JP2002308668A - 耐火物およびその製造方法 - Google Patents

耐火物およびその製造方法

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JP2002308668A JP2001112618A JP2001112618A JP2002308668A JP 2002308668 A JP2002308668 A JP 2002308668A JP 2001112618 A JP2001112618 A JP 2001112618A JP 2001112618 A JP2001112618 A JP 2001112618A JP 2002308668 A JP2002308668 A JP 2002308668A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ金属蒸気に対する耐蝕性が改善され
た耐火物およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 本発明の耐火物は、空隙率18〜40vo
l%であって、以下の材料:(1)アルミナ粉末およびジ
ルコニア粉末の少なくとも一方;(2)ムライト粉末お
よびアンダルサイト粉末の少なくとも一方;を主体とす
る無機粉末を焼成してなる。その前記無機粉末に占める
前記(1)の材料の割合は37wt%以上であり、前記
(1)の材料の67wt%以上は150メッシュ以下の粉
末である。この耐火物は、前記無機粉末と、多糖類およ
び/またはカオリン系鉱物を主体とする成形助剤とを含
有する調合材料を焼成することにより好適に製造され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、アルカリ成分に
対する耐蝕性に優れた耐火物およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】 都市ごみ等の廃棄物を焼却して生成し
た焼却灰(以下、一般焼却灰ともいう。)を高温で焼成
し、この焼成物を粉砕した粉砕物を路盤材、ブロック用
骨材等として利用する廃棄物のリサイクルが知られてい
る。上記一般焼却灰の焼成は、例えば、この焼却灰に成
形助剤を加えて任意の形状に成形し、焼成炉内に配され
たセッターにこの成形品(被焼成物)を載置して120
0℃程度の焼成温度で実施される。従来、上記セッター
としては、中膨張率を有するムライト、アンダルサイト
およびアルミナ等を主体とする無機粉末を焼結してなる
耐火物が広く使用されている。かかるシリカ−アルミナ
系耐火物は、耐熱衝撃性が良好であり、原料コストが低
いことから経済性にも優れている。この種の従来技術と
しては、特開平6−263546号公報、特開平7−2
67726号公報、特開平11−240769号公報、
および特開平3−1090号公報に開示されたもの等が
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 しかし、上述のよう
な一般焼却灰には通常、塩素、ナトリウム、カリウム等
の元素またはその化合物が含まれている。このような焼
却灰を焼成すると塩素ガス、ナトリウム蒸気、カリウム
蒸気等の腐蝕性気体が発生する。このうち特にナトリウ
ム蒸気、カリウム蒸気等のアルカリ金属蒸気は、上記シ
リカ−アルミナ系耐火物と反応して複合酸化物を生成す
る。例えば、上記シリカ−アルミナ系耐火物がナトリウ
ム蒸気に曝されると、ナトリウム蒸気との接触部(主と
して耐火物の表面)にネフェリン(NaAlSiO4
が生成する。このネフェリンは、室温と焼成温度との間
においてα−β転移により著しい体積変化(膨張)を起
こす。このため、ネフェリンが多い部分(表面付近)と
ネフェリンの少ない部分(内部)との間に体積変化率の
違いによる機械的応力が生じ、焼成処理を繰り返すうち
にセッター表面(ネフェリンが多い部分)の剥落が進行
する。このようにしてセッターが浸蝕される現象が発生
することにより、従来の一般焼却灰焼成用セッターの耐
用寿命は、例えば30時間/回の焼成スケジュールにお
いて一ヶ月程度あるいはそれ以下という短かいものであ
った。
【0004】また、上記一般焼却灰の焼成工程の他、ア
ルカリ成分が蒸発・拡散する雰囲気下で行われる焼成工
程の例として、チタン酸カリウムの製造工程(焼成工
程)、ローソーダアルミナの製造工程(焼成工程)、K
2OやNa2O等のアルカリ成分を多く含むガラス質粉末
等を用いた低温焼成用セラミックグリーンシートの焼成
工程、あるいはこれらアルカリ成分を含む釉薬を用いた
被焼成物を焼成する工程等がある。これらの場合にも同
様に、アルカリ金属蒸気とセッター構成材料の反応によ
りセッターの劣化(浸蝕)が促進される現象がみられ
る。さらに、これらの焼成工程においてアルカリ金属蒸
気(アルカリ金属雰囲気)に曝されるセッター以外の炉
内耐火物、例えば焼成時に用いられる型類(成形型、中
子等)、匣鉢、焼成炉の内壁等においても、同様にアル
カリ金属蒸気による寿命短縮の問題が存在する。
【0005】一方、アルカリ金属蒸気に対する耐蝕性の
高い耐火物として、アルカリ金属蒸気との反応性が低い
材質からなる無機粉末を主体として形成された耐火物
(アルミナ−ジルコニア系耐火物等)が知られている。
例えば特開平6−323752号公報には、実質的にア
ルミナおよびジルコニアからなるアルミナ・ジルコニア
質焼成用道具材が開示されている。
【0006】本発明の目的は、比較的廉価な(汎用の)
耐火物原料(無機粉末)を含有する構成を備えながら、
アルカリ金属蒸気に対する耐蝕性が改善されたセッタ
ー、型類、匣鉢、炉壁その他の耐火物を提供することで
ある。本発明の他の目的は、上記アルカリ金属蒸気に対
する耐蝕性が改善された耐火物(典型的にはセッター、
型類および匣鉢)を製造するための方法および材料を提
供することである。関連する他の目的は、アルミナ粉末
等の比較的廉価な(汎用の)耐火物原料を主体としなが
ら、アルカリ金属蒸気に対する耐蝕性が改善されたセッ
ター、型類、匣鉢、炉壁その他の耐火物を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、汎用の耐
火物原料であるムライト粉末および/またはアンダルサ
イト粉末を含有する無機粉末から形成された耐火物にお
いて、この無機粉末の組成比および粒度ならびに耐火物
の内部構造を所定範囲とすることにより、アルカリ金属
蒸気に対する耐蝕性が改善されることを見出した。さら
に、この耐火物の製造時においてその製造用材料に特定
の成形助剤を配合することにより、アルカリ金属蒸気に
対する耐蝕性が改善された耐火物を製造できることを見
出して本発明を完成した。
【0008】すなわち本発明によると、空隙率18〜4
0vol%の耐火物が提供される。この耐火物は、以下の材
料: (1)アルミナ粉末およびジルコニア粉末の少なくとも
一方; (2)ムライト粉末およびアンダルサイト粉末の少なく
とも一方; を主体とする無機粉末を焼成してなる。前記無機粉末に
おいて、前記アルミナ粉末と前記ジルコニア粉末とが占
める割合は合わせて37wt%以上である。そして、該ア
ルミナ粉末と該ジルコニア粉末との合計量の67wt%以
上は150メッシュ以下の粉末である。
【0009】また本発明によると、以下の構成の耐火物
が提供される。すなわちこの耐火物は、空隙率18〜4
0vol%であり、以下の材料: (1)アルミナ粉末およびジルコニア粉末の少なくとも
一方; (2)ムライト粉末およびアンダルサイト粉末の少なく
とも一方; を主体とする無機粉末を焼成してなる。前記無機粉末は
150メッシュ以下の粉末を含有し、アルミナ粉末およ
びジルコニア粉末がこの150メッシュ以下の粉末の5
5wt%以上を占めている。また、前記無機粉末の全体量
のうち、アルミナ粉末およびジルコニア粉末が占める割
合は合わせて37wt%以上である。そして、この無機粉
末全体に含有されるアルミナ粉末およびジルコニア粉末
の合計量のうち67wt%以上は150メッシュ以下の粉
末である。
【0010】これら本発明の耐火物は、汎用の耐火物原
料を主体とする無機粉末から形成されているので、原料
コストが抑えられている。上記無機粉末が、汎用の耐火
物原料であるアルミナ粉末と、同じく汎用の耐火物原料
であるムライト粉末および/またはアンダルサイト粉末
とを主体とする場合には特に原料コストが低く経済性に
優れる。この無機粉末(粒子)の37wt%以上はアルミ
ナ粉末およびジルコニア粉末からなる。かかる組成の無
機粉末(粒子)から構成された本発明の耐火物は、Si
2成分の割合が比較的少ない化学組成を有する。した
がって、SiO2成分とアルカリ金属蒸気との反応によ
る複合酸化物(ネフェリン等)の生成が抑制(遅延化)
されるので、この耐火物のアルカリ金属蒸気耐蝕性が向
上する。そして本発明の耐火物では、このアルミナ粉末
(粒子)およびジルコニア粉末(粒子)の合計量の67
wt%以上が150メッシュ以下の粉末(粒子)であるこ
とにより耐蝕性がさらに向上する。また、かかる150
メッシュ以下の粉末(粒子)のうちアルミナ粉末(粒
子)およびジルコニア粉末(粒子)の占める割合が55
wt%以上である場合には、耐蝕性が一層向上する。
【0011】また、本発明の耐火物は、18〜40vol%
という比較的高い空隙率を有する。このため、焼成工程
等において雰囲気中に存在するアルカリ金属蒸気が耐火
物の内部にまで浸透しやすい。したがって、より空隙率
の低い耐火物に比べて、耐火物中におけるアルカリ金属
蒸気の濃度勾配が緩やかになり、耐火物の表面と内部と
でアルカリ金属蒸気との反応がより均一に進行する。換
言すれば、耐火物とアルカリ金属蒸気との反応生成物
(ネフェリン等の複合酸化物)が耐火物の表面付近のみ
に偏って形成されることが防止または抑制される。これ
により、耐火物とアルカリ金属蒸気との反応生成物が形
成された場合にも、耐火物の表面と内部との体積膨張率
の違いが低減されるので機械的応力の発生が抑えられ、
その結果として耐火物表面の剥落等が起こりにくくな
る。このようにして耐火物の耐久寿命(アルカリ金属蒸
気等に対する耐蝕寿命)が延長される。なお、本明細書
中において「空隙」とは、耐火物内部に存在する空間
(気孔、クラック等を包含し、その大きさは問わない)
の全体を指す。そして「空隙率」とは、耐火物の外形体
積のうち上記空隙の占める体積をいう。クラックのほと
んどない耐火物においては、例えばJIS Z2205
に準拠して測定された見かけ気孔率を上記空隙率の値と
みることができる。
【0012】本発明の耐火物のうち好ましいものでは、
化学組成として、SiO2の割合が23wt%以下である。
このような化学組成を有する耐火物は、複合酸化物の生
成がさらに遅延化されるので、アルカリ金属蒸気耐蝕性
が特に良好である。
【0013】これら本発明の耐火物のうち好ましいもの
では、その耐火物の体積のうち直径0.35〜1.0μ
mの気孔の占める割合が10vol%以上である。すなわ
ち、上記空隙率の数値のうち25〜50%は直径0.3
5〜1.0μmの気孔に依存している。このような内部
構造を有する耐火物は、アルカリ金属蒸気の流通性が良
好である(耐火物の内部にまでアルカリ金属蒸気が浸透
しやすい)ことから、ネフェリン等の表面付近への偏在
がさらによく防止される。なお、上記直径を有する気孔
の割合は、例えば走査型電子顕微鏡写真の解析により求
めることができる。
【0014】また、本発明によると、空隙率18〜40
vol%の耐火物を製造する方法が提供される。この方法
は、無機粉末と成形助剤とを含有する調合原料を調製す
る工程と、該調合原料を焼成する工程とを包含する。前
記無機粉末は以下の材料: (1)アルミナ粉末およびジルコニア粉末の少なくとも
一方; (2)ムライト粉末およびアンダルサイト粉末の少なく
とも一方; を主体とする。前記無機粉末において、前記アルミナ粉
末と前記ジルコニア粉末との占める割合は合わせて37
wt%以上である。また、前記アルミナ粉末と前記ジルコ
ニア粉末との合計量の67wt%以上は150メッシュ以
下の粉末である。そして、前記成形助剤は多糖類および
/またはカオリン系鉱物を主体とする。
【0015】上記のような性状の無機粉末および成形助
剤を含む調合原料(セッター等の耐火物製造用材料)を
焼成して得られた耐火物は、原料コストが低く、かつア
ルミナ金属蒸気に対して比較的低い反応性を有する。そ
して、この調合原料に上記成形助剤が、本発明では防蝕
を目的として配合されていることにより、得られる耐火
物がアルカリ金属蒸気の流通性に優れた内部構造を有す
るものとなる。これにより、耐火物とアルカリ金属蒸気
との反応生成物が耐火物の表面付近のみに偏って形成さ
れることが防止または抑制されるので、耐火物表面の剥
落等が起こりにくくなり、耐火物の寿命が延長される。
【0016】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好適な実施形態
について詳細に説明する。本発明の耐火物の原料として
用いられる無機粉末の主体をなす「アルミナ粉末および
/またはジルコニア粉末(これを(1)の材料ともい
う。)」は、その67wt%以上(好ましくは70wt%以
上、より好ましくは75wt%以上)が150メッシュ以
下の粉末からなる。上記(1)の材料のうち150メッ
シュ以下の粉末の占める割合の上限は特に限定されない
が、原料コストや調合原料の成形性等の点から、典型的
には67〜95wt%とすることができ、67〜80wt%と
してもよい。さらに、上記(1)の材料のうち150メ
ッシュ以下の粉末の占める割合を70〜95wt%とする
ことができ、70〜80wt%としてもよい。上記(1)
の材料のうち残りの粉末の粒度は特に限定されず、例え
ば60〜150メッシュの粉末、60メッシュ以上の粉
末等を、単独であるいは適宜の割合で混合して用いるこ
とができる。焼結性の点からは、残りの(150メッシ
ュ以下の粉末以外の)粉末の粒度も比較的細かいことが
好ましく、60〜150メッシュ程度の粉末が好ましく
用いられる。
【0017】上記無機粉末は、上記(1)の材料の他
に、「ムライト粉末および/またはアンダルサイト粉末
(これを(2)の材料ともいう。)」を主体とする。上
記(2)の材料の粒度は特に限定されず、例えば150
メッシュ以下の粉末、60〜150メッシュの粉末、6
0メッシュ以上の粉末等を、単独であるいは適宜の割合
で混合して用いることができる。このうち、60メッシ
ュ以上の粉末を使用する場合または60メッシュ以上の
粉末と60〜150メッシュの粉末とを使用する場合に
は、これら原料粉末の価格が安く、かつ粉末の取り扱い
が容易であるという利点がある。
【0018】本発明の耐火物を構成する無機粉末は、上
記(1)の材料および上記(2)の材料以外の無機粉末
(ガラス質であっても非ガラス質であってもよい)を、
副成分として含有することができる。これにより、焼結
性の向上、耐火物の機械的強度(曲げ強度等)や耐熱衝
撃性の向上等を図ることができる。このような無機粉末
としては、この耐火物の製造時において本発明に係る目
的の成形助剤として機能するもの(例えば後述のカオリ
ン系鉱物)、アルカリ金属元素を含まない化合物を主体
に構成されたもの等が好ましく用いられる。本発明の耐
火物製造に用いられる無機粉末の形状は特に限定され
ず、球状、板状、棒状等のものを用いることができる。
このうち、球状に近い形状を有する粉末の割合が高いこ
とが好ましい。
【0019】これら無機粉末全体に占める上記アルミナ
粉末および上記ジルコニア粉末の割合は、合わせて37
wt%以上であることが望ましく、好ましくは50wt%以
上、さらに好ましくは55wt%以上である。これら無機
粉末は150メッシュ以下の粉末を含み、無機粉末全体
に占める150メッシュ以下の粉末の割合は40wt%以
上であることが好ましい。さらに、無機粉末全体に含ま
れる150メッシュ以下の粉末のうち、アルミナ粉末お
よびジルコニア粉末がその55wt%以上(より好ましく
は70wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上)を占め
ることが好ましい。また、無機粉末全体に対して、15
0メッシュ以下のアルミナ粉末と150メッシュ以下の
ジルコニア粉末との占める割合は、合わせて25wt%以
上であることが好ましく、30wt%以上であることがよ
り好ましく、40wt%以上であることがさらに好まし
い。
【0020】そして、上記(1)の材料および上記
(2)の材料は、焼成後に得られる耐火物の化学組成に
おいてSiO2の割合が23wt%以下(より好ましくは2
0wt%以下、さらに好ましくは17wt%以下)となるよう
な割合で使用されることが好ましい。ここで「焼成後に
得られる耐火物の化学組成」とは、本発明の製造方法に
おいて成形助剤(本発明において防蝕を主目的の一つと
する)として用いられたカオリン系鉱物(後述)に由来
する化学成分(Al23、SiO2等)を含めた組成を
いう。なお、本発明の耐火物は、普遍的な耐火物原料で
あるムライト、アンダルサイトおよびアルミナを主体と
する無機材料の焼結体であって、耐アルカリ性の高い高
価な原料、例えばジルコニア粉末、炭化珪素粉末等を比
較的多量(例えば無機粉末全体の20wt%以上)には使
用しないことが好ましい。さらに、上記ジルコニア粉
末、炭化珪素粉末等を実質的に使用しない(意図的に配
合しない)組成とすることも可能である。本発明におい
ては、このような高価な原料を使用しないか、あるいは
その使用量が比較的少ない場合にも十分な耐蝕寿命が得
られる。
【0021】上記無機粉末を用いて形成された本発明の
耐火物は、その空隙率が18〜40vol%であり、好まし
くは25〜40vol%、より好ましくは25〜35vol%で
ある。耐火物の空隙率が上記範囲であれば、実用的な機
械的強度(例えば曲げ強度)を備えるとともに、十分な
アルカリ金属蒸気流通性を示すことができる。これによ
り、耐火物とアルカリ金属蒸気との反応生成物が形成さ
れる箇所を分散させて(すなわち、反応生成物が表面の
みに偏って形成されることを抑制して)、耐火物表面の
剥落を起こりにくくすることができる。なお、直径0.
35〜1.0μmの気孔の占める割合が10vol%以上
(より好ましくは15〜20vol%)である耐火物は、ア
ルカリ金属蒸気の流通性がさらに良好であるので、より
優れたアルカリ金属蒸気耐蝕性を示す。
【0022】本発明の耐火物製造方法においては、上記
(1)の材料および上記(2)の材料を主体とする無機
粉末と成形助剤とを含有する調合原料を焼成する。この
「成形助剤」は、多糖類および/またはカオリン系鉱物
を主体とする。典型的には、多糖類および/またはカオ
リン系鉱物のみからなる成形助剤を用いる。上記「多糖
類」とは、単糖類(単糖およびその誘導体)がポリグリ
コシル化した高分子化合物(通常は重合度10以上)を
指す。このような多糖類のうちホモ多糖、ヘテロ多糖の
いずれも使用可能である。本発明における成形助剤とし
て用いられる多糖類の具体例としては、寒天、デキスト
リン、アガロース、カラギーナン、キサンタンガム、カ
ードランおよびコンニャク粉等が挙げられる。懸濁液ま
たは溶液を加熱した際に容易にゲル化するもの(ゲル化
剤)が好ましく、寒天粉末およびデキストリンが特に好
ましく用いられる。この多糖類の使用量は、焼成後に耐
火物を構成する成分100重量部に対して0.05〜5
重量部の範囲が適当であり、より好ましくは0.2〜3
重量部である。多糖類の使用量が少なすぎると、気孔形
成が十分に行われず、耐蝕性を高める効果が少なくな
る。一方、多糖類の使用量が多すぎると、調合原料の流
動性が低下して成形性に影響を及ぼしたり、焼成による
体積収縮が大きくなってクラックを発生させたりする場
合がある。
【0023】上記「カオリン系鉱物」としては、カオリ
ナイト、ディッカイト、ナクライトおよびハロイサイト
のいずれも使用可能である。また、これらの二種以上を
任意の割合で含むものを用いてもよい。本発明の成形助
剤としては、このようなカオリン系鉱物のうち320メ
ッシュ以下の粉末を用いることが好ましい。カオリン系
鉱物の使用量は、上記無機粉末とこのカオリン系鉱物と
の合計量を100重量部として3〜20重量部の範囲が
適当であり、より好ましくは5〜15重量部の範囲であ
る。カオリン系鉱物の使用量が少なすぎると成形性が低
下しやすくなる。一方、カオリン系鉱物の使用量が多す
ぎると、得られた耐火物がSiO2成分を多く含む組成
となるので、アルカリ金属蒸気に対する耐蝕性が低下傾
向となる恐れが生じる。
【0024】本発明の製造方法において焼結に供される
調合原料には、上記(1)の材料、上記(2)の材料お
よび成形助剤以外に「気孔形成材」を配合することが好
ましい。この気孔形成材の配合により、耐火物の空隙率
がさらに高められてアルカリ金属蒸気の流通性が向上す
る。したがって、耐火物とアルカリ金属蒸気との反応生
成物が耐火物表面に偏って形成されることが防止され、
表面の剥落等がさらに起こりにくくなる。上記気孔形成
材としては、有機質であって成形時に潰れず、この耐火
物の焼結開始前の温度で消失が始まるものが好ましい。
例えば、クルミの殻、モモの種、モミ殻等の天然物を用
いることができる。また、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、スチレン、エチレン、プロピレン、塩
化ビニル等の重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、
発泡ポリスチレン等)、あるいはナイロン、ポリエステ
ル等の縮合物等の熱溶融型樹脂からなる粒子(粉末、ビ
ーズ、エマルジョン粒子等)を用いることもできる。
【0025】この気孔形成材の粒径は1μm〜300μm
の範囲が適当であり、より好ましくは10〜100μm
である。また、この気孔形成材の外形は球形に近いこと
が好ましい。この場合には、形成される気孔が球形に近
いものとなるので、空隙率の割に機械的強度(例えば曲
げ強度)の高い耐火物を得ることができる。気孔形成材
の使用量は、焼成後に耐火物を形成する成分(耐火物を
構成する無機粉末)100重量部に対して0.5〜15
重量部とすることが好ましく、より好ましくは1〜10
重量部である。気孔形成材の使用量が少なすぎる場合に
は十分な添加効果が得られず、多すぎる場合には得られ
た耐火物の機械的強度が低下しやすくなる。
【0026】この調合原料には、必要に応じてさらに別
の助剤(有機バインダー等)を添加することができる。
かかる助剤としては従来公知の水溶性樹脂等を用いるこ
とができ、例えばカルボキシメチルセルロース(CM
C)、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニ
ルアルコールおよびポリカルボン酸塩等が挙げられる。
上記有機バインダーは、焼成後に耐火物を形成する成分
100重量部に対して0.01〜2重量部(より好まし
くは0.05〜1重量部)の割合で配合されることが好
ましい。
【0027】次に、本発明の耐火物製造方法の好適例に
つき、図1を用いて説明する。まず、無機粉末と本発明
に係る成形助剤とを含有する調合原料を調製する工程を
行う。この工程は、典型的には秤量工程10と混合工程
20とから実質的に構成される。秤量工程10におい
て、無機粉末の各々と成形助剤、さらに必要に応じて別
の助剤、気孔形成材等をそれぞれ秤量しておく。次に、
混合工程20において、工程10で秤量した材料をニー
ダー、フレットミル等の混合機を用いて例えば8分程度
混合する。このとき、適当なタイミングで所定量の水
(焼成後に耐火物を形成する成分100重量部に対して
例えば5〜15重量部)を添加するとよい。続いて、上
記で調製された調合原料を焼成する工程を行う。この工
程は、典型的には成形工程30と、乾燥工程40と、焼
成工程50とから実質的に構成される。成形工程30で
は、工程20で得られた調合原料から、例えば成形圧力
400kgf/cm2(3922.6N/cm2)程度の
フリクションプレス、あるいはロクロ成形等の手段によ
り、所定形状の成形体を作製する。次に、乾燥工程40
において、この成形体を例えば常温で15時間程度乾燥
させた後、さらに50℃程度の温度で24時間程度乾燥
させる。その後、焼成工程50において、工程40で乾
燥された成形体をトンネルキルン等の焼成炉により例え
ば1360℃で3時間程度焼成することにより製品(耐
火物)が得られる。
【0028】本発明の耐火物、または本発明の方法によ
り製造された耐火物は、アルカリ金属蒸気存在下での焼
成工程に対して良好な耐久性を有する。したがってこの
耐火物は、アルカリ金属蒸気に曝される雰囲気で繰り返
し焼成される部材として好適である。すなわち、この耐
火物からなるセッター、匣鉢、ロクロ匣鉢等の焼成用治
具や、成形型、中子等の焼成用型類、あるいは焼成炉の
内壁等は、汎用の耐火物原料から得られた従来の耐火物
に比べて優れた耐蝕寿命を有する。このような耐火物が
好ましく用いられる焼成工程としては、アルカリ金属を
含む一般焼却灰の焼成工程、チタン酸カリウムの焼成工
程、ローソーダアルミナの焼成工程、K 2OやNa2O等
のアルカリ成分を多く含むガラス質粉末等を用いたセラ
ミックグリーンシートの焼成工程、アルカリ成分を含む
釉薬を用いた被焼成物の焼成工程等が挙げられる。本発
明の耐火物は、このような焼成工程に用いられて、例え
ば30時間/回の焼成スケジュールにおいて二ヶ月以
上、より好ましい条件では三ヶ月以上の耐蝕寿命を示す
ことができる。
【0029】
【実施例】 以下、本発明に関するいくつかの実施例を
説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定す
ることを意図したものではない。なお、以下において
「粗粒」、「中粒」および「細粒」とは粒度の相対的な
関係を示す。大まかには、「粗粒」は粒度60メッシュ
以上の粉末を主体とする粉末を、「中粒」は粒度60〜
150メッシュの粉末を主体とする粉末を、「細粒」は
粒度150メッシュ以下の粉末を主体とする粉末をい
う。以下に登場する無機粉末の呼称と、各無機粉末に含
まれる150メッシュ以下の粉末の割合(wt%)とを表
1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】<実施例1>本実施例では、原料粉末とし
て粗粒アンダルサイト粉末、中粒アルミナ粉末および細
粒アルミナ粉末を用いた。また、成形助剤としてはデキ
ストリン(多糖類)を、他の助剤としてCMCを、気孔
形成材としては−325メッシュパスのクルミ殻を用い
た。これらの材料を用いて調合原料を調製し、成形・焼
成して耐火物を製造した。すなわち、粗粒アンダルサイ
ト粉末40重量部、中粒アルミナ粉末15重量部、細粒
アルミナ粉末45重量部、デキストリン1.5重量部、
CMC0.2重量部、クルミ殻5.0重量部および水1
0重量部をニーダーにより混合した。この調合原料か
ら、成形圧力400kgf/cm2(3922.6N/
cm2)のフリクションプレスにより、セッター(焼成
後の目標寸法:366mm×341mm×15mm厚)
および匣鉢(焼成後の目標寸法:366mm×341m
m×125mm×10〜15mm厚)用の成形体を作製
した。また、ロクロ成形によってロクロ匣鉢(焼成後の
目標寸法:350φmm×10〜15mm厚)用の成形
体を作製した。これらの成形体を、常温で15時間程度
乾燥させた後、さらに50℃程度の温度で24時間乾燥
させた。その後、トンネルキルンにより1360℃で3
時間焼成して耐火物を得た。この耐火物の化学組成にお
いて、SiO2(アルカリ金属蒸気との反応性の高い成
分)の割合は15.28wt%、Al23(アルカリ金属
蒸気との反応性の低い成分)の割合は83.95wt%で
あった。
【0032】<実施例2>成形助剤としてのデキストリ
ンの使用量を1.0重量部とした点、および気孔形成材
(クルミ殻)を使用しなかった点を除いては実施例1と
同様にして耐火物を製造した。この耐火物の化学組成に
おいて、SiO2の割合は15.28wt%、Al23の割
合は83.95wt%であった。
【0033】<実施例3>細粒アルミナ粉末45重量部
のうち10重量部を細粒ジルコニア粉末に置き換えた点
以外は実施例2と同様にして耐火物を製造した。この耐
火物の化学組成において、SiO2の割合は15.29w
t%、Al23およびZrO2(すなわち、アルカリ金属
蒸気との反応性の低い成分)の合計割合は83.92wt
%であった。
【0034】<実施例4>粗粒アンダルサイト粉末に代
えて粗粒ムライト粉末を用いた点、および成形助剤とし
てのデキストリン1重量部を寒天粉末0.2重量部に置
き換えた点を除いては実施例2と同様にして耐火物を製
造した。この耐火物の化学組成において、SiO2の割
合は10.80wt%、Al23の割合は88.23wt%で
あった。
【0035】<実施例5>細粒アルミナ粉末の使用量を
38重量部とした点、およびデキストリン1重量部に代
えてカオリナイト(粒度320メッシュ以下)7重量部
を使用した点を除いては実施例2と同様にして耐火物を
製造した。この耐火物の化学組成(カオリナイト由来の
成分を含む)において、SiO2の割合は19.05wt
%、Al23の割合は79.86wt%であった。
【0036】<実施例6>細粒アルミナ粉末の使用量を
36重量部とした点、および成形助剤としてデキストリ
ン1重量部とカオリナイト9重量部とを併用した点を除
いては実施例2と同様にして耐火物を製造した。この耐
火物の化学組成(カオリナイト由来の成分を含む)にお
いて、SiO2の割合は20.14wt%、Al23の割合
は78.68wt%であった。
【0037】<実施例7>原料粉末として、中粒アンダ
ルサイト粉末22.5重量部、粗粒ムライト粉末18.
0重量部、細粒ムライト粉末4.5重量部、中粒アルミ
ナ粉末13.5重量部、細粒アルミナ粉末18.0重量
部および細粒ジルコニア粉末9.0重量部を使用した。
また、成形助剤としてカオリナイト14.5重量部を、
他の助剤としてCMC0.2重量部を使用した。その他
の点については実施例2と同様にして耐火物を製造し
た。この耐火物の化学組成(カオリナイト由来の成分を
含む)において、SiO2の割合は22.26wt%、Al
23およびZrO2の合計割合は76.37wt%であっ
た。
【0038】<実施例8>粗粒アンダルサイト粉末40
重量部のうち25重量部を中粒アンダルサイト粉末に置
き換えた。また、成形助剤として寒天粉末0.2重量部
およびデキストリン0.165重量部を、他の助剤とし
てCMC1.0重量部を使用した。その他の点について
は実施例2と同様にして耐火物を製造した。この耐火物
の化学組成において、SiO2の割合は15.28wt%、
Al23の割合は83.95wt%であった。
【0039】<比較例1>本比較例では、原料粉末とし
て粗粒アンダルサイト粉末25重量部、中粒アンダルサ
イト粉末25重量部、中粒アルミナ粉末10重量部およ
び細粒アルミナ粉末17重量部を使用した。また、成形
助剤としてはデキストリン1重量部とカオリナイト23
重量部とを併用した。その他の点については実施例2と
同様にして耐火物を製造した。この耐火物の化学組成
(カオリナイト由来の成分を含む)において、SiO2
の割合は31.84wt%、Al23の割合は66.21w
t%であった。また、この耐火物を構成する無機粉末(カ
オリナイトを含む)に占めるアルミナ粉末の割合は27
wt%である。
【0040】<比較例2>本比較例では、原料粉末とし
て粗粒ムライト粉末25重量部、中粒ムライト粉末25
重量部、中粒アルミナ粉末15重量部および細粒アルミ
ナ粉末20重量部を使用した。その他の点については実
施例2と同様にして耐火物を製造した。この耐火物の化
学組成(カオリナイト由来の成分を含む)において、S
iO2の割合は21.62wt%、Al23の割合は76.
55wt%であった。また、この耐火物を構成する無機粉
末(カオリナイトを含む)に占めるアルミナ粉末の割合
は35wt%である。
【0041】<比較例3>粗粒アンダルサイト粉末25
重量部に代えて細粒アンダルサイト粉末25重量部を使
用した。成形助剤としてはカオリナイト23重量部を用
い、デキストリンは使用しなかった。また、CMCも使
用しなかった。以上の点を除いては比較例1と同様にし
て耐火物を製造した。この耐火物の化学組成(カオリナ
イト由来の成分を含む)において、SiO2の割合は3
1.41wt%、Al23の割合は66.79wt%であっ
た。また、この耐火物を構成する無機粉末(カオリナイ
トを含む)に占めるアルミナ粉末の割合は27wt%であ
る。
【0042】<比較例4>本比較例では、無機粉末とし
て中粒アンダルサイト粉末25重量部、細粒アンダルサ
イト粉末25重量部、中粒アルミナ粉末15重量部およ
び細粒アルミナ粉末20重量部を使用した。また、成形
助剤としてはカオリナイト15重量部を用い、他の助剤
としてCMC0.1重量部を使用した。以上の点を除い
ては実施例2と同様にして耐火物を製造した。この耐火
物の化学組成(カオリナイト由来の成分を含む)におい
て、SiO2の割合は27.05wt%、Al23の割合は
71.47wt%であった。また、この耐火物を構成する
無機粉末(カオリナイトを含む)に占めるアルミナ粉末
の割合は35wt%である。
【0043】<比較例5>本比較例では、無機粉末とし
て中粒アンダルサイト粉末25重量部、粗粒ムライト粉
末20重量部、細粒ムライト粉末5重量部、中粒アルミ
ナ粉末15重量部および細粒アルミナ粉末20重量部を
使用した。また、成形助剤としてはカオリナイト15重
量部およびデキストリン0.08重量部を用い、他の助
剤としてCMC0.1重量部を使用した。以上の点を除
いては実施例2と同様にして耐火物を製造した。この耐
火物の化学組成(カオリナイト由来の成分を含む)にお
いて、SiO2の割合は24.50wt%、Al23の割合
は74.05wt%であった。また、この耐火物を構成す
る無機粉末(カオリナイトを含む)に占めるアルミナ粉
末の割合は35wt%である。
【0044】<参考例1:気孔形成材を用いた耐火物の
製造(1)>本比較例では、無機粉末として粗粒アンダ
ルサイト粉末25重量部、中粒アンダルサイト粉末25
重量部、中粒アルミナ粉末15重量部および細粒アルミ
ナ粉末20重量部を使用した。これら無機粉末の合計量
に占めるアルミナ粉末の割合は35wt%である。また、
成形助剤としてはデキストリン1重量部とカオリナイト
15重量部とを併用した。さらに、気孔形成材として実
施例1で用いたものと同じクルミ殻を5.0重量部使用
した。その他の点については実施例2と同様にして耐火
物を製造した。この耐火物の化学組成(カオリナイト由
来の成分を含む)において、SiO2の割合は27.3
3wt%、Al23の割合は71.10wt%であった。ま
た、この耐火物を構成する無機粉末(カオリナイトを含
む)に占めるアルミナ粉末の割合は35wt%である。
【0045】<得られた耐火物の評価>以上、各実施
例、比較例および参考例で用いた原料組成、ならびに得
られた耐火物の主要成分の化学組成を表2および表3に
示す。さらに、耐火物を構成する無機粉末(粒子)の組
成および粒度の割合をこれらの表中に併せて示す。具体
的には、耐火物を構成する無機粉末全体に占めるアルミ
ナ粉末およびジルコニア粉末の合計割合を「[(アルミ
ナ粉末+ジルコニア粉末)/無機粉末](wt%)」として、
アルミナ粉末とジルコニア粉末との合計量に占める15
0メッシュ以下のアルミナ粉末と150メッシュ以下の
ジルコニア粉末との合計量の割合を「[150#以下の(ア
ルミナ+ジルコニア)粉末/(アルミナ粉末+ジルコニ
ア粉末)](wt%)」として、耐火物を構成する無機粉末全
体に占める150メッシュ以下の粉末(材質を問わな
い)の割合を「[150#以下の粉末/無機粉末](wt%)」とし
て、耐火物を構成する無機粉末全体に占める150メッ
シュ以下のアルミナ粉末と150メッシュ以下のジルコ
ニア粉末との合計量の割合を「[150#以下の(アルミナ
+ジルコニア)粉末/無機粉末](wt%)」として、そして
耐火物を構成する無機粉末中に含まれる150メッシュ
以下の粉末(材質を問わない)に占めるアルミナ粉末と
ジルコニア粉末との合計量の割合を「[(アルミナ粉末
+ジルコニア)/150#以下の粉末](wt%)」として、表2
および表3のそれぞれ対応する欄に示している。なお、
上記実施例、比較例および参考例では、いずれの成形方
法を用いた場合にも成形、乾燥および焼成工程における
キレ(クラック)の発生がほとんどなく、工程全体にお
ける歩留まりは98%以上と良好であった。
【0046】次に、上記各実施例、比較例および参考例
により製造された耐火物のうちセッターを用いて、その
空隙率、吸水率、常温曲げ強度および熱膨張率を以下の
ように試験・測定した。これら特性評価試験の結果は、
使用耐火物ごとに表2および表3の各々対応する欄に示
している。 [空隙率]JIS Z2205に準拠して測定した見か
け気孔率を空隙率の値とした。 [吸水率]JIS Z2205に準拠して測定した。 [常温曲げ強度]JIS R1604に準拠して測定し
た。 [熱膨張率]常温から1000℃までの間の伸びを、常
温における長さに対する百分率で表した。
【0047】さらに、上記各実施例および比較例により
製造された耐火物のうち匣鉢を用いて、アルカリ金属蒸
気存在下での焼成工程に対する耐蝕寿命を以下のように
試験・測定した。その結果は、使用耐火物ごとに表2お
よび表3の各々対応する欄に示している。 [耐蝕寿命]ナトリウム酸化物(Na2O)を1.0〜
4.0wt%、カリウム酸化物(K2O)を0.8〜3.0
wt%の割合で含有する一般焼却灰を匣鉢に載せ、以下の
サイクル: (a).常温から1180℃まで昇温する; (b).1180℃に二時間保持する; (c).1180℃から常温まで冷却する; を30時間のスケジュールで繰り返して行った。なお、
一般焼却灰は一サイクル毎に交換した。匣鉢が焼成工程
時においてワレ等により自動操作不可能となった時点を
この耐火物の耐蝕寿命とした。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表2および表3から判るように、耐火物を
構成する無機粉末に占めるアルミナ粉末およびジルコニ
ア粉末の割合およびその粒度が本発明の範囲にある実施
例1〜8の耐火物は、汎用の耐火物原料であるアンダル
サイト粉末および/またはムライト粉末を含有する原料
粉末から製造されたものでありながら、いずれも2ヶ月
以上の耐蝕寿命を有していた。原料粉末としてジルコニ
ア粉末を実質的に使用しない実施例1、2、4〜6およ
び8の耐火物においても2ヶ月以上の耐蝕寿命が得られ
た。特に、気孔形成材を使用して製造した実施例1の耐
火物は、気孔率が30vol%以上と高いこと等により、ジ
ルコニア粉末を用いた実施例3ともに優れた耐蝕寿命を
示した。また、比較例1と参考例1との比較からも、気
孔形成材の使用による空隙率の向上が耐蝕寿命の延長に
好影響を及ぼすことがわかる。これに対して、耐火物を
構成する無機粉末の組成および粒度等の点で本発明の構
成から外れる比較例1〜5の耐火物はアルカリ金属蒸気
に対する耐蝕性が低く、その耐蝕寿命は0.5ヶ月と短
かった。なお、これら耐火物の曲げ強度は、いずれも実
用上十分な(25N/cm2以上、好ましくは30N/
cm2以上)ものであった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐火物ま
たは本発明の方法により製造された耐火物は、汎用の耐
火物原料から形成されたものでありながら、アルカリ金
属蒸気に対する耐蝕性が改善されている。したがって、
この耐火物からなる焼成用治具、焼成用型類および焼成
炉の内壁等は、汎用の耐火物原料から得られた従来の耐
火物に比べて優れた耐蝕寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の耐火物の製造工程を示すフローチャ
ートである。
【符号の説明】
10:秤量工程 20:混合工程 30:成形工程 40:乾燥工程 50:焼成工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藪崎 幸広 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 福田 洋一 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 藤井 勇造 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 Fターム(参考) 4G030 AA17 AA36 AA37 BA25 BA33 CA01 CA09 GA11 HA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空隙率18〜40vol%であって、 以下の材料: (1)アルミナ粉末およびジルコニア粉末の少なくとも
    一方; (2)ムライト粉末およびアンダルサイト粉末の少なく
    とも一方;を主体とする無機粉末を焼成してなり、 その無機粉末に占める前記(1)の材料の割合は37wt
    %以上であり、 前記(1)の材料の67wt%以上は150メッシュ以下
    の粉末である耐火物。
  2. 【請求項2】 空隙率18〜40vol%であって、 以下の材料: (1)アルミナ粉末およびジルコニア粉末の少なくとも
    一方; (2)ムライト粉末およびアンダルサイト粉末の少なく
    とも一方; を主体とする無機粉末を焼成してなり、 その無機粉末は150メッシュ以下の粉末を含み、該1
    50メッシュ以下の粉末の55wt%以上は前記(1)の
    材料であり、 前記無機粉末に占める前記(1)の材料の割合は37wt
    %以上であり、 前記(1)の材料の67wt%以上は150メッシュ以下
    の粉末である耐火物。
  3. 【請求項3】 化学組成として、SiO2の割合が23w
    t%以下である請求項1または2に記載の耐火物。
  4. 【請求項4】 空隙率18〜40vol%の耐火物を製造す
    る方法であって、 無機粉末と成形助剤とを含有する調合原料を調製する工
    程と、該調合原料を焼成する工程とを包含し、 前記無機粉末は以下の材料: (1)アルミナ粉末およびジルコニア粉末の少なくとも
    一方; (2)ムライト粉末およびアンダルサイト粉末の少なく
    とも一方; を主体とし、 前記無機粉末に占める前記(1)の材料の割合は37wt
    %以上であり、 前記(1)の材料の67wt%以上は150メッシュ以下
    の粉末であり、 前記成形助剤は多糖類および/またはカオリン系鉱物を
    主体とする耐火物製造方法。
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