JP2002296265A - 油脂量推定機能を内蔵するpov計 - Google Patents

油脂量推定機能を内蔵するpov計

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ひとつの採取試料で採取油脂量の推定機能と
過酸化物価の判定機能とを有する過酸化物価の測定方法
およびその過酸化物価の測定装置を提案にすることを課
題とする。 【解決手段】油脂加工食品の粉砕試料を有機溶媒に浸漬
して前記油脂加工食品の油脂を溶解し、得られる油脂溶
解有機溶媒から所定容量を採取し、前記採取有機溶媒の
比重を測定して前記有機溶媒の基準比重値と比較して採
取溶解油脂重量を算定し、前記比重を測定した採取有機
溶媒をヨードメトリーによる電量滴定をおこなって滴定
値を求め、前記滴定値と前記溶解油脂重量とから該採取
油脂中の過酸化物価を算出することを特徴とする食用油
または油脂加工食品の過酸化物価の測定方法。この方法
を実施するPOV計。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油脂の酸化度合を
判断する過酸化物価の測定方法およびその装置に関し、
特に油脂加工食品に含まれる油脂中の過酸化物価を簡便
に測定できる測定方法およびその装置に係るものであ
る。
【0002】
【従来の技術】食用油または加工食品に含まれる油脂
は、空気中に放置すると風味の劣化や栄養価が低下し、
ともすると、食中毒の原因になる。これは、油脂が空気
中の酸素で酸化されて様々な反応物が生じるためであ
る。
【0003】この食用油や油脂加工食品の酸化程度を調
べる方法として、過酸化物価(以下POVと略称する:
試料1kgに対するミリ当量数で表示)が利用される。P
OVは油脂中に存在する酸化生成物であるヒドロペルオ
キシド含有量を示す値であり、油脂の酸化程度を表す指
標として広く用いられている。
【0004】POVの測定は、油脂中に存在するヒドロ
ペルオキシドに飽和ヨウ化カリウム水溶液を反応させ、
生成する遊離のヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定
する方法である。この際油脂と飽和ヨウ化カリウム水溶
液とは、直接混じらないため、一旦試料の油脂を溶剤に
溶かし、油脂溶解溶剤を飽和ヨウ化カリウム水溶液と混
合させる方式が採用されている。測定原理の妥当性と操
作の簡便性から、上記の方法がPOVを測定するための
公定法として、JOCS法(日本油化学協会法)として
広く使用されている。
【0005】すなわち油脂試料を推定POVに応じて1
〜10g採取する。この試料を溶媒(イソオクタン:酢
酸=1:4)15mlを加えて攪拌溶解させる。容器内を
窒素置換して、飽和ヨウ化カリウム溶液を0.2ml加
え、氷冷下で1分間攪拌する。溶媒に溶解している過酸
化物がヨウ化カリウムと反応してヨウ素が生成する。脱
イオン水を加えて生成したヨウ素を定濃度のチオ硫酸ナ
トリウムを用いてヨード澱粉指示薬を用いて手動滴定、
あるいは電位差滴定によりヨウ素量を求める。このヨウ
素量はチオ硫酸ナトリウムと当量となり、試料10g中
の過酸化物が0.01Nチオ硫酸ナトリウム1mlに相当
する量POV=1と定義されている。また試料1g中の
過酸化生成物が0.001Nチオ硫酸ナトリウム1mlに
相当する量がPOV=1と定義されている。そして食品
衛生法による油脂および油脂加工食品の規格基準が提示
されており、油脂加工食品では種類により規格基準が提
示されておりPOVは30を超えないこととされてい
る。
【0006】油脂メーカーで、POV=1以下の管理が
必要な場合、油脂を直接測定できるため試料の量を多く
取ることが容易なため、測定値の再現性を高く保つこと
ができる。
【0007】一方、油脂加工食品メーカーや流通品検査
ではPOV=5から50程度であるが、測定の対象物が
固形物(スナック菓子等)であり、油脂分の抽出が困難
であり、試料油脂を0.1g採取するためには煩雑な工
程が必要となりさらに試料の秤量操作で誤差が生じやす
い不具合がある。
【0008】従来は、試料油脂分の採取には油脂加工食
品を粉砕してエーテル中に懸濁させて油脂をエーテルに
溶解させ、該溶解液から油脂加工食品の固形物を除くと
共に溶解液を乾燥させ、その後窒素下でエーテルを除去
して得られる残渣を秤量採取して測定試料としていた。
しかしこのような試料の採取方法では工程が長く長時間
を要する。また、使用可能な試料は少量となり、この少
量の試料を用いて目的のPOVの測定をしなければなら
ないという不具合がある。
【0009】上記の改良法として特開2000−199
759号公報には、油脂分を溶解抽出した溶解液を過酸
化物測定用と油脂重量測定用の二つに分け、それぞれの
液を別の測定に用いる方法が開示されている。しかしこ
の方法では、過酸化物測定と油脂重量測定が平行してで
きるので時間の短縮にはなるが、測定の手間は変わらな
いという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
鑑みてなされたもので、ひとつの採取試料で採取油脂量
の推定機能と過酸化物価の判定機能とを有する過酸化物
価の測定方法およびその過酸化物価の測定するPOV計
を提案することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の油脂中の過酸化
物値の測定方法は、油脂加工食品の粉砕試料を有機溶媒
に浸漬して前記油脂加工食品の油脂を溶解し、得られる
油脂溶解有機溶媒から所定容量を採取し、前記採取有機
溶媒の比重を測定して前記有機溶媒の基準比重値と比較
して採取溶解油脂重量を算定し、前記比重を測定した採
取有機溶媒をヨードメトリーによる電量滴定をおこなっ
て滴定値を求め、前記滴定値と前記溶解油脂重量とから
該採取油脂中の過酸化物価を算出することを特徴とす
る。
【0012】前記有機溶媒は、低比重で低揮発性である
炭化水素系のイソオクタン、オクタン、ヘキサン、ヘプ
タン、から選ばれることが好ましい。
【0013】本発明の油脂量推定機能を内蔵するPOV
計(過酸化物価の測定装置)は、油脂加工食品の粉砕試
料を有機溶媒で抽出する装置と、前記有機溶媒から粉砕
試料を濾過する装置と、前記有機溶媒から一定量採取す
る手段と、一定量採取した有機溶媒の比重を測定する測
定装置と、測定された比重と所定量の基準比重とから油
脂重量を算出する手段と、前記油脂量が算出された前記
有機溶媒を電量滴定を行って測定値を求める手段と、前
記滴定値と前記溶解油脂重量とから過酸化物価を算出す
る手段とを有することを特徴とする。
【0014】前記電量滴定は、前記有機溶媒中の過酸化
物をヨウ化カリウム溶液と反応させ、遊離したヨウ素を
一定量のチオ硫酸ナトリウムと反応させ未反応のチオ硫
酸ナトリウム量を電極が示す電気量で判定することが好
ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、油脂中に含まれる過酸
化物価の測定方法は、特に油脂含量の少ない油脂加工食
品中に含まれる油脂中の過酸化物価の測定を簡便化し効
率を上げることにある。
【0016】油脂加工食品の粉砕試料を有機溶媒に浸漬
して前記油脂加工食品の油脂を室温で振盪または攪拌に
より油脂分を有機溶媒に溶解させる。
【0017】次に油脂分を抽出溶解した有機溶媒から所
定容量を採取する。
【0018】この油脂を溶解した有機溶媒から所定容量
を採取するには、定量シリンダーを用いることで、固形
分を浸漬した有機溶媒の上澄み液の部分が採取できる。
このため懸濁した固形物などを除去する濾過工程が不要
となり好ましい。上澄みが透明にならない場合は、吸引
濾過などにより浮遊物を含まない有機溶媒とすることが
必要である。例えば、10mlのマイクロシリンジを用
い固形物が懸濁した有機溶媒の上澄みを吸引採取で、例
えば10.00±0.02mlの範囲で一定量採取す
る。通常10mlのマイクロシリンジ採取できる範囲とす
るのが好ましい。
【0019】このマイクロシリンジは予め重量の測定と
容積の検定をおこなっておき採取した有機溶媒の比重が
精度良く算出できるようにしておくことがこのましい。
【0020】そして、有機溶媒を採取したマイクロシリ
ンジの重量を測定して、前もって測定されているブラン
ク時の重量を差し引くことで採取した有機溶媒の重量が
判明する。
【0021】次いで採取有機溶媒の重量と、測定し採取
した有機溶媒の容積に基づき油脂溶解有機溶媒の比重が
測定できる。この有機溶媒の基準比重値(前記油脂溶解
有機溶媒と同じ温度補正された比重および溶解油脂の種
類を考慮した値)と比較して溶解採取した油脂重量が算
定できる。
【0022】この際、加工食品に使用されている油脂の
比重および、油脂の採取に使用する各有機溶媒の比重が
データベース化されて温度係数と共に基準化されてお
り、油脂を溶解した有機溶媒の比重を読み取り、データ
ベースに基づく値からの溶解油脂の重量が算出できる。
【0023】この油脂溶解液の比重測定では、一定容量
を採取できる容器の容積および重量が測定および検定さ
れているので、油脂を溶解した有機溶媒を採取して容器
の重量を測定するのみ、採取液の比重および油脂の重量
が簡単に算出できる。よって、測定試料の有機溶媒を濃
縮して秤量する必要がなく簡単な操作で試料油脂量が推
定できる。さらにこの有機溶媒をそのまま用いて電量滴
定を行うので大幅に時間短縮できる。
【0024】測定された溶解有機溶液の重量は、たとえ
ば、イソオクタンの比重および油脂の比重に基づきイソ
オクタン中に含まれる油脂量が算出できる。上記の比重
の換算は予め加工食品に使用されている油脂についてそ
れぞれ一定量をイソオクタンに溶解して比重を測定して
作成した検量線に基づく油脂量推定機能が測定装置であ
るPOV計に組み込まれているので、秤量値の入力によ
り、溶解油脂量が推定できる。
【0025】図2に代表的な食用油の比重とイソオクタ
ン溶液の油脂含有量との関係を示す。このグラフにより
油脂含量が2次関数で表すことができ、この方法より採
取した油脂の重量を判定することができる。よってPO
V計のデータベースにそれぞれの食用油の実験値によっ
て求めた係数を記憶させ、定量シリンダーで一定量採取
したイソオクタンの混合液の重量を測定することによ
り、食用油だけの重量を比重から算出できる。
【0026】本発明で使用する有機溶媒としては、低比
重で低揮発性である炭化水素系のイソオクタン、オクタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、から選ばれることが好まし
い。特にイソオクタンが低比重0.692(d20 4
0.69194)で沸点が99.3℃と低揮発性で取扱
いやすいのでより好ましい。
【0027】従来用いられている油脂溶解用の有機溶媒
のエチルエーテルは低沸点であり、秤量中に揮発するの
で比重測定は困難であり、従来は抽出したエチルエーテ
ル液を濃縮して、濃縮残渣の重量を秤量して、試料の油
脂分を算出していた。このため、エチルエーテルと粉砕
油脂加工食品とを分離する濾過と、エチルエーテル液の
揮発に伴う水分の混入を防ぐ乾燥、濃縮、さらには少量
の試料の精度の高い秤量と煩雑で時間を要する工程が必
要である。
【0028】油脂量が測定された有機溶媒試料は、ヨー
ドメトリー法に基づき過酸化物を所定量のヨウ化カリウ
ムと反応させて生じるヨウ素を、規定量のチオ硫酸ナト
リウム液を加えて窒素雰囲気下で電量滴定用の電極を挿
入して攪拌して、電極が示す電気量の変化を検知機を用
いて電量滴定の終点が求められる。この過酸化物と反応
したヨウ素の量から試料中の過酸化物量が算出される。
【0029】過酸化物価=定量された過酸化物量/電量
滴定に供した油試料脂重量 で算出できる。
【0030】上記のように本測定方法は、簡便な操作で
精度の高い過酸化物価(POV)が求められる。
【0031】本発明の油脂量推定機能を内蔵するPOV
計は、油脂加工食品の粉砕試料を有機溶媒で抽出する装
置と、前記有機溶媒から粉砕試料を濾過する装置と、前
記有機溶媒から一定量採取する手段と、一定量採取した
有機溶媒の比重を測定する測定装置と、測定された比重
と所定量の基準比重とから油脂重量を算出する手段と、
前記油脂量が算出された前記有機溶媒を電量滴定を行っ
て測定値を求める手段と、前記滴定値と前記溶解油脂重
量とから過酸化物価を算出する手段とを有する。
【0032】油脂加工食品の粉砕試料を有機溶媒で抽出
する装置は、例えばミキサーあるいは乳鉢で食品を細か
く粉砕し所定の容器(例えばビーカー、三角フラスコ
等)に入れて有機溶媒を加えて浸漬させる。必要に応じ
て振盪または攪拌を行い油脂の抽出を容易にさせる。
【0033】有機溶媒から粉砕試料を濾過する装置は、
通常の吸引濾過が適用できる。場合によっては有機溶媒
の上澄みを採取して濾過を省くことも可能である。
【0034】油脂分を抽出した有機溶媒から一定量採取
する手段では、予め重量、正確な容積が知られた吸引式
の定量シリンダー(シリンジ)で所定量採取する。
【0035】一定量採取した有機溶媒の比重を測定する
測定装置は、上記の有機溶媒を採取した定量シリンダー
の重量を秤量すると共に、採取した有機溶媒の容積量と
から有機溶媒比重を算出する。
【0036】測定された比重と所定量の基準比重とから
油脂重量を算出する手段では、予め油脂の種類による測
定温度による比重および有機溶媒の比重がデータベース
化され電算機として測定装置内に入力されており、測定
された所定の温度における重量が入力されれば電算機が
基準比重に基づき計算して油脂重量が表示される。
【0037】油脂量が算出された前記有機溶媒を電量滴
定を行って測定値を求める手段では、窒素雰囲気下で有
機溶媒にヨウ化カリウムを所定量添加して過酸化物と反
応させ未反応のヨウ素を電量滴定用の電極を挿入しチオ
硫酸ナトリウムの規定溶液を所定量添加して液を攪拌す
る。
【0038】前記滴定値と前記溶解油脂重量とから過酸
化物価を算出する手段では、挿入されている検出電極の
電位の変化により滴定の終了点が検知され、その間、電
解電極から出力される電気量により過酸化物の量が算出
できる。この過酸化物の量を、滴定した試料油脂の重量
とから、過酸化物量/試料油脂重量=過酸化物価に基づ
き算出される。
【0039】本発明の測定装置では、ヨードメトリー法
で油脂中に存在する過酸化物をヨウ化カリウム溶液を加
えて反応させ、遊離したヨウ素を一定量のチオ硫酸ナト
リウムと反応させ未反応のチオ硫酸ナトリウム量を電気
量(電流×時間)で判定する過酸化物価を算出する機能
でおこなう。
【0040】従来の公定法での滴定の終点検出は、ヨー
ド・デンプン反応の褪色による方法または白金複合電極
による酸化還元電位の変化で判定する方法である。従来
法の白金複合電極は、電極の内部液に塩化カリウム溶液
を使用しているため定期的に補充する必要がある。
【0041】一方、本発明の測定装置の過酸化物の電量
滴定をおこなうPOV計は、例えば検出電極として双白
金電極を用いことができる。このPOV計の模式断面構
成を図1に示した。この電量滴定装置は、電解電極
にφ0.5、露出長60mmの白金線を2本を渦巻き状に
丸め、同様に検出電極には、φ0.5、露出長2mmの
白金線2本を両電極同様に2.5mm間隔でテフロン(登
録商標)材に固定されて配置されて構成されている。
【0042】この検出電極は内部液を使用していない
ので特別なメンテナンスの必要がないという利点があ
る。
【0043】電気化学反応の速度は、攪拌力により大き
く影響する。そこで反応速度を速くするためかくはん子
を大きくし、回転速度を大きくすることが望ましい。そ
こで測定液を入れた滴定容器は、滴定時に滴定液の攪拌
を行うが、その際試験液の飛び散りを防ぐために、測定
容器の上面に飛び散り防止円盤を備えたかくはん子
をコアレスモータで回転させる。
【0044】本発明で用いる電解電極の出す滴定電流
によって発生したヨウ素は、チオ硫酸ナトリウムと発生
の都度反応して残存するヨウ素は無い。その結果、検出
電極での発生電位はほぼ0mVの一定電位で維持され
ている。容器内の前記チオ硫酸ナトリウムが無くなり始
めた時点よりヨウ素発生のみになるため、発生電位は直
線的に上昇する。
【0045】このチオ硫酸ナトリウムが十分存在する状
態での一定電位の任意の2点を結ぶ延長線と、ヨウ素の
発生による上昇直線の任意の2点を結ぶ延長線の交わる
点を終点とし、滴定電位の流し始めから終点までの時間
を滴定時間としたとき以下に述べる理論値と一致する。
これらの検出電位のチャートを図3に示す。
【0046】試料10g中の過酸化生成物が0.01N
チオ硫酸ナトリウム1mlに相当する量がPOV=1meq/
Kgと定義されている。
【0047】または、試料1g中の過酸化生成物が0.
001Nチオ硫酸ナトリウム1mlに相当する量がPOV
=1meq/Kgと定義されている。
【0048】電気量とPOVの関係は、ファラデーの法
則より0.01Nチオ硫酸ナトリウム2mlに相当する電
気量は、1.9298A・secとなる。 [9.649×104/100]×[2(ml)/1000(m
l)]=1.9298A・sec (9.649×104はファラデー定数) 滴定電流を9.65mAと設定すると全滴定時間は、2
00secとなる。
【0049】1.9298A・sec/(9.65×10
-3A)=200sec よって0.01Nチオ硫酸ナトリウム2mlに相当する電
気量は、9.65mAを200sec間に相当する。(こ
こで油脂試料10gの場合、POV=2meq/Kgに相当、
油脂試料1gの場合はPOV=20meq/Kgに相当す
る。) 本発明の測定方法およびその装置では、過酸化価測定用
の試料から油脂を抽出した有機溶媒の比重測定で、油脂
量が推定でき、精度を高めた電量滴定で過酸化物価が煩
雑な操作をすることなく求めることができる。
【0050】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。
【0051】(実施例)被試験試料の油脂加工食品(か
りんとう45g)を乳鉢またはミキサーで粉砕する。こ
の粉砕物を100mlのビーカーに入れ有機溶媒のイソ
オクタンを粉砕物が浸る程度(60ml)加えて、およ
そ5分程度攪拌して油脂分を抽出溶解させる。被試験試
料およびイソオクタンの量および攪拌時間は、被試験試
料の予想POV値およびイソオクタンへの抽出しやすさ
によってそれぞれ変わる。
【0052】粉砕食品が微細で油脂溶解有機溶媒中に浮
遊して上澄みのみが採取できない場合には試料を採取し
やすくするために、遠心分離または吸引濾過をおこない
懸濁浮遊物を除去した後採取する。食品中に水分を含む
場合は無水硫酸ナトリウムで脱水する。
【0053】予め重量および体積を測定した定量シリン
ダー(10mlのシリンジ)で所定の温度に保持した油脂
溶解有機溶媒から10ml採取した。この10ml採取した
イソオクタンを含む定量シリンダーの重量を測定し、油
脂分溶解イソオクタンの比重を算出する。
【0054】純イソオクタンと油脂の比重からイソオク
タンに溶解している油脂の重量を算出する。図2に示し
たように油脂の種類とその溶解量とイソオクタン溶液の
比重とは2次関数で表すことができることから、採取さ
れたイソオクタンに含まれる油脂分の重量は精密に算出
できる。
【0055】本発明の装置は油脂溶解、有機溶媒の濾過
採取、および比重測定は通常の化学試験で用いるものが
流用できる。よって説明を省く。溶媒の比重および油脂
の比重等は予め測定されてデータベースとしてPOV計
に入力されているものが利用できる。
【0056】この油脂試料溶解イソオクタン液を容器
(図示せず)に入れ図1に示す過酸化物価の測定機であ
るPOV計と容器を接続固定する。容器内には雰囲気を
不活性にする窒素気流の導入と排出管が設けてある。
【0057】この電量滴定装置のPOV計は、容器を
密閉し上部に固定されコアレスモーターとモーターに
接続された攪拌棒に取り付けられたかくはん子とその
上面に固定された飛び散り防止円盤と窒素導入口と
電量滴定用の検出電極と電解電極が配備されて構成
されている。検出電極と電解電極は自動判定計算部
と表示部とをもつ本体装置(図示せず)に電気的に接続
されている。
【0058】滴定に先立ち油脂の重量データを入力した
後、該当する試料を溶解したイソオクタン溶液を容器内
に入れ、更にイソオクタンと酢酸の混合溶液25ml加え
て窒素置換する。次いで飽和ヨウ化カリウム溶液を所定
量加えさらに蒸留水を30ml加えて、0.01Nチオ硫
酸ナトリウムを所定量加えて攪拌を行い化学的反応を促
進させる。電解電極より滴定電流を流しヨウ素を発生
させ検出電極からの電位の変化を検知して、本体部の
表示に演算結果のPOV値が表示される。
【0059】POV量と相当量の遊離したヨウ素と反応
したチオ硫酸ナトリウム量Aは以下の式のように電気量
で表せる。
【0060】A=(FB−t)×N×K A:遊離したヨウ素と反応したチオ硫酸ナトリウム量 FB:ブランク滴定時間(sec)理論値は200sec t:残ったチオ硫酸ナトリウムの電量滴定に要した時間
(sec) N:チオ硫酸ナトリウムの規定数 0.01Nまたは
0.001N K:レンジ係数 K=1は電解電流0.965mA K=10は電解電流9.65mA よってPOVは以下の式で得られる POV=A×F/W F:チオ硫酸ナトリウムのファクター W:油脂試料量(g) (イ)温度が各油脂抽出溶液の比重に与える影響につい
ての説明 油脂加工食品に使用する油脂およびイソオクタンの比重
は、温度により変化する。その代表的な油脂の比重温度
特性の実験値を図4に示す。各油脂の温度特性は1次関
数(比重=a×T+b :Tは液温℃)になり、ほぼ同
じ傾きになっている。各油脂の比重温度特性の傾き
(a)および切片(b)を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】図4および表1により、試験環境として温
度変化20℃±10℃を想定した場合の比重の変化は、
例えば、なたね油で、切片(b)が一致している場合で
0.0143g/mLである。これは定量シリンダーにて
油脂溶解有機溶媒を10mL採取した場合は、油脂重量換
算誤差が5%生じることになる。油の限定無し(切片
(b)不一致)で同様に10ml採取した場合は、最大で
0.3mgと大きくなり、温度の補正(傾き(a))およ
び油脂の種類(切片(b))による補正が必要になる。
【0063】(ロ)本発明での各油脂抽出溶液の温度補
正の方法と検証 これらの2つの補正方法として、1つ目は、図4より各
油脂温度変化の傾きがほぼ同じのため、代表的な傾きを
1つ選択しその傾きの係数を採用することができる。2
つ目は、試験環境20℃±10℃の温度範囲内の任意の
温度(10℃)で定量シリンダー(10ml)にて、あら
かじめ各油脂の比重を求め記憶し、測定時に各油脂を選
択して、それぞれ記憶した各油脂の10℃の比重から計
算にて温度補正する方法でおこなう。
【0064】これらの油脂比重温度特性の方法について
の評価結果を表1に示す。加工食品用の代表する5種の
油脂について試験環境20℃±10℃における実測値と
温度補正の計算値の誤差は、最大で0.017g(−
0.6%)であり、温度補正前と比べると1/20の誤
差の低減になる。
【0065】本発明定量シリンダーでの採取の取扱い
は、室温になじんだ水道水中で行い、より精度の必要な
場合は、恒温槽水中で行うことにより、温度による影響
は、解決できる。
【0066】(ハ)市場サンプルでの従来法と本発明法
との比較検証(油脂重量測定法) 市場サンプルでは、油脂食品によって原材料、形状、油
脂含有量がバラバラのため試料採取量やイソオクタン使
用量の検討は当然のこととし、その他遠心分離操作、吸
引ろ過操作、硫酸ナトリウムや蒸留水の添加など最適な
方法を選択する必要がある。
【0067】表2に市場サンプルとして代表的な油脂加
工食品10点につき最適量や最適方法を求め、各油脂そ
れぞれにつき比重直線を求め、それをもとに本発明での
比重法によって油脂量推定値(g)を求めた。また比較
のため有機溶剤にイソオクタンを用い溶剤を蒸発させ油
脂を抽出する従来法で行った実測値(g)を示す。
【0068】
【表2】
【0069】表2にて、本発明での比重法で求めた推定
値は、従来法で求めた実測値と一致する結果となった。
このことから加工食品に使用されている油脂について
は、あらかじめ油脂の比重を求めて置き、且つそれらの
温度特性を演算補正することにより、イソオクタン抽出
液の比重よりイソオクタン抽出液中の油脂量を正確に推
定することができることが判明した。
【0070】(ニ)市場サンプルでの従来法と本発明法
との比較検証(POV測定方法) 代表的な油脂加工食品10点について、イソオクタン抽
出液比重から推定した油脂量に基づき、電量滴定方式と
従来法であるJOCS法(電位差滴定法)でPOVを測
定し、両方の測定値の比較を図5の(1)〜(10)に
示した。図5には、代表的な油脂類(a〜e)の電量測
定法とJOCS法(電位差滴定法)の比較測定値も示し
てある。
【0071】油脂の両測定法の結果には、Y=0.95
0X+0.072(試料数:15、相関係数:0.98
2)で表せる良好な相関関係が得られた。
【0072】
【発明の効果】以上詳述したように油脂加工食品に含ま
れる油脂中の過酸化物価の測定を本発明の過酸化物価測
定方法とその装置を用いることで、油脂加工食品から低
比重の有機溶媒を用いて油脂分を抽出し、その有機溶媒
の一定量を採取して、その比重を測定することで有機溶
媒に溶解した油脂量を容易に推定できる。測定装置には
予め比重測定に関する温度係数および油脂、溶媒に関す
るデータがデータベース化されて装置内に保持されてい
る。さらに、採取有機溶媒を測定試料としてそのままヨ
ードメトリー法を適用した電量滴定で効率よく高い精度
で測定できる。したがって、本発明の測定方法および油
脂量推定機能を内蔵するPOV計は、従来法に比べてP
OV値を簡便に精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例で用いた電量滴定装置の模式断面図で
ある。
【図2】各種油脂のイソオクタン溶液中の油脂含量と比
重との関係を示すグラフである。
【図3】電量滴定における検出電極の電位の変化を示し
たグラフである。
【図4】各油脂の比重の温度特性を示すグラフである。
【図5】本実施例のPOV計で測定した各種食品の過酸
化値と従来のJOCS法(電位差滴定法)で測定した過
酸化物値との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 正夫 愛知県名古屋市西区鳥見町2丁目22番地の 1 パークシティ鳥見B棟908号室 (72)発明者 飯嶋 茂定 愛知県蒲郡市旭町15番12号 飯島電子工業 株式会社内 (72)発明者 福嶋 康雄 愛知県蒲郡市旭町15番12号 飯島電子工業 株式会社内 Fターム(参考) 2G042 AA05 BD07 CA08 CA10 CB06 DA03 EA01 EA03 EA07 FA04 FA20 FB03 GA10 HA07 HA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂加工食品の粉砕試料を有機溶媒に浸漬
    して前記油脂加工食品の油脂を溶解し、 得られる油脂溶解有機溶媒から所定容量を採取し、 前記採取有機溶媒の比重を測定して前記有機溶媒の基準
    比重値と比較して採取溶解油脂重量を算定し、 前記比重を測定した採取有機溶媒または食用油をヨード
    メトリーによる電量滴定をおこなって滴定値を求め、 前記滴定値と前記溶解油脂重量とから該採取油脂中の過
    酸化物価を算出することを特徴とする食用油または油脂
    加工食品の過酸化物価の測定方法。
  2. 【請求項2】前記有機溶媒は、低比重で低揮発性である
    炭化水素系のイソオクタン、オクタン、ヘキサン、ヘプ
    タン、から選ばれる請求項1に記載の食用油または油脂
    加工食品の過酸化物量の測定方法。
  3. 【請求項3】油脂加工食品の粉砕試料を有機溶媒で抽出
    する装置と、 前記有機溶媒から粉砕試料を濾過する装置と、 前記有機溶媒から一定量採取する手段と、 一定量採取した有機溶媒の比重を測定する測定装置と測
    定された比重と所定量の基準比重とから油脂重量を算出
    する手段と前記油脂量が算出された前記有機溶媒を電量
    滴定を行って測定値を求める手段と、前記滴定値と前記
    溶解油脂重量とから過酸化物価を算出する手段とを有す
    る油脂量推定機能を内蔵するPOV計。
  4. 【請求項4】前記電量滴定は、前記有機溶媒中の過酸化
    物をヨウ化カリウム溶液と反応させ、遊離したヨウ素を
    一定量のチオ硫酸ナトリウムと反応させ未反応のチオ硫
    酸ナトリウム量を電極が示す電気量で判定する請求項3
    に記載の油脂量推定機能を内蔵するPOV計。
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CN104535629A (zh) * 2014-12-25 2015-04-22 桂林中辉科技发展有限公司 食用油过氧化值酶生物传感器的制备方法

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CN104535629A (zh) * 2014-12-25 2015-04-22 桂林中辉科技发展有限公司 食用油过氧化值酶生物传感器的制备方法
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