JP2002291485A - ステロイド応答性の検査方法 - Google Patents
ステロイド応答性の検査方法Info
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- JP2002291485A JP2002291485A JP2001104621A JP2001104621A JP2002291485A JP 2002291485 A JP2002291485 A JP 2002291485A JP 2001104621 A JP2001104621 A JP 2001104621A JP 2001104621 A JP2001104621 A JP 2001104621A JP 2002291485 A JP2002291485 A JP 2002291485A
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- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、ステロイド応答性の検査方法の提
供を課題とする。 【解決手段】アトピー性皮膚炎患者中、ステロイド応答
群と、ステロイド弱応答群の間で、単核球において発現
が大きく変化する遺伝子を取得した。RNase A、およびR
Nase k6 precursorは、ステロイド弱応答性患者におい
て発現が上昇する遺伝子である。本発明は、生体試料に
おけるこれらの遺伝子発現レベルを指標とする、ステロ
イド応答性の検査方法や、ステロイド応答性の改善に有
用な化合物のスクリーニング方法を提供する。
供を課題とする。 【解決手段】アトピー性皮膚炎患者中、ステロイド応答
群と、ステロイド弱応答群の間で、単核球において発現
が大きく変化する遺伝子を取得した。RNase A、およびR
Nase k6 precursorは、ステロイド弱応答性患者におい
て発現が上昇する遺伝子である。本発明は、生体試料に
おけるこれらの遺伝子発現レベルを指標とする、ステロ
イド応答性の検査方法や、ステロイド応答性の改善に有
用な化合物のスクリーニング方法を提供する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステロイド応答性
の検査方法に関する。
の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患
は、多因子性の病気(multifactorialdiseases)と考えら
れている。これらの病気は多くの異なる遺伝子の発現の
相互作用によって起こり、これらの個々の遺伝子の発現
は、複数の環境要因によって影響を受ける。このため、
特定の病気を起こす特定の遺伝子を解明することは、非
常に困難である。
は、多因子性の病気(multifactorialdiseases)と考えら
れている。これらの病気は多くの異なる遺伝子の発現の
相互作用によって起こり、これらの個々の遺伝子の発現
は、複数の環境要因によって影響を受ける。このため、
特定の病気を起こす特定の遺伝子を解明することは、非
常に困難である。
【0003】またアレルギー性疾患には、変異や欠陥を
有する遺伝子の発現や、特定の遺伝子の過剰発現や発現
量の減少が関わっていると考えられている。病気に関し
て遺伝子発現が果たしている役割を解明するためには、
遺伝子が発症にどのように関わり、薬剤などの外的な刺
激が遺伝子発現をどのように変化させるのかを理解する
必要がある。
有する遺伝子の発現や、特定の遺伝子の過剰発現や発現
量の減少が関わっていると考えられている。病気に関し
て遺伝子発現が果たしている役割を解明するためには、
遺伝子が発症にどのように関わり、薬剤などの外的な刺
激が遺伝子発現をどのように変化させるのかを理解する
必要がある。
【0004】さて、現在アレルギー性疾患の治療におい
ては、ステロイド剤の投与が最も一般的な治療方法の一
つとなっている。例えばアトピー性皮膚炎においては、
ステロイド外用剤が有効とされている。あるいは気管支
喘息においては、ステロイド剤の吸入や内服が重要な治
療方法の一つとして位置付けられている。ステロイド剤
は、グルココルチコイド受容体(GR)の刺激によって、炎
症性サイトカインの産生や、活性化好酸球の活動を抑制
する。その結果、炎症症状が和らげられ、アレルギー性
疾患の治療効果がもたらされると考えられている。
ては、ステロイド剤の投与が最も一般的な治療方法の一
つとなっている。例えばアトピー性皮膚炎においては、
ステロイド外用剤が有効とされている。あるいは気管支
喘息においては、ステロイド剤の吸入や内服が重要な治
療方法の一つとして位置付けられている。ステロイド剤
は、グルココルチコイド受容体(GR)の刺激によって、炎
症性サイトカインの産生や、活性化好酸球の活動を抑制
する。その結果、炎症症状が和らげられ、アレルギー性
疾患の治療効果がもたらされると考えられている。
【0005】アレルギー性疾患の重要な治療手段となっ
ているステロイド剤であるが、現実にはステロイド剤に
対する応答性を認めにくい炎症症状も存在する。ステロ
イド剤による治療効果が見られないことをステロイド抵
抗性(steroid-resistant)と呼ぶ。一方、ステロイド軟
膏治療に対する応答性の臨床スコア(modified leiceste
r score)により、治療2週間後でスコア値が1/3以上改
善された患者を治療応答性(responder)、改善度が1/3未
満の場合を弱応答性(poor-responder)と区分している。
ステロイド抵抗性や弱応答性には様々な原因が推測され
る。
ているステロイド剤であるが、現実にはステロイド剤に
対する応答性を認めにくい炎症症状も存在する。ステロ
イド剤による治療効果が見られないことをステロイド抵
抗性(steroid-resistant)と呼ぶ。一方、ステロイド軟
膏治療に対する応答性の臨床スコア(modified leiceste
r score)により、治療2週間後でスコア値が1/3以上改
善された患者を治療応答性(responder)、改善度が1/3未
満の場合を弱応答性(poor-responder)と区分している。
ステロイド抵抗性や弱応答性には様々な原因が推測され
る。
【0006】まずステロイドでは制御することができな
い経路が病態を形成している場合には、当然の結果とし
てステロイド剤投与では治療効果を期待できない。この
ようなケースは、ステロイド剤の適応外の疾患であるか
ら、本来ステロイド剤を投与すべきではない。ステロイ
ド応答性が問題となるのは、本来ステロイド剤が有効と
されているのにも関らず、患者側の体質によってその効
果を得ることができない場合である。
い経路が病態を形成している場合には、当然の結果とし
てステロイド剤投与では治療効果を期待できない。この
ようなケースは、ステロイド剤の適応外の疾患であるか
ら、本来ステロイド剤を投与すべきではない。ステロイ
ド応答性が問題となるのは、本来ステロイド剤が有効と
されているのにも関らず、患者側の体質によってその効
果を得ることができない場合である。
【0007】ステロイド弱応答性の患者には、ステロイ
ド剤以外の治療方法を選択する必要がある。ステロイド
剤の投与においては、副腎皮質機能障害や、白内障や緑
内障などの視力障害等の副作用に注意が必要である。ま
た局所投与においては、皮膚の萎縮やステロイド紫斑、
ステロイド皮膚炎等の副作用が見られることがある。し
たがって、効果の無いステロイド剤の投与によって、患
者を副作用の危険に曝すことは避けるべきである。患者
にとってより安全な治療方法を選択するためには、ステ
ロイド投与前に、ステロイド応答性を予測するのが理想
的である。またステロイド剤の副作用の有無に関わら
ず、患者にとってより有効な治療方法を選択すること
は、医療の原則である。しかし、現在のところ、ステロ
イド応答性を予測することができる診断技術は知られて
いない。したがって、実際にステロイド剤を投与してみ
なければステロイド弱応答性であることを知ることはで
きない。
ド剤以外の治療方法を選択する必要がある。ステロイド
剤の投与においては、副腎皮質機能障害や、白内障や緑
内障などの視力障害等の副作用に注意が必要である。ま
た局所投与においては、皮膚の萎縮やステロイド紫斑、
ステロイド皮膚炎等の副作用が見られることがある。し
たがって、効果の無いステロイド剤の投与によって、患
者を副作用の危険に曝すことは避けるべきである。患者
にとってより安全な治療方法を選択するためには、ステ
ロイド投与前に、ステロイド応答性を予測するのが理想
的である。またステロイド剤の副作用の有無に関わら
ず、患者にとってより有効な治療方法を選択すること
は、医療の原則である。しかし、現在のところ、ステロ
イド応答性を予測することができる診断技術は知られて
いない。したがって、実際にステロイド剤を投与してみ
なければステロイド弱応答性であることを知ることはで
きない。
【0008】ステロイド抵抗性の原因は、十分に解明さ
れていない。たとえばステロイド剤の標的であるGR側の
翻訳後修飾の異常が、ステロイド抵抗性の原因となって
いる可能性が指摘されている(Picard D. Nature 348:16
6-168,1990 Reduced level of hsp90 compromise stero
ido action in vivo.)。あるいは、炎症に関与する炎症
性転写因子の数が多い場合に、ステロイド剤による制御
の限界を越えてステロイド抵抗性がもたらされることが
推測されている。また、遺伝子の転写の仲介因子(Trans
criptional coactivator)であるCBP(CREB-binding prot
ein)が、他の遺伝子の転写活性化によって消費されてし
まい、ステロイド剤による免疫抑制に必要な遺伝子の転
写が十分に行われなくなってしまうことも、ステロイド
抵抗性の機序として考えられている(Kamei Y.et al.Cel
l 85:403-414, 1996 A CBP integrator complex mediat
es transcriptional activation and AP-1 inhibition
bynuclear reportors.)。しかし、これらの報告は、い
ずれもステロイド弱応答性を十分に説明できるものでは
ない。ステロイド弱応答性を予測するためには、その原
因を明らかにする必要がある。
れていない。たとえばステロイド剤の標的であるGR側の
翻訳後修飾の異常が、ステロイド抵抗性の原因となって
いる可能性が指摘されている(Picard D. Nature 348:16
6-168,1990 Reduced level of hsp90 compromise stero
ido action in vivo.)。あるいは、炎症に関与する炎症
性転写因子の数が多い場合に、ステロイド剤による制御
の限界を越えてステロイド抵抗性がもたらされることが
推測されている。また、遺伝子の転写の仲介因子(Trans
criptional coactivator)であるCBP(CREB-binding prot
ein)が、他の遺伝子の転写活性化によって消費されてし
まい、ステロイド剤による免疫抑制に必要な遺伝子の転
写が十分に行われなくなってしまうことも、ステロイド
抵抗性の機序として考えられている(Kamei Y.et al.Cel
l 85:403-414, 1996 A CBP integrator complex mediat
es transcriptional activation and AP-1 inhibition
bynuclear reportors.)。しかし、これらの報告は、い
ずれもステロイド弱応答性を十分に説明できるものでは
ない。ステロイド弱応答性を予測するためには、その原
因を明らかにする必要がある。
【0009】ステロイド弱応答性の原因を明らかにする
ことによって、ステロイド弱応答性の予測のみならず、
新たな治療方法を提供することもできる。たとえばステ
ロイド応答性低下の原因となっている分子を明らかにす
ることができれば、その機能を阻害することによってス
テロイド応答性を高め、ステロイド剤よる治療効果を促
進することができる。あるいは、特定の分子の量的な不
足がステロイド応答性の低下をもたらしているとすれ
ば、その分子を補充的に投与することによって、ステロ
イド応答性の改善効果を期待できる。
ことによって、ステロイド弱応答性の予測のみならず、
新たな治療方法を提供することもできる。たとえばステ
ロイド応答性低下の原因となっている分子を明らかにす
ることができれば、その機能を阻害することによってス
テロイド応答性を高め、ステロイド剤よる治療効果を促
進することができる。あるいは、特定の分子の量的な不
足がステロイド応答性の低下をもたらしているとすれ
ば、その分子を補充的に投与することによって、ステロ
イド応答性の改善効果を期待できる。
【0010】アレルギー性疾患には、様々な治療方法が
試みられている。しかし、依然としてステロイド剤はア
レルギー性疾患の重要な治療方法である。つまりステロ
イド剤ほど幅広い疾患に対して優れた治療効果をもたら
す薬剤は、現状では存在しない。したがって、ステロイ
ド弱応答性に対しても有効なステロイド療法が実現すれ
ば、ステロイド弱応答性を持つ患者にとっては福音であ
る。この他、ステロイド剤による治療効果が不充分なこ
とを原因とする病態として、腎透析患者の活性化ビタミ
ンD3治療における二次性副甲状腺機能亢進症への移行
が挙げられる。活性型ビタミンD3は代表的なステロイ
ド剤の一種で、副甲状腺機能をコントロールする作用を
有する。しかし、ステロイド弱応答性を有する患者にお
いては活性化ビタミンD3の作用が不充分なために、二
次性副甲状腺機能亢進症への移行が見られる。このよう
に、ステロイド応答性の変化の原因を解明することに
は、大きな意義がある。
試みられている。しかし、依然としてステロイド剤はア
レルギー性疾患の重要な治療方法である。つまりステロ
イド剤ほど幅広い疾患に対して優れた治療効果をもたら
す薬剤は、現状では存在しない。したがって、ステロイ
ド弱応答性に対しても有効なステロイド療法が実現すれ
ば、ステロイド弱応答性を持つ患者にとっては福音であ
る。この他、ステロイド剤による治療効果が不充分なこ
とを原因とする病態として、腎透析患者の活性化ビタミ
ンD3治療における二次性副甲状腺機能亢進症への移行
が挙げられる。活性型ビタミンD3は代表的なステロイ
ド剤の一種で、副甲状腺機能をコントロールする作用を
有する。しかし、ステロイド弱応答性を有する患者にお
いては活性化ビタミンD3の作用が不充分なために、二
次性副甲状腺機能亢進症への移行が見られる。このよう
に、ステロイド応答性の変化の原因を解明することに
は、大きな意義がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ステロイド
応答性の指標とすることができる遺伝子の提供を課題と
する。さらに、本発明は該指標に基づく、ステロイド応
答性の検査方法およびステロイド応答性を高める化合物
のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
応答性の指標とすることができる遺伝子の提供を課題と
する。さらに、本発明は該指標に基づく、ステロイド応
答性の検査方法およびステロイド応答性を高める化合物
のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ステロイ
ド応答性に関連する遺伝子を明らかにすることができれ
ば、その診断や治療に有用であると考えた。そこで、ス
テロイド療法に対して応答した患者と、応答が弱い患者
との間で発現レベルの異なる遺伝子を探索した。多くの
遺伝子発現レベルについて、特定の条件にある細胞の間
の差を観察するには、DNAチップを用いるのが有利であ
る。本発明者らは、幅広い遺伝子の中から目的とする遺
伝子を探し出すために、約5600種類の遺伝子の解析
が可能なDNAチップを解析に用いた。更に、ステロイド
応答性と弱応答性に関連して発現レベルが変動している
遺伝子を特異的に見出すために、その変動の差が3倍以
上に及ぶものを選択した。
ド応答性に関連する遺伝子を明らかにすることができれ
ば、その診断や治療に有用であると考えた。そこで、ス
テロイド療法に対して応答した患者と、応答が弱い患者
との間で発現レベルの異なる遺伝子を探索した。多くの
遺伝子発現レベルについて、特定の条件にある細胞の間
の差を観察するには、DNAチップを用いるのが有利であ
る。本発明者らは、幅広い遺伝子の中から目的とする遺
伝子を探し出すために、約5600種類の遺伝子の解析
が可能なDNAチップを解析に用いた。更に、ステロイド
応答性と弱応答性に関連して発現レベルが変動している
遺伝子を特異的に見出すために、その変動の差が3倍以
上に及ぶものを選択した。
【0013】次に、探索の結果取得することができた遺
伝子について、実際に複数のアトピー性皮膚炎患者にお
ける発現レベルを解析して、ステロイド療法に応答する
患者に比べ、ステロイド応答が弱い患者において、発現
レベルが有意に上昇している遺伝子RNase AおよびRNase
k6 precursorの単離に成功した。更に、この遺伝子を
指標として、ステロイド応答性の検査、並びにステロイ
ド応答性を高める化合物のスクリーニングが可能となる
ことを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、
以下のステロイド応答性の検査方法、並びにステロイド
応答性を高めるための化合物のスクリーニング方法に関
する。
伝子について、実際に複数のアトピー性皮膚炎患者にお
ける発現レベルを解析して、ステロイド療法に応答する
患者に比べ、ステロイド応答が弱い患者において、発現
レベルが有意に上昇している遺伝子RNase AおよびRNase
k6 precursorの単離に成功した。更に、この遺伝子を
指標として、ステロイド応答性の検査、並びにステロイ
ド応答性を高める化合物のスクリーニングが可能となる
ことを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、
以下のステロイド応答性の検査方法、並びにステロイド
応答性を高めるための化合物のスクリーニング方法に関
する。
【0014】〔1〕次の工程を含む、ステロイド応答性
の検査方法。 a)被検者の生体試料における、RNase A遺伝子またはR
Nase k6 precursor遺伝子の発現レベルを測定する工程 b)健常者、またはステロイド応答性の患者の生体試料
における前記遺伝子の発現レベルと比較する工程 〔2〕ステロイド応答性が、アレルギー性疾患のステロ
イド応答性である、〔1〕に記載の検査方法。 〔3〕アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、
〔2〕に記載の検査方法。 〔4〕遺伝子の発現レベルを、cDNAのPCRによって測定
する〔1〕に記載の検査方法。 〔5〕遺伝子の発現レベルを、前記遺伝子によってコー
ドされる蛋白質の検出によって測定する〔1〕に記載の
検査方法。 〔6〕RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子
の塩基配列を含むポリヌクレオチド、またはその相補鎖
に相補的な塩基配列を有する少なくとも15塩基の長さ
を有するオリゴヌクレオチドからなる、ステロイド応答
性の検査用試薬。 〔7〕RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白質
のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体からな
る、ステロイド応答性の検査用試薬。 〔8〕次の工程を含む、ステロイド応答性を高める化合
物のスクリーニング方法。 (1)RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子
を発現する細胞に候補化合物を接触させる工程 (2)前記遺伝子の発現レベルを測定する工程、(3)
候補化合物を接触させない対照と比較して前記遺伝子の
発現レベルを低下させる化合物を選択する工程
の検査方法。 a)被検者の生体試料における、RNase A遺伝子またはR
Nase k6 precursor遺伝子の発現レベルを測定する工程 b)健常者、またはステロイド応答性の患者の生体試料
における前記遺伝子の発現レベルと比較する工程 〔2〕ステロイド応答性が、アレルギー性疾患のステロ
イド応答性である、〔1〕に記載の検査方法。 〔3〕アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎である、
〔2〕に記載の検査方法。 〔4〕遺伝子の発現レベルを、cDNAのPCRによって測定
する〔1〕に記載の検査方法。 〔5〕遺伝子の発現レベルを、前記遺伝子によってコー
ドされる蛋白質の検出によって測定する〔1〕に記載の
検査方法。 〔6〕RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子
の塩基配列を含むポリヌクレオチド、またはその相補鎖
に相補的な塩基配列を有する少なくとも15塩基の長さ
を有するオリゴヌクレオチドからなる、ステロイド応答
性の検査用試薬。 〔7〕RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白質
のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体からな
る、ステロイド応答性の検査用試薬。 〔8〕次の工程を含む、ステロイド応答性を高める化合
物のスクリーニング方法。 (1)RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子
を発現する細胞に候補化合物を接触させる工程 (2)前記遺伝子の発現レベルを測定する工程、(3)
候補化合物を接触させない対照と比較して前記遺伝子の
発現レベルを低下させる化合物を選択する工程
〔9〕細胞が株化単核球である〔8〕に記載の方法。 〔10〕次の工程を含む、ステロイド応答性を高める化
合物のスクリーニング方法。 (1)被験動物に候補化合物を投与する工程、(2)被
験動物の生体試料におけるRNase A遺伝子またはRNase k
6 precursor遺伝子の発現強度を測定する工程、および
(3)候補化合物を投与しない対照と比較して前記遺伝
子の発現レベルを低下させる化合物を選択する工程 〔11〕次の工程を含む、ステロイド応答性を高める化
合物のスクリーニング方法。 (1)RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子
の転写調節領域と、この転写調節領域の制御下に発現す
るレポーター遺伝子を含むベクターを導入した細胞と候
補物質を接触させる工程、(2)前記レポーター遺伝子
の活性を測定する工程、および(3)候補化合物を接触
させない対照と比較して前記遺伝子の発現レベルを低下
させる化合物を選択する工程 〔12〕次の工程を含む、ステロイド応答性を高める化
合物のスクリーニング方法。 (1)RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白質
と候補物質を接触させる工程、(2)前記蛋白質の活性
を測定する工程、および(3)候補化合物を接触させな
い対照と比較して前記蛋白質の活性を低下させる化合物
を選択する工程 〔13〕〔8〕、〔10〕、〔11〕、および〔12〕
のいずれかに記載のスクリーニング方法によって得るこ
とができる化合物を有効成分として含有する、ステロイ
ド応答性を高めるための薬剤。 〔14〕RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝
子、またはその一部のアンチセンスDNAを主成分として
含む、ステロイド応答性を高めるための薬剤。 〔15〕RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白
質のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体を主成
分として含む、ステロイド応答性を高めるための薬剤。 〔16〕〔13〕、〔14〕、および〔15〕のいずれ
かに記載のステロイド応答性を高めるための薬剤と、ス
テロイド剤を配合してなるステロイド弱応答性疾患の治
療薬。 〔17〕RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝
子の塩基配列を含むポリヌクレオチド、若しくはその相
補鎖に相補的な塩基配列を有する少なくとも15塩基の
長さを有するオリゴヌクレオチドと、RNase A遺伝子ま
たはRNase k6 precursor遺伝子を発現する細胞を含む、
アレルギー性疾患の治療薬候補化合物をスクリーニング
するためのキット。 〔18〕RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白
質のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体と、RN
ase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子を発現す
る細胞を含む、アレルギー性疾患の治療薬候補化合物を
スクリーニングするためのキット。 〔19〕RNase A遺伝子、またはRNase k6 precursor遺
伝子の単核球における発現強度を調節したトランスジェ
ニック非ヒト脊椎動物の、ステロイド応答性を調節した
モデル動物としての使用。
合物のスクリーニング方法。 (1)被験動物に候補化合物を投与する工程、(2)被
験動物の生体試料におけるRNase A遺伝子またはRNase k
6 precursor遺伝子の発現強度を測定する工程、および
(3)候補化合物を投与しない対照と比較して前記遺伝
子の発現レベルを低下させる化合物を選択する工程 〔11〕次の工程を含む、ステロイド応答性を高める化
合物のスクリーニング方法。 (1)RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子
の転写調節領域と、この転写調節領域の制御下に発現す
るレポーター遺伝子を含むベクターを導入した細胞と候
補物質を接触させる工程、(2)前記レポーター遺伝子
の活性を測定する工程、および(3)候補化合物を接触
させない対照と比較して前記遺伝子の発現レベルを低下
させる化合物を選択する工程 〔12〕次の工程を含む、ステロイド応答性を高める化
合物のスクリーニング方法。 (1)RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白質
と候補物質を接触させる工程、(2)前記蛋白質の活性
を測定する工程、および(3)候補化合物を接触させな
い対照と比較して前記蛋白質の活性を低下させる化合物
を選択する工程 〔13〕〔8〕、〔10〕、〔11〕、および〔12〕
のいずれかに記載のスクリーニング方法によって得るこ
とができる化合物を有効成分として含有する、ステロイ
ド応答性を高めるための薬剤。 〔14〕RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝
子、またはその一部のアンチセンスDNAを主成分として
含む、ステロイド応答性を高めるための薬剤。 〔15〕RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白
質のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体を主成
分として含む、ステロイド応答性を高めるための薬剤。 〔16〕〔13〕、〔14〕、および〔15〕のいずれ
かに記載のステロイド応答性を高めるための薬剤と、ス
テロイド剤を配合してなるステロイド弱応答性疾患の治
療薬。 〔17〕RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝
子の塩基配列を含むポリヌクレオチド、若しくはその相
補鎖に相補的な塩基配列を有する少なくとも15塩基の
長さを有するオリゴヌクレオチドと、RNase A遺伝子ま
たはRNase k6 precursor遺伝子を発現する細胞を含む、
アレルギー性疾患の治療薬候補化合物をスクリーニング
するためのキット。 〔18〕RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白
質のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体と、RN
ase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子を発現す
る細胞を含む、アレルギー性疾患の治療薬候補化合物を
スクリーニングするためのキット。 〔19〕RNase A遺伝子、またはRNase k6 precursor遺
伝子の単核球における発現強度を調節したトランスジェ
ニック非ヒト脊椎動物の、ステロイド応答性を調節した
モデル動物としての使用。
【0015】なおRNase A遺伝子およびRNase k6 precur
sor遺伝子は、その存在が明らかにされている遺伝子で
ある。まずRNase A遺伝子は、脾臓癌細胞から単離され
た。2量体は癌細胞のアポトーシスに関与し、正常細胞
に対しては作用しない(Desilva MG, Lu J, Donadel G,
Modi WS, Xie H, Notkins AL, Lan MS. Characterizat
ion and chromosomal localization of a new protein
disulfide isomerase,PDIp, highly expressed in huma
n pancreas. DNA Cell Biol. 1996;15:9-16.)。次にRNa
se k6 precursor遺伝子は、好酸球誘導ニューロトキシ
ンと相同な遺伝子として単離された。生体防御機構への
関与が推測されているが、現在のところ具体的な知見は
得られていない(Rosenberg HF, Dyer KD.Molecular clo
ning andcharacterization of a novel human ribonucl
ease (RNase k6): increasing diversity in the enlar
ging ribonuclease gene family. Nucleic Acids Res.
1996;24:3507-13.)。これまでに明らかにされている各
種の疾患との関連性については、たとえばOMIMで検索す
ることによって知ることができる。RNase A遺伝子およ
びRNase k6 precursor遺伝子のOMIMのコード番号は、そ
れぞれ180440および601981である。RNase A遺伝子また
はRNase k6 precursor遺伝子が、ステロイド応答性に関
連していることは知られていない。
sor遺伝子は、その存在が明らかにされている遺伝子で
ある。まずRNase A遺伝子は、脾臓癌細胞から単離され
た。2量体は癌細胞のアポトーシスに関与し、正常細胞
に対しては作用しない(Desilva MG, Lu J, Donadel G,
Modi WS, Xie H, Notkins AL, Lan MS. Characterizat
ion and chromosomal localization of a new protein
disulfide isomerase,PDIp, highly expressed in huma
n pancreas. DNA Cell Biol. 1996;15:9-16.)。次にRNa
se k6 precursor遺伝子は、好酸球誘導ニューロトキシ
ンと相同な遺伝子として単離された。生体防御機構への
関与が推測されているが、現在のところ具体的な知見は
得られていない(Rosenberg HF, Dyer KD.Molecular clo
ning andcharacterization of a novel human ribonucl
ease (RNase k6): increasing diversity in the enlar
ging ribonuclease gene family. Nucleic Acids Res.
1996;24:3507-13.)。これまでに明らかにされている各
種の疾患との関連性については、たとえばOMIMで検索す
ることによって知ることができる。RNase A遺伝子およ
びRNase k6 precursor遺伝子のOMIMのコード番号は、そ
れぞれ180440および601981である。RNase A遺伝子また
はRNase k6 precursor遺伝子が、ステロイド応答性に関
連していることは知られていない。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、ステロイド応答
性とは、アレルギー反応や、炎症症状に対するステロイ
ド剤投与後の治療効果の大きさを意味する。ステロイド
応答性は、アレルギー性疾患に限らず、ステロイド治療
が有効とされているあらゆる疾患について、評価され
る。ステロイド剤投与によって、症状が和らぐ患者はス
テロイド応答性である。逆にステロイド剤による治療効
果が見られないことをステロイド抵抗性(steroid-resis
tant)と呼ぶ。あるいは効果は見られるがその程度が低
い場合を、弱応答という。
性とは、アレルギー反応や、炎症症状に対するステロイ
ド剤投与後の治療効果の大きさを意味する。ステロイド
応答性は、アレルギー性疾患に限らず、ステロイド治療
が有効とされているあらゆる疾患について、評価され
る。ステロイド剤投与によって、症状が和らぐ患者はス
テロイド応答性である。逆にステロイド剤による治療効
果が見られないことをステロイド抵抗性(steroid-resis
tant)と呼ぶ。あるいは効果は見られるがその程度が低
い場合を、弱応答という。
【0017】アレルギー性疾患においては、ステロイド
剤の効果は、アレルギー症状の診断指標を比較すること
により、定量的に評価することができる。例えば、代表
的なアレルギー性疾患であるアトピー性皮膚炎において
は、アトピー性皮膚炎・臨床スコアシステム(Leicester
system, Sowden JM et al. Double-blind controlled
crossover study of cyclosporin in adults with serv
e refractory atopicdermatitis. Lancet, 1991, 338,
137-40)が知られている。この方法は、皮膚炎の進行度
と、その発生部位に基づいて、皮膚炎の症状を数値化す
る方法である。この他、末梢血好酸球の数は、アレルギ
ー性疾患症状の指標とすることもできる。これらの指標
を、ステロイド剤の投与の前後で比較することによっ
て、ステロイド剤の治療効果を評価できる。
剤の効果は、アレルギー症状の診断指標を比較すること
により、定量的に評価することができる。例えば、代表
的なアレルギー性疾患であるアトピー性皮膚炎において
は、アトピー性皮膚炎・臨床スコアシステム(Leicester
system, Sowden JM et al. Double-blind controlled
crossover study of cyclosporin in adults with serv
e refractory atopicdermatitis. Lancet, 1991, 338,
137-40)が知られている。この方法は、皮膚炎の進行度
と、その発生部位に基づいて、皮膚炎の症状を数値化す
る方法である。この他、末梢血好酸球の数は、アレルギ
ー性疾患症状の指標とすることもできる。これらの指標
を、ステロイド剤の投与の前後で比較することによっ
て、ステロイド剤の治療効果を評価できる。
【0018】アトピー性皮膚炎においては、ステロイド
軟膏治療に対する応答性の臨床スコア(modified leices
ter score)により、治療2週間後でスコア値が1/3以上
改善されたものを治療応答性(responder)、改善度が1/3
未満を弱応答性(poor-responder)としている。アトピー
性皮膚炎以外の疾患においても、その疾患に応じた治療
効果の評価尺度を利用して、ステロイド応答性のランキ
ングが可能である。
軟膏治療に対する応答性の臨床スコア(modified leices
ter score)により、治療2週間後でスコア値が1/3以上
改善されたものを治療応答性(responder)、改善度が1/3
未満を弱応答性(poor-responder)としている。アトピー
性皮膚炎以外の疾患においても、その疾患に応じた治療
効果の評価尺度を利用して、ステロイド応答性のランキ
ングが可能である。
【0019】一方本発明において、アレルギー性疾患(a
llergic disease)とはアレルギー反応の関与する疾患の
総称である。より具体的には、アレルゲンが同定され、
アレルゲンへの曝露と病変の発症に深い結びつきが証明
され、その病変に免疫学的な機序が証明されることと定
義することができる。ここで、免疫学的な機序とは、ア
レルゲンの刺激によって白血球細胞が免疫応答を示すこ
とを意味する。アレルゲンとしては、ダニ抗原や花粉抗
原等を例示することができる。代表的なアレルギー性疾
患には、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉
症、あるいは昆虫アレルギー等を示すことができる。ア
レルギー素因(allergicdiathesis)とは、アレルギー性
疾患を持つ親から子に伝えられる遺伝的な因子である。
家族性に発症するアレルギー性疾患はアトピー性疾患と
も呼ばれ、その原因となる遺伝的に伝えられる因子がア
トピー素因である。喘息は、アトピー性疾患のうち、特
に呼吸器症状を伴う疾患に対して与えられた総称であ
る。
llergic disease)とはアレルギー反応の関与する疾患の
総称である。より具体的には、アレルゲンが同定され、
アレルゲンへの曝露と病変の発症に深い結びつきが証明
され、その病変に免疫学的な機序が証明されることと定
義することができる。ここで、免疫学的な機序とは、ア
レルゲンの刺激によって白血球細胞が免疫応答を示すこ
とを意味する。アレルゲンとしては、ダニ抗原や花粉抗
原等を例示することができる。代表的なアレルギー性疾
患には、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉
症、あるいは昆虫アレルギー等を示すことができる。ア
レルギー素因(allergicdiathesis)とは、アレルギー性
疾患を持つ親から子に伝えられる遺伝的な因子である。
家族性に発症するアレルギー性疾患はアトピー性疾患と
も呼ばれ、その原因となる遺伝的に伝えられる因子がア
トピー素因である。喘息は、アトピー性疾患のうち、特
に呼吸器症状を伴う疾患に対して与えられた総称であ
る。
【0020】本発明のステロイド応答性の検査方法は、
被検者の生体試料におけるRNase A遺伝子またはRNase k
6 precursor遺伝子の発現レベルを測定し、健常者、ま
たはステロイド応答性の患者の測定値と比較する工程を
含む。両者の比較の結果、健常者、またはステロイド応
答性の患者よりも有意に発現が上昇している場合には、
被検者はステロイド剤に対して弱応答性であると判定さ
れる。本発明において、ステロイド応答性の指標とする
ことができるRNase A遺伝子またはRNase k6 precursor
遺伝子を、単に指標遺伝子とも言う。本発明において、
RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子は、ヒ
トのみならず、他種におけるホモログを含む。したがっ
て、ヒト以外の種における指標遺伝子とは、特に断らな
いときには、その種に固有のRNase A遺伝子またはRNase
k6 precursor遺伝子のホモログ、あるいはその個体に
形質転換されている外来性のRNase A遺伝子またはRNase
k6precursor遺伝子のいずれかを言う。
被検者の生体試料におけるRNase A遺伝子またはRNase k
6 precursor遺伝子の発現レベルを測定し、健常者、ま
たはステロイド応答性の患者の測定値と比較する工程を
含む。両者の比較の結果、健常者、またはステロイド応
答性の患者よりも有意に発現が上昇している場合には、
被検者はステロイド剤に対して弱応答性であると判定さ
れる。本発明において、ステロイド応答性の指標とする
ことができるRNase A遺伝子またはRNase k6 precursor
遺伝子を、単に指標遺伝子とも言う。本発明において、
RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子は、ヒ
トのみならず、他種におけるホモログを含む。したがっ
て、ヒト以外の種における指標遺伝子とは、特に断らな
いときには、その種に固有のRNase A遺伝子またはRNase
k6 precursor遺伝子のホモログ、あるいはその個体に
形質転換されている外来性のRNase A遺伝子またはRNase
k6precursor遺伝子のいずれかを言う。
【0021】本発明においてヒトRNase A遺伝子または
ヒトRNase k6 precursor遺伝子のホモログとは、ヒトRN
ase A遺伝子またはヒトRNase k6 precursor遺伝子をプ
ローブとしてストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズすることができる、ヒト以外の種に由来する遺伝子を
言う。ストリンジェントな条件とは、一般的には以下の
ような条件を示すことができる。すなわち、4×SSC、
65℃でハイブリダイゼーションさせ、0.1×SSCを
用いて65℃で1時間洗浄する。ストリンジェンシーを
大きく左右するハイブリダイゼーションや洗浄の温度条
件は、融解温度(Tm)に応じて調整することができる。Tm
はハイブリダイズする塩基対に占める構成塩基の割合、
ハイブリダイゼーション溶液組成(塩濃度、ホルムアミ
ドやドデシル硫酸ナトリウム濃度)によって変動する。
したがって、当業者であればこれらの条件を考慮して同
等のストリンジェンシーを与える条件を経験的に設定す
ることができる。
ヒトRNase k6 precursor遺伝子のホモログとは、ヒトRN
ase A遺伝子またはヒトRNase k6 precursor遺伝子をプ
ローブとしてストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズすることができる、ヒト以外の種に由来する遺伝子を
言う。ストリンジェントな条件とは、一般的には以下の
ような条件を示すことができる。すなわち、4×SSC、
65℃でハイブリダイゼーションさせ、0.1×SSCを
用いて65℃で1時間洗浄する。ストリンジェンシーを
大きく左右するハイブリダイゼーションや洗浄の温度条
件は、融解温度(Tm)に応じて調整することができる。Tm
はハイブリダイズする塩基対に占める構成塩基の割合、
ハイブリダイゼーション溶液組成(塩濃度、ホルムアミ
ドやドデシル硫酸ナトリウム濃度)によって変動する。
したがって、当業者であればこれらの条件を考慮して同
等のストリンジェンシーを与える条件を経験的に設定す
ることができる。
【0022】本発明において、指標遺伝子の発現レベル
とは、遺伝子のmRNAへの転写、並びに蛋白質への翻訳を
含む。したがって本発明によるステロイド応答性の検査
方法は、前記指標遺伝子に対応するmRNAの発現強度、あ
るいは前記遺伝子によってコードされる蛋白質の発現レ
ベルの比較に基づいて行われる。発現レベルの比較のた
めには、通常、ステロイド応答群における前記指標遺伝
子の発現レベルに基づいて、標準値が設定される。この
標準値をもとに、たとえば±2S.D.の範囲が許容範囲と
される。指標遺伝子の測定値に基づいて、標準値や許容
範囲を設定する手法は公知である。被検者における指標
遺伝子の発現レベルが許容範囲よりも高ければ、その被
検者はステロイド弱応答性と予想される。
とは、遺伝子のmRNAへの転写、並びに蛋白質への翻訳を
含む。したがって本発明によるステロイド応答性の検査
方法は、前記指標遺伝子に対応するmRNAの発現強度、あ
るいは前記遺伝子によってコードされる蛋白質の発現レ
ベルの比較に基づいて行われる。発現レベルの比較のた
めには、通常、ステロイド応答群における前記指標遺伝
子の発現レベルに基づいて、標準値が設定される。この
標準値をもとに、たとえば±2S.D.の範囲が許容範囲と
される。指標遺伝子の測定値に基づいて、標準値や許容
範囲を設定する手法は公知である。被検者における指標
遺伝子の発現レベルが許容範囲よりも高ければ、その被
検者はステロイド弱応答性と予想される。
【0023】本発明におけるステロイド応答性の検査に
おける指標遺伝子の発現レベルの測定は、公知の遺伝子
解析方法にしたがって実施することができる。具体的に
は、たとえばこの遺伝子にハイブリダイズする核酸をプ
ローブとしたハイブリダイゼーション技術、または本発
明の遺伝子にハイブリダイズするDNAをプライマーとし
た遺伝子増幅技術等を利用することができる。
おける指標遺伝子の発現レベルの測定は、公知の遺伝子
解析方法にしたがって実施することができる。具体的に
は、たとえばこの遺伝子にハイブリダイズする核酸をプ
ローブとしたハイブリダイゼーション技術、または本発
明の遺伝子にハイブリダイズするDNAをプライマーとし
た遺伝子増幅技術等を利用することができる。
【0024】本発明の検査に用いられるプローブまたは
プライマーは、前記指標遺伝子の塩基配列に基づいて設
定することができる。前記指標遺伝子の塩基配列、並び
に該遺伝子によってコードされるアミノ酸配列は公知で
ある。前記指標遺伝子の塩基配列のGenBank登録番号はD
26129(ヒトRNase A)、およびU64998(ヒトRNase k6pr
ecursor)である。なお一般に高等動物の遺伝子は、高
い頻度で多型を伴う。また、スプライシングの過程で相
互に異なるアミノ酸配列からなるアイソフォームを生じ
る分子も多く存在する。多型やアイソフォームによって
塩基配列に変異を含む遺伝子であっても、前記指標遺伝
子と同様の活性を持ち、ステロイド応答性に関与する遺
伝子は、いずれも本発明の指標遺伝子に含まれる。
プライマーは、前記指標遺伝子の塩基配列に基づいて設
定することができる。前記指標遺伝子の塩基配列、並び
に該遺伝子によってコードされるアミノ酸配列は公知で
ある。前記指標遺伝子の塩基配列のGenBank登録番号はD
26129(ヒトRNase A)、およびU64998(ヒトRNase k6pr
ecursor)である。なお一般に高等動物の遺伝子は、高
い頻度で多型を伴う。また、スプライシングの過程で相
互に異なるアミノ酸配列からなるアイソフォームを生じ
る分子も多く存在する。多型やアイソフォームによって
塩基配列に変異を含む遺伝子であっても、前記指標遺伝
子と同様の活性を持ち、ステロイド応答性に関与する遺
伝子は、いずれも本発明の指標遺伝子に含まれる。
【0025】プライマーあるいはプローブには、前記指
標遺伝子の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または
その相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含
むポリヌクレオチドを利用することができる。ここで
「相補鎖」とは、A:T(RNAの場合はU)、G:Cの塩基対か
らなる2本鎖DNAの一方の鎖に対する他方の鎖を指す。
また、「相補的」とは、少なくとも15個の連続したヌク
レオチド領域で完全に相補配列である場合に限られず、
少なくとも70% 、好ましくは少なくとも80% 、より好ま
しくは90% 、さらに好ましくは95% 以上の塩基配列上の
相同性を有すればよい。塩基配列の相同性は、BLAST等
のアルゴリズムにより決定することができる。
標遺伝子の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または
その相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含
むポリヌクレオチドを利用することができる。ここで
「相補鎖」とは、A:T(RNAの場合はU)、G:Cの塩基対か
らなる2本鎖DNAの一方の鎖に対する他方の鎖を指す。
また、「相補的」とは、少なくとも15個の連続したヌク
レオチド領域で完全に相補配列である場合に限られず、
少なくとも70% 、好ましくは少なくとも80% 、より好ま
しくは90% 、さらに好ましくは95% 以上の塩基配列上の
相同性を有すればよい。塩基配列の相同性は、BLAST等
のアルゴリズムにより決定することができる。
【0026】このようなポリヌクレオチドは、前記指標
遺伝子を検出するためのプローブとして、また前記指標
遺伝子を増幅するためのプライマーとして利用すること
ができる。プライマーとして用いる場合には、通常、15
bp〜100bp、好ましくは15bp〜35bpの鎖長を有する。ま
た、プローブとして用いる場合には、前記指標遺伝子の
少なくとも一部若しくは全部の配列(またはその相補
鎖)を有し、少なくとも15bpの鎖長のDNAが用いられ
る。プライマーとして用いる場合、3'側の領域は相補的
である必要があるが、5'側には制限酵素認識配列やタグ
などを付加することができる。
遺伝子を検出するためのプローブとして、また前記指標
遺伝子を増幅するためのプライマーとして利用すること
ができる。プライマーとして用いる場合には、通常、15
bp〜100bp、好ましくは15bp〜35bpの鎖長を有する。ま
た、プローブとして用いる場合には、前記指標遺伝子の
少なくとも一部若しくは全部の配列(またはその相補
鎖)を有し、少なくとも15bpの鎖長のDNAが用いられ
る。プライマーとして用いる場合、3'側の領域は相補的
である必要があるが、5'側には制限酵素認識配列やタグ
などを付加することができる。
【0027】なお、本発明における「ポリヌクレオチ
ド」は、DNAあるいはRNAであることができる。これらポ
リヌクレオチドは、合成されたものでも天然のものでも
よい。また、ハイブリダイゼーションに用いるプローブ
DNAは、通常、標識したものが用いられる。標識方法と
しては、例えば次のような方法を示すことができる。な
お用語オリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのう
ち、重合度が比較的低いものを意味している。オリゴヌ
クレオチドは、ポリヌクレオチドに含まれる。 ・DNAポリメラーゼIを用いるニックトランスレーション
による標識 ・ポリヌクレオチドキナーゼを用いる末端標識 ・クレノーフラグメントによるフィルイン末端標識(Be
rger SL, Kimmel AR. (1987) Guide to Molecular Clon
ing Techniques, Method in Enzymology, Academic Pre
ss; Hames BD, Higgins SJ (1985) Genes Probes: A Pr
actical Approach . IRL Press; Sambrook J, Fritsch EF, Maniatis T.
(1989) Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 2nd
Edn. Cold Spring Harbor Laboratory Press) ・RNAポリメラーゼを用いる転写による標識(Melton D
A, Krieg,PA, RebagkiatiMR, Maniatis T, Zinn K, Gre
en MR. (1984) Nucleic Acid Res., 12,7035-7056) ・放射性同位体を用いない修飾ヌクレオチドをDNAに取
り込ませる方法(KrickaLJ. (1992) Nonisotopic DNA P
robing Techniques. Academic Press)
ド」は、DNAあるいはRNAであることができる。これらポ
リヌクレオチドは、合成されたものでも天然のものでも
よい。また、ハイブリダイゼーションに用いるプローブ
DNAは、通常、標識したものが用いられる。標識方法と
しては、例えば次のような方法を示すことができる。な
お用語オリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのう
ち、重合度が比較的低いものを意味している。オリゴヌ
クレオチドは、ポリヌクレオチドに含まれる。 ・DNAポリメラーゼIを用いるニックトランスレーション
による標識 ・ポリヌクレオチドキナーゼを用いる末端標識 ・クレノーフラグメントによるフィルイン末端標識(Be
rger SL, Kimmel AR. (1987) Guide to Molecular Clon
ing Techniques, Method in Enzymology, Academic Pre
ss; Hames BD, Higgins SJ (1985) Genes Probes: A Pr
actical Approach . IRL Press; Sambrook J, Fritsch EF, Maniatis T.
(1989) Molecular Cloning: a Laboratory Manual, 2nd
Edn. Cold Spring Harbor Laboratory Press) ・RNAポリメラーゼを用いる転写による標識(Melton D
A, Krieg,PA, RebagkiatiMR, Maniatis T, Zinn K, Gre
en MR. (1984) Nucleic Acid Res., 12,7035-7056) ・放射性同位体を用いない修飾ヌクレオチドをDNAに取
り込ませる方法(KrickaLJ. (1992) Nonisotopic DNA P
robing Techniques. Academic Press)
【0028】ハイブリダイゼーション技術を利用したス
テロイド応答性の検査は、例えば、ノーザンハイブリダ
イゼーション法、ドットブロット法、DNAチップを用い
た方法などを使用して行うことができる。さらには、RT
-PCR法等の遺伝子増幅技術を利用することができる。RT
-PCR法においては、遺伝子の増幅過程においてPCR増幅
モニター法を用いることにより、本発明の遺伝子の発現
について、より定量的な解析を行うことが可能である。
テロイド応答性の検査は、例えば、ノーザンハイブリダ
イゼーション法、ドットブロット法、DNAチップを用い
た方法などを使用して行うことができる。さらには、RT
-PCR法等の遺伝子増幅技術を利用することができる。RT
-PCR法においては、遺伝子の増幅過程においてPCR増幅
モニター法を用いることにより、本発明の遺伝子の発現
について、より定量的な解析を行うことが可能である。
【0029】PCR遺伝子増幅モニター法においては、両
端を互いの蛍光を打ち消し合う異なった蛍光色素で標識
したプローブを用い、検出対象(DNAもしくはRNAの逆転
写産物)にハイブリダイズさせる。PCR反応が進んでTaq
ポリメラーゼの 5'-3' エキソヌクレアーゼ(exonuclea
se)活性により同プローブが分解されると二つの蛍光色
素が離れ、蛍光が検出されるようになる。この蛍光の検
出をリアルタイムに行う。検出対象についてコピー数の
明らかな標準試料について同時に測定することにより、
PCR増幅の直線性のあるサイクル数で目的試料中の検出
対象のコピー数を決定する(Holland, P.M. et al., 19
91, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7276-7280; Liva
k, K. J. et al., 1995, PCR Methods and Application
s 4(6):357-362; Heid, C. A. et al., Genome Researc
h 6:986-994; Gibson, E. M. U.et al., 1996, Genome
Research 6:995-1001)。PCR増幅モニター法において
は、例えば、ABI PRISM7700(Applied Biosystems社)
を用いることができる。
端を互いの蛍光を打ち消し合う異なった蛍光色素で標識
したプローブを用い、検出対象(DNAもしくはRNAの逆転
写産物)にハイブリダイズさせる。PCR反応が進んでTaq
ポリメラーゼの 5'-3' エキソヌクレアーゼ(exonuclea
se)活性により同プローブが分解されると二つの蛍光色
素が離れ、蛍光が検出されるようになる。この蛍光の検
出をリアルタイムに行う。検出対象についてコピー数の
明らかな標準試料について同時に測定することにより、
PCR増幅の直線性のあるサイクル数で目的試料中の検出
対象のコピー数を決定する(Holland, P.M. et al., 19
91, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7276-7280; Liva
k, K. J. et al., 1995, PCR Methods and Application
s 4(6):357-362; Heid, C. A. et al., Genome Researc
h 6:986-994; Gibson, E. M. U.et al., 1996, Genome
Research 6:995-1001)。PCR増幅モニター法において
は、例えば、ABI PRISM7700(Applied Biosystems社)
を用いることができる。
【0030】また本発明のステロイド応答性の検査方法
は、前記指標遺伝子によりコードされる蛋白質を検出す
ることにより行うこともできる。以下、本明細書におい
て、前記指標遺伝子によりコードされる蛋白質を指標蛋
白質と記載する。このような検査方法としては、例え
ば、これら指標蛋白質に結合する抗体を利用したウェス
タンブロッティング法、免疫沈降法、ELISA法などを利
用することができる。
は、前記指標遺伝子によりコードされる蛋白質を検出す
ることにより行うこともできる。以下、本明細書におい
て、前記指標遺伝子によりコードされる蛋白質を指標蛋
白質と記載する。このような検査方法としては、例え
ば、これら指標蛋白質に結合する抗体を利用したウェス
タンブロッティング法、免疫沈降法、ELISA法などを利
用することができる。
【0031】この検出に用いる前記指標蛋白質に結合す
る抗体は、当業者に周知の技法を用いて得ることができ
る。本発明に用いる抗体は、ポリクローナル抗体、ある
いはモノクローナル抗体(Milstein C, et al.,1983, N
ature 305(5934): 537-40)であることができる。例え
ば、指標蛋白質に対するポリクローナル抗体は、抗原を
感作した哺乳動物の血液を取り出し、この血液から公知
の方法により血清を分離する。ポリクローナル抗体とし
ては、ポリクローナル抗体を含む血清を使用することが
できる。あるいは必要に応じてこの血清からポリクロー
ナル抗体を含む画分をさらに単離することもできる。ま
た、モノクローナル抗体を得るには、上記抗原を感作し
た哺乳動物から免疫細胞を取り出して骨髄腫細胞などと
細胞融合させる。こうして得られたハイブリドーマをク
ローニングして、その培養物から抗体を回収しモノクロ
ーナル抗体とすることができる。
る抗体は、当業者に周知の技法を用いて得ることができ
る。本発明に用いる抗体は、ポリクローナル抗体、ある
いはモノクローナル抗体(Milstein C, et al.,1983, N
ature 305(5934): 537-40)であることができる。例え
ば、指標蛋白質に対するポリクローナル抗体は、抗原を
感作した哺乳動物の血液を取り出し、この血液から公知
の方法により血清を分離する。ポリクローナル抗体とし
ては、ポリクローナル抗体を含む血清を使用することが
できる。あるいは必要に応じてこの血清からポリクロー
ナル抗体を含む画分をさらに単離することもできる。ま
た、モノクローナル抗体を得るには、上記抗原を感作し
た哺乳動物から免疫細胞を取り出して骨髄腫細胞などと
細胞融合させる。こうして得られたハイブリドーマをク
ローニングして、その培養物から抗体を回収しモノクロ
ーナル抗体とすることができる。
【0032】指標蛋白質の検出には、これらの抗体を適
宜標識して用いればよい。また、この抗体を標識せず
に、該抗体に特異的に結合する物質、例えば、プロテイ
ンAやプロテインGを標識して間接的に検出することも
できる。具体的な検出方法としては、例えば、ELISA法
を挙げることができる。抗原に用いる蛋白質もしくはそ
の部分ペプチドは、例えば該遺伝子もしくはその一部を
発現ベクターに組込み、これを適当な宿主細胞に導入し
て、形質転換体を作成し、該形質転換体を培養して組み
換え蛋白質を発現させ、発現させた組み換え蛋白質を培
養体または培養上清から精製することにより得ることが
できる。あるいは、これらの遺伝子によってコードされ
るアミノ酸配列、あるいは全長cDNAによってコードされ
るアミノ酸配列の部分アミノ酸配列からなるオリゴペプ
チドを化学的に合成し、免疫原として用いることもでき
る。
宜標識して用いればよい。また、この抗体を標識せず
に、該抗体に特異的に結合する物質、例えば、プロテイ
ンAやプロテインGを標識して間接的に検出することも
できる。具体的な検出方法としては、例えば、ELISA法
を挙げることができる。抗原に用いる蛋白質もしくはそ
の部分ペプチドは、例えば該遺伝子もしくはその一部を
発現ベクターに組込み、これを適当な宿主細胞に導入し
て、形質転換体を作成し、該形質転換体を培養して組み
換え蛋白質を発現させ、発現させた組み換え蛋白質を培
養体または培養上清から精製することにより得ることが
できる。あるいは、これらの遺伝子によってコードされ
るアミノ酸配列、あるいは全長cDNAによってコードされ
るアミノ酸配列の部分アミノ酸配列からなるオリゴペプ
チドを化学的に合成し、免疫原として用いることもでき
る。
【0033】更に本発明においては、指標遺伝子の発現
レベルのみならず、生体試料における指標蛋白質の活性
を指標として、ステロイド応答性の検査を行うこともで
きる。指標蛋白質の活性とは、各蛋白質が備える生物学
的な活性を言う。本発明における指標蛋白質であるRNas
e AまたはRNase k6 precursorは、RNAを代謝する酵素で
あることから、これらのRNAの分解を指標として活性を
測定することによって、活性の存在を知ることができ
る。RNase活性の測定方法は公知である。
レベルのみならず、生体試料における指標蛋白質の活性
を指標として、ステロイド応答性の検査を行うこともで
きる。指標蛋白質の活性とは、各蛋白質が備える生物学
的な活性を言う。本発明における指標蛋白質であるRNas
e AまたはRNase k6 precursorは、RNAを代謝する酵素で
あることから、これらのRNAの分解を指標として活性を
測定することによって、活性の存在を知ることができ
る。RNase活性の測定方法は公知である。
【0034】本発明の検査方法においては、通常、被検
者の生体試料を試料とする。生体試料としては、血液、
喀痰、鼻粘膜分泌物等を用いることができるが、好まし
くは末梢血単核球細胞を用いる。単核球を末梢血などか
ら採取する方法は、公知である。末梢血から分離された
単核球は、特に末梢血単核球細胞(peripheral bloodmo
nonuclear cell; PBMC)と言う。単核球は、たとえばヘ
パリン採血した血液から比重遠心分離法により容易に採
取することができる。単核球は、単球やリンパ球を含む
細胞集団である。末梢血中に多量に存在する単核球を用
いることにより、試料の採取が容易となる。そのため、
ベッドサイドにおける簡便な検査が可能となる。分離さ
れた単核球を破壊してライセートとすれば、前記蛋白質
の免疫学的な測定のための試料とすることができる。あ
るいはこのライセートからmRNAを抽出すれば、前記指標
遺伝子に対応するmRNAの測定のための試料とすることが
できる。単核球のライセートやmRNAの抽出には、市販の
キットを利用すると便利である。また、細胞の状態に関
わらず発現レベルが大きく変動しない遺伝子(ハウスキ
ーピング遺伝子)の発現レベルの測定値に基づいて、指
標遺伝子の発現レベルの測定値を補正することができ
る。その他、指標蛋白質が血中に分泌されていれば、被
検者の血液や血清などの体液試料に含まれる目的とする
蛋白質の量を測定することによって、それをコードする
遺伝子の発現レベルの比較が可能である。
者の生体試料を試料とする。生体試料としては、血液、
喀痰、鼻粘膜分泌物等を用いることができるが、好まし
くは末梢血単核球細胞を用いる。単核球を末梢血などか
ら採取する方法は、公知である。末梢血から分離された
単核球は、特に末梢血単核球細胞(peripheral bloodmo
nonuclear cell; PBMC)と言う。単核球は、たとえばヘ
パリン採血した血液から比重遠心分離法により容易に採
取することができる。単核球は、単球やリンパ球を含む
細胞集団である。末梢血中に多量に存在する単核球を用
いることにより、試料の採取が容易となる。そのため、
ベッドサイドにおける簡便な検査が可能となる。分離さ
れた単核球を破壊してライセートとすれば、前記蛋白質
の免疫学的な測定のための試料とすることができる。あ
るいはこのライセートからmRNAを抽出すれば、前記指標
遺伝子に対応するmRNAの測定のための試料とすることが
できる。単核球のライセートやmRNAの抽出には、市販の
キットを利用すると便利である。また、細胞の状態に関
わらず発現レベルが大きく変動しない遺伝子(ハウスキ
ーピング遺伝子)の発現レベルの測定値に基づいて、指
標遺伝子の発現レベルの測定値を補正することができ
る。その他、指標蛋白質が血中に分泌されていれば、被
検者の血液や血清などの体液試料に含まれる目的とする
蛋白質の量を測定することによって、それをコードする
遺伝子の発現レベルの比較が可能である。
【0035】本発明におけるステロイド応答性の検査と
は、たとえば以下のような検査が含まれる。たとえばア
トピー性皮膚炎の症状を示す患者に対してステロイド療
法を試みるとき、ステロイド剤の投与に先だって、本発
明に基づいてステロイド応答性を予測することができ
る。より具体的には、患者における指標遺伝子の発現の
上昇は、その患者がステロイド弱応答性である可能性が
高いことを示している。このような患者については、ス
テロイド療法以外の治療方法を推奨する。ステロイド剤
の投与には、前述のような副作用の危険が伴っている。
また、治療を開始する前に予め治療効果を予測できるこ
とは、患者の苦痛を一刻も早く和らげるという、QOLの
向上につながる。したがって、本発明の検査方法は、ア
レルギー性疾患の治療方針の決定において、きわめて重
要な情報を提供することができる。
は、たとえば以下のような検査が含まれる。たとえばア
トピー性皮膚炎の症状を示す患者に対してステロイド療
法を試みるとき、ステロイド剤の投与に先だって、本発
明に基づいてステロイド応答性を予測することができ
る。より具体的には、患者における指標遺伝子の発現の
上昇は、その患者がステロイド弱応答性である可能性が
高いことを示している。このような患者については、ス
テロイド療法以外の治療方法を推奨する。ステロイド剤
の投与には、前述のような副作用の危険が伴っている。
また、治療を開始する前に予め治療効果を予測できるこ
とは、患者の苦痛を一刻も早く和らげるという、QOLの
向上につながる。したがって、本発明の検査方法は、ア
レルギー性疾患の治療方針の決定において、きわめて重
要な情報を提供することができる。
【0036】あるいはステロイドに対する応答性の強弱
にともなって発現レベルが変動する遺伝子には、1型ヘ
ルパーT細胞 (Th1細胞)の減少の指標としての有用性が
期待できる。アレルギー性疾患の原因の一つとして、2
型ヘルパーT細胞 (Th2細胞)に対するTh1細胞の機能低下
が考えられている。この考え方によれば、IgE抗体産生
を誘導するTh2の、Th1に対する相対的な機能増強の結果
として、アレルギー症状がもたらされる。Th1の相対的
な機能低下の原因には、Th2細胞の増加と、Th1細胞の減
少とが考えられる。他方、IFNγ産生能が低下している
アトピー性皮膚炎(AD)患者では、カンジダに対する特異
的IgE抗体が増加しているという報告がある (Kimura
M., TsurutaS. Yoshida T. Int Arch Allergy Immunol
122:195,2000, IFN-gamma plays a dominant role in u
pregulation of Candida-specific IgE synthesis in p
atients with atopic dermatitis.)。IFNγは代表的なT
h1サイトカインである。つまり、Th1細胞の減少に起因
しているADでは、真菌やウィルスに対する抵抗力が落ち
るため、常在カンジダが増加していることが予測され
る。その結果としてカンジダに対するIgE値が上昇し、I
型アレルギー反応が増加すると説明することができる。
にともなって発現レベルが変動する遺伝子には、1型ヘ
ルパーT細胞 (Th1細胞)の減少の指標としての有用性が
期待できる。アレルギー性疾患の原因の一つとして、2
型ヘルパーT細胞 (Th2細胞)に対するTh1細胞の機能低下
が考えられている。この考え方によれば、IgE抗体産生
を誘導するTh2の、Th1に対する相対的な機能増強の結果
として、アレルギー症状がもたらされる。Th1の相対的
な機能低下の原因には、Th2細胞の増加と、Th1細胞の減
少とが考えられる。他方、IFNγ産生能が低下している
アトピー性皮膚炎(AD)患者では、カンジダに対する特異
的IgE抗体が増加しているという報告がある (Kimura
M., TsurutaS. Yoshida T. Int Arch Allergy Immunol
122:195,2000, IFN-gamma plays a dominant role in u
pregulation of Candida-specific IgE synthesis in p
atients with atopic dermatitis.)。IFNγは代表的なT
h1サイトカインである。つまり、Th1細胞の減少に起因
しているADでは、真菌やウィルスに対する抵抗力が落ち
るため、常在カンジダが増加していることが予測され
る。その結果としてカンジダに対するIgE値が上昇し、I
型アレルギー反応が増加すると説明することができる。
【0037】このような患者においては、カンジダ等の
感染症や、アレルギーによって更に炎症症状が悪化して
いる状態が予想される。更に、このような患者にステロ
イド剤を投与すると、もともと機能低下しているTh1が
ステロイド剤の抑制作用によって、ますます機能低下す
ることになる。つまり、Th1細胞の減少が、ステロイド
弱応答の原因の一つとなっていることが予測される。し
たがって、ステロイド剤への応答性に関連して発現レベ
ルが変動する遺伝子には、Th1細胞の減少の指標となる
有用性が期待できるのである。Th1細胞の減少を原因と
するアレルギー性疾患は、ステロイドに対する応答性が
弱いばかりか、かえって悪化させる原因となる恐れがあ
る。したがって、ステロイド剤の投与に先だって、Th1
とTh2のバランスの指標とすることができる遺伝子は有
用である。
感染症や、アレルギーによって更に炎症症状が悪化して
いる状態が予想される。更に、このような患者にステロ
イド剤を投与すると、もともと機能低下しているTh1が
ステロイド剤の抑制作用によって、ますます機能低下す
ることになる。つまり、Th1細胞の減少が、ステロイド
弱応答の原因の一つとなっていることが予測される。し
たがって、ステロイド剤への応答性に関連して発現レベ
ルが変動する遺伝子には、Th1細胞の減少の指標となる
有用性が期待できるのである。Th1細胞の減少を原因と
するアレルギー性疾患は、ステロイドに対する応答性が
弱いばかりか、かえって悪化させる原因となる恐れがあ
る。したがって、ステロイド剤の投与に先だって、Th1
とTh2のバランスの指標とすることができる遺伝子は有
用である。
【0038】あるいは、本発明の検査方法を、既にステ
ロイド療法を継続中の患者について、ステロイド剤の用
量の管理に応用することもできる。治療開始時にはステ
ロイド剤の治療効果が明らかであった患者について本発
明に基づく検査を行い、前記指標遺伝子の発現レベルの
上昇が見られた場合には、ステロイド弱応答性傾向が生
じていると予測することができる。このような時期に
は、たとえステロイド剤の投与量を増やしても、その治
療効果は期待できない可能性があるので、できるだけ他
の治療方法を検討する。
ロイド療法を継続中の患者について、ステロイド剤の用
量の管理に応用することもできる。治療開始時にはステ
ロイド剤の治療効果が明らかであった患者について本発
明に基づく検査を行い、前記指標遺伝子の発現レベルの
上昇が見られた場合には、ステロイド弱応答性傾向が生
じていると予測することができる。このような時期に
は、たとえステロイド剤の投与量を増やしても、その治
療効果は期待できない可能性があるので、できるだけ他
の治療方法を検討する。
【0039】また本発明は、指標遺伝子の単核球におけ
る発現レベルを調節したトランスジェニック非ヒト動物
のステロイド応答性を調節したモデル動物としての使用
に関する。本発明において、発現強度の調節とは、指標
遺伝子の発現の増強、または低下を言う。本発明におい
て、指標遺伝子の発現の増強は、ステロイド応答性の低
下につながる。すなわち、本発明によってステロイド弱
応答性モデル動物を得ることができる。また逆に指標遺
伝子の発現を低下させることにより、ステロイド応答性
を高めた状態を作り出すことができる。すなわち、ステ
ロイド応答性モデル動物を得ることができる。
る発現レベルを調節したトランスジェニック非ヒト動物
のステロイド応答性を調節したモデル動物としての使用
に関する。本発明において、発現強度の調節とは、指標
遺伝子の発現の増強、または低下を言う。本発明におい
て、指標遺伝子の発現の増強は、ステロイド応答性の低
下につながる。すなわち、本発明によってステロイド弱
応答性モデル動物を得ることができる。また逆に指標遺
伝子の発現を低下させることにより、ステロイド応答性
を高めた状態を作り出すことができる。すなわち、ステ
ロイド応答性モデル動物を得ることができる。
【0040】ステロイド弱応答性アレルギー性疾患モデ
ル動物は、ステロイド弱応答性アトピー性皮膚炎におけ
る生体内の変化を明らかにするために有用である。更
に、本発明に基づくステロイド弱応答性アレルギー性疾
患モデル動物は、ステロイド弱応答性のアレルギー性の
アトピー性皮膚炎の治療方法の評価に有用である。また
本発明のステロイド弱応答性モデル動物を用いて、指標
遺伝子の発現や、その活性を抑制する化合物をスクリー
ニングすることもできる。
ル動物は、ステロイド弱応答性アトピー性皮膚炎におけ
る生体内の変化を明らかにするために有用である。更
に、本発明に基づくステロイド弱応答性アレルギー性疾
患モデル動物は、ステロイド弱応答性のアレルギー性の
アトピー性皮膚炎の治療方法の評価に有用である。また
本発明のステロイド弱応答性モデル動物を用いて、指標
遺伝子の発現や、その活性を抑制する化合物をスクリー
ニングすることもできる。
【0041】あるいは本発明に基づくステロイド応答性
のモデル動物は、ステロイド様の作用を有する化合物の
スクリーニングに用いることができる。ステロイド応答
性モデル動物は、明らかにステロイド応答性を有するこ
とから、この動物において、ステロイド投与時と同様の
マーカーの変化をもたらす化合物は、ステロイド様の活
性を有する化合物として期待できる。
のモデル動物は、ステロイド様の作用を有する化合物の
スクリーニングに用いることができる。ステロイド応答
性モデル動物は、明らかにステロイド応答性を有するこ
とから、この動物において、ステロイド投与時と同様の
マーカーの変化をもたらす化合物は、ステロイド様の活
性を有する化合物として期待できる。
【0042】本発明によって、ステロイド弱応答性アレ
ルギー性疾患では単核球における前記指標遺伝子の発現
レベルが、上昇することが明らかとなった。したがっ
て、単核球において指標遺伝子の発現レベルを人為的に
増強した動物は、ステロイド弱応答性疾患のモデル動物
として利用することができる。ここで本発明における指
標遺伝子とは、ヒトRNase A遺伝子、あるいはヒトRNase
k6 precursor遺伝子に加え、各動物種におけるヒトRNa
se A遺伝子、あるいはヒトRNase k6 precursor遺伝子の
ホモログを含む。
ルギー性疾患では単核球における前記指標遺伝子の発現
レベルが、上昇することが明らかとなった。したがっ
て、単核球において指標遺伝子の発現レベルを人為的に
増強した動物は、ステロイド弱応答性疾患のモデル動物
として利用することができる。ここで本発明における指
標遺伝子とは、ヒトRNase A遺伝子、あるいはヒトRNase
k6 precursor遺伝子に加え、各動物種におけるヒトRNa
se A遺伝子、あるいはヒトRNase k6 precursor遺伝子の
ホモログを含む。
【0043】なお単核球における発現レベルの上昇(ま
たは低下)とは、血液細胞全体における指標遺伝子の発
現レベルの上昇(または低下)を含む。すなわち、前記
指標遺伝子の発現レベルを上昇させる(または低下させ
る)のは単核球のみである場合のみならず、血液細胞全
体において、あるいは全身性に前記指標遺伝子の発現レ
ベルが上昇している場合(または低下している場合)を
含む。本発明のステロイド弱応答性疾患のモデル動物
は、特にステロイド弱応答性のアレルギー性疾患モデル
動物として有用である。
たは低下)とは、血液細胞全体における指標遺伝子の発
現レベルの上昇(または低下)を含む。すなわち、前記
指標遺伝子の発現レベルを上昇させる(または低下させ
る)のは単核球のみである場合のみならず、血液細胞全
体において、あるいは全身性に前記指標遺伝子の発現レ
ベルが上昇している場合(または低下している場合)を
含む。本発明のステロイド弱応答性疾患のモデル動物
は、特にステロイド弱応答性のアレルギー性疾患モデル
動物として有用である。
【0044】ステロイド弱応答性アレルギー性疾患にお
いて発現が上昇する遺伝子は、ステロイド剤に対する応
答性を抑制する働きを持った遺伝子と言うことができ
る。言いかえれば、ステロイド弱応答とは、指標遺伝子
の発現増強によって、ステロイド剤の刺激が伝達できな
くなっている状態と考えられる。つまり、ステロイド弱
応答性アレルギー性疾患において、ステロイド応答性ア
レルギー性疾患に比べて発現が上昇する遺伝子は、ステ
ロイド剤の応答抑制において重要な役割を果たす遺伝子
と言える。したがって、この遺伝子の発現を抑制した
り、あるいは活性を阻害する薬剤は、アレルギーのステ
ロイド療法において、ステロイド弱応答性の本質的な原
因を取り除く作用が期待できる。更に、これら指標遺伝
子によってコードされる蛋白質の活性を抑制することに
より、ステロイド療法の治療効果を達成することができ
る。遺伝子の発現を抑制するためには、デコイ核酸医薬
やアンチセンス医薬を利用することができる。蛋白質の
活性抑制は、たとえばその蛋白質の活性を阻害する抗体
や、蛋白質の活性部位に結合する化合物によって行うこ
ともできる。
いて発現が上昇する遺伝子は、ステロイド剤に対する応
答性を抑制する働きを持った遺伝子と言うことができ
る。言いかえれば、ステロイド弱応答とは、指標遺伝子
の発現増強によって、ステロイド剤の刺激が伝達できな
くなっている状態と考えられる。つまり、ステロイド弱
応答性アレルギー性疾患において、ステロイド応答性ア
レルギー性疾患に比べて発現が上昇する遺伝子は、ステ
ロイド剤の応答抑制において重要な役割を果たす遺伝子
と言える。したがって、この遺伝子の発現を抑制した
り、あるいは活性を阻害する薬剤は、アレルギーのステ
ロイド療法において、ステロイド弱応答性の本質的な原
因を取り除く作用が期待できる。更に、これら指標遺伝
子によってコードされる蛋白質の活性を抑制することに
より、ステロイド療法の治療効果を達成することができ
る。遺伝子の発現を抑制するためには、デコイ核酸医薬
やアンチセンス医薬を利用することができる。蛋白質の
活性抑制は、たとえばその蛋白質の活性を阻害する抗体
や、蛋白質の活性部位に結合する化合物によって行うこ
ともできる。
【0045】以上のように、ステロイド弱応答性アレル
ギー性疾患患者の単核球において発現が上昇する遺伝子
には重要な意味がある。そのため、この遺伝子の発現レ
ベルを調節することによって得ることができるトランス
ジェニック動物をステロイド応答性を調節したモデル動
物として使用し、遺伝子の役割や、遺伝子を標的とする
薬剤を評価することには大きな意義がある。あるいは前
記トランスジェニック動物は、ステロイドに代わるアレ
ルギー性疾患の治療のための薬剤のスクリーニングにつ
ながる可能性が期待できる。すなわち前記トランスジェ
ニック動物を用いて、ステロイド剤を投与したときと同
様の変化をもたらす化合物をスクリーニングすれば、ス
テロイド剤とは異なる機序でステロイド剤様の治療効果
を期待できる化合物を選択することができる。ステロイ
ド剤投与と同様の変化とは、具体的にはTh1サイトカイ
ンの発現変動などを示すことができる。また本発明によ
るステロイド弱応答性のモデル動物は、後に述べるステ
ロイド応答性を高める化合物のスクリーニングに加え
て、ステロイド応答性のメカニズムの解明、さらにはス
クリーニングされた化合物の安全性の試験に有用であ
る。本発明のステロイド弱応答性疾患のモデル動物は、
特にステロイド弱応答性のアレルギー性疾患モデル動物
として有用である。
ギー性疾患患者の単核球において発現が上昇する遺伝子
には重要な意味がある。そのため、この遺伝子の発現レ
ベルを調節することによって得ることができるトランス
ジェニック動物をステロイド応答性を調節したモデル動
物として使用し、遺伝子の役割や、遺伝子を標的とする
薬剤を評価することには大きな意義がある。あるいは前
記トランスジェニック動物は、ステロイドに代わるアレ
ルギー性疾患の治療のための薬剤のスクリーニングにつ
ながる可能性が期待できる。すなわち前記トランスジェ
ニック動物を用いて、ステロイド剤を投与したときと同
様の変化をもたらす化合物をスクリーニングすれば、ス
テロイド剤とは異なる機序でステロイド剤様の治療効果
を期待できる化合物を選択することができる。ステロイ
ド剤投与と同様の変化とは、具体的にはTh1サイトカイ
ンの発現変動などを示すことができる。また本発明によ
るステロイド弱応答性のモデル動物は、後に述べるステ
ロイド応答性を高める化合物のスクリーニングに加え
て、ステロイド応答性のメカニズムの解明、さらにはス
クリーニングされた化合物の安全性の試験に有用であ
る。本発明のステロイド弱応答性疾患のモデル動物は、
特にステロイド弱応答性のアレルギー性疾患モデル動物
として有用である。
【0046】本発明において、発現レベルの上昇とは、
宿主が備える指標遺伝子の転写と蛋白質への翻訳が増強
されている状態、並びに翻訳産物である蛋白質の分解が
阻害された状態のいずれかを意味する。遺伝子の発現レ
ベルは、たとえば実施例に示すような定量的なPCRによ
り確認することができる。また翻訳産物である蛋白質の
活性は、正常な状態と比較することにより確認すること
ができる。
宿主が備える指標遺伝子の転写と蛋白質への翻訳が増強
されている状態、並びに翻訳産物である蛋白質の分解が
阻害された状態のいずれかを意味する。遺伝子の発現レ
ベルは、たとえば実施例に示すような定量的なPCRによ
り確認することができる。また翻訳産物である蛋白質の
活性は、正常な状態と比較することにより確認すること
ができる。
【0047】代表的なトランスジェニック動物は、指標
遺伝子を導入した動物等を示すことができる。その他、
たとえば指標遺伝子のコード領域に変異を導入し、その
活性を増強したり、あるいは分解されにくいアミノ酸配
列に改変した動物などを示すことができる。アミノ酸配
列の変異には、置換、欠失、挿入、あるいは付加を示す
ことができる。その他、遺伝子の転写調節領域を変異さ
せることにより、本発明の指標遺伝子の発現そのものを
調節することもできる。一方、指標遺伝子(被験動物に
おけるホモログを含む)に対するアンチセンスDNA、リ
ボザイムをコードするDNA、あるいはデコイ核酸として
機能するDNA等を導入したトランスジェニック動物は、
本発明における指標遺伝子の機能を低下させたトランス
ジェニック動物として用いることができる。更に、指標
遺伝子のコード領域に変異を導入し、その活性を抑制し
たり、あるいは分解されやすいアミノ酸配列に改変した
動物などを、発現レベルを低下させたトランスジェニッ
ク動物として示すことができる。
遺伝子を導入した動物等を示すことができる。その他、
たとえば指標遺伝子のコード領域に変異を導入し、その
活性を増強したり、あるいは分解されにくいアミノ酸配
列に改変した動物などを示すことができる。アミノ酸配
列の変異には、置換、欠失、挿入、あるいは付加を示す
ことができる。その他、遺伝子の転写調節領域を変異さ
せることにより、本発明の指標遺伝子の発現そのものを
調節することもできる。一方、指標遺伝子(被験動物に
おけるホモログを含む)に対するアンチセンスDNA、リ
ボザイムをコードするDNA、あるいはデコイ核酸として
機能するDNA等を導入したトランスジェニック動物は、
本発明における指標遺伝子の機能を低下させたトランス
ジェニック動物として用いることができる。更に、指標
遺伝子のコード領域に変異を導入し、その活性を抑制し
たり、あるいは分解されやすいアミノ酸配列に改変した
動物などを、発現レベルを低下させたトランスジェニッ
ク動物として示すことができる。
【0048】特定の遺伝子を対象として、トランスジェ
ニック動物を得る方法は公知である。すなわち、遺伝子
と卵を混合してリン酸カルシウムで処理する方法や、位
相差顕微鏡下で前核期卵の核に、微小ピペットで遺伝子
を直接導入する方法(マイクロインジェクション法、米
国特許第4873191号)、胚性幹細胞(ES細胞)を使用す
る方法などによってトランスジェニック動物を得ること
ができる。その他、レトロウィルスベクターに遺伝子を
挿入し、卵に感染させる方法、また、精子を介して遺伝
子を卵に導入する精子ベクター法等も開発されている。
精子ベクター法とは、精子に外来遺伝子を付着またはエ
レクトロポレーション等の方法で精子細胞内に取り込ま
せた後に、卵子に受精させることにより、外来遺伝子を
導入する遺伝子組換え法である(M. Lavitranoet らCel
l, 57, 717, 1989)。
ニック動物を得る方法は公知である。すなわち、遺伝子
と卵を混合してリン酸カルシウムで処理する方法や、位
相差顕微鏡下で前核期卵の核に、微小ピペットで遺伝子
を直接導入する方法(マイクロインジェクション法、米
国特許第4873191号)、胚性幹細胞(ES細胞)を使用す
る方法などによってトランスジェニック動物を得ること
ができる。その他、レトロウィルスベクターに遺伝子を
挿入し、卵に感染させる方法、また、精子を介して遺伝
子を卵に導入する精子ベクター法等も開発されている。
精子ベクター法とは、精子に外来遺伝子を付着またはエ
レクトロポレーション等の方法で精子細胞内に取り込ま
せた後に、卵子に受精させることにより、外来遺伝子を
導入する遺伝子組換え法である(M. Lavitranoet らCel
l, 57, 717, 1989)。
【0049】本発明のステロイド応答性を調節したモデ
ル動物として用いるトランスジェニック動物は、ヒト以
外のあらゆる脊椎動物を利用して作成することができ
る。具体的には、マウス、ラット、ウサギ、ミニブタ、
ヤギ、ヒツジ、サル、あるいはウシ等の脊椎動物におい
て様々な遺伝子の導入や発現レベルを改変されたトラン
スジェニック動物が作り出されている。
ル動物として用いるトランスジェニック動物は、ヒト以
外のあらゆる脊椎動物を利用して作成することができ
る。具体的には、マウス、ラット、ウサギ、ミニブタ、
ヤギ、ヒツジ、サル、あるいはウシ等の脊椎動物におい
て様々な遺伝子の導入や発現レベルを改変されたトラン
スジェニック動物が作り出されている。
【0050】更に本発明は、ステロイド応答性を高める
化合物のスクリーニング方法に関する。本発明におい
て、指標遺伝子は、ステロイド弱応答性のアレルギー性
疾患患者の単核球において有意に発現レベルが上昇して
いる。したがって、これらの遺伝子の発現レベルを低下
させることができる化合物を選択することによって、ス
テロイド応答性を高める化合物を得ることができる。本
発明のスクリーニング方法は、特にステロイド弱応答性
のアレルギー性疾患におけるステロイド応答性の改善に
有用な候補化合物のスクリーニングに好適である。本発
明において遺伝子の発現レベルを低下させる化合物と
は、遺伝子の転写、翻訳、蛋白質の活性発現のいずれか
のステップに対して阻害的に作用する作用を持つ化合物
である。本発明のステロイド応答性を高める化合物のス
クリーニング方法は、in vivoで行なうこともin vitro
で行うこともできる。このスクリーニングは、たとえば
以下のような工程にしたがって実施することができる。 (1)被験動物に、候補化合物を投与する工程、(2)
被験動物の生体試料における前記指標遺伝子の発現レベ
ルを測定する工程、(3)候補化合物を投与しない対照
と比較して、指標遺伝子の発現レベルを低下させる化合
物を選択する工程
化合物のスクリーニング方法に関する。本発明におい
て、指標遺伝子は、ステロイド弱応答性のアレルギー性
疾患患者の単核球において有意に発現レベルが上昇して
いる。したがって、これらの遺伝子の発現レベルを低下
させることができる化合物を選択することによって、ス
テロイド応答性を高める化合物を得ることができる。本
発明のスクリーニング方法は、特にステロイド弱応答性
のアレルギー性疾患におけるステロイド応答性の改善に
有用な候補化合物のスクリーニングに好適である。本発
明において遺伝子の発現レベルを低下させる化合物と
は、遺伝子の転写、翻訳、蛋白質の活性発現のいずれか
のステップに対して阻害的に作用する作用を持つ化合物
である。本発明のステロイド応答性を高める化合物のス
クリーニング方法は、in vivoで行なうこともin vitro
で行うこともできる。このスクリーニングは、たとえば
以下のような工程にしたがって実施することができる。 (1)被験動物に、候補化合物を投与する工程、(2)
被験動物の生体試料における前記指標遺伝子の発現レベ
ルを測定する工程、(3)候補化合物を投与しない対照
と比較して、指標遺伝子の発現レベルを低下させる化合
物を選択する工程
【0051】本発明のスクリーニング方法における被験
動物としては、たとえばヒトの指標遺伝子を強制発現さ
せたトランスジェニック動物からなるステロイド弱応答
性モデル動物を利用することができる。発現ベクターに
使用するプロモーターとして、適当な薬剤等の物質によ
り転写が調節されるプロモーターを用いれば、該物質の
投与によってトランスジェニック動物における外来性の
指標遺伝子の発現レベルを調整することができる。
動物としては、たとえばヒトの指標遺伝子を強制発現さ
せたトランスジェニック動物からなるステロイド弱応答
性モデル動物を利用することができる。発現ベクターに
使用するプロモーターとして、適当な薬剤等の物質によ
り転写が調節されるプロモーターを用いれば、該物質の
投与によってトランスジェニック動物における外来性の
指標遺伝子の発現レベルを調整することができる。
【0052】このようにして指標遺伝子を強制発現させ
たモデル動物に薬剤候補化合物を投与し、モデル動物の
生体試料における指標遺伝子の発現に対する化合物の作
用をモニターすることにより、指標遺伝子の発現レベル
に与える薬剤候補化合物の影響を検出することができ
る。被験動物の生体試料における指標遺伝子の発現レベ
ルの変動は、前記本発明の検査方法と同様の手法によっ
てモニターすることができる。更にこの検出の結果に基
づいて、指標遺伝子の発現レベルを低下させる薬剤候補
化合物を選択すれば、薬剤候補化合物をスクリーニング
することができる。生体試料としては、リンパ球や肝細
胞を利用することができる。本発明によるスクリーニン
グ方法において、好ましい生体試料は、末梢血単核球細
胞である。これらの生体試料の採取方法、および調製方
法は公知である。このようなスクリーニングにより、指
標遺伝子の発現に様々な形で関与する薬剤を選択するこ
とができる。具体的には、たとえば次のような作用点を
持つ薬剤候補化合物を見出すことができる。指標遺伝子
の発現をもたらすシグナル伝達経路、指標遺伝子の転写
活性、指標遺伝子の転写産物の安定化等、
たモデル動物に薬剤候補化合物を投与し、モデル動物の
生体試料における指標遺伝子の発現に対する化合物の作
用をモニターすることにより、指標遺伝子の発現レベル
に与える薬剤候補化合物の影響を検出することができ
る。被験動物の生体試料における指標遺伝子の発現レベ
ルの変動は、前記本発明の検査方法と同様の手法によっ
てモニターすることができる。更にこの検出の結果に基
づいて、指標遺伝子の発現レベルを低下させる薬剤候補
化合物を選択すれば、薬剤候補化合物をスクリーニング
することができる。生体試料としては、リンパ球や肝細
胞を利用することができる。本発明によるスクリーニン
グ方法において、好ましい生体試料は、末梢血単核球細
胞である。これらの生体試料の採取方法、および調製方
法は公知である。このようなスクリーニングにより、指
標遺伝子の発現に様々な形で関与する薬剤を選択するこ
とができる。具体的には、たとえば次のような作用点を
持つ薬剤候補化合物を見出すことができる。指標遺伝子
の発現をもたらすシグナル伝達経路、指標遺伝子の転写
活性、指標遺伝子の転写産物の安定化等、
【0053】また、in vitroでのスクリーニングにおい
ては、例えば、指標遺伝子を発現する細胞に候補化合物
を接触させ、これら遺伝子の発現レベルを低下させる化
合物を選択する方法が挙げられる。このスクリーニング
は、たとえば以下のような工程にしたがって実施するこ
とができる。 (1)指標遺伝子を発現する細胞に候補化合物を接触さ
せる工程 (2)指標遺伝子の発現レベルを測定する工程、(3)
候補化合物を接触させない対照と比較して、指標遺伝子
の発現レベルを低下させる化合物を選択する工程
ては、例えば、指標遺伝子を発現する細胞に候補化合物
を接触させ、これら遺伝子の発現レベルを低下させる化
合物を選択する方法が挙げられる。このスクリーニング
は、たとえば以下のような工程にしたがって実施するこ
とができる。 (1)指標遺伝子を発現する細胞に候補化合物を接触さ
せる工程 (2)指標遺伝子の発現レベルを測定する工程、(3)
候補化合物を接触させない対照と比較して、指標遺伝子
の発現レベルを低下させる化合物を選択する工程
【0054】本発明において、指標遺伝子を発現する細
胞は、指標遺伝子を適当な発現ベクターに挿入し、該ベ
クターを適当な宿主細胞に導入することにより得ること
ができる。利用できるベクター、および宿主細胞は、本
発明の遺伝子を発現し得るものであればよい。宿主−ベ
クター系における宿主細胞としては、大腸菌、酵母、昆
虫細胞、動物細胞等が例示でき、それぞれ利用できるベ
クターを適宜選択することができる。
胞は、指標遺伝子を適当な発現ベクターに挿入し、該ベ
クターを適当な宿主細胞に導入することにより得ること
ができる。利用できるベクター、および宿主細胞は、本
発明の遺伝子を発現し得るものであればよい。宿主−ベ
クター系における宿主細胞としては、大腸菌、酵母、昆
虫細胞、動物細胞等が例示でき、それぞれ利用できるベ
クターを適宜選択することができる。
【0055】ベクターの宿主への導入方法としては、生
物学的方法、物理的方法、化学的方法などを示すことが
できる。生物学的方法としては、例えば、ウイルスベク
ターを使用する方法、特異的受容体を利用する方法、細
胞融合法(HVJ(センダイウイルス)、ポリエチレングリ
コール(PEG)、電気的細胞融合法、微少核融合法(染
色体移入))が挙げられる。また、物理的方法として
は、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーシ
ョン法、ジーンパーティクルガン(gene gun)を用いる
方法が挙げられる。化学的方法としては、リン酸カルシ
ウム沈殿法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、プロ
トプラスト法、赤血球ゴースト法、赤血球膜ゴースト
法、マイクロカプセル法が挙げられる。
物学的方法、物理的方法、化学的方法などを示すことが
できる。生物学的方法としては、例えば、ウイルスベク
ターを使用する方法、特異的受容体を利用する方法、細
胞融合法(HVJ(センダイウイルス)、ポリエチレングリ
コール(PEG)、電気的細胞融合法、微少核融合法(染
色体移入))が挙げられる。また、物理的方法として
は、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーシ
ョン法、ジーンパーティクルガン(gene gun)を用いる
方法が挙げられる。化学的方法としては、リン酸カルシ
ウム沈殿法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、プロ
トプラスト法、赤血球ゴースト法、赤血球膜ゴースト
法、マイクロカプセル法が挙げられる。
【0056】本発明のスクリーニング方法においては、
指標遺伝子を発現する細胞として、末梢血白血球細胞や
白血球由来株化細胞を用いることができる。白血球細胞
としては、単核球細胞、未熟好中球を例示することがで
きる。この中でも、リンパ球系株化細胞は、本発明のス
クリーニング方法に好適である。
指標遺伝子を発現する細胞として、末梢血白血球細胞や
白血球由来株化細胞を用いることができる。白血球細胞
としては、単核球細胞、未熟好中球を例示することがで
きる。この中でも、リンパ球系株化細胞は、本発明のス
クリーニング方法に好適である。
【0057】本発明のスクリーニングの方法は、まず前
記細胞株に候補化合物を添加する。その後、該細胞株に
おける指標遺伝子の発現レベルを測定し、候補化合物を
接触させない対照と比較して指標遺伝子の発現レベルを
低下させる化合物を選択する。
記細胞株に候補化合物を添加する。その後、該細胞株に
おける指標遺伝子の発現レベルを測定し、候補化合物を
接触させない対照と比較して指標遺伝子の発現レベルを
低下させる化合物を選択する。
【0058】なお本発明のスクリーニング方法におい
て、指標遺伝子の発現レベルは、これらの遺伝子がコー
ドする蛋白質の発現レベルのみならず、対応するmRNAを
検出することにより比較することもできる。mRNAによっ
て発現レベルの比較を行うには、蛋白質試料の調製工程
に代えて、先に述べたようなmRNA試料の調製工程を実施
する。mRNAや蛋白質の検出は、先に述べたような公知の
方法によって実施することができる。
て、指標遺伝子の発現レベルは、これらの遺伝子がコー
ドする蛋白質の発現レベルのみならず、対応するmRNAを
検出することにより比較することもできる。mRNAによっ
て発現レベルの比較を行うには、蛋白質試料の調製工程
に代えて、先に述べたようなmRNA試料の調製工程を実施
する。mRNAや蛋白質の検出は、先に述べたような公知の
方法によって実施することができる。
【0059】さらに本発明の開示に基づいて本発明の指
標遺伝子の転写調節領域を取得し、レポーターアッセイ
系を構築することができる。レポーターアッセイ系と
は、転写調節領域の下流に配置したレポーター遺伝子の
発現量を指標として、該転写調節領域に作用する転写調
節因子をスクリーニングするアッセイ系をいう。
標遺伝子の転写調節領域を取得し、レポーターアッセイ
系を構築することができる。レポーターアッセイ系と
は、転写調節領域の下流に配置したレポーター遺伝子の
発現量を指標として、該転写調節領域に作用する転写調
節因子をスクリーニングするアッセイ系をいう。
【0060】転写調節領域としては、プロモーター、エ
ンハンサー、さらには、通常プロモーター領域に見られ
るCAATボックス、TATAボックス等を例示することができ
る。またレポーター遺伝子としては、CAT(chlorampheni
col acetyltransferase)遺伝子、ルシフェラーゼ(lucif
erase)遺伝子、成長ホルモン遺伝子等を利用することが
できる。あるいは本発明における指標遺伝子の転写調節
領域を、次のようにして取得することもできる。すなわ
ち、まず本発明で開示した指標遺伝子の塩基配列に基づ
いて、BACライブラリー、YACライブラリー等のヒトゲノ
ムDNAライブラリーから、PCRまたはハイブリダイゼーシ
ョンを用いる方法によりスクリーニングを行い、該cDNA
の配列を含むゲノムDNAクローンを得る。得られたゲノ
ムDNAの配列を基に、本発明で開示したcDNAの転写調節
領域を推定し、該転写調節領域を取得する。得られた転
写調節領域を、レポーター遺伝子の上流に位置するよう
にクローニングしてレポーターコンストラクトを構築す
る。得られたレポーターコンストラクトを培養細胞株に
導入してスクリーニング用の形質転換体とする。この形
質転換体に候補化合物を接触させ、レポーター遺伝子の
発現を制御する化合物のスクリーニングを行うことがで
きる。
ンハンサー、さらには、通常プロモーター領域に見られ
るCAATボックス、TATAボックス等を例示することができ
る。またレポーター遺伝子としては、CAT(chlorampheni
col acetyltransferase)遺伝子、ルシフェラーゼ(lucif
erase)遺伝子、成長ホルモン遺伝子等を利用することが
できる。あるいは本発明における指標遺伝子の転写調節
領域を、次のようにして取得することもできる。すなわ
ち、まず本発明で開示した指標遺伝子の塩基配列に基づ
いて、BACライブラリー、YACライブラリー等のヒトゲノ
ムDNAライブラリーから、PCRまたはハイブリダイゼーシ
ョンを用いる方法によりスクリーニングを行い、該cDNA
の配列を含むゲノムDNAクローンを得る。得られたゲノ
ムDNAの配列を基に、本発明で開示したcDNAの転写調節
領域を推定し、該転写調節領域を取得する。得られた転
写調節領域を、レポーター遺伝子の上流に位置するよう
にクローニングしてレポーターコンストラクトを構築す
る。得られたレポーターコンストラクトを培養細胞株に
導入してスクリーニング用の形質転換体とする。この形
質転換体に候補化合物を接触させ、レポーター遺伝子の
発現を制御する化合物のスクリーニングを行うことがで
きる。
【0061】これらスクリーニングに用いる被検候補化
合物としては、コンビナトリアルケミストリーにより合
成された化合物標品ライブラリーのほか、動・植物組織
の抽出物もしくは微生物培養物等の複数の化合物を含む
混合物、またそれらから精製された標品などが挙げられ
る。
合物としては、コンビナトリアルケミストリーにより合
成された化合物標品ライブラリーのほか、動・植物組織
の抽出物もしくは微生物培養物等の複数の化合物を含む
混合物、またそれらから精製された標品などが挙げられ
る。
【0062】本発明による各種のスクリーニング方法に
必要な、ポリヌクレオチド、抗体、細胞株、あるいはモ
デル動物は、予め組み合わせてキットとすることができ
る。より具体的には、たとえば指標遺伝子を発現する細
胞と、これらの指標遺伝子の発現レベルを測定するため
の試薬とで構成される。指標遺伝子の発現レベルを測定
するための試薬としては、たとえば少なくとも1つの指
標遺伝子の塩基配列を含むポリヌクレオチド、若しくは
その相補鎖に相補的な塩基配列を有する少なくとも15
塩基の長さを有するオリゴヌクレオチドが用いられる。
あるいは、少なくとも1つの指標蛋白質のアミノ酸配列
を含むペプチドを認識する抗体を試薬として用いること
ができる。これらのキットには、標識の検出に用いられ
る基質化合物、細胞の培養のための培地や容器、陽性や
陰性の標準試料、更にはキットの使用方法を記載した指
示書等をパッケージしておくこともできる。
必要な、ポリヌクレオチド、抗体、細胞株、あるいはモ
デル動物は、予め組み合わせてキットとすることができ
る。より具体的には、たとえば指標遺伝子を発現する細
胞と、これらの指標遺伝子の発現レベルを測定するため
の試薬とで構成される。指標遺伝子の発現レベルを測定
するための試薬としては、たとえば少なくとも1つの指
標遺伝子の塩基配列を含むポリヌクレオチド、若しくは
その相補鎖に相補的な塩基配列を有する少なくとも15
塩基の長さを有するオリゴヌクレオチドが用いられる。
あるいは、少なくとも1つの指標蛋白質のアミノ酸配列
を含むペプチドを認識する抗体を試薬として用いること
ができる。これらのキットには、標識の検出に用いられ
る基質化合物、細胞の培養のための培地や容器、陽性や
陰性の標準試料、更にはキットの使用方法を記載した指
示書等をパッケージしておくこともできる。
【0063】本発明のスクリーニング方法によって選択
される化合物は、ステロイド応答性を高めるための薬剤
として有用である。本発明のステロイド応答性を高める
ための薬剤は、前記スクリーニング方法によって選択さ
れた化合物を有効成分として含み、生理学的に許容され
る担体、賦形剤、あるいは希釈剤等と混合することによ
って製造することができる。本発明のステロイド応答性
を高めるための薬剤は、ステロイド剤の投与が治療方法
として選択される疾患における、ステロイド応答性の改
善を目的として、経口、あるいは非経口的に投与するこ
とができる。本発明の薬剤の適用疾患としては、ステロ
イド弱応答性のアレルギー性疾患を挙げることができ
る。また、投与すべき化合物が蛋白質からなる場合に
は、それをコードする遺伝子を遺伝子治療の手法を用い
て生体に導入することにより、治療効果を達成すること
ができる。治療効果をもたらす蛋白質をコードする遺伝
子を生体に導入し、発現させることによって、疾患を治
療する手法は公知である。
される化合物は、ステロイド応答性を高めるための薬剤
として有用である。本発明のステロイド応答性を高める
ための薬剤は、前記スクリーニング方法によって選択さ
れた化合物を有効成分として含み、生理学的に許容され
る担体、賦形剤、あるいは希釈剤等と混合することによ
って製造することができる。本発明のステロイド応答性
を高めるための薬剤は、ステロイド剤の投与が治療方法
として選択される疾患における、ステロイド応答性の改
善を目的として、経口、あるいは非経口的に投与するこ
とができる。本発明の薬剤の適用疾患としては、ステロ
イド弱応答性のアレルギー性疾患を挙げることができ
る。また、投与すべき化合物が蛋白質からなる場合に
は、それをコードする遺伝子を遺伝子治療の手法を用い
て生体に導入することにより、治療効果を達成すること
ができる。治療効果をもたらす蛋白質をコードする遺伝
子を生体に導入し、発現させることによって、疾患を治
療する手法は公知である。
【0064】また本発明の指標遺伝子の発現を抑制する
薬剤として、たとえばアンチセンスDNAやデコイ核酸を
示すことができる。アンチセンスDNAは、本発明の指標
遺伝子、あるいはその一部をプロモーターの下流に逆向
きに配置することにより、構成することができる。アン
チセンスDNAを発現可能なベクターを患者に投与するこ
とにより、ベクターで形質転換された細胞における、指
標遺伝子の発現を阻害することができる。一方デコイ核
酸は、指標遺伝子の発現制御領域を含むDNAを細胞内に
導入することにより、転写因子の働きを競合的に阻害す
る。これらの、特定の遺伝子を導入して遺伝子の発現を
阻害する治療方法は、公知である。更に、本発明の指標
遺伝子の発現産物である蛋白質(すなわち指標蛋白質)
の活性を阻害する化合物にも、ステロイド応答性を高め
る作用が期待できる。たとえば、本発明の指標蛋白質を
認識し、その活性を抑制する抗体は、ステロイド応答性
を高めるための薬剤として有用である。蛋白質の活性を
抑制する抗体の調製方法は公知である。抗体をヒトに投
与する場合には、キメラ抗体やヒト化抗体、あるいはヒ
ト型抗体とすることにより、安全性の高い薬剤とするこ
とができる。
薬剤として、たとえばアンチセンスDNAやデコイ核酸を
示すことができる。アンチセンスDNAは、本発明の指標
遺伝子、あるいはその一部をプロモーターの下流に逆向
きに配置することにより、構成することができる。アン
チセンスDNAを発現可能なベクターを患者に投与するこ
とにより、ベクターで形質転換された細胞における、指
標遺伝子の発現を阻害することができる。一方デコイ核
酸は、指標遺伝子の発現制御領域を含むDNAを細胞内に
導入することにより、転写因子の働きを競合的に阻害す
る。これらの、特定の遺伝子を導入して遺伝子の発現を
阻害する治療方法は、公知である。更に、本発明の指標
遺伝子の発現産物である蛋白質(すなわち指標蛋白質)
の活性を阻害する化合物にも、ステロイド応答性を高め
る作用が期待できる。たとえば、本発明の指標蛋白質を
認識し、その活性を抑制する抗体は、ステロイド応答性
を高めるための薬剤として有用である。蛋白質の活性を
抑制する抗体の調製方法は公知である。抗体をヒトに投
与する場合には、キメラ抗体やヒト化抗体、あるいはヒ
ト型抗体とすることにより、安全性の高い薬剤とするこ
とができる。
【0065】また経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠
剤、カプセル剤、溶剤、乳剤、あるいは懸濁剤等の剤型
を選択することができる。注射剤には、皮下注射剤、筋
肉注射剤、あるいは腹腔内注射剤等を示すことができ
る。
剤、カプセル剤、溶剤、乳剤、あるいは懸濁剤等の剤型
を選択することができる。注射剤には、皮下注射剤、筋
肉注射剤、あるいは腹腔内注射剤等を示すことができ
る。
【0066】加えて本発明のスクリーニング方法によっ
て得ることができる化合物、あるいは指標遺伝子のアン
チセンスDNAや抗体には、患者のステロイド応答性を改
善し、ステロイドに対する応答性を高める作用を有する
薬剤として有用な化合物が含まれる。このような薬剤
は、ステロイド剤と配合することによって、ステロイド
弱応答性疾患の治療剤とすることができる。
て得ることができる化合物、あるいは指標遺伝子のアン
チセンスDNAや抗体には、患者のステロイド応答性を改
善し、ステロイドに対する応答性を高める作用を有する
薬剤として有用な化合物が含まれる。このような薬剤
は、ステロイド剤と配合することによって、ステロイド
弱応答性疾患の治療剤とすることができる。
【0067】投与量は、患者の年齢、性別、体重および
症状、治療効果、投与方法、処理時間、あるいは該医薬
組成物に含有される活性成分の種類などにより異なる
が、通常成人一人あたり、一回につき0.1 mgから500 mg
の範囲で、好ましくは0.5 mgから20 mgの範囲で投与す
ることができる。しかし、投与量は種々の条件により変
動するため、上記投与量よりも少ない量で充分な場合も
あり、また上記の範囲を超える投与量が必要な場合もあ
る。以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、
本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
症状、治療効果、投与方法、処理時間、あるいは該医薬
組成物に含有される活性成分の種類などにより異なる
が、通常成人一人あたり、一回につき0.1 mgから500 mg
の範囲で、好ましくは0.5 mgから20 mgの範囲で投与す
ることができる。しかし、投与量は種々の条件により変
動するため、上記投与量よりも少ない量で充分な場合も
あり、また上記の範囲を超える投与量が必要な場合もあ
る。以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、
本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0068】
【実施例】[実施例1]DNAチップを使った候補遺伝子
の選択 (1)単核球 健常人ボランティア2名(以下、「健常群」と記載)、
ステロイド軟膏治療応答者3名、弱応答者3名(以下、
それぞれ「ステロイド応答群」、「ステロイド弱応答
群」と記載する。また、「ステロイド応答群」と「ステ
ロイド弱応答群」を合わせて「患者群」と記載する。)
からヘパリン採血した。次いで以下の方法により血液を
比重遠心分離して単核球分画を採取し、培養した。
の選択 (1)単核球 健常人ボランティア2名(以下、「健常群」と記載)、
ステロイド軟膏治療応答者3名、弱応答者3名(以下、
それぞれ「ステロイド応答群」、「ステロイド弱応答
群」と記載する。また、「ステロイド応答群」と「ステ
ロイド弱応答群」を合わせて「患者群」と記載する。)
からヘパリン採血した。次いで以下の方法により血液を
比重遠心分離して単核球分画を採取し、培養した。
【0069】全血(ヘパリン抗凝固剤使用、最終濃度50
unit/mL) 40 mLを遠心管に入れた。次いで、等量の3% d
extran/0.9% NaClを加え、静かに数回、転倒混和して室
温に30分静置した。静置後、上清(platelet rich plas
ma)を回収し、1,200 rpm (revolutions per minute、
毎分回転)で5分間、室温で遠心した。上清を除き、ペレ
ットを5 mLのHank's Balanced Salt Solutions (HBSS,
GIBCO BRL)で懸濁後、5 mLのFicol-PaqueTM PLUS(Amers
ham Pharmacia Biotech)に重層し、1,200 rpmで5分間、
室温遠心後、回転数を1,500 rpmに上げ、更に30分間、
室温で遠心した。上清を除いて中間層を回収し、これを
PBSで懸濁後、1,500 rpmで5分間、室温で遠心した。上
清を捨てペレットをPBSで再懸濁し、1,500 rpmで5分
間、室温で遠心した。ペレットをRPMI1640(GIBCO BR
L)/10%FCS(SIGMA) 10 mLに懸濁した。懸濁液20μLを取
り、Trypan Blue Stain 0.4%(GIBCO BRL)で細胞染色
を行い、細胞数を数えた。10 mLのRPMI1640/10%FCS (1.
5×106個/mL)を調製し、37℃、CO2 5%下で24時間培養
を行った。次いで、以下の方法に従って全RNAを抽出し
た。
unit/mL) 40 mLを遠心管に入れた。次いで、等量の3% d
extran/0.9% NaClを加え、静かに数回、転倒混和して室
温に30分静置した。静置後、上清(platelet rich plas
ma)を回収し、1,200 rpm (revolutions per minute、
毎分回転)で5分間、室温で遠心した。上清を除き、ペレ
ットを5 mLのHank's Balanced Salt Solutions (HBSS,
GIBCO BRL)で懸濁後、5 mLのFicol-PaqueTM PLUS(Amers
ham Pharmacia Biotech)に重層し、1,200 rpmで5分間、
室温遠心後、回転数を1,500 rpmに上げ、更に30分間、
室温で遠心した。上清を除いて中間層を回収し、これを
PBSで懸濁後、1,500 rpmで5分間、室温で遠心した。上
清を捨てペレットをPBSで再懸濁し、1,500 rpmで5分
間、室温で遠心した。ペレットをRPMI1640(GIBCO BR
L)/10%FCS(SIGMA) 10 mLに懸濁した。懸濁液20μLを取
り、Trypan Blue Stain 0.4%(GIBCO BRL)で細胞染色
を行い、細胞数を数えた。10 mLのRPMI1640/10%FCS (1.
5×106個/mL)を調製し、37℃、CO2 5%下で24時間培養
を行った。次いで、以下の方法に従って全RNAを抽出し
た。
【0070】全RNA抽出は、RNA抽出キットISOGEN (ニッ
ポンジーン)を用いてその説明書に従って行った。培養
後の細胞を3 mLのIsogen (4M guanidium thiocyanate,
25mMsodium cianate, 0.5% Sarcosyl, 0.1M β-メルカ
プトエタノール,pH7.0)に溶解させた。20Gカテラン注射
針付2.5 mL注射器で20〜30回吸出操作を行った。CHCl3
を0.6 mL(Isogenの1/5量)加えて、ミキサーで15秒間
混合させた後、室温で2〜3分間静置させた。4℃で15,00
0 rpm、15分間遠心を行った。上清を新しいチューブに
移し、Ethachinmate (ニッポンジーン)3μL、イソプロ
パノール1.5 mL(Isogenの1/2量)を加え、転倒混和し
て室温に10分間静置させた。4℃で15,000rpm、15分間遠
心を行い、沈殿物に75% エタノール3 mL(Isogenの等
量)を加え、15,000 rpm、4℃で5分間遠心した。沈殿物
を風乾もしくは2〜3分間真空乾燥させた。RNase-free D
Wを10μL加えてRNA溶液とした。
ポンジーン)を用いてその説明書に従って行った。培養
後の細胞を3 mLのIsogen (4M guanidium thiocyanate,
25mMsodium cianate, 0.5% Sarcosyl, 0.1M β-メルカ
プトエタノール,pH7.0)に溶解させた。20Gカテラン注射
針付2.5 mL注射器で20〜30回吸出操作を行った。CHCl3
を0.6 mL(Isogenの1/5量)加えて、ミキサーで15秒間
混合させた後、室温で2〜3分間静置させた。4℃で15,00
0 rpm、15分間遠心を行った。上清を新しいチューブに
移し、Ethachinmate (ニッポンジーン)3μL、イソプロ
パノール1.5 mL(Isogenの1/2量)を加え、転倒混和し
て室温に10分間静置させた。4℃で15,000rpm、15分間遠
心を行い、沈殿物に75% エタノール3 mL(Isogenの等
量)を加え、15,000 rpm、4℃で5分間遠心した。沈殿物
を風乾もしくは2〜3分間真空乾燥させた。RNase-free D
Wを10μL加えてRNA溶液とした。
【0071】(2)DNAチップ用のcDNA合成 全RNA 2-5 μg から、T7-(dT)24 (Amersham Pharmacia
Biotech)をプライマーとして、Affymetrix社のExpressi
on Analysis Technical Manualの方法に従いSuperscrip
t II Reverse Transcriptase(Life Technologies社)を
用いて逆転写し1本鎖 cDNAを作製した。T7-(dT)24プラ
イマーは、以下のようにT7プロモーターの塩基配列にd
(T)24を付加した塩基配列からなる。 T7-(dT)24プライマー(配列番号:1) 5'-GGCCAGTGAATTGTAATACGACTCACTATAGGGAGGCGG-(dT) 24
-3' 次に、Expression Analysis Technical Manualに従い、
DNA Ligase, DNA polymerase I及びRNase Hを加え、2
本鎖cDNAを合成した。cDNAをフェノール・クロロホルム
抽出後、Phase Lock Gelsに通し、エタノール沈澱し精
製した。さらに、BioArray High Yield RNA Transcript
ion Labeling Kitを用い、ビオチンラベルしたcRNAを合
成した。RNeasy Spin column (QIAGEN)を用いてcRNAを
精製し、熱処理により断片化した。
Biotech)をプライマーとして、Affymetrix社のExpressi
on Analysis Technical Manualの方法に従いSuperscrip
t II Reverse Transcriptase(Life Technologies社)を
用いて逆転写し1本鎖 cDNAを作製した。T7-(dT)24プラ
イマーは、以下のようにT7プロモーターの塩基配列にd
(T)24を付加した塩基配列からなる。 T7-(dT)24プライマー(配列番号:1) 5'-GGCCAGTGAATTGTAATACGACTCACTATAGGGAGGCGG-(dT) 24
-3' 次に、Expression Analysis Technical Manualに従い、
DNA Ligase, DNA polymerase I及びRNase Hを加え、2
本鎖cDNAを合成した。cDNAをフェノール・クロロホルム
抽出後、Phase Lock Gelsに通し、エタノール沈澱し精
製した。さらに、BioArray High Yield RNA Transcript
ion Labeling Kitを用い、ビオチンラベルしたcRNAを合
成した。RNeasy Spin column (QIAGEN)を用いてcRNAを
精製し、熱処理により断片化した。
【0072】そのうち12.5 μgのcRNAをExpression Ana
lysis Technical Manualに従いHybridization Cocktail
に加えた。これをアレイに入れ、45℃ 16時間ハイブリ
ダイゼーションした。DNAチップとしてはGeneChipR HuG
eneFL(Affymetrix社製)を用いた。GeneChipR HuGeneF
Lは、およそ5600種類のヒトcDNAやESTに由来する塩
基配列からなるプローブで構成されている。DNAチップ
を洗浄した後、Streptavidin Phycoerythrinを加え染色
した。洗浄後、normal ヤギIgGとビオチン化ヤギ抗スト
レプトアビジンIgG抗体の抗体混合液をアレイに加え
た。さらに、蛍光強度を増強する目的で、再度Streptav
idin Phycoerythrinを加え染色した。洗浄後、スキャナ
ーにセットし、GeneChip Softwareにて解析した。
lysis Technical Manualに従いHybridization Cocktail
に加えた。これをアレイに入れ、45℃ 16時間ハイブリ
ダイゼーションした。DNAチップとしてはGeneChipR HuG
eneFL(Affymetrix社製)を用いた。GeneChipR HuGeneF
Lは、およそ5600種類のヒトcDNAやESTに由来する塩
基配列からなるプローブで構成されている。DNAチップ
を洗浄した後、Streptavidin Phycoerythrinを加え染色
した。洗浄後、normal ヤギIgGとビオチン化ヤギ抗スト
レプトアビジンIgG抗体の抗体混合液をアレイに加え
た。さらに、蛍光強度を増強する目的で、再度Streptav
idin Phycoerythrinを加え染色した。洗浄後、スキャナ
ーにセットし、GeneChip Softwareにて解析した。
【0073】(3)DNA チップ解析 DNAチップ解析ソフトであるSuiteを用いて発現蛍光感度
を測定し、データ解析を行った。まず全てのチップにつ
いてAbsolute analysisを行い、用いたサンプル各々の
遺伝子発現量を測定した。1個のチップデータの解析
は、プローブセットのパーフェクトマッチとミスマッチ
の蛍光強度を比較して、positiveとnegativeを決定し
た。Positive Fraction、Log Avg、Pos/Negの値から判
定されるAbsolute CallであるP(present)、A (absen
t)、およびM (marginal)の3区分の判定を行った。用語
定義は以下に示した。 Positive Fraction; Positiveなペアの割合 Log Avg; パーフェクトマッチとミスマッチのプローブ
セルの蛍光強度比の対数の平均 Pos/Neg; Positiveペア数とNegativeペア数の比 また、パーフェクトマッチとミスマッチのプローブセル
の蛍光強度の差の平均値であるAverage Difference (Av
g Diff) も計算した。
を測定し、データ解析を行った。まず全てのチップにつ
いてAbsolute analysisを行い、用いたサンプル各々の
遺伝子発現量を測定した。1個のチップデータの解析
は、プローブセットのパーフェクトマッチとミスマッチ
の蛍光強度を比較して、positiveとnegativeを決定し
た。Positive Fraction、Log Avg、Pos/Negの値から判
定されるAbsolute CallであるP(present)、A (absen
t)、およびM (marginal)の3区分の判定を行った。用語
定義は以下に示した。 Positive Fraction; Positiveなペアの割合 Log Avg; パーフェクトマッチとミスマッチのプローブ
セルの蛍光強度比の対数の平均 Pos/Neg; Positiveペア数とNegativeペア数の比 また、パーフェクトマッチとミスマッチのプローブセル
の蛍光強度の差の平均値であるAverage Difference (Av
g Diff) も計算した。
【0074】次に2つのデータの比較を行った。比較実
験は基準に対するチップを決め、基準チップの全遺伝子
発現量を基準にComparison Analysisを行った。基準は
ステロイド応答患者1人について、ステロイド弱応答患
者3人のComparison Analysisを行った。基準となるステ
ロイド応答患者について発現量の高い遺伝子は、ソフト
内の計算値の一つであるfold change値が−3以下で、か
つ(i)ステロイド応答患者についての遺伝子発現判断基
準Absolute callがP (present)の遺伝子(ii)ステロイド
弱応答患者においての発現判断基準Absolute callがA
(absent)またはM (marginal)の遺伝子は、ステロイド応
答患者の発現判断基準M (marginal)の遺伝子(i)(ii)の
どちらかを満たす遺伝子を絞込み、difference callの
値がNC (Not change)、MD (Marginal Decrease)、D (De
crease)を選んだ。一方、発現量の低い遺伝子について
は、fold change値が3以上で、かつ (i)ステロイド弱応答患者についてのAbsolute callがP
(present)の遺伝子 (ii)ステロイド応答患者においてのAbsolute callがA
(absent)または M (marginal)の遺伝子は、ステロイド弱応答患者の発現
判断基準 M (marginal)の遺伝子 (i)(ii)のどちらかを満たす遺伝子を絞込み、differenc
e callの値がNC (Notchange)、MD (Marginal Decreas
e)、D (Decrease)を選んだ。次いで、Avg Diff値のlog
スケールでのscatter plotsを用いた図から、原点に近
い遺伝子は削除した。
験は基準に対するチップを決め、基準チップの全遺伝子
発現量を基準にComparison Analysisを行った。基準は
ステロイド応答患者1人について、ステロイド弱応答患
者3人のComparison Analysisを行った。基準となるステ
ロイド応答患者について発現量の高い遺伝子は、ソフト
内の計算値の一つであるfold change値が−3以下で、か
つ(i)ステロイド応答患者についての遺伝子発現判断基
準Absolute callがP (present)の遺伝子(ii)ステロイド
弱応答患者においての発現判断基準Absolute callがA
(absent)またはM (marginal)の遺伝子は、ステロイド応
答患者の発現判断基準M (marginal)の遺伝子(i)(ii)の
どちらかを満たす遺伝子を絞込み、difference callの
値がNC (Not change)、MD (Marginal Decrease)、D (De
crease)を選んだ。一方、発現量の低い遺伝子について
は、fold change値が3以上で、かつ (i)ステロイド弱応答患者についてのAbsolute callがP
(present)の遺伝子 (ii)ステロイド応答患者においてのAbsolute callがA
(absent)または M (marginal)の遺伝子は、ステロイド弱応答患者の発現
判断基準 M (marginal)の遺伝子 (i)(ii)のどちらかを満たす遺伝子を絞込み、differenc
e callの値がNC (Notchange)、MD (Marginal Decreas
e)、D (Decrease)を選んだ。次いで、Avg Diff値のlog
スケールでのscatter plotsを用いた図から、原点に近
い遺伝子は削除した。
【0075】解析ソフトSuiteで選んだ遺伝子について
は、健常人の遺伝子発現が高い場合では、基準となる二
人の合計6通りの解析結果で選ばれた遺伝子のみを選び
出した。 応答1 対 弱応答1、弱応答2、弱応答3 応答2 対 弱応答1、弱応答2、弱応答3 上記の6通りの組み合わせで、弱応答群で同様な発現変
動が認められるGeneChip Comparison Analysisにより選
出された遺伝子の分類を表1に示す。rawデータ測定値
からfold change 3倍以上、1/3倍以下のものを示す。
は、健常人の遺伝子発現が高い場合では、基準となる二
人の合計6通りの解析結果で選ばれた遺伝子のみを選び
出した。 応答1 対 弱応答1、弱応答2、弱応答3 応答2 対 弱応答1、弱応答2、弱応答3 上記の6通りの組み合わせで、弱応答群で同様な発現変
動が認められるGeneChip Comparison Analysisにより選
出された遺伝子の分類を表1に示す。rawデータ測定値
からfold change 3倍以上、1/3倍以下のものを示す。
【0076】
【表1】
【0077】ABI7700と相関を付けるために、Absolute
analysisのAvg Diff値を基に各々のβアクチンによる補
正を行い、最終的にステロイド応答群とステロイド弱応
答群の間で興味深い変動を示した遺伝子を選び出した。
その結果、ステロイド弱応答群で、3倍以上の発現レベ
ルの上昇が見られた遺伝子として、RNase A遺伝子およ
びRNase k6 precursor遺伝子が選抜された。RNase A遺
伝子およびRNase k6 precursor遺伝子は、ステロイド弱
応答性アレルギー性皮膚炎患者において発現レベルが上
昇する、ステロイド弱応答性アレルギー性疾患に密接に
関連した遺伝子である。
analysisのAvg Diff値を基に各々のβアクチンによる補
正を行い、最終的にステロイド応答群とステロイド弱応
答群の間で興味深い変動を示した遺伝子を選び出した。
その結果、ステロイド弱応答群で、3倍以上の発現レベ
ルの上昇が見られた遺伝子として、RNase A遺伝子およ
びRNase k6 precursor遺伝子が選抜された。RNase A遺
伝子およびRNase k6 precursor遺伝子は、ステロイド弱
応答性アレルギー性皮膚炎患者において発現レベルが上
昇する、ステロイド弱応答性アレルギー性疾患に密接に
関連した遺伝子である。
【0078】RNase AやRNase k6は、RNase A family 3
に属する。一方、好酸球の顆粒に含まれるタンパク質で
あるECP(eosinophil cationic protein)も、同じRNase
A family 3に属する。上記の解析の結果においては、EC
Pの発現レベルは各群間での顕著な相違は認められなか
った。したがって、ステロイド弱応答群におけるRNase
A遺伝子やRNase k6 precursor遺伝子の発現増強は、RNa
seに共通する挙動ではなく、特定の遺伝子において見出
される特徴的な挙動であると考えられた。
に属する。一方、好酸球の顆粒に含まれるタンパク質で
あるECP(eosinophil cationic protein)も、同じRNase
A family 3に属する。上記の解析の結果においては、EC
Pの発現レベルは各群間での顕著な相違は認められなか
った。したがって、ステロイド弱応答群におけるRNase
A遺伝子やRNase k6 precursor遺伝子の発現増強は、RNa
seに共通する挙動ではなく、特定の遺伝子において見出
される特徴的な挙動であると考えられた。
【0079】[実施例2]RNase A遺伝子またはRNase k
6 precursor遺伝子の末梢血単核球細胞での発現レベル
とアトピー性皮膚炎 実施例1で選択されたRNase A遺伝子またはRNase k6 pr
ecursor遺伝子の発現量を定量的に確認するために、PBM
Cを試料として更にABI 7700による定量的PCRを行った。
アトピー性皮膚炎患者と健常者の末梢血より単離した単
核球細胞(PBMC; peripheral blood mononuclear cell)
における、ステロイド応答性のアレルギー性疾患の病態
に関連すると考えられるRNase A遺伝子またはRNase k6
precursor遺伝子の発現変動について解析した。健常人
ボランティア7名、ステロイド軟膏治療応答者5名、弱
応答者6名を被検者とした。実施例において用いる、遺
伝子発現定量のための、PBMC (peripheral blood monon
uclear cell,末梢血単核球細胞)の分離、培養、RNA抽出
操作は、実施例1(1)に記載の方法に従って行った。逆
転写反応操作、および定量的PCRの方法は以下の通りで
ある。
6 precursor遺伝子の末梢血単核球細胞での発現レベル
とアトピー性皮膚炎 実施例1で選択されたRNase A遺伝子またはRNase k6 pr
ecursor遺伝子の発現量を定量的に確認するために、PBM
Cを試料として更にABI 7700による定量的PCRを行った。
アトピー性皮膚炎患者と健常者の末梢血より単離した単
核球細胞(PBMC; peripheral blood mononuclear cell)
における、ステロイド応答性のアレルギー性疾患の病態
に関連すると考えられるRNase A遺伝子またはRNase k6
precursor遺伝子の発現変動について解析した。健常人
ボランティア7名、ステロイド軟膏治療応答者5名、弱
応答者6名を被検者とした。実施例において用いる、遺
伝子発現定量のための、PBMC (peripheral blood monon
uclear cell,末梢血単核球細胞)の分離、培養、RNA抽出
操作は、実施例1(1)に記載の方法に従って行った。逆
転写反応操作、および定量的PCRの方法は以下の通りで
ある。
【0080】(1)全RNAのDNase処理 全RNA溶液20μg、10×DNase Buffer 5μL (ニッポンジ
ーン)、RNase inhibitor (Amersham Pharmacia Biotec
h) 25ユニット、DNase I(ニッポンジーン) 1ユニットを
加え、DNase & RNase freeの水で50μLとした。37℃で1
5分間インキュベーションを行い、25μLの水飽和フェノ
ール(pH 8.0)、25μLの CHCl3を加え、転倒混和した。
室温で15,000 rpm、15分間遠心した後、上清に5μLの3M
酢酸ナトリウム (pH5.2)、125μLのエタノール、1μLの
Ethachinmateを加え、-20℃に15分間置いた。4℃で15,
000 rpm、15分間遠心を行い、沈殿物に125μLの80% エ
タノールを加えた。4℃で15,000 rpm、5分間遠心を行
い、沈殿物を風乾もしくは2〜3分間真空乾燥させた。RN
ase-free DWを10μL加えて吸光度を測定しRNA溶液とし
た。
ーン)、RNase inhibitor (Amersham Pharmacia Biotec
h) 25ユニット、DNase I(ニッポンジーン) 1ユニットを
加え、DNase & RNase freeの水で50μLとした。37℃で1
5分間インキュベーションを行い、25μLの水飽和フェノ
ール(pH 8.0)、25μLの CHCl3を加え、転倒混和した。
室温で15,000 rpm、15分間遠心した後、上清に5μLの3M
酢酸ナトリウム (pH5.2)、125μLのエタノール、1μLの
Ethachinmateを加え、-20℃に15分間置いた。4℃で15,
000 rpm、15分間遠心を行い、沈殿物に125μLの80% エ
タノールを加えた。4℃で15,000 rpm、5分間遠心を行
い、沈殿物を風乾もしくは2〜3分間真空乾燥させた。RN
ase-free DWを10μL加えて吸光度を測定しRNA溶液とし
た。
【0081】(2)逆転写反応 RNA溶液1-5μg、Oligo(dT)12-18プライマー(GIBCO BRL)
500 ng、BSA 1μgを加え、滅菌蒸留水で12μLとした。7
0℃で10分間静置し、氷冷した。5×First Strand Buffe
r (GIBCO BRL) 4μL、1M DTT 2μL、10mM dNTPs 1μL
(N=G、A、T、C)を加え、混和した。42℃で2分間、加温
した後、200ユニットのSuperScriptII(GIBCO BRL)を加
え、42℃で50分間反応させた。70℃で15分間処理し、逆
転写酵素を失活させ、2ユニットのRNaseH (GIBCO BRL)
を加え、37℃20分間加温した。滅菌蒸留水を加えて10ng
/μL濃度のcDNA溶液とし、定量的PCR反応に供した。
500 ng、BSA 1μgを加え、滅菌蒸留水で12μLとした。7
0℃で10分間静置し、氷冷した。5×First Strand Buffe
r (GIBCO BRL) 4μL、1M DTT 2μL、10mM dNTPs 1μL
(N=G、A、T、C)を加え、混和した。42℃で2分間、加温
した後、200ユニットのSuperScriptII(GIBCO BRL)を加
え、42℃で50分間反応させた。70℃で15分間処理し、逆
転写酵素を失活させ、2ユニットのRNaseH (GIBCO BRL)
を加え、37℃20分間加温した。滅菌蒸留水を加えて10ng
/μL濃度のcDNA溶液とし、定量的PCR反応に供した。
【0082】(3)目的領域のPCR増幅 10×PCR Buffer (100 mM Tris-HCl,pH8.3、500 mM KC
l、15 mM MgCl2) 5μL、2.5 mM dNTPs 4μL (N=G、A、
T、C)、プライマーF 10 pmol/μL、プライマーR10 pmol
/μL、5 ng cDNA溶液、1.25ユニットrTaq DNAポリメラ
ーゼ (TaKaRa) を加え、滅菌蒸留水で50μLとした。プ
ライマーの塩基配列を以下に示す。 RNaseA遺伝子増幅用: プライマーF:5' TGT CCT GAT ACT GCT GGT GCT 3'(配
列番号:2) プライマーR:5' TAC AGT AGG TGG AGC TGC TGC T 3'
(配列番号:3) RNase k6 precursor遺伝子増幅用: プライマーF:5' GTG GCT GCT GTC TGT GAT TTG 3'(配
列番号:4) プライマーR:5' CTT TGA GCT CTG GTG GCA GTT 3'(配
列番号:5) 95℃、10分間静置後、反応サイクル:95℃、15秒→60
℃、1分を1サイクルとし、40サイクル実施した。次い
で、電気泳動緩衝液1×TAE (50×TAEは1リットル中、Tr
isベース242g、57.1ml氷酢酸、EDTA 50mM含有、pH8.0)
を用いて、3%アガロースゲル(Agarose-1000、GIBCO-BR
L)/ 5μg/mLエチジウムブロマイドを使用し、電圧100V
で30分間泳動した。UVランプでPCR産物125 bp(RNase
A)、または72 bp(RNase k6 precursor)のバンドを観察
した。
l、15 mM MgCl2) 5μL、2.5 mM dNTPs 4μL (N=G、A、
T、C)、プライマーF 10 pmol/μL、プライマーR10 pmol
/μL、5 ng cDNA溶液、1.25ユニットrTaq DNAポリメラ
ーゼ (TaKaRa) を加え、滅菌蒸留水で50μLとした。プ
ライマーの塩基配列を以下に示す。 RNaseA遺伝子増幅用: プライマーF:5' TGT CCT GAT ACT GCT GGT GCT 3'(配
列番号:2) プライマーR:5' TAC AGT AGG TGG AGC TGC TGC T 3'
(配列番号:3) RNase k6 precursor遺伝子増幅用: プライマーF:5' GTG GCT GCT GTC TGT GAT TTG 3'(配
列番号:4) プライマーR:5' CTT TGA GCT CTG GTG GCA GTT 3'(配
列番号:5) 95℃、10分間静置後、反応サイクル:95℃、15秒→60
℃、1分を1サイクルとし、40サイクル実施した。次い
で、電気泳動緩衝液1×TAE (50×TAEは1リットル中、Tr
isベース242g、57.1ml氷酢酸、EDTA 50mM含有、pH8.0)
を用いて、3%アガロースゲル(Agarose-1000、GIBCO-BR
L)/ 5μg/mLエチジウムブロマイドを使用し、電圧100V
で30分間泳動した。UVランプでPCR産物125 bp(RNase
A)、または72 bp(RNase k6 precursor)のバンドを観察
した。
【0083】(4)DNA断片切り出し 目的PCR産物のゲルからの切り出しは、QIAEX II Agaros
e Gel Extractionキット(QIAGEN)を用いてその説明書に
従って行った。PCR産物の3%アガロースゲルにより分離
した後、目的断片を長波長(316 nm)UVで切り出した。
ゲルを剃刀を用いて細断し、1.5mlチューブ(〜250 mg
gel)に移した。6倍量のBufferQX1(ex.gel 50mgに対し
て300μl)、10μL のQIAEX IIガラスビーズを加え30秒
間vortex mixerを用いてよく攪拌した。50℃で10分間加
温し、この時、数分おきに混和し、混合液が黄色になっ
ていることを確認した。もし混合液がオレンジか紫なら
10μLの3M 酢酸ナトリウム(pH5.0)を加える。室温で12,
000 rpm、30秒間遠心した後、沈殿物に500μLのBufferQ
X1を加え、vortex mixerを用いてよく攪拌し、室温で1
2,000 rpm、30秒間遠心した。次いで、沈殿物に500μL
のPE溶液を加え、室温で12,000 rpm、30秒間遠心した
(操作(A))。操作(A)を2回繰り返し、上清を捨
て、ペレットが白くなるまで乾燥させた。20μLの滅菌
蒸留水を加え、5分間静置した後、室温で12,000 rpm、3
0秒間遠心し、上清を回収した(操作(B))。操作
(B)を2回繰り返した後、アガロースゲル電気泳動で
抽出確認を行った。
e Gel Extractionキット(QIAGEN)を用いてその説明書に
従って行った。PCR産物の3%アガロースゲルにより分離
した後、目的断片を長波長(316 nm)UVで切り出した。
ゲルを剃刀を用いて細断し、1.5mlチューブ(〜250 mg
gel)に移した。6倍量のBufferQX1(ex.gel 50mgに対し
て300μl)、10μL のQIAEX IIガラスビーズを加え30秒
間vortex mixerを用いてよく攪拌した。50℃で10分間加
温し、この時、数分おきに混和し、混合液が黄色になっ
ていることを確認した。もし混合液がオレンジか紫なら
10μLの3M 酢酸ナトリウム(pH5.0)を加える。室温で12,
000 rpm、30秒間遠心した後、沈殿物に500μLのBufferQ
X1を加え、vortex mixerを用いてよく攪拌し、室温で1
2,000 rpm、30秒間遠心した。次いで、沈殿物に500μL
のPE溶液を加え、室温で12,000 rpm、30秒間遠心した
(操作(A))。操作(A)を2回繰り返し、上清を捨
て、ペレットが白くなるまで乾燥させた。20μLの滅菌
蒸留水を加え、5分間静置した後、室温で12,000 rpm、3
0秒間遠心し、上清を回収した(操作(B))。操作
(B)を2回繰り返した後、アガロースゲル電気泳動で
抽出確認を行った。
【0084】(5)PCR産物のTAクローニング 精製PCR産物のクローニングは、pGEMR-T Easy Vector S
ystem I (Promega) を用いてその説明書に従って行っ
た。2×Rapid Ligation Buffer 5μL、pGEMR-T Easy Ve
ctor(50ng/μL) 1μL、精製PCR産物3μL、T4 DNA Ligas
e(3 weiss units/μl) 1μLを混ぜ、室温で1時間(もし
くは16℃で一昼夜)静置した。ライゲーション反応液2μ
LをCompetent Cell DH5α(GIBCO BRL)50μlに加え、氷
上で20分間静置した。42℃で45〜50秒間の熱ショック処
理を行い、氷上で2分間静置した。SOCmedium (GIBCO BR
L)950μLを加え、37℃で1〜1.5時間、150 rpmで混和し
た後、培養液100μLをLB/amp/IPTG/X-galにプレーティ
ングし、37℃で一晩静置した。
ystem I (Promega) を用いてその説明書に従って行っ
た。2×Rapid Ligation Buffer 5μL、pGEMR-T Easy Ve
ctor(50ng/μL) 1μL、精製PCR産物3μL、T4 DNA Ligas
e(3 weiss units/μl) 1μLを混ぜ、室温で1時間(もし
くは16℃で一昼夜)静置した。ライゲーション反応液2μ
LをCompetent Cell DH5α(GIBCO BRL)50μlに加え、氷
上で20分間静置した。42℃で45〜50秒間の熱ショック処
理を行い、氷上で2分間静置した。SOCmedium (GIBCO BR
L)950μLを加え、37℃で1〜1.5時間、150 rpmで混和し
た後、培養液100μLをLB/amp/IPTG/X-galにプレーティ
ングし、37℃で一晩静置した。
【0085】(6)plasmid DNA抽出 サブクローンプラスミドDNAはWizard Plus SV Miniprep
s DNA Purification System (Promega) を用いてその説
明書に従って行った。白コロニーをピックアップし、10
0μg/mLアンピシリン-LB培地1〜5mLで37℃で一晩培養
し、3,000 rpmで6分間遠心した。沈殿物に250μLのresu
spended solutionを加え懸濁し、250μLのLysis soluti
onを加え、4回転倒混和した。10μLのAlkaline Proteas
eを加え、4回転倒混和し、5分間室温にて静置した。350
μLのNeutralization solutionを加えて4回転倒混和
し、室温で14,000 rpm、10分間遠心した。次いで、上清
をデカンテーションで添付カラムに移し、室温で14,000
rpm、10分間遠心した。カラム部分(フォロースルーは
捨てる)に700μLのWash solutionを加え、室温で14,00
0 rpm、1分間遠心した。カラム部分(フォロースルーは
捨てる)に250μLのWashsolutionを加え、室温で14,000
rpm、2分間遠心した。カラム部分を新しいチューブに
移し、20μLの滅菌蒸留水を加え、室温で14,000 rpm、1
分間遠心した。溶液をプラスミドDNAとし、吸光度測定
にて濃度を決定した。
s DNA Purification System (Promega) を用いてその説
明書に従って行った。白コロニーをピックアップし、10
0μg/mLアンピシリン-LB培地1〜5mLで37℃で一晩培養
し、3,000 rpmで6分間遠心した。沈殿物に250μLのresu
spended solutionを加え懸濁し、250μLのLysis soluti
onを加え、4回転倒混和した。10μLのAlkaline Proteas
eを加え、4回転倒混和し、5分間室温にて静置した。350
μLのNeutralization solutionを加えて4回転倒混和
し、室温で14,000 rpm、10分間遠心した。次いで、上清
をデカンテーションで添付カラムに移し、室温で14,000
rpm、10分間遠心した。カラム部分(フォロースルーは
捨てる)に700μLのWash solutionを加え、室温で14,00
0 rpm、1分間遠心した。カラム部分(フォロースルーは
捨てる)に250μLのWashsolutionを加え、室温で14,000
rpm、2分間遠心した。カラム部分を新しいチューブに
移し、20μLの滅菌蒸留水を加え、室温で14,000 rpm、1
分間遠心した。溶液をプラスミドDNAとし、吸光度測定
にて濃度を決定した。
【0086】(7)シークエンス反応 サブクローンプラスミドDNAが目的DNA配列を含んでいる
かを確認するためのシークエンス反応は、Thermo Sequi
nase IIダイターミネーター(Amersham Pharmacia Biote
ch)を用いてその説明書に従って行った。M13 primer 3
pmol、DNA溶液200〜300 ng、TSII Reagent Mix 2μLを
加え、滅菌蒸留水で10μLとした。96℃、1分間静置後、
反応サイクル:96℃、30秒→50℃、15秒→60℃、1分を1
サイクルとし、30サイクル実施し、反応終了後は4℃に
設定した。反応液に1.5M酢酸ナトリウム/250 mM EDTAを
1μL加え、vortex mixerで攪拌した。イソプロパノール
20μLを加えよく混和後、室温で10分間静置した。12,00
0 rpmで20分間遠心を行い、沈殿に70%エタノール150μL
を加え、混和した。12,000 rpmで5分間遠心を行い、沈
殿物を風乾もしくは2〜3分間真空乾燥させた。次いで、
ローディングダイ1.5μLを加え、95℃で2分間熱処理を
行い、氷冷した。ABI377 DNAシークエンサー(Applied B
iosystems)にセットしたLongRangerゲル(LongRanger 5
mL、尿素15 g、10×TBE 5mL、10%APS 250μL、TEMED 35
μL、滅菌蒸留水で50 mLとする)に全量アプライし、泳
動を開始した。目的DNA配列を含んでいることを確認の
後、これを標準サンプルとした。
かを確認するためのシークエンス反応は、Thermo Sequi
nase IIダイターミネーター(Amersham Pharmacia Biote
ch)を用いてその説明書に従って行った。M13 primer 3
pmol、DNA溶液200〜300 ng、TSII Reagent Mix 2μLを
加え、滅菌蒸留水で10μLとした。96℃、1分間静置後、
反応サイクル:96℃、30秒→50℃、15秒→60℃、1分を1
サイクルとし、30サイクル実施し、反応終了後は4℃に
設定した。反応液に1.5M酢酸ナトリウム/250 mM EDTAを
1μL加え、vortex mixerで攪拌した。イソプロパノール
20μLを加えよく混和後、室温で10分間静置した。12,00
0 rpmで20分間遠心を行い、沈殿に70%エタノール150μL
を加え、混和した。12,000 rpmで5分間遠心を行い、沈
殿物を風乾もしくは2〜3分間真空乾燥させた。次いで、
ローディングダイ1.5μLを加え、95℃で2分間熱処理を
行い、氷冷した。ABI377 DNAシークエンサー(Applied B
iosystems)にセットしたLongRangerゲル(LongRanger 5
mL、尿素15 g、10×TBE 5mL、10%APS 250μL、TEMED 35
μL、滅菌蒸留水で50 mLとする)に全量アプライし、泳
動を開始した。目的DNA配列を含んでいることを確認の
後、これを標準サンプルとした。
【0087】(8)定量的PCR 遺伝子発現定量は、ABI PRISM 7700 Systemを用いたTaq
Manプローブ使用のリアルタイムPCRにより行い、その説
明書に従って行った。反応試薬はTaqMan 1000Reaction
PCR Core reagents (Applied Biosystems)を用い、その
説明書に従って行った。検量線作成のための標準サンプ
ルは最低5段階の濃度勾配、107〜103コピーを作成し
た。1サンプル当りのn数は最低2つとした。10×Buffe
r A 5μL、25 mM MgCl2 7μL、10mM dNTPs 1μL (N=G、
A、T、C)ずつ、AmpTaqGold 1.25ユニット、UNG 0. 5ユ
ニット、プライマーF 10 pmol、プライマーR 10 pmol、
cDNA溶液 5 ng、TaqMan Probe 5 pmolを加え、滅菌蒸留
水で50μLとした。増幅用プライマーには(3)と同じ
もの(RNaseA遺伝子用に配列番号:2および配列番号:
3、RNase k6 precursor遺伝子増幅用に配列番号:4お
よび配列番号:5)を用い、プローブは下記の塩基配列
を有する。 RNaseA遺伝子用TaqManプローブ:5'(FAM) CCA AGA AAT
TCC AGC GGC AGC A 3'(TAMRA)(配列番号:6) RNase k6 precursor遺伝子用TaqManプローブ:5'(FAM)
TCA GCA TTG TCT GCA AAA ATC GTC GG 3'(TAMRA)/(配
列番号:7) FAM: 6-carboxyfluorescein TAMRA: 6-carboxy-tetramethylrhodamine 50℃、2分間、95℃、10分間静置後、反応サイクル:95
℃、15秒→60℃、1分を1サイクルとし、50サイクル実施
した。標準サンプルの相対的な初期濃度の対数値に対し
てのPCR増幅曲線のCt(threshold cycles)値から、検量
線が自動的に作成され、これをもとに未知サンプルの相
対的な初期濃度を算出した。
Manプローブ使用のリアルタイムPCRにより行い、その説
明書に従って行った。反応試薬はTaqMan 1000Reaction
PCR Core reagents (Applied Biosystems)を用い、その
説明書に従って行った。検量線作成のための標準サンプ
ルは最低5段階の濃度勾配、107〜103コピーを作成し
た。1サンプル当りのn数は最低2つとした。10×Buffe
r A 5μL、25 mM MgCl2 7μL、10mM dNTPs 1μL (N=G、
A、T、C)ずつ、AmpTaqGold 1.25ユニット、UNG 0. 5ユ
ニット、プライマーF 10 pmol、プライマーR 10 pmol、
cDNA溶液 5 ng、TaqMan Probe 5 pmolを加え、滅菌蒸留
水で50μLとした。増幅用プライマーには(3)と同じ
もの(RNaseA遺伝子用に配列番号:2および配列番号:
3、RNase k6 precursor遺伝子増幅用に配列番号:4お
よび配列番号:5)を用い、プローブは下記の塩基配列
を有する。 RNaseA遺伝子用TaqManプローブ:5'(FAM) CCA AGA AAT
TCC AGC GGC AGC A 3'(TAMRA)(配列番号:6) RNase k6 precursor遺伝子用TaqManプローブ:5'(FAM)
TCA GCA TTG TCT GCA AAA ATC GTC GG 3'(TAMRA)/(配
列番号:7) FAM: 6-carboxyfluorescein TAMRA: 6-carboxy-tetramethylrhodamine 50℃、2分間、95℃、10分間静置後、反応サイクル:95
℃、15秒→60℃、1分を1サイクルとし、50サイクル実施
した。標準サンプルの相対的な初期濃度の対数値に対し
てのPCR増幅曲線のCt(threshold cycles)値から、検量
線が自動的に作成され、これをもとに未知サンプルの相
対的な初期濃度を算出した。
【0088】また、試料中のcDNA濃度の差を補正するた
め、補正用内部標準としてβ-アクチン(β-actin)遺伝
子、およびグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAP
DH)遺伝子について同様の定量解析を行い、それら遺伝
子のコピー数を基に補正して、目的遺伝子のコピー数を
算出した。
め、補正用内部標準としてβ-アクチン(β-actin)遺伝
子、およびグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAP
DH)遺伝子について同様の定量解析を行い、それら遺伝
子のコピー数を基に補正して、目的遺伝子のコピー数を
算出した。
【0089】βアクチン、あるいはGAPDH測定用のプラ
イマーとプローブは、TaqMan β-actin Control Reagen
ts(Applied Biosystems)に添付のものを用いて行っ
た。塩基配列は以下の通りである。 βアクチンフォーワードプライマー(配列番号:8) TCA CCC ACA CTG TGC CCA TCT ACG A βアクチンリバースプライマー(配列番号:9) CAG CGG AAC CGC TCA TTG CCA ATG G βアクチンTaqManプローブ(配列番号:10) (FAM)ATGCCC-T(TAMRA)-CCCCCATGCCATCCTGCGTp-3' GAPDHフォーワードプライマー(配列番号:11) GAAGGTGAAGGTCGGAGT GAPDHリバースプライマー(配列番号:12) GAAGATGGTGATGGGATTTC GAPDH TaqMan プローブ(配列番号:13) (FAM)CAAGCTTCCCGTTCTCAGCC(TAMRA)-3'
イマーとプローブは、TaqMan β-actin Control Reagen
ts(Applied Biosystems)に添付のものを用いて行っ
た。塩基配列は以下の通りである。 βアクチンフォーワードプライマー(配列番号:8) TCA CCC ACA CTG TGC CCA TCT ACG A βアクチンリバースプライマー(配列番号:9) CAG CGG AAC CGC TCA TTG CCA ATG G βアクチンTaqManプローブ(配列番号:10) (FAM)ATGCCC-T(TAMRA)-CCCCCATGCCATCCTGCGTp-3' GAPDHフォーワードプライマー(配列番号:11) GAAGGTGAAGGTCGGAGT GAPDHリバースプライマー(配列番号:12) GAAGATGGTGATGGGATTTC GAPDH TaqMan プローブ(配列番号:13) (FAM)CAAGCTTCCCGTTCTCAGCC(TAMRA)-3'
【0090】測定結果は表2(RNase A)、および表3
(RNase k6 precursor)に示した。また測定値に基づい
て、βアクチンにより補正したRNase A遺伝子の発現量
(copy/ng RNA)を図1(上)に、またGAPDHにより補正
したRNase A遺伝子の発現量(copy/ng RNA)を図2
(上)に示す。更に、測定値に基づいて、βアクチンに
より補正したRNase k6 precursor遺伝子の発現量(copy
/ng RNA)を図3(上)に、またGAPDHにより補正したRN
ase k6 precursor遺伝子の発現量(copy/ng RNA)を図
4(上)に示す。
(RNase k6 precursor)に示した。また測定値に基づい
て、βアクチンにより補正したRNase A遺伝子の発現量
(copy/ng RNA)を図1(上)に、またGAPDHにより補正
したRNase A遺伝子の発現量(copy/ng RNA)を図2
(上)に示す。更に、測定値に基づいて、βアクチンに
より補正したRNase k6 precursor遺伝子の発現量(copy
/ng RNA)を図3(上)に、またGAPDHにより補正したRN
ase k6 precursor遺伝子の発現量(copy/ng RNA)を図
4(上)に示す。
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】(9)統計解析 健常人ボランティア(7名)、ステロイド軟膏治療応答者
(5名)、および弱応答者(6名)についての統計解析は、
3群間での比較はFisher分散分析とKruskal-Walli検定
により、また、健常人と患者群あるいは応答者と弱応答
者の2群間の比較はFisher分散分析とMann-Whitney検定
により行った。応答者(R)と弱応答者(P)の解析結果は表
4(RNase A)および表5(RNase k6 precursor)に示し
た。また健常者(V)を含めた三者間の比較結果は、図1
(下)−図2(下)/RNase A遺伝子、並びに図3
(下)−図4(下)/RNase k6 precursor遺伝子に示す
とおりである。
(5名)、および弱応答者(6名)についての統計解析は、
3群間での比較はFisher分散分析とKruskal-Walli検定
により、また、健常人と患者群あるいは応答者と弱応答
者の2群間の比較はFisher分散分析とMann-Whitney検定
により行った。応答者(R)と弱応答者(P)の解析結果は表
4(RNase A)および表5(RNase k6 precursor)に示し
た。また健常者(V)を含めた三者間の比較結果は、図1
(下)−図2(下)/RNase A遺伝子、並びに図3
(下)−図4(下)/RNase k6 precursor遺伝子に示す
とおりである。
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】定量的PCRの結果、実施例1で選択したRNa
se A遺伝子の単核球における発現レベルは、ステロイド
応答群の単核球に比べ、ステロイド弱応答群の単核球に
おいて10倍近く増加していた。同様にRNase k6 precu
rsor遺伝子の単核球における発現レベルは、ステロイド
弱応答群の単核球において3倍以上増加していた。これ
らの結果に基づいて、単核球におけるRNase A遺伝子ま
たはRNase k6 precursor遺伝子の発現レベルの上昇が、
アレルギー性疾患患者のステロイドに対する弱応答の指
標となると考えられた。
se A遺伝子の単核球における発現レベルは、ステロイド
応答群の単核球に比べ、ステロイド弱応答群の単核球に
おいて10倍近く増加していた。同様にRNase k6 precu
rsor遺伝子の単核球における発現レベルは、ステロイド
弱応答群の単核球において3倍以上増加していた。これ
らの結果に基づいて、単核球におけるRNase A遺伝子ま
たはRNase k6 precursor遺伝子の発現レベルの上昇が、
アレルギー性疾患患者のステロイドに対する弱応答の指
標となると考えられた。
【0096】
【発明の効果】本発明により、ステロイド弱応答群の単
核球において発現が上昇している遺伝子が見出された。
ステロイド弱応答群の単核球において発現が上昇してい
る遺伝子は、アレルギー性皮膚炎患者のステロイドに対
する弱応答の指標となる。また本発明の遺伝子は、Th1
細胞の減少の指標としての有用性も期待できる。
核球において発現が上昇している遺伝子が見出された。
ステロイド弱応答群の単核球において発現が上昇してい
る遺伝子は、アレルギー性皮膚炎患者のステロイドに対
する弱応答の指標となる。また本発明の遺伝子は、Th1
細胞の減少の指標としての有用性も期待できる。
【0097】このように、本発明の指標遺伝子は、いず
れもその発現の上昇がステロイド剤に対する応答性と結
びついていることから、その発現レベルを抑制すること
が、ステロイド剤の投与を治療方法として選択する疾患
の治療戦略のターゲットとなるとともに、そのような新
しい治療法におけるモニタリングのための新しい臨床診
断指標としての有用性が期待できる。このような疾患の
代表的なものが、アレルギー性疾患である。あるいは発
現レベルの上昇や翻訳産物の活性を、当該遺伝子のアン
チセンス医薬や蛋白質の活性を阻害する抗体の投与によ
って抑制することが、アレルギー性疾患の治療方法とし
て成立する。
れもその発現の上昇がステロイド剤に対する応答性と結
びついていることから、その発現レベルを抑制すること
が、ステロイド剤の投与を治療方法として選択する疾患
の治療戦略のターゲットとなるとともに、そのような新
しい治療法におけるモニタリングのための新しい臨床診
断指標としての有用性が期待できる。このような疾患の
代表的なものが、アレルギー性疾患である。あるいは発
現レベルの上昇や翻訳産物の活性を、当該遺伝子のアン
チセンス医薬や蛋白質の活性を阻害する抗体の投与によ
って抑制することが、アレルギー性疾患の治療方法とし
て成立する。
【0098】また本発明によるステロイド応答性の検査
方法は、生体試料を試料としてその発現レベルを解析す
ることができるので、患者に対する侵襲性が低い。しか
も遺伝子発現解析に関しては、微量サンプルによる高感
度な測定が可能である。遺伝子解析技術は、年々ハイス
ループット化、低価格化が進行している。したがって本
発明によるステロイド応答性の検査方法は、近い将来、
ベッドサイドにおける重要な診断方法となることが期待
される。この意味でこれらのステロイド応答性関連遺伝
子の診断的価値は高い。
方法は、生体試料を試料としてその発現レベルを解析す
ることができるので、患者に対する侵襲性が低い。しか
も遺伝子発現解析に関しては、微量サンプルによる高感
度な測定が可能である。遺伝子解析技術は、年々ハイス
ループット化、低価格化が進行している。したがって本
発明によるステロイド応答性の検査方法は、近い将来、
ベッドサイドにおける重要な診断方法となることが期待
される。この意味でこれらのステロイド応答性関連遺伝
子の診断的価値は高い。
【0099】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Genox Research, Inc. The President of National Children's Hospital <120> A method for testing of steroid response <130> G1-A0014 <140> <141> <160> 13 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 63 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized T7-(dT)24 primer sequence <400> 1 ggccagtgaa ttgtaatacg actcactata gggaggcggt tttttttttt tttttttttt 60 ttt 63 <210> 2 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 2 tgtcctgata ctgctggtgc t 21 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 3 tacagtaggt ggagctgctg ct 22 <210> 4 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 4 gtggctgctg tctgtgattt g 21 <210> 5 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 5 ctttgagctc tggtggcagt t 21 <210> 6 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized TaqMan probe sequence <220> <221> misc_binding <222> (1) <223> Label FAM (6-carboxyfluorescein) <220> <221> misc_binding <222> (22) <223> Label TAMRA (6-carboxy-tetramethylrhodamine) <400> 6 ccaagaaatt ccagcggcag ca 22 <210> 7 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized TaqMan probe sequence <220> <221> misc_binding <222> (1) <223> Label FAM (6-carboxyfluorescein) <220> <221> misc_binding <222> (26) <223> Label TAMRA (6-carboxy-tetramethylrhodamine) <400> 7 tcagcattgt ctgcaaaaat cgtcgg 26 <210> 8 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 8 tcacccacac tgtgcccatc tacga 25 <210> 9 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 9 cagcggaacc gctcattgcc aatgg 25 <210> 10 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized TaqMan probe sequence <220> <221> misc_binding <222> (1) <223> Label FAM (6-carboxyfluorescein) <220> <221> misc_binding <222> (7) <223> Label TAMRA (6-carboxy-tetramethylrhodamine) <400> 10 atgccctccc ccatgccatc ctgcgt 26 <210> 11 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 11 gaaggtgaag gtcggagt 18 <210> 12 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized primer sequence <400> 12 caagcttccc gttctcagcc 20 <210> 13 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:an artificially synthesized TaqMan probe sequence <220> <221> misc_binding <222> (1) <223> Label FAM (6-carboxyfluorescein) <220> <221> misc_binding <222> (20) <223> Label TAMRA (6-carboxy-tetramethylrhodamine) <400> 13 caagcttccc gttctcagcc 20
【図1】ステロイド応答群、ステロイド弱応答群、およ
び健常者におけるRNase A遺伝子の発現レベルを測定し
た結果を示すグラフ。上のグラフは、各被検者のβ−ア
クチン遺伝子で補正した測定値(copy/ng RNA)を示
す。下のグラフは、各群間の統計解析結果を示す。図
中、Vは健常者、Rはステロイド応答群、Pはステロイド
弱応答群を示す。また数字は、被検者の番号である。
び健常者におけるRNase A遺伝子の発現レベルを測定し
た結果を示すグラフ。上のグラフは、各被検者のβ−ア
クチン遺伝子で補正した測定値(copy/ng RNA)を示
す。下のグラフは、各群間の統計解析結果を示す。図
中、Vは健常者、Rはステロイド応答群、Pはステロイド
弱応答群を示す。また数字は、被検者の番号である。
【図2】ステロイド応答群、ステロイド弱応答群、およ
び健常者におけるRNase A遺伝子の発現レベルを測定し
た結果を示すグラフ。上のグラフは、各被検者のGAPDH
遺伝子で補正した測定値(copy/ng RNA)を示す。下の
グラフは、各群間の統計解析結果を示す。図中、V、R、
Pは、図1と同じ意味である。また数字は、被検者の番
号である。
び健常者におけるRNase A遺伝子の発現レベルを測定し
た結果を示すグラフ。上のグラフは、各被検者のGAPDH
遺伝子で補正した測定値(copy/ng RNA)を示す。下の
グラフは、各群間の統計解析結果を示す。図中、V、R、
Pは、図1と同じ意味である。また数字は、被検者の番
号である。
【図3】ステロイド応答群、ステロイド弱応答群、およ
び健常者におけるRNase k6 precursor遺伝子の発現レベ
ルを測定した結果を示すグラフ。上のグラフは、各被検
者のβ−アクチン遺伝子で補正した測定値(copy/ng RN
A)を示す。下のグラフは、各群間の統計解析結果を示
す。図中、V、R、Pは、図1と同じ意味である。また数
字は、被検者の番号である。
び健常者におけるRNase k6 precursor遺伝子の発現レベ
ルを測定した結果を示すグラフ。上のグラフは、各被検
者のβ−アクチン遺伝子で補正した測定値(copy/ng RN
A)を示す。下のグラフは、各群間の統計解析結果を示
す。図中、V、R、Pは、図1と同じ意味である。また数
字は、被検者の番号である。
【図4】ステロイド応答群、ステロイド弱応答群、およ
び健常者におけるRNase k6 precursor遺伝子の発現レベ
ルを測定した結果を示すグラフ。上のグラフは、各被検
者のGAPDH遺伝子で補正した測定値(copy/ng RNA)を示
す。下のグラフは、各群間の統計解析結果を示す。図
中、V、R、Pは、図1と同じ意味である。また数字は、
被検者の番号である。
び健常者におけるRNase k6 precursor遺伝子の発現レベ
ルを測定した結果を示すグラフ。上のグラフは、各被検
者のGAPDH遺伝子で補正した測定値(copy/ng RNA)を示
す。下のグラフは、各群間の統計解析結果を示す。図
中、V、R、Pは、図1と同じ意味である。また数字は、
被検者の番号である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 45/00 4C086 45/00 48/00 48/00 A61P 37/08 A61P 37/08 43/00 111 43/00 111 C12Q 1/02 C12Q 1/02 1/68 A 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 瓶子 昌幸 神奈川県川崎市宮前区野川907 帝京大学 生物工学研究センター内 株式会社ジェノ ックス創薬研究所内 (72)発明者 加賀谷 伸治 神奈川県川崎市宮前区野川907 帝京大学 生物工学研究センター内 株式会社ジェノ ックス創薬研究所内 (72)発明者 郡司 誉道 東京都中央区銀座2−7−12 三共株式会 社臨床研究部 (72)発明者 斎藤 博久 東京都世田谷区太子堂3−35−31 国立小 児病院・小児医療研究センター 免疫アレ ルギー研究部 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA36 FB03 4B024 AA11 BA11 CA04 HA12 4B063 QA19 QQ08 QQ44 QR08 QR33 QR42 QR56 QS25 QS34 QX02 4C084 AA13 AA17 NA14 ZB132 ZC022 ZC412 4C085 AA13 AA14 BB03 CC02 CC03 CC13 DD61 4C086 AA01 AA02 AA04 DA08 EA16 MA01 MA02 MA04 MA07 NA14 ZB13 ZC02 ZC41
Claims (19)
- 【請求項1】次の工程を含む、ステロイド応答性の検査
方法。 a)被検者の生体試料における、RNase A遺伝子またはR
Nase k6 precursor遺伝子の発現レベルを測定する工程 b)健常者、またはステロイド応答性の患者の生体試料
における前記遺伝子の発現レベルと比較する工程 - 【請求項2】ステロイド応答性が、アレルギー性疾患の
ステロイド応答性である、請求項1に記載の検査方法。 - 【請求項3】アレルギー性疾患がアトピー性皮膚炎であ
る、請求項2に記載の検査方法。 - 【請求項4】遺伝子の発現レベルを、cDNAのPCRによっ
て測定する請求項1に記載の検査方法。 - 【請求項5】遺伝子の発現レベルを、前記遺伝子によっ
てコードされる蛋白質の検出によって測定する請求項1
に記載の検査方法。 - 【請求項6】RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor
遺伝子の塩基配列を含むポリヌクレオチド、またはその
相補鎖に相補的な塩基配列を有する少なくとも15塩基
の長さを有するオリゴヌクレオチドからなる、ステロイ
ド応答性の検査用試薬。 - 【請求項7】RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor
蛋白質のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体か
らなる、ステロイド応答性の検査用試薬。 - 【請求項8】次の工程を含む、ステロイド応答性を高め
る化合物のスクリーニング方法。 (1)RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子
を発現する細胞に候補化合物を接触させる工程 (2)前記遺伝子の発現レベルを測定する工程、(3)
候補化合物を接触させない対照と比較して前記遺伝子の
発現レベルを低下させる化合物を選択する工程 - 【請求項9】細胞が株化単核球である請求項8に記載の
方法。 - 【請求項10】次の工程を含む、ステロイド応答性を高
める化合物のスクリーニング方法。 (1)被験動物に候補化合物を投与する工程、(2)被
験動物の生体試料におけるRNase A遺伝子またはRNase k
6 precursor遺伝子の発現強度を測定する工程、および
(3)候補化合物を投与しない対照と比較して前記遺伝
子の発現レベルを低下させる化合物を選択する工程 - 【請求項11】次の工程を含む、ステロイド応答性を高
める化合物のスクリーニング方法。 (1)RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子
の転写調節領域と、この転写調節領域の制御下に発現す
るレポーター遺伝子を含むベクターを導入した細胞と候
補物質を接触させる工程、(2)前記レポーター遺伝子
の活性を測定する工程、および(3)候補化合物を接触
させない対照と比較して前記遺伝子の発現レベルを低下
させる化合物を選択する工程 - 【請求項12】次の工程を含む、ステロイド応答性を高
める化合物のスクリーニング方法。 (1)RNase A蛋白質またはRNase k6 precursor蛋白質
と候補物質を接触させる工程、(2)前記蛋白質の活性
を測定する工程、および(3)候補化合物を接触させな
い対照と比較して前記蛋白質の活性を低下させる化合物
を選択する工程 - 【請求項13】請求項8、請求項10、請求項11、お
よび請求項12のいずれかに記載のスクリーニング方法
によって得ることができる化合物を有効成分として含有
する、ステロイド応答性を高めるための薬剤。 - 【請求項14】RNase A遺伝子またはRNase k6 precurso
r遺伝子、またはその一部のアンチセンスDNAを主成分と
して含む、ステロイド応答性を高めるための薬剤。 - 【請求項15】RNase A蛋白質またはRNase k6 precurso
r蛋白質のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体
を主成分として含む、ステロイド応答性を高めるための
薬剤。 - 【請求項16】請求項13、請求項14、および請求項
15のいずれかに記載のステロイド応答性を高めるため
の薬剤と、ステロイド剤を配合してなるステロイド弱応
答性疾患の治療薬。 - 【請求項17】RNase A遺伝子またはRNase k6 precurso
r遺伝子の塩基配列を含むポリヌクレオチド、若しくは
その相補鎖に相補的な塩基配列を有する少なくとも15
塩基の長さを有するオリゴヌクレオチドと、RNase A遺
伝子またはRNase k6 precursor遺伝子を発現する細胞を
含む、アレルギー性疾患の治療薬候補化合物をスクリー
ニングするためのキット。 - 【請求項18】RNase A蛋白質またはRNase k6 precurso
r蛋白質のアミノ酸配列を含むペプチドを認識する抗体
と、RNase A遺伝子またはRNase k6 precursor遺伝子を
発現する細胞を含む、アレルギー性疾患の治療薬候補化
合物をスクリーニングするためのキット。 - 【請求項19】RNase A遺伝子、またはRNase k6 precur
sor遺伝子の単核球における発現強度を調節したトラン
スジェニック非ヒト脊椎動物の、ステロイド応答性を調
節したモデル動物としての使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001104621A JP2002291485A (ja) | 2001-04-03 | 2001-04-03 | ステロイド応答性の検査方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001104621A JP2002291485A (ja) | 2001-04-03 | 2001-04-03 | ステロイド応答性の検査方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002291485A true JP2002291485A (ja) | 2002-10-08 |
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JP2001104621A Pending JP2002291485A (ja) | 2001-04-03 | 2001-04-03 | ステロイド応答性の検査方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2002291485A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009092508A (ja) * | 2007-10-09 | 2009-04-30 | Norihiro Nishimoto | リウマチ治療剤の効果の予測方法 |
-
2001
- 2001-04-03 JP JP2001104621A patent/JP2002291485A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009092508A (ja) * | 2007-10-09 | 2009-04-30 | Norihiro Nishimoto | リウマチ治療剤の効果の予測方法 |
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