JP2002309393A - 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

電気亜鉛めっき鋼板の製造方法

Info

Publication number
JP2002309393A
JP2002309393A JP2001115168A JP2001115168A JP2002309393A JP 2002309393 A JP2002309393 A JP 2002309393A JP 2001115168 A JP2001115168 A JP 2001115168A JP 2001115168 A JP2001115168 A JP 2001115168A JP 2002309393 A JP2002309393 A JP 2002309393A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
steel sheet
organic compound
aqueous solution
amino group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001115168A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Imokawa
透 妹川
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Etsuo Hamada
悦男 濱田
Hisato Noro
寿人 野呂
Junichi Inagaki
淳一 稲垣
Masaaki Yamashita
正明 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2001115168A priority Critical patent/JP2002309393A/ja
Publication of JP2002309393A publication Critical patent/JP2002309393A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 原板の表面欠陥に起因するムラの発生が無
い、優れた外観を有する電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
を提供する。 【解決手段】電気亜鉛めっき工程の前処理として、鋼板
をアミノ基を有し、平均分子量が1,000〜200,000の水溶
性ポリマーを5ppm以上含有する酸性水溶液に接触するこ
とを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。前記で
酸性水溶液が酸洗処理液である。また鋼板を、アミノ基
を有する水溶性有機化合物を含まない酸性溶液で酸洗処
理した後に、アミノ基を有する水溶性有機化合物を5ppm
以上含有する酸性水溶液に接触することを特徴とする電
気亜鉛めっき鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は原板に起因するム
ラ等の表面欠陥が無い、優れた外観を有する電気亜鉛め
っき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気亜鉛めっき鋼板は家電製品、自動
車、建材等の広範な用途で使用されている。近年、家電
用途で無塗装で使用される各種クロメート処理電気亜鉛
めっきの需要が増大しており、重要な用途分野となって
いる。この用途では無塗装で使用されるために表面外観
に優れることが要求される。優れた表面外観の条件とし
ては、ムラ等の表面欠陥が無いことが第一である。
【0003】めっき鋼板のムラとして、最も問題となる
のは、めっき原板の表面欠陥に起因するムラである。こ
れは、原板の表面欠陥を改善すれば当然解消されるはず
であり、そのために種々の工夫が試みられているが、工
業的には原板の表面欠陥を完全に取り除くには至ってい
ない。
【0004】原板の表面欠陥に起因する亜鉛めっき鋼板
のムラ発生防止に関する発明としては、特開平8-120483
号公報に示されているように、めっき初期に通常よりも
Znイオン濃度を低くしためっき液を用い、通常の電流密
度よりも高い電流密度で少量のめっきを行った後に通常
のZnイオン濃度、通常の電流密度でめっきを行う方法、
特開平8-120484号公報に示されているように電流密度を
変えて3層めっきを行い、かつ、その第2層を逆電解で溶
解する方法等が開示されている。しかしながら、いずれ
の方法も非実用的手法であり、工業生産に適用すること
は困難である。
【0005】めっき浴へ各種無機添加剤を添加すること
によるムラ発生防止方法の検討も行われている。特開平
9-256192号公報にはフルオロ錯イオンを100〜5000ppm添
加する方法、特開平9-195082号公報にはタリウムを0.01
〜10ppm添加する方法、特開平8-188899号公報にはSn、I
n、Bi、Sbを添加する方法等が開示されている。しかし
ながら、これらの方法では十分な効果は期待できない。
【0006】めっき浴へ各種の有機添加剤を添加するこ
とによるムラ発生防止方法の検討も行われている。これ
までに、光沢剤芳香族アルデヒド、クマロン、アミン、
イミノ化合物、デキストリン、グルコン酸、ポリアクリ
ルアミド等の光沢剤を添加する方法が多数開示されてい
る(例えば、特開昭61-127887号公報、特開平8-158090
号公報等)。しかし、これらの方法では、アノードで有
機添加剤が分解されるため、添加剤の濃度を一定に保つ
のが困難で、ムラの防止効果を安定して得ることはでき
ない。更に、アノードの寿命が短くなり、コストアップ
を招くという問題がある。
【0007】めっき前の酸洗処理液中に添加剤を添加す
ることによるムラ発生防止方法も検討されている。例え
ば、特開平9-59788号公報は、カチオンを形成する窒素
含有有機化合物を含む酸洗液中で酸洗処理する方法を開
示している。また、特開平10-152792号公報は、酸洗減
量低減剤を含有する酸洗液を用いて酸洗処理する方法を
開示している。
【0008】これらの技術では、酸洗時に添加剤が鋼板
表面の活性部に吸着して活性部の溶解を抑制し、カーボ
ン・酸化物等が濃化した不活性部を優先的に溶解させる
ことにより、原板の不均一を若干軽減する効果がある
が、外観ムラの防止効果は不十分である。特に、酸洗終
了後に水洗を行なってから電気めっきを行なうと、外観
ムラの防止効果は更に小さくなる。
【0009】酸洗後水洗を行うと外観ムラの防止効果が
小さくなるのは、鋼板表面に吸着した有機化合物が水洗
時に脱離してしまい、電気めっき開始時には有機化合物
吸着による均一被覆効果が得られなくなることが原因と
推定される。
【0010】以上のように、めっき原板の表面欠陥に起
因するムラ等の表面欠陥を完全に防止できる電気亜鉛め
っき鋼板の製造方法は未だ見出されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、原板
の表面欠陥に起因するムラの発生が無い、優れた外観を
有する電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、めっき原
板の表面欠陥に起因し、電気めっき後に発生する外観ム
ラの抜本的な解消法の開発を目指し、発生原因に関して
検討を行った。その結果、外観ムラ発生原因は、原板表
面で極微量のSi、Al、Ti、Fe等の酸化物、金属Ni、グラ
ファイト化したC等が線状に濃化していることであるこ
とを見出した。これらが濃化した部分に析出した亜鉛結
晶は、濃化していない部分に析出した亜鉛結晶に比べて
凹凸が大きくなっており、そのために外観上光沢が減少
し、ムラとして観察されることが判明した。
【0013】これらの部分では、表面形状・電気抵抗・
水素過電圧・Znの析出過電圧等が非濃化部と異なるた
め、亜鉛イオンの還元反応、結晶核生成、結晶成長が影
響を受け、非濃化部とは亜鉛結晶の形態が異なるものと
推定される。鋼板の製造段階で、酸化物、Ni、C等の部
分的な濃化を完全に解消できれば、これらに起因するム
ラの発生を防止できるが、濃化量はいずれも極微量であ
り、これらを完全に解消するのは不可能である。
【0014】そこで、本発明者らは、めっき原板に前記
不均一が存在しても、めっき前に鋼板表面に吸着物層を
均一に形成させて上記濃化部を被覆することにより、亜
鉛イオンの還元反応、結晶核生成、結晶成長の不均一を
解消し、めっきの外観ムラの発生を防止できる考え、そ
のための効果的な方法を検討してきた。
【0015】その結果、電気亜鉛めっき工程の前処理と
して、鋼板を、アミノ基を有し、平均分子量が1,000〜2
00,000の水溶性ポリマーを5ppm以上含有する酸性水溶液
に接触することにより、原板に起因するめっき後の外観
ムラを効果的に防止できることを見出した。
【0016】また、鋼板を、アミノ基を有する水溶性有
機化合物を含まない酸性溶液で酸洗処理した後に、アミ
ノ基を有する水溶性有機化合物を5ppm以上含有する酸性
水溶液に接触しても外観ムラ発生防止効果が得られるこ
とを見出した。
【0017】本発明は、前記知見から得られたものであ
り、前記課題を解決するための本発明の手段は以下の通
りである。 (1)電気亜鉛めっき工程の前処理として、鋼板を、アミ
ノ基を有し、平均分子量が1,000〜200,000の水溶性ポリ
マーを5ppm以上含有する酸性水溶液に接触することを特
徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法(第1発明)。
【0018】(2)酸性水溶液が酸洗処理液であることを
特徴とする前記(1)に記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造
方法(第2発明)。 (3)鋼板を、アミノ基を有する水溶性有機化合物を含ま
ない酸性溶液で酸洗処理した後に、アミノ基を有する水
溶性有機化合物を5ppm以上含有する酸性水溶液に接触す
ることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法(第
3発明)。
【0019】(4)アミノ基を有する水溶性有機化合物
が、平均分子量が1,000〜200,000の水溶性ポリマーであ
ることを特徴とする前記(3)に記載の電気亜鉛めっき鋼
板の製造方法(第4発明)。 (5)水溶性ポリマーのアミノ基数と平均分子量の比、
(アミノ基数/平均分子量)が1/250以上であることを
特徴とする前記(1)、(2)または(4)に記載の電気亜鉛め
っき鋼板の製造方法(第5発明)。
【0020】(6)前記(1)〜(5)において、アミノ基を有
する水溶性有機化合物または水溶性ポリマーの濃度を電
気亜鉛めっき工程の亜鉛めっき液中で10ppm未満にする
ことを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法(第6
発明)。なお、本明細書において、酸性水溶液、酸洗処
理液、めっき浴等の成分を示す%はすべてmass%であ
り、ppmもmass ppmである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明では、鋼板に電気亜鉛めっき工程で電気亜
鉛めっきを施して電気亜鉛めっき鋼板を製造するが、電
気亜鉛めっき工程の前処理として、鋼板を、アミノ基を
有する水溶性有機化合物を5ppm以上含有する酸性水溶液
に接触する。鋼板を前記の酸性水溶液に接触する方法と
して、鋼板を前記酸性水溶液に浸漬する方法、鋼板に前
記酸性水溶液をスプレーする方法を例示できるが、この
方法に限定されない。
【0022】前記水溶性有機化合物は、アミノ基即ちR1
-NH2、R2-NH、R3-Nあるいは(R4N+)・X-の構造を有す
る。ここで、R1〜R4は炭化水素基、X-はCl-等のアニオ
ンを示す。アミノ基を有する前記水溶性有機化合物を5p
pm以上含有する酸性水溶液に接触することにより、めっ
き後の外観ムラの発生を防止する効果が得られる。
【0023】めっき後の外観ムラの発生を防止するに
は、酸性水溶液中における前記水溶性有機化合物の濃度
が5ppm以上であることが必要である。前記水溶性有機化
合物の濃度が5ppm未満になると、電気亜鉛めっき工程直
前の段階で、鋼板表面のカーボンや酸化物等の部分的な
濃化部の被覆効果が不十分となるため、めっき後の外観
ムラを防止する効果を発現できなくなると推定される。
【0024】前記水溶性有機化合物として、平均分子量
が1,000〜200,000の水溶性ポリマーを採用することで、
めっき後の外観ムラを防止する効果が飛躍的に向上す
る。これは以下の理由によると推定される。
【0025】平均分子量が1,000未満でも、鋼板表面へ
の水溶性有機化合物の吸着は十分に起るが、鋼板表面へ
の吸着が均一でなかったり、強固でなかったりすると、
引き続き行われる水洗処理で吸着した水溶性有機化合物
の脱離量が増加し、電気めっき工程直前の段階では鋼板
表面のカーボンや酸化物等の部分的な濃化部の被覆効果
が不十分となり、また、平均分子量が200,000を超える
と、酸性溶液中で安定に存在しにくくなり、有効濃度が
低下し、電気亜鉛めっき工程直前の段階では鋼板表面の
カーボンや酸化物等の部分的な濃化部の被覆効果が不十
分となると推定される。
【0026】これに対して、前記水溶性有機化合物の平
均分子量が前記本発明で規定する範囲内にあると、鋼板
表面に吸着してより均一に被覆するとともに、一旦鋼板
表面に吸着した水溶性有機化合物は鋼板表面から脱離し
にくくなり、水洗を強化しても大部分が脱離することな
く鋼板表面に吸着し、電気亜鉛めっきの直前の段階で、
吸着した前記水溶性有機化合物によって鋼板表面がより
均一に被覆され、鋼板表面のカーボンや酸化物等の部分
的な濃化部が十分に遮蔽されるようになるためと推定さ
れる。
【0027】この効果は、前記水溶性ポリマーのアミノ
基数と平均分子量の比、(アミノ基数/平均分子量)が
1/250以上であれば、特に安定して得られる。水溶性ポ
リマーは、鋼板表面に吸着し易く水洗処理で脱離しにく
いほど、めっき後の外観ムラの防止効果が大きい。吸着
はアミノ基の作用による考えられるため、(アミノ基数
/平均分子量)を1/250以上とすることで、めっき後の
外観ムラの防止効果が特に安定して得られると考えられ
る。
【0028】通常、電気亜鉛めっき工程では、鋼板表面
を清浄化するための脱脂処理および水洗、さらに鋼板表
面を活性化するための酸洗処理および水洗等の前処理が
施され、これらの前処理に引き続いて電気亜鉛めっきが
施される。
【0029】本発明において、原板の表面欠陥に起因す
るムラの発生を防止する方法は、電気亜鉛めっき工程の
前処理として、鋼板をアミノ基を有し、平均分子量が1,
000〜200,000の水溶性ポリマーを5ppm以上含有する酸性
水溶液に接触する方法であり、また、前処理の酸洗処理
液中に前記水溶性ポリマーを含有させ、この酸洗処理液
に鋼板を接触して酸洗処理を施す方法である。
【0030】酸洗処理液中に前記水溶性ポリマーを含有
させると、水溶性ポリマーが鋼板表面に吸着して金属N
i、グラファイト化したC濃化部等の比較的活性な部分を
均一に被覆する。前記水溶性ポリマーは、一旦吸着した
ら水洗を強化しても大部分が脱離することなく鋼板表面
に吸着し、電気亜鉛めっきの直前の段階で、吸着した前
記水溶性ポリマーによって鋼板表面がより均一に被覆さ
れ、鋼板表面のカーボンや酸化物等の部分的な濃化部が
十分に遮蔽されるようになり、めっき後の外観ムラの発
生を防止する効果が向上する。
【0031】この場合、酸としては、硫酸、塩酸、硝
酸、及びこれらの混合物等各種の酸が使用できるが、硫
酸、塩酸あるいはこれらの混合が望ましい。酸の濃度は
特に規定しないが、酸化皮膜の除去能力、過酸洗による
肌荒れ防止等を考慮すると、1〜20%程度が望ましい。
【0032】また、酸洗処理液には外観ムラの防止効果
を損なわない範囲で、消泡剤・酸洗促進剤等を含有して
も良い。また、酸洗処理液中には、鋼板より不可避的に
溶出する不純物が混入しても、上記外観ムラ防止効果は
奏される。
【0033】本方法においては、酸洗処理後に水洗を実
施してもしなくてもめっき後の外観ムラの防止効果は得
られる。しかし、酸洗処理液がめっき浴中に継続的に持
ち込まれるとめっき浴のpH低下、めっき浴中の水溶性有
機化合物濃度が上昇するため、通常は水洗が必要であ
る。本発明においても、酸洗処理液がめっき浴中に持ち
込まれることを防止する観点から、酸洗処理後、通常水
洗処理を経て電気亜鉛めっきを行う。
【0034】また、本発明において、原板の表面欠陥に
起因するムラの発生を防止する別の方法は、鋼板を酸洗
処理した後、アミノ基を有する水溶性有機化合物を5ppm
以上含有する酸性水溶液に接触する方法である。
【0035】この場合、酸洗処理液としてアミノ基を含
有する水溶性有機化合物を含まない酸性溶液を用いる必
要がある。鋼板をアミノ基を含有する水溶性有機化合物
を含まない酸性溶液で酸洗処理した後、アミノ基を有す
る水溶性有機化合物を5ppm以上含有する酸性水溶液に接
触することによって、外観ムラの発生を防止する効果が
得られる理由は以下のように推定される。すなわち、酸
洗処理液中に前記有機化合物を含まないと、酸洗処理液
中に前記有機化合物を添加した場合に比べて、鋼板表面
がより十分に溶解され、金属Ni、グラファイト化したC
濃化部等の比較的活性な部分が除去されやすくなり、鋼
板表面全体が活性化される。その結果、前記酸洗処理後
に、鋼板をアミノ基を有する水溶性有機化合物を含有す
る酸性水溶液に接触すると、この水溶性有機化合物の鋼
板表面への吸着がより均一で強固になり、その後に水洗
を実施しても大部分が脱離することなく鋼板表面に吸着
し、電気亜鉛めっきの直前の段階で、吸着した前記水溶
性有機化合物によって鋼板表面がより均一に被覆され、
鋼板表面のカーボンや酸化物等の部分的な濃化部が十分
に遮蔽されるようになり、めっき後の外観ムラの発生を
防止する効果が向上する。アミノ基を有する水溶性有機
化合物が、平均分子量が1,000〜200,000の水溶性ポリマ
ーであると、前記効果はより向上する。
【0036】酸洗処理液としては、硫酸、塩酸、硝酸、
及びこれらの混合物等各種の酸が使用できるが、硫酸、
塩酸あるいはこれらの混合が望ましい。酸の濃度は特に
規定しないが、酸洗処理効果を十分とし、過酸洗による
肌荒れを防止するためには、2〜20%程度が望ましい。
更に、酸洗液中には、酸洗での鋼板表層の溶解を抑制す
るインヒビター等の添加剤を添加してはならない。
【0037】酸洗処理後、鋼板を前記水溶性有機化合物
を含有する酸性水溶液に接触させる。鋼板を酸性水溶液
中に浸漬してもよいし、鋼板に酸性水溶液をスプレーし
てもよい。鋼板表面が十分に溶解されて活性化されてい
るので、アミノ基を有する水溶性有機化合物は鋼板表面
をより完全に被覆するように強固に吸着する。その結
果、水洗しても脱離しにくくなる。
【0038】別の方法の場合も、酸性水溶液に接触させ
た後、通常水洗した後電気亜鉛めっきを施す。水溶性有
機化合物は鋼板表面に強固に吸着し、水洗しても脱離し
にくくなっているので、電気めっき工程前で、鋼板表面
のカーボンや酸化物等の部分的な濃化部が十分に被覆さ
れるようになる。そのため、前記に起因する外観ムラを
防止する作用がより優れる。
【0039】前記したように、前記各方法では、本発明
で規定する水溶性有機化合物を含有する酸性水溶液に接
触(第3発明)した後、又は水溶性ポリマーを含有する
酸性水溶液に接触(第1発明、第4発明)した後(第2発
明では前記水溶性ポリマーを含有する酸洗処理液に接触
して酸洗処理した後)、通常水洗処理を経て電気亜鉛め
っき工程に供されるが、水洗工程で鋼板表面に付着して
いる前記酸性水溶液又は前記酸洗処理液を完全に除去す
ることは不可能である。そのため、長期の連続製造で
は、前記酸性水溶液又は前記酸洗処理液が不可避的に少
量ずつ電気亜鉛めっき浴中に混入し、蓄積していく。電
気亜鉛めっき浴中に前記酸性水溶液又は前記酸洗処理液
中に含まれる前記水溶性有機化合物又は水溶性ポリマー
が混入すると、亜鉛めっき皮膜中に共析し、亜鉛めっき
結晶の形態(サイズ、配向性)が変化し、外観(色調、
光沢度)が変化してしまう。
【0040】本発明者らの調査結果から以下のことが明
らかになった。すなわち、めっき浴中に混入した前記水
溶性有機化合物濃度(水溶性ポリマーを含有する場合
は、水溶性ポリマー濃度)が10ppm程度に達すると、亜
鉛めっき結晶の形態(サイズ、配向性)が不安定とな
り、噴流ムラと呼ばれる電気めっき性の外観ムラの発生
原因になってしまう。電気めっき性の外観ムラの発生を
防止するにはめっき浴中の前記水溶性有機化合物濃度
(水溶性ポリマーを含有する場合は、水溶性ポリマー濃
度)を10ppm未満にすることが必要である。
【0041】前記酸性水溶液又は前記酸洗処理液が持ち
込まれてもめっき浴中の前記水溶性有機化合物または前
記水溶性ポリマーの混入量を少なくするには前記酸性水
溶液又は前記酸洗処理液中の前記水溶性有機化合物濃度
(水溶性ポリマーを含有する場合は、水溶性ポリマー濃
度)を低くするのが効果的であり、前記酸性水溶液又は
前記酸洗処理液中の前記水溶性有機化合物濃度(水溶性
ポリマーを含有する場合は、水溶性ポリマー濃度)を50
ppm以下とすれば、前記水溶性有機化合物濃度(水溶性
ポリマーを含有する場合は、水溶性ポリマー濃度)を容
易に10ppm未満に抑制できる。
【0042】めっき浴中の前記水溶性有機化合物濃度
(水溶性ポリマーを含有する場合は、水溶性ポリマー濃
度)を前記範囲に規定することを除き、電気亜鉛めっき
の浴条件及び電解条件については、特に限定されない。
例えば、浴組成としては硫酸浴、塩酸浴あるいは両者の
混合などが適用できる。浴中にはZnイオンの他、添加剤
あるいは不純物として硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等
の伝導度補助剤、Fe、Ni、Pb、Sn、Co等の金属イオン等
を含有しても良い。浴条件についても特に限定しない
が、例えば浴温を30〜70℃、pHを0.5〜4.5、相対流速を
0〜4.0m/secとすれば良い。電解電流密度についても特
に限定しないが、例えば10〜150A/dm2とすれば良い。
【0043】なお、電気亜鉛めっき後にクロメート処理
(塗布型、反応型、電解型)や、更にその上に樹脂被覆
処理等を実施した鋼板についても、めっき後の外観ムラ
が問題となるが、これらの鋼板に対しても、本発明の効
果は得られる。
【0044】
【実施例】(実施例1)めっき原板として、通常の亜鉛
めっきを行なうと線状のムラを生じる冷延鋼板を使用し
た。これをアルカリで脱脂し、水洗した後、表1に示す
条件で酸洗処理を実施した。表1中、添加剤の構造(A)〜
(D)を下記に示す。
【0045】
【化1】
【0046】引き続き水洗した後、以下の条件で電気亜
鉛めっきを実施した。なお、一部のめっき浴には酸洗処
理液に添加した添加剤を添加した。添加した添加剤濃度
を表1に併せて記載した。 ・めっき浴:Zn2+イオン1.5mol/l含有する硫酸酸性浴
(pH2.0、温度50℃) ・相対流速:1.5m/sec ・電流密度:50A/dm2 以上の条件で作製した電気亜鉛めっき鋼板について、外
観ムラ(原板性、電気めっき性)の発生状況を目視で確
認し、それぞれ下記により評価した。評価結果を表1に
示す。 ◎:外観ムラなし ○:外観ムラごく軽い △:外観ムラ軽度 ×:外観ムラ重度
【0047】
【表1】
【0048】比較例は、原板性の外観ムラの評価が×〜
△であるのに対して、本発明例は、いずれも原板性の外
観ムラの評価が○〜◎である。また、めっき浴中に添加
した水溶性有機化合物の濃度が10ppm未満のものはいず
れも電気めっき性の外観ムラの発生がない。 (実施例2)原板として、通常の亜鉛めっきを行なうと
線状のムラを生じる冷延鋼板を使用した。これをアルカ
リで脱脂し、水洗した後、下記の条件で酸洗処理を実施
した。 ・酸洗液:5%硫酸 ・処理条件:30℃、5秒浸漬 引き続き水洗した後、表2の条件で水溶性ポリマーを5pp
m以上含有する酸性水溶液への浸漬処理を行なった。な
お比較として、本発明の範囲外の添加剤を加えた酸性水
溶液への浸漬処理も行なった。表2中、添加剤(A)〜(D)
の構造は、それぞれ実施例1で示した(A)〜(D)の構造と
同じである。
【0049】引き続き水洗をした後、以下の条件で電気
亜鉛めっきを実施した。なお、一部のめっき浴には酸洗
処理液に添加した添加剤を添加した。添加した添加剤濃
度を表2に併せて記載した。 ・めっき浴:Zn2+イオン1.5mol/l含有する硫酸酸性浴
(pH2.0、温度50℃) ・相対流速:1.5m/sec ・電流密度:50A/dm2 なお、比較として、アルカリ脱脂、水洗後に酸洗処理を
行なわず、直接酸性水溶液への浸漬処理を行なった後、
水洗、電気亜鉛めっきを行なう試験も行なった。
【0050】以上の条件で作製した電気亜鉛めっき鋼板
について、外観ムラ(原板性、電気めっき性)の発生状
況を目視で確認し、実施例1と同様の基準で評価した。
評価結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】比較例は、外観ムラの評価が×〜△である
のに対して、本発明例は、いずれも外観ムラの評価が○
〜◎である。本発明例の内、添加剤の分子量、添加剤の
(アミノ基数/平均分子量)が本発明範囲内のものは原
板性の外観ムラの評価が◎で、外観ムラの発生を防止す
る効果がより優れている。また、本発明例では、アミノ
基を有する水溶性有機化合物を5ppm以上含有する酸性水
溶液に浸漬する前に、アミノ基を有する水溶性有機化合
物を含まない酸性溶液で酸洗処理したため、実施例1の
発明例に比べて外観ムラの発生を防止する効果がより優
れる。また、めっき浴中に添加した水溶性有機化合物の
濃度はいずれも10ppm未満なので電気めっき性の外観ム
ラの発生がない。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、極微量のSi、Al、Ti、
Fe等の酸化物、金属Ni、グラファイト化したC等の濃化
部分が存在する原板に電気亜鉛めっきを行っても、これ
らの表面欠陥に起因するムラの発生が無い、優れた外観
を有する亜鉛めっき鋼板が得られる。
【0054】また、亜鉛めっき浴中のアミノ基を有する
水溶性有機化合物の濃度を10ppm未満にすることで電気
めっき性の外観ムラの発生を防止できる。
【0055】なお、電気亜鉛めっき後にクロメート処理
(塗布型、反応型、電解型)や、更にその上に樹脂被覆
処理等を実施した鋼板についてもめっき後の外観ムラが
問題となるが、これらの鋼板に対しても、本発明の効果
は得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱田 悦男 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 野呂 寿人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K024 AA05 AB01 BA03 BC01 DA03 GA02 4K053 PA02 PA12 QA01 QA07 RA15 RA19 RA52 TA09 ZA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気亜鉛めっき工程の前処理として、鋼
    板を、アミノ基を有し、平均分子量が1,000〜200,000の
    水溶性ポリマーを5ppm以上含有する酸性水溶液に接触す
    ることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸性水溶液が酸洗処理液であることを特
    徴とする請求項1に記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 鋼板を、アミノ基を有する水溶性有機化
    合物を含まない酸性溶液で酸洗処理した後に、アミノ基
    を有する水溶性有機化合物を5ppm以上含有する酸性水溶
    液に接触することを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 アミノ基を有する水溶性有機化合物が、
    平均分子量が1,000〜200,000の水溶性ポリマーであるこ
    とを特徴とする請求3に記載の電気亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 水溶性ポリマーのアミノ基数と平均分子
    量の比、(アミノ基数/平均分子量)が1/250以上であ
    ることを特徴とする請求項1、2または4に記載の電気亜
    鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5において、アミノ基を有する
    水溶性有機化合物または水溶性ポリマーの濃度を電気亜
    鉛めっき工程の亜鉛めっき液中で10ppm未満にすること
    を特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP2001115168A 2001-04-13 2001-04-13 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 Pending JP2002309393A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001115168A JP2002309393A (ja) 2001-04-13 2001-04-13 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001115168A JP2002309393A (ja) 2001-04-13 2001-04-13 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002309393A true JP2002309393A (ja) 2002-10-23

Family

ID=18966111

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001115168A Pending JP2002309393A (ja) 2001-04-13 2001-04-13 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002309393A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013019039A (ja) * 2011-07-14 2013-01-31 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 美麗な電気亜鉛めっき鋼帯

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013019039A (ja) * 2011-07-14 2013-01-31 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp 美麗な電気亜鉛めっき鋼帯

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100476497B1 (ko) 알루미늄합금의처리방법및이방법에의해제조된생성물
US20220145469A1 (en) Electroless nickel coatings and compositions and methods for forming the coatings
JP2017511844A (ja) 三価電解液から析出される微小不連続クロムの不動態化
JP4862445B2 (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
CN109312462B (zh) 避免将制品固定在电镀槽中的挂具金属化的具有塑料表面的制品金属化的方法
JP2002309393A (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP4862484B2 (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
TWI448590B (zh) 用於鋅與鋅合金鑄模構件之新穎無氰化物電鍍方法
JP2003064493A (ja) 外観の美麗な電気亜鉛めっき鋼板
JPH10152792A (ja) 外観の優れた電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3867199B2 (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH02271000A (ja) 片面電気亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP3334579B2 (ja) 優れた外観を有する電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2000256890A (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2010196100A (ja) 黒色めっき皮膜及びその皮膜形成方法
CN117904567A (zh) 一种防腐蚀镀锌板的加工工艺
JPH06240467A (ja) 耐糸錆性に優れたアルミニウム板
JP2005002373A (ja) 表面外観に優れた電気亜鉛メッキ鋼板の製造方法
JPH0533165A (ja) 耐糸錆性に優れたアルミニウム板の製造方法
JPH0754193A (ja) 化成処理性に優れた高耐食性電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH0772358B2 (ja) 片面電気めっき鋼板の製造方法
KR20240123042A (ko) 철 전기 도금 용액 및 이를 이용한 철 도금층이 형성된 도금 강판 제조 방법
KR100784819B1 (ko) 알루미늄의 표면처리용 조성물
JPH11279772A (ja) 耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法
JPS6334229B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050419

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050726

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050927

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051206