JP2002308263A - 正内圧缶用の缶蓋 - Google Patents
正内圧缶用の缶蓋Info
- Publication number
- JP2002308263A JP2002308263A JP2001121075A JP2001121075A JP2002308263A JP 2002308263 A JP2002308263 A JP 2002308263A JP 2001121075 A JP2001121075 A JP 2001121075A JP 2001121075 A JP2001121075 A JP 2001121075A JP 2002308263 A JP2002308263 A JP 2002308263A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- annular groove
- lid
- wall
- buckling
- internal pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Rigid Containers With Two Or More Constituent Elements (AREA)
Abstract
よるバックリングが発生しても、巻締部が破壊されて内
容物を周囲に飛散させるようなブローオフ現象が起きな
いようにする。 【解決手段】 略円板状のパネル部2の外周に形成され
た補強用環状溝3の外縁に続くチャックウォール部4の
上端がフランジカール部5の内縁曲壁部分に連なるよう
に、板厚が0.20〜0.35mmのアルミニウム系金
属板を主材料とした正内圧缶用の缶蓋1において、フラ
ンジカール部5の上面から環状溝3の溝底までの深さC
が、パネル部2の外径PDに対して0.11〜0.16
の比率となり、パネル部2の下面の高さでの環状溝3の
幅Bが、パネル部2の下面から環状溝3の溝底までの深
さHに対して0.85〜1.20の比率であり、環状溝
3の外側壁3aから底壁3bに続く屈曲部の曲率半径R
1よりも、環状溝3の内側壁3cから底壁3bに続く屈
曲部の曲率半径R2の方が小さく形成。
Description
圧缶(陽圧缶)に使用される缶蓋に関し、特に、簡易開
口用の弱化部を備えた缶蓋(イージーオープンエンド)
ではなく、例えば、ボトル型シームレス缶の胴部開口端
に巻締固着される底蓋のような、パネル部に簡易開口用
の弱化部が形成されていない缶蓋の構造に関する。
物とする飲料缶、或いは、内容物の充填時に液体窒素を
滴下した飲料缶のような缶内圧の高い正内圧缶(陽圧
缶)では、缶容器の板厚をある程度まで薄くしても缶内
圧により缶容器の形状を維持できるため、製缶の際の経
済性や省資源の観点から、缶容器の板厚をできるだけ薄
くして使用材料を減らすような努力が従来から図られて
おり、缶容器の端板部となる缶蓋の部分についても同様
な使用材料の削減が図られている。
合、金属板の板厚を薄くすればその分だけ缶蓋の耐圧強
度が低下するのに対して、そのような耐圧強度の低下を
補うために、使用する金属板を高強度化する以外に、例
えば、缶蓋のパネル部外周に形成される強化用の環状溝
(缶内側に窪んだ環状溝)を深くすることでカウンター
シンクデプス(フランジカール部の上面から環状溝の溝
底までの深さ)やパネルハイト(環状溝の下端からパネ
ル部の下面までの高さ)をそれぞれ大きくしたり、ま
た、強化用の環状溝の底壁の曲率半径を小さくしたりす
る等、缶蓋の形状について耐圧性能を高くするための様
々な工夫が従来から行われている(例えば、特開昭60
−183353号公報,特開平2−192837号公
報,実開平2−131931号公報,特開平3−275
443号公報,特表平3−503140号公報等参
照)。
については、従来、強度,耐食性,成形性の面からの観
点から、AL−Mg系のJIS−5052,5082,
5182等のアルミニウム合金板が一般的に用いられて
おり、特にビールや炭酸飲料等を内容物とする内圧の高
い飲料缶の缶蓋では、耐圧強度の観点から高強度のJI
S−5182材が多く用いられているが、そのような缶
蓋用のアルミニウム合金板は、圧延されていることで強
度の異方性が大きくなっており、金属板の圧延方向(圧
延方向に対して0°方向)やそれと直交する方向(圧延
方向に対して90°方向)の強度に比べて、45°方向
(圧延方向に対して45°方向)の強度が小さくなって
いる。これに対して、そのような缶蓋用のアルミニウム
合金板を製造する段階で、強度の異方性をできるだけ少
なくするような工夫が従来から行われている(例えば、
特開平5−5149号公報,特開平9−256097号
公報等参照)。
酸飲料等を内容物とする内圧の高い飲料缶では、高い缶
内圧により缶蓋の周辺部分が反転してパネル部が缶外方
に膨出する所謂バックリングという現象が発生すること
があり、JIS−5182材のような耐圧強度の高いア
ルミニウム合金板を使用して耐圧性の高い形状に缶蓋を
成形しても、何らかの原因(例えば、夏場の自動車内の
ダッシュボードで飲料缶が異常な高温に曝される等)に
よって缶内圧が異常に高くなるとバックリングが発生す
ることがあって、そのようなバックリングが発生する際
には、金属板の強度異方性を少なくしている場合であっ
ても、金属板の圧延方向に対して45°方向からバック
リングが発生し易い傾向のあることには変わりはない。
に内側から作用すると、缶蓋中央のパネル部が徐々に外
方に膨出することで、環状溝の外側壁とチャックウォー
ル部からなるカウンターシンク壁が内方に徐々に撓み、
パネル部の膨出量が限界に達すると、カウンターシンク
壁が上方にめくれ上がるように一気に反転してパネル部
が缶外方に大きく膨出するようにバックリングするが、
そのようなバックリングの発生時に、缶蓋の周辺部分
(チャックウォール部や環状溝やパネル部の外周部分)
に起きる変形が、強度が小さく変形し易いライン、即
ち、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心を通
る仮想線の部分に集中して、図4(A)や図5(A)に
示すように、強度が小さく変形し易いラインを山折りの
屈曲線として缶外方に突出した角出し部10が缶蓋の周
辺部分で瞬間的に形成される。
45°の方向に延びる仮想線の部分に変形が集中して、
該仮想線に沿って缶蓋の周辺部分に鋭く角出し部が形成
される際に、カウンターシンク壁を上方にめくり上げる
反転エネルギーが大きい場合には、即ち、カウンターシ
ンク壁が上方にめくれ上がって反転する時の缶内圧が高
い場合には、この角出し部によって引っ張られるような
状態で、チャックウォール部に続く巻締部の缶蓋側(カ
バーフック)と缶胴側(ボディフック)の係合状態が引
き延ばされ、遂には、図5(B)に示すように、巻締部
が破壊されて缶蓋が缶胴から外れることで内容物が周囲
に飛び散る所謂ブローオフと呼ばれる現象が起きること
がある。
現象は、特に、胴部が絞り・しごき加工等により薄く延
ばされたシームレス缶で、材料合理化のために金属板を
薄肉化した上に巻締部の幅(高さ方向での長さ)を通常
よりも小さくした所謂ミディシームやミニシームと呼ば
れる巻締部を持った缶容器の場合に起こり易く、また、
ボトル型のシームレス缶に底蓋として使用されるような
パネル部に簡易開口用の弱化部が形成されていない缶蓋
において起こり易いものである。すなわち、イージーオ
ープンエンドと言われる簡易開口蓋の場合には、バック
リングの発生により角出し部が形成されると、巻締部が
破壊されるよりも前に、簡易開口のために形成された弱
化部が先に破壊される虞があるからである。
(耐バックリング性)を高めるための形状(強化用の環
状溝を深くする等)について従来から様々な工夫が行わ
れているが、そのように耐圧性の高い形状としてバック
リングが発生し難いようにすることで、一旦バックリン
グが発生した時には反転エネルギー(カウンターシンク
壁を反転させるエネルギー)が大きなものとなってブロ
ーオフが起こり易くなり、一方、ブローオフが起き難い
ようにバックリング時の反転エネルギーが小さくなるよ
うな形状にすることは、簡単にバックリングが発生し易
くなる(即ち、缶蓋の耐バックリング性を低下させる)
ことでもあるから、両方のバランスをどのようにとるか
適宜に考えることが必要である。
ング性)を確保できるようにした上で、バックリングが
発生して角出し部が形成された時でも直ちにブローオフ
が起きないように缶蓋の形状を設定したとしても、最初
のバックリングが発生した後で缶内圧が更に高くなり続
けるような場合には、最初のバックリングにより形成さ
れた角出し部以外の箇所で新たな角出し部を形成するよ
うに2回目のバックリングを発生させない限り、高くな
った缶内圧により最初のバックリングで形成された角出
し部によって引っ張られる状態で、チャックウォール部
に続く巻締部の係合状態が引き延ばされてブローオフが
起きることになる。
生する場合、既に述べたように、缶蓋で強度が小さく変
形し易いラインに沿って、即ち、金属板の圧延方向と4
5°の角度で缶蓋の中心を通る仮想線(対称的な2本の
仮想線)の一方に沿って、缶蓋の周辺部分に一つの角出
し部が形成されるのであるが、そのような角出し部の形
成に連れて、この角出し部を頂点として中央のパネル部
が膨出するように変形すると共に、角出し部で最も大き
く変形し角出し部から離れる程変形の度合い徐々に小さ
くなるように、パネル部の外周で円周方向に延びる環状
溝の深さが浅くなる(カウンターシンク壁がめくれる)
ように変形することになる。
し部を頂点とした環状溝の変形が、金属板の圧延方向と
45°の角度で缶蓋の中心を通る仮想線の他方を横切る
位置にまで延びることにより、本来はこの他方の仮想線
(強度が小さく変形し易いライン)に沿って角出し部を
形成するようにバックリングが発生し易いのに対して、
最初のバックリングによる環状溝の変形がリブ効果とし
て働くことで、他方の仮想線に沿って角出し部を形成す
るような2回目のバックリングの発生が抑制されること
となり、その結果、2回目のバックリングが発生し難く
なることで、再び高くなった缶内圧により最初のバック
リングで形成された角出し部に引っ張られる状態でブロ
ーオフが起きる虞がある。
とするものであり、具体的には、缶内圧の高い正内圧缶
用の缶蓋について、缶蓋の金属組成や巻締部の仕様を特
に変更するようなことなく、必要な耐圧性が確保できる
形状とした上で、缶内圧が異常に上昇してバックリング
が発生しても、巻締部が破壊されて内容物を周囲に飛散
させるようなブローオフ現象が起きることのないように
することを課題とするものである。
課題を解決するために、略円板状のパネル部の外周に補
強用の環状溝が形成され、下方に窪んだ環状溝の外縁に
続いてチャックウォール部が外方に傾斜して立ち上が
り、チャックウォール部の上端がフランジカール部の内
縁曲壁部分に連なるように、板厚が0.20〜0.35
mmに圧延されたアルミニウム系金属板を主材料として
一体成形されている正内圧缶用の缶蓋において、フラン
ジカール部の上面から環状溝の溝底までの深さが、パネ
ル部の外径に対して0.11〜0.16の比率となり、
パネル部の下面の高さでの環状溝の幅が、パネル部の下
面から環状溝の溝底までの深さに対して0.85〜1.
20の比率となるように形成すると共に、環状溝の外側
壁から底壁に続く屈曲部の曲率半径よりも、環状溝の内
側壁から底壁に続く屈曲部の曲率半径の方が小さくなる
ように形成することを特徴とするものである。
バックリングの発生により、金属板の圧延方向と45°
の角度で缶蓋の中心を通る2本の仮想線の一方に沿って
角出し部が形成される時に、その反転エネルギーによっ
て直ちにブローオフを起こすようなことはない。また、
その際、角出し部を頂点として缶蓋の中心を通るパネル
部の傾斜角度、即ち、図5(A)中に符号θで示すよう
な、角出し部の頂点と缶蓋の中心を通るラインに沿った
断面でのパネル部の傾斜角度は、12〜18°の範囲と
なっており、角出し部を頂点としたカウンターシンク壁
のめくれによる環状溝の変形は、上方から見て、金属板
の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心を通る2本の仮
想線の他方を横切る位置にまで延びることはない。
後で缶内圧が更に高くなっても、最初のバックリングで
の缶蓋の変形によるリブ効果に抑制されるようなことな
く、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心を通
る2本の仮想線の他方に沿って角出し部を形成するよう
に、2回目のバックリングが容易に発生することから、
この2回目のバックリングによる缶内ヘッドスペースの
容積拡大により缶内圧が低下することで、最初のバック
リングで形成された角出し部に引っ張られる状態で巻締
部が破壊されてブローオフが起きることはない。
の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明の缶蓋の一実施形態について、図1は、巻
締め前の缶蓋全体の上面形状を示し、図2は、巻締め前
の缶蓋のパネル部からフランジカール部までの部分の断
面形状を示し、図3は、最初のバックリングにより変形
した巻締め後の缶蓋の上面形状を示すものである。ま
た、図4は、(A)最初のバックリングと(B)2回目
以降のバックリングの状態をそれぞれ示し、図5は、
(A)バックリングと(B)ブローオフの状態をそれぞ
れ示し、図6は、比較例となる各缶蓋(A),(B),
(C)の周辺部分の断面形状を示すものである。
部と胴部が一体成形されたボトル型シームレス缶のよう
に、炭酸飲料やビール等を内容物とする正内圧缶(陽圧
缶)で、絞り・しごき加工等により薄く延ばされた胴部
を有する缶体に対して、その胴部開口端に底蓋(イージ
ーオープンエンドではない缶端板部)として巻締固着さ
れるものであり、従来から知られた成形金型によるプレ
ス成形によって缶蓋用の金属板材から一体成形されるも
のである。
板厚が0.20〜0.35mmに圧延されたアルミニウ
ムやアルミニウム合金(5052材や5182材等)の
金属板を主材料として、その少なくとも一方の面(缶内
面側)に樹脂塗料の塗装や熱可塑性樹脂フィルムのラミ
ネートによる保護被膜を施したような、製缶分野で従来
から一般的に使用されている缶蓋用のアルミニウム系金
属板材である。
る缶蓋では、図1および図2に示すように、缶蓋1の中
央部分である略円板状のパネル部2の外周に、下方(缶
内側)に窪むように補強用の環状溝3が形成され、環状
溝3と僅かに間隔を置いたパネル部2の周辺部分に補強
用の環状ビード2aが形成され、環状溝3の外側壁3a
から連続してチャックウォール部4が外方に傾斜して立
ち上がり、チャックウォール部4の上端は曲壁部分を介
してフランジカール部5に連なっている。
ていないが、フランジカール部5の裏面側に有機高分子
製のシール剤が塗布されてから、缶体(缶本体)の胴部
開口端に形成されたフランジ部の上にフランジカール部
5が載置されて、缶体のフランジ部とフランジカール部
5が二重巻締めされることとなる。
金属板を材料として一体成形されていることから、強度
の異方性が大きくなっており、図1に示すように、金属
板の圧延方向(圧延方向に対して0°方向)Yやそれと
直交する方向(圧延方向に対して90°方向)Xの強度
に比べて、圧延方向に対して45°の方向の強度が小さ
くなっていて、特に、金属板の圧延方向Yと45°の角
度で缶蓋の中心Oを通る2本の仮想線L1,L2の部分
が、最も強度が小さく変形し易いラインとなっている。
蓋)として使用した場合、缶内圧が異常に高くなること
で環状溝の外側壁とチャックウォール部によるカウンタ
ーシンク壁が上方にめくれ上がるように反転してパネル
部が缶外方に大きく膨出するようにバックリングが発生
する際に、缶蓋の周辺部分(チャックウォール部や環状
溝やパネル部の外周部分)に起きる変形が、強度が小さ
く変形し易いライン、即ち、金属板の圧延方向と45°
の角度で缶蓋の中心Oを通る2本の仮想線L1,L2の
何れかに集中して、図3および図4(A)に示すよう
に、先ず、缶蓋1の周辺部分の一箇所で、強度が小さく
変形し易いラインの何れか(図3に示したものでは仮想
線L1のライン)を山折りの屈曲線として缶外方に突出
した角出し部10が瞬間的に形成される。
て、金属板の圧延方向と45°の方向に延びる仮想線L
1,L2の何れかに沿って缶蓋の周辺部分の一箇所に鋭
く角出し部10が形成される際に、従来の缶蓋では、既
に図4(A),(B)によって説明したように、カウン
ターシンク壁(環状溝の外側壁とチャックウォール部)
を上方にめくり上げる反転エネルギーが大きい場合に
は、角出し部の形成に連れて角出し部に引っ張られる状
態でブローオフが起きることがある。
ーオフが起きなくても、その後で缶内圧が更に高くなっ
た時に、最初のバックリングによる角出し部を頂点とし
たカウンターシンク壁のめくれによる環状溝の変形が、
金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心Oを通る
他方の仮想線L2を横切る位置にまで延びて、そのよう
な缶蓋の変形がリブ効果として働くことで、他方の仮想
線L2に沿って角出し部を形成するような2回目のバッ
クリングの発生が抑制され、その結果、2回目のバック
リングが発生しないことで、最初のバックリングで形成
された角出し部によって引っ張られる状態でブローオフ
が起きることがある。
図2に示すように、カウンターシンクデプスC(フラン
ジカール部5の上面から環状溝3の溝底までの深さ)
が、パネル部2の外径PDに対して0.11〜0.16
の比率となり、且つ、パネル部2の下面の高さでの環状
溝3の幅Bが、パネル部2の下面から環状溝3の溝底ま
での深さHに対して0.85〜1.20の比率となるよ
うに形成されていると共に、環状溝3の外側壁3aから
底壁3bに続く屈曲部の曲率半径R1よりも、環状溝3
の内側壁3cから底壁3bに続く屈曲部の曲率半径R2
の方が小さくなるように形成されている。
ンターシンクデプスCの比率が大きくなる程、最初のバ
ックリングが発生した時に、反転エネルギーが大きくな
って直ちにブローオフが起き易くなるため、少なくと
も、パネル部2の外径PDに対するカウンターシンクデ
プスCの比率は0.16以下としておくことが必要であ
る。すなわち、バックリング時の反転エネルギーの大き
さについては、環状溝3の断面形状も関係するため、そ
れだけでは充分とは言えないが、必要条件の一つではあ
る。
るカウンターシンクデプスCの比率を小さく(浅く)し
過ぎた場合には、缶の落下等による衝撃でバルジ変形
(膨出変形)が起きると、巻締部よりも外方にパネル部
が膨出して、巻締部を接地させた正置姿勢では安定しな
くなるという問題を生じ易くなる。そのため、本実施形
態の缶蓋1では、ブローオフの防止とバルジ変形の両方
の観点から、パネル部2の外径PDに対するカウンター
シンクデプスCの比率を0.11〜0.16としてい
る。
にバックリングが発生した時に、図3に示すように、金
属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心Oを通る一
方の仮想線L1に沿って角出し部10を形成するように
缶蓋が変形する(カウンターシンク壁がめくれ上げる)
が、そのときの角出し部10を頂点とする環状溝3の変
形は、上方から見て、金属板の圧延方向と45°の角度
で缶蓋の中心Oを通る他方の仮想線L2を横切る位置に
まで延びるようなことはない。なお、この最初にバック
リングにより形成される角出し部10を頂点として缶蓋
の中心Oを通るパネル部2の傾斜角度(ラインL1に沿
った断面でのパネル部2の傾斜角度)、即ち、図5
(A)中に符号θで示す角度に相当する角度は、12〜
18°の範囲となっている。
ば、一般的に必要な耐圧性(保証耐圧である617kP
aの缶内圧ではバックリングを発生させないような耐バ
ックリング性)を充分に確保することができると共に、
最初にバックリングが発生した時に、反転エネルギーが
大きくなり過ぎるようなことがなく、角出し部の形成に
連れて直ちにブローオフが起きるのを回避することがで
きる。
初にバックリングでの缶蓋の変形によるリブ効果によっ
て2回目のバックリングの発生が抑制されるというよう
なことはなく、2回目のバックリングを容易に発生させ
ることができ、そのように2回目のバックリングを容易
に発生させることで、ヘッドスペースの容積を拡大し
て、巻締部の係合部に作用する引張応力の分散化を図る
ことができて、最初のバックリングで形成された角出し
部により引っ張られる状態でブローオフが起きるのを回
避することができる。
5182−H39アルミニウム合金材で、板厚が0.3
1mm、カール外径(巻締前の缶蓋の直径)が68.3
mm、チャックウォール部の傾斜角が13°、環状ビー
ドの高さが0.5mmであるという点では共通するが、
以下のような点で形状が異なる実施例と各比較例の缶蓋
を使用して、何れも、3004−H191アルミニウム
合金材による450mlボトル型缶の缶胴の開口端部
(缶胴フランジ壁の板厚が0.20mm)に対して、缶
蓋を底蓋として巻締部の幅(高さ方向での長さ)が2.
75mm(ミディシーム)となるように二重巻締した缶
容器により、以下のようなブローオフ試験と耐圧試験を
それぞれ行って、その結果を比較検討した。
の各部分の寸法については、何れも、カウンターシンク
デプス(フランジカール部の上面から環状溝の溝底まで
の深さ)をC、パネル部の外径をPD、パネルハイト
(環状溝の底壁の下端からパネル部の下面までの高さ)
をPH、パネル部の下面の高さでの環状溝の幅をB、パ
ネル部の下面から環状溝の溝底までの深さ(測り易いパ
ネルハイトPHを実測して、それから板厚分をマイナス
する)をHとして示している。
り、Cが6.85mm、PDが54.6mm(カウンタ
ーシンクデプスとパネル部の外径の比率C/PDは約
0.13)、PHが2.48mm、環状溝における幅と
深さの比率B/Hが0.89であって、環状溝の外側壁
から底壁に続く屈曲部の曲率半径R1が0.55mm、
環状溝の内側壁から底壁に続く屈曲部の曲率半径R2が
0.40mm、環状溝の底壁(上面側)の曲率半径R3
が1.20mmとなっている缶蓋。
のであり、Cが6.90mm、PDが55.6mm(カ
ウンターシンクデプスとパネル部の外径の比率C/PD
は約0.12)、PHが2.28mm、環状溝の幅と深
さの比率B/Hが0.72であって、環状溝の外側壁か
ら底壁に続く屈曲部の曲率半径(R1)が0.35m
m、環状溝の内側壁から底壁に続く屈曲部の曲率半径
(R2)が0.55mm(両方の屈曲部が直接連続して
底壁はない)となっている缶蓋。
のであり、Cが6.85mm、PDが55.1mm(カ
ウンターシンクデプスとパネル部の外径の比率C/PD
は約0.12)、PHが2.35mm、環状溝の幅と深
さの比率B/Hが0.80であって、環状溝の外側壁か
ら底壁に続く屈曲部の曲率半径(R1)が0.45m
m、環状溝の内側壁から底壁に続く屈曲部の曲率半径
(R2)が0.45mm、環状溝の底壁(上面側)の曲
率半径(R3)が0.90mmとなっている缶蓋。
のであり、Cが6.85mm、PDが53.1mm(カ
ウンターシンクデプスとパネル部の外径の比率C/PD
は約0.13)、PHが2.45mm、環状溝の幅と深
さの比率B/Hが1.26であって、環状溝の外側壁か
ら底壁に続く屈曲部の曲率半径(R1)が0.55m
m、環状溝の内側壁から底壁に続く屈曲部の曲率半径
(R2)が0.40mm、環状溝の底壁(上面側)の曲
率半径(R3)が2.90mmとなっている缶蓋。
363kPa(3.4〜3.7kgf/cm2 )となる
ように缶容器に充填してキャッピングし、60℃の恒温
室で6時間かけていく間の缶蓋のバックリング状況と、
巻締部の外れ状況について目視で観察した。なお、缶蓋
のバックリング状況については、最初のバックリング状
況と、最初にバックリングした後の変化する様子を観察
した。実施例と各比較例1〜3のサンプルは何れも10
個ずつである。
ト缶をクランプセットし、バックリングするまでエアー
で加圧し、最初のバックリングが発生して角出し部が形
成される時の圧力を調べた。なお、最初のバックリング
でブローオフしたものについては、その直前の内圧を測
定した。実施例と各比較例1〜3の何れも10個ずつの
サンプルの平均値を取った。圧力は、触圧内圧計で測定
しガス圧測定器との差圧を換算している。
ついては、以下の表1に示す通りである。
例と各比較例1〜3については、何れも、カウンターシ
ンクデプスとパネル部の外径の比率C/PDが0.11
〜0.16の範囲にあるものの、比較例1では、高い缶
内圧(804kPa)になるまで最初のバックリングが
発生せず、最初のバックリング時に、反転エネルギーが
大きいために殆どのものでブローオフが起きており、僅
かにブローオフしなかったもの(1個)についても、そ
の後の缶内圧の上昇により、2回目のバックリングを発
生させることなく、最初のバックリングによる角出し部
の近傍からブローオフが起きている。
(775kPa)になるまで最初のバックリングが発生
せず、最初のバックリング時に、比較的反転エネルギー
が大きいために半数近く(10個のうちの4個)でブロ
ーオフが起きている。なお、最初のバックリング時にブ
ローオフしなかったものについては、その後で缶内圧が
高くなっても、2回目のバックリングが全周に発生して
いることで、ブローオフは起きていない。
いて、最初のバックリング時にブローオフは起きず、ま
た、その後で缶内圧が高くなっても、2回目のバックリ
ングが全周に発生して、ブローオフは全く起きていない
ものの、最初のバックリング時には、一般的に必要とさ
れている保証耐圧である617kPa(6.3kgf/
cm2 )以下の低い缶内圧(615kPa)でバックリ
ングが発生していることから、充分な耐圧性は確保され
ていない。
般的に必要とされている保証耐圧の617kPa(6.
3kgf/cm2 )を越えた缶内圧(735kPa)で
最初のバックリングが発生していることから、充分な耐
圧性は確保されており、しかも、最初のバックリング時
にはブローオフが全く起きておらず、さらに、その後で
缶内圧が高くなっても、全てのサンプルで2回目のバッ
クリングが全周(4点乃至5点で角出し)に発生して、
ブローオフは全く起きていない。
から底壁に続く屈曲部の曲率半径R1よりも、環状溝の
内側壁から底壁に続く屈曲部の曲率半径R2の方が小さ
くなるように形成されていることで、バックリング時の
反転エネルギーが大きくなり過ぎるのを防ぐことがで
き、しかも、シーマー(缶蓋巻締機)により缶蓋を缶本
体に巻締固着する工程において、スタッカーから積み重
ねられた缶蓋をセパレーターナイフとセパレーターロー
ルにより一枚ずつ取り出して供給する所謂蓋切りが行わ
れる際に、缶蓋同士のシャッフル性(積み重ねられた缶
蓋同士の横ずれによる蓋切れ、流れ性)を良好なものと
することができる。
説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限
定されるものではなく、例えば、缶蓋のパネル部に上方
に突出して形成した補強ビードについては、下方に突出
して形成しても或いは省略しても良く、また、その補強
ビードの凹凸を使ってアルコール飲料かノンアルコール
飲料かを識別させるような内容物識別機能を持たせるよ
うにしても良く、また、環状溝の底壁については、実施
例に示したような曲率半径の曲面に限られるものではな
く、実質的に平坦な形状であっても良い等、適宜設計変
更可能なものであることは言うまでもない。
ば、缶蓋の材料や巻締部の仕様を特に変更することな
く、缶蓋に必要な耐圧性を確保した上で、缶内圧が異常
に上昇して最初のバックリングが発生しても、巻締部が
破壊されて内容物を周囲に飛散させるようなブローオフ
現象が起きるのを防止することができると共に、最初の
バックリングが発生した後で更に缶内圧が上昇しても、
最初のバックリングの際の缶蓋の変形によるリブ効果に
より抑制されることなく、2回目のバックリングを容易
に発生させることができて、最初のバックリングによる
角出し部の近傍でブローオフ現象が起きるのを防止する
ことができる。
体を示す上面図。
の缶蓋のパネル部からフランジカール部までの部分を示
す縦断面図。
の缶蓋の最初のバックリングにより変形した状態を示す
上面図。
角出しにより最初にバックリングした状態と(B)全周
の角出しにより2回目にバックリングした状態をそれぞ
れ示す斜視図。
態について、(A)バックリングした状態を示す縦断面
図、および(B)ブローオフした状態を示す側面図。
ついて、缶蓋の周辺部分の形状を示す断面説明図。
での深さ B パネル部の下面の高さでの環状溝の幅 H パネル部の下面から環状溝の溝底までの深さ PD パネル部の外径 R1 環状溝の外側壁から底壁に続く屈曲部の曲率
半径 R2 環状溝の内側壁から底壁に続く屈曲部の曲率
半径
Claims (2)
- 【請求項1】 略円板状のパネル部の外周に補強用の環
状溝が形成され、下方に窪んだ環状溝の外縁に続いてチ
ャックウォール部が外方に傾斜して立ち上がり、チャッ
クウォール部の上端がフランジカール部の内縁曲壁部分
に連なるように、板厚が0.20〜0.35mmに圧延
されたアルミニウム系金属板を主材料として一体成形さ
れている正内圧缶用の缶蓋において、フランジカール部
の上面から環状溝の溝底までの深さが、パネル部の外径
に対して0.11〜0.16の比率となり、パネル部の
下面の高さでの環状溝の幅が、パネル部の下面から環状
溝の溝底までの深さに対して0.85〜1.20の比率
となるように形成されていると共に、環状溝の外側壁か
ら底壁に続く屈曲部の曲率半径よりも、環状溝の内側壁
から底壁に続く屈曲部の曲率半径の方が小さくなるよう
に形成されていることを特徴とする正内圧缶用の缶蓋。 - 【請求項2】 補強用の環状溝と僅かに間隔を置いて、
パネル部の周辺部分に補強用の環状ビードが形成されて
いることを特徴とする請求項1に記載の正内圧缶用の缶
蓋。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001121075A JP4666330B2 (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 正内圧缶用の缶蓋 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001121075A JP4666330B2 (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 正内圧缶用の缶蓋 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002308263A true JP2002308263A (ja) | 2002-10-23 |
JP4666330B2 JP4666330B2 (ja) | 2011-04-06 |
Family
ID=18971011
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001121075A Expired - Fee Related JP4666330B2 (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 正内圧缶用の缶蓋 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4666330B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008273537A (ja) * | 2007-04-25 | 2008-11-13 | Daiwa Can Co Ltd | 包装容器用蓋 |
US7673768B2 (en) | 1999-12-08 | 2010-03-09 | Metal Container Corporation | Can lid closure |
US8490825B2 (en) | 1999-12-08 | 2013-07-23 | Metal Container Corporation | Can lid closure and method of joining a can lid closure to a can body |
WO2019087523A1 (ja) * | 2017-10-30 | 2019-05-09 | 東洋製罐株式会社 | 缶容器 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0182134U (ja) * | 1987-11-20 | 1989-06-01 | ||
JPH02131931U (ja) * | 1989-04-06 | 1990-11-01 | ||
JPH09254975A (ja) * | 1996-03-26 | 1997-09-30 | Nkk Corp | イージーオープン缶蓋 |
JPH11505791A (ja) * | 1995-05-24 | 1999-05-25 | カーノードメタルボックス ナームローゼ フェンノートシャップ | 缶端および缶端を缶体へ固定する方法 |
-
2001
- 2001-04-19 JP JP2001121075A patent/JP4666330B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0182134U (ja) * | 1987-11-20 | 1989-06-01 | ||
JPH02131931U (ja) * | 1989-04-06 | 1990-11-01 | ||
JPH11505791A (ja) * | 1995-05-24 | 1999-05-25 | カーノードメタルボックス ナームローゼ フェンノートシャップ | 缶端および缶端を缶体へ固定する方法 |
JPH09254975A (ja) * | 1996-03-26 | 1997-09-30 | Nkk Corp | イージーオープン缶蓋 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7673768B2 (en) | 1999-12-08 | 2010-03-09 | Metal Container Corporation | Can lid closure |
US8490825B2 (en) | 1999-12-08 | 2013-07-23 | Metal Container Corporation | Can lid closure and method of joining a can lid closure to a can body |
JP2008273537A (ja) * | 2007-04-25 | 2008-11-13 | Daiwa Can Co Ltd | 包装容器用蓋 |
WO2019087523A1 (ja) * | 2017-10-30 | 2019-05-09 | 東洋製罐株式会社 | 缶容器 |
JP2019081566A (ja) * | 2017-10-30 | 2019-05-30 | 東洋製罐株式会社 | 缶容器 |
JP7238254B2 (ja) | 2017-10-30 | 2023-03-14 | 東洋製罐株式会社 | 缶容器 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4666330B2 (ja) | 2011-04-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5597333B2 (ja) | 金属ボトル缶およびその製造方法 | |
CA2472295C (en) | Metallic beverage can end with improved chuck wall and countersink | |
TW448120B (en) | Metal container with thread | |
JP6515952B2 (ja) | ボトル缶、キャップ付きボトル缶、及びボトル缶の製造方法 | |
JP2012192984A5 (ja) | ||
JP2003252321A (ja) | ボトル缶の口部構造 | |
JP2002308263A (ja) | 正内圧缶用の缶蓋 | |
JP2002239662A (ja) | 缶 蓋 | |
JP2000109068A (ja) | 正内圧缶用缶蓋 | |
JP3796091B2 (ja) | 開口容易缶蓋およびその製造方法 | |
JP2007269363A (ja) | キャップ、キャップ付ボトル缶及びキャップ製造方法 | |
JP7494860B2 (ja) | ボトル缶およびボトル容器 | |
JP2018103254A (ja) | ボトル缶、キャップ付きボトル缶およびその製造方法 | |
JP2001233333A (ja) | ネジ付き缶 | |
JPH0211292Y2 (ja) | ||
JP2001063715A (ja) | ネジ付き缶 | |
JP4074178B2 (ja) | ボトル缶及びキャップ付きボトル缶 | |
JP4961253B2 (ja) | 包装容器用蓋 | |
JPH08258839A (ja) | 缶 蓋 | |
JPS591360A (ja) | 密封容器およびその製造方法 | |
JPH11334734A (ja) | 缶 蓋 | |
JP2006176150A (ja) | 缶容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080416 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101014 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101029 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110105 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110105 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140121 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |