JP2002292528A - センサ付き切削工具の作製方法 - Google Patents
センサ付き切削工具の作製方法Info
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Abstract
削工具の製造方法を提供する。 【解決手段】 導電性母材の表面に絶縁層を形成し、そ
の表面にイオンプレーティング法で導電膜を形成して、
この導電膜でセンサ回路を形成するセンサ付き切削工具
の作製方法であって、上記導電膜の形成を開始するとき
のバイアス電圧を成膜時のバイアス電圧に直接設定して
上記導電膜の形成を開始する。つまり、従来のように導
電膜の形成に先立って、高いバイアス電圧を印加するい
わゆるイオンボンバードを行なわない。
Description
に関し、特に切削工具の寿命を検知するセンサ回路を設
けたセンサ付き切削工具の作製方法に関する。
い面と逃げ面との交差稜が切刃となる切削工具において
は、逃げ面の摩耗の大きさは工具寿命の判定基準とな
る。そのため、切削加工中にインプロセスで逃げ面の摩
耗量を速やかに測定することは、高精度加工を維持する
上で大変重要である。
することは作業環境上大変難しい。そこで、切削加工を
一旦中止して工具をはずして工具顕微鏡などで観測した
り、加工中にインプロセスで摩耗量を知りたい場合は、
工具摩耗に付随して起こる他の現象(切削力や振動の変
化など)を工作機械の加工点付近等に設置したセンサで
検出して摩耗量を推定していた。
量的な量を求めることが困難であったり、摩耗検知のた
めの十分な感度や信頼性が得られなかった。
量を検知することによって、工具寿命を自動的に判定す
る方法が提案されている。導電性のある切削工具に応用
する場合、絶縁層中に埋設された導体路を用い、それが
切削工程中に中断するための信号をトリガとして限界摩
耗および破断を検出するものも提案されている(特開昭
62−88552号公報参照)。
抵抗体、クローム金属膜、Ti金属膜、TiN、TiC
が用いられており、それらの成膜方法としてはPVD法
を用いた蒸着が一般的である。
膜は、切り屑の衝突による導電膜の摩耗や剥離が発生
し、過酷な条件下で使用する工具には適していなかっ
た。このような問題を克服するために、TiNやTiC
の硬質な導電膜を利用することも提案されているが、こ
の硬質な導電膜をPVD法で成膜する場合、母材の密着
強度を向上するために成膜前にボンバード工程を行な
う。しかし、ボンバード工程では成膜工程に比べて非常
に高いバイアス電圧が印加されることにより、絶縁層に
非常に大きなイオンの衝撃が加わることになる。このこ
とにより、絶縁層が部分的に剥離するという問題があっ
た。そのため、剥離部分を通して導電性母材と導電膜と
の間で短絡が起こり、センサ機能を安定して発揮できる
センサ回路を作製することは困難であった。
解消したセンサ付き切削工具の製造方法を提供すること
を目的とする。
に、請求項1に係るセンサ付き切削工具では、導電性母
材の表面に絶縁層を形成し、その表面にイオンプレーテ
ィング法で導電膜を形成して、この導電膜でセンサ回路
を形成するセンサ付き切削工具の作製方法において、前
記導電膜の形成を開始するときのバイアス電圧を成膜時
のバイアス電圧に直接設定して前記導電膜の形成を開始
することを特徴とする。つまり、請求項1に係るセンサ
付き切削工具の作製方法では、従来のように導電膜の形
成に先立って、高いバイアス電圧を印加するいわゆるイ
オンボンバードを行なわない。
ーアウエイ工具を例として説明する。なお、ドリル等へ
の応用も可能である。
焼結体、窒化珪素質焼結体、サーメット、超硬合金、立
方晶窒化ホウ素質焼結体(CBN/cubic Bor
onNitride)、ダイヤモンド焼結体(PCD/
Polycrystalline Diamond)、
またこのような導電性母材にPVD法および/またはC
VD法により周期律表第4a、5a、6a族元素の1種
乃至2種以上の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物のい
ずれかひとつの硬質膜をコーティングしたコーティング
工具等が使用できる。
Cを2〜40重量%、Fe、Ni、Coの酸化物のうち
少なくとも1種を0.01〜5重量%、残部がAl2O3
および不可避不純物からなる酸化アルミニウム質焼結体
などが使用できる。
O3換算で1.5〜10モル%、Tiの炭化物、窒化
物、炭窒化物を30〜80mol%、残部が窒化珪素と
希土類酸化物を窒化珪素に対して10重量%以下、不純
物的酸素をSiO2換算で10モル%以下の割合からな
る窒化珪素質焼結体などが使用できる。
物あるいは炭窒化物換算で50〜80重量%、周期律表
第6a族元素を炭化物換算で10〜40重量%の割合で
含有するとともに(窒素/炭素+窒素)で表される原子
比が0.4〜0.6の範囲内にある硬質相成分70〜9
0重量%と、鉄族金属から成る結合相成分10〜30重
量%とから成るTiCN基サーメットなどある。
されるものなどがあり、硬質相は、炭化タングステン、
または炭化タングステンの5〜15重量%を周期律表第
4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物で
置換したものなどからなり、結合相は、Co等の鉄族金
属を主成分とするもので、例えば全量中に5〜15重量
%の割合で含有される。
グ膜(不図示)を形成してもよい。このようなコーティ
ング膜としては、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物を厚
み0.1〜10μmに、Alの酸化物を厚み0.1〜1
0μmに、TiAlの窒化物を厚み0.1〜10μmに
形成したものなどがある。これら硬質膜の1種または2
種以上を上記超硬合金、サーメット、セラミックなどの
母材にコーティングしてもよい。
ング、スパッタリング、蒸着等のPVD法、あるいはめ
っき法などで形成される。例えば上記母材8の表面にス
パッタリング法で0.1〜10μmの酸化アルミニウム
膜を作製する。絶縁層を0.1μm以上としたのはそれ
以下では絶縁効果がなくなる恐れがあるためであり、1
0μm以下にしたのはそれ以上では切削性能(特に耐欠
損性)に悪影響を及ぼすためである。
装置で行なう。絶縁層を酸化アルミニウムで形成する場
合、その成膜条件はターゲットの汚れを落とすためのプ
レスパッタリングを1分以上、母材のエッチングを1分
以上、さらにターゲットのプレスパッタを1分以上行な
った後、所望する膜厚に応じて200分以下で行なう。
また、これら絶縁層の材質は、窒化アルミニウム、窒化
珪素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の絶縁性物質で
もよい。
AlN等で形成される。この中でも、TiNはスローア
ウェイチップの母材に対する接合力が強いこと、被削材
と反応せず、センサの電気抵抗値が常に所定値を示し、
スローアウェイチップの摩耗度合い、欠損の発生の有無
を正確に検出することができること、被削材の加工表面
に反応生成物による傷が形成されるのを有効に防止でき
ること、耐酸化性に優れ、酸化物生成によるセンサの電
気抵抗値の変化がなく、スローアウェイチップの摩耗度
合い、欠損の発生の有無を正確に検出することができる
こと、等の理由から好適に使用し得る。
法:AIP)により作製する。AIP法とは、蒸発源を
陰極とし、アーク用電源との間にアーク放電を起こし、
蒸着粒子の生成と蒸着粒子のイオン化を行なう。不活性
ガスや反応性ガスの雰囲気で成膜用基板に負のバイアス
をかけることで蒸着イオンを加速させ成膜する方法であ
る。通常、イオンプレーティング法では、膜の密着強度
を上げるために、成膜を開始する前にボンバードメント
という基板表面を活性化する工程を行なう。ボンバード
メントは、一般的には不活性ガス雰囲気(ここではアル
ゴンガス雰囲気2.7Pa)にて行なうが蒸着粒子によ
るボンバードなどもある。炉内温度は100℃〜800
℃、バイアス電圧は300V〜1000Vにて行ない、
電子、イオンを成膜用基板表面に衝突させる。しかし、
本発明では導電膜を形成する際に、ボンバードメント工
程を行なわない、つまり、バイアス電圧を昇温を開始し
てから直接成膜するときのバイアス電圧まで印加するこ
とにより、膜の剥離を解決できることを見いだした。タ
ーゲットにTiあるいはTiAlを使用し、TiNおよ
びTiAlNを成膜した。これら母材温度、雰囲気圧
力、バイアス電圧、アーク電流、成膜時間は、母材の材
質、絶縁層の材質、成膜厚みにより最適化する必要があ
る。
未満の薄いものでは、導電性母材の表面への接合が弱く
なるとともにセンサの電気抵抗値が高くなり、スローア
ウェイチップの摩耗度合いや欠損を正確に検出するのが
困難となる。また20μmを超える導電膜を形成しよう
とすると、形成するときに導電膜の内部に大きな応力が
発生して残留し、この残留応力によって導電膜の母材表
面への接合が弱いものとなる。
センサ回路はYAGレーザー加工等の方法により刃先の
すくい面および/または逃げ面に刃先稜線と平行になる
ように形成する。センサ幅は一般には0.01〜0.5
mmでよいが、寿命設定により任意の幅を持たせるとよ
い。レーザー加工条件については、導電膜、絶縁層膜
質、除去する膜厚によりレーザーパルスの周波数、描画
速度、レーザー出力の最適値は変化する。これにより導
電性母材と導電膜の電気絶縁性の良い安定したセンサ工
具を作製することができる。
としてAl2O3−TiC系セラミックを用いた。導電性
母材と導電膜を絶縁する絶縁層として、スパッタリング
にて5μmの酸化アルミニウム膜を作製した。スパッタ
リングはAr雰囲気の高周波スパッタリング装置を用い
てプレスパッタリングを3分、母材のエッチングを12
分、ターゲットのプレスパッタリングを15分、成膜を
100分行なった。その後、TiNから成る導電膜をA
IP方式の成膜装置により成膜した。本発明品サンプル
1は、昇温を開始してから(昇温時:バイアス電圧0
V)、ボンバード工程を行なわず、直接バイアス電圧を
30Vまで印加して成膜した。成膜条件は次のとおりで
ある。母材温度500℃、窒素雰囲気4.0Pa、バイ
アス電圧30V、アーク電流150A、成膜時間15分
である。その結果、サンプル1は絶縁層の剥離も無く導
電性母材と導電膜の電気絶縁性のよい回路を作製するこ
とができた。電気抵抗の測定結果を表1に示す。
昇温を開始してから(昇温時:バイアス電圧0V)、ボ
ンバード工程のためバイアス電圧を500Vまで一旦印
加し、その後成膜時のバイアス電圧である30Vに印加
して成膜した。ボンバード工程のその他の条件はAr雰
囲気2.7Pa、バイアス電圧500V、フィラメント
放電電流30Aで行なった。成膜条件はサンプル1と同
じ条件を用いた。これによりサンプル2は一部剥離が起
こり、また電気抵抗も低いものとなった。電気抵抗測定
結果を表1に示す。電気抵抗の測定方法を図1に示す。
図1において、3は導電性母材、2は絶縁層、1は導電
膜、4はテスターである。
ンを形成して導電性母材と導電膜の電気絶縁性の良い安
定したセンサ工具を作製することができた。
切削工具の作製方法によれば、導電膜の形成を開始する
ときに、ボンバード工程をせずに、バイアス電圧を成膜
時のバイアス電圧に直接設定して導電膜の形成を開始す
ることから、絶縁層の剥離を防止でき、もって導電膜部
分と導電性母材部分の短絡を防止でき、センサ工具が安
定して正常に機能させることができるようになる。
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 導電性母材の表面に絶縁層を形成し、そ
の表面にイオンプレーティング法で導電膜を形成し、こ
の導電膜でセンサ回路を形成するセンサ付き切削工具の
作製方法において、前記導電膜の形成を開始するときの
バイアス電圧を成膜時のバイアス電圧に直接設定して前
記導電膜の形成を開始することを特徴とするセンサ付き
切削工具の作製方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001096107A JP2002292528A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | センサ付き切削工具の作製方法 |
US10/107,722 US7052215B2 (en) | 2001-03-29 | 2002-03-25 | Cutting tool with sensor and production method therefor |
DE10214438A DE10214438B4 (de) | 2001-03-29 | 2002-03-27 | Schneidwerkzeug mit Sensor und Herstellungsverfahren für ein solches Schneidwerkzeug |
IT2002RM000179A ITRM20020179A1 (it) | 2001-03-29 | 2002-03-29 | Utensile da taglio con sensore e metodo di produzione per esso. |
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---|---|---|---|
JP2001096107A JP2002292528A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | センサ付き切削工具の作製方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002292528A true JP2002292528A (ja) | 2002-10-08 |
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ID=18950061
Family Applications (1)
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JP2001096107A Pending JP2002292528A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | センサ付き切削工具の作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002292528A (ja) |
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2001
- 2001-03-29 JP JP2001096107A patent/JP2002292528A/ja active Pending
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