JP2002320872A - 振り出し式回転刃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレードの軸支構造を強化して安全性を一層
向上させると共に、ブレードが回転体に軸支されている
部分付近での草の絡まりを防止し、さらに切れ味を向上
させた振り出し式回転刃を提供する 【解決手段】 回転体２の正方形の各辺の延長線上に、
この延長線と一致した面を有する軸支部分２３をそれぞ
れ設ける。各ブレード１を、この延長線と角度を持って
放射線状に突出するように取り付ける。ブレード１の一
端を回転体２に回転自在に軸支する。ブレード１には、
回転方向（矢印Ａ）に面した側が掬い角を有する湾曲し
た刃面１１を形成し、その反対側の先端にあたる部分に
は返し刃１２を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する分野】本発明は、雑草などを刈り払う刈
払機や、牧草や芝などの刈り込み機、または飼料などを
細断する細断装置などに使用する振り出し式回転刃に関
するものである。尚、本出願において「ブレード」とは
回転刃の刃先部分を構成し、草などの切断対象物に衝突
してこれを切断する部分を示す。

【０００２】

【従来の技術】従来から、牧草や雑草、芝生などを刈る
機械に使用されている多くの刃は回転刃である。そのよ
うな回転刃の多くは丸鋸状の金属円盤であるが、切れ味
は優れているものの、固い物体との衝突における欠片の
飛散の問題や、磨耗に対する対策などの課題も多く、こ
れに替わる回転刃の需要により様々な製品開発がなされ
ている。

【０００３】その１つが、振出し式の回転刃であって、
回転体とその外周に回動自在に突出したブレードを有す
るものである。従来の多くの振出し式回転刃の回転体は
円形であり、それから放射状に突出したブレードの先端
が草に直角に衝突するため、効率よく切断されていない
上に、ブレードに対する衝撃が大きくなるという問題が
懸念視されてきた。

【０００４】本出願人は、このような問題を解決するべ
く特願２０００−６１６２３において「振り出し式回転
刃およびそのブレード」を示している。この先の出願
は、従来からある円形の回転体の問題点を解決したもの
で、回転体の外周部に直線部分を設け、その延長線上に
ブレードを軸支する軸支部分を形成し、草がこの回転体
の直線部分からブレードへと進むことにより、ブレード
が草を引き切るようにして切断するものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本案も、本出願人が先
の出願で示したものと同様のもので、さらにブレードの
軸支構造を強化して安全性を一層向上させると共に、ブ
レードが回転体に軸支されている部分付近での草の絡ま
りを防止し、さらに切れ味を向上させた振り出し式回転
刃を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、駆動軸に連結
して回転する回転体と、該回転体の外周部に軸支軸によ
って回転自在に軸支されたブレードとからなり、前記回
転体が、多角形の各辺の一端側に突出した軸支部分を形
成し、該軸支部分の一部が隣接する各辺の延長線と一致
するように設けた振り出し式回転刃において、回転方向
に面した前記ブレードの辺となる切断面が回転方向に向
いた掬い角を有するように形成したものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明においては、本出願人が先
の出願で示した振り出し式回転刃において、そのブレー
ド形状が掬い角を有するように形成し、これにより切れ
味を飛躍的に向上させると共に、ブレードの耐磨耗性を
向上している。すなわち、先の出願で示したものにおけ
るブレードは回転方向に対して後退角を有する波型であ
ったのに対し、先端にかけて前方にせり出た曲線状であ
って、ブレード幅も先端の方が広い。

【０００８】また、ブレードの反回転方向の面にも刃が
形成され、返し刃として使用される。特に刈り払い機で
あった場合、往復の刈払い動作において、回転刃の回転
方向とは反対方向に払い戻すとき、回転刃の先端に当た
った草が回転刃に絡まるのを防止するのに有効である。
この返し刃が形成された部分は、突出方向に対して傾斜
した角度であるため、引き切る形になる。

【０００９】さらに、取り付け構造においては、ブレー
ドの取り付け側に、挿通孔を形成し、これに挿通する挿
通管を上下が広い臼状に形成し、これに挿通する軸支軸
を回転体の取り付け部分に形成したものである。回転体
は上下の２枚の板から形成されていて、挿通管の長さは
上下板の間の間隙より僅かに短いと共に、挿通管の最狭
部の内径は軸支軸の直径より僅かに大きく、挿通孔の内
径は挿通管の最狭部の外形より僅かに大きく且つ挿通管
の上下端の外径より僅かに小さく形成されている。これ
らの大きさの関係から、ブレードの取り付け部分と挿通
管とは、僅かな遊びで動くことができ、ブレードが受け
た衝撃を分散させることができる。

【００１０】ただし、ブレードの可動範囲は、ブレード
と上下板との間に間隙を確保できるように設けられてお
り、ブレードの取り付け部分付近が振動しても、上下板
には衝突しないように取り付けられている。したがっ
て、取り付け部分の磨耗が進むと、ブレードの一部が上
下板に衝突して異音を発することになるので、その時点
で交換時期を知らせる警報手段としても有効である。

【００１１】

【実施例】実施例 以下、図面に基づき実施例を示す。図１は回転刃の全体
構成を示す平面図、図２はブレードを裏側から見た形状
を示す斜視図、図３は回転体へのブレードの取り付け構
造を示す部分側断面図、図４は回転体の斜視図である。
本実施例の回転刃は、図１に示すように４枚のブレード
１とこれを回動自在に軸支して取り付ける回転体２とか
ら構成されている。図４に示すように、回転体２は上板
２１および下板２２と、これらを取り付けるボルト３と
から構成されている。刈払機等の駆動軸（図示せず）に
連結するためには、下板２２の取付孔２２ａに駆動軸の
カップリングを固定する。上板２１の開口部２１ａは、
カップリングを取り付けるための空間を形成するもので
ある。

【００１２】図１および図４に示すように、回転体２の
形状は、正方形の各辺の延長線上に、この延長線と一致
した面を有する軸支部分２３をそれぞれ設けたもので、
各ブレード１はこの延長線と角度を持って放射線状に突
出するように取り付けられる。

【００１３】図１に示すように、ブレード１は一端が回
転体２に回転自在に軸支されている。ブレード１の形状
は、回転方向（矢印Ａ）に面した側が掬い角を有するよ
うに湾曲した刃面１１を形成し、その反対側の先端にあ
たる部分には返し刃１２が形成されている（図２参
照）。

【００１４】図２に示すように、刃面１１と返し刃１２
との間の先端部分１４は、刃が形成されていない平坦面
である。ブレード１が障害物と衝突する際は、この先端
部分１４が衝突する可能性が最も高い。ここに刃を形成
すると、耐久性が落ちるため平坦な面とした。特に先端
が尖った形状の刃とした場合、欠けたり、折れ曲がった
りして、この部分のみならず、ブレード１全体の耐久性
やバランスに影響を与えかねない。その点において、こ
の平坦面とすることにより、十分な耐久性と安全性を得
ることができる。

【００１５】図３に示すように、ブレード１の取り付け
は、上下板２１、２２を固定しているボルト３を、ブレ
ード１の挿通孔１３に挿通させて軸支している。ボルト
３の軸支部分には、補強のために軸支軸３１が取り付け
られ、これを挿通管３２に挿通させ、それを挿通孔１３
に挿通させる。挿通管３２は上下端に向かって徐々に太
くなる臼状に形成されており、その最狭部の内径は、軸
支軸３１の外径よりも僅かに広く、最狭部の外径は挿通
孔１３の内径より僅かに小さく、且つ上下端の外径は、
挿通孔１３の内径より僅かに大きく形成されている。

【００１６】したがって、この挿通管３２は軸支軸３１
に対して、ブレード１は挿通管３２に対して、僅かな
「遊び」を持って取り付けられている。そのため、刈払
い作業などでブレード１が受ける衝撃は、一点で受ける
わけではなく、この取付構造全体に分散される。一方、
この僅かな遊びによって、ブレード１は可動範囲が与え
られるもものの、その可動角度はブレード１のいずれの
部分も上下板２１および２２に衝突しない範囲に制限さ
れる。これによって、ブレード２に上板２１または下板
２２からの損傷等を受けることが無い。磨耗が進行して
上下板いずれかに衝突するようになると異音を発して、
使用者に警告を与え、回転刃の交換時期を知ることがで
きる。

【００１７】尚、上記実施例は、本発明の範囲を制限す
るものではない。例えば、回転体の形状やブレードの枚
数は上記実施例のような正方形と４枚でなくても良い。
少なくとも２枚以上のブレードを備え、その取付部分が
回転体の直線部分とその延長線上の軸支部分を有してい
れば、多少の性能の優劣は出るものの、同等の効果を得
られる。

【００１８】また、この回転刃は、刈払機に限らずモア
や大型の草刈機器などにも使用できる。前項で示したよ
うに、回転体の形状とブレードの枚数を各機種に応じた
構成とすることができる。

【００１９】また、本発明のブレードは、例え従来型の
円形状の回転体に適用しても、従来のブレードよりも、
優れた性能を得ることが可能である。

【００２０】

【発明の効果】本発明は上記のとおり構成したため、次
のような効果を得られる。 (1) 振出し式回転刃の利点を維持しながら、従来の回転
刃よりも切断能力が飛躍的に向上している。 (2) 刈払い作業において、回転刃を振り戻したときで
も、回転体に草がからみつくことは無い。

【図面の簡単な説明】

【図１】回転刃の全体構成を示す平面図である。

【図２】ブレードを裏側から見た形状を示す斜視図であ
る。

【図３】回転体へのブレードの取り付け構造を示す部分
側断面図である。

【図４】回転体の斜視図である。

【符号の説明】

１・・・・ブレード １１・・・刃面 １２・・・返し刃 １３・・・挿通孔 ２・・・・回転体 ２１・・・上板 ２２・・・下板 ２３・・・軸支部分 ３・・・・ボルト ３１・・・軸支軸 ３２・・・挿通管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2B083 AA02 CA03 CA08 CA13 CA17 CB02 CB12 CB14 2B097 DF06 EA01 EA08 4D065 CA06 CB10 CC03 DD04 EB11 EB20

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動軸に連結して回転する回転体と、該
   回転体の外周部に軸支軸によって回転自在に軸支された
   ブレードとからなり、前記回転体が、多角形の各辺の一
   端側に突出した軸支部分を形成し、該軸支部分の一部が
   隣接する各辺の延長線と一致するように設けた振り出し
   式回転刃において、回転方向に面した前記ブレードの辺
   となる切断面が回転方向に向いた掬い角を有するように
   形成したことを特徴とする振り出し式回転刃。
2. 【請求項２】 ブレードの先端より後方部分に、返し刃
   を形成したことを特徴とする請求項１記載の振り出し式
   回転刃。
3. 【請求項３】 軸支軸周りに、内径が軸支軸より僅かに
   大きな挿通管を配置し、ブレードの軸支側端部に該挿通
   管の外径より僅かに大きな挿通孔を形成し、軸支軸に同
   心軸でこれらを挿入することによって、ブレードが軸支
   軸に軸支されるように設けたことを特徴とする請求項１
   記載の振り出し式回転刃。