて
いた。本ホーニング処理後の表面粗さはRa1.3で、
一様な灰色を呈していた。
【0034】続いて、再び前述同様の洗浄を実施した
後、純水中で250℃、2時間の高温水中ベーマイト処
理を行う。本処理により、極表面層のAlと合金元素と
の共晶、固溶体及び金属間化合物等は溶出脱落し、ベー
ス基体101内部より少なくなる。
【0035】上記処理によって、ベース基体101と皮
膜との凹凸のある界面では、図1(b)に示すように、
ベース基体101側にAl富裕な層103ができる。ま
た、Al富裕な層103の外側には、アルミニウムの水
和酸化物を主成分とする外層(水和酸化物層)105
と、外層105の内側に緻密なアルミニウムの酸化物を
主成分とする多孔質からなる内層(酸化皮膜)104が
形成される。皮膜形成処理後の被処理材100の表面は
光沢を持たない灰黒色の一様な色彩となった。
【0036】ベーマイト処理後に行う有機被覆コート又
はフッ素樹脂コートは耐食性の改善に直接寄与するもの
ではないが、はっ水性と潤滑性の向上を狙ったもので、
本実施の形態ではスプレーによる塗布法及びディップ法
によるコーティング法を採用した。表面色はベーマイト
処理直後より明度が増加した。処理完了後の基材表面構
成は図1(c)に示すごとくである。なお、106は最
外層のフッ素樹脂コート層である。
【0037】各処理によって形成された皮膜の構成及び
厚さは、Al富裕層103が約0.01〜0.2μm、内
層104が1〜15μm、外層105が約0.5〜1μ
mで、最外層のフッ素樹脂コート層106は0.1μm
以下であるとみられる。
【0038】次に、本実施の形態における高耐食性アル
ミニウム材の断面を電子顕微鏡で観察した。その結果、
従来のベーマイト処理のみのアルミニウム材では空孔率
が約30体積%を越えていたのに対し、本実施の形態の
アルミニウム材では約1/3の10体積%以下となり、
緻密な皮膜が形成されていた。
【0039】図2は、酸化アルミニウム皮膜及びアルミ
ニウム又はアルミニウム合金(アルミダイカスト)基材
部の断面元素分析結果による主要合金元素濃度分布の概
略模式図である。アルミニウム又はアルミニウム合金基
材部極表面におけるSi量は減少し、Al量比率が増加
している。また酸化アルミニウム中におけるSiの含有
量は、アルミニウム又はアルミニウム合金基材合金量
7.5〜18重量%より少なく、しかもほぼゼロに近い
値となる。
【0040】本高温ベーマイト処理によって、金属表面
の溶け出しにより比較的高濃度の酸化アルミニウム皮膜
が形成され、このとき同時にアルミニウム又はアルミニ
ウム合金基部材表面において、よりSi欠乏でAl富裕
な層が形成される。この皮膜と基部材表面の構造が本実
施の形態における表面処理方法の特徴である。
【0041】表2は、アルミニウム材ADC12のpH
3硫酸水溶液中における分極特性測定結果を示してい
る。ここでは、本実施の形態のアルミニウム材を本実施
例とした。また比較例として、ベーマイト処理+陽極酸
化処理(比較例1)、陽極酸化のみのもの(比較例
2)、無処理のADC12材(比較例3)及び無電解ニ
ッケルメッキ処理材(比較例4)について併示した。
【0042】
【表2】
【0043】電流密度は、当該溶液中分極測定試験で材
料表面と電極間に電位をかけて掃引したときに流れる単
位面積当たりの電流値を示すもので、数値が小さいほど
耐食性が良く腐食による損傷が発生しにくいことを示
す。表2は掃引電位1V時における電流密度の値を示し
ている。
【0044】表2にみられるように、陽極酸化のみ
(0.23A・m−2)あるいはベーマイト処理後に陽
極酸化した場合(0.1A・m−2)と比較して、本実
施例では0.05A・m−2と著しい耐食性の改善がみ
られる。
【0045】表3は、アルミニウム材ADC12のpH
13KOH水溶液中における分極特性測定結果を示して
いる。比較例は表2と同様である。
【0046】
【表3】
【0047】表3にみられるように、全ての比較例は掃
引電位1V到達以前に10A・m を越えてしまい、
pH13環境中では本実施例と比較してかなりの差があ
る。わずかに、比較例4は10A・m−2を越える掃引
電位は約600mV近傍で、他の比較例に比較して良い
結果を示している。本実施例は掃引電位1Vで約0.5
5A・m−2と強アルカリ性水溶液中でも圧倒的な耐食
性を示している。
【0048】本実施の形態で用いる高温水中皮膜形成処
理工程は、研掃処理工程等と比較して、被処理材の形状
の複雑性はまったく障害にならない。
【0049】また、本実施の形態ではAl−Cu−Si
系合金のADC12に適用した例について示したが、こ
れに限らず広くアルミニウム及びアルミニウム系合金、
ADC10、Al−Si系合金のADC1、Al−Si
−Mg系合金のADC3、その他Siを7.5〜18重
量%含むようなアルミダイカストにも本発明を適用する
ことができる。
【0050】さらに、被処理材100は、本実施の形態
では表面近傍のチル層と内部組織とを区別できるものと
したが、これに限らず、チル層と内部組織が明瞭に区別
できない組織、チル層が極微量表面に存在する組織又は
これらの組織が混在しているものでもよい。
【0051】(実施の形態2)図3は全自動洗濯機の断
面図で、本発明の高耐食性アルミニウム材が回転駆動部
分を支持するフランジに適用されている。鋼板製でかつ
箱形をなした外枠1内には、吊り棒2及び防振ばね3に
よってポリプロピレン等の合成樹脂製の外槽4が防振支
持されている。外槽4の側壁には、防振ばね3を介して
吊り棒2と係合するリブ4aが突設されている。
【0052】外槽4内には水平断面形状が略円形で且つ
ステンレス鋼板製の洗濯兼脱水槽5が設けられ、この洗
濯兼脱水槽5の上端縁には合成樹脂製の上部流体バラン
スリング6が取り付けられている。洗濯兼脱水槽5の側
壁には多数の脱水孔5aが設けられ、底部内側の中央に
はポリプロピレン等の合成樹脂で成形された大形の回転
翼7が設置されている。回転翼7の周囲には、外周面が
洗濯兼脱水槽5の内周面に当接され、ポリプロピレン等
の合成樹脂製の中空リングに流体が封入された下部流体
バランスリング8が取り付けられている。また外槽4の
上端には、外槽4と洗濯兼脱水槽5の間の隙間に洗濯物
が落下するのを防止するために、合成樹脂製の槽カバー
9が設けられている。
【0053】排水装置10は、外槽4の下方に取り付け
られ洗濯後の水を外槽4内から排水する排水電磁弁11
と、排水電磁弁11下流側の排水ホース12とを備えて
いる。排水ホース12は、外枠1の側壁下部に形成され
た穴を通して枠外に伸長されている。
【0054】また、外槽4の底面には、駆動装置13を
固定するための鋼板製のセンターベース14が取り付け
られている。センターベース14には洗濯用モータ15
とクラッチ機構部16が固定され、洗濯用モータ15の
出力軸15aには駆動プーリ17が、クラッチ機構部1
6の入力軸16aには従動プーリ18がそれぞれ取り付
けられ、両プーリ17,18はベルト19によって連結
されている。クラッチ機構部16は、その内部に洗濯駆
動と脱水駆動を切り換えるクラッチや減速機構を備え、
また上部の2重出力軸16bはセンターベース14及び
外槽4を貫通して外槽4内に突出している。そして、2
重出力軸16bの外側軸は洗濯兼脱水槽5に、内側軸は
回転翼7がそれぞれ結合されている。
【0055】外枠1の上端部には上面カバー20が取り
付けられ、この上面カバー20の中央部には衣類投入口
20aが開口している。衣類投入口20aの手前側には
フロントパネルボックス20bが、後側にはリアパネル
ボックス20cがそれぞれ設けられている。衣類投入口
20aには開閉自在な開閉蓋21が設けられ、またフロ
ントパネルボックス20b内には制御装置22が、リア
パネルボックス20c内には注水口23に連なる給水電
磁弁24がそれぞれ設置されている。
【0056】洗濯兼脱水槽5は、図4に示すように、円
筒状をなしステンレス鋼板製の胴部5bと、椀状をなし
上端部が胴部5bの下端縁とはぜ折り加締めにより締結
されたステンレス鋼板製の底部5cとから構成されてい
る。底部5cはその側面が段付きに絞り加工され、上端
部は下部流体バランスリング8が嵌め込まれる下部より
も大きな径となっている。そして底部5cの底面には、
JIS規格のADC12のダイキャスト鋳物からなるフ
ランジ5dがねじで固定され、クラッチ機構部16の2
重出力軸16bの外側軸がフランジ5dに結合されてい
る。また2重出力軸16bの内側軸はフランジ5dと底
部5cを貫通し、その先端に回転翼7が結合されてい
る。
【0057】回転翼7はその裏側に遠心羽根7aを備
え、この遠心羽根7aは、下部流体バランスリング8に
周囲が包囲された洗濯水循環ポンプ室内に配置されてい
る。また、洗濯兼脱水槽5の内壁面には上下方向に循環
水路カバー25が取り付けられ、この循環水路カバー2
5によって糸屑除去循環水路25aが形成されている。
糸屑除去循環水路25aの下端側は、下部流体バランス
リング8に形成された狭窄部を跨いで洗濯水循環ポンプ
室の吐き出し口に受水口として開口し、また上端側には
糸屑回収フィルタ26(図3参照)が設けられている。
【0058】洗濯水循環ポンプ室内で回転する遠心羽根
7aは洗濯水循環ポンプ室内の洗濯水を加圧して受水口
に吐き出し、洗濯兼脱水槽5の下側の通水口5eを通し
て外槽4内の洗濯水を吸い込むものである。
【0059】本実施の形態におけるフランジ5dは、実
施の形態1と同様に、ホーニング処理後に、高温水中で
ベーマイト処理を行ったもので、実施の形態1の場合と
同様の断面構造を有し、Alの水和酸化物と空孔率10
体積%以下の緻密な酸化アルミニウムを主体とした酸化
皮膜が形成されている。そのため、得られた皮膜の耐食
性も実施の形態1の場合とほぼ同様である。
【0060】(実施の形態3)図5及び図6は、実施の
形態3による全自動洗濯機用フランジの平面図と断面図
である。本実施の形態のフランジも実施の形態2と同様
のものであるが、実施の形態2の場合と比べてフランジ
の形状が異なっている。すなわち、本実施の形態におけ
るフランジ38には、中心穴50以外に洗濯槽固定用ボ
ルト穴39が形成されている。またフランジ38には、
実施の形態1と同様のベーマイト処理が施され、Alの
水和酸化物と空孔率10体積%以下の緻密な酸化アルミ
ニウムを主体とした酸化皮膜が形成されている。なお、
フランジ38の形状、洗濯槽固定用ボルト穴39の位置
及び数等については、用途に応じて適宜変更することが
可能である。
【0061】(実施の形態4)図7は、実施の形態4に
よる免疫分析計用試薬保持容器の断面図である。本実施
の形態の試薬保持容器41は試薬ビンを収納する角型穴
42が複数個設けられている。本実施の形態の試薬保持
容器41にも、実施の形態1と同様のベーマイト処理が
施され、Alの水和酸化物と空孔率10体積%以下の緻
密な酸化アルミニウムを主体とした酸化皮膜が形成され
ている。なお、試薬保持容器41の形状、角型穴42の
位置及び数等については、用途に応じて適宜変更するこ
とが可能である。
【0062】また、本発明の高耐食性アルミニウム材
は、上記各実施の形態以外に、血液分析計の試薬保持容
器、マイクロ波プラズマエッチング装置の処理室、空気
調和設備における配管、諸設備の筐体などに適用可能で
ある。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
低空孔率で緻密な密着性の高い高耐食性ベーマイト処理
皮膜を得ることができ、同時にアルミニウム又はアルミ
ニウム合金表面に耐食性に劣る過飽和SiやAl−Si
共晶組織等を低減させた層を形成させることができるの
で、より高い耐食性を有するアルミニウム材を得ること
ができる。また、表面処理を施す際にも環境上の問題を
起こすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による酸化皮膜形成の処
理工程を示す概略図である。
【図2】酸化皮膜断面の元素分析の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態2による全自動洗濯機の断
面図である。
【図4】図3に示した全自動洗濯機のフランジ近傍の拡
大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3による全自動洗濯機用フ
ランジの平面図である。
【図6】図5の全自動洗濯機用フランジの断面図であ
る。
【図7】本発明の実施の形態4による免疫分析計用試薬
保持容器の断面図である。
【符号の説明】
5d フランジ 38 全自動洗濯機用フランジ 39 洗濯槽固定用ボルト穴 40 中心穴 41 試薬保持容器 42 角型穴 100 被処理材 101 ベース基体 102 チル層 103 Al富裕層 104 内層(酸化アルミニウム膜) 105 外層(水和酸化物層) 106 フッ素樹脂コート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K026 AA09 BA08 BB08 CA16 DA03 DA13 EA01 EB08 4K044 AA06 BA13 BA21 BB03 BC02 CA07 CA16 CA53

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる基体金属の表面に、外表面より、アルミニウムの水
    和酸化物層、酸化アルミニウムを主成分とし空孔率30
    体積%以下、好ましくは10〜25体積%の酸化皮膜、
    及び前記基体金属の硬化層が順に形成されていることを
    特徴とする高耐食性アルミニウム材。
  2. 【請求項2】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる基体金属の表面に、外表面より、アルミニウムの水
    和酸化物層、多孔質の酸化アルミニウムを主成分とした
    酸化皮膜でAl−Si共晶組織相を低下させたアルミニ
    ウム富裕層が順に形成されていることを特徴とする高耐
    食性アルミニウム材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の高耐食性アルミ
    ニウム材において、 前記アルミニウムの水和酸化物層の上に、有機被覆層も
    しくはフッ素樹脂層が形成されていることを特徴とする
    高耐食性アルミニウム材。
  4. 【請求項4】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる基体金属の表面に、当該基体金属より硬度の高い微
    細粒子による衝撃によって機械研削処理を施して、前記
    基体金属表面のチル層を除去すると共に加工硬化処理を
    実行し、その後、温度100〜300℃の高温純水中に
    て酸化処理を施すことを特徴とする高耐食性アルミニウ
    ム材の表面処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の高耐食性アルミニウム
    材の表面処理方法において、 前記高温純水は、常温での比抵抗値が1MΩcm以上、
    常温での溶存酸素濃度が8〜32ppmであることを特
    徴とする高耐食性アルミニウム材の表面処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の高耐食性アルミニウム
    材の表面処理方法において、 前記高温純水中処理後に、酸化処理表面に有機被覆層も
    しくはフッ素樹脂層を形成する処理を施すことを特徴と
    する高耐食性アルミニウム材の表面処理方法。
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