JP2002307715A - インクジェット用インク吸収体の成形方法、該成形方法により形成されるインク吸収体、該インク吸収体を用いたインクタンク、インクジェットカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクタンクの製造方法 - Google Patents

インクジェット用インク吸収体の成形方法、該成形方法により形成されるインク吸収体、該インク吸収体を用いたインクタンク、インクジェットカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクタンクの製造方法

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JP2002307715A
JP2002307715A JP2001111349A JP2001111349A JP2002307715A JP 2002307715 A JP2002307715 A JP 2002307715A JP 2001111349 A JP2001111349 A JP 2001111349A JP 2001111349 A JP2001111349 A JP 2001111349A JP 2002307715 A JP2002307715 A JP 2002307715A
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ink
ink absorber
fiber
fiber laminate
absorber
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JP2001111349A
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Eiichiro Shimizu
英一郎 清水
Hajime Yamamoto
肇 山本
Kenta Udagawa
健太 宇田川
Kenji Kitahata
健二 北畠
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維密度が低く、均一で、しかも厚みの厚い
インク吸収体を成形する。 【解決手段】 加熱炉10はその内部に、熱風発生ユニ
ット11と、熱風発生ユニット11の上方に着脱可能に
設けられた型ユニット20とを有する。型ユニット20
は、上型22と下型21とを有し、この間に繊維積層体
50が設置される。熱風発生ユニット11は、繊維積層
体50に加熱処理を行うための熱風を下から吹き上げ
る。繊維積層体50の加熱処理の際は、繊維積層体50
は下型21から浮上し、上型22で押圧されない程度に
保持される。加熱処理の後、上型22が降下され、加熱
されている繊維積層体50は所望の厚さに圧縮される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の繊維からな
る繊維体を加工することで形成されるインクジェット用
のインク吸収体に関し、特に低密度でかつ厚みの厚いイ
ンクジェット用インク吸収体の成形方法、該成形方法に
うより形成されるインク吸収体、該インク吸収体を用い
たインクタンク、インクジェットカートリッジ、インク
ジェット記録装置、及び該インクタンクの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維からなるインク吸収体の成形
方法としては、大きく分けてニードルパンチング法と熱
成形法とが一般に用いられている。これらの方法は、独
立して用いられる場合もあるし、組み合わせて用いられ
る場合もある。
【0003】熱成形法とは、融点の異なる複数種の繊維
材料の積層体に所望の熱を加え相対的に融点の低い繊維
(接着材)を溶融させ、これにより、相対的に融点の高
い繊維(骨格材)同士の交点を固定して、インク吸収体
を得る方法である。つまり、熱成形法においては、相対
的に融点の高い繊維で骨格を構成し、相対的に融点の低
い繊維は接着剤としての機能を有する。さらにこの熱成
形方法には、代表的な方法として、熱風コンベア炉式
と、型成形式とがある。以下に、上記二つの方法につい
てさらに説明する。
【0004】(1)熱風コンベア炉式 図16は、熱成形法に用いられる従来の熱風コンベア炉
の概略断面図である。図16に示すように、この熱風コ
ンベア炉500は、図示右方から供給される繊維積層体
600を上下方向(繊維積層方向)から挟んで図示左方
へ移送させるための、一対のメッシュベルト510、5
20を有する。繊維積層体600は、カード機(不図
示)あるいはクロスレイヤー機(不図示)等で作製され
繊維方向が略揃ったウェブを積層したものであり、その
用途に応じて所望の目付け(単位面積当たりの重量)と
なっている。また、繊維積層体600は、融点の異なる
複数種の繊維材料から構成されている。
【0005】メッシュベルト510、520の間隔h
は、成形すべきインク吸収体650の厚みと略等しく、
必要に応じて自由に設定可能である。熱風コンベア炉5
00に供給される繊維積層体600の厚みHは、メッシ
ュベルト510、520の間隔hよりも大きく、熱風コ
ンベア炉500内に供給された繊維積層体500は、メ
ッシュベルト510、520により厚さhまで一気に圧
縮され、圧縮された状態で加熱成形され、インク吸収体
650となる。
【0006】繊維積層体600の加熱成形のために、熱
風コンベア炉500内には、熱風を吹き出す送風チャン
バ530と、送風チャンバ530から送風された熱風を
吸い込む受風チャンバ540とが設けられている。送風
チャンバ530は、熱風コンベア炉500内を移送され
る繊維積層体600の上方に配置され、給気口531か
ら吹き出された熱風を、複数の開口532を通って繊維
積層体600に吹き付ける構成となっている。受風チャ
ンバ540は、繊維積層体600の下方に配置され、繊
維積層体600を通過した熱風を、複数の開口542を
介して吸引し、吸引口541から外部に排気する構成と
なっている。
【0007】熱風コンベア炉500内に導入された繊維
積層体600は、送風チャンバ530から吹き付けられ
る熱風により所望の温度まで加熱される。繊維積層体6
00は前述の通り、融点の異なる複数種の繊維材料から
構成されているので、熱風の温度を相対的に融点の低い
繊維の融点より高く、相対的に融点の高い繊維の融点よ
り低い温度に設定することで、相対的に融点の低い繊維
を溶融させ、相対的に融点の高い繊維同士の交点を接着
材(相対的に融点の低い繊維)により固定して、所望の
厚みのインク吸収体が得られる。
【0008】(2)型成形式 図17は、従来の型成形式によるインク吸収体の成形方
法を説明する図である。
【0009】繊維積層体610は、熱風コンベア炉式で
用いたものと同様の繊維積層体をブロック状に切り出し
たものであり、図17(a)に示すように、ある一方向
に略揃った繊維方向aを有し、繊維方向aと直交する方
向に積層方向bを有するものとする。この繊維積層体6
10をアルミ製の型700に挿入し、図17(b)、
(c)に示すように、蓋710をする。この状態では、
繊維積層体610は、積層方向bに圧縮されて型700
内に詰め込まれている。そして、この状態で型700を
前述の温度で加熱することにより、ブロック状のインク
吸収体を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
インク吸収体の作製方法には、それぞれ以下に述べるよ
うな課題がある。
【0011】ニードルパンチング法では、繊維をフェル
ティング針で物理的に絡ませるため、得られるインク吸
収体は、繊維密度が高く、硬さが硬く、しかも厚みの薄
いシート状のインク吸収体となってしまう。従って、繊
維密度が低く、柔らかく、厚いインク吸収体を得ること
が困難であった。
【0012】熱風コンベア炉式では、繊維積層体の上方
から熱風を吹き付けているため、下方よりも上方の繊維
のほうが軟化し易く、しかも、繊維の自重と上方より吹
き付ける熱風の風圧によ繊維積層体が潰されてしまうた
め、下方の繊維密度よりも上方の繊維密度が高くなり、
全体として均一なインク吸収体を得ることが困難であっ
た。この問題を回避するためには、熱風の風速を小さく
すればよいが、熱風の風速を小さくすると熱風が繊維積
層体を通過することができなくなってしまい、繊維積層
体の下方がほとんど加熱されないという問題が生じてし
まう。
【0013】従って、熱コンベア炉式でもニードルパン
チング法と同様に、相対的に繊維密度が高く、硬い、シ
ート状の薄物インク吸収体は容易に得られるが、繊維密
度が低く、柔らかく、厚い均一なインク吸収体を得るこ
とは困難であった。また、繊維積層体はメッシュコンベ
アによって圧縮されつつ加熱されるので、インク吸収体
の表層にメッシュコンベアの跡(凹凸形状)が転写され
てしまうという課題もあった。
【0014】型成形式によってインク吸収体を成形する
場合の課題について図18を参照して説明する。図18
は、型成形式によるインク吸収体の製造の際の、型の内
部の状態を示す図である。
【0015】繊維積層体610が詰め込まれ、蓋710
により内部が密閉された型700を加熱し始めると、図
18(a)に示すように、繊維積層体610は、その周
辺部から徐々に重力方向に沿って潰れてくる。これは、
繊維積層体610を構成する繊維が、ポリエチレン(P
E)とポリエチレンテレフタレート(PET)との混紡
繊維の組み合わせのように、融点が大きく異なる場合に
は顕著ではないが、オレフィン材料のみから選択した場
合には融点差が比較的少ないため、熱が型700の周り
から伝達されることで、熱の影響が繊維積層体610の
周囲にまず現れるためである。
【0016】型700を加熱し続けると、熱は繊維積層
体610の内部まで伝わり、図18(b)に示すよう
に、繊維積層体610は底面全体が潰れた状態となる。
このとき繊維積層体610は、繊維密度状態が重力方向
下方と上方とで異なっている。すなわち、繊維積層体6
10の下方側は自重の影響を受けるため繊維密度が高
く、上方側は下方に比べて繊維密度が低い状態となる。
その結果、繊維積層体610には高密度領域610bと
低密度領域610aとが存在し、不本意な密度勾配を生
じてしまう。なお、図18(b)では、図示を簡略化す
るために、繊維積層体610を低密度領域610aと高
密度領域610bとの二つの領域に分けて図示したが、
実際には低密度領域610aから高密度領域610bへ
と連続した密度勾配が生じている。
【0017】以上述べたように従来の型成形式では、重
力の影響による密度勾配が生じてしまうので、熱風コン
ベア炉式によるものと同様に、相対的に繊維密度が高
く、硬い、シート状のインク吸収体は容易に得ることが
できるが、繊維密度が低く、柔らかく、厚い均一なイン
ク吸収体を得ることが困難であった。
【0018】そして、このような粗密分布を持った吸収
体をインクジェット用インクタンクに用いた場合には以
下のような課題があった。局所的に密度の高い部分がイ
ンク吸収体中に存在すると、その部分は他の部分よりイ
ンク保持力(毛細管力)が高いので不用意なインク残り
が発生し、インク使用効率の悪化の恐れがあった。
【0019】また、落下等の衝撃を受けた場合には、局
所的に繊維密度の低い部分があると、その部分はインク
保持力(毛細管力)が弱いため、インクがインク吸収体
から飛び出しインク漏れを起こす恐れがあった。この
他、使用途中に落下等の衝撃を受けると、吸収体内のイ
ンクが移動し、一度インクが導出され、周囲にインクの
ない局所的に密度の高い部分のみにインクが移動してし
まうと、その部分にインクが残ってしまい、インク使用
効率の悪化の恐れもあった。
【0020】特に、近年のインクジェット記録装置にお
いては、ランニングコストの低減等の観点から、インク
タンクに収容されるインク量が増大傾向にある。これに
伴ってインクを収容するインクタンク、インク吸収体も
大きくする必要がある。しかしながら上述のように従来
の方法ではインクジェットに適用可能な均一で厚いイン
ク吸収体を得ることができないため、薄い吸収体を複数
個インクタンク内へ挿入し、部品点数の増大やそれに伴
うコストUP等の課題があった。
【0021】また、繊維積層体610の型700に接触
している面には溶融した繊維(接着材としての機能を有
する、相対的に融点の低い繊維)が型700の内面に沿
って平面状に広がるので、内部に比べて開口率の低いス
キン層が発生する。このスキン層は、他の部分に比べて
繊維密度が高く、すなわち、毛細管力が高くインクの保
持力が強いため、インク残りを増大させインクの使用効
率を低下させる等の不具合を発生するので、スキン層を
剥離する工程が必要となり、さらに材料歩留まりも悪化
するという課題もあった。
【0022】さらに、インク量の増大に伴って、インク
タンク全体の重量が重くなるため、従来以上に落下性の
向上、つまり、インクタンク交換時等に、誤ってユーザ
がインクタンクを落としたときに、インク吸収体がイン
クタンク内でズレない様にすることが必要である。イン
ク吸収体のズレが発生すると、インク供給部と該インク
吸収体の当接が不完全となり、インクジェットヘッドへ
のインク供給不良を引き起こす恐れがある。その他、イ
ンクタンク内壁面とインク吸収体との間に意図しない隙
間が発生し、不要なエアパスができ、インクの供給性能
を低下させるおそれもある。この耐落下対策としては、
一般にインクタンクに対して十分に大きなインク吸収体
をインクタンク内に圧縮挿入し、このときの該インク吸
収体のインクタンク内面への反発力(復元力)で、前記
ズレを防止しているが、従来の方法では前述のとおりよ
り厚い均一なインク吸収体が得られず、部品の追加等で
この対策をする場合があった。
【0023】本発明の目的は、繊維密度が低く、均一
で、しかも厚みの厚いインク吸収体を、特に同種の材
料、融点差の少ない材料、または融点の低い材料を用い
た場合に有効に成形可能な、インクジェット用インク吸
収体の成形方法、該成形方法にうより形成されるインク
吸収体、該インク吸収体を用いたインクタンク、インク
ジェットカートリッジ、インクジェット記録装置、及び
該インクタンクの製造方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明のインク吸収体の成形方法は、繊維体を加熱処理
して繊維同士を相互融着する、インク吸収体の成形方法
であって、前記繊維体に下から吹き上げられる熱風を通
過させ、前記繊維体の姿勢を維持したまま前記繊維体を
浮上させた状態で所望の繊維の少なくとも一部を溶融さ
せる加熱工程と、加熱されている前記繊維体を所望の厚
さに相対的に上下方向から圧縮する圧縮工程と、圧縮さ
れている前記繊維体を冷却し前記繊維の溶融部を固化し
繊維の交点を固定する冷却工程とを有する。
【0025】また、本発明のインク吸収体は、上記の方
法で成形されたインク吸収体であって、該インク吸収体
の表面を形成する繊維同士の隙間が、該インク吸収体内
部を形成する繊維同士の隙間と実質的に同じ大きさであ
ることを特徴とする。
【0026】また、本発明のインクタンクは、上記の方
法で成形されたインク吸収体を収容するインクタンクで
あって、該インク吸収体を収容する筐体を有し、前記イ
ンク吸収体は、該筐体に対して圧縮して挿入されるとと
もに、該インク吸収体は、該インク吸収体を形成する繊
維の積層方向がそれと交叉する方向よりもより圧縮され
るように筐体内に挿入されていることを特徴とする。
【0027】また、上記のインクタンクを備えるインク
ジェットカートリッジ、及びインクジェット記録装置に
ついても提供するものである。
【0028】また、本発明のインクタンクの製造方法
は、上記の方法で成形されたインク吸収体と、該インク
吸収体を収納する筐体と、をそれぞれ用意する工程と、
前記インク吸収体を形成する繊維の積層方向がそれと交
叉する方向よりもより圧縮されるように、該インク吸収
体を前記筐体内に圧縮挿入する工程と、を有することを
特徴とする。
【0029】本発明によれば、繊維体への加熱処理時
に、繊維体の下から熱風を吹き上げることによって繊維
体を浮上させ、浮上時には繊維体の姿勢を規制すること
で、インク吸収体の成形時に重力の影響が少なくなるの
で、低密度で均一、しかも厚みの厚いインク吸収体が容
易に得られる。
【0030】特に、繊維体の上下に通気性シートを配す
ることによって、繊維体の圧縮の際に繊維体を圧縮する
部材の表面状態が転写されることによって生じるスキン
層の発生を防止し、繊維体表層の特性を、吸収体内部と
実質的に同じ状態にすることができる。また、インクタ
ンクに対して十分に大きく均一なインク吸収体が得られ
るので、これをインクタンク内に圧縮挿入することで、
該インク吸収体のインクタンク内面への大きな反発力
(復元力)が得られるので、容易に前述のインク吸収体
ズレを防止できる。加えて、複雑な形状のインクタンク
へ適用する場合には、圧縮比率を大きくできるので、イ
ンク吸収体がインクタンクの内面形状への追従性に優
れ、インクタンク設計の自由度、さらにはインクジェッ
ト記録装置全体の設計自由度を向上させる効果も期待で
きる。また、後述する、インクタンク内壁面とインク吸
収体の密着性を必要とするインクタンクにおいても、よ
り密着性が向上し、より信頼性の高いインクタンク、イ
ンクジェットカートリッジ、インクジェット記録装置を
得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0032】(第1の実施形態)図1から図11を用い
て、本発明であるところの厚く均一なインク吸収体の製
造方法について説明する。図1は、本発明の第1の実施
形態による、インク吸収体を成形するための加熱炉の概
略断面図である。
【0033】図1に示す加熱炉10は、熱風を発生させ
る熱風発生ユニット11を内部に有する。熱風発生ユニ
ット11は、加熱炉10の下側に配されており、熱を発
生する複数本の棒状のヒータ12と、ヒータ12の下方
に配置されて上向きの気流を発生させる送風ファン13
と、ヒータ12の上方に設けられたステンレス製の穴あ
きプレート14とを有する。これにより、ヒータ12で
熱せられた加熱炉10内の空気は、熱風となって送風フ
ァン13によって上方に吹き上げられ、さらに、穴あき
プレート14を通過することによって均一に拡散され
る。穴あきプレート14を通過した熱風は、加熱炉10
の上壁に衝突した後、リターン通路15を通って送風フ
ァン13に吸引され、再度、上方に吹き上げられて循環
する。加熱炉10内の温度は、不図示の制御手段によっ
て一定に保たれている。
【0034】熱風発生ユニット11の上方には、繊維積
層体50を上下方向から保持する型ユニット20が配さ
れている。型ユニット20は、下型21と上型22とを
有し、これら下型21と上型22とは、互いに独立して
加熱炉10に対して出し入れ自由な構成となっている。
上型22は、不図示の駆動手段により上下方向に移動可
能に設けられた上型ガイド26に支持されており、加熱
炉10内で上型22を上下動させることができる。な
お、図1の左半分は上型22を上昇させた状態を示して
おり、右半分は上型22を下降させた状態を示してい
る。上型22及び下型21は、後述するように熱風を下
方から上方へ通過させる必要があり、しかも、繊維積層
体50を圧縮しても変形しないことが必要であるので、
本実施形態ではステンレス製の穴あきプレートを用いて
いる。
【0035】ここで、繊維積層体50について説明す
る。繊維積層体50は、繊維方向が略そろったウェブが
積層されたものであり、カード機(不図示)あるいはク
ロスレイヤー機(不図示)等により、用途に応じて所定
の目付け量で作製され、所望の大きさに切り出されてい
る。積層方向は、重力方向と平行であり、図1でいえば
図面の上下方向である。繊維方向は、積層方向に対して
略垂直方向であり、図1でいえば図面の左右方向または
奥行き方向である。本実施形態では、繊維積層体50と
しては、上記のようにカード機あるいはクロスレイヤー
機等で作製された積層体シートを約1000mm×約1
000mmの略正方形に切り出したものを用いた。な
お、本発明においては、繊維積層体50は必ずしも方向
性を有する積層体である必要はなく、繊維の方向性がラ
ンダムな繊維体でもよい。この場合、繊維体の密度はほ
ぼ均一であることが望ましい。
【0036】繊維積層体50を構成する繊維としては、
図2に示すように、ポリプロピレン(PP)からなる芯
部51aと、その周囲のポリエチレン(PE)からなる
鞘部51bとからなる二重構造の芯鞘繊維51を用い
た。ポリプロピレンの融点は約180℃であり、ポリエ
チレンの融点は約130℃である。従って、両者の融点
差は約50℃である。繊維径としては一般には5μmか
ら50μm程度のものが使用されるが、本実施形態では
約18μm(2デニール)の繊維を用いた。
【0037】なお、本実施形態では上述したような芯鞘
繊維51を用いたが、繊維の構成はこれに限るものでは
なく、例えばPPとPEの内部が単一の構造の繊維(以
下、単糸と称する)を混紡しても良いし、単糸と二重構
造繊維を混紡しても良い。芯鞘繊維51を用いた場合
は、繊維同士の交点全てにPEが存在しており殆どの交
点がPEで固定されるので、しっかりとしたインク吸収
体を得ることができる。また、混紡の場合は、PP繊維
とPE繊維の比率によって、固定される交点の割合が変
化する、すなわち、PE繊維の存在する部位の交点しか
固定されないので、相対的に柔らかいインク吸収体を得
る場合には有効である。また、本実施形態では繊維材料
としてPPとPEを用いたが、互いの融点が異なってい
ればこれに限るものではない。さらに、繊維の種類につ
いても2種類に限るものではなく、3種類以上であって
もよい。
【0038】次に、図1に示した加熱炉10を用いたイ
ンク吸収体の成形方法について、見掛密度0.038〜
0.043g/cm3、厚さが35mmのインク吸収体
を形成する場合を例に挙げて説明する。
【0039】(1−1)準備工程 見掛密度0.038〜0.043g/cm3で厚さが3
5mmとされるインク吸収体を上記の芯鞘繊維から成形
するためには、繊維積層体50の厚さ(高さ方向に均一
的に敷き詰めた後に、上方から軽く押圧してそれを解除
した状態での厚さ)が120mm前後(100〜150
mm)が適当とされる。従って、繊維積層体50として
は120mmのものを用いる。
【0040】まず、図3に示すように、下型21を加熱
炉10(図1参照)から取り出し、下型21の上に通気
性シート23を敷き、その上に繊維積層体50を載せ
る。通気性シート23の両側部は、押さえブロック24
によって下型21に固定されている。下側の通気性シー
ト23の大きさ(繊維積層体50の積載面の面積)は、
押さえブロック24による押さえ代を確保するためと、
後述する加熱工程において通気性シート23が下型21
から浮き上がることができるようにするために、繊維積
層体50が積載される領域の面積に比べて十分に大きく
なっている。
【0041】繊維積層体50の上面には、上記の通気性
シート23と同様の通気性シート25が載せられる。こ
の通気性シート25の大きさは、繊維積層体50の上面
とほぼ等しい大きさである。これら2つの通気性シート
23、25のうち特に下側の通気性シート23は、後述
する加熱工程において、浮き上がる繊維積層体50を保
持する機能も持つので、繊維積層体50を構成する繊維
と適度に絡み合い、かつ、加熱環境下で伸縮性を有する
ことが必要である。繊維積層体50の繊維と通気性シー
ト23との絡み合いがないと、繊維積層体50を浮上さ
せる際に繊維積層体50が通気性シート23から剥離
し、通気性シート23が繊維積層体50を保持すること
ができなくなってしまう。
【0042】一方、上型22(図1参照)は、予め加熱
炉10内にセットされている。このとき、上型22は後
述する炉内温度まで加熱されていることが望ましい。上
型22の温度が低すぎると、後述する圧縮工程において
上型22が繊維積層体50に接触すると、繊維が急激に
冷却され、固化してしまうので、均一な圧縮ができなく
なってしまうからである。
【0043】(1−2)加熱工程 以上のように、繊維積層体50を下型21上に載せた
ら、繊維積層体50が載せられた下型21を加熱炉10
にセットする。このとき、図4に示すように、上型22
の位置は、上側の通気性シート25との間に隙間が生じ
るような位置となっている。また、加熱炉10内は、ヒ
ータ12により予め所望の温度に加熱されている。前述
したように、繊維積層体50は、PEとPPの芯鞘繊維
を用いているので、加熱温度としては、PEの融点(約
130℃)とPPの融点(約180℃)の間の温度であ
り、さらに、PPの軟化点(約120℃)よりも高い温
度であればよい。本実施形態では、加熱炉10内の温度
を145℃に設定した。
【0044】下型21を加熱炉10にセットしたら、送
風ファン13を駆動し、繊維積層体50に向けて下方か
ら熱風を吹き上げ、繊維積層体50を加熱する。ここ
で、送風ファン13により発生する上向きの気流の速度
は、0.3〜0.8m/secとなるように設定した。
前述したように下型21及び上型22は穴あきプレート
であり、しかも、繊維積層体50は上下を通気性シート
23、25で挟まれているので、熱風をより均一に繊維
積層体50に通気させることができる。なお、下型21
及び上型22により通気性シート23、25の通気性が
損なわれないようにするため、下型21及び上型22の
通気性が通気性シート23、25の通気性と同程度また
はそれ以上となるように、下型21及び上型22は開口
サイズや開口密度が設定されている。
【0045】送風ファン13の駆動により、繊維積層体
50には、図5に示すように、繊維積層体50を重力方
向Gに抗して浮上させ、繊維積層体50が上型22に押
し付けられることなく接触する程度の熱風を作用させ
る。これにより、繊維積層体50の上面を上型22で保
持しつつ、下方からの熱風で繊維自身を浮上させ、繊維
一本一本にかかる重力の影響を少なくすることができ
る。さらに、通気性シート25を繊維積層体50の上面
と上型22との間に介在させることで、繊維積層体50
の上面の局所的な高密度領域の発生を防止することがで
きる。すなわち、繊維積層体50を、ほぼ加熱前の状態
を保ったまま加熱することができる。
【0046】また、熱風により繊維積層体50が浮上す
るが、前述したように繊維積層体50の繊維は通気性シ
ート23と適度に絡み合っており、しかも通気性シート
23の両側部が押さえブロック24によって下型21に
固定されている。そのため、通気性シート23は図5に
示すように湾曲した状態となり、繊維積層体50の浮き
上がり量及び浮き上がり姿勢は通気性シート23によっ
て規制される。このように、繊維積層体50の浮上時の
位置及び姿勢を規制することにより、熱風による繊維積
層体50の加熱を安定して行うことができる。
【0047】また、熱風により繊維積層体50を浮上さ
せることは、前記通気性シート23の有無にかかわら
ず、以下のような効果がある。繊維積層体50浮上させ
ない場合には、下型21の開口部(本実施例ではステン
レス製の穴あきプレートの穴部)と非開口部で加熱状態
が異なる。すなわち、前記開口部から熱風が吹き出すの
で、前記開口部の近傍がより積極的に熱風が通気される
ため、非開口部に比べてより早く急激に加熱される。そ
のため、繊維積層体50の昇温状態が不均一となり、均
一なインク吸収体を得にくい場合がある。ところが、繊
維積層体50を本実施例のように浮上させることによ
り、下型21と繊維積層体50の底面部との間に空間が
できる。前記下型21の開口部から吹き出た熱風は、前
記空間がダンパーとなるので、繊維積層体50の底面部
から均一に熱風を通気することができ、浮上させないで
加熱した場合に比べてより均一に加熱することができ、
より均一なインク吸収体を得ることができる。
【0048】押さえブロック24を用いない場合には、
下から吹き上げる熱風の風速が大きすぎると繊維積層体
50が上型22に押し付けられてしまい、上方の繊維密
度が下方の繊維密度に比べて大きいものとなる。一方、
風速が弱すぎると、繊維積層体50が浮上せず、加熱に
より軟化した繊維が重力により下方へ落ち、下方の繊維
密度が上方の繊維密度に比べて大きいものとなる。いず
れにしても、適切な風速で熱風を吹き上げないと均一な
繊維密度が得られない。なお、熱風の風速を、繊維積層
体50が浮上し、かつ、上型22に押し付けられること
なく、繊維積層体50の上面全体がほぼ均一に上型22
と接触するように適切に制御できるのであれば、押さえ
ブロック24は必ずしも設けなくてもよい。
【0049】また、通気性シート23が繊維積層体50
の繊維と適度に絡み合っており通気性シート23と繊維
積層体50との摩擦抵抗が大きいため、繊維積層体50
は通気性シート23に対して水平方向へずれにくくな
る。その結果、この加熱工程や、後述する圧縮工程及び
冷却工程時に、外力による物理的なずれや収縮が抑制さ
れ、より均一なインク吸収体を得ることができる。
【0050】前記繊維積層体50の浮上は、多角形平面
形状をなす繊維積層体50の下面に配した通気性シート
23の少なくとも対向する2辺の浮上を押さえブロック
24で押え、かつその上方にある積層繊維体50は実質
的に浮上している状態である。従って、上方に向かう熱
風が積層繊維体50のサイドから逃げることが防止され
るので、多角形積層体の端部近傍まで平面位置において
も、また厚さ方向においても所望の均密性が得られる。
【0051】ここで、PPとPEの芯鞘繊維からなる繊
維積層体50の昇温特性について説明する。図6に、こ
の繊維積層体50の昇温特性のグラフを示す。図6にお
いて、縦軸が温度、横軸が加熱時間を示す。
【0052】繊維積層体50が、PPの融点S2(約1
80℃)よりも低い温度S3に設定された加熱炉10内
に投入されると、繊維積層体50は、時間T1後にPE
の融点S1(約130℃)まで昇温する。繊維積層体5
0の温度がS1に達すると、PEが溶融を開始し、鞘部
51b(図2参照)を構成するPEの溶融が完了するま
で繊維積層体50の温度はS1にとどまる。
【0053】T2時間経過後、すなわちPEの溶融が完
了すると、繊維積層体50は再び昇温を開始し、T3
間経過後、加熱炉10の設定温度S3に達する。温度S3
は前述の通りPPの融点S2より低い温度に設定されて
いるので、PPが溶融し繊維骨格が崩れてしまうことは
ない。
【0054】本実施形態のような1000mm×100
0mmの大きさのインク吸収体50の場合、T1、T2
3の値としては、T1は10〜15分、T2は10〜2
0分、T3は20〜25分が適当である。
【0055】(1−3)圧縮工程 繊維積層体50全体が加熱された後、図7に示すよう
に、上型22を降下させ、繊維積層体50を所望の厚み
(密度)まで圧縮する。このとき上型22は、繊維積層
体50とほぼ同じ温度まで加熱されていることが望まし
い。これは、もし上型22の温度が、接着材となるPE
の融点より低い温度であると、圧縮時に上型22に接触
した部分からPEが固化してしまい、繊維同士が溶融接
着されてしまうため、上部の繊維密度が局所的に高くな
る等の不具合が発生するためである。
【0056】この圧縮工程では、熱風は止めず、繊維一
本一本にかかる重力がキャンセルされた状態で繊維積層
体50を圧縮する。これにより、全体として均一な繊維
密度を保ったまま繊維積層体50が圧縮される。繊維積
層体50の圧縮に伴って、繊維積層体50の繊維密度が
徐々に高くなり、熱風の通気性及び通温性が悪くなる。
従って、繊維積層体50の圧縮時には、熱風をやや弱く
することが望ましい。これは、繊維密度が高くなり通気
性及び通温性が悪くなることにより、繊維積層体50全
体が熱風により吹き上げられて上型22に押し付けられ
て、結果的に上部の繊維密度が局所的に高くなる等の不
具合が発生するためである。本実施形態では、この圧縮
工程での熱風の風速は、0.2〜0.4m/secとし
た。
【0057】また、圧縮の速度(本実施形態では上型2
2を下降させる速度)は、圧縮後の繊維密度が高い
(0.15g/cm3以上)インク吸収体を得る場合に
はあまり関係ないが、繊維密度の低いインク吸収体を得
るためには、より遅い速度でゆっくり圧縮することが望
ましい。圧縮速度が速いと、繊維積層体50全体が圧縮
される前に、上型22が当接した側の繊維密度が高くな
りその状態で繊維同士が接着され、上部の繊維密度が局
所的に高くなる等の不具合が発生するためである。
【0058】この圧縮工程においても、熱風により繊維
積層体50を下方から浮上させつつ、上方から上型22
を下降させることが好ましいことはいうまでもない。
【0059】(1−4)冷却工程 繊維積層体50を所望の厚さに圧縮した後、繊維積層体
50を圧縮した状態のまま、上型22と下型21を加熱
炉10から取り出し、この状態で型全体を冷却する。こ
のとき、例えば、所望の高さのスペーサ(不図示)を上
型22と下型21との間に挟み、上型22を重り等によ
って下型21に向けて加圧すれば、繊維積層体50の圧
縮状態を良好に維持することができる。また、冷却の方
法は、自然冷却や、冷却ファン等を使った強制冷却等、
どんな手段であっても良い。さらには、上型22及び下
型21を加熱炉10から取り出さず、加熱炉10内の熱
を冷ますことで冷却を行ってもよい。
【0060】そして、少なくとも繊維積層体50の表
層、すなわち上型22、下型21と接触している面の温
度がPEの融点以下になったら、繊維積層体50を通気
性シート23、25と一緒に上型22及び下型21から
取り外す。この状態では、繊維積層体50は、まだ通気
性シート23、25が密着しているものの、実質的には
インク吸収体55(図9参照)と同等のものである。従
って、以下の説明では、冷却工程が終了した繊維積層体
50は、インク吸収体55として表す。
【0061】上型22及び下型21からの取り外し後、
図8に示すように、インク吸収体55から通気性シート
23、25を剥がし、図9に示すインク吸収体55を得
ることができる。
【0062】上述の各工程を経ることにより、前述し
た、見掛比重0.038〜0.043g/cm3、厚さ
が35mmのインク吸収体55を成形することができ
る。得られたインク吸収体55は、その用途に応じて所
望の大きさに切断され、または組み合わせて用いられ
る。
【0063】なお、ここでは上記の見掛比重、厚さを有
する、PPとPEの芯鞘繊維で構成されるインク吸収体
55を成形する場合について述べたが、成形すべきイン
ク吸収体の種類や厚さ、物性条件に応じて前述した加熱
炉10内の温度設定や熱風の風速等の各条件が変更され
る。本実施形態に示した方法によれば、繊維密度が0.
02g/cm3程度の繊維積層体50から、繊維密度が
0.03〜0.3g/cm3の範囲まで十分に均一で、
かつ、厚肉なインク吸収体55を得る事ができる。
【0064】このようなインク吸収体55は、適宜の弾
力性を有しているので、例えば乗用車のシート、アーム
レスト、あるいはヘッドレスト等の内装材や、ベッドや
ソファを代表とする家具類のクッション材として好適に
用いることができる。また、インク吸収体55は保水性
にも優れているので、各種液体、水分を収容保持する容
器製品内に収納する保水部材等としても好適に用いるこ
とができる。
【0065】以上説明したように、加熱炉10を用いた
本実施形態のインク吸収体の成形方法によれば、加熱工
程において、圧縮しない状態の繊維積層体50に対して
熱風を下方から吹き上げているので、熱風が繊維積層体
50と熱交換をしながら繊維積層体50の内部をスムー
ズに上昇するようになり、加熱効果が高くなり加熱時間
が短縮されるとともに、低密度で厚みの厚いインク吸収
体を成形することができる。前述の通り、ここで得られ
るインク吸収体55は約1000mm×1000mmと大き
ため、所望の大きさに不図示の手段で切断し、後述のイ
ンクタンクへ適用する。
【0066】ここで、通気性シート23、25について
補足説明を行う。
【0067】前述したように、下側の通気性シート23
は、加熱工程で繊維積層体50が下型21から離脱する
のを防止することによって、低くかつ均一な繊維密度を
有する厚肉のインク吸収体55を得るのに有効に働く。
この点だけを考えれば、上側の通気性シート25は不要
である。しかし、この通気性シート25は、繊維積層体
50の浮上加熱時の繊維積層体50の上面の乱れ、加熱
された上型22からの急激な伝熱による意図しない密度
分布の発生を防止する効果がある。加えて、加熱工程後
の圧縮工程を考えると、この圧縮工程では、繊維積層体
50はPEが溶融している状態で上型22及び下型21
により圧縮される。従って、通気性シート23、25を
用いない場合には、上型22及び下型21の表面状態が
繊維積層体50に転写され、いわゆるスキン層が繊維積
層体50の上下面に形成される。このようなスキン層の
発生を防止する上で、繊維積層体50を圧縮する部材の
間に通気性シート23、25を介在させることは有効で
ある。
【0068】上述したことから明らかなように、通気性
シート23、25としては、繊維積層体50の繊維と適
度に絡み合い、加熱環境下で伸縮性を有し、加熱工程で
溶融しない素材であることが望ましい。加えて、通気性
シート23、25の表面状態は少なからず繊維積層体5
0に転写されるので、通気性シート23、25として
は、繊維積層体内部の開口状態と同じ程度の開口状態を
持った素材であることが望ましい。そこで本実施形態で
は、通気性シート23、25として、セル数が約16個
/cmの発泡ポリウレタン製シートを用いた。
【0069】また、発泡ポリウレタンフォーム等の、発
泡後セル膜を除去させてなる構造体は、繊維に対して、
セル(約300〜600μm)スケールでの局部的な通
気抵抗の大小の差が少ない。二次元的に表現すれば、繊
維体は、襖を取り去った部屋つづきの大広間(柱が繊
維)にたとえる事ができるが、ウレタンスポンジのセル
は各部屋の大きさ(セルサイズ)も異なる事に加えて、
各仕切り(襖)が一部閉まっており局部的に通気抵抗が
大きくなっている。こうした発泡体を通気性シートとし
て繊維積層体の上または下に配することで、通気面全体
に対する整流効果も得られる。
【0070】ところで、合成繊維では一般に、繊維の収
束性や平滑性の確保や静電気防止等を目的として、紡糸
工程で様々な油剤を繊維表面に付着させている。しかし
ながら、インクジェット記録分野では、使用するインク
の特性によってこうした油剤を極端に嫌う場合がある。
このような場合、上記油剤を極端に減らす場合がある。
このような繊維を用いて本発明に適用すると、静電気に
よる繊維の不本意な絡み付きや密度の乱れ等の様々な問
題が引き起こされる場合がある。そこでこの対策とし
て、繊維積層体を作製する際に、ウェブ全域に除電ブロ
ーを施すのが望ましい。また、それに加えて、イオン交
換水あるいはノニオン系界面活性剤の水溶液を繊維に噴
霧付与する工程を設ける事も有効である。
【0071】(第2の実施形態)図10は、本発明の第
2の実施形態によるインク吸収体の成形装置の概略断面
図であり、図11は、図10に示す成形装置のA−A線
断面図である。
【0072】本実施形態の成形装置は、主筐体を構成す
る加熱炉100内で、上下を通気性シート111、11
2で挟まれた繊維積層体150を第1〜第3のメッシュ
ベルト101、102、103により図示右側から左側
へ移送しながら、インク吸収体を成形するものである。
【0073】第1のメッシュベルト101は、加熱炉1
00の内部下方において繊維積層体150の移送方向全
域にわたって設置されており、加熱炉100内に供給さ
れた繊維積層体150は、この第1のメッシュベルト1
01に載って加熱炉100内を図示左方に移送され、加
熱炉100から排出される構成となっている。繊維積層
体150の移送方向について、第1のメッシュベルト1
01の上流側には搬入コンベアが設置され、第1のメッ
シュベルト101の下流側には搬出ベルトが設置されて
いる。第1のメッシュベルトの繊維積層体150の移送
ラインの高さレベルは、搬入コンベア及び搬出コンベア
の高さレベルと一致している。これにより、繊維積層体
150の、搬入コンベアから第1のメッシュベルト10
1への受け入れ、及び第1のメッシュベルト101から
搬出コンベアへの送り出しがスムーズに行われ、繊維積
層体150の連続的な移送が可能となる。なお、第1の
メッシュベルト101としては、例えば、4メッシュ/
cm程度の金属製ベルトが好適に使用される。
【0074】繊維積層体150は、下面及び上面にそれ
ぞれ通気性シート111、112が敷かれた状態で加熱
炉100に供給される。図11に示すように、繊維積層
体150の下面に敷かれた通気性シート111は、幅が
繊維積層体150の幅よりも大きく、その両側縁部はそ
れぞれ押さえ部材113によって第1のメッシュベルト
101に保持されている。また、繊維積層体150の上
に載せられている通気性シート112の幅は、繊維積層
体150の幅と等しい。なお、繊維積層体150の材質
や構造、及び通気性シート111、112の材質や構造
は、第1の実施形態と同様である。
【0075】加熱炉100の内部は、繊維積層体150
の移送方向上流側から、加熱部120と、冷却部140
とに分けられる。
【0076】まず、加熱部120について説明する。加
熱部120は、第1のメッシュベルト101の上方に対
向配置された第2のメッシュベルト102を有する。第
2のメッシュベルト102は、第1のメッシュベルト1
01と同一速度で同期的に周回移動され、通気性シート
112を上方から保持しながら、第1のメッシュベルト
101による繊維積層体150の移送を案内する。ま
た、第2のメッシュベルト102は油圧シリンダ等の昇
降機構(不図示)によって上下方向に移動可能であり、
第1のメッシュベルト101との間隔が、通気性シート
111、112を含めた繊維積層体150の厚みよりも
大きく、後述するように繊維積層体150が第1のメッ
シュベルト101から浮上することで通気性シート11
2が第2のメッシュベルト102に接触することのでき
る間隔に調整されている。なお、第2のメッシュベルト
102としては、例えば、4メッシュ/cm程度の金属
製ベルトが好適に使用される。
【0077】第1のメッシュベルト101と第2のメッ
シュベルト102で移送される繊維積層体150を間に
おいて、繊維積層体150の下方には第1の送風チャン
バ122が配置され、繊維積層体150の上方には第1
の受風チャンバ121が配置されている。第1の送風チ
ャンバ122は、給気口122aが側面に開口している
とともに、多数の通風孔122bが上面に分散して設け
られている。第1の受風チャンバ121も第1の送風チ
ャンバ122と同様に構成され、吸気口121aが側面
に開口しているとともに、多数の通風孔121bが下面
に分散して設けられている。ここで、図10では、第2
のメッシュベルト102が掛け回された搬送ローラ10
2aは受風チャンバ121内に配置されているように描
かれているが、この搬送ローラ102aは、図11に示
すように受風チャンバ121の外の両側に配置されてる
ので、搬送ローラ102aが、後述する給気口122a
からの熱風の流れに影響を及ぼすことはない。
【0078】吸気口121a及び給気口122aは、図
11に示すように、それぞれダクトを介して熱風発生機
105に接続されている。熱風発生機105内には、ヒ
ータ107と、吸気口121a側から給気口122a側
へと向かう気流を発生させる送風ファン106とが設け
られている。熱風発生機105を駆動すると、熱風発生
機105内に、給気口122aへ向かう熱風が発生す
る。この熱風は、給気口122aより送風チャンバ12
2内に送られ、通風孔122bを通って、繊維積層体1
50に下方から吹き付けられる。そして、繊維積層体1
50に吹き付けられた熱風は、繊維積層体150内を上
に向かって通過し、通風孔121bから受風チャンバ1
21内に吸引され、吸気口121aを通って熱風発生機
105内に戻される。つまり、繊維積層体150が移送
されている領域では、下から上へ吹き上げる熱風が生じ
る。
【0079】なお、後述するように、本実施形態では繊
維積層体150の圧縮動作中にも熱風を繊維積層体15
0に向けて吹き上げることができるように、第1の送風
チャンバ122及び第1の受風チャンバ121は、後述
する冷却部140の第3のメッシュベルト103が掛け
回された最も上流側の搬送ローラ103aの下方にも張
り出している。ここで、この搬送ローラ103aも、前
述の搬送ローラ102aと同様に、受風チャンバ121
の外の両端に配置されているので、この搬送ローラ10
3aも給気口122aからの熱風の流れに影響を及ぼす
ことはない。
【0080】次に、冷却部140について説明する。冷
却部140も、基本的な構成は加熱部120と同様であ
る。つまり、第1のメッシュベルト101の上方に対向
配置された第3のメッシュベルト103と、移送される
繊維積層体150の下方に配置された第2の送風チャン
バ142と、繊維積層体150の上方に配置された第2
の受風チャンバ141とを有する。ただし、この冷却部
140は、繊維積層体150の圧縮後、速やかに冷却を
行うものであり、熱風発生機の代わりに、冷風発生機
(不図示)が、第2の送風チャンバ142及び第2の受
風チャンバ141に接続されている。
【0081】第3のメッシュベルト103は、第1のメ
ッシュベルト101と同一速度で同期的に周回移動さ
れ、通気性シート112を上方から保持しながら、第1
のメッシュベルト101による繊維積層体150の移送
を案内する。また、第3のメッシュベルト103も第2
のメッシュベルト102と同様に不図示の昇降機構によ
って上下方向に移動可能であり、繊維積層体150の厚
みが、最終的に成形されるインク吸収体の厚みとなるよ
うに、第1のメッシュベルト101との間隔が調整され
ている。なお、第3のメッシュベルト103としては、
例えば、4メッシュ/cm程度の金属製ベルトが好適に
使用される。
【0082】第2の送風チャンバ142は、第1の送風
チャンバ122の給気口122a及び通風孔122bと
同様の給気口142a及び通風孔142bを有し、上記
冷風発生機で発生させた冷風を繊維積層体150の下方
から吹き上げる構成となっている。第2の受風チャンバ
141は、第1の受風チャンバ121の吸気口121a
及び通風孔121bと同様の吸気口141a及び通風孔
141bを有し、第2の送風チャンバ142から吹き上
げられて繊維積層体150を通過した冷風を吸引し、冷
風発生機へ戻す構成となっている。
【0083】なお、冷却部140では、加熱された繊維
積層体150に対する冷却用の空気として、常温空気
(外気)を用いてもよい。この場合には、上記冷風発生
機を単なる送風機とし、加熱炉100の外から空気を吸
い込んで第2の送風チャンバ142へ送り込み、送り込
まれた空気を第2の受風チャンバ141より外部に放出
するように構成される。ここで、第2の受風チャンバ1
41の吸気口141aに、第2の受風チャンバ141内
の空気を強制的に外部へ排出するブロワ等を設置すれ
ば、排気効率の向上が期待できる。
【0084】また、第1〜第3のメッシュベルト101
〜103が掛け回されるローラの少なくとも1つには、
電熱線等の予備加熱手段が設けられ、第1〜第3のメッ
シュベルト101〜103は、繊維積層体150と接触
する前に、加熱部120で必要とされる温度と同等の温
度に予熱される。
【0085】すなわち、第1のメッシュベルト101
は、冷却部140の通過によって温度が低下するので、
再び加熱部120に入る前に所定の温度に加熱しておく
ことで、加熱部120での、繊維積層体150に対する
加熱効率の低下を防止する。第2のメッシュベルト10
2も、繊維積層体150から離れた後、再び接触するま
での間に温度が低下するので、繊維積層体150と接触
する前に所定の温度に加熱しておくことで、加熱部12
0での、繊維積層体150に対する加熱効率の低下を防
止する。そして、第3のメッシュベルト103は、第2
の送風チャンバ142と第2の受風チャンバ141との
間を通過中に、冷却用の空気との接触により温度が低下
するので、繊維積層体150と接触する前に所定の温度
に加熱しておくことで、圧縮される繊維積層体150の
上面部の急激な温度低下が防止される。従って、繊維積
層体150は、加熱部120で加熱された温度に維持さ
れたまま表面部から内部に亘って全体が均一的に圧縮さ
れるので、温度低下による固化が始まった繊維積層体1
50を圧縮するような不都合を回避することができる。
【0086】次に、図10に示した成形装置を用い、見
掛密度0.038〜0.043g/cm3、厚さが35
mmのインク吸収体を、太さ2〜6デニールの芯鞘繊維
から連続的に形成する例について説明する。
【0087】(2−1)準備工程 まず、繊維積層体150としては、厚みが第1の実施形
態と同様のものを用意する。そして、第2のメッシュベ
ルト102を昇降移動させ、2枚の通気性シート11
1、112と重ね合わせた状態で繊維積層体150が第
1のメッシュベルト101に載せられても繊維積層体1
50が第2のメッシュベルト102と接触しない位置
に、第2のメッシュベルト102の位置が調整される。
また、成形するインク吸収体の厚さが35mmなので、
第3のメッシュベルト103を昇降移動させ、冷却部1
40での繊維積層体150の厚さが35mmとなるよう
に、第3のメッシュベルト103の位置が調整される。
各メッシュベルト101〜103の回転速度は、繊維積
層体150の移送速度が0.5m/minとなるように
設定される。
【0088】一方、加熱部120では、繊維の物性条件
を前提として、熱風の温度、風速等を設定する。すなわ
ち、繊維積層体150は、前述したようにPEとPPの
芯鞘繊維からなるので、加熱部120の下流部に移送さ
れるまでの間に、PEの融点よりも高く、かつ、PPの
融点よりも低い温度に加熱されることが条件とされる。
そこで、本実施形態では、熱風の温度を約145℃、風
速を0.3〜0.8m/secに設定した。
【0089】また、冷却部140では、加熱かつ圧縮さ
れている繊維積層体150が圧縮部の下流部に移送され
るまでの間に、繊維を構成するPEがその融点より低い
温度に冷却されることを前提として冷却用の空気の温
度、風速等を設定する。繊維積層体150は、下面(第
1のメッシュベルト101)側から上面(第3のメッシ
ュベルト103)側に向かって厚さ方向に均一に冷却さ
れることが望ましい。そこで本実施形態では、冷却用の
空気の温度を常温程度、風速を0.2〜0.3m/se
cに設定した。
【0090】以上のように各部を設定して繊維積層体1
50を加熱炉100内に供給するわけであるが、このと
き、繊維積層体150の上下を通気性シート111、1
12で挟んだ状態で供給する。
【0091】(2−2)加熱工程 加熱炉100内に供給された繊維積層体150は、ま
ず、加熱部120へ移送される。繊維積層体150は、
加熱部120の通過中に、下から吹き上げられる熱風に
よって加熱され、繊維の鞘部を構成するPEが溶融する
ことで、繊維同士が相互に熱接着される。このとき、図
11にも示したように、繊維積層体150は第1のメッ
シュベルト101に対して浮上しており、繊維一本一本
にかかる重力はキャンセルされている。従って、繊維積
層体150は、加熱前の状態を保ったまま、繊維同士が
熱接着される。なお、通気性シート111、112に必
要とされる性質、及び押さえ部材113の必要性につい
ては、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説
明はここでは省略する。
【0092】(2−3)圧縮工程 加熱部120で加熱された繊維積層体150は、第2の
メッシュベルト102を離れ、第3のメッシュベルト1
03側へ移動する。第3のメッシュベルト103は、前
述したように、成形すべきインク吸収体の厚さを前提と
して位置調整されているので、第3のメッシュベルト1
03へ到達した繊維積層体150は徐々に圧縮される。
またこのとき、繊維積層体150には第1の送風チャン
バ122及び第1の受風チャンバ121によって下から
熱風が吹き上げられており、これにより、局所的に繊維
密度が高くなるのが防止される。さらに、第3のメッシ
ュベルト103は、前述したように、繊維積層体150
と接触する前に、所定の温度に昇温されているので、繊
維積層体150を圧縮する際の、第3のメッシュベルト
103による繊維積層体150の温度低下が防止され
る。
【0093】なお、本実施形態でも、第1の実施形態の
ように、圧縮工程での熱風の風速を、加熱工程での熱風
の風速よりも弱くするのが好ましい。本実施形態のよう
に連続送りされる繊維積層体150に対してその部位に
よって熱風の風速を変える手段としては、例えば、通風
孔122bの大きさや分散密度を圧縮部と加熱部とで変
える方法や、給気口122aの位置を圧縮部に対しては
比較的遠い位置に設ける、といった方法等がある。
【0094】(2−4)冷却工程 第1のメッシュベルト101と第3のメッシュベルト1
03とにより圧縮された繊維積層体150は、両メッシ
ュベルト101、103により、圧縮状態のまま、冷却
部140内を移送される。冷却部140では、冷却用の
空気が下方から吹き上げられており、これにより、繊維
積層体150は徐々に冷却され、圧縮が解除されるまで
の間にPEが固化する。
【0095】そして、冷却部140を通過した繊維積層
体150は、加熱炉100から排出され、通気性シート
111、112が剥離されて、連続したインク吸収体が
得られる。得られたインク吸収体は、適宜サイズに切断
され、実施に供される。
【0096】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、コンベア上に載置されて供給される繊維積層体15
0を、圧縮しない自然状態で連続的に加熱して所定温度
に昇温させた直後に、連続的に圧縮しながら連続的に冷
却するので、所望の繊維密度、厚さのインク吸収体を連
続的に成形することができる。なお、加熱工程で熱風を
下から吹き上げ繊維積層体150を浮上させること、及
び繊維積層体150の少なくとも下面に通気性シートを
配することによる効果は、第1の実施形態と同様であ
る。
【0097】(第3の実施形態)本実施形態では、第1
の実施形態で説明した、繊維積層体50を挟む上型22
および下型21(いずれも図1参照)の組を複数組、連
続的に移送できる加熱炉を用意し、インク吸収体を作製
する。本実施形態では、準備工程については前述の第1
の実施形態と同様なので省略し、加熱工程、圧縮工程、
および冷却工程について以下に詳細に説明する。以下の
説明では、第1の実施形態と同等の構成については第1
の実施形態の説明で用いた図面に用いられている符号を
用いて説明する。
【0098】(3−1)加熱工程 第1の実施形態と同様に、繊維積層体50を下型21の
上に載せる。このとき、上型22の位置は、上側の通気
性シート25との間に隙間が生じるような位置となって
いる。また、加熱炉内は、ヒータにより予め所望の温度
に加熱されている。この状態のまま、繊維積層体50が
載せられた下型21とその上方にセットされた上型22
とを加熱炉内へ移送する。加熱炉内には、上型22およ
び下型21を移送するための移送手段が設けられてい
る。加熱炉内では、この移送手段によって、下型21と
上型22との間隔が所望の間隔に保たれ、また、その間
隔は任意に設定可能となっている。
【0099】前述のとおり、下型21および上型22を
複数組用意し、これらを順次加熱炉内に移送していく。
加熱炉の大きさ(移送方向での長さ)は、必要な加熱時
間と移送速度によって決められる。加熱炉内での繊維積
層体50の加熱方法は前述の実施形態と同様であるので
説明は省略する。
【0100】(3−2)圧縮工程 繊維積層体50全体が加熱炉内で加熱された後、上型2
2を下降させ、繊維積層体50を所望の厚み(密度)ま
で圧縮する。また、下型21には第1の実施形態と同様
に、所望の高さのスペーサが設けられており、その位置
まで上型22が下降される。前述の上型22の移送手段
は、この圧縮ゾーンでは昇降可能となっている。また、
上型22は、前述の移送手段により加熱炉内を移送され
ているので、前述の実施形態と同様、繊維積層体50と
ほぼ同じ温度まで加熱されている。
【0101】この圧縮工程でも、前述の実施形態と同
様、熱風は止めず、繊維一本一本にかかる重力がキャン
セルされた状態で繊維積層体50を圧縮する。この圧縮
工程においても、熱風により繊維積層体50を下方から
浮上させつつ、上方から上型22を下降させることが好
ましいことはいうまでもない。
【0102】(3−3)冷却工程 繊維積層体50を所望の厚さに圧縮した後、繊維積層体
50を圧縮した状態のまま、上型22および下型21が
前述の移送手段により加熱炉から排出され、この状態で
型全体を冷却する。冷却の方法は、自然冷却や、冷却フ
ァン等を用いた強制冷却等、どのような方法であっても
よい。
【0103】そして、少なくとも繊維積層体50の表
層、すなわち上型22と接触している面および下型21
と接触している面の温度がPEの融点以下になったら、
上型22を上昇させ、繊維積層体50を下型21上から
取り出す。この状態では、繊維積層体50は、まだ通気
性シート23、25が密着しているものの、実質的には
インク吸収体55(図9参照)と同等のものである。
【0104】本構成によれば、繊維積層体50を取り出
した後、加熱前の繊維積層体50を下型21に再びセッ
トし、以下同様に、加熱→圧縮→冷却が繰り返され、見
かけ上ほぼ連続的にインク吸収体55を作製することが
できる。その他の構成および効果は前述の実施形態と同
様である。
【0105】また、以上説明したように、本構成におい
ても、前述の第1および第2の実施形態と同様のインク
吸収体を効率よく作製できる。また、装置の大きさや上
型22および下型21の数は、加熱時間、圧縮時間およ
び移送速度によって決めればよい。
【0106】以上、インクジェット用インクタンクに用
いられるインク吸収体の製造方法及び製造装置について
説明したが、次に、図12から図15を用いて、本発明
を適用したインクタンクの製造方法、該製造方法により
製造されるインクタンク、インクジェットカートリッ
ジ、及びインクジェット記録装置について以下に説明す
る。
【0107】図12は前述の方法で作成したインク吸収
体1010を用いたインクジェットカートリッジ100
0の概略分解斜視図である。
【0108】インクジェットカートリッジ1000はイ
ンクを吐出するインクジェットヘッド1210とインク
ジェットヘッド1210に着脱自在なインクタンク12
00により構成されている。インクジェットヘッド12
10はインク供給管1230を介してインクタンク12
00と接続されインクはインク供給管1230を通じて
インクジェットヘッド1210へと供給される。インク
タンク1200は蓋部材1350とともに筐体を構成す
る凹型容器1220内部にインク吸収体10101が収
容されインクが保持されている。インクタンク1200
には不図示の大気連通部が設けられ、筐体内部は大気と
連通している。
【0109】インクタンクの筐体によって囲まれた領域
(以下筐体内部、またはインク吸収体収容部と称する)
に収容されているインク吸収体1010は、芯部がポリ
プロピレン、鞘部がポリエチレンから成り、その体積比
が1:1である図2示すような芯鞘繊維を、前述の実施
例で説明した方法で作成した。
【0110】図12で示すように、本発明であるところ
インク吸収体1010はインク吸収体収容部に比べて十
分大きく作成されている。ここで、本インクタンクの製
造方法について説明すると、インクタンクの筐体と前述
の製法により作成されたインク吸収体とを用意した後、
インク吸収体1010を不図示の手段により圧縮し、筐
体内部へ挿入する。このとき、インク吸収体1010は
前述のウェブ積層方向が、より圧縮が容易に行えるの
で、該積層方向の圧縮率を大きくした。
【0111】本実施例では、ウェブ積層方向を図中の矢
印Aの方向とした。繊維方向は前述の通りウェブ積層方
向と直行するので、本実施例では、図中の矢印B方向と
した。インク供給方向と繊維方向、圧縮(ウェブ積層)
方向は、本実施例の方向に限ることはなく、インクタン
クの形状等に応じて適宜決められるものである。本実施
例では、挿入前と挿入後のインク吸収体の体積比を2〜
4倍としたときに、前述の良好な耐落下性(耐衝撃性)
が得られた。本実施例のインク吸収体1010の密度
は、挿入(圧縮)前が約0.04g/cm3、挿入(圧
縮)後が約0.12g/cm3とした。
【0112】なお、上述の実施例ではインク吸収体はイ
ンクタンク筐体内部に収納される際に圧縮される例を説
明したが、予め所望の密度に形成したインク吸収体をそ
のまま圧縮せずにインクタンク筐体内部に挿入してもよ
い。しかしながら、耐落下性を向上させたり、インクタ
ンク内壁面とインク吸収体との間の隙間に不要なエアパ
スを発生させないためには、インク吸収体を圧縮して挿
入し、筐体内部で圧縮状態を維持させるほうがより好ま
しい。
【0113】繊維同士の交点が固定されていないインク
吸収体をインクジェット記録装置のインクタンクに用い
た場合には、衝撃などを受けた際に繊維が偏りを起こ
し、繊維の粗密分布が崩れ、所望のインク保持性能を得
られない場合がある。具体的には、インク供給部とイン
ク吸収体との当接が不十分になったり、繊維密度の高く
なった部分にインク残りが発生したり、繊維密度の低く
なった部分からインクの漏れ出しが発生したりする恐れ
がある。これに対し、本発明のインクジェット用インク
吸収体の製造方法で形成されるインク吸収体は、繊維同
士の交点が固定されている溜め、このような問題が起こ
ることはなく、安定したインク供給を実現できる。しか
も、本発明では、従来では得ることのできなかった、厚
み45mmで0.025g/cm3、厚み60mmで0.025g/cm3という低密
度の繊維集合体を容易に形成できるため、従来の熱整形
による繊維吸収体に対して、対落下性を向上させること
ができる。
【0114】次に、本発明のインク吸収体を用いたイン
クタンクを搭載するインクジェット記録装置について図
13を用いて説明を行う。図13は、以上のように構成
されるインクジェットカートリッジIJCが搭載可能な
インクジェット装置の一例の概観図を示す。
【0115】このインクジェット装置IJRAは、駆動
モータの2010の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア
2020、2030を介して回転するリードスクリュー
2040を有する。インクジェットヘッドとインクタン
クとが一体化されたインクジェットカートリッジIJC
が載置されるキャリッジHCは、キャリッジ軸2050
およびリードスクリュー2040に支持され、リードス
クリュー2040のら線溝2041に対して係合するピ
ン(不図示)を有しており、リードスクリュー2040
の回転に伴って、矢印a、b方向に往復移動される。2
060は紙押え板であり、キャリッジ移動方向にわたっ
て紙Pをプラテンローラ2070に対して押圧する。2
080および2090はフォトカプラで、これらは、キ
ャリッジHCに設けられたレバー2100のこの域での
存在を確認してモータ2010の回転方向切換等を行う
ためのホームポジション検知手段として動作する。21
10は記録ヘッドの前面をキャップするキャップ部材で
あり、支持部材2120により支持されている。213
0はこのキャップ内を吸引する吸引手段であり、キャッ
プ内開口を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。記録ヘ
ッドの端面をクリーニングするクリーニングブレード2
140は、前後方向に移動可能に部材2150に設けら
れており、これらは本体支持板2160に支持されてい
る。ブレード2140はこの形態に限定されず、周知の
クリーニングブレードが本例に適用できることはいうま
でもない。また、2170は吸引回復の吸引を開始する
ためのレバーであり、キャリッジHCと係合するカム2
180の移動に伴って移動するようになっており、これ
により駆動モータ2010からの駆動力がクラッチ切換
等の公知の伝達手段で移動制御される。
【0116】これらのキャッピング、クリーニング、吸
引回復は、キャリッジHCがホームポジシヨン側領域に
きたときにリードスクリュー2040の作用によってそ
れらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されて
いるが、周知のタイミングで所望の作動を行うようにす
れば、本例には何れも適用できる。上述における各構成
は単独でも複合的に見ても優れた発明であり、本発明に
とって好ましい構成例を示している。
【0117】次に、図14を用いて、本発明を別の形態
のインクタンクに適用した例を説明する。図14(A)、
(B)は本発明のインク吸収体を収容したインクタンクの
概略構造とインクの消費状態の様子を示す断面図を示す
模式図である。
【0118】図14(A)、(B)に示されるように、イン
クカートリッジ810の内部は連通孔(連通部)840
を有する仕切り壁(隔壁)838で2つの空間に仕切ら
れている。一方の空間は仕切り壁838の連通孔840
を除いて密閉されるとともにインクを直接保持する液体
収納室836、他方の空間はインク吸収体832を収納す
るインク吸収体収納室834になっている。このインク
吸収体収納室834には、インク消費に伴う容器内への
大気の導入を行うための大気連通部(大気連通口)81
2と、不図示の記録ヘッド部へインクを供給するための
供給口814とが形成されている。また、インク吸収体
832と大気連通部812との間にはリブ842が配さ
れてバッファ空間844を構成している。さらに、供給
口814内にはヘッド側の供給管が圧接されて、インク
吸収体からインクを良好に導出するために利用されるイ
ンク吸収体832より毛管力が高くかつ物理的強度の強
いインク導出部材846が配されている。
【0119】このようなタンク構造では、記録ヘッドに
よりインク吸収体のインクが消費されると図14(A)
から(B)に示されるように、液体収納室836からイ
ンクが仕切り壁の連通孔840を通じてインク吸収体収
納室834のインク吸収体832に供給される。この
時、液体収納室836内は減圧されるが、大気連通部8
12からインク吸収体収納室834を経由した空気が仕
切り壁838の連通孔840を通じて液体収納室836
に入り(図14(B)で示される状態)、液体収納室836
内の減圧は緩和される。従って、記録ヘッドによりイン
クが消費されてもその消費量に応じてインクがインク吸
収体832に充填され、インク吸収体832は一定量の
インクを保持し、記録ヘッドに対する負圧をほぼ一定に
保つので、記録ヘッドへのインク供給が安定する。
【0120】さて、上述のインクタンクにおける、本発
明のインク吸収体を適用されない場合の不具合につい
て、図19を用いて説明する。
【0121】図19は、密度ばらつきの大きいインク吸
収体をインクタンク内へ挿入した場合に発生しうる状態
を示す模式図であり、気液交換動作を行う前にインク吸
収体内でインク切れを起こす直前の状態を示している。
【0122】すなわち、連通孔40とインク供給部14
との間の領域で繊維密度が低くなっており、十分な毛細
管力を発揮できないためにインクの存在しない箇所が発
生している。このままインク供給を続けるとインク室内
のインク及びインク室と連通した領域に存在するインク
が供給されることなく、インク吸収体の供給部に接した
インクを使い切ると液体収納室内にインクがあるにもか
かわらずインク供給を停止してしまう恐れがある。
【0123】このような、インク供給不良の発生は図1
9に示されるような構成のインクタンクに限らず、液体
収容室を持たないような形態のインクタンクであっても
発生し得るものである。この他、インク吸収体とインク
タンク内壁との間に隙間があると、その隙間を介して大
気連通孔から空気がインク供給部へつながり、前述と同
様に、液体収納室内にインクがあるにもかかわらずイン
ク供給を停止してしまう恐れがある。
【0124】これに対し、本発明のインク吸収体を用い
ると、前述の通り、均一なインク吸収体を得られるの
で、上述のインク切れ等の問題を起こすことはない。加
えて、前述の通り、インク吸収体収容部に対してインク
吸収体を十分大き作れるので、それを圧縮挿入すること
で、インクタンク内壁面とインク吸収体の密着性が向上
し、上述のような不用意な隙間が発生し、インク供給に
支障をきたす恐れもない。このことは、インクタンク内
形状が、複雑な形状に対してもインク吸収体の追従性が
向上するので、より好ましく、インクタンクの設計(形
状)自由度の向上にもつながる。本実施例では、繊維積
層方向を図の奥行き方向、繊維方向を図の左右方向に配
置した。また、圧縮率(インク吸収体のインクタンクへ
の挿入前後体積比)を大きくすることは、挿入前のイン
ク吸収体にわずかな粗密分布が存在したとしても、圧縮
時に全体がより均一化されるので、インク吸収体製造時
の粗密管理のマージンがより広がり生産性の向上の効果
も期待できる。
【0125】さて、本発明のインク吸収体は、特に繊維
密度が低密度の繊維集合体を形成する際に好適に利用で
きるものであるが、これに限られるものではなく、イン
クタンクのインク供給口部に設けられるインク導出部材
(図14の846に示される)のような、相対的に繊維
密度が高密度の繊維集合体に用いてもよい。
【0126】図15は、インクタンクのインク供給口部
などに用いられる、繊維密度が高密度のインク吸収体を
製造する製造方法の一例を示す説明図である。
【0127】図15(a)において、1501は前述の
第1実施例〜第3実施例のいずれかの製法で製造された
インク吸収体である。ここで、インク吸収体1501は
通気浮上加熱した状態からの通気浮上圧縮により形成し
てもよく、この場合には加熱雰囲気を徐々に冷却してゆ
くことが望ましい。また、通気浮上状態で完全に圧縮す
ることをせず、室温で放冷、あるいは徐冷、あるいは急
冷しながら所望の密度まで圧縮してもよい。
【0128】その後、インク吸収体1501をスティッ
ク状に切断し、棒状のインク吸収体1502を得る。本
実施例では、1502は、繊維方向に長い矩形に切断
し、また、積層方向の幅tに対して切断幅wを小さくし
た。本実施例では、t=10±1mm、w=8±0.4
mmとしている。
【0129】次に、図15(b)で示すように、棒状の
インク吸収体1502を前述のインク吸収体の成形温度
と同等の温度に加熱後、長円形状の穴を有するダイス1
503に通過させることで、棒状部材の断面形状を整形
する。本実施例では、棒状のインク吸収体を140℃〜
150℃に加熱後、ダイスを通過させ、冷却したとこ
ろ、円柱状のインク吸収体1504を得た。ここで、本
実施例の場合、ダイスを通過させる際に、棒状の繊維体
の繊維の積層方向に圧縮を行うため、形状の追従性に優
れ、繊維密度のばらつきの少ない、円柱状のインク吸収
体1504を安定して得ることができる。その後、図1
5(c)に示すように円柱状のインク吸収体1504を
長手方向に切断することで、断面形状が長円形状の、イ
ンク導出部材1505を容易に得ることができる。この
ようにして得られたインク導出部材1505は、前述の
ダイスを通過する際に、ダイスは加熱されていないの
で、溶融した接着剤(本実施例ではポリエチレン)が圧
縮と略同時に冷却固化される。したがって、インク導出
部材1505には、内部の比べて高密度な表層が形成さ
れる。この、高密度な表層は、インクが含浸するとイン
ク保持力が高いためインクが抜け落ちにくいので、イン
クタンクからインクジェットヘッドへのインク供給時
に、インク導出部材1505の側面からの空気の進入が
防止でき、より好ましい構成である。もちろん、内部は
前述の通り、あらかじめ均一に成形されているので、繊
維密度分布が悪化することはない。
【0130】なお、このような棒状のインク吸収体を形
成し、その後切断するかわりに、インク吸収体1501
から直接所望の形状を打ち抜いてもよい。しかしなが
ら、生産性を考慮すると、棒状の繊維体を形成するほう
が生産性が向上するのでより望ましい。また、上述の各
実施形態のインク吸収体の製造方法では、繊維方向は打
ち抜き方向に対して交叉する方向となるため、打ち抜か
れたインク吸収体を使用する際に、繊維方向とインクの
流れ方向とが一致しない場合がある。この点について
も、上述のように棒状の繊維体を形成する方法のほう
が、インク吸収体を使用するときのインクの流れ方向と
繊維方向とを考慮した上で、所望の形状を形成しやすい
ので、より望ましい。加えて、上述のようなインク供給
性能においてもより好ましい構成である。
【0131】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
繊維体への加熱処理時に、繊維体の下から熱風を吹き上
げることによって繊維体を浮上させ、浮上時には繊維体
の姿勢を規制することで、低密度で均一、しかも厚みの
厚いインク吸収体を容易に得ることができる。
【0132】特に、繊維体の上下に通気性シートを配す
ることによって、繊維体の圧縮の際に繊維体を圧縮する
部材の表面状態が転写されることによって生じるスキン
層を防止することができる。
【0133】その結果、このようなインク吸収体を用い
ることで、より信頼性の高いインクジェット用インクタ
ンクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による、インク吸収体
を成形するための加熱炉の概略断面図である。
【図2】繊維積層体を構成する繊維の一例の断面図であ
る。
【図3】図1に示した加熱炉を用いたインク吸収体の成
形方法を説明する図であり、下型上に繊維積層体を載せ
た状態を示している。
【図4】図1に示した加熱炉を用いたインク吸収体の成
形方法を説明する図であり、下型を加熱炉内にセットし
た状態の下型と上型との位置関係を示している。
【図5】図1に示した加熱炉を用いたインク吸収体の成
形方法を説明する図であり、下方から熱風を吹き付けて
いる状態を示している。
【図6】PEとPPの芯鞘繊維からなる繊維積層体の昇
温特性を示すグラフである。
【図7】図1に示した加熱炉を用いたインク吸収体の成
形方法を説明する図であり、上型と下型とで繊維積層体
を圧縮している状態を示している。
【図8】図1に示した加熱炉を用いたインク吸収体の成
形方法を説明する図であり、圧縮工程及び冷却工程が終
了して通気性シートを剥がしている状態を示している。
【図9】図1に示した加熱炉を用いて成形されたインク
吸収体の斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態によるインク吸収体
の成形装置の概略断面図である。
【図11】図10に示す成形装置のA−A線断面図であ
る。
【図12】本発明を適用したインクジェットカートリッ
ジの概略分解斜視図である。
【図13】本発明を適用したインクジェットカートリッ
ジを搭載したインクジェット記録装置の概略斜視図であ
る。
【図14】本発明を適用した別の構成のインクタンクの
概略断面図である。
【図15】本発明のインク吸収体を用いたインク導出部
材の成形方法を説明する図である。
【図16】熱成形法に用いられる従来の熱風コンベア炉
の概略断面図である。
【図17】従来の型成形式によるインク吸収体の成形方
法を説明する図である。
【図18】従来の型成形式によるインク吸収体の成形方
法における課題を説明する図である。
【図19】従来の型成形式によるインク吸収体を有する
インクタンクの課題を説明した概略断面図である。
【符号の説明】
10、100 加熱炉 11 熱風発生ユニット 12、107 ヒータ 13、106 送風ファン 14 穴あきプレート 15 リターン通路 20 型ユニット 21 下型 22 上型 23、25、111、112 通気性シート 24 押さえブロック 26 上型ガイド 50、150 繊維積層体 51 芯鞘繊維 51a 芯部 51b 鞘部 55 インク吸収体 101、102、103 メッシュベルト 102a、103a 搬送ローラ 105 熱風発生機 113 押さえ部材 120 加熱部 121、141 受風チャンバ 122、142 送風チャンバ 140 冷却部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇田川 健太 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 北畠 健二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA24 EA25 EA26 KC12 KC30 3B154 AA09 AA17 AA18 AB22 BA32 BB02 BB12 BB15 BB62 DA10 DA30 4F100 AK04 AK07 BA02 BA03 BA04 BA05 BA10A BA10B BA12 BA14 DG06A DG06B DG20 EC032 EJ202 EJ422 EJ502 JA13 JD14 (54)【発明の名称】 インクジェット用インク吸収体の成形方法、該成形方法により形成されるインク吸収体、該イン ク吸収体を用いたインクタンク、インクジェットカートリッジ、インクジェット記録装置、及び インクタンクの製造方法

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維体を加熱処理して繊維同士を相互融
    着する、インクジェット用のインク吸収体の成形方法で
    あって、 前記繊維体に下から吹き上げられる熱風を通過させ、前
    記繊維体の姿勢を維持したまま前記繊維体を浮上させた
    状態で所望の繊維の少なくとも一部を溶融させる加熱工
    程と、 加熱されている前記繊維積層体を所望の厚さに相対的に
    上下方向から圧縮する圧縮工程と、 圧縮されている前記繊維積層体を冷却し前記繊維の溶融
    部を固化し、繊維の交点を固定する冷却工程とを有す
    る、インク吸収体の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記繊維体は、繊維の方向がほぼ揃えら
    れたウェブを積層した繊維積層体である、請求項1に記
    載のインク吸収体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記繊維体の繊維と絡み合って前記繊維
    体を保持する通気性シートを介して、通気性を有する支
    持部材上に前記繊維体を載置する準備工程を更に有し、
    該工程の後に前記加熱工程が実施される、請求項1に記
    載のインク吸収体の成形方法。
  4. 【請求項4】 前記冷却工程後の繊維体を切断し、棒状
    の繊維体を得る第1の切断工程と、 該棒状の繊維体を再加熱しながらダイスを通過させるこ
    とで所望の断面形状となるように圧縮変形させる成形工
    程と、 該成形工程後の繊維体を冷却後、所望の大きさに切断す
    る第2の切断工程と、をさらに有することを特徴とする
    請求項1に記載のインク吸収体の成形方法。
  5. 【請求項5】 前記成形工程において、前記繊維の積層
    方向に前記棒状の繊維体を圧縮変形させることを特徴と
    する請求項4に記載のインク吸収体の成形方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし3に記載の方法で成形さ
    れたインク吸収体であって、 該インク吸収体の表面を形成する繊維同士の隙間が、該
    インク吸収体内部を形成する繊維同士の隙間と実質的に
    同じ大きさであることを特徴とするインク吸収体。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし3に記載の方法で成形さ
    れたインク吸収体を収容するインクタンクであって、該
    インク吸収体を収容する筐体を有し、 前記インク吸収体は、該筐体に対して圧縮して挿入され
    るとともに、該インク吸収体は、該インク吸収体を形成
    する繊維の積層方向がそれと交叉する方向よりもより圧
    縮されるように筐体内に挿入されていることを特徴とす
    るインクタンク。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のインク吸収体を収容す
    るインクタンクであって、該インク吸収体を収容する筐
    体を有し、 前記インク吸収体は、該筐体に対して圧縮して挿入され
    るとともに、該インク吸収体は、該インク吸収体を形成
    する繊維の積層方向がそれと交叉する方向よりもより圧
    縮されるように筐体内に挿入されていることを特徴とす
    るインクタンク。
  9. 【請求項9】 該インク吸収体の該インクタンク筐体へ
    の挿入前と挿入後の体積比が2〜4倍であることを特徴
    とする請求項7または8に記載のインクタンク。
  10. 【請求項10】 請求項7ないし9のいずれかに記載の
    インクタンクと、該インクタンクの保持するインクを外
    部に吐出するための記録ヘッドとを備えることを特徴と
    するインクジェットカートリッジ。
  11. 【請求項11】 請求項7ないし9のいずれかに記載の
    インクタンクと、該インクタンクの保持するインクを外
    部に吐出するための記録ヘッドと、該記録ヘッドを搬送
    させるためのキャリッジと、を備えることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 インクを吸収保持するインク吸収体を
    有するインクタンクの製造方法であって、 請求項1ないし4のいずれかに記載の方法で成形された
    インク吸収体と、該インク吸収体を収納する筐体と、を
    それぞれ用意する工程と、 前記インク吸収体を形成する繊維の積層方向がそれと交
    叉する方向よりもより圧縮されるように、該インク吸収
    体を前記筐体内に圧縮挿入する工程と、を有することを
    特徴とするインクタンクの製造方法。
JP2001111349A 2001-04-10 2001-04-10 インクジェット用インク吸収体の成形方法、該成形方法により形成されるインク吸収体、該インク吸収体を用いたインクタンク、インクジェットカートリッジ、インクジェット記録装置、及びインクタンクの製造方法 Pending JP2002307715A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006281589A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Fuji Photo Film Co Ltd 液体収納容器及びインクジェット記録装置
CN101767489B (zh) * 2008-12-16 2012-08-29 精工爱普生株式会社 记录装置

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