JP2002292492A - 肉盛溶接用合金粉末及びそれを用いた肉盛溶接部並びに粉末肉盛溶接部の形成方法 - Google Patents

肉盛溶接用合金粉末及びそれを用いた肉盛溶接部並びに粉末肉盛溶接部の形成方法

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JP2002292492A
JP2002292492A JP2001096059A JP2001096059A JP2002292492A JP 2002292492 A JP2002292492 A JP 2002292492A JP 2001096059 A JP2001096059 A JP 2001096059A JP 2001096059 A JP2001096059 A JP 2001096059A JP 2002292492 A JP2002292492 A JP 2002292492A
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Takashi Sumikawa
貴司 澄川
Satoru Toriyama
哲 通山
Tadashi Kamimura
正 上村
Hiroyuki Tsuchiyama
宏幸 土山
Akihiro Hamada
章宏 浜田
Tomotaka Nagashima
友孝 長島
Masa Nagata
雅 永田
Gojiro Teramoto
五二良 寺本
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Daido Steel Co Ltd
Fuji Oozx Inc
Isuzu Motors Ltd
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Daido Steel Co Ltd
Fuji Oozx Inc
Isuzu Motors Ltd
Fuji Valve Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性及び熱疲労特性が良好な肉盛溶接用
合金粉末及びそれを用いた肉盛溶接部並びに粉末肉盛溶
接部の形成方法を提供するものである。 【解決手段】 本発明に係る肉盛溶接用合金粉末は、化
学組成が、28〜32wt%のCr、7.5〜9.0w
t%のW、0.1〜0.5wt%のC、1.3wt%以
下のSi及び/又は1.0wt%以下のMn、残部をC
oとするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉盛溶接用合金粉
末及びそれを用いた肉盛溶接部並びに粉末肉盛溶接部の
形成方法に係り、特に、高温摺動部材に肉盛溶接するた
めの合金粉末及びそれを用いた肉盛溶接部並びに粉末肉
盛溶接部の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高温で摺動する部材、例えば、内燃機関
の吸・排気弁のバルブ等においては、耐熱・耐摩耗性が
要求されることから、耐熱・耐摩耗性を向上させるべ
く、バルブフェース面に肉盛溶接用合金による肉盛溶接
を行っている。これによって、バルブフェース面に耐熱
・耐摩耗性に優れた肉盛溶接部が形成される。
【0003】従来の肉盛溶接用合金としては、Co基合
金等、例えば、ステライトNo.12やステライトN
o.6(共に登録商標)が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の肉盛
溶接用合金は、肉盛溶接部の耐摩耗性を重視、即ち硬度
を重視したものであるため、伸びが低いという問題があ
った。その結果、高温加熱と冷却の繰り返しによる熱サ
イクルが負荷された場合、肉盛溶接部に熱疲労による亀
裂が生じてしまい、熱疲労特性が良好でなかった。
【0005】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、耐摩耗性及び熱疲労特性が良好な肉盛溶接用合
金粉末及びそれを用いた肉盛溶接部並びに粉末肉盛溶接
部の形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明に係る肉盛溶接用合金粉末は、化学組成が、28〜
32wt%のCr、7.5〜9.0wt%のW、0.1
〜0.5wt%のC、1.3wt%以下のSi及び/又
は1.0wt%以下のMn、残部をCoとするものであ
る。
【0007】また、本発明に係る肉盛溶接用合金粉末を
用いた肉盛溶接部は、前記構成の肉盛溶接用合金粉末を
用いて肉盛溶接部を形成すると共に、その肉盛溶接部に
再溶融・急冷処理を施して、肉盛溶接部におけるマトリ
ックスの基地組織を微細化したものである。
【0008】以上の構成によれば、耐摩耗性及び熱疲労
特性が良好な肉盛溶接用合金粉末及びそれを用いた肉盛
溶接部を得ることができる。
【0009】一方、本発明に係る粉末肉盛溶接部の形成
方法は、化学組成が、28〜32wt%のCr、7.5
〜9.0wt%のW、0.1〜0.5wt%のC、1.
3wt%以下のSi及び/又は1.0wt%以下のM
n、残部をCoとする肉盛溶接用合金粉末を用いて、被
肉盛溶接部材の表面に肉盛溶接部を形成し、その肉盛溶
接部を高密度エネルギー源を用いて再溶融・急冷して肉
盛溶接部のマトリックスの基地組織を微細化するもので
ある。
【0010】以上の方法によれば、被肉盛溶接部材の表
面に、耐摩耗性及び熱疲労特性が良好な粉末肉盛溶接部
を形成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適一実施の形態
を説明する。
【0012】第1の実施の形態に係る肉盛溶接用合金粉
末は、化学組成が、28〜32wt%のCr、7.5〜
9.0wt%のW、0.1〜0.5wt%のC、1.3
wt%以下のSi及び/又は1.0wt%以下のMn、
残部をCoとするものである。
【0013】ここで、Crの含有量を28〜32wt%
と規定したのは、Cr含有量が28wt%未満だと、耐
酸化性が不足するためである。また、Cr含有量が32
wt%を超えると、耐酸化性の効果が飽和し、更に共晶
炭化物が晶出しやすくなると共に、DAS値が大きくな
って、延性の低下を招くためである。
【0014】Wは、固溶強化および金属間化合物形成の
ために添加される。Wの含有量を7.5〜9.0wt%
と規定したのは、Wの含有量が7.5wt%未満だと、
最終的に得られる肉盛溶接部の硬さが不足し、また、W
の含有量が9.0wt%を超えると、延性の低下を招く
ためである。
【0015】Cは、炭化物(WC、Cr32 等)を形
成するために添加される。Cの含有量を0.1〜0.5
wt%と規定したのは、Cの含有量が0.1wt%未満
だと、最終的に得られる肉盛溶接部の硬さが不足するた
めである。また、Cの含有量が0.5wt%を超える
と、肉盛ままの時に粗大な炭化物が析出・晶出し、か
つ、後述する再溶融・急冷処理により多量の炭化物が析
出・晶出して高硬度となってしまい、延性の低下を招く
ためである。
【0016】SiおよびMnは、脱酸剤として添加され
るものであり、それらの含有量をそれぞれ1.3wt%
以下、1.0wt%以下と規定したのは、Siの含有量
が1.3wt%を超えると又はMnの含有量が1.0w
t%を超えると、所望の硬さ及び伸びが得られなくなる
ためである。
【0017】また、肉盛溶接用合金粉末は、ガスアトマ
イズ又は水アトマイズのいずれの方法で製造してもよい
が、ガスアトマイズ法で製造したものがより好ましい。
また、肉盛溶接用合金粉末の粒度は、好ましくは−60
〜+350メッシュであり、特に好ましくは−80〜+
250メッシュである。
【0018】次に、第1の実施の形態の肉盛溶接用合金
粉末を用いた肉盛溶接部について説明する。
【0019】図1において直線Aで示すように、従来の
肉盛溶接用合金粉末を用いて形成した肉盛溶接部は、要
求される硬度H1 (例えば、HV350〜450)を得
ようとすると、伸びはδ1 以下しか得られず、また、要
求される伸びδ2 (例えば、5%以上)を得ようとする
と硬度はH2 以下しか得られない。つまり、従来の肉盛
溶接用合金粉末を用いた肉盛溶接部においては、要求さ
れる硬度H1 及び伸びδ2 を同時に得ることができなか
った。
【0020】そこで、本実施の形態の肉盛溶接用合金粉
末は、従来の肉盛溶接用合金であるCo基合金をベース
にし、高延性を得るべく、炭化物生成元素であるCの添
加量を抑えている。この合金粉末を用いて肉盛溶接部を
形成することで、炭化物の析出・晶出量が抑えられ、即
ち強度(又は硬度)が抑えられ、これによって、肉盛溶
接ままの状態で延性が高い肉盛溶接部が得られる。具体
的には、光学顕微鏡による肉盛溶接ままの肉盛溶接部の
観察図(倍率400倍)を図2に示すように、マトリッ
クス21中に炭化物(図2中における黒色部)22が均
一に析出・晶出した肉盛溶接部が得られる。
【0021】しかし、この肉盛溶接部においては、炭化
物22の析出・晶出量を抑えているため、肉盛溶接まま
では強度(硬度)が不足してしまう。よって、この肉盛
溶接部に再溶融・急冷処理を施して、肉盛溶接部におけ
るマトリックス(Coに他の元素が固溶したαCo)の
基地組織を微細にし、肉盛溶接ままの延性を略維持しな
がらマトリックス自体の強度向上を図る。具体的には、
光学顕微鏡による再溶融・急冷処理後の肉盛溶接部の観
察図(倍率400倍)を図3に示すように、再溶融・急
冷処理によって、マトリックスの基地組織が微細化さ
れ、DAS(Dendrite Arm Spacing;樹脂状晶枝間隔)
値が1μm以下の微細組織となる。また、再溶融・急冷
処理によって、肉盛溶接ままのマトリックス中に析出・
晶出していた炭化物が、一旦固溶され、再び析出・晶出
するが、冷却速度が速すぎるため、炭化物が十分に成長
することができず、球状又は偏平球状を呈し、かつ、平
均粒径1μm以下のサイズの炭化物(図3中における微
小な黒点)が再析出・晶出する。さらに、再析出・晶出
する炭化物の数自体も、肉盛溶接ままで析出・晶出する
炭化物の数と比較して更に少なくなっている。
【0022】その結果、図1において領域Bで示すよう
に、本実施の形態に係る肉盛溶接用合金粉末を用いて形
成した肉盛溶接部は、要求される硬度H1 及び伸びδ2
の両方を高いレベルで満足することができ、耐摩耗性及
び熱疲労特性が良好な肉盛溶接部となる。
【0023】次に、本発明の他の実施の形態を添付図面
に基いて説明する。
【0024】内燃機関の吸・排気弁の部分正面図を図4
に、プラズマアーク溶接による溶接状態を示す概略図を
図5に示す。
【0025】他の実施の形態に係る粉末肉盛溶接部の形
成方法は、図4,5に示すように、化学組成が、28〜
32wt%のCr、7.5〜9.0wt%のW、0.1
〜0.5wt%のC、1.3wt%以下のSi及び/又
は1.0wt%以下のMn、残部をCoとする肉盛溶接
用合金粉末を用い、内燃機関の吸・排気弁41のバルブ
フェース面42(被肉盛溶接部材の表面)に溶接トーチ
50を用いてプラズマアークPA による粉末肉盛溶接を
施し、その肉盛溶接部43に高密度エネルギー源(図示
せず)を用いて再溶融・急冷処理を施し、肉盛溶接部4
3におけるマトリックスの基地組織を微細化するもので
ある。
【0026】溶接トーチ50を用いた粉末肉盛溶接の具
体的な方法は、先ず、電極51と内筒52との間のプラ
ズマガス供給路55にアーク(図示せず)を点弧した
後、そのプラズマガス供給路55にプラズマガスG1を
供給すると共に、外筒53とボディ殻体54との間のシ
ールドガス供給路57にシールドガスG3を供給する。
その後、電極51と吸・排気弁41との間に高電圧を印
加してプラズマアークP A を発生させる。このプラズマ
アークPA 中に、内筒52と外筒53との間の粉末供給
路56から、パウダーガスG2をキャリアガスとする肉
盛溶接用合金粉末60を供給し、粉末肉盛溶接を行なっ
ている。
【0027】ここで、溶接トーチ50による各種溶接条
件、例えば、プラズマ電流値、プラズマガスG1の供給
量、パウダーガスG2の供給量、シールドガスG3の供
給量、肉盛速度等は、特に限定するものではなく、慣用
のプラズマアーク溶接法、例えば、プラズマ・パウダー
・ウェルディング(PPW)法などの各種溶接条件が適
用可能である。
【0028】また、高密度エネルギー源としては、肉盛
溶接部を再溶融・急冷できるものであれば特に限定する
ものではなく、例えば、レーザ光線、電子ビーム等が挙
げられる。
【0029】さらに、レーザ光線を高密度エネルギー源
として用いた場合における各種条件、例えば、レーザの
種類、出力、照射時間、レーザ光線移動速度などは、特
に限定するものではなく、肉盛溶接部43のビード厚
さ、再溶融・急冷処理速度などに応じて適宜決められる
ものである。
【0030】本実施の形態の形成方法を用いて得られた
バルブフェース面42の肉盛溶接部43は、従来のバル
ブフェース面の肉盛溶接部と比較して、耐摩耗性は同等
又はそれ以上であり、また、熱疲労特性が著しく向上す
る。その結果、肉盛溶接部43に、高温加熱と冷却の繰
り返しによる熱サイクルを負荷しても、熱疲労による亀
裂が生じることはない。
【0031】本実施の形態においては、吸・排気弁41
のバルブフェース面42に対して粉末肉盛溶接を行なう
場合について説明してきたが、本実施の形態の形成方法
の適用はバルブフェース面42だけに特に限定されるも
のではなく、耐熱・耐摩耗性が要求される部材全般に適
用可能である。
【0032】
【実施例】(実施例1)化学組成が30Cr-8W-0.2C-1.0Si
-0.5Mn-Co となるように添加元素を調節したCo基合金
の溶解製造を行った後、ガスアトマイズ法を用いてCo
基合金粉末(以下、本発明材1と示す)を得る。 (実施例2)化学組成が30Cr-8W-0.4C-1.0Si-0.5Mn-Co
となるように添加元素を調節したCo基合金の溶解製造
を行った後、ガスアトマイズ法を用いてCo基合金粉末
(以下、本発明材2と示す)を得る。 (従来例1)化学組成が30Cr-8W-1.6C-Co のステライト
No.12(登録商標)を溶解製造した後、ガスアトマ
イズ法を用いて肉盛溶接用合金粉末(以下、従来材1と
示す)を得る。 (従来例2)化学組成が30Cr-4W-1.0C-Co のステライト
No.6(登録商標)を溶解製造した後、ガスアトマイ
ズ法を用いて肉盛溶接用合金粉末(以下、従来材2と示
す)を得る。
【0033】本発明材1,2及び従来材1,2の化学組
成を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】(試験1)本発明材1及び従来材1,2を
用いて、耐熱鋼であるSUH36(JIS規格)からな
るバルブフェース面にプラズマアークによる粉末肉盛溶
接を行い、肉盛溶接部を形成する。その後、肉盛溶接部
に、レーザ光線を用いて再溶融・急冷処理を施す。
【0036】次に、本発明材1を用いた肉盛溶接部(以
下、本発明材1の肉盛溶接部と示す)および従来材1,
2を用いた肉盛溶接部(以下、従来材1,2の肉盛溶接
部と示す)について、熱疲労特性および耐摩耗性の評価
試験を行った。ここで、熱疲労特性は耐熱亀裂性指数に
より評価した。耐熱亀裂性指数は、従来材1に100℃
〜800℃間の熱サイクルを繰返し負荷し、亀裂が発生
した時のサイクル数を1とした時の相対値である。ま
た、耐摩耗性は摩耗量(μm)により評価した。
【0037】各肉盛溶接部における熱疲労特性の評価結
果を図6に、耐摩耗性の評価結果を図7に示す。図7中
における左側の棒グラフはバルブフェース側の摩耗量
を、右側の棒グラフはバルブシートリング側の摩耗量を
示している。
【0038】図6,7に示すように、従来材1,2の肉
盛溶接部は、耐熱亀裂性指数が1前後であり熱疲労特性
があまり良好でないことがわかる。また、従来材1,2
を比較すると、従来材2の方が、従来材1よりもWおよ
びCの含有量が少ないため、熱疲労特性は従来材2の肉
盛溶接部の方が良好であると共に、耐摩耗性は従来材1
の肉盛溶接部の方が良好であることがわかる。
【0039】これに対して、本発明材1の肉盛溶接部は
耐熱亀裂性指数が約16であり、従来材1,2の肉盛溶
接部と比較して10〜20倍となっている。このことか
ら、本発明材1の肉盛溶接部は熱疲労特性が非常に良好
であることがわかる。また、バルブフェース側の摩耗量
は、従来材1,2の肉盛溶接部と比較して約20〜39
%も減少しており、耐摩耗性がより良好となっている。
さらに、本発明材1の肉盛溶接部は、従来材1,2の肉
盛溶接部と比較して、耐摩耗性がより良好となっている
にもかかわらず、バルブシートリング側の摩耗量は約2
0%も少なくなっている。つまり、本発明材1の肉盛溶
接部は、従来材1,2の肉盛溶接部と比較して、相手材
に対する攻撃性が低いことがわかる。 (比較例1)化学組成が30Cr-8W-0.05C-1.0Si-0.5Mn-Co
となるように添加元素を調節したCo基合金の溶解製造
を行った後、ガスアトマイズ法を用いてCo基合金粉末
(以下、比較材1と示す)を得る。 (比較例2)化学組成が30Cr-8W-0.7C-1.0Si-0.5Mn-Co
となるように添加元素を調節したCo基合金の溶解製造
を行った後、ガスアトマイズ法を用いてCo基合金粉末
(以下、比較材2と示す)を得る。 (試験2)本発明材1,2及び従来材1,2を用いて、
耐熱鋼であるSUH36(JIS規格)からなるバルブ
フェース面にプラズマアークによる粉末肉盛溶接を行
い、肉盛溶接部を形成する。その後、肉盛溶接部に、レ
ーザ光線を用いて再溶融・急冷処理を施す。
【0040】次に、本発明材1,2を用いて形成した肉
盛溶接部(以下、本発明材1,2の肉盛溶接部と示す)
および比較材1,2を用いて形成した肉盛溶接部(以
下、比較材1,2の肉盛溶接部と示す)について、肉盛
溶接まま(再溶融・急冷処理前)及び再溶融・急冷処理
後のそれぞれにおける各肉盛溶接部の硬さ(HV)、D
AS値(μm)、及び伸び(%)の測定を行った。これ
らの測定結果を表2に示す。
【0041】また、本発明材1,2及び比較材1,2の
肉盛溶接部について、熱疲労特性および耐摩耗性の評価
を行った。これらの評価結果を表3に示す。ここで、熱
疲労特性は熱サイクルを繰返し負荷した後の亀裂の多少
により、また、耐摩耗性は摩耗量の多少により評価し
た。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】表2,3に示すように、比較材1の肉盛溶
接部は、再溶融処理後における硬さは360HV、DA
S値は0.6、伸びは15%といずれも良好で、かつ、
溶接部の割れ数(熱亀裂数)も少ないものの、C含有量
が規定範囲(0.1〜0.5wt%)より少ない0.0
5wt%であるため、溶接部の摩耗量が多かった。
【0045】また、比較材2の肉盛溶接部は、再溶融処
理後におけるDAS値は1.0と良好で、かつ、溶接部
の摩耗量も少ないものの、C含有量が規定範囲(0.1
〜0.5wt%)より多い0.7wt%であるため、硬
さが500HVとやや高く、かつ、伸びが1%と低いた
め、溶接部の割れ数が多かった。
【0046】これに対して、本発明材1,2の肉盛溶接
部は、肉盛溶接ままと再溶融・急冷処理後を比較する
と、再溶融・急冷処理によってDAS値が1/10以下
になること、即ちマトリックスの基地組織が微細化する
ことによって、310〜350HVであった硬さが39
0〜420HVに上昇し、また、8〜10%であった伸
びが6〜8%に若干低下するものの、いずれも十分な値
であった。その結果、本発明材1,2の肉盛溶接部にお
いては、溶接部の割れ数および摩耗量がいずれも少なく
なり、延いては熱疲労特性および耐摩耗性が良好とな
る。
【0047】以上、本発明の実施の形態は、上述した実
施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のもの
が想定されることは言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、前述した
化学組成を有する肉盛溶接用合金粉末を用いて肉盛溶接
部を形成し、その肉盛溶接部に再溶融・急冷処理を施し
てマトリックス組織を微細化することで、耐摩耗性及び
熱疲労特性が良好な肉盛溶接部を得ることができるとい
う優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の肉盛溶接用合金粉末を用いて形成した
肉盛溶接部の熱疲労特性および耐摩耗性を示す図であ
る。
【図2】光学顕微鏡による肉盛溶接ままの肉盛溶接部の
観察図である。
【図3】光学顕微鏡による再溶融・急冷処理後の肉盛溶
接部の観察図である。
【図4】内燃機関の吸・排気弁の部分正面図である。
【図5】プラズマアーク溶接による溶接状態を示す概略
図である。
【図6】実施例における本発明材1の肉盛溶接部および
従来材1,2の肉盛溶接部の熱疲労特性を示す図であ
る。
【図7】実施例における本発明材1の肉盛溶接部および
従来材1,2の肉盛溶接部の耐摩耗性を示す図である。
【符号の説明】
41 吸・排気弁(被肉盛溶接部材) 42 バルブフェース面(被肉盛溶接部材の表面) 33 肉盛溶接部 50 肉盛溶接用合金粉末
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澄川 貴司 神奈川県川崎市川崎区殿町3丁目25番1号 いすゞ自動車株式会社川崎工場内 (72)発明者 通山 哲 東京都品川区南大井6丁目26番1号 い すゞビジネススタッフ株式会社内 (72)発明者 上村 正 神奈川県藤沢市土棚8番地 いすゞ自動車 株式会社藤沢工場内 (72)発明者 土山 宏幸 神奈川県藤沢市円行1丁目22番の1 フジ オーゼックス株式会社内 (72)発明者 浜田 章宏 神奈川県藤沢市円行1丁目22番の1 フジ オーゼックス株式会社内 (72)発明者 長島 友孝 愛知県名古屋市南区大同町2丁目30番地 大同特殊鋼株式会社内 (72)発明者 永田 雅 愛知県名古屋市南区大同町2丁目30番地 大同特殊鋼株式会社内 (72)発明者 寺本 五二良 東京都港区西新橋1丁目7番13号 大同特 殊鋼株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肉盛溶接に用いられる肉盛溶接用合金粉
    末において、化学組成が、 28〜32wt%のCr、 7.5〜9.0wt%のW、 0.1〜0.5wt%のC、 1.3wt%以下のSi及び/又は1.0wt%以下の
    Mn、 残部をCoとすることを特徴とする肉盛溶接用合金粉
    末。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の肉盛溶接用合金粉末を用
    いて肉盛溶接部を形成すると共に、その肉盛溶接部に再
    溶融・急冷処理を施してマトリックスの基地組織を微細
    化したことを特徴とする肉盛溶接用合金粉末を用いた肉
    盛溶接部。
  3. 【請求項3】 上記再溶融・急冷により、マトリックス
    の基地組織のDAS値を1μm以下に形成した請求項2
    記載の肉盛溶接用合金粉末を用いた肉盛溶接部。
  4. 【請求項4】 肉盛溶接用合金粉末を用いて肉盛溶接部
    を形成する方法において、化学組成が、 28〜32wt%のCr、 7.5〜9.0wt%のW、 0.1〜0.5wt%のC、 1.3wt%以下のSi及び/又は1.0wt%以下の
    Mn、 残部をCoとする肉盛溶接用合金粉末を用いて、被肉盛
    溶接部材の表面に肉盛溶接部を形成し、その肉盛溶接部
    を高密度エネルギー源を用いて再溶融・急冷して肉盛溶
    接部のマトリックスの基地組織を微細化することを特徴
    とする粉末肉盛溶接部の形成方法。
JP2001096059A 2001-03-29 2001-03-29 肉盛溶接用合金粉末及びそれを用いた肉盛溶接部並びに粉末肉盛溶接部の形成方法 Pending JP2002292492A (ja)

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