JP2002298325A - 磁気記録媒体及びそれを備える磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びそれを備える磁気記録装置

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JP2002298325A
JP2002298325A JP2001105495A JP2001105495A JP2002298325A JP 2002298325 A JP2002298325 A JP 2002298325A JP 2001105495 A JP2001105495 A JP 2001105495A JP 2001105495 A JP2001105495 A JP 2001105495A JP 2002298325 A JP2002298325 A JP 2002298325A
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Akira Yano
亮 矢野
Koichiro Wakabayashi
康一郎 若林
Harumi Sakamoto
晴美 坂本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性に優れ、超高密度記録可能な熱アシ
スト磁気記録用の垂直磁気記録媒体及びそれを備える磁
気記録装置を提供する。 【解決手段】 再生温度近傍に補償温度を有する磁化安
定化層を記録層に接して形成する。記録層と磁化安定化
層の希土類金属の磁化同士、遷移金属の磁化同士が交換
結合しているので、磁性層と磁化安定化層の2層を1つ
の磁性体とみなすことができ、この場合の活性化体積は
記録層と磁化安定化層の2層分となる。かかる磁気記録
媒体は熱安定性に優れる。情報記録時にはレーザー光照
射による加熱により記録層及び磁化安定化層の保磁力を
低下させ、磁気ヘッドを用いて磁界を印加して情報を記
録できる。再生温度において磁化安定化層の全体の磁化
はゼロであるので、記録層の磁化を磁気ヘッドで検出し
て情報を再生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録可能な
磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録装置に関し、特
に、光と磁界を用いて情報が記録される垂直磁気記録媒
体及びそれを備える磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を統合したマルチメデ
ィアが急速に普及してきている。マルチメディアの一つ
としてコンピュータ等に装着される磁気ディスク装置が
知られている。現在、磁気ディスク装置は、記録密度を
向上させつつ小型化する方向に開発が進められている。
また、それに並行して装置の低価格化も急速に進められ
ている。
【0003】磁気記録装置に搭載されている磁気記録媒
体の記録層には、現在Co−Cr−Pt(−Ta)系が
広く用いられている。この材料は、磁化容易軸が面内方
向にあり、20nm程度のCoの結晶粒子が析出した結
晶質材料である。かかる材料を記録層として備える磁気
記録媒体では、記録層の膜厚を厚くすると、磁化方向の
異なる磁区同士の境界から生じる磁界(反磁界)が微小
磁区の形成を阻害するために高密度記録が困難となる。
【0004】一方、記録層を形成する磁性材料に、磁化
容易軸が基板面に垂直な磁性材料を用いた磁気記録媒体
(垂直磁気記録媒体)が知られている。かかる垂直磁気
記録媒体では、磁化方向の異なる磁区の境界から生じる
磁界が微小磁区の形成を阻害するという問題がないの
で、高密度記録を実現することができる。
【0005】垂直磁気記録媒体の記録層に高密度に情報
を記録するには記録磁区を微小化する必要がある。しか
しながら、記録磁区を微小化すると熱減磁により微小記
録磁区が時間とともに消えてしまうという問題が生じ
る。したがって、高密度記録を実現するには、記録層が
熱的に安定であることが必要であった。
【0006】記録層の熱安定性を高める一つの方法とし
て、保磁力の高い磁性材料を記録層に用いる方法があ
る。しかしながら、磁気記録装置の磁気ヘッドで発生可
能な磁界強度には限界があり、磁気記録媒体の保磁力が
高くなると、磁気ヘッドを用いて記録層に記録磁区を形
成することが困難になる。
【0007】そこで、高保磁力の記録層に記録磁区を形
成する方法として、記録層の記録すべき領域に、例えば
レーザー光を照射することによって加熱して保磁力を低
下させ、保磁力が低下した領域に磁気ヘッドを用いて情
報に応じた磁界を印加して記録磁区を形成する方法が提
案されている。以下、かかる記録方法を熱アシスト磁気
記録と称する。熱アシスト磁気記録により記録された情
報の再生には、従来の磁気ディスクの再生と同様に、磁
気ヘッドに搭載された再生用素子を用いて、磁気記録媒
体からの漏れ磁界を検出する。かかる記録方法によれば
高保磁力の磁気記録媒体に情報を記録することができる
ので高密度記録が期待できる。
【0008】また、記録層の熱的安定性については、
(Ku・V)/(k・T)で示される値を指標とするこ
とができる。ここで、Ku:磁気異方性エネルギー、
V:活性化体積、k:ボルツマン定数、T:温度であ
る。上記熱安定性の指標となる値が大きいほど記録層は
熱的に安定であることを示す。それゆえ、記録層の熱的
安定性を高めるためには、活性化体積V及び磁気異方性
エネルギーKuを大きい材料を用いることが必要であっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このような要求を実現
するために、光磁気記録媒体で用いられているような希
土類元素と鉄族元素からなるフェリ磁性体の非晶質合金
を記録層に用いることが検討されている。かかる材料は
磁気異方性エネルギーが高く熱安定性に優れる。
【0010】しかしながら、更なる高密度記録のために
は、記録層を薄膜化するとともに記録磁区を微小化する
ことが必要であり、その結果、活性化体積は小さくなり
熱安定性が低下するという問題が生じる。
【0011】本発明は、かかる問題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、活性化体積が大きく、
記録磁区の熱安定性に極めて優れる熱アシスト磁気記録
用の垂直磁気記録媒体及びそれを備える磁気記録装置を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、磁気記録媒体において、垂直磁気異方性を有する
フェリ磁性材料から形成され、情報記録時に所定温度に
加熱されて情報が記録される記録層と;垂直磁気異方性
を有するフェリ磁性材料から形成され、上記記録層の磁
化を安定化させる磁化安定化層とを互いに接して備え、
上記磁化安定化層の補償温度が、再生温度の±40℃以
内にあることを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0013】本発明の第2の態様に従えば、磁気記録媒
体において、垂直磁気異方性を有するフェリ磁性材料か
ら形成され、情報記録時に所定温度に加熱されて情報が
記録される記録層と;垂直磁気異方性を有するフェリ磁
性材料から形成され、上記記録層の磁化を安定化させる
磁化安定化層とを互いに接して備え、上記磁化安定化層
の補償温度が−20℃〜70℃の範囲内にあることを特
徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0014】本発明に従う磁気記録媒体は、磁化安定化
層を記録層に接して形成して記録層と磁化安定化層とを
交換結合させている。すなわち、磁化安定化層を形成し
ているフェリ磁性材料のそれぞれの副格子磁化が、記録
層を形成しているそれぞれの副格子磁化と交換結合して
いる。記録層及び磁化安定化層を構成するフェリ磁性材
料として、例えば、希土類金属と遷移金属との合金(希
土類−遷移金属合金)を用いた場合、図2(a)に示す
ように、記録層及び磁化安定化層の希土類金属のそれぞ
れの副格子磁化が互いに交換結合するとともに、記録層
及び磁化安定化層の遷移金属のそれぞれの副格子磁化も
互いに交換結合している。このように、記録層と磁化安
定化層の2層の磁性層の内部では、遷移金属の副格子磁
化同士が交換結合して同一方向に配向し、希土類金属の
副格子磁化同士が交換結合して同一方向に配向している
ことから、希土類金属と遷移金属の副格子磁化に着目す
れば、記録層と磁化安定化層の2層の磁性層を1つの磁
性体とみなすことができる。それゆえ、磁気記録媒体の
活性化体積Vは、実質的に記録層と磁化安定化層の2層
分になり、熱安定性の指標である(Ku・V)/(k・
T)の値は、記録層を単層で構成した場合よりも大きく
なる。したがって、従来よりも更なる高密度記録を実現
できる。
【0015】また、磁化安定化層は、再生温度の±40
℃以内、或いは−20℃〜70℃に補償温度を有するの
で、かかる再生温度において、磁化安定化層の希土類金
属の副格子磁化と遷移金属の副格子磁化の大きさはほぼ
等しく、磁化安定化層の全体の磁化はほぼゼロとなって
いる。それゆえ、磁化安定化層は、再生温度近傍におい
て、記録層の磁化に悪影響を与えることなく、記録層の
磁化状態を安定に維持することができる。再生時には、
記録層の希土類金属の副格子磁化と遷移金属の副格子磁
化の状態がそれぞれ安定化しているので、記録層の磁化
を確実に検出することができる。本発明において、再生
温度とは、情報を再生するときの磁気記録媒体の温度で
あり、通常は周囲温度、例えば−10℃〜40℃で表さ
れ、より厳密には、かかる周囲温度にある磁気記録装置
内の温度、例えば−5℃〜70℃である。
【0016】本発明では、活性化体積をより一層増大さ
せるために、磁化安定化層の膜厚を厚くすることが好ま
しく、10nm〜100nmが好適である。再生時には
磁化安定化層の全体の磁化はほぼゼロとなっているの
で、磁化安定化層の膜厚を厚くしても再生特性に影響を
与えることは殆どない。一方、高密度化の観点から記録
層の膜厚は薄いことが好ましく、5nm〜40nmが好
適である。
【0017】ここで、本発明の磁気記録媒体の記録原理
について図2を参照しながら説明する。図2は記録層と
磁化安定化層の遷移金属の副格子磁化、希土類金属の副
格子磁化及び全体の磁化の配列を概念的に示した図であ
る。なお、図2においては下方向を記録方向としてい
る。記録層及び磁化安定化層は、ともに希土類−遷移金
属合金から形成されており、記録層及び磁化安定化層の
それぞれの飽和磁化と保磁力は、図3に示すような温度
依存性を有している。
【0018】図2(a)に示すように、再生温度(例え
ば、室温)において、記録層は、遷移金属の副格子磁化
が優勢であるので、第2磁性層の全体の磁化は遷移金属
の副格子磁化と同様に上向きとなっている。一方、磁化
安定化層は、図3に示すように、再生温度に補償点があ
るので、希土類金属の副格子磁化と遷移金属の副格子磁
化の大きさが等しく、磁化安定化層の全体の磁化の大き
さはゼロである。それゆえ、磁気記録媒体からは記録層
の磁化のみが検出され、かかる記録層の磁化を磁気ヘッ
ドを用いて検出することによって情報を再生することが
できる。
【0019】図2(a)において、記録層と磁化安定化
層との間には、記録層及び磁化安定化層の遷移金属の副
格子磁化同士及び希土類金属の副格子磁化同士を平行に
しようとする交換結合力が働いている。このため、記録
層と磁化安定化層の遷移金属の副格子磁化及び希土類金
属の副格子磁化はそれぞれ同方向に配向している。この
ように、記録層と磁化安定化層の希土類金属の副格子磁
化及び遷移金属の副格子磁化が同方向に配向している状
態は、磁気的に安定な状態である。また、記録層と磁化
安定化層の遷移金属の副格子磁化及び希土類金属の副格
子磁化はそれぞれ同方向に配向していることから、記録
層と磁化安定化層の2層を1つの磁性体とみなすことが
できる。かかる磁性体の活性化体積Vは記録層と磁化安
定化層の2層分となっているので、熱的安定性を示す指
標(Ku・V)/(k・T)が高くなる。ここで、記録
層及び磁化安定化層は、図3に示すように、再生温度に
おいて大きな保磁力を有しているために、一般に使用さ
れている磁気ヘッドを用いて記録層及び磁化安定化層を
所望の方向に磁化させることは困難である。
【0020】そこで、図2(b)に示すように、記録層
及び磁化安定化層を、例えばレーザー光照射により記録
温度にまで加熱するとともに、記録層及び磁化安定化層
のレーザー光照射領域に、例えば磁気ヘッドにより外部
磁界を上向きに印加する。温度上昇に伴い、図3に示し
た磁化特性の温度変化に基づき、磁化安定化層の全体の
磁化が次第に大きくなるとともに、記録層及び磁化安定
化層の保磁力は低下する。記録層及び磁化安定化層の保
磁力が、磁気ヘッドからの磁界強度よりも小さくなる
と、記録層と磁化安定化層の全体の磁化は、それぞれ外
部磁界の方向(記録方向)に配向する(図2(c))。
この場合も、記録層及び磁化安定化層の遷移金属の副格
子磁化はどちらも上向きで交換結合力が作用しており、
希土類金属の副格子磁化はどちらも下向きになって交換
結合力が作用している。
【0021】つぎに、磁気記録媒体への外部磁界の印加
とレーザー光の照射を止めると、記録層及び磁化安定化
層は記録方向に磁化したまま冷却される。そして、磁化
安定化層の温度は再生温度すなわち補償温度近傍にまで
低下し、遷移金属の副格子磁化と希土類金属の副格子磁
化がほぼ等しい大きさになって磁化安定化層の全体の磁
化はほぼゼロとなる(図2(d))。一方、記録層の磁
化は記録方向に向いたままとなっている。この冷却過程
で、記録層及び磁化安定化層の遷移金属の副格子磁化は
交換結合力が作用したまま、すなわち、どちらも上向き
に配向したままであり、希土類金属の副格子磁化もまた
交換結合力が作用したまま、すなわちどちらも下向きに
配向したままである。このような記録層及び磁化安定化
層の互いに交換結合した磁化状態からすれば2層の磁性
層を1つの磁性体とみなすことができ、活性化体積V
が、交換結合していない場合の2倍になっていると考え
ることができる。以上の原理に従って記録層に情報が記
録される。
【0022】一方、記録した情報を消去するには、情報
が記録された磁気記録媒体に、図2(e)に示すよう
に、レーザー光を照射するとともに、消去方向に十分に
大きな外部磁界を印加する。これにより記録層と磁化安
定化層の磁化は外部磁界の方向(消去方向)に向く。こ
の場合も、記録層及び磁化安定化層の遷移金属の副格子
磁化はどちらも下向きであり、希土類金属の副格子磁化
はどちらも上向きであることから、記録層及び磁化安定
化層の2層の磁性層を1つの磁性体とみなすことができ
る。そして、磁気記録媒体への外部磁界の印加とレーザ
ー光の照射を止めることにより、外部磁界強度がゼロに
なるとともに、磁気記録媒体が再生温度になると、記録
層の全体の磁化は下向きになり、磁化安定化層の全体の
磁化はゼロとなって、図2(a)に示した磁化状態にな
る。こうして、磁気記録媒体に記録された情報が消去さ
れる。
【0023】本発明の磁気記録媒体において、情報記録
時に記録層及び磁化安定化層を記録温度に加熱したとき
に、磁化安定化層の記録温度における保磁力が、記録温
度における記録層の保磁力と等しいか或いは小さくなっ
ていることが好ましく、特に等しいことが好ましい。磁
化安定化層の記録温度における保磁力を記録層の保磁力
とほぼ等しくすることにより、記録層に形成される記録
磁区を所望の形状に形成することができる。
【0024】また、磁化安定化層の記録温度における保
磁力は、磁気ヘッドからの磁界よりも小さいことが好ま
しい。これにより、情報を記録するために磁気記録媒体
に磁気ヘッドを用いて磁界を印加させたときに、磁化安
定化層の全体の磁化を磁気ヘッドからの磁界の方向に配
向させることができる。
【0025】本発明の第3の態様に従えば、本発明の第
1または第2の態様に従う磁気記録媒体と、情報を記録
または再生するための磁気ヘッドと、磁気記録媒体に光
を照射するための光ヘッドと、磁気記録媒体を駆動する
ための駆動装置とを備えることを特徴とする磁気記録装
置が提供される。
【0026】本発明の磁気記録装置は、本発明の第1ま
たは第2の態様の磁気記録媒体を装着しているので、熱
ゆらぎや熱減磁に強く、熱安定性に優れた熱アシスト記
録用の磁気記録装置を提供することができる。
【0027】本発明の磁気記録装置は、情報の記録を行
う際に、磁気記録媒体に光ヘッドによりレーザー光を照
射すると同時に、レーザー光が照射された領域に磁気ヘ
ッドから磁界を印加して情報の記録を行う。情報記録の
際に、例えば、磁気記録媒体にパルス状のレーザー光を
照射すると同時に、磁気ギャップの狭い磁気ヘッドを用
いて高周波変調させた磁界を印加して記録を行うことに
より、微小記録磁区を形成することができるので超高密
度記録を実現できる。
【0028】本発明の磁気記録装置の磁気ヘッドは、磁
気記録媒体に記録された情報を再生するための再生素子
として、MR素子(Magneto Resistive素子;磁気抵抗
効果素子)やGMR素子(Giant Magneto Resistive素
子;巨大磁気抵抗効果素子)、TMR素子(Tunneling
Magneto Resistive素子;磁気トンネル型磁気抵抗効果
素子)を搭載することができる。これらの再生素子を用
いることにより磁気記録媒体に記録された情報を高いS
/Nで再生することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従う磁気記録媒体
及び磁気記録装置について実施例を用いて詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
【実施例】この実施例では、本発明に従う磁気記録媒体
として、図1の概略断面図に示すような断面構造を有す
る磁気記録媒体を作製した。磁気記録媒体10は、基板
1上に下地層2、磁化安定化層3、記録層4及び保護層
5を順次積層した構造を有する。以下、磁気記録媒体1
0の製造方法について説明する。
【0031】まず、基板1として、直径2.5インチ
(約6.35cm)のガラス基板を用意した。この基板
1上に、下地層2として窒化シリコン膜をDCマグネト
ロンスパッタ法により20nmの膜厚で形成した。ター
ゲット材料にはシリコンを、放電ガスにはAr−N
合ガス(Ar/N分圧比2:1)をそれぞれ使用し
た。スパッタ時の圧力は0.1Pa、投入DC電力は2
kW/6インチφである。
【0032】つぎに、下地層2上に磁化安定層3として
Tb−Fe−Coの非晶質合金層を形成した。ここで、
磁化安定層3及び記録層4の形成には、TbとFeとC
oの3つのターゲットを同時にスパッタする3元同時D
Cマグネトロンスパッタ法を用いた。各々の磁性層の組
成は、TbとFeとCoのターゲットの放電電力を独立
に調整することによって制御した。磁化安定層3の成膜
の際の各ターゲットの放電電力は、Tbが0.79kW
/6インチφ、Feが1.67kW/6インチφ、Co
が0.15kW/6インチφとした。磁化安定層3の膜
厚は20nmとした。放電ガスにはArを用い、スパッ
タ時の放電ガス圧力は0.26Paとした。
【0033】得られた磁化安定化層3の補償温度は約3
0℃であり、室温での磁化はほぼゼロであった。また、
室温での保磁力は非常に大きいため、VSM(試料振動
型磁力計、最大印加磁界=13kOe)では測定できな
かった。図3に、かかる磁化安定化層3の飽和磁化、保
磁力及び磁気異方性エネルギーの温度依存性を示す。
【0034】つぎに、磁化安定層3上に記録層4として
遷移金属の副格子磁化が優勢な組成のTb−Fe−Co
の非晶質合金層を形成した。記録層5の成膜において、
各ターゲットの放電電力は、Tbが0.63kW/6イ
ンチφ、Feが1.59kW/6インチφ、Coが0.
40kW/6インチφとした。記録層5の膜厚は20n
mとした。放電ガスにはArを用い、スパッタ時の放電
ガス圧力は1.2Paとした。
【0035】得られた記録層4の補償温度は約−50℃
であり、室温での飽和磁化と保磁力はそれぞれ280e
mu/ccと10.3kOeであった。図3に、かかる
記録層4の飽和磁化、保磁力及び磁気異方性エネルギー
の温度依存性を示す。
【0036】最後に、記録層4上に保護膜5としてC
(カーボン)膜を5nmの膜厚でDCマグネトロンスパ
ッタ法により形成した。ターゲット材料にCを、放電ガ
スにArをそれぞれ用いた。スパッタ時の放電ガス圧力
は0.1Pa、投入電力は1.5kW/6インチφであ
る。こうして、図1に示す積層構造を有する磁気記録媒
体を作製した。
【0037】〔磁気記録装置〕つぎに、磁気記録媒体の
表面上に潤滑剤を塗布することによって磁気ディスクを
完成させた。そして同様のプロセスにより複数の磁気デ
ィスクを作製し、熱アシスト磁気記録用の磁気記録装置
に同軸上に組み込んだ。磁気記録装置の概略構成を図4
及び図5に示す。
【0038】図4は磁気記録装置200の上面の図であ
り、図5は、磁気記録装置200の図4における破線A
−A’方向の断面図である。図4及び5において、磁気
ヘッド31は、記録ヘッドと再生ヘッドが一体化された
磁気ヘッドであり、記録ヘッドには単磁極ヘッドを用
い、再生ヘッドには巨大磁気抵抗効果を有するデュアル
スピンバルブ型GMR磁気ヘッドを用いた。光ヘッド3
2は主にレーザー光源と対物レンズ(いずれも不図示)
を備え、レーザー光源には波長630nmの半導体レー
ザーを用い、対物レンズには開口比NAが0.60のレ
ンズを用いた。かかる光ヘッド32により媒体上に形成
される光スポットの直径は1.05μmである。光ヘッ
ド32と磁気ヘッド31は、磁気ディスク35を介して
互いに対向するように配置されている。磁気ディスク3
5は基板側が光ヘッド32に対向し、熱制御層側が磁気
ヘッド31に対向するように配置される。すなわち、磁
気ディスクの基板側から光が入射される構成である。
【0039】磁気ヘッド31は駆動系34により制御さ
れ、磁気ヘッド31の磁気ディス35上の位置決めは、
磁気ヘッド31で磁気ディスク35に記録されている磁
気サーボ信号を検出することによって行なわれる。ま
た、磁気ヘッド31で検出したサーボ信号に基づいて光
ヘッド32の位置決めも合わせて制御される。磁気ディ
スク35は、スピンドル33により回転し、磁気ヘッド
面と記録層との距離を12nmに保った。
【0040】つぎに、磁気ディスクの熱安定性を調べる
ために環境試験を行なった。環境試験では、40Gbi
ts/inchに相当する信号を記録した磁気ディス
クを60℃〜70℃の環境中に8時間放置した後、記録
した信号を再生した。その結果、環境試験前の再生信号
出力に比べて出力の低下は1%以下であった。比較のた
めに、従来の磁気ディスクとして磁化安定化層を備えな
い、基板/下地層/記録層/保護層の積層構造を有する
磁気ディスクを作製し、かかる磁気ディスクに同様の環
境試験を行なったところ、環境試験前の再生信号出力に
対して5%の出力の低下が観測された。このように、本
発明の磁気ディスクは、磁化安定化層を備えない従来の
磁気ディスクよりも、熱安定性を大きく向上させること
ができた。また、本発明の磁気ディスクの欠陥レートを
測定したところ、信号処理を行なわない場合の値で1×
10−5以下であった。
【0041】以上、本発明に従う磁気記録媒体及びそれ
を備える磁気記録装置について実施例により説明した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の改
良例及び変形例を含み得る。上記実施例では、記録層及
び磁化安定化層をTb−Fe−Coを用いて形成した
が、例えば、Tb、Gd、Dy及びHoからなる群から
選ばれる少なくとも1種類の希土類元素と、Fe、Co
及びNiからなる群なら選ばれる少なくとも1種類の遷
移金属とからなるフェリ磁性材料を用いることもでき
る。
【0042】また、上記実施例では、記録層を遷移金属
の副格子磁化が優勢となる組成にし、磁化安定化層を記
録温度において希土類金属の副格子磁化が優勢となる組
成としたが、これに限らず、記録層を希土類金属の副格
子磁化が優勢の組成にするとともに、磁化安定化層を記
録温度において遷移金属の副格子磁化が優勢の組成にし
てもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明の第1及び第2の態様の磁気記録
媒体は、記録層に接して形成された磁化安定化層によ
り、活性化体積が実質的に増大しているので、熱的安定
性の指標である(Ku・V)/(k・T)は大きくなっ
ている。したがって、高密度記録のために微小磁区を形
成しても、熱揺らぎが少なく、記録した情報を長期間に
渡って安定に保持することができる。また、本発明の磁
気記録媒体を備える磁気記録装置は、本発明の磁気記録
媒体を有するので、記録安定性に優れ、超高密度磁気記
録の実現を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う磁気記録媒体の断面構造を模式的
に示す図である。
【図2】図1に示した磁気記録媒体の記録原理について
説明するための図である。
【図3】記録層と磁化安定化層の磁化、保磁力及び磁気
異方性エネルギーの温度依存性を示す図である。
【図4】本発明に従う磁気記録装置の概略構成図であ
る。
【図5】図4の磁気記録装置のA−A’方向における断
面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下地膜 3 磁化安定化層 4 記録層 5 保護層 10 磁気記録媒体 31 磁気ヘッド 32 光ヘッド 33 スピンドル 34 駆動系 35 磁気ディスク 100 磁気記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 晴美 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB01 CA01 CA06 DA08 EA03 FA04 5D075 AA10 5D091 AA08 CC26 GG33

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体において、 垂直磁気異方性を有するフェリ磁性材料から形成され、
    情報記録時に所定温度に加熱されて情報が記録される記
    録層と;垂直磁気異方性を有するフェリ磁性材料から形
    成され、上記記録層の磁化を安定化させる磁化安定化層
    とを互いに接して備え、 上記磁化安定化層の補償温度が、再生温度の±40℃以
    内にあることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 磁気記録媒体において、 垂直磁気異方性を有するフェリ磁性材料から形成され、
    情報記録時に所定温度に加熱されて情報が記録される記
    録層と;垂直磁気異方性を有するフェリ磁性材料から形
    成され、上記記録層の磁化を安定化させる磁化安定化層
    とを互いに接して備え、 上記磁化安定化層の補償温度が−20℃〜70℃の範囲
    内にあることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】上記再生温度は、−10℃〜70℃の範囲
    内にあることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 上記記録層の補償温度が、上記磁化安定
    化層の補償温度よりも低いことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記磁化安定化層の膜厚が10nm〜1
    00nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記記録層の膜厚が5nm〜40nmの
    範囲内にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    一項に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記記録層が、希土類金属と遷移金属と
    の合金から形成されており、該合金は遷移金属の副格子
    磁化が優勢の組成を有することを特徴とする請求項1〜
    6のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載の磁気記録媒体
    と、 情報を記録または再生するための磁気ヘッドと、 磁気記録媒体に光を照射するための光ヘッドと、 磁気記録媒体を駆動するための駆動装置とを備えること
    を特徴とする磁気記録装置。
  9. 【請求項9】 情報記録時に上記光ヘッドにより磁気記
    録媒体に光を照射して加熱しつつ、上記磁気ヘッドによ
    り磁界を印加して情報を記録または消去することを特徴
    とする請求項8に記載の磁気記録装置。
JP2001105495A 2001-04-04 2001-04-04 磁気記録媒体及びそれを備える磁気記録装置 Withdrawn JP2002298325A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1727140A1 (en) * 2005-05-25 2006-11-29 Hitachi, Ltd. Magnetic recording apparatus using magnetization reversal by spin injection with thermal assistance
CN100437753C (zh) * 2002-10-14 2008-11-26 三星电子株式会社 旋转极化电子的磁性介质及其上记录数据的装置和方法

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