JP2002310912A - 微量物質の濃度測定装置 - Google Patents

微量物質の濃度測定装置

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JP2002310912A
JP2002310912A JP2001113002A JP2001113002A JP2002310912A JP 2002310912 A JP2002310912 A JP 2002310912A JP 2001113002 A JP2001113002 A JP 2001113002A JP 2001113002 A JP2001113002 A JP 2001113002A JP 2002310912 A JP2002310912 A JP 2002310912A
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Sakae Ikuta
栄 生田
Masao Takahashi
正雄 高橋
Kiyohisa Terai
清寿 寺井
Yutaka Uchida
裕 内田
Mina Sakano
美菜 坂野
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Toshiba Corp
Toshiba Substation Equipment Technology Corp
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Toshiba Corp
Toshiba Substation Equipment Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光の発生光量を大きくして測定感度を高め
ると共に、作業時間を短くしてコストの低減化を図り、
優れた信頼性及び経済性を得る。 【解決手段】 微量物質の濃度測定装置には、レーザー
発振光Lbを所定の波長を持つ励起光Ebに変換する波
長変換器2と、試料を収容する試料セル3とが設けられ
ている。試料セル3の左右のウィンドウWに対向して折
り曲げミラーFMが配置されている。これら折り曲げミ
ラーFMは励起光Ebを複数回反射折り返して2枚の折
り曲げミラーFM間に多重光路を形成するようになって
いる。また、試料セル3底面部のウィンドウW下方には
計測光学系4が設けられ、この計測光学系4に近接して
蛍光検出器5が設けられている。さらに、蛍光検出器5
には分析解析器6が接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微量物質を検出し
てその濃度を測定する微量物質の濃度測定技術に係り、
特に、レーザー光を用いて微量物質の濃度を測定する微
量物質の濃度測定方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、環境汚染物質は大気中あるいは
土壌中等に微量存在しており、生体に悪影響を及ぼすこ
とが知られている。中でも、ダイオキシン類や有機塩素
系化合物等は人体に有害な微量物質としてその存在が問
題となっている。従来、これらの微量物質の濃度測定に
は次のようないくつかの手法が知られている。すなわ
ち、1:ガスクロマトグラフなどを用いた化学分析的な
手法、2:電解液中に試料を通過させる電気化学的な手
法、3:紫外、可視または赤外光の吸収による手法(吸
光法)、4:励起光を照射して試料から発生する蛍光を
測定する手法、5:励起光を照射して試料から発生する
イオンを測定する手法などである。
【0003】ここで、化学分析的な濃度測定方法につい
て、図7を参照して説明する。この濃度測定方法では大
きく分けて、試料の採集(サンプリング)、前処理
(抽出・濃縮、クリーンナップ)、化学的機器分析
(ガスクロマトグラフ、質量分析器)による検出・定量
という手順をとる。以下、排ガス中に含まれるダイオキ
シン類の濃度測定を例にとって具体的に説明する。
【0004】試料の採集(サンプリング) 排ガス中でダイオキシン類は粒子状及びガス状で存在す
る。このうち、粒子状のダイオキシン類は排ガスをフィ
ルタに通過させることにより捕集される。その際、フィ
ルタでのダイオキシン類の二次生成を防ぐべく、フィル
タは低温度に保たれている。一方、ガス状のダイオキシ
ン類はインピンジャで捕集される。すなわち、フィルタ
を通過した排ガスは水を入れたインピンジャを冷却する
ことによりガス状のダイオキシン類が捕集される。ここ
で捕集しきれないガス状のダイオキシン類は樹脂カラム
に吸着されトラップされる。この2段階で捕集されない
ダイオキシン類はさらにその後段のジエチレングリコー
ルによって吸収、捕集される。
【0005】前処理(抽出・濃縮、クリーンナップ) 上記のようにしてサンプリングされた試料は、捕集過程
に応じて種々の薬品で洗浄されてから以下の抽出と付随
処理が行われる。まず、採取された各試料中のダイオキ
シン類は有機溶媒中に抽出され、その後、各抽出液を混
合した上で濃縮される。ここで、前処理過程でのダイオ
キシン類の損失を補正する目的で、標準物質の添加が行
われる。
【0006】前記抽出液は試料によってはタール成分や
油脂成分が残存している場合が多く、ダイオキシン類の
存在量は極めて微量である。このため、測定に対する共
存物質の妨害をできるだけ除去する目的でクリーンナッ
プ工程が実施される。始めのクリーンナップ工程とし
て、抽出液は濃硫酸を用いて有機化合物が分解処理され
る。次いでシリカゲルカラムによる極性化合物や農薬等
の除去、アルミナカラムによる低極性化合物やPCB等
の除去が行われる。さらに試料の種類に応じて各種のク
リーンナップ工程が選択組合されて繰返される。
【0007】化学的機器分析(ガスクロマトグラフ、
質量分析器) ダイオキシン類の検出定量では、キャピラリーカラムを
用いたガスクロマトグラフが用いられており、ガスクロ
マトグラフから溶出した成分の検出器として質量分析器
が使われている。ダイオキシン類の毒性評価は、2,
3,7,8−TCDDに毒性換算して行うので、他の異
性体および侠雑物から分離定量する必要がある。一般に
ダイオキシン類を測定する必要のある試料中には多くの
有機化合物が共存しており、前述の前処理操作によって
も測定対象成分の完全な分離は不可能である。特に、分
析目的に性質が近い化合物ほど除去が困難である。異性
体の分離のために各種のキャピラリーカラムが使用さ
れ、除去できない成分については高分解能の質量分析器
を用いて測定が行われている。
【0008】定量は内部標準法により行われる。内部標
準法とは、各塩素同族体ごとに内部標準に対する相対感
度係数を求めて、2,3,7,8−塩素置換異性体とし
て濃度表示する手法である。このような内部標準法によ
り定量された17種の2,3,7,8−体に各々の毒性
等価係数を乗じ、その合計が毒性等価換算濃度で表示さ
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
化学分析的な微量物質の濃度測定方法には、次のような
問題点があった。すなわち、上述した測定方法は、多数
の前処理工程を各種組合せた後、高分解能ガスクロマト
グラフや高分解能の質量分析器を使用する。したがっ
て、工程が多く複雑であり、各工程の誤差が積算されて
最終的な計測結果に影響する可能性も否めない。また、
高い測定感度を得るためには1回の測定に多量の試料を
必要とする。さらに、試料の溶媒への抽出や濃縮といっ
た前処理に時間がかかり、測定作業が完了するまでに数
日間を要する。その結果、1検体当たりの費用が高騰す
るといった事態を招いている。
【0010】また、上述した化学分析的な手法以外の測
定方法においても、次のような点に問題がある。すなわ
ち、電気化学的な手法では、試料成分が単純で且つ測定
対象物質の濃度が比較的高い場合にのみしか適用するこ
とができない。また、吸光法、蛍光測定法、イオン測定
法の場合、試料に多数の成分が混在すると、それぞれの
スペクトル線(蛍光スペクトル線あるいは励起吸収スペ
クトル線も含める)が近接し易く、各成分濃度を分離、
測定することが困難となり、測定感度が低下する。
【0011】本発明は、以上のような問題点を解消する
ために提案されたものであり、レーザー光の波長変換光
を励起光とし微量物質の発する蛍光に基づいてその濃度
を測定する微量物質の濃度測定装置において、蛍光の発
生光量を大きくして測定感度を高めると共に、作業時間
を短くしてコストの低減化を図り、優れた信頼性及び経
済性を得ることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、レーザー光またはレーザー光の波長変換
光を励起光としてこれを微量物質を含む試料に照射し、
前記微量物質の発する蛍光を検出計測し分析解析してそ
の結果から該微量物質の濃度を算出する微量物質の濃度
測定装置において、次のような技術的な特徴を有してい
る。
【0013】請求項1の発明は、微量物質を含む試料に
対し前記励起光を複数回通過させる多重光路形成手段が
設けられたことを特徴としている。このような請求項1
の発明によれば、多重光路形成手段が励起光を試料に複
数回通過させるため、励起光は多重光路をなし、蛍光の
発生光量は大きくなる。つまり、試料中の励起光を多重
光路とすることにより、実効的に蛍光の発生光量を増大
させることができ、優れた測定感度を獲得することがで
きる。また、微量物質の発する蛍光から微量物質の濃度
を算出するため、試料の前処理も含めて複雑で時間のか
かる化学分析的な測定方法に頼る必要がない。これによ
り、工程数及び工程時間を短縮化し、コストの低減を図
ることができる。
【0014】請求項2の発明は、請求項1に記載の微量
物質の濃度測定装置において、前記試料を噴流として供
給する試料供給手段が設けられ、前記多重光路形成手段
は前記試料の噴流が流れる方向に対して前記励起光を直
交方向から通過させるように構成されたことを特徴とし
ている。このような請求項2の発明によれば、試料供給
手段が試料を噴流として噴出させることにより、微量物
質の分子あるいは原子を励起状態から十分に冷却した基
底状態とすることができ、基底状態への蛍光スペクトル
のみ発生させることが可能となる。さらに、試料の噴流
が流れる方向に対し励起光を直交方向から通過させるの
で、蛍光スペクトルにおけるドップラー効果の影響を抑
えることができる。この結果、誤差の発生を防ぐことが
でき、高精度の濃度測定が可能となる。
【0015】請求項3の発明は、請求項1または2に記
載の微量物質の濃度測定装置において、多重光路をなす
前記励起光が互いに1カ所で交わるように反射鏡が配置
されたことを特徴としている。このような請求項3の発
明によれば、試料中を通過する励起光の多重光路は1点
で交わるため、実効的に励起光強度を増大させることが
でき、結果として蛍光の発生光量を増大させるのと同じ
効果をもたらすことになる。したがって、いっそう高感
度の濃度測定装置を得ることができる。
【0016】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
か1項に記載の微量物質の濃度測定装置において、多重
光路をなす前記励起光を囲むようにして筒状の反射部材
が配置され、前記反射部材は微量物質の発する蛍光に対
し高い反射率を持つように構成されると共に、蛍光取出
し穴が設けられたことを特徴としている。このような請
求項4の発明によれば、反射部材の内部で微量物質の発
する蛍光が鏡面反射あるいは散乱反射するため、蛍光取
出し穴から光量の大きな蛍光を取り出すことができる。
したがって、検出対象となる蛍光強度を高めることがで
き、正確に微量物質の濃度を測定することが可能とな
る。
【0017】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
か1項に記載の微量物質の濃度測定装置において、レー
ザー発振光を所定の波長を持つ励起光に変換する波長変
換器が設けられ、この波長変換器には光パラメトリック
ス効果により前記励起光の波長を連続的に変化させる非
線形光学素子が設置されたことを特徴としている。この
ような請求項5の発明によれば、レーザー発振光の波長
変換を行い励起光を発生させるに当たって、非線形光学
素子による光パラメトリック効果を利用している。この
ため、構造が単純な波長固定のレーザーを用いて波長連
続可変の励起光を発生することができる。これにより、
取扱いが簡便で極めて安価な微量物質の濃度測定装置を
実現する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の形態に
ついて図面を参照して説明する。なお、各実施の形態に
共通の部材に関しては同一の符号を付す。
【0019】(1)第1の実施の形態 [構成]第1の実施の形態は、請求項1及び5に記載の
発明に対応する濃度測定装置である。図1は第1の実施
の形態全体の構成図、図2は第1の実施の形態における
波長変換器の構成図である。
【0020】まず、図1を用いて第1の実施の形態の全
体構成を説明する。図1において、1はレーザー発振光
Lbを出力するレーザー発振器、2は波長変換器、3は
試料を収容する試料セルである。波長変換器2はレーザ
ー発振光Lbの波長を、試料中に含まれる微量物質の分
子あるいは原子を励起するのに適した波長を持つ励起光
Ebに変換するものである。この波長変換器2の構成要
素については後段で詳細に説明する。
【0021】波長変換器2に隣接して2枚の分離ミラー
SMが配置されている。これら分離ミラーSMは波長変
換しても励起光Eb中に残っている変換以前の波長の光
を取り除く働きをする。また、試料セル3には左右及び
底面部に励起光Ebが通過可能なウィンドウWが形成さ
れており、左右のウィンドウWに対向して折り曲げミラ
ーFMが配置されている。これら折り曲げミラーFMは
請求項にいうところの多重光路形成手段であり、励起光
Ebを複数回反射折り返して2枚の折り曲げミラーFM
間に多重光路を形成するものである。さらに、試料セル
3底面部のウィンドウW下方には微量物質の発する蛍光
Fを集めて試料セル3の外部に取出す計測光学系4が設
けられている。
【0022】計測光学系4に近接して蛍光検出器5が設
けられており、蛍光検出器5には分析解析器6が接続さ
れている。蛍光検出器5は計測光学系4が集めた蛍光F
の強度を検出し、これを電気信号に変換して蛍光強度信
号を出力するように構成されている。一方、分析解析器
6は蛍光検出器5から蛍光強度信号を取入れ、これを分
析解析して微量物質の濃度を算出するように構成されて
いる。
【0023】続いて、図2を用いて第1の実施の形態に
おける波長変換器2について説明する。波長変換器2は
OPOすなわち非線型光学結晶による光パラメトリック
発振を用いた変換器である。波長変換器2は構成要素と
して、非線形光学素子である非線型光学結晶21、OP
O共振器22及び注入ミラー23が設けられている。O
PO共振器22は2枚の反射鏡からなり、注入ミラー2
3からレーザー発振光Lbを取入れると共に、これを非
線形光学結晶21に複数回通過させて所定の波長を持つ
光に変換し、励起光Ebを出力するようになっている。
【0024】[測定方法]以上のような構成を有する第
1の実施の形態は、レーザー発振光Lbの波長変換光を
励起光Ebとしてこれを微量物質を含む試料に照射し、
微量物質の発する蛍光Fを検出計測し分析解析してその
結果から該微量物質の濃度を算出する。その際、濃度測
定装置の各要素は次のように動作する。
【0025】まず、レーザー発振器1がレーザー発振光
Lbを出力すると、これが波長変換器2に入る。波長変
換器2では注入ミラー23がレーザー発振器1からのレ
ーザー発振光LbをOPO共振器22内に注入し、往復
反復反射して、その都度にレーザー発振光Lbは非線形
光学結晶21を通過する。この時、非線形光学結晶21
は光パラメトリック発振を生じ、レーザー発振光Lbは
非線形光学結晶21の結晶軸の方位角度で決まる波長の
光に変換される。したがって、レーザー発振光Lbを注
入した状態で非線形光学結晶21を回転させて結晶軸の
方位角度を変化させることにより、OPO共振器22の
出力光すなわち励起光Ebの波長を連続的に変化させる
ことが可能である。
【0026】上記のようにして波長変換器2はレーザー
発振光Lbを所定の波長を持つ励起光Ebに変換し、こ
れを分離ミラーSMに出力する。分離ミラーSMは波長
変換しても励起光Eb中に残っている変換以前の波長の
光を取り除いた後、励起光Ebを折り曲げミラーFMに
送る。折り曲げミラーFMは励起光Ebを複数回反射折
り返して試料セル3に対し励起光Ebを複数回通過させ
て折り曲げミラーFM間に多重光路を形成する。
【0027】励起光Ebが試料中の微量物質を照射する
時、微量物質を構成する分子あるいは原子を励起するた
め、分子あるいは原子は特有の蛍光Fを発することにな
る。そして、計測光学系4が微量物質の発する蛍光Fを
集めて試料セル3外部に取出し、蛍光検出器5に出力す
る。蛍光検出器5は計測光学系4からの蛍光Fの蛍光の
強度を検出し、これを電気信号に変えて蛍光強度信号を
分析解析器6に出力する。最後に、分析解析器6は蛍光
検出器5からの蛍光強度信号を分析解析し、微量物質の
濃度を算出する。
【0028】[作用効果]上述したように、第1の実施
の形態によれば、波長変換器2にてレーザー発振光Lb
を試料中に含まれる微量物質の分子あるいは原子を励起
するのに適した波長を持つ励起光Ebに変え、これを微
量物質に照射する。その際、折り曲げミラーFMを用い
て励起光Ebは多重光路となるため、微量物質が発する
蛍光Fの発生光量は大きくなる。すなわち、試料中に含
まれる微量物質の量が同じでも、励起光の光路を試料中
で多重光路とすることにより、蛍光検出器5は大きな検
出信号を得ることができ、分析解析器6における濃度の
算出精度は向上する。
【0029】つまり、第1の実施の形態では物理的光学
的な手法により微量物質の濃度測定を実施できる。この
ため、試料の前処理も含めて複雑で時間のかかる化学分
析的な測定方法を採用する必要がない。したがって、工
程数及び工程時間を大幅に短縮でき、測定コストが低減
すると共に、誤差の発生を抑えて優れた測定感度を確保
でき、優れた信頼性及び経済性を得ることが可能とな
る。
【0030】さらに、第1の実施の形態における波長変
換器2は、非線型光学結晶21による光パラメトリック
効果を利用している。このため、非線形光学結晶21を
回転させて結晶軸の方位角度を変化させるだけで励起光
Ebの波長は連続的に変化する。したがって、レーザー
発振器1が発振するレーザー発振光Lbの波長が固定さ
れていても、波長が連続可変である励起光Ebを発生す
ることができる。この結果、レーザー発振器1の構成の
簡略化が容易である。
【0031】しかも、非線形光学結晶21による波長変
換は、アルコール等の薬品や回折格子の精密な調整が不
可欠な色素レーザー等を利用した波長変換に比べて、ア
ルコール等の薬品を要せず、調整上の問題も少ない。さ
らに、全てを固体素子で構成可能なので保守上の問題も
ない。このような波長変換器2を有する第1の実施の形
態によれば、取扱いが簡便で運転維持費が安価な微量物
質の濃度測定装置を実現することができる。
【0032】(2)第2の実施の形態 [構成]第2の実施の形態は、請求項2及び3に記載の
発明に包含する濃度測定装置であり、図3は第2の実施
の形態の要部構成図、図3は同じく要部平面構成図であ
る。なお、第2の実施の形態は主として試料の供給部に
特徴があるため、図3では試料セル部分を示しており、
レーザー発振器1、波長変換器2、蛍光検出器5及び分
析解析器6は前記第1の実施の形態と同様であるため、
省略している。
【0033】図3に示すように、第2の実施の形態で
は、試料を噴流として供給する試料供給手段30が設け
られている。試料供給手段30は、溶剤に溶かして電熱
で加熱するなど既知公知の手段により微量物質を含む試
料を気体状態にして試料セル3内へ供給するように構成
されており、小孔32を備えたパルスバルブ31が配置
されている。パルスバルブ31は試料セル3の上部に設
置されており、試料を噴流Jとして試料セル3内に下方
に向かって噴射するようになっている。また、試料セル
3の下部には試料セル3内の圧力を真空近くまで減圧す
る排気装置33が設置されている。
【0034】さらに、図4に示すように、試料セル3内
には4枚の折り曲げミラーFMが設けられている。これ
ら折り曲げミラーFMは、多重光路をなす3本の励起光
Ebがいずれも噴流Jを通過するように配置されてい
る。また、これら折り曲げミラーFMからの励起光Eb
はいずれも、噴流Jが流れる方向すなわち垂直方向(図
4においては紙面に垂直に読者から遠ざかる方向)に対
して、直交方向すなわち水平方向から通過するようにな
っている。
【0035】[作用効果]以上のような第2の実施の形
態においては、パルスバルブ31の小孔32から気体状
態の試料が噴流Jとなって試料セル3内へ流れる。この
時、気体状態の試料は断熱膨張の効果により冷却され、
微量物質の分子あるいは原子のエネルギーレベルは基底
状態にまで遷移する。しかも、排気装置33は試料セル
3の内部を真空近くまで減圧しているので、冷却効果の
向上に寄与している。基底状態にまで冷却された微量物
質の分子あるいは原子に励起光Ebが照射されると、該
分子あるいは原子は励起されて、基底状態への蛍光スペ
クトルのみ発生させることができる。
【0036】また、第2の実施の形態では、試料の噴流
Jが流れる方向に対し励起光Ebは直交方向から通過す
るので、ドップラー効果の影響を受けることがなく、蛍
光の波長が真の値とは異なって測定される心配がない。
なお、励起光Ebが照射される時にもドップラー効果の
影響を回避することができるので、真の波長を持つ励起
光Ebを確実に照射することができる。このように基底
状態への蛍光スペクトルのみ発生させることとドップラ
ー効果の影響を抑えることにより、測定誤差を抑制する
ことが可能となり、精度の高い濃度測定を実施すること
ができる。さらに、第2の実施の形態によれば、試料中
を通過する励起光Ebは噴流Jで交わるため、実効的に
励起光強度を増大させることができ、蛍光の発生光量を
増大させるのと同じ効果をもたらすことになる。これに
より、いっそう高感度の濃度測定装置を得ることができ
る。
【0037】(3)第3の実施の形態 [構成]第3の実施の形態は、請求項4に記載の発明に
対応する濃度測定装置であり、図5は第3の実施の形態
の要部構成図を示している。図6に示すように、第3の
実施の形態は、多重光路をなす励起光Ebを囲むように
して筒状の集光鏡Cが配置されている。この集光鏡Cは
微量物質の発する蛍光に対し高い反射率を持つように構
成されており、図面下側の筒面中央部に蛍光取出し穴C
1が設けられている。
【0038】[作用効果]上記の第3の実施の形態で
は、集光鏡C内で微量物質の発する蛍光が鏡面反射ある
いは散乱反射するため、蛍光取出し穴C1から光量の大
きな蛍光を出る。したがって、計測光学系4が蛍光検出
器5に送る光量が増大し、蛍光検出器5から出力信号も
大きくなるため、分析解析器6は高い精度で微量物質の
濃度を算出することができる。
【0039】(4)他の実施の形態 なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものでは
なく、各構成要素の形状や寸法、配置数などは適宜変更
可能である。例えば、図6に示す実施の形態は請求項3
の発明に対応するもので、多重光路をなす励起光Ebが
1点Pで交わるように折曲げミラーFMが配置されてい
る。このように複数の励起光Ebを整列させると、点P
では励起光Ebの強度が増大したと同様の結果となり、
蛍光Fの強度が増大する。したがって、微量物質の量が
同じであっても励起光Ebの多重光路を1点で交わらせ
た場合には大きな検出信号を得ることができる。ただ
し、図5に示す実施の形態が有効に効果を発揮するの
は、励起光EbがP点を通過してから次にP点を通過す
るまでの時間が蛍光Fの緩和時間より十分に短い時であ
る。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
レーザー光またはレーザー光の波長変換光を励起光とし
微量物質の発する蛍光に基づいて濃度を測定する微量物
質の濃度測定装置において、試料に励起光を複数回通過
させる多重光路形成手段を備えるといった極めて簡単な
構成により、蛍光の発生光量を大きくして測定感度を高
めると共に、作業時間を短くしてコストの低減化を図
り、優れた信頼性及び経済性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の全体を示す構成
図。
【図2】第1の実施の形態における波長変換器の構成
図。
【図3】本発明の第2の実施の形態における要部構成
図。
【図4】第2の実施の形態の要部平面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態の構成図。
【図6】本発明の他の実施の形態の構成図。
【図7】従来の微量物質の濃度測定方法の流れを説明す
る概略図。
【符号の説明】
1…レーザー発振器 2…波長変換器 3…試料セル 4…計測光学系 5…蛍光検出器 6…分析解析器 21…非線形光学結晶 22…OPO共振器 23…注入ミラー 30…試料供給手段 31…パルスバルブ 32…小孔 33…排気装置 C…集光鏡 C1…蛍光取出し穴 Eb…励起光 F…蛍光 FM…折り曲げミラー J…噴流 Lb…レーザー発振光 SM…分離ミラー W…ウィンドウ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 正雄 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 寺井 清寿 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 内田 裕 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 坂野 美菜 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 2G043 AA01 BA14 DA05 DA06 EA01 GA03 GA07 GB01 GB07 GB08 HA02 KA09 LA01 2G057 AA04 AB04 AC03 AC06 BA01 DA13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザー光またはレーザー光の波長変換
    光を励起光としてこれを微量物質を含む試料に照射し、
    前記微量物質の発する蛍光を検出計測し分析解析してそ
    の結果から該微量物質の濃度を算出する微量物質の濃度
    測定装置において、 微量物質を含む試料に対し前記励起光を複数回通過させ
    る多重光路形成手段が設けられたことを特徴とする微量
    物質の濃度測定装置。
  2. 【請求項2】 前記試料を噴流として供給する試料供給
    手段が設けられ、 前記多重光路形成手段は前記試料の噴流が流れる方向に
    対して前記励起光を直交方向から通過させるように構成
    されたことを特徴とする請求項1に記載の微量物質の濃
    度測定装置。
  3. 【請求項3】 多重光路をなす前記励起光が互いに1カ
    所で交わるように反射鏡が配置されたことを特徴とする
    請求項1または2に記載の微量物質の濃度測定装置。
  4. 【請求項4】 多重光路をなす前記励起光を囲むように
    して筒状の反射部材が配置され、 前記反射部材は微量物質の発する蛍光に対し高い反射率
    を持つように構成されると共に、蛍光取出し穴が設けら
    れたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の微量物質の濃度測定装置。
  5. 【請求項5】 レーザー発振光を所定の波長を持つ励起
    光に変換する波長変換器が設けられ、 この波長変換器には光パラメトリックス効果により前記
    励起光の波長を連続的に変化させる非線形光学素子が設
    置されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の微量物質の濃度測定装置。
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Cited By (5)

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