JP2002291374A - 幼虫飼育用菌糸ビン - Google Patents

幼虫飼育用菌糸ビン

Info

Publication number
JP2002291374A
JP2002291374A JP2001101473A JP2001101473A JP2002291374A JP 2002291374 A JP2002291374 A JP 2002291374A JP 2001101473 A JP2001101473 A JP 2001101473A JP 2001101473 A JP2001101473 A JP 2001101473A JP 2002291374 A JP2002291374 A JP 2002291374A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
larva
breeding
larvae
bottle
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001101473A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3682240B2 (ja
Inventor
Toshio Sato
利夫 佐藤
Takashi Suehiro
隆 末広
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YAMAGUCHI KINOKO CENTER KK
YAMAGUCHI KINOKO CT KK
Original Assignee
YAMAGUCHI KINOKO CENTER KK
YAMAGUCHI KINOKO CT KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YAMAGUCHI KINOKO CENTER KK, YAMAGUCHI KINOKO CT KK filed Critical YAMAGUCHI KINOKO CENTER KK
Priority to JP2001101473A priority Critical patent/JP3682240B2/ja
Publication of JP2002291374A publication Critical patent/JP2002291374A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3682240B2 publication Critical patent/JP3682240B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mushroom Cultivation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 幼虫の生育環境を容易にコントロールできる
と共に、過剰の自由水により幼虫の生育不全や羽化不良
を引き起こすことがなく、所定の大きさと形態を有した
健全な成虫を得ることができ、培地層を有効に活用する
ことができる経済性と生産性に優れた幼虫飼育用菌糸ビ
ンを提供する。 【解決手段】 幼虫の生育を維持させる水分と栄養分を
保持し菌類が接種されたクヌギ、ブナ等の砕片を含む幼
虫培地層11と、幼虫培地層11の下部に配置された木
炭粉粒子、竹炭粉粒子等で形成された炭層12と、を飼
育部に収納して幼虫飼育用菌糸ビン10を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクワガタ、カブトム
シ等の幼虫を生育させて羽化させるのに用いられる幼虫
飼育用菌糸ビンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、クワガタやカブトムシ等の鑑賞用
昆虫をさなぎ等の幼虫から成虫に人工的な環境で生育さ
せる際には、幼虫飼育用菌糸ビンの中に幼虫が生育する
朽ち木や枯れ木などの木部内部の環境を摸した培地層を
形成してその中に幼虫を入れ、菌糸の作用により分泌さ
れる栄養分等で幼虫を大きく育てる生育方法が一般に採
用されている。また、幼虫飼育用菌糸ビンの内部では、
菌や幼虫の生命活動により過剰の水滴が生成し、この水
滴が羽化中の幼虫に接触すると羽化不良等の障害が生じ
ることがあるため、幼虫飼育用菌糸ビンの底部に砂の層
を配置して幼虫が底部の水に直接接触しないような方法
も採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の幼虫飼育用菌糸ビンは、以下のような課題を有して
いた。 (1)幼虫飼育用菌糸ビンの底部に溜まった水には幼虫
の排泄物等が溶けこんでいるため、有害な微生物類が繁
殖しやすく、悪臭等を生じて生育環境が不衛生になり易
いという課題があった。 (2)底部に砂の層を配置した幼虫飼育用菌糸ビンの場
合には、砂の保水能力が少ないために多量の水分を幼虫
飼育用菌糸ビンの底部に保持させることが困難であり、
この過剰の自由水が幼虫に接触して、幼虫の生育不全や
羽化不良を引き起こす要因になるという課題があった。 (3)また、砂は飼育過程において生じる排泄物等の有
害物質を吸着等により固定化する能力を有していないた
め、溜まった自由水は浄化されることがなく、この汚れ
た自由水が幼虫に接触することにより幼虫の発育不全や
羽化不良を助長する要因となるという課題があった。 (4)さらに、砂中には予測できない雑菌等の微生物が
存在するので、培地層内の環境を一定に維持させること
が困難であり、所定の大きさと形態を有した高価値の成
虫を得るための生産性に乏しいという課題があった。 (5)幼虫が砂を食べた場合、その成長に悪影響を及ぼ
すおそれがあるという課題があった。 (6)幼虫がその蛹室を幼虫飼育用菌糸ビンの上部側に
形成する傾向があるので、多数の幼虫の蛹室を培地層の
全体に分散させた状態で形成させて培地層を有効に活用
することができず、経済性に乏しいという課題があっ
た。
【0004】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、幼虫の生育環境を容易にコントロールできると共
に、過剰の自由水により幼虫の生育不全や羽化不良を引
き起こすことがなく、所定の大きさと形態を有した健全
な成虫を得ることができ、培地層を有効に活用すること
ができる経済性と生産性に優れた幼虫飼育用菌糸ビンを
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の幼虫飼
育用菌糸ビンは、幼虫の生育を維持させる水分と栄養分
を保持し菌類が接種されたクヌギ、ブナ等の砕片を含む
幼虫培地層と、前記幼虫培地層の下部に配置された木炭
粉粒子粒子、竹炭粉粒子粒子等で形成された炭層と、を
飼育部に収納して構成されている。この構成によって以
下の作用が得られる。 (a)幼虫飼育用菌糸ビンがその底部に炭層を備えてい
るので、悪臭等を発生させ、生物に悪影響を与えるアン
モニウムイオンや、二酸化炭素等を炭層に吸着させて保
持し、腐敗や悪臭を防止して内部の衛生状態を良好に維
持させることができ、幼虫を適正に生育させる生産性に
優れている。 (b)幼虫がその蛹室を底部側に形成しても、底部は木
炭粉粒子粒子により水分が吸着吸収されているので、水
分の影響を受けて羽化不良を生じることが少なく、配置
した幼虫培地層の上層から下層にわたる部分を有効に利
用でき、経済性に優れる。 (c)木炭粉粒子の殺菌作用等により雑菌等繁殖を防止
できるので、幼虫飼育用菌糸ビンの幼虫の生育環境を所
定の範囲に制御することが容易になり、所望の大きさと
形態を有した成虫を効率的に生育させることができる。 (d)炭層は、その表面で水分の吸着蒸発を行うことで
菌糸ビン内部の湿度を所定範囲に維持させる湿度調整能
力を有しているため、これによって幼虫の生育環境が整
えられ、成虫を良好に羽化させることができる。 (e)幼虫飼育用菌糸ビンに入れられた幼虫がその底部
に移動して炭層に接触すると餌等の栄養源がないことを
検知して再び上方に移動するので、底部の水分と幼虫と
の直接的な接触を効果的に防止できる。 (f)炭層の水分保持調整能と吸着能により、飼育部の
環境を好適に保持し、羽化不良をなくすことができる。
【0006】ここで、幼虫はクワガタ、カブトムシ等の
甲虫目(比翅目)等に属する昆虫の成熟前の個体であ
り、その多くは土壌中や広葉樹の枯木や朽木に穿孔して
生息する。一般にこれらの幼虫は大あごが頑強で木を穿
つのに適し、乳白色円筒形で腹方へC形に曲がった体形
を有している。幼虫期間はルリクワガタなどでは1年余
りであるが、一般に2〜3年を要し、通常は3齢までで
3回目の脱皮で蛹化する。幼虫の食物となるものは葉、
茎、花、果実、種子、菌類、発酵や腐敗した動植物、枯
木や朽木などであるが、幼虫を自然環境を摸した栄養分
や水分等を含む幼虫飼育用菌糸ビンの中の幼虫培地層で
育成して所定の大きさと形態の成虫に羽化させることが
できる。
【0007】幼虫培地層は、幼虫の好むクヌギやブナ等
のおが屑に菌類を接種して、所定の温度や湿度で熟成処
理等を施して菌糸を繁殖させたものを敷き詰めて形成し
たものである。おが屑はおが粉、のこくずとも呼ばれ、
木材を鋸、大鋸でひいたとき、刃でひきちぎられてでき
る木粉である。その大きさは鋸の大きさ、木の種類によ
り異なり、0.1〜5mmぐらいである。このおが屑に
フスマ等を加えてエノキタケやナメコ、ヒラタケなどの
菌類を接種してビン等につめた状態で所定期間、例えば
20日〜25日間所定温度例えば、18℃〜22℃の範
囲に保持させて幼虫培地層となる培地を作成することが
できる。おが屑にフスマ等の栄養源となる原料を添加
し、水分を加えて混合したものを容器に詰め殺菌釜で5
〜7時間殺菌処理し、放冷後、オオヒラタケの種菌を接
種する。その後、18〜22℃で20〜25日間培養す
る。袋におが屑をブロック状に詰めたものを培養し、そ
れを粉砕しガラス瓶等に詰め換える方法もある。これら
ヒラタケ等の菌類は本体(栄養体)を構成する分枝した細
い糸状の菌糸を有しており、この菌糸が適当な水分や温
度、湿度、有機及び無機成分等の条件下で生長して菌糸
体を生成し、幼虫に栄養分を供給したり、その成長環境
を保持させたりする機能を有している。
【0008】炭層に用いる材料としては木炭や竹炭その
他の材料を破砕して所定粒度に調整した木炭粉粒子や竹
炭粉粒子、活性炭等を用いる。木炭粉粒子としては黒炭
と、白炭等の粉化物が用いられる。活性炭としては、特
別に賦活と呼ばれる処理をして、内部に無数の小さい孔
を発達させて吸着剤としての能力を高めたものも用いる
ことができる。この場合の原料物質は木材、竹材、ヤシ
殻、石炭(歴青炭、褐炭、亜炭)、石油ピッチ等であり、
この製法には高温で炭化してから、水蒸気等により一部
ガス化して微細孔を作り出す賦活法と、脱水・炭化を促
進する薬品と混合して焼成後薬品を除く賦活法がある。
賦活法により得られる活性炭は、その製法や原料により
差異はあるが、いずれも内部表面積が1000m/g
以上で、その表面がグラファイトの炭素骨格から成って
いる。このため炭化水素、有機物など疎水性の物質を選
択的に吸着することができ、異臭防止等の効果が得られ
る。なお、炭層には、前記活性炭の他に自然環境にある
土や砂、コンクリート砕片、ペットボトル等を破砕した
プラスチック粒等を必要に応じて配合して用いることも
できる。炭層に添加する木炭や竹炭等の活性炭の平均粒
径は、0.1〜20mm好ましくは0.5〜10mmの
範囲とする。これは、活性炭の平均粒径が0.5mmよ
り小さくなるにつれ接触面積が増えるため、有害物に対
する吸着能力及びイオン交換の効率は増すが、菌類等の
担持体としての強度や菌保持性等が弱まる傾向にあり、
逆に10mmを超えると有効表面積が不足し吸着能力に
欠ける傾向にあるからであり、これらの傾向は0.1m
mより小さくなるか、20mmを超えるとさらに顕著に
なる。
【0009】炭層の厚みは、幼虫培地層の量や種類、及
び幼虫の種別、個体数等によっても変動するが、幼虫飼
育用菌糸ビンの飼育部の底部から2〜25%、好ましく
は5〜15%の高さとする。これは、炭層の厚みが5%
より小さくなるにつれ、幼虫培地層の菌類や幼虫の活動
等で生成した過剰な水分やアンモニウムイオン、炭酸ガ
ス等を炭層で捕捉することが困難になる傾向が現れ、逆
に炭層の厚みが15%を超えるにつれ幼虫培地層の水分
の脱水が激しく、幼虫培地層の含水率が下がり涸れる傾
向が現れだすとともに、該ビンの大小によっては、相対
的に幼虫培地層のスペースが減少して育成効率が悪くな
る傾向が現れ、これらの傾向は2%より少なくなるか2
5%を超えるとさらに顕著になるからである。また、幼
虫培地層の厚みAと炭層の厚みBとの比(A/B)は8
0/20〜95/5好ましくは85/15〜90/10
の範囲とする。これは比(A/B)が85/15より少
なくなるにつれ、幼虫を健全に育成するのに必要な幼虫
培地層を確保するのが困難になる傾向が現れ、逆に比
(A/B)が90/10を超えるにつれ、菌類や幼虫の
活動等で生成した過剰な水分やアンモニウムイオン、炭
酸ガス等を炭層で捕捉することが困難になる傾向が現
れ、これらの傾向は80/20より少なくなるか95/
5を超えるとさらに顕著になるからである。
【0010】幼虫飼育用菌糸ビンは、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレ
ート等の合成樹脂製又はガラス製からなる円筒形又は角
柱形に形成された容器であり、その開口部の中央にフィ
ルター等の通気部を備えたキャップにより封止でき、そ
の飼育部の底部に炭層が敷き詰められ、その上に幼虫培
地層が配置されて収納されるようになっている。幼虫飼
育用菌糸ビンは、内部に収納した幼虫の生育状態が観察
できるようにガラスや合成樹脂製の透明な素材を用いる
ことが好ましいが、熱伝導性に優れたアルミやスチール
等の金属材料をその前部又は一部に適用して、幼虫飼育
用菌糸ビンの温度管理や温度制御の操作を容易にするこ
ともできる。また、必要に応じて幼虫飼育用菌糸ビンの
底部の下部やその側部等に水抜き孔を設け、この水抜き
孔を開閉して幼虫培地層内の湿度や水分を幼虫の生育に
適した範囲内に調整することもできる。
【0011】請求項2に記載の幼虫飼育用菌糸ビンは、
請求項1に記載の発明において、前記炭層がゼオライト
や発泡パーライト等の無機多孔体を含有して構成されて
いる。この構成によって、請求項1の作用の他、以下の
作用が得られる。 (a)炭層がゼオライトや発泡パーライト等の無機多孔
体の粒子を含有しているので、無機多孔体の水分保持能
力により幼虫培地層の水分を保持することができ、幼虫
を効果的に生育させることのできる生産性に優れてい
る。 (b)ゼオライト等の無機多孔体を用いているので、多
孔質のゼオライト粒子等の無機多孔体の表面に菌類等を
含む微生物を担持させることができ、微生物による有害
物等の分解作用を有効に利用して、幼虫飼育用菌糸ビン
内の幼虫の生育環境を良好な状態に調整することができ
る。 (c)また、ゼオライト等の粒子は木炭粒子とは異なる
分子量範囲の成分に対する吸着能力とイオン交換能力を
有するため、ゼオライト等の粒子を含有した炭層は低分
子量から高分子量にわたる成分、例えばアンモニウムイ
オン等を含む有害物質を吸着保持し、衛生状態をより良
好に維持させることができる。
【0012】ここで、無機多孔体としてはゼオライト、
発砲パーライト、シラス、沸石等が用いられる。炭層に
添加するゼオライトの平均粒径は、0.1〜5mm、好
ましくは0.5〜1mmの範囲とする。これは、平均粒
径が0.5mmより少なくなるにつれ水との接触面積が
増えるため、吸着能力及びイオン交換の効率は増すが、
菌類等の担持体としての強度や菌保持性等が弱まる傾向
にあり、逆に1mmを超えると有効表面積が不足し水等
の保持能力に欠ける傾向にあるからであり、これらの傾
向は0.1mmより小さくなるか、5mmを超えるとさ
らに顕著になる。
【0013】請求項3に記載の幼虫飼育用菌糸ビンは、
請求項1又は2に記載の発明において、飼育部の幼虫培
地層と炭層の間に不織布や織布からなる透水性シートや
透水孔を有した仕切り板が配置されて構成されている。
この構成によって、請求項1又は2の作用の他、以下の
作用が得られる。 (a)幼虫培地層と炭層とが透水性シートや仕切り板に
よって仕切られるので、水分を保持する底部の炭層に幼
虫が移動したり、蛹室を底部に形成させるのをするのを
防止して、羽化不良の発生を確実に阻止することができ
る。 (b)透水性シートが不織布や織布からなるので、幼虫
培地層の水分を下部の炭層に吸収させるのに必要な透水
性と、幼虫の移動を阻止する強度とを適正にバランスよ
く保持させることができる。 (c)仕切り板を硬い合成樹脂やステンレス等の金属、
陶磁器等のセラミックスで形成した場合には、長期間の
使用により腐ったり、変形したりすることがなく、また
幼虫によって削り取られることがなく耐久性に優れてい
る。 (d)仕切り板を底部に備えている場合、底部に水を貯
めることができ、炭層が水で飽和され吸着能を失うのを
防止できる。ここで、不織布や織布としては、麻や木綿
等天然繊維やポリエステル等の合成繊維を用いたものが
使用できる。仕切り板としては、合成樹脂製や金属製、
セラミックス製等の厚みが0.5〜4mmの円盤状の板
材に孔径が1〜5mm程度の透水孔を多数形成させたも
の等が適用でき、透水性シートに比べて強度があるので
幼虫飼育用菌糸ビンへ仕切り板をセットする際の取り扱
いが容易にできる。なお、仕切り板は分割したものを幼
虫飼育用菌糸ビンに挿入したり、ヒンジ部を用いて折り
畳んだものを挿入してビン内で開いて配置することがで
きる。
【0014】請求項4に記載の幼虫飼育用菌糸ビンは、
請求項3に記載の発明において、前記仕切り板が、ヒン
ジ部を有する合成樹脂板、木板、セラミックス板で形成
されて構成されている。この構成によって、請求項3に
記載の作用に加えて以下の作用を有する。 (a)仕切り板がヒンジ部を有するので、幼虫飼育用菌
糸ビン上部の開口部から折り畳んだ状態で仕切り板を挿
入することができ、硬い材料のものであっても仕切り板
として利用でき、耐久性に優れる。
【0015】請求項5に記載の幼虫飼育用菌糸ビンは、
請求項4に記載の発明において、前記仕切り板の底面に
2以上の脚部を備えて構成されている。この構成によっ
て、請求項4の作用の他、以下の作用が得られる。 (a)仕切り板の底面に2以上の脚部を備えているの
で、仕切り板を底部に配置した場合、その下部に水を貯
留し、炭層が水で濡れるのを防止でき、また、その上に
所定厚みの炭層を保持させたりすることが容易になり利
便性に優れている。 (b)仕切り板の上部に透水性シートを配置することに
より、炭層を保持できる。
【0016】請求項6に記載の幼虫飼育用菌糸ビンは、
請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の発明におい
て、前記幼虫培地層に炭層の粒子が混合されて構成され
る。この構成によって、請求項1乃至5の内いずれか1
項の作用の他、以下の作用が得られる。 (a)幼虫培地層に炭粉が所定量添加され分散されてい
るので、活性炭表面の微細気孔内に菌類を担持させて菌
類の成長を促進させることができる。 (b)活性炭に幼虫に対して有害な成分や過剰水分等を
吸着させることができ、幼虫の生育に適した環境を幼虫
培地層に形成させることができる。 (c)活性炭を幼虫培地層に添加するので、この添加量
を調整して、幼虫の生態や種類等に応じて生育に適した
良好な環境を設定することができる。
【0017】請求項7に記載の幼虫飼育用菌糸ビンは、
請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の発明におい
て、底部に水抜き孔が形成されて構成される。この構成
によって、請求項1乃至6の内いずれか1項の作用の
他、以下の作用が得られる。 (a)底部に開閉可能な水抜き孔が形成されているの
で、幼虫飼育用菌糸ビン内の幼虫の生態を観察しながら
その状態に応じて、水抜き孔を開閉して、水分の調節を
行って、幼虫飼育用菌糸ビン内の環境を適正に維持させ
ることができ、これによって幼虫羽化の羽化不良を防止
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
図面を参照しながら説明する。 (実施の形態1)図1は実施の形態1の幼虫飼育用菌糸
ビンの断面図である。図1において、10は実施の形態
1の幼虫飼育用菌糸ビン、11は幼虫の生育を維持させ
る水分と栄養分を保持し菌類が接種されたクヌギ等の砕
片を含む幼虫培地層、12は幼虫培地層11の下部に配
置された木炭粉粒子等の炭層、13は幼虫培地層11及
び炭層12を収納する円筒状に形成された透明なポリス
チレン製の容器本体、14は容器本体13の開口部を覆
うキャップ、14aはキャップ14の中央に配設された
フィルター部である。幼虫培地層11を形成する培地
は、以下ようにして作成した。まず、クヌギ95容量
%、米ぬか5容量%の配合物にヒラタケ等の菌種を接種
して水分を添加して混合する。次に、この混合物を容器
本体13又は他の容器に入れて保持して、所望の培地を
作成した。この培地の保持水分量は約48重量%(50
〜55重量%)であった。炭層12は、その粒径が0.
5〜10mmの木炭粉粒子を容器本体13の底部に菌糸
ビン10の深さに対して約5〜20%の厚みで敷き詰め
て形成した。この炭層12に前述の培地を所定量載せそ
の上部を均一な圧力で押圧して培地の充填度合を調整
し、必要により培地を補給することで幼虫飼育用菌糸ビ
ンの上部まで幼虫培地層11を形成させた。次に、甲虫
類であるクワガタの幼虫(1〜3齢)を幼虫培地層11
に埋め込むようにして入れ、必要に応じて、所定の水分
や栄養分等を適宜添加しながらキャップ14で幼虫飼育
用菌糸ビン10を密閉した状態で室温が18〜23℃の
屋内に保持して、幼虫を生育させた。こうして、最終的
に幼虫を幼虫飼育用菌糸ビン10に入れてから240〜
360日後に幼虫を羽化させ、大きさと形態に優れ、愛
玩用昆虫として付加価値の高いクワガタの成虫を得た。
【0019】実施の形態1の幼虫飼育用菌糸ビン10は
以上のように構成されているので、以下の作用を有す
る。 (a)幼虫飼育用菌糸ビン10がその底部に炭層12を
備えているので、悪臭等を発生させるアンモニウムイオ
ンやイオウ化合物、炭酸ガス等の有害成分を炭層に吸着
させて保持し、内部の衛生状態を良好に維持させること
ができ、幼虫を適正に生育させ生産性に優れている。 (b)幼虫がその蛹室を底部側に形成しても、直接水分
が幼虫に接触して羽化不良を生じることが少なく、幼虫
飼育用菌糸ビン10内に配置した幼虫培地層11を有効
に利用でき、経済性に優れる。 (c)下部に有害成分や過剰水分等を吸着して保持でき
る炭層を有するので、雑菌等の成長を防ぎ、幼虫飼育用
菌糸ビン10の幼虫の生育環境を好適に整えることが容
易になり、所望の大きさと形態を有した成虫を効率的に
生育させることができる。
【0020】(実施の形態2)図2は実施の形態2の幼
虫飼育用菌糸ビンの断面図である。図2において、20
は実施の形態2の幼虫飼育用菌糸ビン、21は幼虫の生
育環境を維持させる水分と栄養分を保持し菌類が接種さ
れたクヌギ等の砕片を含む幼虫培地層、22は幼虫培地
層21の下部に配置された木炭粉粒子等の炭成分及びゼ
オライト22aを含む炭層、23は幼虫培地層21及び
炭層22を収納する円筒状に形成されたガラス製の容器
本体、24は容器本体23の開口部を覆うキャップ、2
4aはフィルター部、25は幼虫培地層21及び炭層2
2間に配置されたポリエステル製の不織布や木綿製の織
布からなる透水性シートである。実施の形態2の幼虫飼
育用菌糸ビン20は、幼虫培地層21と炭層22との間
に透水性シート25を有する点と、炭層22にゼオライ
ト22aを含有させている点で実施の形態1の幼虫飼育
用菌糸ビン10と大きく異なっている。透水性シート2
5は幼虫がその生活環境となる幼虫培地層21から抜け
出て炭層22と直接接触するのを防止すると共に、幼虫
培地層21で生成した過剰水分や有害成分を選択的に透
過させ、透水性シート25の下部に配置された炭層22
に吸着保持させている。
【0021】なお、ゼオライト22aの代わりに、シラ
ス等の無機多孔体を用いてもよい。炭層へのゼオライト
の混合量は、木炭粉粒子粒子等の炭成分(a)とゼオラ
イト(b)の混合比がa/b=1/0.05〜0.05
/1で行われる。透水性シート25を用いる代わりに、
ヒンジ部を有する合成樹脂板、木板、セラミックス板で
形成された仕切り板を用いることもできる。この場合
は、ヒンジ部の部分で仕切り板を折り畳んだ状態でビン
の入り口から挿入して配置する。また、合成樹脂板が比
較的柔らかい場合は折り曲げた状態で中に挿入できる。
さらに、このような仕切り板に2以上の脚部を設けてお
けば、下部に所定の空間を形成でき、仕切り板の下部に
炭層を設ける際に設定が容易になる。また、仕切り板を
幼虫飼育用菌糸ビン10のビン底に配置し、脚部によっ
て形成される空間を幼虫飼育用菌糸ビン10内で生じる
自由水の貯留部として用いることも可能である。容器本
体23は熱伝導性の高いガラスで形成されており、これ
によって、幼虫飼育用菌糸ビン20の配置される室内や
屋外等の温度と、幼虫飼育用菌糸ビン20内の温度との
差を少なく保持して、幼虫の育成に適した温度条件を容
易に維持させることができる。なお、幼虫培地層21に
は必要に応じて、木炭粉粒子等の活性炭成分を含む粒子
を所定量、例えば1〜10重量%を含有させて、水分や
特定成分に対する吸着作用や菌類の担持作用等を利用し
て培地内の幼虫の生育環境を整えることで品質に優れた
健全な成虫を羽化させることも可能である。このような
粒子の含有量が1重量%より少ないと、前述の幼虫の生
育環境を整える効果が減退し、逆に10重量%を超える
と菌類が枯死するなどの弊害が生じるので好ましくな
い。
【0022】幼虫培地層21を形成する培地は、以下よ
うにして作成した。まず、クヌギ、ナラ、米ぬかの配合
物にエノキタケ等の菌種を接種して水分を添加して混合
した。次に、この混合物を容器本体23又は他の容器に
入れて所定条件で保持して、所望の培地を作成した。こ
の培地の保持水分量は約48重量%であった。炭層22
はその粒径が0.5〜2mmの木炭粉粒子とほぼ同様の
粒度のゼオライトの混合物からなり、この混合物を容器
本体23の底部に約5〜10mmの厚みで敷き詰めて形
成した。なお、木炭粉粒子(M)とゼオライト(Z)の
重量比(M/Z)は0.5〜2の範囲とした。これは重
量比(M/Z)が0.5より小さいと木炭粉粒子により
吸着することのできる有害成分の量が不足することにな
り、逆に2を超えるとゼオライトにより担持させること
のできる有害成分や菌類等が不足するからである。この
炭層22の上に透水性シート25を被せて配置した後、
前述の培地を所定量載せその上部を均一な圧力で押圧し
て培地の充填度合を調整し、必要により培地を補給する
ことで幼虫飼育用菌糸ビン20の上部まで幼虫培地層2
1を形成させた。次に、クワガタの幼虫(1〜3齢)を
幼虫培地層21に埋め込むようにして入れ、必要に応じ
て、所定の水分や栄養分等を適宜添加しながらキャップ
24で幼虫飼育用菌糸ビン20を密閉した状態で室温が
18〜22℃の屋内に保持して、幼虫を生育させた。最
終的に3齢後期の幼虫を幼虫飼育用菌糸ビン20に入れ
てから約45日後に幼虫を羽化させ、大きさと形態に優
れたクワガタの成虫を得た。
【0023】実施の形態2の幼虫飼育用菌糸ビン20は
以上のように構成されているので、実施の形態1の作用
に加えて、以下の作用を有する。 (a)炭層22がゼオライトの粒子を含有しているの
で、幼虫培地層21の水分を保持することのできる空間
が幼虫飼育用菌糸ビン20の底部に確保され、幼虫を効
果的に生育させることができ、その生産性に優れてい
る。 (b)ゼオライトを用いているので、多孔質であるゼオ
ライト粒子の表面に菌類等を担持させることができ、菌
類による有害物等の分解作用を有効に利用して、幼虫飼
育用菌糸ビン20内の幼虫の生育環境を良好に調整する
ことができる。 (c)幼虫培地層21と炭層22とが透水性シート25
によって仕切られるので、水分を保持する底部の炭層2
2に幼虫が移動したり、蛹室を底部に形成させるのをす
るのを防止して、羽化不良の発生を確実に阻止すること
ができる。 (d)透水性シート25が不織布や織布からなるので、
幼虫培地層21の水分を下部の炭層22に吸収させるの
に必要な透水性と、幼虫の移動を阻止する強度とを適正
にバランスよく保持させることができる。 (e)幼虫培地層21に活性炭の成分を所定量添加した
場合には、活性炭表面の微細気孔内に菌類を担持させて
菌類の成長を促進させることができる。 (f)さらに、木炭粉粒子などの活性炭成分を幼虫培地
層21に分散させることで、幼虫に対して有害な成分や
過剰水分等を木炭粉粒子に吸着させることができ、この
添加量を調整して、幼虫の生態や種類等に応じて生育に
適した良好な環境を設定することができる。
【0024】(実施の形態3)図3は実施の形態3の幼
虫飼育用菌糸ビンの断面図である。図3において、30
は実施の形態3の幼虫飼育用菌糸ビン、31は幼虫培地
層、32は幼虫培地層31の下部に配置された木炭粉粒
子等の活性炭及びゼオライトを含む炭層、33は幼虫培
地層31及び炭層32を収納する円筒状に形成されたポ
リエチレン製の容器本体、34は容器本体33の開口部
を覆うキャップ、34aはフィルター部、35は容器本
体33の底部の水抜き孔に設けられた水抜き管、36は
水抜き管35の端部を開閉自在に封止するための栓部で
ある。実施の形態3の幼虫飼育用菌糸ビン30は、容器
本体33の底部に水抜き孔を有している点で実施の形態
1の幼虫飼育用菌糸ビン10と異なっている。容器本体
33の底部に設けられる水抜き管35は、ビニールなど
の合成樹脂製チューブであり、容器本体33と一体に形
成するか、容器本体33の底部を穿孔して形成した水抜
き孔にネジ部などを設けてネジ切りした水抜き管35の
端部を着脱自在に取り付けたり、あるいは接着剤を介し
て固定してもよい。
【0025】なお、炭層32には、木炭粉粒子やゼオラ
イトなどの他に吸水性高分子や砂などを含有させること
も可能である。吸水性高分子を炭層32に適用した場合
には、炭層32の保水性を高めることができる。吸水性
高分子は、カルボキシル基、水酸基、エーテル基、アミ
ド基等の親水性の官能基を有する高分子であり、純水の
場合、高分子の自重の数百倍から千倍近くを急速に吸収
して、ゲル化固定する作用を有するものであり、澱粉に
アクリル酸塩をグラフト共重合させた澱粉系、カルボキ
シセルロースにアクリル酸塩をグラフト共重合させたセ
ルロース系、アクリル酸・ビニルアルコール共重合体、
アクリル酸重合体、アクリル酸・アクリルアミド重合
体、ポリエチレンオキシド変性物等の合成系のもの等が
適用できる。なお、吸水性高分子の形態としては顆粒
状、繊維状、ペレット状のものをシート状の担持体に担
持させたものや、これらを繊維にして不織布、織布等の
シート状にしたもの等を炭層32に用いることができ
る。また、炭層32に砂を配合した場合には、安価な材
料を用いて幼虫飼育用菌糸ビンを経済性に製造すること
ができる。
【0026】この炭層32の上に実施の形態1と同様に
作成した培地を所定量載せその上部を均一な圧力で押圧
して培地の充填度合を調整し、必要により培地を補給す
ることで幼虫飼育用菌糸ビン30の上部まで幼虫培地層
31を形成させた。次に、図3に示すように約1〜70
gのクワガタの幼虫(1〜3齢)を幼虫培地層31に埋
め込むようにして入れ、所定の水分や栄養分等を適宜添
加しながらキャップで幼虫飼育用菌糸ビン30を密閉し
た状態で保持して、幼虫を生育させた。この間、幼虫飼
育用菌糸ビン30内を観察して、炭層32に過剰の水分
が生じた場合には、水切り管35の排出口を下方に下げ
栓部36を外して、溜まった水分を抜き取ることで、幼
虫飼育用菌糸ビン30内における幼虫の生育環境が適正
に維持されるように調整して、羽化不良のない良好な成
虫が得られた。
【0027】実施の形態3の幼虫飼育用菌糸ビン30は
以上のように構成されているので、実施の形態1の作用
に加えて、以下の作用を有する。 (a)容器本体33の底部に開閉可能な水抜き孔が形成
されているので、幼虫飼育用菌糸ビン30内の幼虫の生
態を観察しながらその状態に応じて、水抜き孔を開閉し
て、水分の調節を行って、幼虫飼育用菌糸ビン30内の
環境を適正に維持させることができ、これによって幼虫
羽化の生産性を向上させることができる。 (b)炭層32に吸水性高分子を含有させた場合には、
一旦、吸水性高分子に吸水された水分が上部の幼虫培地
層31に戻るようなことがなく、羽化中の幼虫に水分が
直接接触することで生じる羽化不良等の異常成長を防止
して、幼虫飼育用菌糸ビン30内で成虫を効果的に羽化
させることができる。 (c)吸水性高分子が水分を吸収して膨張し、炭層32
の上部に配置された幼虫培地層を押し上げるので、これ
により幼虫培地層31に圧力を付与して、幼虫培地層の
圧密状態を良好に維持させ幼虫羽化の生産性を高めるこ
とができる。
【0028】
【発明の効果】請求項1に記載の幼虫飼育用菌糸ビンに
よれば、以下の効果が得られる。 (a)幼虫飼育用菌糸ビンがその底部に炭層を備えてい
るので、悪臭等を発生させ、生物に悪影響を与えるアン
モニウムイオンや、二酸化炭素等を活性炭に吸着させて
保持し、腐敗や悪臭を防止して内部の衛生状態を良好に
維持させることができ、幼虫を適正に生育させる生産性
に優れている。 (b)幼虫がその蛹室を底部側に形成しても、底部は木
炭粉粒子粒子により水分が吸着吸収されているので、水
分の影響を受けて羽化不良を生じることが少なく、配置
した幼虫培地層の上層から下層にわたる部分を有効に利
用でき、経済性に優れる。 (c)木炭粉粒子の殺菌効果等により雑菌等が入る余地
が少ないので、幼虫飼育用菌糸ビンの幼虫の生育環境を
所定の範囲に制御することが容易になり、所望の大きさ
と形態を有した成虫を効率的に生育させることができ
る。 (d)炭層は、その表面で水分の吸着蒸発を行うことで
菌糸ビン内部の湿度を所定範囲に維持させる湿度調整能
力を有しているため、幼虫の生育環境が整えられ、成虫
を良好に羽化させることができる。 (e)幼虫飼育用菌糸ビンに入れられた幼虫がその底部
に移動して炭層に接触すると餌等の栄養源がないことを
検知して再び上方に移動するので、底部の水分と幼虫と
の直接的な接触を効果的に防止できる。
【0029】請求項2に記載の幼虫飼育用菌糸ビンによ
れば、請求項1の効果の他、以下の効果が得られる。 (a)炭層がゼオライトや発泡パーライト等の無機多孔
体の粒子を含有しているので、幼虫培地層の水分を保持
することのできる空間が確保され、幼虫を効果的に生育
させることのできる生産性に優れている。 (b)ゼオライトを用いているので、多孔質のゼオライ
ト粒子等の無機多孔体の表面に菌類等を含む微生物を担
持させることができ、微生物による有害物等の分解効果
を有効に利用して、幼虫飼育用菌糸ビン内の幼虫の生育
環境を良好な状態に調整することができる。 (c)また、ゼオライトの粒子は木炭粒子とは異なる分
子量範囲の成分に対する吸着能力とイオン交換能力を有
するため、ゼオライトの粒子を含有した炭層は低分子量
から高分子量にわたる成分、例えばアンモニウムイオン
等を含む有害物質を吸着保持し、衛生状態をより良好に
維持させることができる。
【0030】請求項3に記載の幼虫飼育用菌糸ビンによ
れば、請求項1又は2の効果の他、以下の効果が得られ
る。 (a)幼虫培地層と炭層とが透水性シートや仕切り板に
よって仕切られるので、水分を保持する底部の炭層に幼
虫が移動したり、蛹室を底部に形成させるのをするのを
防止して、羽化不良の発生を確実に阻止することができ
る。 (b)透水性シートが不織布や織布からなるので、幼虫
培地層の水分を下部の炭層に吸収させるのに必要な透水
性と、幼虫の移動を阻止する強度とを適正にバランスよ
く保持させることができる。 (c)仕切り板を硬い合成樹脂やステンレス等の金属、
陶磁器等のセラミックスで形成した場合には、長期間の
使用により腐ったり、変形したりすることがなく、また
幼虫によって削り取られることがなく耐久性に優れてい
る。
【0031】請求項4に記載の幼虫飼育用菌糸ビンによ
れば、請求項3に記載の効果に加えて以下の効果を有す
る。 (a)仕切り板がヒンジ部を有するので、幼虫飼育用菌
糸ビン上部の開口部から折り畳んだ状態で仕切り板を挿
入することができ、硬い材料のものであっても仕切り板
として利用でき、耐久性に優れる。
【0032】請求項5に記載の幼虫飼育用菌糸ビンによ
れば、請求項4の効果の他、以下の効果が得られる。 (a)仕切り板の底面に2以上の脚部を備えているの
で、仕切り板の下部に所定厚みの空間を形成させること
ができ、この空間内に飼育部で生じる自由水等の水を溜
めたり、所定厚みの炭層を保持させたりすることが容易
になり利便性に優れている。
【0033】請求項6に記載の幼虫飼育用菌糸ビンによ
れば、請求項1乃至5の内いずれか1項の効果の他、以
下の効果が得られる。 (a)幼虫培地層に活性炭が所定量添加され分散されて
いるので、活性炭表面の微細気孔内に菌類を担持させて
菌類の成長を促進させることができる。 (b)活性炭に幼虫に対して有害な成分や過剰水分等を
吸着させることができ、幼虫の生育に適した環境を幼虫
培地層に形成させることができる。 (c)活性炭を幼虫培地層に添加するので、この添加量
を調整して、幼虫の生態や種類等に応じて生育に適した
良好な環境を設定することができる。
【0034】請求項7に記載の幼虫飼育用菌糸ビンによ
れば、請求項1乃至6の内いずれか1項の効果の他、以
下の効果が得られる。 (a)底部に開閉可能な水抜き孔が形成されているの
で、幼虫飼育用菌糸ビン内の幼虫の生態を観察しながら
その状態に応じて、水抜き孔を開閉して、水分の調節を
行って、幼虫飼育用菌糸ビン内の環境を適正に維持させ
ることができ、幼虫羽化の生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の幼虫飼育用菌糸ビンの断面図
【図2】実施の形態2の幼虫飼育用菌糸ビンの断面図
【図3】実施の形態3の幼虫飼育用菌糸ビンの断面図
【符号の説明】
10 実施の形態1の幼虫飼育用菌糸ビン 11 幼虫培地層 12 炭層 13 容器本体 14 キャップ 20 実施の形態2の幼虫飼育用菌糸ビン 21 幼虫培地層 22 炭層 23 容器本体 24 キャップ 25 透水性シート 30 実施の形態3の幼虫飼育用菌糸ビン 31 幼虫培地層 32 炭層 33 容器本体 34 キャップ 35 水抜き管 36 栓部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B011 AA01 BA06 BA13 EA03 GA03 HA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】幼虫の生育を維持させる水分と栄養分を保
    持し菌類が接種されたクヌギ、ブナ等の木質の砕片を含
    む幼虫培地層と、前記幼虫培地層の下部に配置された木
    炭粉粒子粒子、竹炭粉粒子粒子等で形成された炭層と、
    を飼育部に収納していることを特徴とする幼虫飼育用菌
    糸ビン。
  2. 【請求項2】前記炭層がゼオライトや発泡パーライト等
    の無機多孔体を含有していることを特徴とする請求項1
    に記載の幼虫飼育用菌糸ビン。
  3. 【請求項3】前記飼育部の前記幼虫培地層と前記炭層の
    間に配置された不織布や織布からなる透水性シートや透
    水孔を有した仕切り板、若しくは、前記飼育部の底部と
    前記炭層の間に配置された前記仕切り板を備えているこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の幼虫飼育用菌糸
    ビン。
  4. 【請求項4】前記仕切り板が、ヒンジ部を有する合成樹
    脂板、木板、セラミックス板のいずれか1で形成されて
    いることを特徴とする請求項3に記載の幼虫飼育用菌糸
    ビン。
  5. 【請求項5】前記仕切り板の底面に2以上の脚部を備え
    ていることを特徴とする請求項4に記載の幼虫飼育用菌
    糸ビン。
  6. 【請求項6】前記幼虫培地層に炭層の粒子が混合されて
    いることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項
    に記載の幼虫飼育用菌糸ビン。
  7. 【請求項7】底部に水抜き孔が形成されていることを特
    徴とする請求項1乃至6の内いずれか1項に記載の幼虫
    飼育用菌糸ビン。
JP2001101473A 2001-03-30 2001-03-30 幼虫飼育用菌糸ビン Expired - Fee Related JP3682240B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001101473A JP3682240B2 (ja) 2001-03-30 2001-03-30 幼虫飼育用菌糸ビン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001101473A JP3682240B2 (ja) 2001-03-30 2001-03-30 幼虫飼育用菌糸ビン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002291374A true JP2002291374A (ja) 2002-10-08
JP3682240B2 JP3682240B2 (ja) 2005-08-10

Family

ID=18954777

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001101473A Expired - Fee Related JP3682240B2 (ja) 2001-03-30 2001-03-30 幼虫飼育用菌糸ビン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3682240B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004138171A (ja) * 2002-10-18 2004-05-13 Seiji Kubo 水素貯蔵方法及び貯蔵装置
JP2007267667A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Nippon Doubutsu Yakuhin Kk 蟻飼育用セット
CN102972354A (zh) * 2012-12-04 2013-03-20 杭州市萧山区白蚁防治研究所 土白蚁属的室内饲养装置及饲养方法
KR101479108B1 (ko) 2013-05-21 2015-01-12 황덕구 곤충 애벌레 사육용 세트
CN110692600A (zh) * 2018-07-10 2020-01-17 中国林业科学研究院森林生态环境与保护研究所 星天牛幼虫人工饲料及星天牛的传代饲养方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004138171A (ja) * 2002-10-18 2004-05-13 Seiji Kubo 水素貯蔵方法及び貯蔵装置
JP2007267667A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Nippon Doubutsu Yakuhin Kk 蟻飼育用セット
CN102972354A (zh) * 2012-12-04 2013-03-20 杭州市萧山区白蚁防治研究所 土白蚁属的室内饲养装置及饲养方法
KR101479108B1 (ko) 2013-05-21 2015-01-12 황덕구 곤충 애벌레 사육용 세트
CN110692600A (zh) * 2018-07-10 2020-01-17 中国林业科学研究院森林生态环境与保护研究所 星天牛幼虫人工饲料及星天牛的传代饲养方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3682240B2 (ja) 2005-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101026265B1 (ko) 가정용 수족관 겸용 수경재배장치
KR101619664B1 (ko) 버섯균사체를 활용한 내열단열재 및 그의 제조방법
CN105706871B (zh) 一种含生物质活性炭种植海绵状基质及其制备方法
JP2016532449A (ja) 食用の宿根草花類及び球根類のための栽培管理器
KR101359047B1 (ko) 국화의 장기 저장묘 생산을 위한 식생매트의 조성방법
KR101859616B1 (ko) 양송이 재배용 복토재
US4311511A (en) Method for producing high-grade fertilizer
KR20130068290A (ko) 화단용 국화의 식재를 위한 매트 시스템
JP2002291374A (ja) 幼虫飼育用菌糸ビン
KR20110109346A (ko) 미생물이 활착된 다공질매체를 구비한 화분시스템
JP3806732B2 (ja) 植物育成用容体
KR100610526B1 (ko) 분변토를 이용한 버섯용 배지의 제조방법
JP2008199899A (ja) 人工培土およびこれを用いた植物栽培方法
JP2000199283A (ja) 抗菌調湿材、建築材、パネル材
JP3612300B2 (ja) 昆虫用産卵木及びその製造方法、昆虫飼育容器
JP2997442B2 (ja) 羽化前甲虫の飼育床および飼育方法
JP2003219760A (ja) 昆虫飼育材及びその製造方法
KR101951218B1 (ko) 표고버섯재배를 위한 원목을 이용한 장치 및 이를 이용한 표고버섯재배방법
JP2001045894A (ja) 植物栽培培地および養液栽培容器
Nirupa et al. Effect of casing soil thickness on growth and yield of milky mushroom (Calocybe indica)
JPS6227769B2 (ja)
JP4895684B2 (ja) カブトムシ幼虫の成長を促進する方法及び資材
KR20230083727A (ko) 공기정화 기능을 갖는 분수타입 수경화분
JP3085442U (ja) 炭を栽培用土とした植物生育器
KR100370837B1 (ko) 목질배지가충진된초화및엽채류목분재배용기와양액재배용고형배지

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050131

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050421

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050520

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080527

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110527

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees