JP2002301672A - 産業用ロボットの位置制御方法 - Google Patents

産業用ロボットの位置制御方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】冗長性を有する作業対象物に対してロボットの
腕が届く範囲が最大限となるように産業用ロボットの位
置、姿勢を制御する。 【解決手段】6軸以上の自由度を持ち、空間上の直交座
標系で目標制御点(マトリックス:ocp)の位置、姿
勢を与えられたとき、ocpob bw wf feob
は3本の基本軸J1、J2、J3で決定される位置マト
リックス;bwは3本の手首軸でとる姿勢マトリック
ス;wfは工具の取付けフランジマトリックス;fe
工具のエンドエフェクタマトリックス)の関係からロボ
ットの位置を制御する。この場合ob の取り得る位置
集合である、目標のocpの位置を原点としたベクトル
Vの冗長軸方向の点Pvを原点とした円周上で、ロボッ
ト演算原点Tからの距離が最小となる点Pb'を ob
直交成分となるように目標ocpocp'として求め直
し、このocp'を逆運動学変換し、導出した各関節座標
系の各軸の位置を動作目標とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に産業用ロボ
ットの位置制御方法に関するものであり、特に産業用ロ
ボットにて作業する場合に対象物の円筒物体の把持方向
や溶接トーチ方向など、その方向回りの姿勢に冗長性が
ある場合の産業用ロボットの位置制御に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、産業用ロボットで作業を行う場
合、目標の直交空間上の位置と姿勢は確定しておく必要
がある。円筒物体の把持方向や溶接トーチ方向などの回
りに冗長な軸がある場合は、有利な近接可能状態に基づ
いて6軸の座標を確定する。しかしそれでも作業対象物
の位置、状態が他の作業対象物と変わっているとその作
業対象物にはロボットの腕が届かなくなり、作業の中断
を招くことがあった。このような事態をなくすため冗長
軸回りに姿勢を調整して作業対象物に届くロボットの姿
勢を有利に人手によって決定しようとすると、そのため
の教示作業は煩瑣となる。これを解決しようとして、コ
ンピュータシュミレーションにより届く姿勢を捜す作業
を自動化することが提案され、実施されている。これは
冗長軸回りの全探索手法であって、時間(数秒から数十
秒)を要するという不都合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、その
ような冗長性を有する作業対象物に対してロボットの腕
が届く範囲が最大限となるようにする産業用ロボットの
位置制御方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するには
3つの基本軸で定まるロボットの位置、姿勢を、それの
腕を最大限に延ばせる状態に設定することによってなさ
れる。
【0005】すなわち、6軸J1−J6以上の自由度を
持ち、空間上の直交座標系で目標制御点(マトリック
ス:ocp)の位置(X,Y,Z)、姿勢(Rx,Ry,
Rz)を与えられたとき、ocpob bw wf feo
bは3本の基本軸J1、J2、J3で決定される位置
マトリックス;bwは3本の手首軸でとる姿勢マトリッ
クス;wfは工具の取付けフランジマトリックス;fe
は工具のエンドエフェクタマトリックス)の関係から目
標の各関節座標系の各軸の位置を導出してロボットの位
置を制御する方法において、ob の取り得る位置集合
である、目標のoc pの位置を原点としたベクトルVの
冗長軸方向の点Pvを原点とした円周上で、ロボット演
算原点Tからの距離が最小となる点Pb’をob
直交成分となるように目標ocpocp’として求め直
し、このocp’を逆運動学変換し、導出した各関節座
標系の各軸の位置を動作目標とする。
【0006】
【作用】本発明により初期設定されたロボットは、標準
状態から外れた作業対象物を検知すると3つの基本軸の
作動によって腕を最大限延ばせるようにロボットの基本
姿勢を変更し、その残りの3つの軸の作動によってその
作業対象物に対処できる。また、本発明により冗長軸回
りの全探索は不要となって初期設定に要する時間は実質
的に短縮される。
【0007】作業に当たっては作業中にロボットの腕が
届かなくなって作業を中断するという事態は回避され
る。
【0008】
【発明の実施の形態】添付図を参照して本発明の実施の
形態を説明する。
【0009】図1は本発明の位置制御方法を適用できる
産業用ロボットの典型例を示し、図2はこの産業用ロボ
ットの機構構成を示している。このロボットはR−P−
P−R−P−Rの一般的ロボットであり、j1からj6
軸の自由度がある。図3はこの機構構成と座標系の関係
を示す。作業対象物はベクトルVの回りならどの方向か
ら掴んでもよいとし、ベクトルVを冗長軸方向とする。
基本軸(j1−j3)により決定されるマトリックスを
ob として obの直交成分をPbとする。姿勢軸(j
4−j6)により決定されるマトリックス(位置要素は
0)をbwとし、bw を平行移動して工具取り付けフ
ランジを決定するマトリックスをwfとし、フランジか
ら制御点へのエンドエフェクタ (ツール)マトリック
スをf eとし、目標点マトリックスをocpとする。
【0010】尚、図ではツールはグリッパとしている。
本発明の処理を行うことによりoc pを求め直し、
ocp’とし、ocp’を逆運動学変換して各軸の関節角
度を求める。図4にocpを制御点としたロボットの座
標系と円Cの座標系関連図を、図5に新たな、ocp
を求める処理に関連した座標系説明図を、図6に
ocp’を求める処理フローを示す。以下に、その処理
を詳述する。尚、この処理の前に既知なデータは
ocp、V、wf、 feである。
【0011】 指定されたocpへ動作する場合のP
bを以下のように求める。
【0012】ocpob bw wf fe である。また
bw は末知であるが、直交位置要素は0であるためo
b bwの直交要素がPbである。このため ob bwocp fe −1wf −1 1) によりPbを導出できる。
【0013】 Pbの取り得る円Cのマトリックスと
して直交要素が円の中心位置Pv姿勢行列のx方向がPv
bの単位ベクトル、z方向がVの単位ベクトルである
マトリックスvを求める。
【0014】2−1)Pb[Pbx,Pby,Pbz]からベク
トルVへ垂線を降ろしPv[Pvx,Pvy,Pvz]とす
る。
【0015】2−2)ベクトルPvbの単位ベクトルを
xとする。
【0016】 Vx=Pvb / |PvPb| …2) 2−3)Vの単位ベクトルをVz とする。
【0017】 Vz=V/|V| …3) 2−4)VzとVxの外積をVyとする。 Vy=Vz×
x 2−5)Pvを原点として、Vx,Vy,Vzを姿勢行列要
素としたマトリックスをovとする。
【0018】 ロボット原点から円Cへ最も近い点
をPb’とし、Pb’へ基本軸が動作できるocp’を求
める。ocp’はocpと同じ直交位置で姿勢行列要素が
異なる。
【0019】3−1)ロボット原点から円Cを含む平面
へ垂線を降ろした点を求める。oから見たロボット
原点Toの座標voを求める。
【0020】 voov −1 …4) 求めたvoのx、yの項はそのままでz方向成分が0の点
が円Cを含む平面へ垂線を降ろした点のov から見た
座標値P1である。
【0021】 P1[P1x,P1y,P1z]= [voのx成分、voのy成分、0] … 5) 3−2)oの直交位置点からPへ向かう単位ベク
トルをVx’とする Vx’=P/|P| …6) 3−2)VxからVx’への角度θを求める。
【0022】 θ=tan-1(P1y/P1x) …7) 3−3)ocpをVz回りにθだけ回転させたマトリック
スをocp’として求める。
【0023】ocp’=ocpRot(Vx,θ) …8) 以上がocp’を求める処理である。
【0024】ocp’はocpをVz回りにθだけ回転さ
せたマトリックスであるが、wf fe は固定値であ
り、bw は直交位置要素が0のマトリックスであるた
o’の直交位置要素Pb’は円C上にPbをVz回り
にθだけ回転させた位置となりロボット原点から最も近
く且つ、円C上の点となる。
【0025】ocp’を求めた後は ocp’に対して従
来の逆運動学変換を行い、各軸の関節角度を導出し、そ
の位置への位置制御を行う。
【0026】
【発明の効果】本発明により冗長軸回りの全探索は不要
となって初期設定に要する時間は実質的に短縮される。
また、作業中にロボットの腕が届かなくなって作業を中
断するという事態は回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】産業用ロボットの斜視図。
【図2】図1の産業用ロボットの機構構成図。
【図3】図2の機構構成と座標系の関係図。
【図4】ocpを制御点としたロボットの座標系と円C
の座標関連図。
【図5】新たなocp’を求める処理に関連した座標系
説明図。
【図6】実施例としての逆運動学処理フロー。
【符号の説明】ocp :目標制御点ob:基本軸3軸で決定される位置マトリックスbw:手首軸3軸でとる姿勢マトリックスwf :工具の取付けフランジマトリックスfe :工具のエンドエフェクタマトリックス V:冗長軸方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 純 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2番1号 株式会社安川電機内 Fターム(参考) 3C007 BS12 LV05 LV19 MT07

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】6軸J1−J6以上の自由度を持ち、空間
    上の直交座標系で目標制御点(マトリックス:ocp
    の位置(X,Y,Z)、姿勢(Rx,Ry,Rz)を与え
    られたとき、ocpob bw wf feobは3本の
    基本軸J1、J2、J3で決定される位置マトリック
    ス;bwは3本の手首軸でとる姿勢マトリックス;wf
    は工具の取付けフランジマトリックス;feは工具のエ
    ンドエフェクタマトリックス)の関係から目標の各関節
    座標系の各軸の位置を導出してロボットの位置を制御す
    る方法において、ob の取り得る位置集合である、目
    標の ocpの位置を原点としたベクトルVの冗長軸方向
    の点Pvを原点とした円周上で、ロボット演算原点T
    からの距離が最小となる点Pb’をob の直交成分と
    なるように目標ocpocp’として求め直し、このo
    cp’を逆運動学変換し、導出した各関節座標系の各軸
    の位置を動作目標とすることを特徴とする産業用ロボッ
    トの位置制御方法。
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