JP2002290054A - 多層配線板およびその製造方法 - Google Patents

多層配線板およびその製造方法

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JP2002290054A
JP2002290054A JP2001085070A JP2001085070A JP2002290054A JP 2002290054 A JP2002290054 A JP 2002290054A JP 2001085070 A JP2001085070 A JP 2001085070A JP 2001085070 A JP2001085070 A JP 2001085070A JP 2002290054 A JP2002290054 A JP 2002290054A
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multilayer wiring
heating
insulating
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English (en)
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Kimiteru Tagawa
公照 田川
Ichiro Nakayama
一郎 中山
Koichi Yabuuchi
広一 藪内
Yoshito Uehara
義人 上原
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Mitsui Chemicals Inc
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PURINTEKKU KK
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高周波特性、機械的強度、加工性等に優れる積
層基板を提供すること。 【解決手段】ポリブタジエンまたはポリイソプレンを含
む絶縁基材の両面に配線層を備えた基板と、回路パター
ンの設けられた導電層とを、シート状基材にエポキシ樹
脂を含有する熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁樹脂層を介
して積層した構成の多層配線板とする。絶縁樹脂層と前
記導電層との接着強度を0.8kN/m以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品の実装に
用いられるプリント配線板に関し、特に高速電送性、高
周波特性に優れた電子部品の基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インターネット、LAN等のIT
関連の技術革新に伴い、光ケーブルを利用した大量のデ
ータ通信や、携帯電話等の基地局を利用したデジタル無
線通信、衛星を利用した通信が広く利用されるようにな
ってきた。これらのデータ通信では、多量のデータが送
受信される関係上、使用される電子機器に対し、周波数
の高周波化が求められることとなる。通信に必要な電子
機器は多岐に及び、ネットワークに使用されるルータ
ー、サーバー、LANスイッチ等、電子部品として使用
されるPLLシンセサイザー、VCO、BPフィルター
等、および、通信に使用される基地局、レーダー、ナビ
ゲーター、ダウンコンバーター、アンテナ等の電子機
器、部品が挙げられる。
【0003】これらの電子機器等の高周波化に伴い、配
線基板に対しても優れた高周波特性が望まれる。くわえ
て、多チャンネル化の為には多量の部品の搭載が必要と
されることから、配線の高密度化および多層化の要請に
充分に応え得る基板が求められている。
【0004】高周波特性に優れた基板としては、PTF
E、PPOに代表されるテフロン(登録商標)系の樹脂
を絶縁層に使用することが知られている。しかしなが
ら、テフロン系の樹脂を絶縁層に使用した基板は、一般
に曲げ強度が小さいため、部品を実装する為に樹脂厚み
を厚くする必要がある。したがって、インピーダンス、
インダクタンス整合をとるためには広幅な配線回路が必
要となり、面内での高密度配線の実現が困難となる。ま
た、テフロン系の樹脂は、銅箔等の配線層との熱圧着が
困難であるため、多層配線基板の加工が困難である。
【0005】このほか、高周波用途に適する基板として
種々の樹脂材料を用いたものが検討されているが、樹脂
層と導電層の間の接着強度が充分に得られない等、現在
の要求水準に応える基板は見出されていないのが現状で
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑み、高周波特性、機械的強度、加工性等に優れる積
層基板を提供することを目的とする。具体的には、多層
化後の絶縁層と配線層とのピール強度に優れ、高周波部
品の実装性に優れ、薄膜の絶縁層及び絶縁層の薄膜化に
伴いインピーダンス、インダクタンス整合が実現できる
狭幅配線となり、更に、多層化可能な高密度配線基板を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を行った結果、以下の発明に到達
した。 [1]ポリブタジエンまたはポリイソプレンを含む絶縁
基材の両面に配線層を備えた基板と、回路パターンの設
けられた導電層とが、シート状基材にエポキシ樹脂を含
有する熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁樹脂層を介して積
層してなる多層配線板であって、前記絶縁樹脂層と前記
導電層との接着強度が0.8kN/m以上であることを
特徴とする多層配線板。 [2]ポリブタジエンまたはポリイソプレンを含む絶縁
基材の両面に配線層を備える第一および第二の基板が、
シート状基材にエポキシ樹脂を含有する熱硬化性樹脂を
含浸させた絶縁樹脂層を介して積層してなる多層配線板
であって、前記絶縁樹脂層と前記第一および第二の基板
との接着強度が0.8kN/m以上であることを特徴と
する多層配線板。 [3][1]または[2]に記載の多層配線板におい
て、前記配線層の表面に黒化処理が施されたことを特徴
とする多層配線板。 [4][1]乃至[3]いずれかに記載の多層配線板に
おいて、前記シート状基材がガラスクロスであり、前記
絶縁樹脂層中の前記熱硬化性樹脂含有率が30〜70質
量%であることを特徴とする多層配線板。 [5][1]乃至[4]いずれかに記載の多層配線板に
おいて、前記基板を構成する前記絶縁基材は、2.4G
Hz〜70GHzの周波数領域における誘電率が3.0
以上4.0以下であり、該周波数領域における誘電正接
が0.0001以上0.01以下であることを特徴とす
る多層配線板。 [6][1]乃至[5]いずれかに記載の多層配線板に
おいて、前記絶縁樹脂層は、2.4GHz〜70GHz
の周波数領域における誘電率が3.0以上4.5以下で
あり、該周波数領域における誘電正接が0.0001以
上0.018以下であることを特徴とする多層配線板。 [7][1]乃至[6]いずれかに記載の多層配線板に
おいて、前記絶縁基材および前記絶縁樹脂層の吸水率
が、いずれも0.3%以下であることを特徴とする多層
配線板。 [8]ポリブタジエンまたはポリイソプレンを含む絶縁
基材の両面に配線層を備えた基板と、回路パターンの設
けられた導電層との間に、シート状基材にエポキシ樹脂
を含有する熱硬化性樹脂を含浸させたBステージ状態の
絶縁樹脂シートを配置する工程と、前記基板と前記導電
層とを加熱加圧下で積層成形する工程と、を含むことを
特徴とする多層配線板の製造方法。 [9]ポリブタジエンまたはポリイソプレンを含む絶縁
基材の両面に配線層を備える第一および第二の基板間
に、シート状基材にエポキシ樹脂を含有する熱硬化性樹
脂を含浸させたBステージ状態の絶縁樹脂シートを配置
する工程と、前記第一および第二の基板と前記絶縁樹脂
シートとを加熱加圧下で積層成形する工程と、を含むこ
とを特徴とする多層配線板の製造方法。 [10][8]または[9]に記載の多層配線板の製造
方法において、前記加熱加圧下で積層成形する工程の前
に、前記配線層を黒化処理することを特徴とする多層配
線板の製造方法。 [11][10]に記載の多層配線板の製造方法におい
て、前記黒化処理の後、48時間以内に前記加熱加圧下
で積層成形する工程を行うこと特徴とする多層配線板の
製造方法。 [12][8]乃至[11]いずれかに記載の多層配線
板の製造方法において、加熱加圧下で積層成形を行う
際、加熱温度を100℃〜250℃、加熱圧力を10k
g重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10分〜
180分とすることを特徴とする多層配線板の製造方
法。 [13][8]乃至[11]いずれかに記載の多層配線
板の製造方法において、前記加熱加圧下で積層成形する
工程は、加熱温度を100℃〜200℃、加熱圧力を1
0kg重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10
分〜180分とする条件で第一の加熱処理を行った後、
加熱温度を150℃〜250℃、加熱圧力を10kg重
/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10分〜18
0分とする条件で第二の加熱処理を行う工程であること
を特徴とする多層配線板の製造方法。 [14][8]乃至[11]いずれかに記載の多層配線
板の製造方法において、前記加熱加圧下で積層成形する
工程は、加熱温度を100℃〜200℃、加熱圧力を1
0kg重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10
分〜180分とする条件で第一の加熱処理を行った後、
加熱温度を150℃〜250℃、加熱圧力を10kg重
/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10分〜18
0分とする条件で第二の加熱処理を行い、次いで、加熱
温度を180℃〜250℃、加熱圧力を10kg重/c
2〜60kg重/cm2、加熱時間を10分〜180分
とする条件で第三の加熱処理を行う工程であることを特
徴とする多層配線板の製造方法。
【0008】ポリブタジエンやポリイソプレンを絶縁基
材とする基板は、高周波特性に優れる反面、銅箔等の導
電層や、配線層を備えた基板とのピール強度が不足しが
ちである。本発明は、かかる課題を解決するため、絶縁
樹脂層として、シート状基材にエポキシ樹脂を含有する
熱硬化性樹脂を含浸させたものを用いている。そして、
加熱加圧下で積層成形する際の条件を適切に選択するこ
とによって絶縁樹脂層と導電層の間、または絶縁樹脂層
と第一および第二の基板との間の接着強度を0.8kN
/m以上としている。上記構成を具備する本発明によれ
ば、高周波特性、機械的強度、加工性等に優れる積層基
板が提供される。
【0009】本発明において、2枚の基板の間に絶縁樹
脂シート(絶縁樹脂層)を配置して両基板を接着する構
成とすれば、より優れた接着力が得られる。基板間に絶
縁樹脂シート(絶縁樹脂層)を介在配置した構成を採用
すれば、基板に形成された配線層の表面処理は、銅箔の
表面処理に比べ、大きな製造上の困難を伴うことなく実
施することができる。このため、基板に形成された配線
層に対し、製造工程上の制約を比較的受けることなく、
黒化処理等の接着力を高める処理を行うことができる。
この結果、優れた層間接着力を安定的に実現することが
できるのである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明における基板は、ポリブタ
ジエンまたはポリイソプレンを含む絶縁基材(以下、適
宜、「コア層」と称する)の両面に配線層を備えた構成
を有する。コア層は、シート状基材に熱硬化性樹脂を含
浸させたもの等が用いられる。この熱硬化性樹脂はBス
テージ状態ではなく完全硬化した状態となっている。コ
ア層は、たとえば、酸化珪素粒子、ガラスクロス、ポリ
ブタジエンまたはポリイソプレンを主成分とする熱硬化
性樹脂を含む構成とすることができる。熱硬化性樹脂と
しては種々のものを用いることができ、ポリブタジエン
や、ブタジエン由来の構造単位を含有する共重合体が好
ましく、特に、2,2−ポリブタジエンが好ましい。こ
の場合、熱硬化性樹脂全体に対するポリブタジエンまた
はポリイソプレンの含有量は、50質量%以上とするこ
とが好ましい。
【0011】このような樹脂を用いれば、高周波特性が
顕著に改善される。本発明における基板の具体的態様と
しては、たとえば、シリカを5〜60体積%、ガラスク
ロスを10〜40体積%含有するものが挙げられる。ポ
リブタジエンまたはポリイソプレン以外の樹脂成分とし
ては、たとえばスチレン樹脂を副成分とすることができ
る。
【0012】本発明者の検討によれば、ポリブタジエン
またはポリイソプレンを含む絶縁基材を有する基板を使
用すると、銅箔などの配線層に対する接着力が不足する
傾向があることを確認している。この点、本発明によれ
ば、このような接着力不足の課題を有効に解決され、充
分な層間接着強度と優れた高周波特性を兼ね備える配線
板が提供される。
【0013】基板を構成する絶縁基材は以下の特性を有
することが好ましい。すなわち、2.4GHz〜70G
Hzの周波数領域における誘電率は、好ましくは3.0
以上4.0以下とし、上記周波数領域における誘電正接
は、好ましくは0.0001以上0.01以下、より好
ましくは0.0001以上0.007以下とする。この
ような絶縁基材を用いることにより、高周波信号の減衰
率を低減し、信号の電送を良好に行うことができる。絶
縁基材の比誘電率と誘電正接は、空洞共振器法および進
行波共振法により測定される。
【0014】本発明における絶縁樹脂層および絶縁樹脂
シートは、シート状基材に熱硬化性樹脂を含浸させたも
のであり、充填材や各種添加剤を含んでいてもよい。具
体的態様としては、プリプレグが挙げられる。本発明に
おいては、「絶縁樹脂シート」はBステージ状態のもの
を指し、これを加熱加圧下で積層成形した後の状態のも
のを「絶縁樹脂層」と称する。
【0015】絶縁樹脂層および絶縁樹脂シートを構成す
る熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ
樹脂含有量は、好ましくは30〜70質量%とする。こ
のようにすれば充分な層間接着強度が得られる。また、
エポキシ樹脂にPPE、PPO、フェノール系樹脂を副
成分とした、低誘電率と低誘電正接の特性を有する樹脂
組成物も使用できる。
【0016】本発明における絶縁樹脂層および絶縁樹脂
シートの具体的態様としては、たとえば、シリカを5〜
60体積%、ガラスクロスを10〜40体積%含有する
ものが挙げられる。なお、本発明において、絶縁樹脂層
および絶縁樹脂シートは、単数であっても複数であって
もよい。
【0017】本発明において、絶縁樹脂層は以下の特性
を有することが好ましい。すなわち、2.4GHz〜7
0GHzの周波数領域における誘電率は、好ましくは
3.0以上4.5以下、より好ましくは3.5以上4.
5以下とし、上記周波数領域における誘電正接は、好ま
しくは0.0001以上0.018以下、より好ましく
は0.0001以上0.015以下とする。このような
絶縁樹脂層を用いることにより、高周波信号の減衰率を
低減し、信号の電送を良好に行うことができる。絶縁樹
脂層の比誘電率と誘電正接は、空洞共振器法および進行
波共振法により測定される結果により測定することがで
きる。
【0018】本発明において、層間接着に用いる絶縁樹
脂層および絶縁樹脂シートは、構成要素としてシート状
基材を含み、また、基板を構成する絶縁基材もシート状
基材を含む構成とすることができる。このようなシート
状基材としては、ガラス繊維、紙、アラミド繊維等を例
示できる。また、充填材としては、有機フィラーおよび
無機フィラーが挙げられる。有機フィラーの具体例とし
ては、粉体エポキシ樹脂(例えばTEPIC)、メラミ
ン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、架橋アクリ
ルポリマー等が挙げられ、また、無機フィラーの具体例
としては、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸ジ
ルコニウム、酸化ジルコニウム、珪酸カルシウム、水酸
化カルシウム、シリカ等が挙げられる。また、各種添加
剤としては、硫酸バリウム、硫化珪素、タルク、クレ
ー、ベントナイト、カオリン、ガラス繊維、炭素繊維、
雲母、石綿等の充填剤、アエロジル等のチクソトロピー
性付与剤、フタロシアニン、フタロシアニングリーン、
フタロシアニンブルー、酸化チタン、カーボンブラック
等の着色用顔料、難燃剤、難燃助剤、消泡剤、密着性付
与剤、レベリング剤などが挙げられる。
【0019】本発明において、基板を構成する絶縁基材
や、層間接着に用いる絶縁樹脂層および絶縁樹脂シート
は、低吸水率であることが好ましい。吸水率の範囲とし
ては、0.3%以下の範囲が好ましい。このようにすれ
ば、吸湿する水分量による組成物の誘電率、誘電正接の
変化を抑制し、高周波の信号の電送特性に再現性が失わ
れることを防止できる。
【0020】本発明に係る多層配線板の製造方法におい
て、加熱加圧下で積層成形を行う際の条件は、下記
(i)〜(iii)のようにすることが好ましい。 (i)加熱温度を100℃〜250℃、加熱圧力を10
kg重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10分
〜180分とする。 (ii)加熱温度を100℃〜200℃、より好ましく
は100℃〜150℃、加熱圧力を10kg重/cm2
〜60kg重/cm2、加熱時間を10分〜180分と
する条件で第一の加熱処理を行った後、加熱温度を15
0℃〜250℃、より好ましくは160℃〜250℃と
し、加熱圧力を10kg重/cm2〜60kg重/c
2、加熱時間を10分〜180分とする条件で第二の
加熱処理を行う。第二の加熱処理は第一の加熱処理より
も高い温度で処理することが好ましい。また、第二の加
熱処理は第一の加熱処理よりも長時間、処理することが
好ましい。 (iii) (ii)の処理の後、加熱温度を180℃
〜250℃、加熱圧力を10kg重/cm2〜60kg
重/cm2、加熱時間を10分〜180分とする条件で
第三の加熱処理を行う。
【0021】上記の条件を採用することにより、層間接
着強度を充分に高くすることができる。特に(ii)や
(iii)のように多段階の工程とすれば、高い接着強
度を安定的に発現させることができる。また、2段階方
式、3段階方式で加熱することにより、加熱圧着時の積
層間のずれを最小にすることができる。
【0022】本発明の多層配線板の製造方法において、
加熱加圧下で積層成形する工程の前に、黒化処理を実施
する工程を行い、この工程の後、48時間以内に上記加
熱加圧下で積層成形する工程を行う構成とすることもで
きる。
【0023】銅箔などの配線層の表面をそのままの状態
にしておくと、加熱や吸湿により変質し、層間剥離等を
引き起こす原因となる。このようなトラブルを防止する
ため、酸化剤を用いて配線層表面に黒色酸化被膜を形成
させる黒化処理が有効となる。これにより、層間接着強
度が向上する。
【0024】本発明においては、層間接着強度を向上さ
せるため、黒化処理以外の表面処理を行っても良い。
【0025】ところで、上記のような黒化処理を行った
場合、処理プロセスによっては、製品ごとに層間接着強
度のばらつきが生じることがある。本発明において、黒
化処理後、48時間以内に積層成形を行うというプロセ
スを採用すれば、このような層間接着強度のばらつきを
顕著に低減することができる。
【0026】本発明における配線層や導電層の材料は、
導電性を有する金属及び非金属であれば使用できるが、
安価に入手できる材料として銅箔及び銅合金箔が好まし
い。銅箔及び銅合金箔の表面をNi、Zn、Cr、M
o、Co、In等による酸化防止皮膜を形成した箔が更
に好ましい。また、酸化防止及び十分なピール強度を得
る目的から、黒化処理、CZ処理、NBD処理、MD処
理等を行うことも好ましい。
【0027】配線層に回路を形成する方法については特
に制限はない。たとえば、配線層に露光現像可能なドラ
イフィルム(旭化成(株)製等)をラミネートした後、
露光・硬化・現像後、塩化鉄溶液、塩化銅溶液等でエッ
チングすることにより回路形成することができる。
【0028】多層配線板の配線層の層数に制限はない
が、4層〜30層程度が好ましい。層数を多くする場合
は、適宜、基板(コア材)の数を増やすこともこともで
きる、基板と絶縁層樹脂層を交互に積層配置し、これら
を加熱加圧下で成形すれば、所望の層数の配線板を得る
ことができる。
【0029】絶縁層間の配線方法としては、基板をNC
ドリルで穴あけを行い、無電解メッキ、電解メッキによ
り導電性金属の皮膜を形成し配線することができる。C
2レーザー、エキシマレーザー等により、絶縁層樹脂
に穴あけを行い、無電解メッキ、電解メッキ等により導
電性金属の皮膜を形成することもできる。また、導電性
シートに導電性バンプを形成し、この上にプリプレグを
積層し、貫通・熱圧着により貫通形配線を形成すること
もできる。
【0030】配線板形成後はプリント配線板の通常の方
法により製造できる。詳細には、ソルダーインキ(田村
化研社製、太陽インキ製)の塗布、露光・硬化・現像後
NI−Auメッキ、Agメッキ、フラックス等の電極形
成、シルク印刷による部品等の表示を行うことが好まし
い。
【0031】
【実施例】実施例1 コア層の表面および裏面に厚み18μmの銅箔が設けら
れた基板を用意した。コア層は、コア層全体に対して、
シリカ粒子50体積%、ガラスクロス25体積%、熱硬
化性樹脂25体積%を含有する構成となっている。熱硬
化性樹脂は、ポリブタジエン樹脂を主体とするものであ
る。コア層の厚みは約0.20mmである。
【0032】この基板を500mm×400mmに切り
出し、バフ研磨、ソフトエッチングを行った後、ドライ
フィルム(サンフォートAQ−3058:旭化成製)を
ラミネートした。露光機を使用し、あらかじめ銀塩フィ
ルムに信号ライン等の配線パターンを印刷したフィルム
を使いドライフィルムの露光を行った。その後、現像に
より不要なドライフィルムを除去し、エッチングにより
不要な銅箔を除去し、ついでドライフィルムを除去し
て、回路形成した基板を作製した。ついで、黒化還元処
理により、銅箔の表面層を還元処理した。
【0033】ガラスクロスを含有したエポキシ樹脂を主
体とした樹脂組成物の熱硬化前のBステージ樹脂(プリ
プレグ)、500mm×400mm、厚み0.1mmを
用意した。ガラスクロスと樹脂の比率を示す、樹脂含有
率は、52質量%であった。該回路形成したコア基板1
枚の両側にプリプレグ各2枚を使用し、18μmの導電
層(銅箔:GPS古河電工製)と積層を行い、熱プレス
機により、180℃、30kg/cm2、2時間加熱圧
着した。外層の銅箔プリプレグのピール強度を測定した
結果、1.5kN/mであり接着力としては十分な特性
であった。また、内層銅箔との接着力を調べる目的で銅
箔のシャイン面に黒化還元処理を実施したサンプルを用
意し、該条件と同条件で熱圧着を行った。黒化還元処理
面とのピール強度を測定した結果、1.0kN/mであ
り、内層としても十分な特性であった。
【0034】以上により得られた基材に対し、NCドリ
ルにより0.2mm径の穴あけを行い、デスミア処理し
た後、無電解メッキと電解メッキにより厚み20μm銅
メッキを行った。その後、基材の銅表面をバフ研磨及び
ソフトエッチングを実施後、ドライフィルム(サンフォ
ートAQ−3058:旭化成製)をラミネート後、基板
の回路を印刷した銀塩フィルムを使用して露光を行い、
その後、現像により不要なドライフィルム除去しエッチ
ングにより銅箔の除去および硬化したドライフィルムの
除去を行い、所定の回路形成を行った。最細配線仕様
は、ライン/スペースは、100μm/100μmでス
ルーホール部のランド径0.4mm、最小パッド径は、
0.2mmで作製した。その後ソルダーレジスト(田村
化研社製)塗布、露光・現像により、所定の電極部のソ
ルダーレジスト除去を行った。その後、Ni−Auメッ
キを行い部品実装部の電極を作製した。製造した多層配
線板は、はがれやふくれがなく、良好な外観であった。
【0035】基板の信頼性評価として、熱衝撃試験(2
60℃20秒と25℃20秒の繰り返し試験)を400
回行った結果、信号回路の抵抗の変化率0.1%未満で
あり信頼性の高い基板であった。また出来た基板を煮沸
し吸湿後半田槽に288℃10秒間浸漬した半田耐熱試
験を実施した結果、はがれ膨れが見られず、部品実装特
性についても十分な特性を有していた。この結果から、
外層、内層の銅箔とのピール強度が、0.8kN/m以
上であることから、スルーホールの信頼性、配線回路の
信頼性が高いプリント配線板であることが確認された。
【0036】また、加熱成型後の絶縁層の誘電率、誘電
正接、吸水率測定する目的で、各樹脂組成物を該加熱圧
着条件の温度と時間で加熱したサンプルを作製した。誘
電率、誘電正接は、空間共振器法により、2.4GH
z、4GHz、12GHz、24GHzの特性を、また
進行波共振法により、70GHzの特性を測定した。珪
素粒子を50体積%含有し、ガラスクロスを25体積%
含有するブタジエンを主体とする樹脂組成物は、2.4
GHz〜24GHzの範囲で、誘電率3.6、誘電正接
0.002〜0.004であり、70GHzでは、誘電
率3.6、誘電正接0.002であった。ガラスクロス
を含有するエポキシ樹脂を主体とする樹脂組成物は、
2.4〜24GHzの範囲で、誘電率3.8、誘電正接
0.010〜0.012であった。また、吸水率は、ブ
タジエン系樹脂組成物で0.06%、エポキシ系樹脂組
成物では0.20%であった。いずれの絶縁層も高周波
伝送特性に優れていた。
【0037】実施例2 実施例1と同様の基板(コア材)を使用した。回路形成
したコア材6枚を使用し、黒化処理還元後コア材間に実
施例1同様のプリプレグを使用し、実施例1と同様に加
熱圧着した。黒化還元処理から熱圧着までの時間は、2
4時間であった。NC穴あけを実施後ソルダーレジスト
工程、電極工程を経て基板を製造した。基板の回路層は
12層の多層板であった。
【0038】実施例1同様に熱衝撃試験と半田耐熱試験
を実施した結果、電気抵抗の変化率0.1%未満で、半
田ふくれ・はがれのない信頼性の高い基板であった。外
層の銅箔とのピール強度は、1.5kN/mであった。
また内層のピール強度測定は、モデル的にピール強度測
定用サンプルを作製し、黒化還元処理面のピール強度測
定を行った結果、1.0kN/mの良好な結果を得た。
また、実施例1と同様に誘電率、誘電正接、吸水率の測
定を行った。コア材に使用したブタジエンを主体とした
樹脂組成物は、2.4GHz〜70GHzの誘電率は
3.6であり、誘電正接は0.002〜0.004、吸
水率0.06%であった。また、エポキシを主体とした
樹脂組成物は、誘電率は3.8、誘電正接は0.010
〜0.012、吸水率は0.2%であり、高周波伝送特
性に優れたプリント配線基板であった。
【0039】実施例3〜7 プレス温度、圧力、時間を変更した以外は、実施例2と
同様に基板を製造した。得られた結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】比較例1 実施例1同様のコア材を用意し、実施例1と同様に回路
形成した。酸化ケイ素粒子が50体積%含有し、ガラス
クロスを25体積%含有するブタジエンを主体とする熱
硬化性樹脂のBステージのプリプレグを用意した。コア
材を中心に500mm×400mm18μm銅箔(GT
S:古川電工製)をコア材の両面にプリプレグ0.1m
mを2枚挟み、実施例1と同様に加熱圧着を実施した。
その後外装の回路形成を行い4層プリント配線板を作製
した。実施例1同様に外層の銅箔とプリプレグとのピー
ル強度を測定した結果、0.12kN/mであり、ま
た、実施例1同様にモデル的に内層の導電層とのピール
強度を測定した結果、0.45kN/mであった。外層
と内層の導電層と絶縁層との接着力が乏しく、プリント
配線基板として不十分な特性であった。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
周波特性、機械的強度、加工性等に優れる積層基板が提
供される。具体的には、多層化後の絶縁層と配線層との
ピール強度に優れ、高周波部品の実装性に優れ、薄膜の
絶縁層及び絶縁層の薄膜化に伴いインピーダンス、イン
ダクタンス整合が実現できる狭幅配線となり、更に、多
層化可能な高密度配線基板が提供される。
フロントページの続き (72)発明者 中山 一郎 神奈川県厚木市戸室五丁目32番1号 株式 会社プリンテック内 (72)発明者 藪内 広一 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 上原 義人 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 Fターム(参考) 5E346 AA02 AA12 AA15 AA43 AA60 CC04 CC08 CC09 CC21 CC32 CC34 CC37 DD12 DD32 EE14 EE18 EE19 FF15 GG15 HH03 HH06 HH11 HH26

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリブタジエンまたはポリイソプレンを
    含む絶縁基材の両面に配線層を備えた基板と、回路パタ
    ーンの設けられた導電層とが、シート状基材にエポキシ
    樹脂を含有する熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁樹脂層を
    介して積層してなる多層配線板であって、前記絶縁樹脂
    層と前記導電層との接着強度が0.8kN/m以上であ
    ることを特徴とする多層配線板。
  2. 【請求項2】 ポリブタジエンまたはポリイソプレンを
    含む絶縁基材の両面に配線層を備える第一および第二の
    基板が、シート状基材にエポキシ樹脂を含有する熱硬化
    性樹脂を含浸させた絶縁樹脂層を介して積層してなる多
    層配線板であって、前記絶縁樹脂層と前記第一および第
    二の基板との接着強度が0.8kN/m以上であること
    を特徴とする多層配線板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の多層配線板に
    おいて、前記配線層の表面に黒化処理が施されたことを
    特徴とする多層配線板。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3いずれかに記載の多層配
    線板において、前記シート状基材がガラスクロスであ
    り、前記絶縁樹脂層中の前記熱硬化性樹脂含有率が30
    〜70質量%であることを特徴とする多層配線板。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4いずれかに記載の多層配
    線板において、前記基板を構成する前記絶縁基材は、
    2.4GHz〜70GHzの周波数領域における誘電率
    が3.0以上4.0以下であり、該周波数領域における
    誘電正接が0.0001以上0.01以下であることを
    特徴とする多層配線板。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5いずれかに記載の多層配
    線板において、前記絶縁樹脂層は、2.4GHz〜70
    GHzの周波数領域における誘電率が3.0以上4.5
    以下であり、該周波数領域における誘電正接が0.00
    01以上0.018以下であることを特徴とする多層配
    線板。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6いずれかに記載の多層配
    線板において、前記絶縁基材および前記絶縁樹脂層の吸
    水率が、いずれも0.3%以下であることを特徴とする
    多層配線板。
  8. 【請求項8】 ポリブタジエンまたはポリイソプレンを
    含む絶縁基材の両面に配線層を備えた基板と、回路パタ
    ーンの設けられた導電層との間に、シート状基材にエポ
    キシ樹脂を含有する熱硬化性樹脂を含浸させたBステー
    ジ状態の絶縁樹脂シートを配置する工程と、前記基板と
    前記導電層とを加熱加圧下で積層成形する工程と、を含
    むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリブタジエンまたはポリイソプレンを
    含む絶縁基材の両面に配線層を備える第一および第二の
    基板間に、シート状基材にエポキシ樹脂を含有する熱硬
    化性樹脂を含浸させたBステージ状態の絶縁樹脂シート
    を配置する工程と、前記第一および第二の基板と前記絶
    縁樹脂シートとを加熱加圧下で積層成形する工程と、を
    含むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8または9に記載の多層配線板
    の製造方法において、前記加熱加圧下で積層成形する工
    程の前に、前記配線層を黒化処理することを特徴とする
    多層配線板の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の多層配線板の製造
    方法において、前記黒化処理の後、48時間以内に前記
    加熱加圧下で積層成形する工程を行うこと特徴とする多
    層配線板の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項8乃至11いずれかに記載の多
    層配線板の製造方法において、加熱加圧下で積層成形を
    行う際、加熱温度を100℃〜250℃、加熱圧力を1
    0kg重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10
    分〜180分とすることを特徴とする多層配線板の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 請求項8乃至11いずれかに記載の多
    層配線板の製造方法において、前記加熱加圧下で積層成
    形する工程は、加熱温度を100℃〜200℃、加熱圧
    力を10kg重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間
    を10分〜180分とする条件で第一の加熱処理を行っ
    た後、加熱温度を150℃〜250℃、加熱圧力を10
    kg重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10分
    〜180分とする条件で第二の加熱処理を行う工程であ
    ることを特徴とする多層配線板の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項8乃至11いずれかに記載の多
    層配線板の製造方法において、前記加熱加圧下で積層成
    形する工程は、加熱温度を100℃〜200℃、加熱圧
    力を10kg重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間
    を10分〜180分とする条件で第一の加熱処理を行っ
    た後、加熱温度を150℃〜250℃、加熱圧力を10
    kg重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10分
    〜180分とする条件で第二の加熱処理を行い、次い
    で、加熱温度を180℃〜250℃、加熱圧力を10k
    g重/cm2〜60kg重/cm2、加熱時間を10分〜
    180分とする条件で第三の加熱処理を行う工程である
    ことを特徴とする多層配線板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011517112A (ja) * 2008-04-10 2011-05-26 ワールド・プロパティーズ・インコーポレイテッド 結合性が改良された回路材料およびその製造方法と製造物品

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