JP2002317524A - 窯業系建築用パネルおよびその処理方法 - Google Patents
窯業系建築用パネルおよびその処理方法Info
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Abstract
水性塗料や水と混合されたモルタル及び無機質系補修材
などとの塗着性が向上した窯業系建築用パネルを提供す
る。 【解決手段】撥水性を有する窯業系建築用パネルの外表
面に、アニオン系または非イオン系またはカチオン系界
面活性剤のうち少なくとも一つ以上の界面活性剤を塗布
する。
Description
業系建築用パネルにおいて、前記パネル表面にアニオン
系または非イオン系またはカチオン系の界面活性剤のう
ち少なくとも一つ以上の界面活性剤を塗布することによ
りモルタルや水性塗料などとの塗着性の向上を図ること
ができる窯業系建築用パネルおよびその処理方法に関す
るものである。
ム成形板、木毛セメント板、パルプセメント板、石綿セ
メントパーライト板、石綿セメントサイディング板など
の窯業系建築用パネルは、その軽量性、耐火性、断熱
性、施工性等の利点によりこれまで建築材料として外
壁、間仕切り、床、屋根などに幅広く用いられている。
外壁や屋根などの部位については、工場の塗装ラインま
たは建て込みが終了した時点で各種の塗装やモルタル仕
上げやタイル貼り等を施すのが通常である。そして該塗
装において、作業性や乾燥性などの利点のため従来より
揮発性有機溶剤を混合したタイプが広く用いられていた
が、最近の環境負荷低減の動静のなか環境対策とともに
安全性確保のため無溶剤タイプである水性系のものが次
第に使用されてきている。
は、ある程度の水分を保持しているが、更に雨水時に大
量の水を吸水し、その長さや幅において伸びを生じた
り、また高吸水量による断熱性の低下をもたらしたりす
る。またその後の乾燥状態が長期にわたると、水分の蒸
発とともに収縮やそれによる変形を生じる。従って、前
記窯業系建築用パネルの吸水を防止するため以下の方法
が採用されている。
特公昭58−49507号公報、特開昭58−5535
9号公報、特公平1−58148号公報、特開昭59−
92962号公報、特開平2−160651号公報に開
示されているように、パネルの製造工程で、耐熱性があ
り、変色がなく、また撥水性が良好なジメチルシロキサ
ンや変成シロキサンなどのシリコーンオイルまたはパラ
フィン系のものを原材料として使用する。すなわち、内
部添加型撥水剤として使用する方策が採られている。
リートパネルなどにおいて上記のように原材料中に混合
するのではなく、製品として完成した後でシラン系、シ
リコネート系、シリコーンオイル系、パラフィン系など
の浸透型撥水剤を外表面より含浸させ長期的な防水性を
付与した方策などが採られている。更に、特開2000
−72567号公報に開示されているように、短期の撥
水効果を目的とするものもある。
製造された建築用パネルは、当然撥水性があるため防水
効果が期待され使用されるものである。しかしながら、
建築施工において外表面に塗布する水性塗料或いは該パ
ネルが一部破損した時の補修材または仕上げ用やタイル
の目地部に充填する水性モルタルなどは、いずれも水を
媒体として混合しているため前記パネルに用いたときは
該表面への塗着性能が非常に低下するという問題点があ
った。
ネルに対して、水性塗料の代わりにホルムアルデヒドや
シンナーなどの揮発性の有機溶剤を含む油性塗料を用い
る場合には、油性塗料は引火・爆発性のある危険物であ
りその取扱いに十分配慮しなければならないし、また長
期吸引すると人体に悪影響を及ぼす恐れのある揮発性有
機溶剤であるため、シックハウス症候群などの健康障害
を誘引する可能性があり、安全衛生上極めて重要な問題
を解決する必要が迫られている。
業系建築用パネルの外表面に界面活性剤を塗布すること
により、外表面への水性塗料との塗着性またはモルタル
仕上げや貫通部分の補修部並びにタイル貼りの目地部な
どへ使用する水性モルタルとの塗着性を向上した窯業系
建築用パネルおよび処理方法を提供することにある。
に、本発明者らは試験・研究を重ねて来た結果、以下の
ことを見いだした。つまり撥水性を有する窯業系建築用
パネルにおいて、該パネル表面にアニオン系、非イオン
系、カチオン系などの界面活性剤を塗布した場合におい
て、該塗布された外表面は水性塗料または水と混合され
たモルタルや無機質系補修材などとの塗着が非常に向上
するということを見いだした。
サンなどのシリコーンオイル系またはパラフィン系の撥
水剤を原材料混合時に添加し撥水性を付与した前記窯業
系建築用パネル、並びに製造後において浸透性のあるシ
ラン系、シリコネート系、シリコーンオイル系、パラフ
ィン系などの撥水剤を外表面より浸透させ撥水性を付与
した前記窯業系建築用パネルにおいて、水性塗料または
水と混合されたモルタルや無機質系補修材を外表面に塗
着させる場合、前記外表面にあらかじめスルホン酸塩や
硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、および/
またはアルキルエーテルやアルカノールアミドなどの非
イオン系界面活性剤、および/またはベンジルアンモニ
ウム塩やメチルアンモニウム塩などのカチオン系界面活
性剤を塗布したのち、前記水性塗料または水と混合され
たモルタルや無機質系補修材を吹き付けまたは塗布する
ことにより塗着性を損なうことなく施工ができる。
点からアニオン系ではアルキルベンゼンスルホン酸塩や
アルキル硫酸エステル塩、非イオン系ではポリオキシエ
チレンアルキルエーテルや脂肪族アルカノールアミド、
カチオン系ではアルキルジメチルベンジルアンモニウム
塩やアルキルトリメチルアンモニウム塩がより好まし
い。
ための界面活性剤の塗布量は、その有効成分換算で0.
1g/m2〜60g/m2を塗布すればよい。この場合
0.1g/m2未満であれば該表面において撥水性能が
残り、あまり効果が期待できない。また60g/m2を
越えて塗布してもその効果は変わらず経済的に無駄であ
る。この点から好ましくは0.5g/m2〜30g/m2
の範囲がより効果的である。
に希釈したものを使用することが出来、その濃度は該界
面活性剤の有効成分が0.1〜20%の範囲に希釈し使
用される。更に望ましくは1〜10%の範囲に希釈し用
いる方がよい。0.1%未満の場合、前記表面において
上記同様撥水性能が残り、あまり効果が期待できない。
また20%を越えた場合は、界面活性剤の粘性が高いた
めに前記表面に刷毛で塗布するときに均一に塗布できな
いばかりか、その塗装ムラを無くすために過剰な塗布量
を施す必要がある。更にスプレーガンを用いる場合は、
その高粘性のためノズルから界面活性剤が噴霧できなく
なるという不具合を生じる。
を付与された窯業系建築用パネルは、軽量気泡コンクリ
ート、軽量コンクリート、珪酸カルシウム成形板、木毛
セメント板、パルプセメント板、石綿セメントパーライ
ト板、石綿セメントサイディング、コンクリートブロッ
クやコンクリートパネルなどの無機質窯業系パネルに有
効である。
ついて実施例で説明する。
して以下の如く撥水性を付与した軽量気泡コンクリート
(以下、ALCという)を用いた。尚、撥水性の付与に
際しては、原料混合時に原料固形分に対して0.3重量
%の撥水剤を添加する内部添加式と、製造後にハケやス
プレーなどで撥水剤をその有効成分換算で3g/m2、
該パネル表面から含浸させる外部付与式との2種類の方
法を採用した。次いで撥水性を付与したパネル表面に、
水による希釈濃度および有効成分量を変えた種々の界面
活性剤水溶液を刷毛で該ALC表面に塗布量を変えて塗
布し、試験用パネル表面の界面活性剤水溶液による濡れ
状況を観察した。
は、以下のものを用いた。 1.撥水剤:内部添加式ジメチルシロキサンオイル 変性シロキサンオイル パラフィン系 外部付与式アルキルアルコキシシラン+変性シロキサ
ンオイル アルキルアルコキシシラン 変性シロキサンオイル ナトリウムシリコネート パラフィン系 2.界面活性剤 アニオン系:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(商品名:パントリー;ティーポール社製) 非イオン系:ポリオキシエチレンアルキルエーテルま
たは脂肪族ジエタノールアミド(商品名:サンノニック
FD−80及びナロアクティーN−95;三洋化成社
製) カチオン系:第4級アンモニウム塩(商品名:カチオ
ンG50及びレボンTM16;三洋化成社製) 両性系 :カルボキシペタイン型(商品名:レボン
2000;三洋化成社製) アニオン・非イオン系:アルキルベンゼンスルホン酸
ナトリウム(50%)+ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル(50%) カチオン・非イオン系:第4級アンモニウム塩(50
%)+ポリオキシエチレンアルキルエーテル(50%)
時間経過した後、試験用パネル表面にさらに水を滴下し
該表面における撥水性有無の確認を行った。
ける界面活性剤水溶液塗布時のその濡れ状態により、該
試験用パネル表面への水溶性建築材料、すなわち水性ペ
イント、水性モルタルやその他のセメントを用いた無機
質系補修材表面への塗着性を評価することが出来る。
性建築材料と試験用パネル表面とは塗着性も良く、該水
溶性建築材料の硬化後においてもその表面から剥がれや
ひび割れなどの不具合が発生することがない。(濡れ状
態が良い場合とは、前記試験用パネル表面において、界
面活性剤水溶液が該表面上で球の状態とはならず、該表
面から浸透して水濡れした状態をいう。)
行い、試験用パネル表面へ前記界面活性剤を塗布したと
き、該試験用パネル表面が均一に濡れた状態にありかつ
3時間後の水滴落下においても直ちに濡れ状態を呈した
場合は◎、該表面へ界面活性剤を塗布したとき、均一に
濡れの状態を呈するが、3時間後の水滴落下において部
分的にのみ濡れ状態を呈する場合は、界面活性剤が部分
的にのみ濡れ状態を呈し、かつ3時間後の水滴落下にお
いても部分的にのみ濡れ状態を呈する場合は△、界面活
性剤が濡れ状態を呈さずかつ3時間後の水滴落下におい
ても全く濡れ状態を呈さない場合は×と評価した。評価
結果を表1に併記する。
験用パネル表面とモルタルとの塗着性能評価を以下の方
法で行った。
てALCより所定の寸法(寸法:x×y×z=100×
100×200mm)に切り出した試験片10を2ケ準
備する。そして該試験片10を片方の上端部が図1に示
すような切り欠き部20(寸法:a×b×c=20×4
0×100mm)となるように切断する。次いで前記切
り欠き部20がそれぞれ相対峙するよう配置して、その
結果生じる凹部30の両側に試験片10の上面11と同
一となるよう宛板を取り付けたのち前記凹部30にモル
タル(セメント:砂=1:3、水/固形重量=0.1
6)50(図2に示す)を注入し、モルタル50が硬化
することにより2対の試験片を一体化したものを作製し
曲げ試験を行った。なお、試験片10の凹部30には、
予め水による希釈濃度および有効成分量を変えた種々の
界面活性剤水溶液を刷毛で塗布量を変えて塗布してお
き、30分経過後にモルタル50を注入した。
28日間養生してから曲げ試験を行った。尚、曲げ試験
は、図2に示すように、塗着性が評価できるよう前記凹
部30が下側になるよう試験器に設置し、加力ローラー
40にて破壊するまで荷重Pを掛けた。
判定した。つまり、上記曲げ試験により試験片は、通常
下面側41のほぼ中央部より亀裂が発生し破壊する。し
かしながら、前記試験パネルに用いたALCとモルタル
の塗着性が弱い場合は、ALCとモルタルとの界面で剥
離し、ALCとモルタルの塗着性が強い場合は、モルタ
ルの方がALCより曲げ強度が強いため、前記界面では
なくALCから亀裂が発生し破壊にいたる。
し、試験パネルとしてALCを用いた場合は前記凹部3
0にモルタル50を注入したが、他の建築用パネルすな
わちALCより薄い珪酸カルシウム板やスレートなどに
おいても、上記同様その厚さの半分程度の切り欠き部を
設け、上記同様凹部にモルタルを注入し硬化後曲げ試験
を行い、破断した部位を観察することで評価できる。
尚、コンクリート板やスレートの場合、その曲げ強度が
材齢の若いモルタルより強いため、塗着性が強いとモル
タルが破壊し、塗着性が弱いとALCと同様に界面が剥
離する。
は、目視にて行った。すなわち、試験片が破壊したとき
に、破断部位が全てALC又はモルタルであった場合は
◎、破断部位が半分程度モルタルとの界面であった場合
は○、破断部位が一部モルタルとの界面であった場合は
△、破断部位が全面にわたってモルタルとの界面であっ
た場合は×と評価した。評価結果を表1に併記する。
尚、比較例として撥水性を付与したALC表面に、水ま
たは界面活性剤として両性系のものを塗布し、上記同様
その濡れ状態並びに曲げ試験における破断部位の観察を
行い評価した。
ン系のもの、または非イオン系のもの、またはカチオン
系のもの、またはアニオン系と非イオン系を混合したも
の、またはカチオン系と非イオン系とを混合したもの
を、その有効成分換算で0.1g/m2〜60g/m2塗
布することで、撥水性を付与された前記窯業系建築用パ
ネルにおいて、表面の濡れ性も改善し、更にモルタルと
の塗着性が向上することが分かった。
コンクリート、軽量コンクリート、コンクリート板、ス
レートなどの窯業系建築用パネルの外表面に、アニオン
系界面活性剤、または非イオン系界面活性剤、またはカ
チオン系界面活性剤のうち少なくとも一つ以上からなる
界面活性剤を、その有効成分換算で0.1g/m2〜6
0g/m2程度塗布すること、更に前記界面活性剤の水
希釈量を有効成分換算で0.1%〜20%にすることに
より該水溶液の濡れ性が改善され、且つ水性モルタルや
その他のセメント系無機質材料の塗着性が向上すること
を見いだし、本発明を完成させた。
を有する窯業系建築用パネル表面にアニオン系または非
イオン系またはカチオン系の界面活性剤のうち少なくと
も一つ以上の界面活性剤を塗布することにより、外表面
への水性塗料の塗着性や補修部並びに目地部などへ使用
する水性モルタルとの塗着性を向上した窯業系建築用パ
ネルを得ることができる。
Claims (6)
- 【請求項1】撥水性を有する窯業系建築用パネルにおい
て、前記建築用パネル表面にアニオン系または非イオン
系またはカチオン系界面活性剤のうち少なくとも一つ以
上の界面活性剤を塗布してなる窯業系建築用パネル。 - 【請求項2】前記撥水性を有する窯業系建築用パネルの
表面において、上面または下面または小口面のうち少な
くとも一つ以上の面に界面活性剤を塗布してなる請求項
1記載の窯業系建築用パネル。 - 【請求項3】前記撥水性を有する窯業系建築用パネルの
表面において、界面活性剤を塗布した後、該表面に水性
塗料またはモルタルまたは無機質系補修材を塗着させた
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の窯業系
建築用パネル。 - 【請求項4】前記撥水性を有する窯業系建築用パネルの
表面に界面活性剤を塗布するに際して、その塗布量は有
効成分換算で0.1g/m2〜60g/m2であることを
特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか記載の窯業系
建築用パネル。 - 【請求項5】前記撥水性を有する窯業系建築用パネルの
表面に塗布する前記界面活性剤の水希釈濃度は、有効成
分換算で0.1〜20%であることを特徴とする請求項
1〜請求項3のいずれか記載の窯業系建築用パネル。 - 【請求項6】前記撥水性を有する窯業系建築用パネルの
表面において、前記窯業系建築用パネル表面にアニオン
系または非イオン系またはカチオン系界面活性剤のうち
少なくとも一つ以上の界面活性剤を刷毛またはスプレー
またはローラーで塗布することを特徴とする前記窯業系
建築用パネルの処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001120482A JP2002317524A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 窯業系建築用パネルおよびその処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001120482A JP2002317524A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 窯業系建築用パネルおよびその処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002317524A true JP2002317524A (ja) | 2002-10-31 |
Family
ID=18970507
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001120482A Pending JP2002317524A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 窯業系建築用パネルおよびその処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002317524A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014172933A (ja) * | 2013-03-06 | 2014-09-22 | Mitsubishi Electric Corp | 撥水性膜の形成方法および撥水性膜が形成された物品 |
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JPH11256006A (ja) * | 1998-03-13 | 1999-09-21 | Chuo Rika Kogyo Corp | 水系樹脂組成物 |
JP2000072567A (ja) * | 1998-09-01 | 2000-03-07 | Nihon Ytong Co Ltd | 軽量気泡コンクリートパネル |
JP2001064571A (ja) * | 1999-08-30 | 2001-03-13 | Sekisui Chem Co Ltd | 水系エマルジョン塗料、塗装板及び塗装方法 |
-
2001
- 2001-04-19 JP JP2001120482A patent/JP2002317524A/ja active Pending
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Legal Events
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