JP2002302718A - 方向性電磁鋼板の製造方法及び方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤 - Google Patents

方向性電磁鋼板の製造方法及び方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤

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JP2002302718A
JP2002302718A JP2001109151A JP2001109151A JP2002302718A JP 2002302718 A JP2002302718 A JP 2002302718A JP 2001109151 A JP2001109151 A JP 2001109151A JP 2001109151 A JP2001109151 A JP 2001109151A JP 2002302718 A JP2002302718 A JP 2002302718A
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Minoru Takashima
高島  稔
Hiroshi Yamaguchi
山口  広
Mitsumasa Kurosawa
光正 黒沢
Michiro Komatsubara
道郎 小松原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一で平滑な表面を有し磁気特性に優れる方
向性電磁鋼板の製造方法を提案すること、併せてそのよ
うな方向性電磁鋼板を得るのに好適な焼鈍分離剤を提案
する。 【解決手段】 方向性電磁鋼板用スラブを熱間圧延し、
ついで必要に応じて熱延板焼鈍を行った後、1回又は中
間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施し、一次再結晶焼
鈍後あるいはさらに窒化処理を行った後、焼鈍分離剤を
塗布してコイル状に巻きとって最終仕上焼鈍を施す方向
性電磁鋼板の製造方法において、乾燥状態で、0.1mass%
以上10mass%未満の臭素化合物を含有する焼鈍分離剤を
用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気的に平滑な
表面を有し、磁気特性、特に鉄損に優れる方向性電磁鋼
板の製造方法及びそれに用いる焼鈍分離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、発電機、変圧器など
電気機器の鉄心用材料として用いられ、近年省エネルギ
ーの観点から優れた磁気特性を有する電磁鋼板が求めら
れるようになってきている。この方向性電磁鋼板の表面
には、一般に、フォルステライト質被膜および絶縁コー
ティングの二重絶縁被膜が形成されており、それにより
鋼板表面の絶縁性が高められるとともに付与される張力
によって磁区の細分化がなされ、鉄損の改善が図られて
いる。
【0003】この二重絶縁被膜のうち、フォルステライ
ト質被膜は、一次再結晶板の表面に存在するSiO2と一次
再結晶板に塗布される焼鈍分離剤中のマグネシア(Mg
O)が最終仕上焼鈍中に反応することによって形成され
るものであるが、その形成機構と相俟ってフォルステラ
イト質被膜と地鉄界面に凹凸が存在し、これが磁壁の移
動を妨げ、鉄損を劣化させるという問題がある。この問
題を解決するためには、磁壁移動の妨げとなる凹凸を消
滅させて鋼板表面を磁気的に平滑化することが望まし
く、そのための手段として、最終仕上焼鈍でフォルステ
ライト質被膜をなるべく形成させないようにして鋼板表
面の平滑化を容易にする技術が多数提案されている。
【0004】例えば、特開昭59-96278号公報には、焼鈍
分離剤として10μm以下のアルミナと1300℃以上の高温
で焼成した不活性MgOを用いてフォルステライト質被膜
の形成を抑制する技術が、また、特開昭64-62417号公報
には焼鈍分離剤中にアルカリ金属あるいはアルカリ土類
金属の塩化物を配合し、フォルステライト質被膜の形成
を抑制する技術が、特開平8-337823号公報にはMgO:10
〜20mass%、Al2O3:20〜50mass%、残部:SiO2よりなる
焼鈍分離剤を用いる技術がそれぞれ開示されている。ま
た、特開平5-26315号公報には鋼中にSbを0.035〜0.1mas
s%含有せしめ、脱炭焼鈍においてサブスケール形成量を
0.35〜0.65g/m2とし、MgOを5〜40mass%含有する焼鈍分
離剤を塗布する方法が開示されている。また、特開平11
-335974号公報には焼鈍分離剤にタリウムまたは鉛の塩
素化合物、またはフッ化物を0.1〜10重量部含有させる
方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらのフォルステラ
イト質被膜を形成させない技術は、磁気特性向上に一定
の効果が認められるものの、近年の優れた磁気特性の要
求に対しては十分ではない。すなわち、従来技術では、
良好な磁気特性を得るために必要な均一で平滑な表面を
得ることは困難であるという問題がある。
【0006】本発明は、従来技術の有する問題点を解決
することを目的とし、均一で平滑な表面を有し磁気特性
に優れる方向性電磁鋼板の製造方法を提案すること、併
せてそのような方向性電磁鋼板を得るのに好適な焼鈍分
離剤を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は方向性電磁
鋼板の製造工程中最終仕上焼鈍の過程で用いる焼鈍分離
剤に臭素(Br)化合物を添加すると、上記目的が達せら
れることを発見して本発明を完成した。
【0008】すなわち、この発明は、方向性電磁鋼板用
スラブを熱間圧延し、ついで必要に応じて熱延板焼鈍を
行った後、1回又は中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を
施し、一次再結晶焼鈍後に、あるいはさらに窒化処理を
行った後、焼鈍分離剤を塗布してコイル状に巻きとって
最終仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、乾燥状態で、臭素元素に換算して0.1mass%以上10ma
ss%未満の臭素化合物を含有する焼鈍分離剤を用いるこ
ととするものである。
【0009】上記発明において焼鈍分離剤塗布後、コイ
ル状に巻き取る際、巻取り張力T(MPa)を、 -30×[Br]0.5+230>T>-10×[Br]0.5+60 とするのが好適である。ここで、[Br]は焼鈍分離剤中の
臭素含有率(mass%)をいい、巻き取り張力とは、焼鈍
分離剤塗布後、鋼板をコイルとするときに、鋼板に働く
単位面積当たりの張力をいう。
【0010】上記発明において、焼鈍分離剤は臭素とし
てAg、Al、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Sb、S
n、Sr、Ta、Ti、W、Zn、Zr、Nb、InおよびNiから選ばれ
る元素の臭素化合物を1種又は2種以上含有することが望
ましい。
【0011】また、上記発明を実施するに当たっては、
乾燥状態で、臭素化合物を臭素元素の換算して0.1mass%
以上、10mass%未満含有し、残部マグネシア及び不可避
的不純物からなる方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤を用いる
のが好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を具体的
に説明する。まず、本発明の基礎となった実験データに
ついて説明し、ついで本発明を実施するための具体的条
件について詳述し、さらに実施例によって本発明の実施
形態を一層明らかにする。
【0013】(基礎実験1)C:0.05mass%、Si:3.0mas
s%、Mn:0.06mass%、Se:0.010mass%、Al:0.03mass%、
N:0.005mass%を含有する鋼塊を製造し、これを常法に
より熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とした。得られた
熱延板に1000℃×30秒の熱延板焼鈍を施した後、1000℃
×30秒の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して板厚0.2
2mmの最終板厚を有する冷延板とした。これに湿水素
雰囲気中で脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を施して表面に
SiO2を含む酸化被膜層を形成させ、その上に焼鈍分離剤
を塗布し、コイル状に巻回し、乾水素雰囲気中で1200℃
×5時間の最終仕上焼鈍を施して製品とした。
【0014】上記実験に当たり、焼鈍分離剤の組成はMg
OにNiBr2を添加して焼鈍分離剤中の臭素含有量を乾燥状
態で0.05mass%〜15mass%まで変化させた。ここで乾燥状
態とは、水スラリーとなった焼鈍分離剤から水分(結晶
水を除く)を蒸発させた状態をいい、臭素含有量は、こ
の状態で焼鈍分離剤中に含有される臭素化合物NiBr2
臭素元素(Br)換算分をいう。なお、上記基礎実験にお
いてはコイル巻取り張力は一般に用いられる50MPaとし
た。
【0015】得られた製品のコイル幅中央部から試片を
採取して磁気特性Whを測定した。ここにWhとは最大1.7T
まで励磁したときの50Hz相当の履歴損である。また、製
品の表面状態をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し
た。結果は表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示すように、臭素含有量が1〜7mass
%のとき、製品表面は金属光沢を有し平滑であって、フ
ォルステライト質被膜はなく、良好な磁気特性を示す
が、臭素含有量が少ない場合(A)およ臭素含有量の多
い(C)では、製品表面に島状にフォルステライト質被膜
が形成され、鋼板表面は平滑ではなく、磁気特性も劣化
した。このような実験を繰り返すことにより、最終仕上
焼鈍の段階において、乾燥状態で、0.1mass%以上、10ma
ss%未満の臭素分を含有する焼鈍分離剤を用いること
が、表面が平滑で、かつ磁気特性の優れた方向性電磁鋼
板を製造するのに効果的であることが分かった。
【0018】このように適量の臭素分を焼鈍分離剤中に
含有する焼鈍分離剤を用いることにより表面が平滑で、
磁気特性の優れた方向性電磁鋼板を製造することができ
るが、より確実にコイル幅方向全域に亘って表面性状と
電磁特性の良好な製品を得るためには、以下に述べる基
礎実験2により示されるようにコイル巻取り張力に留意
することが肝要である。
【0019】(基礎実験2)C:0.05mass%、Si:3.0mas
s%、Mn:0.06mass%、S:0.012mass%、Al:0.03mass%、C
u:0.1mass%およびN:0.007mass%を含有する鋼塊を製造
し、これを常法により処理して板厚2.2mmの熱延板とし
た。得られた熱延板に1000℃×30秒の熱延板焼鈍を施し
た後、1000℃×30秒中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施
し0.22mmの最終板厚をもつ冷延板を得た。この冷延板に
湿水素雰囲気中で脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を施し、
鋼板表面にSiO2を含む酸化被膜層を形成させ、その上に
焼鈍分離剤を塗布し、コイル状に巻きとって1200℃×5
時間の最終仕上焼鈍を行って製品とした。この実験にお
いては、焼鈍分離剤の組成はMgOにNiBr2を添加して焼鈍
分離剤中の臭素含有量を乾燥状態で0.05%〜15mass%まで
変化させ、また、コイル巻取り張力を25〜250MPaの間で
変化させた。
【0020】上記基礎実験2によって得られた製品コイ
ル幅中央部およびコイルエッジから50mmの位置より試片
を採取し、磁気特性Whを測定した。磁気特性がコイル幅
中央部とコイルエッジ部とで差が認められたときには低
い方の値を採用し、これを焼鈍分離剤中の臭素含有量及
びコイル巻取り張力を関係付けて示したのが図1であ
る。
【0021】図1に示すように、焼鈍分離剤中の臭素含
有量が0.1mass%未満のとき、あるいは10mass%以上であ
ると優れた磁気特性を得ることができないが、0.1mass%
以上、かつ10mass%未満のときは、巻取り張力と臭素含
有量が下記の関係 -30×[Br]0.5+230>T>-10×[Br]0.5+60 を満たすとき磁気特性が良好になることが分かる。すな
わち、上記関係を満たすときコイル幅方向に均一で良好
な磁気特性が得られる。特に、 -30×[Br]0.5+190>T>-10×[Br]0.5+100 の関係を満たすときはWhが極めて低い。
【0022】上記関係を満たすときには、コイル幅方向
全体に亘って製品表面は金属光沢を呈していた。しか
し、臭素含有量が0.1mass%未満あるいは10mass%以上の
場合には鋼板表面には島状にフォルステライトが形成さ
れ、鋼板表面は平滑でなかった。また、臭素含有量が0.
1mass%以上、かつ10mass%未満であっても、巻き取り張
力が上記範囲を超える場合には、コイルエッジ部では良
好な磁気特性が得られるものの、コイル幅中央部に島状
のフォルステライトが形成され、その部分で磁気特性が
劣化した。一方、巻き取り張力が上記範囲を下回る場合
には、コイル幅中央部では良好な磁気特性が得られるも
のの、コイルエッジ部で島状のフォルステライトが形成
され、その部分で磁気特性が劣化した。
【0023】このように、焼鈍分離剤中の臭素含有量と
鋼板の巻き取り張力が製品の表面状態、ひいては製品の
磁気特性に影響を及ぼす理由は以下のとおりである。
【0024】一次再結晶焼鈍板の表面にはSiO2層が存在
する。このSiO2層には、仕上焼鈍中に二つの重要な変化
が起きる。一つは形態上の変化である。一次再結晶板で
は平滑であったSiO2層−地鉄の界面が仕上焼鈍中に凹凸
が大きくなり、いわゆるアンカーと称される食い込み部
を持ったSiO2層となる。他の一つは化学組成上の変化で
ある。焼鈍分離剤の主成分であるMgOがSiO2層と反応し
フォルステライト(Mg2SiO4)となる。
【0025】MgOに臭素若しくは臭素化合物が含まれて
いないとき、あるいはその量が極めて少ないときには、
仕上焼鈍中のフォルステライトの形成に先立ち、SiO2
アンカーが形成される結果、アンカーをもったフォルス
テライト質被膜が形成され、その結果フォルステライト
質被膜は地鉄から剥離しないものとなる。
【0026】しかし、MgOに臭素が含まれているときに
は、仕上焼鈍中のフォルステライト形成反応が促進さ
れ、極めて低温よりフォルステライトが形成し始める。
そのため、SiO2のアンカーが形成される前にSiO2層はMg
Oと反応してフォルステライトとなり、アンカーのない
フォルステライトが地鉄表面に形成される。その結果、
フォルステライト質被膜は地鉄中にアンカーをもたな
い、いわば地鉄から遊離したものとなり、鋼板表面は平
滑となり、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板が得られ
る。
【0027】一方、MgOに過多の臭素が含まれるとき
は、仕上焼鈍中に融点の低い臭素化合物が多量の液相を
形成する。この液相は地鉄の粒界に侵入してアンカーと
なり、その結果、アンカーの多いフォルステライト質被
膜が形成され、フォルステライト質被膜は地鉄から剥離
しなくなる。
【0028】したがって、仕上焼鈍中に焼鈍分離剤に含
まれる臭素の量を適正にすることが、良好な磁気特性を
得るために重要である。しかしながら、焼鈍分離剤中に
添加・配合された臭化物は気化しやすい。そのため鋼板
の巻取り張力が小さいときには、コイルエッジの臭化物
が気化してコイル外に逸散する結果、アンカーが形成さ
れ、島状にフォルステライト質被膜が形成されることに
なり、製品の磁気特性が劣化する。一方、巻取り張力が
大きいときには、臭素の逸散し難いコイル中央部で、焼
鈍分離剤中に臭素が過多に残留する結果、上述のように
液相が多量に形成されてアンカーの多い被膜となり、や
はり島状にフォルステライト質被膜が形成され、製品の
磁気特性が劣化する。
【0029】したがって、焼鈍分離剤中の臭素含有量を
適性に保ち、さらにその量に応じて鋼板の巻き取り張力
を制御することにより、均一かつ良好な磁気特性を得る
ことができるようになる。
【0030】本発明は、上記のように方向性電磁鋼板の
製造過程において用いられる焼鈍分離剤中に適量の臭素
分を含有させること、さらに必要に応じて巻取り張力を
制御することによって均一かつ良好な磁気特性を有する
方向性電磁鋼板の製造を可能にするものである。その他
の条件は、常法に従えばよく、特に制限されるものでは
ないが、以下に示すものとするのが好適である。
【0031】(電磁鋼スラブの化学組成) C:0.10mass%未満 Cは熱延後の金属組織を改善するために含有させること
ができる。しかしながら、0.10mass%以上の含有させる
と、脱炭不良による磁気時効を生ずるので0.10mass%を
上限とする。
【0032】Si:2.0〜4.5mass% Siは鋼板の比抵抗を高め、鉄損の低減に有効に寄与する
が、4.5mass%を超えると脆性のため圧延が困難となり、
一方2.0mass%未満では比抵抗向上の効果が不十分となる
なので、2.0〜4.5mass%で含有させるのが好ましい。
【0033】Mn:0.02〜3.0mass% Mnは熱間脆性を防止するため、0.02mass%以上含有させ
ることが望ましい。しかし、3.0mass%以上含有させる
と、磁気特性の劣化が起こるので0.02〜3.0mass%とする
ことが望ましい。
【0034】Al、N、Cu、S、Se、B これら元素はインヒビター成分として、単独で、あるい
はこれらを複合して適宜含有させる。その場合におい
て、Alは0.005〜0.08mass%、Nは0.001〜0.05mass%、Cu
は0.005〜2.0mass%、Sは0.005〜0.08mass%、Seは0.005
〜0.08mass%、Bは0.002〜0.1mass%とするのが磁気特性
の点から望ましい。
【0035】その他の成分 上記のほか、インヒビターの補助成分として、Sb、Sn、
Bi、Teなど偏析型元素を添加することも可能であり、ま
た、粒界割れに起因する表面性状の劣化を防止するため
に、Moなどの第三元素を添加することもできる。
【0036】(圧延と熱処理)上記により定められた所
定の成分に調整された溶鋼は、一般に連続鋳造によって
スラブとした後、1000℃〜1460℃でのスラブ加熱され、
熱間圧延によって熱延板とされる。ついで、必要に応じ
て熱延板焼鈍を行ったのち、冷間圧延により最終板厚と
する。この際、冷間圧延の途中で、金属組織を改善する
目的で、中間焼鈍を行ってもよい。最終板厚となった冷
間圧延板は、一次再結晶焼鈍に供される。この一次再結
晶焼鈍の後、窒化処理を行ってもよい。
【0037】このようにして得られた一次再結晶焼鈍板
には、臭素分を適量に含有する焼鈍分離剤が塗布され
る。塗布の方法は、公知のいずれの方法でもよく、一般
には焼鈍分離剤を水スラリーとしてロールコータによっ
て塗布する方法が採用されるが、粉末のまま静電塗布す
る方法等も利用できる。なお、焼鈍分離剤中に臭素分を
含有させるための手段としては、金属の臭化物をMgOを
主体とする晶鈍分離剤中に添加すれば良く、Ag、Al、B
a、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Sb、Sn、Sr、Ta、
Ti、W、Zn、Zr、Nb、InおよびNiから選ばれる元素の臭
素化合物を1種又は2種以上を混合して添加することが
好ましい。また、臭素酸塩も利用することができる。
【0038】また、TiO2やSrSO4などの公知の添加剤、あ
るいはAl2O3やSiO2などのフォルステライト質被膜形成
抑止効果を高める公知の添加剤をそれぞれ30mass%を上
限ととして添加することができる。
【0039】焼鈍分離剤を塗布された一次再結晶焼鈍板
は、ついで、コイル状に巻かれて最終仕上焼鈍に供され
る。その際、焼鈍分離剤中の臭素含有量に応じて前述の
関係を保って鋼板の巻取り張力を制御するのが望まし
い。最終仕上焼鈍の条件は、公知のいずれの方法でもよ
いが、二次再結晶が完全に完了すること、及び鋼板の純
化が完全に行われる条件にすべきである。そのため、水
素含有雰囲気中にて1100〜1300℃の温度で1〜30時間の
焼鈍を施すのが好適である。
【0040】最終仕上焼鈍によって二次再結晶が完了
し、かつ純化された鋼板は、実質的にフォルステライト
質被膜や酸化物層を有さず、本発明の目的とする磁気的
に平滑な表面を有する。これをそのまま製品とすること
もできるが、適当な絶縁被膜を被成しておくのが使用上
望ましい。絶縁被膜としては、公知のものがいずれも適
用しうるが、張力付与型絶縁被膜、たとえばリン酸塩−
コロイダルシリカ系の絶縁被膜や特開昭62-23984号公報
に示されるようなTiN系セラミック被膜や特開平8-28395
6等公報に示されるようなホウ酸アルミナ系の絶縁被膜
などが特に好適である。
【0041】
【実施例】(実施例1)C:0.05mass%、Si:3.2mass%。M
n:0.06mass%、S:0.02mass%、Se:0.001mass%、Al:0.
02mass%、N:80massppmおよびCu:0.2mass%を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物からなるスラブを1400℃
に加熱した後、熱間圧延により2.0mm厚の熱延板とし
た。得られた熱延板に1000℃×30秒の熱延板焼鈍を施し
た後、1000℃×30秒の中間焼鈍を挟む温間圧延により0.
20mmの板厚に仕上げ、さらに脱炭を兼ねた一次再結晶焼
鈍を施した。
【0042】得られた一次再結晶板に焼鈍分離剤を水ス
ラリーとして塗布し、乾燥後、コイル状に巻き取った。
その際、焼鈍分離剤中のBr含有量をMgOに添加するInBr3
量によって変化させるとともに、巻き取り張力も種々変
化させた。得られたコイルを乾水素中で1200℃×5時間
の最終仕上焼鈍に付して製品とした。得られた製品板の
磁気特性を図2に示す。評価の方法は基礎実験2におい
て用いたのと同様である。
【0043】図2から明らかなように、本発明にしたが
い臭素分を含有する焼鈍分離剤を用い、さらに巻取り張
力を所定範囲内に調整した場合には、コイル幅中央部、
コイルエッジにおいて良好な磁気特性が得られた。な
お、製品鋼板の表面は均一な金属光沢を示し、フォルス
テライト質被膜や酸化物層の形成は認められなかった。
【0044】(実施例2)C:0.005mass%、Si:3.2mass
%、Mn:0.06mass%、S:0.001mass%、Se:0.01mass%、A
l:0.02mass%、N:80ppm、Sb:0.03mass%を含有し、残
部はFeおよび不可避的不純物からなるスラブに示す成分
からなる方向性電磁鋼板用スラブを1430℃に加熱し、熱
間圧延によって2.0mm厚の熱延板を得た。得られた熱延
板に対し、1000℃×1分間の熱延板焼鈍を施した後、冷
間圧延により板厚0.27mmの冷延板とし、これに湿水素雰
囲気中にて脱炭焼鈍を兼ねる一次再結晶焼鈍を施した。
【0045】このようにして得られた一次再結晶板に表
2、表3に示すように種々の臭化物を配合した焼鈍分離
剤を水スラリーとして塗布しコイル状に巻き取った。そ
の際の巻取り張力は、表2、表3に併せて示した。得ら
れたコイルを乾水素雰囲気中、1200℃×5時間の最終仕
上焼鈍に付して製品とし、その磁気特性を測定した。結
果を表2、表3に併せて示した。ここに示すようにMgO
中に配合する臭化物の種類が異なっても、本発明の条件
に従う限り、コイル幅方向に均一かつ良好な磁気特性を
有する製品が得られることが確認できた。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、コイル全幅方向にわた
り、表面が磁気的に平滑化された極めて鉄損、特にWhの
低い方向性電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼鈍分離剤中の臭素含有量[Br](mass%)お
よび巻き取り張力(T)が磁気特性に及ぼす影響を示す
図である。
【図2】 図1とは別の実験における焼鈍分離剤中の臭
素含有量[Br](mass%)および巻き取り張力(T)が磁気
特性に及ぼす影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒沢 光正 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 小松原 道郎 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4K033 AA02 FA12 HA01 HA03 LA01 LA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 方向性電磁鋼板用スラブを熱間圧延し、
    ついで必要に応じて熱延板焼鈍を行った後、1回又は中
    間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施し、一次再結晶焼
    鈍後に、あるいはさらに窒化処理を行った後、焼鈍分離
    剤を塗布してコイル状に巻きとって最終仕上焼鈍を施す
    方向性電磁鋼板の製造方法において、 乾燥状態で、臭素化合物を臭素元素に換算して0.1mass%
    以上10mass%未満含有する焼鈍分離剤を用いることを特
    徴とする磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼鈍分離剤塗布後、コイル状に巻き取る
    際、巻取り張力T(MPa)を、 -30×[Br]0.5+230>T>-10×[Br]0.5+60 ここで、[Br]は焼鈍分離剤中の臭素含有率(mass%)と
    することを特徴とする請求項1記載の磁気特性に優れた
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼鈍分離剤はAg、Al、Ba、Ca、Ce、Co、
    Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Sb、Sn、Sr、Ta、Ti、W、Zn、Z
    r、Nb、InおよびNiから選ばれる元素の臭素化合物を、
    焼鈍分離剤中に1種又は2種以上含有するものであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の磁気特性に優れた
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 乾燥状態で、臭素化合物を臭素元素に換
    算して0.1mass%以上、10mass%未満含有し、残部マグネ
    シア及び不可避的不純物からなることを特徴とする方向
    性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
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