JP2002295522A - 一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents

一方向クラッチ及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置

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JP2002295522A
JP2002295522A JP2001103817A JP2001103817A JP2002295522A JP 2002295522 A JP2002295522 A JP 2002295522A JP 2001103817 A JP2001103817 A JP 2001103817A JP 2001103817 A JP2001103817 A JP 2001103817A JP 2002295522 A JP2002295522 A JP 2002295522A
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way clutch
sleeve
peripheral surface
spring
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Hiroshi Aida
博 相田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一方向クラッチの耐久性を向上させる。 【解決手段】 一方向クラッチであるローラクラッチ5
を構成する金属製のばね13に調質等の処理を施して、
硬度をHV 400〜540とする。この硬度をH V 40
0以上とする事により、ローラクラッチ5がロック状態
とオーバーランを繰り返しても、上記ばね13とローラ
10との接触面での摩耗及びへたりを防止する。又、上
記硬度をHV 540以下とする事により、錆の発生を防
止する。これらにより、上記ローラクラッチ5の耐久性
が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の一方向クラッチは、
例えば自動車用のオルタネータ等の補機を回転駆動する
為のプーリ装置、或はエンジンのアイドルストップ時の
補機駆動装置等に組み込むクラッチとして使用する。
【0002】
【従来の技術】オルタネータ等の補機を駆動する為のプ
ーリ装置に組み込む一方向クラッチとして、従来からロ
ーラクラッチが知られている。この様なローラクラッチ
に就いて、本発明の実施の形態の1例を示す図1〜3に
より説明する。このうちの図1は、ローラクラッチを組
み込んだローラクラッチ内蔵型プーリ装置1を示してい
る。このローラクラッチ内蔵型プーリ装置1は、図示し
ない回転軸に外嵌固定自在なスリーブ2を有する。そし
て、このスリーブ2の周囲にプーリ3を、このスリーブ
2と同心に配置し、これらスリーブ2の外周面とプーリ
3の内周面との間に、1対のサポート軸受4、4と、ロ
ーラクラッチ5とを設けている。このうちのサポート軸
受4、4は、上記プーリ3に加わるラジアル荷重を支承
しつつ、上記スリーブ2とプーリ3との相対回転を自在
とする。又、上記ローラクラッチ5は、上記プーリ3が
上記スリーブ2に対して所定方向に相対回転する傾向と
なる場合にのみ、このプーリ3からスリーブ2への回転
力の伝達を自在とする。
【0003】上記ローラクラッチ5を構成し、上記スリ
ーブ2の中間部に外嵌固定した、請求項に記載した内側
部材に相当する内輪6の外周面には、ランプ部と呼ばれ
る複数の凹部7、7を、円周方向に関して等間隔に形成
し、この外周面をカム面8としている。又、上記ローラ
クラッチ5を構成し、上記プーリ3の中間部に内嵌固定
した、請求項に記載した外側部材に相当する外輪9の内
周面は、軸方向両端部を除き、単なる円筒面としてい
る。又、これら内輪6及び外輪9と共に上記ローラクラ
ッチ5を構成する、請求項に記載した係合子に相当す
る、複数個のローラ10、10は、保持器11に、転動
及び円周方向への若干の変位自在に支持している。そし
て、この保持器11に設けた柱部12、12と上記各ロ
ーラ10、10との間にばね13、13を設けて、これ
ら各ローラ10、10を、円周方向に関して同方向に弾
性的に押圧している。
【0004】これら各ローラ10、10の外径は、上記
各凹部7、7を形成した部分での、上記内輪6の外周面
と外輪9の内周面との間隔よりも小さく、上記各凹部
7、7から円周方向に外れた部分での、上記内輪6の外
周面と外輪9の内周面との間隔よりも大きい。この為、
上記各ローラ10、10は、上記各ばね13により、上
記各凹部7、7の端部に於いて、上記内輪6の外周面と
外輪9の内周面との間に楔状に食い込む傾向になる。従
って、上記内輪6に対して外輪9が、上記各ばね13が
上記各ローラ10、10を押圧するのと同方向に回転す
る場合には、これら各ローラ10、10が上記両周面同
士の間に食い込み、上記内輪6と外輪9とを同期して回
転させる(ロック状態)。これに対して、上記内輪6に
対して外輪9が、上記各ばね13が上記各ローラ10、
10を押圧するのと反対方向に回転する場合には、これ
ら各ローラ10、10が上記各凹部7、7部分に位置し
て当該部分で転動し、上記内輪6と外輪9との間で回転
力の伝達が行なわれない様にする(オーバーラン状
態)。
【0005】上述の様に構成されるローラクラッチ内蔵
型プーリ装置1は、例えば、上記プーリ3に無端ベルト
を掛け渡し、この無端ベルトの駆動によりプーリ3を駆
動してスリーブ2に回転力を伝達する。上記無端ベルト
はエンジンのクランク軸等の端部に固定された駆動プー
リに掛け渡され、この駆動プーリの回転により駆動す
る。上記スリーブ2には、オルタネータ等の補機の回転
軸を内嵌固定する。そして、プーリ3の回転速度がスリ
ーブ2の回転速度と同じ場合には、上記無端ベルトから
プーリ3に伝達される回転力をスリーブ2を介して上記
回転軸に伝達するが、このスリーブ2の回転速度が上記
プーリ3の回転速度よりも遅い場合には、これら両部材
2、3同士の間で回転力の伝達を行なわない。又、上記
ローラクラッチ内蔵型プーリ装置1をエンジンのアイド
ルストップ時の補機駆動装置に利用する場合、このロー
ラクラッチ内蔵型プーリ装置をクランク軸の端部に装着
して、このクランク軸が回転する場合にのみ、このクラ
ンク軸からプーリ3に回転力を伝達する構造とする。そ
して、エンジン停止時にコンプレッサ等の補機を電動モ
ータにより回転駆動する際には、上記クランク軸が回転
しない様にする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記ローラクラッチ内
蔵型プーリ装置1を構成する上記ローラクラッチ5は、
上述の様に、上記プーリ3と上記スリーブ2との間で、
所定方向の回転力のみの伝達を自在とする。従って、プ
ーリ3若しくはスリーブ2に伝達される回転力の変動に
より、このローラクラッチ5は、回転力を伝達するロッ
ク状態と、回転力の伝達を行なわないオーバーラン状態
とを繰り返す。この様なロック状態とオーバーラン状態
との繰り返しは、上記ローラクラッチ5の寿命に影響を
及ぼす。このローラクラッチ5の寿命に影響を及ぼす要
因としては種々の要因が考えられるが、上記ローラクラ
ッチ5を構成するばね13の硬度も寿命に影響を及ぼす
事が、本発明者の研究により分かった。これに対して従
来は、ばね13の硬度に就いては、特に考慮されていな
かった。ところが、このばね13の硬度が低過ぎる場
合、ばね13と上記ローラ10との接触部でのこのばね
13の摩耗量が多くなり、このばね13の摩耗粉が、上
記ローラクラッチ5を潤滑するグリースを劣化させる。
又、ばね13の硬度が低いと、オーバーラン状態が急激
に生じた時にばね13がへたり易く、へたった場合には
追従性が低下して、ローラクラッチ5の内部でがたつき
が生じる。これに対して、ばね13の硬度が高過ぎる場
合には、上述の様なばね13のへたりは防止できるが、
上記ローラ10を押圧する力が強くなる為、ローラ10
とばね13との接触部の面圧が高くなり、やはりこの接
触部で、ローラ10又はばね13の摩耗量が多くなる。
又、ローラ10と、前記内、外輪6、9との接触面圧の
増大からこの接触面での発熱量が多くなる為、この熱に
よりばね13の弾性が低下して、上記ローラ10の動き
に対するこのばね13の追従性が悪化する他、グリース
が劣化する。
【0007】グリースが劣化すると、上記ローラ10、
10の転動面と内輪6の外周面、外輪9の内周面との接
触部が固着し、上記ローラクラッチ5のオーバーラン状
態を実現できなくなる。即ち、グリースの劣化によりロ
ーラクラッチ5内の潤滑が不良となる為、上記両周面同
士の間に食い込んだ各ローラ10、10が、上記各凹部
7、7部分に戻りにくくなり、内輪6と外輪9とが相対
回転できなくなる。又、ばね13の弾性が低下する(へ
たる)と、上記ローラクラッチ5の内部でがたつきが生
じ易くなる他、このローラクラッチ5がロック状態とな
りにくくなり、回転力を確実に伝達できなくなる。即
ち、ローラ10が凹部7に存在するオーバーランの状態
から、ローラ10が内輪6の外周面と外輪9の内周面と
の間に楔状に食い込むロック状態となる時に、ばね13
の弾性が不十分であると、このばね13がローラ10を
押圧する力が足りず、ローラ10が凹部7から移動して
上記両周面同士の間に楔状に食い込めなくなり、ロック
状態とならなくなる。
【0008】この様に、上記ばね13の硬度が高過ぎて
も、逆に低過ぎても、ばね13の摩耗やへたりにより、
ローラクラッチ5の機能が早期に低下する。従って、ロ
ーラクラッチ5の耐久性を確保する為には、上記ばね1
3の摩耗やへたりを抑える事が必要である。尚、上述の
様な問題は、上記ローラクラッチ5のみならず、他の一
方向クラッチ(例えばスプラグクラッチ等のカムクラッ
チ)の場合も同様である。即ち、ローラ、スプラグ、カ
ム等の係合子を有し、この係合子を、互いに同心に配置
された内周面及び外周面に向けて弾性的に押圧するばね
を備える一方向クラッチの場合には、上述の様な問題が
起こり得る。本発明の一方向クラッチ及び一方向クラッ
チ内蔵型プーリ装置は、この様な事情に鑑みて発明した
ものである。
【0009】
【課題を解決する為の手段】本発明の一方クラッチ及び
一方向クラッチ内蔵型プーリ装置のうち、請求項1に記
載した一方向クラッチは、従来構造と同様に、内側部材
と、この内側部材の周囲にこの内側部材と同心に配置さ
れた外側部材と、これら内側部材の外周面と外側部材の
内周面との間に設けられた複数個の係合子と、これら複
数個の係合子を保持する保持器と、これら各係合子を上
記両周面に対し係合する方向に押圧するばねとを備え
る。そして、上記内側部材と上記外側部材とが所定方向
に相対回転する傾向となる場合のみ上記各係合子と上記
各周面とを摩擦係合させて、回転力の伝達を自在とす
る。特に、本発明の一方向クラッチに於いては、このば
ねの硬度をHV 400〜540としている。
【0010】又、請求項2に記載した一方向クラッチ内
蔵型プーリ装置は、従来構造と同様に、回転軸を内嵌固
定自在なスリーブと、このスリーブの周囲にこのスリー
ブと同心に配置されたプーリと、これらスリーブの外周
面の一部とプーリの内周面の一部との間に設けられ、こ
れらプーリとスリーブとが所定方向に相対回転する傾向
となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間での
回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、上記スリ
ーブの外周面とプーリの内周面との間でこの一方向クラ
ッチとは軸方向にずれた位置に設けられ、このプーリに
加わるラジアル荷重を支承しつつこれらスリーブとプー
リとの相対回転を自在とするサポート軸受とを備える。
そして、上記一方向クラッチは、上記スリーブとプーリ
とのうちの一方の部材と共に回転する保持器と、この保
持器に保持された複数個の係合子と、これら各係合子を
上記スリーブ若しくはこのスリーブに固定された部材の
外周面及び上記プーリ若しくはこのプーリに固定された
部材の内周面に係合する方向に押圧するばねとを備え
る。特に、本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に
於いては、上記一方向クラッチが請求項1に記載した一
方向クラッチである。
【0011】
【作用】上述の様に構成する本発明の一方向クラッチ及
び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が、内側部材と外側
部材との間で回転力の伝達を自在とする作用は、従来か
ら広く知られているローラクラッチ等の一方向クラッチ
及び一方向クラッチ内蔵型プーリ装置と同様である。特
に、請求項1に記載した一方向クラッチは、ばねの硬度
をHV 400〜540としている為、この一方向クラッ
チがオーバーラン状態とロック状態を繰り返す事に伴
う、ばねの摩耗及びへたりを抑えると同時に、錆の発生
を防止できる。この為、ばねの追従性の低下やグリース
の劣化を防止でき、一方向クラッチの耐久性の確保を図
れる。又、請求項2に記載した一方向クラッチ内蔵型プ
ーリ装置は、上記一方向クラッチを内蔵する事により、
耐久性及び信頼性の向上を図れる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1〜3は、本発明の実施の形態
の1例を示している。スリーブ2は、全体を円筒状に形
成しており、図示しない回転軸の端部に外嵌固定して、
この回転軸と共に回転自在である。この為に図示の例で
は、上記スリーブ2の中間部内周面に雌ねじ部14を形
成し、この雌ねじ部14と上記回転軸の端部外周面に形
成した雄ねじ部とを螺合自在としている。上記スリーブ
2の端部には、上記雌ねじ部14と同心の六角孔部25
を形成し、この雌ねじ部14と上記雄ねじ部とを螺合さ
せる際に、工具を係止自在としている。この様なスリー
ブ2の材料として一般的には炭素鋼を使用するが、燒結
炭素鋼を使用すれば、上記六角孔25の加工を容易に行
なえる。尚、上記回転軸とスリーブ2との相対回転を防
止する為の構造は、ねじに代えて、スプライン、或は非
円筒面同士の嵌合、キー係合等としても良い。又、上記
スリーブ2の周囲にはプーリ3を、このスリーブ2と同
心に配置している。このプーリ3は炭素鋼に黄色クロメ
ート処理を施す事により表面処理被膜を形成して、錆の
発生を防いでいる。そして、これらスリーブ2の外周面
とプーリ3の内周面との間に、それぞれがラジアル玉軸
受である1対のサポート軸受4、4とローラクラッチ5
とを設けている。
【0013】このうちの各サポート軸受4、4は、内輪
を上記スリーブ2の両端部外周面に形成した小径段部1
5、15に外嵌し、外輪を上記プーリ3の両端部内周面
に内嵌している。そして、上記内輪の外周面と上記外輪
の内周面との間に複数個の転動体を保持器により保持し
た状態で転動自在に設け、上記外輪を上記内輪に対して
相対回転自在に支持している。この様に構成されるこれ
らサポート軸受4、4により、上記プーリ3に加わるラ
ジアル荷重を支承しつつ、上記スリーブ2とプーリ3と
の相対回転を自在とする。尚、上記内輪を上記小径段部
15、15のローラクラッチ5側の段差面に突き当てる
事により、上記各サポート軸受4、4の軸方向の位置決
めを図っている。従って、上記小径段部15、15の軸
方向寸法は、上記サポート軸受4、4を構成する内輪の
幅寸法により規制する。又、上記サポート軸受4、4の
軸方向両端部にはシールリングを設けている為、上記サ
ポート軸受4、4を潤滑するグリースだけでなく、前記
ローラクラッチ5を潤滑するグリースの漏洩を防止する
と共に、このローラクラッチ5内に異物が侵入する事を
防止できる。
【0014】一方、上記ローラクラッチ5を構成する内
輪6は、上記スリーブ2の中間部外周面に締まり嵌めに
より外嵌固定している。この内輪6は、SCM415等
の浸炭鋼又はAISI1012等の炭素鋼の板材にプレ
ス加工を施す事により全体を円筒状に形成し、外周面に
は複数の凹部7、7を円周方向に関し等間隔で形成し
て、この外周面をカム面8としている。又、プーリ3の
中間部内周面に外輪9を、内嵌固定している。この外輪
9は、SCM415等の浸炭鋼又はAISI1012等
の炭素鋼若しくは軸受鋼等(SUJ2等)の硬質金属製
の板材にプレス加工若しくは旋削加工を施す事により全
体を円筒状に形成し、内周面を円筒面17としている。
尚、上記カム面8を上記スリーブ2の外周面又は上記プ
ーリ3の内周面に直接形成しても良い。即ち、上記内輪
6又は外輪9を省略し、スリーブ2の外周面又はプーリ
3の内周面のどちらか一方にカム面8を形成し、他方に
円筒面17を形成する事もできる。
【0015】上記外輪9の軸方向両端縁には、それぞれ
内向フランジ状の鍔部16a、16bを形成している。
これら両鍔部16a、16bのうち、一方(図1の左
方)の鍔部16aは、他の構成各部材と組み合わせる以
前に形成する為、上記外輪9の本体部分と同様の厚さ寸
法を有する。これに対して、他方(図1の右方)の鍔部
16bは、他の構成各部材と組み合わせた後に形成する
為、薄肉にしている。
【0016】上記内輪6のカム面8と上記外輪9の円筒
面17との間の円筒状隙間内に、複数個のローラ10、
10と保持器11及びばね13、13とを設けている。
上記ローラ10は、SUJ2等の軸受鋼製としている。
又、上記ばね13、13は、ばね用鋼帯(好ましくはス
テンレス鋼帯)に調質又は焼入れ、焼戻し等の熱処理を
施して、硬度をHV 400〜540とした板ばねとして
いる。このばね13の板厚は0.2mm以下、引っ張り強
さは480N/mm2 以上、ばね定数は20N/mm以下と
している。又、前記ローラクラッチ5の使用時に於ける
上記ばね13の撓み量は、全撓み量の20〜80(好ま
しくは30〜70)%の範囲内に収まる様に設定してい
る。
【0017】又、上記保持器11は、ガラス繊維を含有
したナイロン46等の合成樹脂により籠型円筒状に一体
形成したもので、それぞれが円環状である1対のリム部
18、18と、これら両リム部18、18の内側面内周
縁寄り部分同士を連結する柱部12、12とを備える。
そして、上記リム部18、18の内側面と各柱部12、
12の側面とにより四周を囲まれた部分であるポケット
に上記ローラ10、10を、それぞれ転動自在に保持し
ている。又、上記リム部18、18のうちの一端側(図
1の左端側)のリム部18の内径側には凸部19を、径
方向内方に突出形成している。この凸部19を、スリー
ブ2の中間部一端寄り外周面で上記鍔部16aに対向す
る部分に形成したスリーブ鍔部20と、上記内輪6の一
端面との間で挟持する事により、上記保持器11が軸方
向に変位する事を防止すると共に、この保持器11が上
記スリーブ2に対して相対回転する事を防止している。
【0018】又、上記両リム部18、18の内側面で上
記各柱部12、12の円周方向中間部に整合する部分に
は、それぞれ両端側支持板部21、21を、上記各柱部
12、12の外周側面から直径方向外方に突出する状態
で形成している。これに対して、上記各柱部12、12
の中央部には、それぞれ中央側支持板部22を、これら
各柱部12、12の外周側面から直径方向外方に突出す
る状態で形成している。この様な両端側支持板部21、
21と中央側支持板部22とは、円周方向に関して少し
ずらせた状態で設けており、両端側支持板部21、21
の円周方向片側面(図2〜3の右側面)と中央側支持板
部22の円周方向他側面(図2〜3の左側面)との間
に、上記各ばね13、13の基部23を挟持している。
この状態でこの基部23の中央部外周側端縁に、上記中
央側支持板部22の先端部に形成した係止突片26を係
合させている。従って、運転時に加わる遠心力に拘ら
ず、上記各板ばね13、13が前記保持器11の径方向
外方に脱落する事はない。
【0019】上記各ばね13、13は、上記基部23の
両端部を円周方向に関して同方向に鋭角に折り曲げて、
両端部に押圧部24、24を設けて成る。この様な上記
各ばね13、13は、上述した様に、上記両端側支持板
部21、21の円周方向片側面に上記基部23の両端部
片側面を、上記中央側支持板部22の円周方向他側面に
この基部23の中央部他側面を、それぞれ弾性的に当接
させる事により、上記保持器11の円周方向複数個所に
係止している。そして、上記各押圧部24、24により
前記各ローラ10、10を、前記凹部7、7の浅い側
(図2の右側)に向け、弾性的に押圧している。
【0020】上述の様に構成する、本発明のローラクラ
ッチ内蔵型プーリ装置1のスリーブ2とプーリ3との間
での回転伝達を自在とする作用に就いては前述した通り
である。特に、本発明の場合には上記各ばね13、13
の硬度をHV 400〜540としている為、錆の発生を
防止しつつ、オーバーラン状態とロック状態を繰り返し
ても、上記各ばね13、13の摩耗及びへたりを抑えら
れる。この為、上記各ばね13、13の摩耗粉によりグ
リースが劣化して前記各ローラ10、10と内輪6の外
周面又は外輪9の内周面との接触部が焼き付いたり、上
記各ばね13、13のへたりにより、ロック状態となる
べき時に空転現象が起こる事を防止できる。これらによ
り、上記ローラクラッチ5の耐久性を向上させて、この
ローラクラッチ5を組み込んだローラクラッチ内蔵型プ
ーリ装置1の耐久性及び信頼性の向上を図れる。尚、図
示の例では、一方向クラッチとしてローラクラッチを使
用しているが、スプラグクラッチ等のカムクラッチの場
合も、係合子であるスプラグ等の係合子を押圧する、ガ
ータスプリング等のばねの硬度をHV 400〜540と
する事により、このガータスプリング等の摩耗やへたり
を防止して、カムクラッチの耐久性向上を図れる。又、
上記ローラクラッチ及びスプラグクラッチ等のカムクラ
ッチに使用するばねとして、上述した板ばね及びガータ
スプリング以外にコイルばねを使用した場合も同様であ
る。
【0021】次に、図4〜6は、本発明の対象となる上
記ばねの具体的形状の5例を示している。このうち、図
4の(A)は、図3に示した構造に組み込んだばね13
であり、図4の(B)及び図5に示すばね13aは、ロ
ーラ10の転動面(図1〜3参照)と当接する部分を丸
めて押圧部24a、24aとしたものである。この様に
押圧部24a、24aを丸めたばね13aは、これら各
押圧部24a、24aと上記各ローラ10、10の転動
面との当接部の面圧を低くして、上記各押圧部24a、
24aの摩耗を抑えると同時に、各ローラ10、10の
転動面に傷を付ける事を防止できる。又、図6の(A)
(B)に示したばね13b、13cは、基部23の両端
部に、この基部23に対し90度未満だけ折れ曲がった
押圧部24、24aを形成している。この様なばね13
b、13cは、上記各ころ10、10の軸方向両端部を
押圧するので、これら各ころ10、10の姿勢が安定す
る。尚、図6の(A)に示すばね13bは図4の(A)
に示したばね13と同様に、各押圧部24、24の先端
は平坦なままとしている。これに対して、図6の(B)
に示すばね13cは、図4の(B)及び図5に示したば
ね13aと同様に、各押圧部24a、24aを丸めてい
る。
【0022】
【実施例】本発明を完成する過程で、本発明者が行なっ
た実験に就いて説明する。この実験では、硬度が異なる
5種類のばねを一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に組み
込んで、硬度の違いが、このばねの摩耗量、へたり、錆
びの発生に及ぼす影響を検証した。先ず、ばねの硬度と
ばねの摩耗量との関係を知る為に行なった実験の結果
を、次の表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】この実験では、表1に示す様に、ばねの硬
度がHV 380〜600である5種類のばねをそれぞれ
組み込んだ一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に対して、
オーバーラン状態とロック状態を繰り返す、噛み合い試
験を行なった。この試験は、定格トルクでプーリを駆動
し、300min-1 のサイクルで100万回上記両状態の
変換を行なわせた後に於ける、上記各ばねの押圧部の摩
耗量を調べた。尚、本実験で使用した一方向クラッチ内
蔵型プーリ装置に内蔵したローラクラッチに上記両状態
を繰り返させる為、外輪に付与した揺動角は10°とし
た。この様な実験の結果を表す表1から明らかな様に、
ばねの硬度がHV 380の場合には摩耗量は多いが、H
V 400以上、より好ましくはHV 540以上であれ
ば、摩耗量を少なく抑えられる。次に、ばねの硬度とば
ねのへたりとの関係を調べた結果を、次の表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】このへたりに関する実験も、表1にその結
果を示した実験と同じ条件で、硬度がHV 380〜60
0の5種類のばねに就いて行なった。このへたりに関す
る実験の結果を示す表2から明らかな様に、ばねの硬度
がHV 400以上であればへたりは無いが、HV 380
以下ではへたりが生じる。更に、本発明者は、ばねの硬
度と錆の発生との関係を調べた。この結果を次の表3に
示す。
【0027】
【表3】
【0028】この実験では、硬度がHV 380〜600
である、5種類のばねに就いて、1週間放置した後、そ
れぞれの表面状態を観察した。即ち、これら各ばねを形
成した後に、調質等の為の熱処理を施して、所定の硬度
としてから1週間放置し、錆の発生の有無を調べた。こ
の様な実験の結果を示す表3から明らかな様に、HV
40以下では錆の発生は無いが、HV 560以上では粒
界腐食が発生した。上述した表1〜3にそれぞれの結果
を表した実験から明らかな通り、一方向クラッチに組み
込むばねの硬度をHV 400〜540の範囲内に規制す
れば、このばねに錆びが発生するのを防止しつつ、一方
向クラッチのロック状態とオーバーランとのを繰り返し
に基づく摩耗及びへたりを抑えられる。
【0029】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用するので、ロック状態とオーバーラン状態との繰り返
しによる一方向クラッチの寿命の低下を防止し、この一
方向クラッチを組み込んだ一方向クラッチ内蔵型プーリ
装置の耐久性、信頼性等の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す断面図。
【図2】ローラクラッチのみを取り出した状態で示す、
図1の拡大A−A断面図。
【図3】保持器とローラ及びばねのみを取り出した状態
で示す、図2の外周側から見た図。
【図4】ばねの具体的形状の2例を示す図。
【図5】図4の(B)に示したばねの斜視図。
【図6】ばねの具体的形状の別の2例を示す図。
【符号の説明】
1 ローラクラッチ内蔵型プーリ装置 2 スリーブ 3 プーリ 4 サポート軸受 5 ローラクラッチ 6 内輪 7 凹部 8 カム面 9 外輪 10 ローラ 11 保持器 12 柱部 13、13a、13b、13c ばね 14 雌ねじ部 15 小径段部 16a、16b 鍔部 17 円筒面 18 リム部 19 凸部 20 スリーブ鍔部 21 両端側支持板部 22 中央側支持板部 23 基部 24、24a 押圧部 25 六角孔部 26 係止突片

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内側部材と、この内側部材の周囲にこの
    内側部材と同心に配置された外側部材と、これら内側部
    材の外周面と外側部材の内周面との間に設けられた複数
    個の係合子と、これら複数個の係合子を保持する保持器
    と、これら各係合子を上記両周面に対し係合する方向に
    押圧するばねとを備え、上記内側部材と上記外側部材と
    が所定方向に相対回転する傾向となる場合のみ上記各係
    合子と上記各周面とを係合させて回転力の伝達を自在と
    する一方向クラッチに於いて、このばねの硬度をHV
    00〜540とした事を特徴とする一方向クラッチ。
  2. 【請求項2】 回転軸を内嵌固定自在なスリーブと、こ
    のスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置されたプ
    ーリと、これらスリーブの外周面の一部とプーリの内周
    面の一部との間に設けられ、これらプーリとスリーブと
    が所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これ
    らプーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とす
    る一方向クラッチと、上記スリーブの外周面とプーリの
    内周面との間でこの一方向クラッチとは軸方向にずれた
    位置に設けられ、このプーリに加わるラジアル荷重を支
    承しつつこれらスリーブとプーリとの相対回転を自在と
    するサポート軸受とを備え、上記一方向クラッチは、上
    記スリーブとプーリとのうちの一方の部材と共に回転す
    る保持器と、この保持器に保持された複数個の係合子
    と、これら各係合子を上記スリーブ若しくはこのスリー
    ブに固定された部材の外周面及び上記プーリ若しくはこ
    のプーリに固定された部材の内周面に対し係合する方向
    に押圧するばねとを備えたものである一方向クラッチ内
    蔵型プーリ装置に於いて、上記一方向クラッチが請求項
    1に記載した一方向クラッチである事を特徴とする一方
    向クラッチ内蔵型プーリ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007198582A (ja) * 2005-12-14 2007-08-09 Nsk Ltd 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置
CN108757724A (zh) * 2018-08-18 2018-11-06 苏州金诚轴承有限公司 一种悬挂高速使用的单向轴承

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JP2007198582A (ja) * 2005-12-14 2007-08-09 Nsk Ltd 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置
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