JP2002320491A - 新規なd−アミノアシラーゼをコードするdnaおよびそれを用いたd−アミノ酸の製造方法 - Google Patents

新規なd−アミノアシラーゼをコードするdnaおよびそれを用いたd−アミノ酸の製造方法

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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 産業上実用的な基質濃度で充分な高活性を示
し、N−アシル−DL−アミノ酸よりD−アミノ酸を効
率よく生成する事が出来る新規なD−アミノアシラーゼ
及びそれをコードするDNA、並びに該DNAを含む形
質転換体を用いたN−アシルアミノ酸から対応するD−
アミノ酸を製造する方法を提供すること。 【解決手段】 Methylobacterium mesophilicum MT
10894などから新規D−アミノアシラーゼをコード
するDNAをクローニングし、該酵素活性を発現させ、
N−アシルアミノ酸を基質として対応するD−アミノ酸
の製造に供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業上実用的な基
質濃度で高活性を示し、特にN−アセチル−DL−トリ
プトファンよりD−トリプトファンを立体選択的に効率
よく生成する事を可能とするな新規なD−アミノアシラ
ーゼ及びそれを用いたN−アシルアミノ酸からD−アミ
ノ酸を製造する方法に関する。さらに本発明は、このD
−アミノアシラーゼをコードする塩基配列、それを含有
するプラスミド及びこのプラスミドにより形質転換され
た形質転換体に関する。さらに本発明は、この形質転換
体を用いたD−アミノアシラーゼの生産方法に関する。
また、本発明は、この形質転換体、その培養液及びこれ
らの処理物の形でD−アミノアシラーゼをN−アシルア
ミノ酸に作用させてN−アシルアミノ酸から対応する光
学活性D−アミノ酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】D−アミノ酸は様々な農薬、抗生物質、
医薬品の中間体として重要な化合物であり、その合成法
が盛んに研究されている。現在、DL−アミノ酸の分割
は物理化学的、化学的、酵素的方法で行なう事が出来る
が、酵素的方法が最も簡便であり、有利な方法と考えら
れる。酵素的方法の一つとして例えば、D−アミノアシ
ラーゼを用いてN−アセチル−DL−アミノ酸を加水分
解し、対応するD−アミノ酸を直接生産する方法が知ら
れている。
【0003】D−アミノアシラーゼの起源としては、シ
ュウドモナス(Pseudomonas)属(特公昭60−314
77号公報)、ストレプトミセス(Streptomyses)属
(特公昭53−36035号公報)、アルカリゲネス
(Alcaligenes)属(特公平07−83711号公報)
ロドコッカス属(Rhodococcus)、ピメロバクター(Pimelo
bacter)属(特開平06−227789号公報)アース
ロバクター(Arthrobacter)属、コリネバクテリウム(Cor
ynebacterium)属、エルビニア(Erwinia)属、エシュリヒ
ア(Eschheria)属、フラボバクテリウム(Flavobacteriu
m)属、ノカルディア(Nocardia)属、プロタミノバクター
(Protaminobacter)属、キサントモナス(Xanthomonas)
属(特開平11−113592号公報)、アミコラトプ
シス(Amycolatopsis)属(特開平11−98982号公
報)、セベキア(Sebekia)属(特開平11−31844
2号公報)、ヒポミセス(Hypomyces)属、フザリウム(Fu
sarium)属、オーリクラリア(auricularia)属、フィシウ
ム(Pythium)属、メニスポロプシス(Menisporopsis)属
(特開平12−41684号公報)などの細菌、放線菌
またはかびに属する微生物が知られており、これらに由
来するD−アミノアシラーゼをN−アシルアミノ酸に作
用させてD−アミノ酸を製造することが報告されてい
る。
【0004】しかしながら、これらD−アミノアシラー
ゼは実用的な基質濃度での活性が充分ではなく、産業上
実用的なD−アミノアシラーゼが望まれていた。特にN
−アセチル−D−トリプトファンの加水分解について
は、実用的な基質濃度での酵素の活性は低く、産業上満
足のできる酵素とは呼べなかった。近年、N−アセチル
−D−トリプトファンに作用してD−トリプトファンを
生成することの出来るD−アミノアシラーゼとしてTo
kuyamaらがヒポミセス(Hypomyces)属のD−アミ
ノアシラーゼ(特開平13−275688号公報)をC
hirotechTechnology Limite
d社のTaylorらがアルカリゲネス(Alcaligene
s)属のD−アミノアシラーゼ(WO00/2359
8)を報告しているが、どちらのD−アミノアシラーゼ
も10g/l程度までのN−アセチル−D−トリプトフ
ァンを加水分解するに過ぎず、実用的な基質濃度での反
応を触媒できる酵素とは言い難い。
【0005】D−アミノ酸は医薬品原料などとして重要
な化合物であり、安価な製法開発が望まれている。しか
しながら、D−アミノ酸を効率よく触媒する事が出来る
D−アミノアシラーゼはこれまで一切知られていなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、産業
上実用的な基質濃度で充分な高活性を示し、N−アシル
−DL−アミノ酸よりD−アミノ酸を効率よく生成する
事が出来る新規なD−アミノアシラーゼ及びそれを用い
たN−アシルアミノ酸からの対応するD−アミノ酸の製
造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、こ
のD−アミノアシラーゼの生産及びD−アミノアシラー
ゼを用いたD−アミノ酸の製造に有用な材料としてのD
−アミノアシラーゼをコードする塩基配列、この塩基配
列を組み込んだプラスミド及びこのプラスミドで形質で
宿主を形質転換して得られた形質転換体を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、種々の微生物由来のD−アミノアシラーゼ
について、それらの性質を評価した。基質濃度と反応速
度の相関性を調べたところ、驚くべき事に公知のD−ア
ミノアシラーゼにおいては、基質濃度が高いほど反応速
度は著しく低下するといった現象、すなわち基質による
酵素活性の阻害現象を見出す事が出来た。この現象は特
に基質がN−アセチル−D−トリプトファンの場合が著
しく、それゆえに従来のD−アミノアシラーゼにおいて
は実用的な基質濃度でN−アセチル−DL−トリプトフ
ァンよりD−トリプトファンを効率的に生成する事が困
難となっているのではないかと考察するに至った。
【0008】そこで、本発明者らは様々な微生物につい
て、N−アセチル−D−トリプトファンに対して阻害の
かかりにくく、基質濃度が高い場合も高活性を示す新規
なD−アミノアシラーゼの探索した結果、メチロバクテ
リウム(Methylobacterium)属に属する微生物及びノカ
ルディオイデス(Nocardioides)属に属する微生物にお
いて、目的に適う新規なD−アミノアシラーゼ活性を有
する微生物を発見した。そして、メチロバクテリウム
(Methylobacterium)属に属する微生物由来のD−アミ
ノアシラーゼを種々の精製方法を組合せて、配列番号:
3に示されるN末端アミノ酸残基の配列の決定に成功し
た。さらに本発明者等は配列表の配列番号:1に示され
る塩基配列を有するDNAを獲得することにより、この
塩基配列を有するDNA断片を含んだプラスミドによる
形質転換体を取得し、上記のD−アミノアシラーゼを活
性型として産生させること、さらには実用的な基質濃度
においてN−アシルアミノ酸から対応するD−アミノ酸
を高効率的で製造することに成功し、本発明を完成する
に至った。
【0009】上記の本発明者らによる新たな知見に基づ
いて成された本発明は以下の各態様を含むものである。 (1) N−アシル−D−アミノ酸に作用して対応する
D−アミノ酸を生成する反応を触媒する作用を有するD
−アミノアシラーゼであって、水性媒体中でN−アセチ
ル−D−トリプトファンからD−トリプトファンを生成
する反応を触媒する際におけるN−アセチル−D−トリ
プトファンの濃度が50g/lの場合の反応速度が、N
−アセチル−D−トリプトファンの濃度が5g/lの場
合の反応速度に対して少なくとも40%である事を特徴
とするD−アミノアシラーゼ。 (2) N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が1
00g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D−ト
リプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に対し
て少なくとも20%である上記項目(1)に記載のD−
アミノアシラーゼ。 (3) メチロバクテリウム(Methylobacterium)属又
はノカルディオイデス(Nocardioides)属に属する微生
物由来である上記項目(1)に記載のD−アミノアシラ
ーゼ。 (4) メチロバクテリウム(Methylobacterium)属に
属する微生物がメチロバクテリウム・メソフィリカム
(Methylobacterium mesophilicum)種、ノカルディオ
イデス(Nocardioides)属に属する微生物がノカルディ
オイデス・サーモリラシナス(Nocardioides thermolil
acinus)種である上記項目(3)に記載のD−アミノア
シラーゼ。 (5) ノカルディオイデス・サーモリラシナス(Noca
rdioides thermolilacinus)種に属する微生物がノカル
ディオイデス・サーモリラシナス(Nocardioidesthermo
lilacinus)ATCC35863株である上記項目
(4)に記載のD−アミノアシラーゼ。 (6)N−アシル−D−アミノ酸に作用して対応するD
−アミノ酸を生成する反応を触媒する作用を有するD−
アミノアシラーゼであって、 (A)配列表の配列番号:2記載のアミノ酸配列または (B)該アミノ酸配列に対して前記触媒活性を維持し得
る範囲内で1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失または置
換を行って得られる変異アミノ酸配列 を有することを特徴とするD−アミノアシラーゼ。 (7) 水性媒体中でN−アセチル−D−トリプトファ
ンからD−トリプトファンを生成する反応を触媒する際
におけるN−アセチル−D−トリプトファンの濃度が5
0g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D−トリ
プトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に対して
少なくとも40%である上記項目(6)に記載のD−ア
ミノアシラーゼ。 (8) N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が1
00g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D−ト
リプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に対し
て少なくとも20%である上記項目(7)に記載のD−
アミノアシラーゼ。 (9) N−アシル−D−アミノ酸に作用して対応する
D−アミノ酸を生成する反応を触媒する作用を有するD
−アミノアシラーゼをコードする塩基配列であって、 (a)配列表の配列番号:1記載の塩基配列または (b)配列番号:1の塩基配列に対して該塩基配列がコ
ードするD−アミノアシラーゼの作用が維持される範囲
内で1以上の塩基の挿入、欠失または置換を行って得ら
れる変異塩基配列 からなることを特徴とするD−アミノアシラーゼをコー
ドする塩基配列。 (10) 前記変異塩基配列が、前記配列番号:1の塩
基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
るものである上記項目(9)に記載の塩基配列。 (11) D−アミノアシラーゼの水性媒体中でN−ア
セチル−D−トリプトファンからD−トリプトファンを
生成する反応を触媒する際のN−アセチル−D−トリプ
トファンの濃度が50g/lの場合の反応速度が、N−
アセチル−D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合
の反応速度に対して少なくとも40%である上記項目
(9)に記載の塩基配列。 (12) N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が
100g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D−
トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に対
して少なくとも20%である上記項目(11)に記載の
塩基配列。 (13) 上記項目(9)に記載の塩基配列を含むプラ
スミド。 (14) 上記項目(13)に記載のプラスミドによっ
て形質転換された形質転換体。 (15) 上記項目(14)に記載の形質転換体を培養
して、該形質転換体に組み込まれたプラスミドの有する
塩基配列によりコードされたD−アミノアシラーゼを生
産させることを特徴とするD−アミノアシラーゼの産生
方法。 (16) 水性媒体中でN−アシルアミノ酸にD−アミ
ノアシラーゼを作用させて対応するD−アミノ酸を生産
する光学活性アミノ酸の生産方法であって、該D−アミ
ノアシラーゼが水性媒体中でN−アセチル−D−トリプ
トファンからD−トリプトファンを生成する反応を触媒
する際におけるN−アセチル−D−トリプトファンの濃
度が50g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D
−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に
対して少なくとも40%であることを特徴とする光学活
性アミノ酸の生産方法。 (17) N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が
100g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D−
トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に対
して少なくとも20%である上記項目16記載の生産方
法。 (18) メチロバクテリウム(Methylobacterium)属
又はノカルディオイデス(Nocardioides)属に属する微
生物由来である上記項目16に記載の生産方法。 (19) メチロバクテリウム(Methylobacterium)属
に属する微生物がメチロバクテリウム・メソフィリカム
(Methylobacterium mesophilicum)種、ノカルディオ
イデス(Nocardioides)属に属する微生物がノカルディ
オイデス・サーモリラシナス(Nocardioides thermolil
acinus)種である上記項目18記載の生産方法。 (20) ノカルディオイデス・サーモリラシナス(No
cardioides thermolilacinus)種に属する微生物がノカ
ルディオイデス・サーモリラシナス(Nocardioides the
rmolilacinus)ATCC35863株である上記項目1
9記載の生産方法。 (21) N−アシルアミノ酸濃度が50g/l以上で
ある上記項目16に記載の製造方法。 (22) N−アシルアミノ酸濃度が100g/l以上
である上記項目21記載の製造方法。 (23) 水性媒体中でN−アシルアミノ酸にD−アミ
ノアシラーゼを作用させて対応するD−アミノ酸を生産
する光学活性アミノ酸の生産方法であって、該D−アミ
ノアシラーゼが請求項6に記載のD−アミノアシラーゼ
であることを特徴とする光学活性アミノ酸の生産方法。 (24) 前記D−アミノアシラーゼが水性媒体中でN
−アセチル−D−トリプトファンからD−トリプトファ
ンを生成する反応を触媒する際のN−アセチル−D−ト
リプトファンの濃度が50g/lの場合の反応速度が、
N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が5g/lの
場合の反応速度に対して少なくとも40%である上記項
目23に記載の生産方法。 (25) N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が
100g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D−
トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に対
して少なくとも20%である上記項目24に記載の生産
方法。 (26) D−アミノアシラーゼを、請求項14に記載
の形質転換体を培養して得られる培養液、該培養液から
分離された形質転換体又はそれらの処理物の形でN−ア
シルアミノ酸に作用させる上記項目23に記載の生産方
法。 (27) N−アシルアミノ酸濃度が50g/l以上で
ある上記項目23に記載の製造方法。 (28) N−アシルアミノ酸濃度が100g/l以上
である上記項目27記載の製造方法。
【0010】本発明にかかるD−アシルアミラーゼを用
いることで産業上実用的な基質濃度を用いて改善された
反応速度でのN−アシルアミノ酸からの対応するD−ア
ミノ酸の製造が可能となる。更に、本発明によれば、こ
の有用なD−アシルアミラーゼの遺伝子組み換え技術を
用いた生産に有用な塩基配列、それを組み込んだプラス
ミド及びこのプラスミドで宿主を形質転換した形質転換
体を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明にかかるD−アミノアシラ
ーゼは、N−アシル−D−アミノ酸に作用して対応する
D−アミノ酸を生成する反応を触媒する作用を有する酵
素であり、特にN−アセチル−D−トリプトファンに対
して阻害がかかりにくく、基質濃度が高い場合も高活性
を示すことに特徴を有するものである。このN−アセチ
ル−D−トリプトファンによる阻害作用は、以下に記載
する基質濃度と反応速度との関係により規定することが
できる。 I.水性媒体中においてN−アセチル−D−トリプトフ
ァンの濃度が50g/lの場合の反応速度が、N−アセ
チル−D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反
応速度に対して少なくとも40%である。 II.N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が100
g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D−トリプ
トファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に対して少
なくとも20%である。
【0012】本発明にかかるD−アミノアシラーゼは上
記の阻害に関する特性Iを有するものであり、上記阻害
に関する特性I及びIIの両方を有するものが好ましい。
従って、少なくとも上記阻害に関する特性IのD−アミ
ノアシラーゼ活性を有する酵素であれば、いかなる微生
物由来であっても、もしくは公知のD−アミノアシラー
ゼを遺伝子組換により改変したものであっても、本発明
に包含されるものとする。
【0013】更に、上記特性Iに関しては、N−アセチ
ル−D−トリプトファンの濃度が50g/lの場合の反
応速度が、N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が
5g/lの場合の反応速度に対して少なくとも50%、
特に少なくとも60%である事が更に好ましい。また、
上記特性IIに関しては、N−アセチル−D−トリプトフ
ァンの濃度が100g/lの場合の反応速度が、N−ア
セチル−D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の
反応速度に対して少なくとも25%、特に少なくとも3
0%である事が更に好ましい。
【0014】また本発明における基質濃度と反応速度の
関係は次の様にして確認する事ができる。例えば、10
g/l、50g/l、100g/l、200g/lの基
質(N−アセチル−D−トリプトファン)をそれぞれ含
む100mMのリン酸緩衝液200μlに反応に十分な
活性量の酵素液を200μl添加し30℃において適当
な時間反応させる。この反応によって生成するD−トリ
プトファンの量をHPLC法などで測定する事により、
各基質濃度における酵素活性(反応速度)を比較する事
ができる。本発明において反応速度を測定する際の水性
媒体は、酵素反応を進行させることができるものであれ
ば特に限定されず、水はもちろんの事、リン酸、トリ
ス、クエン酸、酢酸、ホウ酸、グリシン、HEPES、
MOPS、MES、CAPS、CHES、PIPESな
どから適宜一種または二種以上選択して成る成分を水に
含有させた緩衝液を用いることができる。反応温度はD
−アミノアシラーゼが活性を発現できる、至適温度を含
む温度範囲から選択することができ、例えば30℃〜6
0℃に維持する事が特に望ましい。また反応pHも、D
−アミノアシラーゼが活性を維持できる範囲であればよ
く、特に至適pHを含むpH6〜11に維持する事が望
ましい。また酵素は菌体の培養液そのものや該培養液よ
り遠心分離などによって分離、回収して得られる菌体、
また該菌体の抽出物、磨砕物、分離精製物を使用でき
る。また本発明において反応速度を測定する際の酵素の
使用量や反応時間は有意に反応速度が測定できる条件、
例えば反応速度の測定時間内で反応が飽和状態に達しな
い条件であればよく、基質となるN−アセチル−D−ト
リプトファンの濃度が5g/lの場合にD−トリプトフ
ァンの生成蓄積濃度が0.2g/l〜1g/l程度の条
件である事が望ましい。
【0015】本発明にかかるD−アミノアシラーゼの物
性は以下のとおりである。 至適pH:pH8〜10(最適はpH9) 至適温度:60℃ 熱安定性:40℃/20時間の熱処理で80%の残存活
性を示す。
【0016】本発明におけるD−アミノアシラーゼの一
態様は、配列表の配列番号:2に記載のアミノ酸配列、
あるいは配列番号:2に記載のアミノ酸配列に1もしく
は2以上、好ましくは数個のアミノ酸がD−アミノアシ
ラーゼ活性が維持し得る範囲内で置換、欠失、修飾また
は挿入または付加されたアミノ酸配列を有する。
【0017】本発明におけるD−アミノアシラーゼをコ
ードするポリヌクレオチドは配列表の配列番号:1に記
載の塩基配列を含む。配列番号:1に示す塩基配列は、
配列番号:2に示すタンパク質をコードする。ただし、
配列番号:2に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列
には、配列番号:1に示す塩基配列のみならず、異なる
コドンに基づくあらゆる塩基配列が含まれる。更に適宜
置換、欠失、修飾または挿入または付加を導入する事に
よりポリヌクレオチドのホモログを得る事も可能であ
る。本発明におけるポリヌクレオチドのホモログは配列
番号:1に示す塩基配列に対して、これによりコードさ
れるD−アシルアミラーゼが所定の酵素活性を維持し得
る範囲内で塩基の置換、欠失または付加を行って得られ
るものである。このホモログには、例えば、配列番号:
1の塩基配列の相補配列を有するポリヌクレオチドとス
トリンジェントな条件でハイブリダイズできる塩基配列
を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
【0018】このストリンジェントな条件でのハイブリ
ダイゼ−ションは、例えばMolecular Clo
ning:Cold Spring Harbor La
boratory Press,Current Pro
tocols in Molecular Biolog
y;Wiley Interscienceに記載の方
法によって行なう事ができ、市販のシステムとしては、
GeneImageシステム(アマシャム)を挙げる事
ができる。具体的には以下の操作によってハイブリダイ
ゼ−ションを行なう事ができる。試験すべきDNAまた
はRNA分子を転写した膜を製品プロトコールに従っ
て、標識したプローブとプロトコール指定のハイブリダ
イゼ−ションバッファー中でハイブリダイズさせる。ハ
イブリダイゼ−ションバッファーの組成は、0.1重量
%SDS、5重量%デキストラン硫酸、1/20溶のキ
ット添付のブロッキング試薬及び2〜7×SSCからな
る。ブロッキング試薬としては例えば、100×Den
hardt‘s solution、2%(重量/容
量)Bovine serum albumin、2%
(重量/容量)FicllTM400、2%(重量/容
量)ポリビニルピロリドンを5倍濃度で調整したものを
1/20に希釈して使用する事ができる。20×SSC
は、3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸溶液であ
り、SSCは、より好ましくは3〜6×SSC、更に好
ましくは4〜5×SSCの濃度で使用する。ハイブリダ
イゼ−ションの温度は40〜80℃、より好ましくは5
0〜70℃、更に好ましくは55〜65℃の範囲であ
り、数時間から一晩のインキュベーションを行なった
後、洗浄バッファーで洗浄する。洗浄の温度は、好まし
くは室温、より好ましくはハイブリダイゼーション時の
温度である。洗浄バッファーの組成は6×SSC+0.
1重量%SDS溶液、より好ましくは4×SSC+0.
1重量%SDS溶液、更に好ましくは1×SSC+0.
1重量%SDS溶液、最も好ましくは0.1×SSC+
0.1重量%SDS溶液である。このような洗浄バッフ
ァーで膜を洗浄し、プローブがハイブリダイズしたDN
A分子またはRNA分子をプローブに用いた標識を利用
して識別する事ができる。
【0019】本発明による新規なD−アミノアシラーゼ
には、Methylobacterium mesophilicum MT10894
株由来のもの及びNocardioides thermolilacinus AT
CC35863株由来のものが含まれる。Methylobacte
rium mesophilicum MT10894株は千葉県茂原市の
土壌から分離した。その菌学的性質を示すと表1の通り
である。
【0020】
【表1】
【0021】以上の菌学的緒性質を「バージェイーズ・
マニュアル・オブ・システマチック・バクテリオロジー
第1巻(1984)ウイリアムス&ウイルキンス[Berge
y'sManual of Systematic Bacteriology Vol.1(1984) W
illiams&Wilkins]」、「バージェイーズ・マニュアル・
オブ・デターミティブ・バクテリオロジー第9版(19
94)ウイリアムス&ウイルキンス[Bergey's Manual o
f Determinative Bacteriology Ninth Edition(1994) W
illiams&Wilkins]」、「ジー アイ バロー&アール
ケイ エイ フェルタム版:コーエン アンド スチー
ルス マニュアル フォー ザ アイデンティフィケー
ション オブ メディカル バクテリア 第3版 ケン
ブリッジ ユニバーシティ プレス (1993) [G.
I Barrow and R.K.A.Feltham ed.,Cowan&Steel's Mannu
al for the Identification of Medical Bacteria 3
rd .ed,Cambridge univ.press,(1993)]」の分類に当て
はめて本株の同定を行った結果、本菌株はMethylobacte
rium mesophilicumに属すると考えられた。この菌株M
T10894は受託番号FERM P−17771とし
て茨城県つくば市東1丁目1番1号経済産業省産業技術
総合研究所生命工学工業研究所に2000年3月8日付
けで寄託され、平成14年1月21日付けのブタペスト
条約に基づく国際寄託への移管により寄託番号はFER
M BP−7856に変更された。
【0022】本発明の新規なD−アミノアシラーゼをコ
ードするDNAは、例えば、以下の様な方法によって単
離することができる。微生物からゲノムDNAを精製
し、制限酵素によって消化した後に得られたDNAを超
遠心分離もしくは電気泳動等によって、その長さによっ
て分画する。その分画試料のDNAを回収してプラスミ
ドに組み込むことによってプラスミドライブラリーを作
成し、その中からD−アミノアシラーゼ活性を持つクロ
ーンを選抜してD−アミノアシラーゼ遺伝子をコードす
るDNAを含むプラスミドを取得する。そのプラスミド
の塩基配列を解析することによって、目的のD−アミノ
アシラーゼ遺伝子をコードするDNAの塩基配列が判明
し、DNAの塩基配列からコードされているD−アミノ
アシラーゼのアミノ酸配列を推定することが出来る。
【0023】上記のようにして単離された本発明のD−
アミノアシラーゼをコードするDNAを、例えば宿主が
大腸菌の場合、pUC18やpKK223−3、pBR
322、BluescriptII SK(+)、pSC
101などに代表される発現用のプラスミドに組み込む
ことにより、D−アミノアシラーゼ発現プラスミドが提
供される。尚、形質転換に使用する宿主生物としては、
組換えベクターが安定、かつ自律的に増殖可能で、さら
に外来性DNAの形質が発現できるものであればよく、
例として大腸菌が挙げられるが、特に大腸菌に限定され
るものではない。
【0024】そして、本発明においては該プラスミドで
形質転換して得られた形質転換体を公知の情報に基づい
て、培養することができ、本発明のD−アミノアシラー
ゼを産生させることができる。培地としては炭素源、窒
素源、無機物及びその他の栄養素を適量含有する培地な
らば合成培地または天然培地のいずれでも使用可能であ
る。培養は前記培養成分を含有する液体培地中で振とう
培養、通気攪拌培養、連続培養、流加培養などの通常の
培養方法を用いて行なう事が出来る。培養条件は、培養
の種類、培養方法により適宜選択すればよく、菌株が生
育しD−アミノアシラーゼを産生できる条件であれば特
に制限はない。
【0025】また、本発明におけるD−アミノ酸の製造
方法においては、D−アミノアシラーゼを、上記のD−
アミノアシラーゼ生産菌の培養液そのものや、該培養液
より遠心分離によって分離・回収して得られる形質転換
菌体、該形質転換菌体の菌体処理物の形で利用すること
もできる。ここでいう菌体処理物とは、該形質転換菌体
の抽出物や磨砕物、該抽出物や磨砕物のD−アミノアシ
ラーゼ活性画分を分離・精製して得られる分離物、該形
質転換菌体や該形質転換菌体の抽出物、磨砕物、分離物
を適当な担体を用いて固定化した固定化物の事を示して
いる。また宿主微生物由来の活性成分が該培養液そのも
のや、該培養液より遠心分離によって分離・回収して得
られる形質転換菌体、該形質転換菌体の菌体処理物の本
来の目的とする反応の反応性や選択性に悪影響を及ぼす
場合が考えられる。この場合、該培養液そのものや、該
培養液より遠心分離によって分離・回収して得られる形
質転換菌体、該形質転換菌体の菌体処理物を反応に先立
ってか、もしくは反応と同時に、有機溶媒処理または熱
処理を施す事によって反応性や選択性を改善する事が可
能である。有機溶媒としてはメタノール、エタノールな
どのアルコール類やアセトン、THF、DMF、DM
I、DMSOなどの水溶性の有機溶媒やトルエンやベン
ゼンなどの芳香族系有機溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル
などのエステル類、ヘキサンやヘプタンなどの炭化水素
類、ジクロロメタンやクロロホルムなどのハロゲン化炭
化水素類、ジエチルエーテルなどのエーテル類などか
ら、適宜一種または二種以上選択して使用する事ができ
る。有機溶媒の使用量はD−アミノアシラーゼ活性の安
定な範囲で使用すれば良い。また熱処理を行なう場合、
40℃〜70℃程度で行なう事ができる。D−アミノア
シラーゼの安定性を考慮すれば45℃〜55℃で行なう
事が望ましい。熱処理時間はD−アミノアシラーゼ活性
の安定な範囲であればよく、30分〜100分も行なえ
ば充分である。
【0026】本発明のD−アミノアシラーゼをN−アシ
ル−D−アミノ酸に作用させる際には、D−アミノアシ
ラーゼの活性や安定性など反応性にとって好ましい条件
を選択することが望ましい。
【0027】反応に用いる媒体としては、水あるいは各
種緩衝液からなる水性媒体を用いることができる。緩衝
液としては、リン酸、トリス、クエン酸、酢酸、ホウ
酸、グリシン、HEPES、MOPS、MES、CAP
S、CHES、PIPESなどから適宜一種または二種
以上選択して成る成分を水に含有させた緩衝液を挙げる
ことができる。
【0028】また、反応効率や生産物の収率を更に向上
させるために各種の添加剤を必要に応じて用いることが
できる。D−アミノアシラーゼには金属イオン、例えば
Zn 2+やCo2+などで活性化されるものもあるため、こ
れら2価金属を反応液に添加する事もできる。また逆に
金属イオンにより阻害を受ける場合にはEDTAなどの
キレート剤を添加する事もできる。
【0029】本発明におけるD−アミノ酸の製造に用い
る原料(N−アシルアミノ酸)としては、N−アシル−
D−アミノ酸を含むものであって、DL体、D体の割合
の多い光学活性体、D体のみからなるものなどを用いる
ことができる。
【0030】出発原料の濃度は特に制限はないが通常1
g/l〜300g/l程度の濃度で用いられる。とりわ
け反応性や経済性を鑑みれば、好ましくは50g/l以
上、より好ましくは100g/l以上で、好ましくは2
00g/l以下の濃度が好適である。反応温度はD−ア
ミノアシラーゼがその活性を発現できる温度に維持する
事が好ましく、特に30〜60℃に維持する事が望まし
い。また反応pHも、D−アミノアシラーゼがその活性
を発現できるpHに維持する事が好ましく、特にpH6
〜11に維持する事が望ましい。
【0031】本発明の新規なD−アミノアシラーゼは種
々のN−アシルアミノ酸のD体から対応するD−アミノ
酸を生じる性質を有しており、本発明のD−アミノアシ
ラーゼを用いてN−アシル−DL−アミノ酸より光学活
性アミノ酸を工業的に有利に製造する事が可能である。
適応可能なN−アシル−DL−アミノ酸としては特に制
限されず、広い範囲の化合物から選択できる。代表的な
好ましいN−アシル−DL−アミノ酸としては、N−ア
シル−DL−メチオニン、N−アシル−DL−ロイシ
ン、N−アシル−DL−トリプトファン、N−アシル−
DL−5−ヒドロキシトリプトファン、N−アシル−D
L−フェニルアラニン、N−アシル−DL−フェニルグ
リシン、N−アシル−DL−ホモフェニルアラニン、N
−アシル−DL−ビスホモフェニルアラニン、N−アシ
ル−DL−p−ニトロフェニルアラニン、N−アシル−
DL−p−フルオロフェニルアラニン、N−アシル−D
L−p−クロロフェニルアラニン、N−アシル−DL−
p−ブロモフェニルアラニン、N−アシル−DL−p−
メトキシフェニルアラニン、N−アシル−DL−チロシ
ン、、N−アシル−DL−p−シアノフェニルアラニ
ン、N−アシル−DL−2−ピリジルアラニン、N−ア
シル−DL−3−ピリジルアラニン、N−アシル−DL
−4−ピリジルアラニン、N−アシル−DL−o―ベン
ジルセリン、N−アシル−DL−S−フェニルシステイ
ン、N−アシル−DL−1−ナフチルアラニン、N−ア
シル−DL−2−ナフチルアラニンなどを挙げることが
出来る。更に好ましいN−アシル−DL−アミノ酸とし
てはN−アセチル−DL−アミノ酸が挙げられ、とりわ
けN−アセチル−D−フェニルアラニン、N−アセチル
−D−トリプトファンに対して高い基質特異性を示す。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0033】尚、反応性及び光学純度は、反応で生成す
るD−アミノ酸及び残存するN−アシルアミノ酸を高速
液体クロマトグラフィ法(カラム:CROWNPAK
CR(−)(ダイセル化学工業製)、カラム温度40
℃、移動相:HClO4水溶液pH1.5、0〜15%
メタノール(v/v)、流速0.8ml/min、検出
210nm)で測定し、評価した。
【0034】実施例1:メチロバクテリウム メソフィ
リカム(Methylobacterium mesophilicum)MT108
94(FERM BP−7856)の培養 下記の組成の液体培地にあらかじめブイヨン寒天プレー
トに生育させた菌体を接種し30℃、40時間振とう培
養してD−アミノアシラーゼの活性を有する菌体を得
た。 (培地組成) N−アセチル―DL−ロイシン:5g/L グルコース: 10g/L ペプトン:10g/L リン酸2水素カリウム:1g/L リン酸1水素カリウム:1g/L 硫酸マグネシウム7水和物:0.1g/L イーストエキス:0.5g/L pH7.0(KOHで調整)。
【0035】実施例2:ノカルディオイデス・サーモリ
ラシナス(Nocardioides thermolilacinus)(ATCC
35863)の培養 下記の組成の液体培地にあらかじめブイヨン寒天プレー
トに生育させた菌体を接種し30℃、100時間振とう
培養してD−アミノアシラーゼの活性を有する菌体を得
た。 (培地組成) N−アセチル―DL−ロイシン:5g/L Czapek−Dox Liquid medium
modified(Oxoid):5g/L イーストエキス:2g/L ビタミンアッセイカザミノ酸:10g/L pH 7.2(KOHで調整)。
【0036】実施例3:メチロバクテリウム メソフィ
リカム(Methylobacterium mesophilicum)MT108
94(FERM BP−7856)及びノカルディオイ
デス・サーモリラシナス(Nocardioides thermolilacin
us)(ATCC35863)由来D−アミノアシラーゼ
の基質濃度と反応速度の相関性 (粗酵素溶液)実施例1及び2で示した方法により得ら
れたメチロバクテリウム メソフィリカム(Methylobac
terium mesophilicum)MT10894(FERM B
P−7856)及びノカルディオイデス・サーモリラシ
ナス(Nocardioides thermolilacinus)(ATCC35
863)を用いて菌体溶液(0.1g/0.1Mリン酸バ
ッファー(pH7.8)1ml)を調製し、超音波菌体
破砕機により破砕、冷却遠心機にて破砕菌体を沈殿させ
た上清を粗酵素溶液とする。 (基質溶液)N−アセチル−D−トリプトファンの濃度
が200g/lとなるように0.1Mリン酸バッファー
(pH7.8)に溶解したものを基質溶液とした。 (測定)基質溶液を0.1Mリン酸バッファー(pH7.
8)で容量希釈して5、25、50、100g/lの基
質溶液を200μl調製した。粗酵素溶液を200μl
添加、30℃で1時間反応後、1Mリン酸0.4mlを
添加して反応を停止した。1N水酸化ナトリウム0.4
mlを添加して析出した未反応アセチル体を溶解し、遠
心分離にて菌体破砕物除去後、反応液中の生成D−トリ
プトファンをHPLCにて測定した。基質濃度5g/l
としたときの反応速度を100とし、25、50、10
0g/lとしたときの各菌株由来のD−アミノアシラー
ゼによるD−トリプトファン生成速度の相対値を表2に
示す。
【0037】
【表2】
【0038】比較例1:公知の菌株由来D−アミノアシ
ラーゼの基質濃度と反応速度の相関性 公知のD−アミノアシラーゼ保有菌株であるアルカリゲ
ネス デニトリフィカンス サブスウピーシーズ キシ
ロースオキシダンス MI4(Alcaligenes
denitrificans subsp.xylo
sodansMI4)(FERM P−9413)、ス
トレプトマイセス ツイルス(Streptomyce
s tuirus)(IFO13418)由来のD−ア
ミノアシラーゼの基質濃度と反応速度の関係について調
べた。それぞれの菌株の調製方法について以下に記す。
アルカリゲネス デニトリフィカンス サブスウピーシ
ーズ キシロースオキシダンス MI4(Alcali
genes denitrificans subs
p.xylosodans MI4)(FERMP−9
413)は実施例1記載の方法と同様に行なった。スト
レプトマイセスツイルス(Streptomyces
tuirus)(IFO13418)は下記の組成の液
体培地にて30℃で48時間培養を行なった。 (培地組成) D−バリン:4g/L グルコース:10g/L ペプトン:10g/L リン酸2水素カリウム:1g/L リン酸1水素カリウム:1g/L 硫酸マグネシウム7水和物:0.5g/L イーストエキス:10g/L 塩化コバルト:1mg/ml pH7.0(KOHで調整) 粗酵素液の調製方法、基質液の調製方法、酵素活性の測
定方法は実施例3に記載の通りに行なった。基質濃度5
g/lとしたときの反応速度を100とし、25、5
0、100g/lとしたときの各菌株由来のD−アミノ
アシラーゼによるD−トリプトファン生成速度の相対値
を表3に示す
【0039】
【表3】
【0040】実施例4:メチロバクテリウム メソフィ
リカム(Methylobacterium mesophilicum)MT108
94(FERM BP−7856)由来D−アミノアシ
ラーゼのN末端アミノ酸配列決定 実施例1に示される方法でメチロバクテリウム メソフ
ィリカムを培養して菌体を回収し、1mM DTT(Di
thiothreitol)を添加した0.1Mリン酸バッファー
(pH7.8)に懸濁した。懸濁液の状態で超音波破砕
機によって菌体を破砕し、冷却遠心分離にて菌体破砕物
を除去し、粗酵素溶液を得た。この粗酵素溶液に対して
硫安を添加し、30〜60%の沈殿画分を脱塩後、DE
AEトヨパールカラムに通してパス画分を回収した。こ
の画分をさらにフェニルトヨパール、Q−セファロース
によるクロマトグラフィーに供し、D−アミノアシラー
ゼ活性を持つ画分を得た。この画分についてドデシル硫
酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行
い、分子量約56kDaの位置にバンドを確認した。こ
の56kDaタンパク質についてN末端アミノ酸配列の
分析を行ったところ、配列番号:3に示す様にThr-Asp-
Ser-Thr-Arg-と決定された。
【0041】実施例5:メチロバクテリウム メソフィ
リカム(Methylobactrium mesophilicum)MT1089
4(FERM BP−7856)のゲノミックDNAラ
イブラリー作成 実施例1に示した培養方法でメチロバクテリウム メソ
フィリカム(Methylobactrium mesophilicum)を2日間
培養し、遠心分離で菌体を回収し、リン酸バッファー
(pH7.8)で洗浄した。この菌体より「基礎生化学
実験法2 抽出・分離・精製 阿南功一他著 丸善株式
会社出版」記載によるバクテリアゲノムDNAの分離方
法に従い、ゲノムDNAを調製した。調製したゲノムD
NAを制限酵素Sac Iで完全消化して超遠心分離法にて
DNAの長さによって分画し、3kb以上のDNAを回
収した。それらのDNAと、制限酵素SacIで消化して
5'末端を脱リン酸化したベクターpUC18とをDN
A連結反応に供し、プラスミドライブラリーを作成し
た。このプラスミドライブラリーによって大腸菌DH5
αを形質転換したものを50μg/mlのアンピシリン
を添加したLB(Luria-Bertani)アガロース培地に塗
布して静置培養し、コロニーを出現させた。
【0042】実施例6:プラスミドライブラリーからの
D−アミノアシラーゼ活性スクリーニング 実施例5で出現した個々のコロニーをLB培地(1%バ
クトトリプトン、0.5%バクトイーストエキストラク
ト、1%塩化ナトリウム、pH7.0)で37℃一晩液
体振盪培養し、遠心分離によって形質転換体を沈殿さ
せ、0.1Mリン酸バッファー(pH7.8)にて一回洗
浄後、再び遠心分離にて菌体を回収した。回収した菌体
を破砕したものを粗酵素溶液とし、基質であるN−アセ
チル−D−トリプトファンと反応させてD−トリプトフ
ァンを生成するD−アミノアシラーゼ活性を有する形質
転換体を選抜した。以下にその測定法を示す。 (粗酵素溶液)上記回収菌体を0.1mg/mlの濃度に
なるように0.1Mのリン酸バッファー(pH7.8)に
懸濁し、超音波菌体破砕機にて菌体を破砕した後、冷却
遠心機にて破砕菌体を沈殿させた上清を粗酵素溶液とし
た。 (基質溶液)N−アセチル−D−トリプトファンの濃度
が10g/lとなるように0.1Mリン酸バッファー
(pH7.8)に溶解したものを基質溶液とした。 (測定)基質溶液200μlに対し粗酵素溶液200μ
l添加、30℃、1時間反応後、1Mリン酸0.4ml
を添加して反応を停止した。遠心分離にて菌体破砕物除
去後、反応液中の生成D−トリプトファンをHPLCに
て測定した。
【0043】実施例7:D−アミノアシラーゼ遺伝子を
コードするDNAの塩基配列決定 実施例6より得られたD−アミノアシラーゼ活性を有す
る形質転換体よりプラスミドを抽出し、その物理的地図
を調べたところ、図1の様であることが判明した。さら
にその塩基配列の解析を行った。塩基配列の決定はPE A
pplied Biosystems社、BigDye Teminator Cycle Sequen
cing kitを用い、同社製Genetic Analyzer 310にて行っ
た。その結果配列番号1に示すD−アミノアシラーゼ遺
伝子をコードするDNAの塩基配列が得られた。該D−
アミノアシラーゼ遺伝子の塩基配列をアミノ酸翻訳した
ものを配列番号2に示す。そのN末端のアミノ酸配列は
実施例2に示したN−末端アミノ酸配列分析の結果と一
致した。また、該アミノ酸配列からD−アミノアシラー
ゼの分子量は約53kDaと推定された。
【0044】実施例8:メチロバクテリウム メソフィ
リカム(Methylobacterium mesophilicum)MT108
94(FERM BP−7856)由来D−アミノアシ
ラーゼ遺伝子を含むDNAによって形質転換した大腸菌
を用いたN−アセチル−DL−トリプトファンを基質と
したときの反応評価 (菌体懸濁液の調製)実施例7の図1で示されるプラス
ミドで形質転換した大腸菌をアンピシリン(50μg/
ml)を含むLB培地で終夜37℃振とう培養を行なっ
た。培養後、遠心分離により集菌、0.1Mのリン酸バ
ッファー(pH7.8)で洗浄後に菌体を0.1Mのリン
酸バッファー(pH7.8)に懸濁した。 (N−アセチル−DL−トリプトファン溶液の調製)N
−アセチル−D−トリプトファンの濃度が200g/l
となるように0.1Mリン酸バッファー(pH7.8)に
溶解したものを基質溶液とした。 (測定)上記菌体懸濁液2.5mlと基質溶液2.5ml
をあらかじめ40℃に保温し、この2つの溶液を混合し
た後40℃で反応を行った(反応基質濃度:100g/
l)。反応開始20時間後に反応液100μlを採取
し、同量の1NNaOHを添加して反応を停止した。そ
の後、HPLC移動相で1/200に希釈して、遠心分
離によって菌体を沈殿させ、上清をHPLCによって分
析し、生成したD−およびL−トリプトファン、そして
基質であるN−アセチル−DL−トリプトファンの濃度
を測定した。その結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】*(生成D−トリプトファン[mM])÷
(生成D−トリプトファン[mM]+生成L−トリプト
ファン[mM]+残存N−アセチル−DL−トリプトフ
ァン[mM])。
【0047】実施例9:メチロバクテリウム メソフィ
リカム(Methylobacterium mesophilicum)MT108
94(FERM BP−7856)由来D−アミノアシ
ラーゼ遺伝子を含むDNAによって形質転換した大腸菌
のN−アセチル−DL−アミノ酸に対する基質特異性 実施例7の図1で示されるプラスミドで形質転換した大
腸菌のN−アセチル−DL−アミノ酸に対する基質特異
性を比較した。本実施例においては、基質であるN−ア
セチル−DL−アミノ酸濃度を5g/lに設定して40
℃で16時間反応を行った。N−アセチル−DL−トリ
プトファンを基質とした時のD−アミノアシラーゼ活性
を100として、各種N−アセチル−DL−アミノ酸に
対する相対活性を、またその時の光学純度及び反応収率
を求めた。その結果を表5に示す。
【0048】
【表5】
【0049】*:(生成D−アミノ酸[mM])÷(生
成D−アミノ酸[mM]+生成L−アミノ酸[mM]+残
存N−アセチル−DL−アミノ酸[mM])
【0050】
【発明の効果】本発明により、メチロバクテリウム メ
ソフィリカム(Methylobacterium mesophilicum)MT
10894(FERM BP−7856)などに由来す
る新規なD−アミノアシラーゼ及びそれをコードするD
NAが提供される。本発明のD−アミノアシラーゼは産
業上の有用性に優れた酵素であり、N−アシルアミノ酸
から対応するD−アミノ酸を高効率で製造することがで
きる。
【0051】
【配列表】 <110> Mitsui Chemicals Inc. <120> DNA encoding a new D-aminoacylase and method of producing thereof using the same <130> P0000716 <160> 3 <210> 1 <211> 1464 <212> DNA <213> Methylobacterium mesophilicum <400> 1 atgaccgaca gcacccgtaa gcacgacctg atcatccgcg gcggcaccgt catcgacggc 60 cgccggacgc cccgcttccg cgccgatgtg gcggtgcgcg acggccgact gagcgccatc 120 ggcgatctgg cggaccatcg ggccgcccag gagatcgatg ccacgggacg catcgtggcg 180 ccgggcttca tcgactcgca cacgcacgat gaccaggcgg tgctgtcgca gccgcagatc 240 ccgttcaagg tgtcgcaggg cgtcacgacg gtgatcgccg gcaattgcgg catcagcgcg 300 gcgccgctgc ggcgggacat ggacctgccc atgcccctca acctgatcga cgtgcccgcc 360 gaggagcgct tcacccgctt cgccgactac ctggatgcgc tgcgtgcccg cccctcgtcg 420 gtcaacgtgg ccgcgatggt cggccactcc accctgcgcg ccgtcaccat gccggcgctg 480 gaccgcgagg ccaacagcga ggaaatcgca cgcatgcgcg cgctggtgca ggaggcgatg 540 gacgcgggcg ccatcggcgt ctccaccggc accttctatc cacccgcggt gaaggccacc 600 acggaggaga tcatcgaagt ctgccggccc ctcactgccg cggggggcct gtacgtcacc 660 cacatgcggg acgagtccga ccaggtgatg acctcgctgg aagagacctt ccgcatcggc 720 cgcgcgctgg acgtgccggt ggtcgtctcc caccacaaag tgcagaacac gcccaacttc 780 ggcaagtcgc aggtcacgct gcccttcatc cgcgaagcca tgcaacgcca gcgcagtgtg 840 cctcgactgc tatccctaca cggcgggctc gaccatgatc cgcgcggacc ggggcatgct 900 cgaaggccgc gtgctgatcg ccgagagcct gccgcatccg gaatgcgcag gccgcgacct 960 ggacgacatc gcccgcgact ggggcgtgac cgggtggagg ccgcccgccg gctgcagccc 1020 ggcagcgcca tctacttcct gatggacgag ggcgatgtgc agcgcatcct ggccttcgac 1080 gacacgatga tcggctcgga cggcatcccg gtcggcagca agccgcatcc gcggctctgg 1140 ggcaccttcc cgcgcgtgct gggccattac agccgcgacg tcggcctgtt ccccctggag 1200 accgccgtct ggaagatgac cggactcacg gcccgcaact tcggcctgca cggccggggc 1260 acgctggagg ccggccaggc cgccgacatc gtggtcttcg atgccggcac cgtgcgcgac 1320 gcggccgact atgccgagcc cacgcgtccc gcggaaggca tcgatgcggt gatcgtcaat 1380 ggcgccatca cctggcaagg cggccagcac acgggcgcac gccagggtca ggtcatccgc 1440 cgccaggcgg ccccatccca ctga 1464 <210> 2 <211> 487 <212> PRT <213> Methylobacterium mesophilicum <400> 2 Met Thr Asp Ser Thr Arg Lys His Asp Leu Ile Ile Arg Gly Gly Thr 1 5 10 15 Val Ile Asp Gly Arg Arg Thr Pro Arg Phe Arg Ala Asp Val Ala Val 20 25 30 Arg Asp Gly Arg Leu Ser Ala Ile Gly Asp Leu Ala Asp His Arg Ala 35 40 45 Ala Gln Glu Ile Asp Ala Thr Gly Arg Ile Val Ala Pro Gly Phe Ile 50 55 60 Asp Ser His Thr His Asp Asp Gln Ala Val Leu Ser Gln Pro Gln Ile 65 70 75 80 Pro Phe Lys Val Ser Gln Gly Val Thr Thr Val Ile Ala Gly Asn Cys 85 90 95 Gly Ile Ser Ala Ala Pro Leu Arg Arg Asp Met Asp Leu Pro Met Pro 100 105 110 Leu Asn Leu Ile Asp Val Pro Ala Glu Glu Arg Phe Thr Arg Phe Ala 115 120 125 Asp Tyr Leu Asp Ala Leu Arg Ala Arg Pro Ser Ser Val Asn Val Ala 130 135 140 Ala Met Val Gly His Ser Thr Leu Arg Ala Val Thr Met Pro Ala Leu 145 150 155 160 Asp Arg Glu Ala Asn Ser Glu Glu Ile Ala Arg Met Arg Ala Leu Val 165 170 175 Gln Glu Ala Met Asp Ala Gly Ala Ile Gly Val Ser Thr Gly Thr Phe 180 185 190 Tyr Pro Pro Ala Val Lys Ala Thr Thr Glu Glu Ile Ile Glu Val Cys 195 200 205 Arg Pro Leu Thr Ala Ala Gly Gly Leu Tyr Val Thr His Met Arg Asp 210 215 220 Glu Ser Asp Gln Val Met Thr Ser Leu Glu Glu Thr Phe Arg Ile Gly 225 230 235 240 Arg Ala Leu Asp Val Pro Val Val Val Ser His His Lys Val Gln Asn 245 250 255 Thr Pro Asn Phe Gly Lys Ser Gln Val Thr Leu Pro Phe Ile Arg Glu 260 265 270 Ala Met Gln Arg Gln Arg Ser Val Pro Arg Leu Leu Ser Leu His Gly 275 280 285 Gly Leu Asp His Asp Pro Arg Gly Pro Gly His Ala Arg Arg Pro Arg 290 295 300 Ala Asp Arg Arg Glu Pro Ala Ala Ser Gly Met Arg Arg Pro Arg Pro 305 310 315 320 Gly Arg His Arg Pro Arg Leu Gly Arg Asp Arg Val Glu Ala Ala Arg 325 330 335 Arg Leu Gln Pro Gly Ser Ala Ile Tyr Phe Leu Met Asp Glu Gly Asp 340 345 350 Val Gln Arg Ile Leu Ala Phe Asp Asp Thr Met Ile Gly Ser Asp Gly 355 360 365 Ile Pro Val Gly Ser Lys Pro His Pro Arg Leu Trp Gly Thr Phe Pro 370 375 380 Arg Val Leu Gly His Tyr Ser Arg Asp Val Gly Leu Phe Pro Leu Glu 385 390 395 400 Thr Ala Val Trp Lys Met Thr Gly Leu Thr Ala Arg Asn Phe Gly Leu 405 410 415 His Gly Arg Gly Thr Leu Glu Ala Gly Gln Ala Ala Asp Ile Val Val 420 425 430 Phe Asp Ala Gly Thr Val Arg Asp Ala Ala Asp Tyr Ala Glu Pro Thr 435 440 445 Arg Pro Ala Glu Gly Ile Asp Ala Val Ile Val Asn Gly Ala Ile Thr 450 455 460 Trp Gln Gly Gly Gln His Thr Gly Ala Arg Gln Gly Gln Val Ile Arg 465 470 475 480 Arg Gln Ala Ala Pro Ser His 485 <210> 3 <211> 5 <212> PRT <213> Methylobacterium mesophilicum <400> 3 Thr Asp Ser Thr Arg 1 5
【図面の簡単な説明】
【図1】組替えプラスミドpUSDA3の物理的地図を
示す図である。図中、oriはプラスミドの複製開始点
を、Amprはアンピシリン耐性マーカーを、SacI,HincI
I,PstI,XhoIは各々制限酵素認識部位をそれぞれ示
す。また、太矢印はD−アミノアシラーゼのORFの位
置と向きを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/80 C12P 13/22 A C12P 13/04 C12N 15/00 ZNAA 13/22 5/00 A (72)発明者 八巻 俊文 千葉県茂原市東郷1144 三井化学株式会社 内 (72)発明者 有井 輝夫 千葉県茂原市東郷1144 三井化学株式会社 内 (72)発明者 及川 利洋 千葉県茂原市東郷1144 三井化学株式会社 内 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 BA71 BA75 CA03 EA04 GA11 HA03 4B050 CC03 DD02 LL05 4B064 AE03 AE34 CA19 CC24 CD13 DA01 DA02 DA11 4B065 AB01 BA01 CA28 CA44 CA47

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−アシル−D−アミノ酸に作用して対
    応するD−アミノ酸を生成する反応を触媒する作用を有
    するD−アミノアシラーゼであって、 水性媒体中でN−アセチル−D−トリプトファンからD
    −トリプトファンを生成する反応を触媒する際における
    N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が50g/l
    の場合の反応速度が、N−アセチル−D−トリプトファ
    ンの濃度が5g/lの場合の反応速度に対して少なくと
    も40%である事を特徴とするD−アミノアシラーゼ。
  2. 【請求項2】 N−アセチル−D−トリプトファンの濃
    度が100g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−
    D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度
    に対して少なくとも20%である請求項1記載のD−ア
    ミノアシラーゼ。
  3. 【請求項3】 メチロバクテリウム(Methylobacteriu
    m)属又はノカルディオイデス(Nocardioides)属に属
    する微生物由来である請求項1に記載のD−アミノアシ
    ラーゼ。
  4. 【請求項4】 メチロバクテリウム(Methylobacteriu
    m)属に属する微生物がメチロバクテリウム・メソフィ
    リカム(Methylobacterium mesophilicum)種、ノカル
    ディオイデス(Nocardioides)属に属する微生物がノカ
    ルディオイデス・サーモリラシナス(Nocardioides the
    rmolilacinus)種である請求項3記載のD−アミノアシ
    ラーゼ。
  5. 【請求項5】 ノカルディオイデス・サーモリラシナス
    (Nocardioides thermolilacinus)種に属する微生物が
    ノカルディオイデス・サーモリラシナス(Nocardioides
    thermolilacinus)ATCC35863株である請求項
    4記載のD−アミノアシラーゼ。
  6. 【請求項6】 N−アシル−D−アミノ酸に作用して対
    応するD−アミノ酸を生成する反応を触媒する作用を有
    するD−アミノアシラーゼであって、 (A)配列表の配列番号:2記載のアミノ酸配列または (B)該アミノ酸配列に対して前記触媒活性を維持し得
    る範囲内で1以上のアミノ酸残基の挿入、欠失または置
    換を行って得られる変異アミノ酸配列 を有することを特徴とするD−アミノアシラーゼ。
  7. 【請求項7】 水性媒体中でN−アセチル−D−トリプ
    トファンからD−トリプトファンを生成する反応を触媒
    する際におけるN−アセチル−D−トリプトファンの濃
    度が50g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−D
    −トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度に
    対して少なくとも40%である請求項6に記載のD−ア
    ミノアシラーゼ。
  8. 【請求項8】 N−アセチル−D−トリプトファンの濃
    度が100g/lの場合の反応速度が、N−アセチル−
    D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速度
    に対して少なくとも20%である請求項7に記載のD−
    アミノアシラーゼ。
  9. 【請求項9】 N−アシル−D−アミノ酸に作用して対
    応するD−アミノ酸を生成する反応を触媒する作用を有
    するD−アミノアシラーゼをコードする塩基配列であっ
    て、 (a)配列表の配列番号:1記載の塩基配列または (b)配列番号:1の塩基配列に対して該塩基配列がコ
    ードするD−アミノアシラーゼの作用が維持される範囲
    内で1以上の塩基の挿入、欠失または置換を行って得ら
    れる変異塩基配列 からなることを特徴とするD−アミノアシラーゼをコー
    ドする塩基配列。
  10. 【請求項10】 前記変異塩基配列が、前記配列番号:
    1の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダ
    イズするものである請求項9に記載の塩基配列。
  11. 【請求項11】 D−アミノアシラーゼが水性媒体中で
    N−アセチル−D−トリプトファンからD−トリプトフ
    ァンを生成する反応を触媒する際のN−アセチル−D−
    トリプトファンの濃度が50g/lの場合の反応速度
    が、N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が5g/
    lの場合の反応速度に対して少なくとも40%である請
    求項9に記載の塩基配列。
  12. 【請求項12】 N−アセチル−D−トリプトファンの
    濃度が100g/lの場合の反応速度が、N−アセチル
    −D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速
    度に対して少なくとも20%である請求項11に記載の
    塩基配列。
  13. 【請求項13】 請求項9に記載の塩基配列を含むプラ
    スミド。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載のプラスミドによっ
    て形質転換された形質転換体。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の形質転換体を培養
    して、該形質転換体に組み込まれたプラスミドの有する
    塩基配列によりコードされたD−アミノアシラーゼを生
    産させることを特徴とするD−アミノアシラーゼの産生
    方法。
  16. 【請求項16】 水性媒体中でN−アシルアミノ酸にD
    −アミノアシラーゼを作用させて対応するD−アミノ酸
    を生産する光学活性アミノ酸の生産方法であって、該D
    −アミノアシラーゼが水性媒体中でN−アセチル−D−
    トリプトファンからD−トリプトファンを生成する反応
    を触媒する際におけるN−アセチル−D−トリプトファ
    ンの濃度が50g/lの場合の反応速度が、N−アセチ
    ル−D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応
    速度に対して少なくとも40%であることを特徴とする
    光学活性アミノ酸の生産方法。
  17. 【請求項17】 N−アセチル−D−トリプトファンの
    濃度が100g/lの場合の反応速度が、N−アセチル
    −D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速
    度に対して少なくとも20%である請求項16記載の生
    産方法。
  18. 【請求項18】 メチロバクテリウム(Methylobacteri
    um)属又はノカルディオイデス(Nocardioides)属に属
    する微生物由来である請求項16に記載の生産方法。
  19. 【請求項19】 メチロバクテリウム(Methylobacteri
    um)属に属する微生物がメチロバクテリウム・メソフィ
    リカム(Methylobacterium mesophilicum)種、ノカル
    ディオイデス(Nocardioides)属に属する微生物がノカ
    ルディオイデス・サーモリラシナス(Nocardioides the
    rmolilacinus)種である請求項18記載の生産方法。
  20. 【請求項20】 ノカルディオイデス・サーモリラシナ
    ス(Nocardioides thermolilacinus)種に属する微生物
    がノカルディオイデス・サーモリラシナス(Nocardioid
    es thermolilacinus)ATCC35863株である請求
    項19記載の生産方法。
  21. 【請求項21】 N−アシルアミノ酸濃度が50g/l
    以上である請求項16に記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 N−アシルアミノ酸濃度が100g/
    l以上である請求項21記載の製造方法。
  23. 【請求項23】 水性媒体中でN−アシルアミノ酸にD
    −アミノアシラーゼを作用させて対応するD−アミノ酸
    を生産する光学活性アミノ酸の生産方法であって、該D
    −アミノアシラーゼが請求項6に記載のD−アミノアシ
    ラーゼであることを特徴とする光学活性アミノ酸の生産
    方法。
  24. 【請求項24】 前記D−アミノアシラーゼが水性媒体
    中でN−アセチル−D−トリプトファンからD−トリプ
    トファンを生成する反応を触媒する際のN−アセチル−
    D−トリプトファンの濃度が50g/lの場合の反応速
    度が、N−アセチル−D−トリプトファンの濃度が5g
    /lの場合の反応速度に対して少なくとも40%である
    請求項23に記載の生産方法。
  25. 【請求項25】 N−アセチル−D−トリプトファンの
    濃度が100g/lの場合の反応速度が、N−アセチル
    −D−トリプトファンの濃度が5g/lの場合の反応速
    度に対して少なくとも20%である請求項24に記載の
    生産方法。
  26. 【請求項26】 D−アミノアシラーゼを、請求項14
    に記載の形質転換体を培養して得られる培養液、該培養
    液から分離された形質転換体又はそれらの処理物の形で
    N−アシルアミノ酸に作用させる請求項23に記載の生
    産方法。
  27. 【請求項27】 N−アシルアミノ酸濃度が50g/l
    以上である請求項23に記載の製造方法。
  28. 【請求項28】 N−アシルアミノ酸濃度が100g/
    l以上である請求項27記載の製造方法。
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JP2008182986A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Sumitomo Chemical Co Ltd アミノアシラーゼ遺伝子

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