JP2002287154A - 複合型スペーサおよびそれを用いた液晶表示パネル - Google Patents

複合型スペーサおよびそれを用いた液晶表示パネル

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JP2002287154A
JP2002287154A JP2001088463A JP2001088463A JP2002287154A JP 2002287154 A JP2002287154 A JP 2002287154A JP 2001088463 A JP2001088463 A JP 2001088463A JP 2001088463 A JP2001088463 A JP 2001088463A JP 2002287154 A JP2002287154 A JP 2002287154A
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Shinichi Hibino
信一 日比野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特別なプロセスを付加することなく接着剤に
混入して接着力を確保することができる複合型スペー
サ、およびこれを用いて表示面積の低下を生じることな
く精度よくシールされた液晶表示パネルを提供する。 【解決手段】 複数の円柱形のガラスファイバまたは高
弾性率の弾性体などのスペーサ構成部材1を束ねて固着
するか、または、円柱形ガラスファイバまたは高弾性率
の弾性体の表面が粒状プラスチック材で覆われ、表面に
凹部1aを有する複合型スペーサ3を作製し、これを混
入した接着剤を用いて2枚の表示電極が形成された基板
間を貼合せ、その基板間に液晶材を封入して液晶表示パ
ネルを作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示パネルに
用いられるスペーサ、およびそのスペーサをシール部に
用いた液晶表示パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、液晶表示パネルのシール部に
は、たとえば特開昭62−63919号公報に開示され
た技術が用いられている。この技術には、円柱形のガラ
スファイバなどの硬質な無機質スペーサを混入した熱硬
化性接着剤を印刷して貼合せて熱硬化接着する手法が用
いられている。
【0003】この従来の技術では、パネルのセル厚の精
度を上げるためにスペーサの散布量を増やした場合、ス
ペーサと接着剤との線膨張係数の違いによる内部応力の
増大と、接着層の接着面積の減少とによって、接着力が
低下するという問題がある。
【0004】また、表示パネルの上下電極基板間の電気
的接続(コモン転移)をとる場合、プラスチック系コモ
ン転移材(樹脂ボール金属メッキ方式、導電材埋込み方
式)で、低抵抗の接触抵抗を得るために、強い圧力を加
えて貼合せることができないという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のようなスペーサ
を混入した接着剤の接着性を改善するために、特開平3
−127029号公報においてスペーサを紫外線硬化型
接着剤で被覆する技術が開示されている。このような構
造のスペーサ材では、シール部の間隙の制御性が不充分
となるだけでなく、紫外線照射プロセスを付加しなけれ
ばならないという問題点がある。
【0006】また、接着剤の接着力は、パネルサイズが
大型化するに伴って低下するので、この点を解消するた
めの技術が特許番号第2656023号公報において提
案されている。この技術では、スペーサを含む接着剤で
あるシール樹脂によってパネル外周部に接着層を配し、
その接着層からの突起部をパネルの非表示部域に設け
て、接着力を補強している。これによってシール部域が
増加するので、特に、透過型で背景を光透過し、白色と
するノーマリホワイト型において、表示に用いる面積が
低下するという問題点が生じる。
【0007】本発明の目的は、特別なプロセスを付加す
ることなく接着剤に混入して接着力を確保することがで
きる複合型スペーサ、およびこれを用いて表示面積の低
下を生じることなく精度よくシールされた液晶表示パネ
ルを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の円柱形
のスペーサ構成部材が束ねられ、各スペーサ構成部材が
相互に接着材で固着されて表面に凹部が設けられている
ことを特徴とする複合型スペーサである。
【0009】本発明に従えば、複数の円柱形のスペーサ
構成部材を束ねて表面に凹部を設けた複合型スペーサで
あるので、複数の円柱形のスペーサ構成部材を簡単に束
ねただけで凹部を構成でき、該複合型スペーサを混入し
た接着材を用いて表示パネルの両基板を貼合せれば、接
着材で埋められた凹部と接する電極基板との界面では内
部応力が発生しないので、接着力に寄与することができ
る。
【0010】本発明による別の例は、円柱形のスペーサ
構成部材の表面が、粒状のプラスチック材で覆われて表
面に凹部が設けられていることを特徴とする複合型スペ
ーサである。
【0011】本発明に従えば、円柱形のスペーサ構成部
材の表面を粒状のプラスチック材で覆って表面に凹部を
設けた複合型スペーサであるので、該複合型スペーサを
混入した接着材を用いて表示パネルの両基板を貼合せれ
ば、凹部に埋められた接着材が接着力に寄与して接着力
を確保することができるだけでなく、表面のプラスチッ
ク材によって、圧力の局所集中が避けられるので、表示
パネルの基板の貼合せ時に圧力を充分かけることがで
き、プラスチック系コモン転移部の接触抵抗を低減する
ことができる。
【0012】本発明は、前記円柱形のスペーサ構成部材
が、ガラスファイバまたは高弾性率を有するプラスチッ
クの弾性体であることを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、円柱形のスペーサ構成部
材が、ガラスファイバまたは高弾性率を有するプラスチ
ックの弾性体であるので、スペーサに通常使用される材
料で複合型スペーサを構成することができる。
【0014】本発明によるさらに別の例は、前記複数の
円柱形のスペーサ構成部材は、複数の円柱形のスペーサ
構成部材が並べられて配置された層が、複数層積層され
ていることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、複数の円柱形のスペーサ
構成部材のアレイ層が複数層積層されているので、複合
型スペーサにおける凹部の占有率が大きく、かつ円柱形
のスペーサ構成部材を長くしても折れにくくなる。
【0016】本発明は、2枚の表示電極が形成された基
板間が、請求項1〜6のいずれか記載の複合型スペーサ
が混入された接着剤で貼合され、その基板間に液晶材が
封入されていることを特徴とする液晶表示パネル。
【0017】本発明に従えば、前記複合型スペーサを混
入した接着材により基板間が接着されているので、表示
面積を低下することなく接着力および高精度のセル厚を
確保した液晶表示パネルを提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態による複合型
スペーサは、接着材に混入するスペーサであって、その
表面に凹部を有する。該複合型スペーサは、実施の一形
態による積層型と、実施の他の形態による被覆型とに分
けられる。
【0019】図1(A)は、本発明の実施の一形態によ
る積層型の複合型スペーサの一例の構成を示す斜視図で
ある。図1(B)は、図1(A)の切断面線I−Iから
見た断面図である。複合型スペーサ3は、3本の円柱形
スペーサ構成部材1が、長さを揃えて互いに接するよう
に束ねられた状態で、束の中心部が接着材2で埋められ
て構成されている。複合型スペーサ3の表面には、凹部
1aが形成されている。円柱形スペーサ構成部材1はガ
ラスファイバであり、接着材2としては、複合型スペー
サ3を混入する貼合せ用接着材よりガラス転移温度(T
g点)の高い材料が用いられる。上記材料を選定するこ
とにより、貼合せ用接着材に混入して接着に用いる際
に、複合型スペーサ3が変形するようなことがない。円
柱形スペーサ構成部材1の材質は、硬質で高弾性率を有
するプラスチックでもよい。たとえば弾性係数(ヤング
率)が7以上のフェノール樹脂(ガラス繊維入)、ポリ
エステル樹脂(ガラス繊維入)、ポリカーボネートなど
を用いることができる。
【0020】複合型スペーサ3は、平面状で隣接する2
本の円柱形スペーサ構成部材1の間と、その上部に接着
材2が塗布され、接着材2が塗布された上層部に1本の
円柱形スペーサ構成部材1を配置して接着材2を被着さ
せた後、接着材2が加熱硬化されて形成される。
【0021】円柱形スペーサ構成部材などの複合型スペ
ーサに用いられる材料と、それらの弾性係数、線膨張係
数などの物性を表1に示す。複合型スペーサ用材料とし
ては、一般的なガラスファイバ、ポリカーボネート、ポ
リスチレン、エポキシ樹脂などを挙げた。
【0022】
【表1】
【0023】図2(A)は、本発明の実施の一形態によ
る積層型の複合型スペーサの別の例の構成を示す斜視図
である。図2(B)は、図2(A)の切断面線I−Iか
ら見た断面図である。複合型スペーサ13は、3本の円
柱形スペーサ構成部材1を4本にした以外は、図1に示
した複合型スペーサ3と同様である。
【0024】図3は、本発明の実施の一形態による積層
型の複合型スペーサのまた別の例の構成を示す斜視図で
ある。複合型スペーサ23は、4〜15本位の円柱形ス
ペーサ構成部材1を平面上に軸方向を平行に並べた一層
のアレイ上に、同様の一層のアレイが互いに軸方向を直
交して積層され、各円柱形スペーサ構成部材1間が接着
材2で埋められた構造である。複合型スペーサ23の表
面には凹部1aが形成されている。円柱形スペーサ構成
部材1の材質は、複合型スペーサ3,13と同様であ
る。
【0025】複合型スペーサ23は、テフロン(登録商
標)などの離型処理したシート上に接着剤を薄膜状に塗
布し、円柱形スペーサ構成部材1であるガラスファイバ
を並べて加熱する。接着剤を加熱硬化させてガラスファ
イバ同士を固着し、シート状の一層のファイバアレイを
作製する。その上に同様の処理をしたもう一層のファイ
バアレイを積層固着させ、表面に凹部1aが形成された
複合型スペーサ23とする。なお、複合型スペーサ23
は、2層に限らず3層以上としても、一層としてもよ
い。一層のファイバアレイの場合は、ファイバの長さよ
り狭い幅で帯状に接着剤薄膜をシート上に塗布し、ファ
イバを並べ、加熱硬化し、ガラスファイバアレイ状で表
面に凹部が形成された複合型スペーサとする。
【0026】以上のような凹部を有する積層型の複合型
スペーサを混入した接着材を用いて、表示パネルの両基
板を貼合せれば、接着材で埋められた凹部と接する電極
基板との界面では内部応力が発生しないので、その分が
接着力に寄与することになる。
【0027】このような凹部を有する複合型スペーサを
混入した接着材と、従来の凹部を持たないスペーサ、た
とえばガラスファイバそのものを混入した接着材との接
着力の差について説明する。
【0028】図4は、複合型スペーサ混入接着材と従来
のスペーサ混入接着材との接着力の差異を説明するため
の模式図である。図4(A)は、複合型スペーサを含む
複合型スペーサ混入接着材の層と基板との界面状態を示
す。図4(B)は、従来の凹部を持たないスペーサを含
むスペーサ混入接着材の層と基板との界面状態を示す。
複合型スペーサ混入接着材の層と基板との界面は、複合
型スペーサと基板とが接する領域の面積(SB1)と、
複合型スペーサの凹部にある接着材と基板とが接する領
域の面積(SC)と、接着材と基板とが接する領域の面
積(SA1)とから成る。従来のスペーサ混入接着材の
層と基板との界面は、従来のスペーサと基板とが接する
領域の面積(SB2)と、接着材と基板とが接する領域
の面積(SA2)とから成る。
【0029】複合型スペーサ混入接着材の接着力F1お
よび従来のスペーサ混入接着材の接着力F2は、各々、
式(1)および(2)のように表される。 F1=SA1×(F−U)+SC×F …(1) F2=SA2×(F−U) …(2) (式(1)および(2)中、Fは単位面積当たりの接着
力、Uは単位面積当たりの内部応力を示す。)
【0030】図4のように一定面積の界面において、各
スペーサが基板と接する領域の面積を等しく(SB1=
SB2)して、各スペーサを混入する接着材が基板と接
する領域の面積を等しく(SA1+SC=SA2)なる
場合の両スペーサの接着力F1とF2とを比較する。こ
の場合、複合型スペーサの凹部の面積(SC)は、SC
=SA2−SA1となり、接着力の差(F1−F2)は
SC×Uとなる。したがって、複合型スペーサ混入接着
材は従来のスペーサ混入接着材に比して接着力が増大す
ることが判る。
【0031】内部応力Uの発生因として種々の要因が考
えられ、接着材と被着体との線膨張係数の差、接着材と
スペーサとの線膨張係数の差、接着材の弾性係数(ヤン
グ率)、接着材のガラス転移温度(Tg点)と室温との
差が主要因と考えられる。各要因が大きくなると、それ
に比例して内部応力Uが大きくなると考えられる。しか
し、複合型スペーサ混入接着材において、凹部を埋める
接着層は内部応力Uの増大に関与しないので、従来のス
ペーサ混入接着材に比べて接着力は増大する。凹部を埋
める接着層が内部応力Uの増大に関与しないのは、凹部
領域の接着層の歪みが小さいか、または吸着作用による
と考えられる。
【0032】以上の接着力について、より具体的に、図
2(A)および(B)に示した複合型スペーサを例に説
明する。
【0033】図2(A)および(B)に示す複合型スペ
ーサの構造で、半径1.25μm×長さLμm=10μ
m)のファイバを束ね、圧縮率2%の場合の接触面積
(SB1)を、従来のガラスファイバ(半径2.5μm
×長さLμm)における接触面積(SB2)、すなわち
0.5μm×Lμmと同じとすれば、凹部の面積(S
C)は、約2.25μm×Lμmとなる。
【0034】この従来のスペーサのSB2値は、以下の
式(3)および(4)により、パネル圧力Pを1kg/
cm2、スペーサ混入密度17個/mm2、L=10μm
に対して、表1に示したガラスファイバの弾性係数と、
接触面の幅0.5μmとを用いて算定した。式(3)お
よび(4)は、材料力学演習2(鵜戸口英善他6名、培
風館、144〜145頁、初版15刷)に示される変位
uの式を変形して導出した式であり、後述する図7にお
いてrm=0としたときの式である。
【0035】
【数1】 (式(3)および(4)中、γはポアッソン比、rは円
柱の半径、roは外側円筒の半径、Eは円柱の弾性係
数、Poは円柱部に加わる圧力を示す。)
【0036】1cm2当たり17×100個のスペーサ
構成部材の凹部の接着層では内部応力をほぼ無視でき、
従来のスペーサ混入接着材に比べ、複合型スペーサとの
接着力は、前述のようにSC×内部応力Uだけ増加す
る。したがって、この場合の接着力の増加は、内部応力
として、工業材料(22〜28頁、1985年33巻2
号)の表1に示される値83.1kg/cm2を用いて
算定すると、凹部の接着材の接着力により0.03kg
となる。
【0037】また、複合型スペーサにおいて30μm位
までの長いスペーサ構成部材を用いることによって接触
面積が大きくなり、圧力を大きくしても、セル厚の変動
を一定レベルに押さえることができる。
【0038】さらに、図3に示した2層のファイバアレ
イの軸方向を互いに直交させる積層構造では、凹部の占
有率が大きく、かつファイバの長いスペーサ構成部材を
用いても折れにくくなる。また、複合材料基礎工学(日
刊工業新聞社)の240〜247頁にも開示されている
ように、ファイバの長さ方向と長さ方向に対して直角方
向との伸びやすさの違いを上下層で打ち消し合うことに
よって、ファイバアレイ全体にかかる応力を等方化でき
る。たとえば3層の場合、積層ファイバアレイの構造に
おいて、接触する上下のファイバアレイのファイバの長
さ方向の軸を60度ずらして重ね、弾性係数を等方的に
した複合型スペーサによって、接着層での歪み応力を等
方化できる。このようなファイバアレイ構造の複合型ス
ペーサを、表1に示したエポキシ樹脂とは異なる成分の
エポキシ樹脂であって、表1の特性(引張弾性係数他)
例より弾性係数が大きいエポキシ樹脂に混入すると、同
じエポキシ樹脂に混入した従来構造のスペーサに比べ、
より折れにくくなって有利である。
【0039】以上のように、凹部を有する積層型の複合
型スペーサを混入した接着材を用いて、表示パネルの両
基板を貼合せると、接着材で埋められた凹部と接する電
極板の界面での内部応力を低減でき、凹部が接着力に寄
与することになる。したがって、凹部を有する積層型の
複合型スペーサを混入した接着材は、凹部のない従来の
スペーサを混入した接着材に比べて接着力が増大するこ
とになる。このような複合型スペーサを用いれば、シー
ル樹脂に突起部を設ける従来例のように表示パネルにお
ける表示部の面積を減少することもない。
【0040】図5(A)は、本発明の実施の他の形態に
よる被覆型の複合型スペーサの一例の構成を示す斜視図
である。図5(B)は、図5(A)の切断面線III−
IIIから見た断面図である。図6は、図5(A)の複
合型スペーサのC1−C2間の展開図である。複合型ス
ペーサ33は、円柱形スペーサ構成部材1の表面一面
に、複数の粒状の軟質プラスチック材10を設け、各粒
状の軟質プラスチック材10間に凹部が形成された構造
である。なお、図5(A)ではプラスチック材10を円
柱形スペーサ構成部材1の表面の一部のみに示してい
る。円柱形スペーサ構成部材1は、前記実施の一形態に
おける複合型スペーサと同様、高弾性率のプラスチック
弾性体またはガラスファイバである。
【0041】粒状の軟質プラスチック材10は、円柱形
スペーサ構成部材1の表面に、融着、付着または固着さ
れて設けられる。たとえば、円柱形のガラスファイバを
粒状のポリスチレンまたはポリエステル微粒子と乾式混
合し、衝撃力を加え、または加熱処理して、粒状のポリ
スチレン微粒子またはポリエステル微粒子を円柱形ガラ
スファイバ表面に融着または付着(固着)させることに
よって、被覆型の複合型スペーサを作製する。
【0042】このような被覆型の複合型スペーサの構造
とすることによって、表面に有する凹部によって接着力
を確保できるとともに、スペーサの熱膨張係数をエポキ
シ系などの接着材に近づけることができ、内部応力を低
減することができる。また、接着材に混入するスペーサ
の量を増加させ、かつ貼合せの際の圧力を増加しても、
接触面積の増加などにより、セル厚の変動を小さくする
ことができる。
【0043】セル厚の変動について、凹部を有する被覆
型の複合型スペーサ33と凹部のない従来のスペーサと
を具体例により比較して説明する。
【0044】凹部を有する複合型スペーサ33の変位を
算定するため、まず、円柱形の高弾性率のポリカーボネ
ート樹脂の弾性体が直径4.2μmであり、その表面に
ポリスチレンが層となるように設けられ、これを含めて
直径5μm×長さ30μmとした凹部のないスペーサに
ついて、変位を算定する。このスペーサを、シール領域
に混入密度200個/mm2で混入した場合、圧力1k
g/cm2をかけると、当該スペーサの変位は0.13
μmと算定される。次に、同サイズの弾性体の表面に粒
状のポリスチレンを、これを含めて5μm×長さ30μ
mの図6(A)および(B)のような凹部を有する複合
型スペーサとし、当該複合型スペーサを混入した接着材
と基板との界面で、スペーサが基板と接触する領域にお
ける凹部の面積比率を約2分の1となるようにする。該
複合型スペーサを、シール領域に混入密度400個/m
2で混入した場合、前述の凹部のないポリスチレン層
を設けたスペーサと同様にして圧力1kg/cm2をか
けると、当該複合型スペーサの変位は0.13μmにな
ると推定される。
【0045】一方、凹部のない従来の円柱形ガラスファ
イバスペーサを、直径5μm×長さ10μmとし、当該
スペーサを混入密度17個/mm2で接着材に混入した
場合、圧力1kg/cm2をかけると、スペーサ変位は
0.1μmと算定される。したがって、複合型スペーサ
は、従来のスペーサと同等の間隙精度を確保できること
が判る。
【0046】なお、凹部のなりポリスチレン層を設けた
スペーサ、および、従来のスペーサの変位は、前記式
(3)および(4)と、以下の式(5)〜(9)とによ
り、パネル圧力Pを1kg/cm2、スペーサ混入密度
17個/mm2、L=10μmに対して、表1に示した
ガラスファイバの弾性係数と、接触面の幅0.5μmと
を用いて算定した。式(5)〜(9)についても、材料
力学演習2(鵜戸口英善他6名、培風館、144〜14
5頁、初版15刷)に示される変位uの式を変形して導
出した式である。図7は、変位量の算定方法を説明する
ための参考図である。
【0047】
【数2】 (式(5)〜(9)中、rmは内円柱の半径、roは外側
円筒の半径、E1は内円柱の弾性係数、E2は外側円筒の
弾性係数、γ1は内円柱のポアッソン比、γ2は外側円筒
のポアッソン比、uは変位量(複合型スペーサ被覆
型)、Poは外側円筒部分に加わる圧力(kg/c
2)、Pmは内側円柱部に加わる圧力(kg/cm2
を示す。)
【0048】このような被覆型の複合型スペーサは、表
面の軟質プラスチック材によって、圧力の局所集中が避
けられ、表示パネルの基板の貼合せ時に圧力を充分かけ
ることができ、プラスチック系コモン転移部の接触抵抗
の低減につながる。また前記実施の一形態における積層
型の複合型スペーサと同様、凹部内の接着材による接着
力の寄与(内部応力の対策)によって接着力が確保され
る。
【0049】図8(A)は、複合型スペーサ混入接着材
を用いた液晶表示パネルの構成を示す平面図である。図
8(B)は、図8(A)の偏光板8,18を除いて切断
面線IV−IVから見た断面図である。帯状にパターン
化された導電膜5,15がそれぞれ形成された基板4,
14の外周域に、前記実施の一形態による積層型の複合
型スペーサ3を混入した接着材で形成されるシール部6
が配置されている。帯状にパターン化された導電膜5,
15は、各々セグメント電極配線、コモン電極配線とし
て用いられる。シール部6の接着層内に混入されている
複合型スペーサ3の凹部が上下の基板の界面と、凹部の
一部は図示しない配向膜面とに面している。凹部接着層
があることにより、内部応力が低減され、接着材の接着
力が確保される。
【0050】シール部6内には、コモン電極配線15と
基板4上のコモン電極用リード線11とを接続する転移
材12が形成されている。シール部6の接着層の界面
は、一部がリード線11の端部電極が露出した構造とな
っている。すなわちシール部6の接着面は通常配向膜の
構造であるので、配向膜のセミホール構造となってい
る。接着面が電極面や図示しない保護コート層であって
も、複合スペーサの前記凹部の接着層は接着力を上げる
ように作用する。表示面内は、通常使用のプラスチック
スペーサが配置され、貼り合わせ時にパネル前面に充分
な圧力を加えることができる。
【0051】なお、複合型スペーサを混入したエポキシ
系接着材を、シール部に用いて基板を貼り合わせる際の
熱硬化条件は、通常の使用条件の160℃である。
【0052】このように構成される液晶表示パネルにお
いて、上下の電極基板の線膨張係数が大きく異なる場
合、たとえば石英ガラスやパイレックス(登録商標)ガ
ラスとソーダガラスとで上下基板を構成する場合には、
シール部において各基板側に異なるスペーサを用いる。
たとえば、片方の電極基板(ソーダガラス)側に、その
線膨張係数に近い線膨張係数を有するガラス材で構成さ
れる複合型スペーサを混入した接着材を印刷塗布し、配
向膜が形成される対向基板(例えば石英ガラス)側に、
シール部と表示部に対して別種のスペーサを用いる。こ
のように、シール部領域に用いるスペーサの厚みは、ソ
ーダガラス側の複合型スペーサ厚と石英ガラス側のスペ
ーサ厚との和で間隔を保つパネル構造としてもよい。
【0053】さらに、その場合、シール領域の配向膜に
固着されるスペーサに硼珪酸塩ガラス材を用い、線膨張
係数を基板の石英ガラスに近づけることによって、面方
向のスペーサと基板との熱収縮(熱膨張)による歪みが
緩和され、配向膜内に固着されたスペーサと基板と配向
膜との密着性が確保される。両基板間の接着力について
は、片方の電極基板(ソーダガラス)側の接着界面にお
ける複合型スペーサの凹部の接着層の作用によって内部
応力が低減される分だけ接着力が上がる。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、複数の円
柱形のスペーサ構成部材を束ねて、表面に凹部を設けた
複合型スペーサとすることによって、複数の円柱形のス
ペーサ構成部材を簡単に束ねただけで凹部を構成でき、
該複合型スペーサを混入した接着材を用いて表示パネル
の両基板を貼合せれば、接着材で埋められた凹部と接す
る電極基板との界面では内部応力が発生しないので、接
着力に寄与することができる。
【0055】また、本発明によれば、円柱形のスペーサ
構成部材の表面を粒状のプラスチック材で覆って、表面
に凹部を設けた複合型スペーサとすることによって、該
複合型スペーサを混入した接着材を用いて表示パネルの
両基板を貼合せれば、凹部に埋められた接着材が接着力
に寄与して接着力を確保することができるだけでなく、
表面のプラスチック材によって、圧力の局所集中が避け
られるので、表示パネルの基板の貼合せ時に圧力を充分
かけることができ、プラスチック系コモン転移部の接触
抵抗を低減することができる。
【0056】また本発明によれば、前記複合型スペーサ
を混入した接着材により基板間を接着することによっ
て、表示面積を低下することなく接着力および高精度の
セル厚を確保した液晶表示パネルを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、本発明の実施の一形態による積
層型の複合型スペーサの一例の構成を示す斜視図であ
る。図1(B)は、図1(A)の切断面線I−Iから見
た断面図である。
【図2】図2(A)は、本発明の実施の一形態による積
層型の複合型スペーサの別の例の構成を示す斜視図であ
る。図2(B)は、図2(A)の切断面線I−Iから見
た断面図である。
【図3】本発明の実施の一形態による積層型の複合型ス
ペーサのまた別の例の構成を示す斜視図である。
【図4】複合型スペーサ混入接着材と従来のスペーサ混
入接着材との接着力の差異を説明するための模式図であ
る。図4(A)は、複合型スペーサを含む複合型スペー
サ混入接着材の層と基板との界面状態を示す。図4
(B)は、従来の凹部を持たないスペーサを含むスペー
サ混入接着材の層と基板との界面状態を示す。
【図5】図5(A)は、本発明の実施の他の形態による
被覆型の複合型スペーサの一例の構成を示す斜視図であ
る。図5(B)は、図5(A)の切断面線III−II
Iから見た断面図である。
【図6】図5(A)の複合型スペーサのC1−C2間の
展開図である。
【図7】変位量の算定方法を説明するための参考図であ
る。
【図8】図8(A)は、複合型スペーサ混入接着材を用
いた液晶表示パネルの構成を示す平面図である。図8
(B)は、図8(A)の偏光板8,18を除いて切断面
線IV−IVから見た断面図である。
【符号の説明】
1 円柱形スペーサ構成部材 1a 凹部 2 接着材 3,13,23,33 複合型スペーサ 4,14 基板 5,15 導電膜 6 シール部 7 液晶 8,18 偏向板 10 プラスチック材 11 リード線 12 転移材 13 封止材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の円柱形のスペーサ構成部材が束ね
    られ、各スペーサ構成部材が相互に接着材で固着されて
    表面に凹部が設けられていることを特徴とする複合型ス
    ペーサ。
  2. 【請求項2】 円柱形のスペーサ構成部材の表面が、粒
    状のプラスチック材で覆われて表面に凹部が設けられて
    いることを特徴とする複合型スペーサ。
  3. 【請求項3】 前記円柱形のスペーサ構成部材が、ガラ
    スファイバまたは高弾性率を有するプラスチックの弾性
    体であることを特徴とする請求項1または2記載の複合
    型スペーサ。
  4. 【請求項4】 前記複数の円柱形のスペーサ構成部材
    は、複数の円柱形のスペーサ構成部材が並べられて配置
    された層が、複数層積層されていることを特徴とする請
    求項1記載の複合型スペーサ。
  5. 【請求項5】 2枚の表示電極が形成された基板間が、
    請求項1〜4のいずれか記載の複合型スペーサが混入さ
    れた接着剤で貼合され、その基板間に液晶材が封入され
    ていることを特徴とする液晶表示パネル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007156182A (ja) * 2005-12-06 2007-06-21 Nagase & Co Ltd スペーサ配置方法及び液晶表示装置
JP2010080832A (ja) * 2008-09-29 2010-04-08 Ricoh Co Ltd 光源装置、光源装置の製造方法、光走査装置及び画像形成装置

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