JP2002296125A - 残留応力測定方法 - Google Patents
残留応力測定方法Info
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Abstract
かつ、半非破壊的に被測定体の残留応力を測定できる残
留応力測定方法を提供する。 【解決手段】予め被測定体と同種材料に対する一定断面
の圧子による基準圧痕3,4の形状を残留応力の無い状
態下で実験的または解析により求めるとともに、当該材
料に対応する応力の影響による圧痕形状の変形度合を方
向的および寸法的に求めておき、実際の測定に際し、残
留応力のある被測定体の表面に圧子と同一圧子を用いて
同一条件で圧痕を形成し、その際に形成された実圧痕の
形状と基準圧痕3,4の形状とを比較し、その両形状の
方向的および寸法的な差異に基づいて、基準圧痕3,4
の変形から求めておいた応力の値を用いて被測定体の残
留応力を求めることを特徴とする。
Description
ることなく、被測定体に存在する残留応力を精密に測定
できる残留応力測定方法に関する。
断するために、材料の疲労強度や疲労・応力腐食割れに
よるき裂進展寿命の推定が行われている。材料の表面・
内部に存在する残留応力は、材料の疲労強度に影響を与
え、また、疲労・応力腐食割れによるき裂進展寿命に多
大な影響を与える。従って、材料寿命を精度良く推定す
るため、材料の表面・内部の残留応力を正確に測定する
ことが、重要な技術課題となっている。
切断解放法が適用されている。
したひずみゲージの周囲を、ひずみゲージとともに小片
として切り出し、解放されるひずみから残留応力を計算
により求める方法である。
ゲージの周囲を切断するため、被測定体を破壊して測定
する破壊的な測定方法であった。このため、被測定体の
残留応力の測定後は再使用できず、実機そのものに切断
開放法を適用することは困難であった。
被測定体を破壊することなく、非破壊的に被測定体の残
留応力を測定する方法として、例えば、X線回折法が挙
げられる。
隔をゲージ長さに設定し、これを背面反射X線回折で精
密に測定してひずみを求め、弾性論により応力に変換
し、残留応力を求める方法である。
線回折法では、材料の結晶組織の状態、例えば、被測定
体の結晶粒径や結晶配向の影響を受け、残力応力の測定
値にばらつきが生じ、被測定体の残留応力を精密測定す
ることができないという問題を有していた。
定体の残留応力を精密測定することが課題となってい
た。
れたものであり、被測定体表面の残留応力を精度良く測
定でき、かつ、半非破壊的に被測定体の残留応力を測定
できる残留応力測定方法を提供することを目的とする。
を達成すべく種々研究した結果、構造物表面に圧痕を付
与した際に残留応力が存在する場合と残留応力が存在し
ない場合とで圧痕形状の方向および変化量の差異があ
り、この差異に基づき被測定体の残留応力を測定できる
ことを見出し、本発明を完成させたものである。
応力を非破壊的に測定する残留応力測定方法であって、
予め前記被測定体と同種材料に対する一定断面の圧子に
よる基準圧痕の形状を残留応力の無い状態下で実験的ま
たは解析により求めるとともに、当該材料に対応する応
力の影響による前記圧痕形状の変形度合を方向的および
寸法的に求めておき、実際の測定に際し、残留応力のあ
る前記被測定体の表面に前記圧子と同一圧子を用いて同
一条件で圧痕を形成し、その際に形成された実圧痕の形
状と前記基準圧痕の形状とを比較し、その両形状の方向
的および寸法的な差異に基づいて、前記基準圧痕の変形
から求めておいた応力の値を用いて前記被測定体の残留
応力を求めることを特徴とする。
したため、被測定体の残留応力を測定した後、圧痕を研
削等により除去して再使用可能なため、実機に適用でき
る。このため、被測定体を破壊することなく被測定体の
残留応力を精密に測定することができる。
の圧痕形状は実験的に求めても良く、有限要素法(以
下、FEMとする)等の解析的手法により求めても良
い。
球状、円錐形状、楔形形状などのいずれの形状としても
良い。
記基準圧痕の形状および寸法値と負荷した応力との関係
をデータベースとして記憶手段に格納し、前記被測定体
表面に形成した圧痕の方向的および寸法的な測定値を用
いて、前記データベースから前記被測定体の残留応力を
計算システムにより求めることを特徴とする。
単軸方向に負荷した応力と、単軸応力負荷により形成さ
れた圧痕寸法との関係をデータベースとして記憶手段に
格納しておき、被測定体の圧痕寸法を測定することによ
り、測定値に用いてデータベースを参照することによ
り、即時に被測定体の残留応力を算出できる。
定体に対する圧痕の形成時の荷重または押し込み深さ
は、基準圧痕形成時における圧子の押し付け荷重または
押し込み深さと同一とすることを特徴とする。
記被測定体の圧痕寸法を測定した後に、前記被測定体の
圧痕形成分を除去することを特徴とする。
痕を除去することにより、圧痕からの割れ発生等を防止
できる。また、圧痕の除去方法は、グラインダー等によ
る研削または紙やすり等による研磨としても良い。
被測定体の表面に圧痕を形成し、この被測定体表面の2
軸方向における圧痕寸法を測定する工程と、前記被測定
体と同質の材料について予め実験的または解析的に1軸
以上の方向から単位応力を負荷した場合について圧痕の
2軸方向における圧痕寸法を求めておく工程と、前記基
準測定体の単位応力を負荷した際の圧痕形状を定数と
し、この定数に乗じることにより前記被測定体の圧痕寸
法となる数値を測定し、前記被測定体の残留応力を求め
る工程と、を有することを特徴とする。
方法について、図1〜図6を用いて説明する。
す。
基準測定体表面に圧痕を形成した。図1に示す(a)は
球状圧子1の側面図、(b)は球状圧子1の平面図であ
る。なお、基準測定体は、後述する被測定体と同一成分
の材料から形成したものであり、残留応力が存在しない
材料とした。
状を示す図であり、(a)は、x方向に単位引張応力を
負荷した際の圧痕3の形状を示す平面図、(b)はその
断面図である。また、(c)はy方向に単位引張応力を
負荷した際の圧痕4の形状を示す平面図、(d)はその
断面図を示す。
方向またはy方向に単位引張応力を各々負荷して形成さ
れた圧痕3,4の形状を測定した。なお、圧痕形状は実
験的に求めても良いし、FEM等の解析的手法により求
めても良い。
向に単位引張応力を負荷した際における応力負荷方向に
おける圧痕形状をu(x,y)とし、y方向に単位引張
応力を負荷したときの圧痕形状をv(x,y)とした。
である構造物の表面に圧痕を形成した。なお、被測定体
への圧痕形成は、上記基準測定体と同一の押し込み荷重
を負荷して圧痕形成したものである。これを図3に示
す。
物6の平面図であり、(b)は構造物6の断面図を示
す。図3(a)に示すように、構造物6の表面方向をx
方向、y方向とし、図3(b)に示すように圧痕5の深
さ方向をz方向とした。この圧痕5形状を接触式または
非接触式のいずれかの形状測定装置を用いて測定した。
具体的には、接触式の形状測定は触針式の三次元形状測
定器を用い、非接触式の形状測定はレーザ三次元形状測
定器などを用いた。そして、測定した圧痕5の形状をz
(x,y)とした。
(x,y),v(x,y)の測定値から、以下に示す式
1の関係式を満たすkおよびhを、最小自乗法を用いて
算出した。なお、kは圧痕のx方向の残留応力であり、
hは圧痕のy方向の残留応力である。
算出することにより、x方向およびy方向の各残留応力
を求めることができる。
せん断応力を負荷して圧痕を形成し、この圧痕形状を測
定してw(x,y)として示した。
(x,y)の測定値と、w(x,y)の測定値に基づ
き、以下に示す式2の関係式を満たすようなk,h,m
について、最小自乗法を用いて算出した。なお、kは圧
痕のx方向の残留応力σx,hは圧痕のy方向の残留応
力σy,mはせん断応力τxyを示す。
とにより、x方向およびy方向の各残留応力およびせん
断応力を求めることができる。さらに、k,h,mの各
値によりモールの応力円を用いて残留応力の最大値、す
なわち、主応力とその方向を計算することができる。
法の手順では、球状圧子1を用いたが、圧子は、図4に
示す円錐状の圧子7を適用しても良い。図4の(a)は
圧子の側面図であり、(b)は圧子の平面図である。
は、基準測定体に圧痕形成すると、軸対称形状の圧痕と
することができる。このため、y方向に単位引張応力を
負荷した際の圧痕形状は、x方向に単位引張応力を負荷
した際の圧痕形状を90゜回転させたものと同一とな
る。従って、x方向に単位引張応力を負荷した試験を行
い、圧痕形状を解析するだけで良く、y方向に単位引張
応力を負荷した試験・解析を省略できる。
測定体の残留応力測定方法を以下に示す。
る。楔形形状の圧子8を適用した場合には、残留応力存
在下における圧痕9の形状変化は、図5に示すA方向の
応力成分の影響を最も強く受ける。このため、図5に示
す応力成分、すなわち、上述した式1に示すx方向また
はy方向のいずれか(なお、ここではx方向をA方向と
みなして測定した。)に単位引張応力を負荷した際の圧
痕形状を測定し、下記に示す式3に基づきkを算出する
ことにより、x方向、すなわち、A方向の残留応力を求
めることができる。
た圧痕に応力を負荷した後の中央開口量δと、A方向の
残留応力との関係を各種測定し、これをデータベース化
し、圧痕の中央開口量δからA方向の残留応力を測定す
ることもできる。これを図6に示す。
体2に楔形形状の圧子8を用いて圧痕9を形成し、この
圧痕9の単軸方向に応力σを負荷した。次に、図6
(b)に示すように、圧痕の中央開口量δを測定した。
さらに、基準測定体2の単軸方向に負荷する応力σの大
きさを種々変えて、圧痕の中央開口量δをそれぞれ測定
した。その後、図6(c)に示すように、基準測定体2
の単軸方向に負荷する応力σを横軸とし、圧痕の中央開
口量δを縦軸にとり、両者の相関関係を示し、これをデ
ータベース化し、記憶手段に格納した。
形形状の圧子8により圧痕を形成し、圧痕の中央開口量
δを測定した。そして、この測定値δから上記データベ
ースに基づき応力を算出し、構造物6表面に付与された
楔形のA方向の残留応力を測定した。
体および基準測定体に同一押し付け荷重を負荷して圧痕
形成をした場合には、圧痕中央の開口量δは残留応力に
よる変形のし易さを示す。また、被測定体および基準測
定体に同一押し込み深さにより圧痕形成をした場合に
は、圧痕中央の開口量δは除荷時の弾性変形、すなわ
ち、残留応力によるスプリングバック量を示すことにな
る。本実施形態においては、同一押し付け荷重を負荷す
るか、あるいは、同一押し込み深さにより圧痕形成をし
ても、いずれの方法を用いても良い。
応力を精度良く測定でき、かつ、残留応力測定により被
測定体表面に形成する圧痕を微小とし、この圧痕を研削
等により容易に除去できるため、半破壊的に被測定体の
残留応力を測定でき、構造物の運用に支障をきたすこと
なく残留応力の測定後においても被測定体を再使用でき
る。
応力測定方法によれば、構造物の表面に微小な圧痕を付
与するのみで半非破壊的に残留応力の測定が可能とな
り、実構造物に適用可能である。
図。
形成した基準測定体を示す図。
す図。
図。
状との関係をデータベース化する手順図。
応力を負荷した際の圧痕,4…y方向に単位引張応力を
負荷した際の圧痕,5…圧痕,6…構造物,7…円錐状
の圧子,8…楔形形状の圧子,9…圧痕。
Claims (5)
- 【請求項1】 被測定体表面の残留応力を非破壊的に測
定する残留応力測定方法であって、予め前記被測定体と
同種材料に対する一定断面の圧子による基準圧痕の形状
を残留応力の無い状態下で実験的または解析により求め
るとともに、当該材料に対応する応力の影響による前記
圧痕形状の変形度合を方向的および寸法的に求めてお
き、実際の測定に際し、残留応力のある前記被測定体の
表面に前記圧子と同一圧子を用いて同一条件で圧痕を形
成し、その際に形成された実圧痕の形状と前記基準圧痕
の形状とを比較し、その両形状の方向的および寸法的な
差異に基づいて、前記基準圧痕の変形から求めておいた
応力の値を用いて前記被測定体の残留応力を求めること
を特徴とする残留応力測定方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の残留応力測定方法におい
て、前記基準圧痕の形状および寸法値と負荷した応力と
の関係をデータベースとして記憶手段に格納し、前記被
測定体表面に形成した圧痕の方向的および寸法的な測定
値を用いて、前記データベースから前記被測定体の残留
応力を計算システムにより求めることを特徴とする残留
応力測定方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の残留応力測定方
法において、前記被測定体に対する圧痕の形成時の荷重
または押し込み深さは、基準圧痕形成時における圧子の
押し付け荷重または押し込み深さと同一とすることを特
徴とする残留応力測定方法。 - 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
残留応力測定方法において、前記被測定体の圧痕寸法を
測定した後に、前記被測定体の圧痕形成分を除去するこ
とを特徴とする残留応力測定方法。 - 【請求項5】 被測定体の表面に圧痕を形成し、この被
測定体表面の2軸方向における圧痕寸法を測定する工程
と、前記被測定体と同質の材料について予め実験的また
は解析的に1軸以上の方向から単位応力を負荷した場合
について圧痕の2軸方向における圧痕寸法を求めておく
工程と、前記基準測定体の単位応力を負荷した際の圧痕
形状を定数とし、この定数に乗じることにより前記被測
定体の圧痕寸法となる数値を測定し、前記被測定体の残
留応力を求める工程と、を有することを特徴とする残留
応力測定方法。
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