JP2002294409A - カミソリ用刃材およびカミソリ用刃 - Google Patents

カミソリ用刃材およびカミソリ用刃

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた高硬度・高強度や高耐食性を兼備し、
かつ十分な厚さを有するカミソリ用刃材、そしてカミソ
リ用刃を効率よい製造プロセスにて提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.5〜5.0%、C
r:9.0〜14.0%、Mo:0.5〜8.0%を含
有する鉄基合金、具体的には、C:0.5〜5.0%、
Cr:9.0〜14.0%、Mo:0.5〜8.0%、
B+Si:0.5〜8.0%、残部Feおよび不可避的
不純物からなり、組織面に観察される析出物が直径0.
1μm未満(析出物の観察されない場合を含む)のカミ
ソリ用刃材である。好ましくは、組織中に占有する非晶
質組織が体積率にて30%以上のカミソリ用刃材であっ
て、その材料厚さが30〜100μmである。ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)をコーティングして使
用することが可能であり、そのコーティングしてなるカ
ミソリ用刃である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的性質および
化学的性質に優れたカミソリ用刃材に関し、特にそのカ
ミソリ刃としたときの切刃部硬さが高く、刃先形状精度
が良好で、優れた切れ味を有し、非常に優れた耐食性と
耐摩耗性を保持するカミソリ用刃材、そして、その用い
てなるカミソリ用刃に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カミソリ刃としては結晶質金属の
炭素鋼やステンレス鋼に樹脂コーティング処理したもの
が用いられている。しかし、炭素鋼製カミソリでは焼戻
し軟化抵抗の不足から著しく硬さが低下し十分な切れ味
が得られないこと、炭化物が粗大なこと、耐食性が劣る
ため耐久性が悪いことなどの課題があった。
【0003】ステンレス鋼製カミソリ刃としては、その
刃材として例えば通常溶製法による1%C−13%Cr
鋼、0.65%C−13%Cr鋼が用いられているが、
前者は高炭素−高Crであるため高い硬さは得られるも
のの巨大炭化物を含む組織となり易いことから、最近で
は後者の0.65%C−13%Cr鋼が好ましく用いら
れている。しかし、後者であっても、これは耐食性を劣
化させる巨大炭化物は非常に少ないものの、低炭素であ
るため高い焼入れ硬さが得られないという課題がある。
【0004】また、肌触りを良くするために300〜4
00℃で樹脂コーティング処理をすることから、切刃部
硬さがHV600〜650と低く、刃先強度が不足する
ので、ひげ剃り時に刃先が曲がり、カミソリとしての耐
久性が悪いという課題を有する。そのうえ、刃先強度を
増大するために高硬度化した場合には、直径約0.1μ
m以上の炭化物(主にCr含有炭化物;M、M
23など)が多量に生成されるため、耐食性の劣化
や脆化を招き、使用によっては折れ等の欠陥が生じてし
まう。
【0005】よって、これらの材料を用いてカミソリ用
刃材を製造するには、熱処理や熱間・冷間圧延を組み合
わせて素材寸法や硬さ等を調整する必要があり、結果と
して多大な工数がかかってしまう。
【0006】上記の課題を解決する手段としては、非晶
質金属よりなる材料が提案されている。非晶質金属より
なる材料は、硬さ・強度や耐食性を著しく向上させるこ
とが可能であるため、古くは1970年代に非晶質金属
化が可能な合金成分設計が広範囲な組成にて活発に検討
されており、例えば特開昭51−4019号などであ
る。刃物材料としての適用も検討されており、特開昭5
4−31023号には、鉄にP、C、B、Si等の非金
属元素を2%以上40%以下の範囲で単独あるいは複合
で加えて非晶質構造を持たせた材料としたものが提案さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記提案の非晶質金属
刃材は、硬さ・強度や耐食性の向上手段として有効であ
る。しかし、これらの合金設計の場合、その効果を得る
に必要な非晶質金属化のためには少なくとも臨界冷却速
度10K/s程度の急冷凝固が必要となる。そのため
作製できる材料の厚さが非常に薄く、約30μm厚さの
材料ともなると作成が困難となる。
【0008】また、上記組成をもとに非晶質金属よりな
る材料について、本発明者らが種々検討したところ、約
30μm厚さ以上の材料では完全に非晶質化せず、組織
中には直径約0.1μm以上の炭化物やホウ化物等の析
出物が多量に生成して、耐食性の劣化や脆化が起こるこ
とも見いだした。この主要な析出物は、炭化物がCr含
有炭化物MやM23で、ホウ化物がFe
B、FeB、CrB、CrBなどである。
【0009】そこで、本発明は、析出物を抑えたカミソ
リ用刃材、具体的には組織の非晶質化にて析出物が抑制
されたカミソリ用刃材を、しかも厚い材料厚さとするこ
とで、切刃部硬さが高く、刃先形状精度が良好で、優れ
た切れ味を有し、非常に優れた耐食性と耐摩耗性を有す
るカミソリ用刃材、そして、その用いてなるカミソリ用
刃を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カミソリ
用刃材の化学組成およびミクロ組織について鋭意研究し
た。その結果、耐食性の向上や脆化の抑制に有効な析出
物状態を見いだしたと共に、C、Cr、Moを最適化学
組成に調整することによって、析出物の生成が抑えられ
る組成域を見いだした。加えて、非晶質化を助ける元素
種を選定、BやSiの適量添加が有効であることも見い
だした。そして、その析出物の抑制にも有利な非晶質組
織についても検討し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明は、質量%で、C:0.
5%以上、Cr:9.0〜14.0%、Mo:8.0%
以下を含有する鉄基合金、具体的には、C:0.5〜
5.0%、Cr:9.0〜14.0%、Mo:0.5〜
8.0%を含有する鉄基合金であって、組織面に観察さ
れる析出物が直径0.1μm未満(析出物の観察されな
い場合を含む)であることを特徴とするカミソリ用刃材
である。
【0012】さらには、質量%で、C:0.5%以上、
Cr:9.0〜14.0%、Mo:8.0%以下、B+
Si:8.0%以下、残部Feおよび不可避的不純物か
らなり、具体的には、C:0.5〜5.0%、Cr:
9.0〜14.0%、Mo:0.5〜8.0%、B+S
i:0.5〜8.0%、残部Feおよび不可避的不純物
からなり、組織面に観察される析出物が直径0.1μm
未満(析出物の観察されない場合を含む)であることを
特徴とするカミソリ用刃材であって、高硬度・高強度や
高耐食性を兼備する。
【0013】好ましくは、組織中に占有する非晶質組織
が体積率にて30%以上のカミソリ用刃材であって、こ
れにより耐食性および機械的性質が大幅に向上する。な
お、本発明のいう非晶質組織とは、一種の非晶質組織で
ある粒界層も含むものである。また、本発明のカミソリ
用刃材は、その材料厚さが30〜100μm以下である
ことをも特徴とする。
【0014】さらに、本発明のカミソリ用刃材は、ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)をコーティングし
て使用することも特徴とし、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)でコーティングしてなることを特徴とす
るカミソリ用刃である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の最も重要な特徴の1つ
は、最適な化学組成に調整することによって、析出物が
少量・微細、具体的には組織面に直径0.1μm以上の
析出物が観察されないカミソリ用刃材を提供できるとこ
ろにある。本発明の組織を得るには例えば急冷凝固法に
よる作製が有効であり、その臨界冷却速度が5×10
K/s程度の凝固速度でも厚さの厚い非晶質材、具体的
には組織中に占有する非晶質組織が体積率にて30%以
上の材料も得られることから、上記の析出物状態の達成
に有利であって、その急冷凝固ままの状態にて本発明の
カミソリ用刃材とできる。
【0016】最初に本発明の根幹をなす組織制御につい
て説明する。本発明のカミソリ用刃材は、高硬度・高強
度かつ高耐食性を達成すべくその組織中の析出物を少量
・微細に調整すること、そしてそのためにも効率よい組
織の非晶質化を行なうものである。
【0017】本発明ではこの組織を得るために、材料の
母相をナノ結晶組織、あるいはナノ結晶分散非晶質組
織、あるいは非晶質組織に制御する。図1に本発明の典
型的なミクロ組織の模式図を示す。母相がナノ結晶組織
(a)の場合、一種の非晶質組織である粒界層の体積が
増大し、そこへの溶質元素の固溶限が増加するため、炭
化物等の析出を抑制できる。例えば、通常の工業製品の
結晶粒径は約10μmで粒界層体積の占有率は約0.0
2%であるが、結晶粒径が約10nmのナノ結晶組織に
すると粒界層体積の占有率は約20%となり、粒界層へ
の溶質元素の固溶限は約1000倍増加することにな
る。
【0018】また、母相がナノ結晶分散非晶質組織
(b)の場合、上記の効果に加えて、ナノ結晶/非晶質
界面は、固/液界面と同様に低い界面エネルギーを持
ち、過剰空孔を含まない稠密な原子配列状態であるた
め、析出物の析出サイトとなり難い。さらに、母相が非
晶質組織(c)の場合は言うまでもなく、よってこのよ
うな組織に調整することで、析出物の生成が抑制でき、
高硬度・高強度や高耐食性を兼備できるのである。
【0019】上記の技術に則し、本発明のカミソリ用刃
材は組織中に析出物が確認されない、あるいは析出物の
直径が0.1μm未満の組織であることに加え、かつ母
相をナノ結晶組織、あるいはナノ結晶分散非晶質組織、
あるいは非晶質組織に制御しているので、通常使用され
ている結晶質金属のような結晶粒界がない。このことに
よって、カミソリ刃の仕上げ工程である刃付け時に切刃
領域がより平滑に仕上がり、カミソリ刃使用時の剃り味
も著しく向上される。
【0020】以下に、本発明のカミソリ用刃材の成分お
よびその含有量等を限定した理由について詳細に説明す
る。
【0021】・C:0.5%以上 Cは、強度を上げるために必要な元素である。また、多
量に添加した場合には、融点を低下させ製造性を向上さ
せる。したがって、0.5%以上とした。なお、グラフ
ァイトの晶出を抑えるべく、望ましくは5.0%以下と
する。
【0022】・Cr:9.0〜14.0% Crは、耐食性を付与するために必要な基本的元素で、
ステンレス鋼程度の耐食性を付与するためには9.0%
以上の添加が必要である。しかし、14.0%を超える
添加は高価になり、かつネットワーク状に巨大な炭化物
が晶出され易くなるため超急冷が必須となったり、熱間
加工性も悪化して製造性を劣化させる。したがって、そ
の範囲を9.0〜14.0%とした。
【0023】・Mo:8.0%以下 Moは、耐食性を向上させる。また、粗大化し易いCr
含有炭化物(MやM23)の析出サイトの占
有、およびCとの親和力が強いためCの拡散活量の低下
に有効で、Cr含有炭化物の粗大化を抑制するだけでな
く他の炭化物等の析出抑制効果がある。しかし、多量添
加した場合には、多量のMo含有炭化物(MoCな
ど)や複合ホウ化物(Mo(Fe,Cr)B、Fe
13Mo、MoB、MoBなど)等を含む脆
化相を析出して、耐食性および靭性を悪化させる。した
がって、その上限値を8.0%とした。なお上記の効果
を得るに望ましくは0.5%以上である。
【0024】上記の成分組成にある鉄基合金であること
に加え、本発明のさらなる効果向上の上でB、Siの含
有が有効である。
【0025】・B+Si:8.0%以下 BおよびSiは、組織の非晶質化を助長する元素であ
る。しかし、多量添加した場合には、非晶質化を阻害
し、かつ多量の脆化相(複合ホウ化物;Mo(Fe,
Cr)B、Fe13Mo、MoB、Mo
やFeSi、Fe Siなど)を析出して、靭性を悪
化させる。したがって、本発明ではその1種あるいは2
種の含有にて合計の上限値を8.0%とした。なお上記
の効果を得るに望ましくは0.5%以上である。
【0026】なお、本発明においては、上述した化学組
成と下記するミクロ組織による基本的な作用を損なわな
い範囲において、非晶質化を助長するその他の元素を添
加することができる。例えば、P、Nb、Zr、Ta、
Al、Ga、Ni、Co、Cuなどである。
【0027】・組織面に観察される析出物が直径0.1
μm未満(析出物の観察されない場合を含む) 析出物は、強度や靭性および耐摩耗性を向上できる。し
かし、析出物のサイズが大きい場合には、靭性が低下す
るだけでなく、耐食性向上に有効な、母相中のCrやM
oを析出物に取られるため耐食性が悪化する。したがっ
て、強度や靭性および耐摩耗性と耐食性を兼備させるた
めには、直径0.1μm以上の析出物が観察されない組
織とすることが重要である。
【0028】本発明の析出物状態を確認するにおいて
は、例えば走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡による
組織観察が適用できる。走査型電子顕微鏡の場合は、そ
の試料作製を電解研磨(スピード法含む)で行ない、加
速電圧:5〜15kV、倍率:〜10万で観察すること
ができる。透過型電子顕微鏡の場合は、その試料作製を
イオンミリングで行ない、加速電圧:200kV、倍
率:〜30万で観察することができる。そして、析出物
の大きさは、1視野で20個以上の析出物が存在するよ
うな倍率で撮影した20枚の写真を用いて画像処理を行
い、円相当径で換算した析出物の最大直径で評価すれば
よい。
【0029】・組織中に占有する非晶質組織が体積率で
30%以上 非晶質組織は、耐食性および強度を大幅に向上させる。
また、一種の非晶質組織である粒界層の増大は、溶質元
素の固溶限を増加するため、上述した炭化物や複合ホウ
化物等の析出を抑制できる。したがって、30%以上を
占有することが望ましい。好ましくは50%以上、さら
には70%以上である。
【0030】本発明の非晶質組織の体積率を確認するに
おいては、例えば透過型電子顕微鏡による組織観察や電
子線回折およびX線回折による解析が適用できる。一例
として、まずX線回折法を実施し、続いて透過型電子顕
微鏡による組織観察や電子線回折による解析を実施す
る。透過型電子顕微鏡観察は上述した条件で、また電子
線回折は制限視野回折法で行なえばよい。
【0031】そして、非晶質組織の体積率は、次のよう
に評価すればよい。母相全体が非晶質組織(前掲 図1
(c))の場合、上述した全ての方法で確認することが
できる。母相が非晶質でナノ結晶が分散(前掲 図1
(b))している場合、透過型電子顕微鏡観察および画
像解析から分散したナノ結晶の総体積率を求め、この値
を全体から差し引くことによって算出することができ
る。ナノ結晶組織(前掲図1(a))の場合、透過型電
子顕微鏡観察よりナノ結晶粒径(切断法;斜方12面体
近似を適用)を求め、この値および一般に言われている
粒界厚さ(約1nm:1nmとする)を用いて粒界層体
積を算出すればよい。
【0032】・厚さが30〜100μm 本発明のカミソリ用刃材は、その材料厚さを30μm以
上にできるところにも特徴を有する。これにより、後の
熱間・冷間加工や熱処理などの後工程を最小限に縮小、
さらには不要にもでき、製造プロセス工数を画期的に省
力できる。例えば急冷凝固法にて本発明のカミソリ用刃
材を作製すれば、その急冷凝固ままでカミソリ用刃材と
することができる。
【0033】・ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)でコーティング 本発明のカミソリ用刃材は、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)でコーティングして使用するところにも
特徴を有する。これにより、カミソリ用刃の重要な特性
の一つである肌触りを著しく向上することができる。
【0034】ここで、本発明のカミソリ用刃材を得るに
急冷凝固法を利用することが有効であることは上述の通
りである。この場合、臨界冷却速度5×10K/s程
度の凝固速度であれば、その急冷凝固ままの状態にて本
発明のカミソリ用刃材として得られ、厚さ30μm以上
の刃材も達成可能である。但し、非晶質組織の達成の上
で厚すぎるものは適当ではなく、上記程度の冷却速度に
て達成できる急冷凝固ままの材料厚さとしてもその上限
は100μm程度である。したがって、本発明の範囲は
30〜100μmとしている。
【0035】このように本発明は、通常の溶製法といっ
た製造方法では比較的大きな炭化物等の析出物が生成す
る成分系であるにもかかわらず、例えば急冷凝固法とい
った製造方法の適用にて析出物を極小に制限できる組成
である。そして、この場合、臨界冷却速度5×10
/s程度の凝固速度であっても組織面に直径0.1μm
以上の析出物が観察されない組織とできるから、従来材
よりも材料厚さが厚い刃材を製造できる。これらにて、
カミソリとした際の切刃部硬さが高く、刃先形状精度が
良好で、優れた切れ味を有し、非常に優れた耐食性と耐
摩耗性が求められるカミソリ用刃材に適当である。
【0036】その他、直径0.1μm以上の析出物が観
察されない、本発明の組織を有する刃材の製造方法とし
て、臨界冷却速度5×10K/s程度の凝固速度が得
られる銅鋳型鋳造法、吸引鋳造法および溶湯鍛造法など
が、さらには超急冷が可能である、液体急冷法(例え
ば、単ロール法)、気相凝縮法(例えば、電子ビーム蒸
着法)、固相反応法(例えば、メカニカルアロイン
グ)、化学還元法(例えば、めっき法)などが挙げられ
る。
【0037】本発明のカミソリ用刃材であれば、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)をコーティングする
通常の熱処理条件(加熱速度:約0.6℃/s)でも体
積率30%以上の非晶質組織が崩れ難く、80℃/s以
上の急速加熱を適用すれば十分な効果を維持できる。
【0038】以上、本発明であれば、ある程度の厚さ
で、かつ、高硬度・高強度や高耐食性を有する材料が提
供できるので、カミソリ用刃材に最適であり、そして、
カミソリ用刃材だけでなく他の刃物材など様々な用途へ
の適用も可能となる。
【0039】
【実施例】次に実施例により、本発明を詳細に説明す
る。まず、実施例における標準的な製法を示す。本発明
のカミソリ用刃材は上述した種々の方法で製造できる
が、本実施例では液体急冷法(単ロール法)を用いた。
つまり、成分調整した合金を、溶融状態から高速回転し
ている金属ロール表面上に連続的に噴出させ、急速冷却
(臨界冷却速度10〜10K/s)して金属ストリ
ップを製造した。
【0040】析出物の大きさは、走査型電子顕微鏡(加
速電圧:10kV、倍率:5万)および透過型電子顕微
鏡(加速電圧:200kV、倍率:20万)を用いた、
上述の手法による観察によって評価した。また、ミクロ
組織の評価は、透過型電子顕微鏡観察および電子線回折
で行い、上述の手法にてナノ結晶、ナノ結晶分散、非晶
質組織に分類した。
【0041】耐食性の評価は、塩水噴霧試験(5%Na
Cl、35℃、24時間)を実施し、外観観察より発錆
状況をカミソリ用刃材として多く適用されている0.6
5%C−13%Crステンレス鋼(試料No.C1)と
比較した(評価基準は下記の図2、4を参照)。靭性
は、90°折り曲げ試験を実施し、折り曲げ角が45°
までに破損した場合を×とし、それ以上のものを○とし
て評価した。加えて、硬さについても評価した。
【0042】(実施例1)表1に示す化学成分のストリ
ップを上述した製法により製造した。試料No.1〜6
は本発明の成分規定範囲内の本発明材、試料No.C2
〜C4はそれぞれC、Cr、Moが本発明の成分規定範
囲外の比較材である。なお、比較材である試料No.C
1はカミソリ用刃材として多く適用されている通常溶製
法による0.65%C−13%Crステンレス鋼であ
る。
【0043】
【表1】
【0044】これらの各試料に上記の評価を行なった結
果を表2に示す。また、本発明の典型的な耐食性の評価
結果として、図2に本発明材の試料No.4、比較材の
試料No.C1、C3、C4の塩水噴霧試験結果の外観
発錆状況を示す。
【0045】
【表2】
【0046】本発明の試料No.1〜6は、比較材であ
る試料No.C1に比べて、硬さがHV700以上と硬
く、耐食性も発錆が無く非常に優れている。一方、本発
明の規定範囲よりもCの少ない比較材試料No.C2
は、硬さがHV600程度で比較材試料No.C1に比
べて低い値である。本発明の規定範囲よりもCrの少な
い比較材試料No.C3は、比較材試料No.C1より
も錆び発生がやや少ないものの、十分な耐食性を有して
いるとは言えない。本発明の規定範囲よりもMoが多い
比較材試料No.C4は、上述したMoを含有した炭化
物やホウ化物等を含む脆化相が析出しており、耐食性お
よび靭性が悪化している。
【0047】(実施例2)表3に示す化学成分のストリ
ップを上述した製法により製造した。なお、これらの試
料は全て本発明の化学成分規定範囲内のものである。
【0048】
【表3】
【0049】そして、これらストリップに熱処理を行な
う等、その熱処理条件や、材料厚さを変化させて急冷凝
固速度を調整するといった製造条件を変化させて所定の
材料となるように調整した。本発明材である試料No.
7、8は比較材である試料No.C5、C6と各々同一
化学成分であるが、試料No.C5、C6は析出物の大
きさが規定範囲外である。本発明材の試料No.9と1
0、11と12は同一化学成分であるが、試料No.1
0、12は急冷凝固ままの材料厚さが本発明のより好ま
しい規定範囲を超えているものである。
【0050】これら各試料のミクロ組織の詳細を、実施
例1と同様の評価結果と共に表4に示す。また、本発明
の典型的なミクロ組織および耐食性の評価結果として、
本発明材である試料No.8、10、比較材である試料
No.C6の透過型電子顕微鏡写真を図3に、塩水噴霧
試験結果の外観発錆状況を図4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】本発明の試料No.7〜12は、析出物の
大きさ、硬さや耐食性において十分優れた特性を示して
おり、特に本発明のより好ましい規定範囲である試料N
o.7〜9、11はより優れた耐食性を示す。これは、
組織中に占有する非晶質組織が体積率にて30%以上で
ある場合には大幅に耐食性が向上することを示唆するも
のである。一方、比較材である試料No.C5、C6
は、化学成分が規定範囲内であるにもかかわらず、観察
される析出物の大きさが0.1μm以上であるために、
耐食性および靭性が悪化した。
【0053】(実施例3)表1に示した本発明の試料N
o.5を用いて、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)のコーティングを想定した熱処理実験(加熱温度:
350℃、保持時間:600s)を行った。図5、6
に、(a)通常の加熱条件(加熱速度:0.6℃/
s)、(b)80℃/s以上の急速加熱条件で熱処理し
た本発明の試料No.5の透過型電子顕微鏡写真を示
す。なお、ミクロ組織の評価は、上述の手法で実施し
た。
【0054】本発明の試料No.5では、(a)のポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)をコーティングす
る通常の熱処理条件(加熱速度:0.6℃/s)でも非
晶質組織が体積率で30%以上である。また、(b)の
80℃/sの急速加熱条件では非晶質組織が体積率で8
0%以上であった。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により従来の
カミソリ用刃材に比べて、優れた高硬度・高強度や高耐
食性を兼備したカミソリ用刃材を提供でき、カミソリと
した時の切れ味に優れるものである。そして、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)をコーティングするこ
とで肌触りを著しく向上でき、そのコーティングの際の
熱処理でも非晶質組織が崩れ難い。かつ、急冷凝固法に
て製造すれば、そのままでカミソリ用刃材として直接製
造・適用できるため、後の熱間・冷間加工や熱処理など
が不要ともできることから、製造プロセス工数を画期的
に省力でき、極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の効果を説明するための、典型的なミク
ロ組織を示す模式図である。
【図2】本発明の効果を説明するための、塩水噴霧試験
結果の外観発錆状況を示すスケッチ図である。
【図3】本発明および比較例のミクロ組織を示す透過型
電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の効果を説明するための、塩水噴霧試験
結果の外観発錆状況を示すスケッチ図である。
【図5】本発明のミクロ組織を示す透過型電子顕微鏡写
真である。
【図6】本発明のミクロ組織を示す透過型電子顕微鏡写
真である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.5%以上、Cr:
    9.0〜14.0%、Mo:8.0%以下を含有する鉄
    基合金であって、組織面に観察される析出物が直径0.
    1μm未満(析出物の観察されない場合を含む)である
    ことを特徴とするカミソリ用刃材。
  2. 【請求項2】 質量%で、C:0.5〜5.0%、C
    r:9.0〜14.0%、Mo:0.5〜8.0%を含
    有する鉄基合金であって、組織面に観察される析出物が
    直径0.1μm未満(析出物の観察されない場合を含
    む)であることを特徴とするカミソリ用刃材。
  3. 【請求項3】 質量%で、C:0.5%以上、Cr:
    9.0〜14.0%、Mo:8.0%以下、B+Si:
    8.0%以下、残部Feおよび不可避的不純物からな
    り、組織面に観察される析出物が直径0.1μm未満
    (析出物の観察されない場合を含む)であることを特徴
    とするカミソリ用刃材。
  4. 【請求項4】 質量%で、C:0.5〜5.0%、C
    r:9.0〜14.0%、Mo:0.5〜8.0%、B
    +Si:0.5〜8.0%、残部Feおよび不可避的不
    純物からなり、組織面に観察される析出物が直径0.1
    μm未満(析出物の観察されない場合を含む)であるこ
    とを特徴とするカミソリ用刃材。
  5. 【請求項5】 組織中に占有する非晶質組織が体積率に
    て30%以上であることを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれかに記載のカミソリ用刃材。
  6. 【請求項6】 厚さが30〜100μmであることを特
    徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカミソリ
    用刃材。
  7. 【請求項7】 ポリテトラフルオロエチレン(PTF
    E)でコーティングして使用されることを特徴とする請
    求項1ないし6のいずれかに記載のカミソリ用刃材。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のカミソリ用刃材にポリ
    テトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングし
    てなることを特徴とするカミソリ用刃。
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