JP2002285322A - 超高純度薄膜 - Google Patents

超高純度薄膜

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JP2002285322A
JP2002285322A JP2001084524A JP2001084524A JP2002285322A JP 2002285322 A JP2002285322 A JP 2002285322A JP 2001084524 A JP2001084524 A JP 2001084524A JP 2001084524 A JP2001084524 A JP 2001084524A JP 2002285322 A JP2002285322 A JP 2002285322A
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Kenji Abiko
兼次 安彦
Takeshi Hidaka
猛 日高
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐蝕性、耐熱性を有し、膜剥離のない薄膜を
成膜する。 【解決手段】 不純物として含有している酸素ガス及び
イオウガスの総和が0〜400ppm以下であり、不純
物として含有している金属がランタノイド、アクチノイ
ド及び薄膜構成元素を除く周期表における2A〜7A
族、1B〜7B族、8族に属する元素からなり、その総
和が1〜50ppmである鉄または鉄系合金からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学素子や成形用
金型の表面にコーティングされる薄膜に関し、特にその
材料が鉄や鉄系合金からなり、しかも極めて高純度で成
膜される超高純度薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】反射ミラーなどの光学素子では、反射効
率を向上させることにより有効光量の増大を図るため、
その表面に反射膜がコーティングされている。特開平7
−294710号公報には、このような反射膜が記載さ
れている。この反射膜は、樹脂性基板やCCD等の光学
デバイス又はガラス等を基板としてMoOまたはWO
の少なくともいずれか一方の物質を含む層をコーティ
ングすることが記載されている。
【0003】一方、光学素子をプレス成形する成形用金
型では、耐熱性やプレス圧に対する硬度が要求されると
共に、ガラス等の光学素材の融着を防止する離型性が要
求されている。このため、特開昭61−183134号
公報には、型母材の表面にダイヤモンド薄膜やダイヤモ
ンド型炭素薄膜をコーティングすることが記載されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、医療機器に
用いられる光学素子は、医療機器としての性質上、頻繁
に洗浄液、消毒液に曝されるため、これらの過酷な条件
においても所定の光学性能を維持する必要がある。さら
に、医療機器の中でも、医療用内視鏡では、生体器官か
らの分泌物が表面に付着するために頻繁に洗浄、消毒が
行われる。このような洗浄液や消毒液は、酸化性や還元
性を有したり、酸性からアルカリ性までの幅広い薬品が
使用されており、内視鏡の先端部分に配置されるレンズ
等の光学素子としては、強靱な耐薬品性が必要となって
いる。
【0005】これに対し、上述した特開平7−2947
10号公報に記載されているような反射膜を光学素子に
コーティングした場合には、強酸、強アルカリや酸化剤
・還元剤に弱いため、薬品に侵されて反射膜が直ちに剥
離する現象がおこる。このようなことから、内視鏡等の
過酷な条件に用いられる機器の光学素子としては、ガラ
スを用いて成形したものを裸の状態で使用している。
【0006】しかしながら、ガラスであっても過酷な洗
浄や消毒を頻繁に繰り返した場合には、クラックが入っ
たり、表面が曇ったりするなどの劣化を起こしており、
長期間、安定して使用することができないものであっ
た。一方、反射膜をコーティングすることにより、光学
素子の反射光量が増加するため、光学系を細く、小型と
することができ、患者の精神的、肉体的苦痛を大いに軽
減できることが期待されている。このため、医療機器の
分野では、強靱な耐薬品性を備えた反射膜の開発が望ま
れているのが現状である。
【0007】特開昭61−183134号公報に記載さ
れた光学素子成形用の金型では、薄膜をコーティングす
ることにより成形素材との離型性が良好となっているが
プレス成形を繰り返して成形を行うと、コーティングし
た薄膜が剥離し、成形性が低下して所定の光学特性が得
られなくなる問題を有している。
【0008】本発明は、このような従来の問題点を考慮
してなされたものであり、従来にはない新規な超高純度
薄膜を提供することにより、反射膜等の光学素子の薄膜
においては、酸性、アルカリ性、さらには酸化性や還元
性の種々の薬品に耐えることができ、成形用金型におい
ては、膜剥離がなく、良好な離型性、耐熱性、高強度と
することができることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明の超高純度薄膜は、不純物として含
有している酸素ガス及びイオウガスの総和が0〜400
ppm以下であり、不純物として含有している金属がラ
ンタノイド、アクチノイド及び薄膜構成元素を除く周期
表における2A〜7A族、1B〜7B族、8族に属する
元素からなり、その総和が1〜50ppmである鉄また
は鉄系合金からなることを特徴とする。
【0010】請求項2の発明の超高純度薄膜は、不純物
として含有している金属がランタノイド、アクチノイド
及び薄膜構成元素を除く周期表における2A〜7A族、
1B〜7B族、8族に属する元素からなり、その総和が
0〜50ppm以下であり、不純物として含有している
酸素ガス及びイオウガスの総和が1〜400ppmであ
る鉄または鉄系合金からなることを特徴とする。
【0011】本発明の超高純度薄膜は、鉄または鉄系合
金からなっている。鉄は酸化鉄などの鉄化合物を含まな
い純鉄であり、しかも超高純度の純鉄である。鉄合金は
Fe−Cr合金、Fe−N合金i、Fe−Cr−Ni合
金等の鉄を含有した合金であり、同様に超高純度の鉄系
合金である。ここで、「超高純度」とは、後述する不純
物を除いた以外のものが薄膜の構成成分である鉄または
鉄系合金であることを意味する。
【0012】超高純度薄膜が成膜される基材は、光学素
子としてはガラスやプラスチック、成形用金型としては
WCなどの超硬合金等が適宜選択されるが、鉄または鉄
系合金が成膜できるものであれば、特に限定するもので
はない。なお、基材は、高純度のものを使用することが
好ましい。不純物を多く含む基材では、不純物が薄膜内
に拡散して薄膜の純度を低下させる可能があることによ
る。
【0013】超高純度薄膜の膜厚は、使用される態様、
使用される環境や条件、その他の種々の条件によって変
更されるものであり、例えば、成形用金型の場合は、5
0μm〜0.1nm、より好ましくは、10〜0.05
μmの範囲で適宜選択することができる。0.1nm以
下では、超高純度としての特性を十分に備えることがで
きず、50μmを超えた場合、成膜に長時間を要すると
共に、基材の特性が喪失することから好ましくない。ま
た、光学素子では、5μm〜10nm、より好ましく
は、2μm〜50nmの範囲で適宜選択することができ
る。10nm以下では、超高純度としての特性を十分に
備えることができず、5μmを越えた場合、成膜に長時
間を要するとともに光の透過性に悪影響を与えることか
ら好ましくない。
【0014】本発明の超高純度薄膜では、ガス及び/ま
たは金属を不純物として含有しているが、不純物として
のガスは酸素ガス(O)、イオウガス(S)を構成元素
とするものである。従って、O、S等の単体ガス及び
これらの化合物からなるガス、例えば、HO、C
、NO、NO、SOやこれらの混合ガスをも含
むものである。
【0015】また、不純物として含有する金属は、ラン
タノイド、アクチノイド及び薄膜構成元素を除く周期表
における2A〜7A族、1B〜7B族及び8族に属する
元素である。具体的には、鉄や鉄系合金内に混入し易い
元素であり、より具体的には、Al、As、B、Ba、
Bi、Ca、Cd、Co、Cr,Cu,Ga、Hf、M
g、Mn、Mo、Nb、Ni、P、Pb、Sb、Se、
Si、Sn,Ta,Te,Ti,V,W,Zn,Zr等
の内の一種または複数種の元素である。
【0016】以上の不純物としての金属には、薄膜構成
元素が含まれない。すなわち、Fe−Cr合金、Fe−
Ni合金、Fe−Cr−Ni合金等の鉄鉄系合金では、
その合金の構成元素(例えば、Fe−Cr合金ではC
r、Fe−Cr−Ni合金でCr及びNi)を含まない
ものである。
【0017】請求項1の発明において、不純物として含
有しているガスは、酸素ガス及びイオウガスの総和が0
〜400ppmの範囲内である。ここで、「0」は、絶
対的な「零」を意味するものではなく、クロマトグラフ
ィその他の現存している元素分析器の最大測定可能なオ
ーダーで検出できないことを意味する。なお、不純物ガ
スを500ppm以上含有している場合、高純度薄膜と
しての特性を阻害するため好ましくない。
【0018】また、請求項1の発明において、不純物と
しての金属は、酸素ガス及びイオウガスの総和が0〜4
00ppmの範囲内となっている場合、その含有量の総
和が1〜50ppmである。金属不純物としては、その
含有量が極力少ないことが好ましく、このため、極小値
としては0ppmが良好であるが、酸素ガス及びイオウ
ガスの含有量が上記範囲内では、これらのガスと金属と
の反応性が小さくなるため、0ppmである必要はな
く、1〜50ppmの範囲内での含有が許容される。な
お、ここでの「0」は上述のように規定されるものであ
る。
【0019】ガスとしては、酸素ガス、イオウガスの他
に、水素ガス(H)、炭素ガス(C)、窒素ガス(N)
が存在するが、これらのガスは、不純物として含有して
いる金属がランタノイド、アクチノイド及び薄膜構成元
素を除く周期表における2A〜7A族、1B〜7B族、
8族に属する元素からなり、その総和が0〜50ppm
以下で、しかも不純物として含有している酸素ガス及び
イオウガスの総和が0〜100ppmの場合には、0〜
500ppmの範囲で含有していても良いものである。
【0020】請求項2の発明において、不純物として含
有している上記金属の総和は0〜50ppm以下であ
り、より好ましくは不純物金属の総和は、0〜30pp
mの範囲である。ここで、「0」は不純物ガスと同様
に、絶対的な「零」を意味するものではなく、現存して
いる元素分析器の最大測定可能なオーダーで検出できな
いことを意味する。また、不純物としての金属を50p
pm以上含有している場合には、高純度薄膜としての特
性を阻害するため好ましくない。
【0021】このような請求項2の発明において、不純
物として含有している上記金属の総和は0〜50ppm
以下のとき、不純物として含有している酸素ガス及びイ
オウガスの総和は1〜400ppmの範囲である。酸素
ガス及びイオウガスとしては、その含有量が極力少ない
ことが好ましく、このため、極小値としては0ppmが
良好であるが、不純物金属の含有量が上記範囲内では、
金属とこれらのガスとの反応性が小さくなるため、0p
pmである必要はなく、1〜400ppmの範囲内での
含有が許容される。なお、ここでの「0」は上述のよう
に規定される。
【0022】請求項2の発明において、酸素ガス及びイ
オウガス以外の水素ガス(H)、炭素ガス(C)、窒素
ガス(N)の含有量は、不純物として含有している金属
の総和が0〜50ppm以下で且つ、不純物として含有
している酸素ガス及びイオウガスの総和が0〜100p
pmの範囲の場合、0〜500ppmの範囲で含有して
いても良いものである。
【0023】本発明の超高純度薄膜の成膜は、成膜のタ
ーゲットとして超高純度の鉄または鉄系合金を用いて行
う。これらの純度は、99.999%以上であることが
好ましい。成膜に際しては、超高純度のターゲットを真
空容器内にセットし、真空容器内を10−10Torr
以下の超高真空とする。このような超高真空とするため
には、真空容器内の減圧だけでなく、真空容器やその内
部の構成部品の予備加熱(ベーキング)を行って水蒸気
を除去することが好ましい。成膜方法は、高周波加熱蒸
着、イオンビーム蒸着、アーク蒸着等の適宜の手段を行
うことができる。
【0024】なお、成膜に際しては、鉄、Fe−Cr合
金などの異なったターゲットを複数、真空容器内に配置
し、シャッタ等によってターゲットの切り換えを行うこ
とも可能である。これにより、異なった構成の薄膜から
なる多層膜を成膜することができる。
【0025】このようにして成膜された超高純度薄膜
は、光学素子に対しては、反射膜のみならず、酸化防止
膜、光吸収膜等の種々の機能膜や保護膜として作用す
る。一方、成形用金型としては、プレス成形のみなら
ず、ダイキャスト成形、その他の成形法に用いることが
できる。
【0026】以上のような超高純度薄膜は、含有されて
いる不純物が極端に少ないため、不純物の挙動による悪
影響が作用することがないと共に、膜構成元素が強固に
結び合うことができ、膜密度が大きくなる。これらによ
り、強度が大きく、耐蝕性や耐熱性が大きくなり、薬品
によって侵されることがなくなる。従って、強酸や強ア
ルカリ、酸化剤や還元剤に対し頻繁に接触しても薄膜が
劣化したり、基材から剥離することがなくなる。また、
強靱な耐久性を有しているため、高温下での繰り返し使
用に耐えることができる。さらに、不純物による欠陥が
基材との界面になくなるため、基材との密着力が飛躍的
に増大する。
【0027】以上により、超高純度薄膜を光学素子に成
膜した場合、膜剥離がなくなり、反射膜、保護膜等とし
て長期間機能することができる。これにより、光学系を
細く、小型とすることができるため、内視鏡に適用する
場合には、患者の精神的、肉体的苦痛を大いに軽減する
ことができる。また、光学素子の成形用金型に成膜した
場合には離型性、耐熱性、高強度を有しているため、良
好な光学特性の光学素子の繰り返し成形を安定して行う
ことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1は超高純度
薄膜の成膜を行う成膜装置を示す。この成膜装置はアー
ク蒸着によって薄膜を成膜するものであり、排気口3を
有した真空容器2がアースされ、内部には固体ターゲッ
ト4が配置されている。また、成膜される基材1がホル
ダー5に取り付けられてターゲット4と対向している。
固体ターゲット4には、トリガー電源8に接続されたト
リガー電極6が取り付けられている。ターゲット4の周
囲には、アーク電源9に接続されたアーク電極7が配置
されている。この成膜装置では、真空容器2の内壁を含
む構成部品がヒータ(図示省略)によってベーキング可
能となっている。排気口3は真空ポンプに接続された真
空容器2内に減圧を行う。
【0029】この実施の形態において、固体ターゲット
4として99.999%以上の超高純度鉄を用いた。成
膜する部材として光学素子1をホルダー5に取り付け
し、真空容器2内を排気口3から排気し、全圧を1×1
−8Torr以下にした後、真空容器2のベーキング
を行い、全圧を1×10−10 Toor以下、酸素分
圧Poが1×10−10 Torr以下まで減圧し
た。この場合、特にHOの排気を充分に行った。
【0030】このようにして充分に減圧した後、アーク
電源9に接続されているアーク電源7に60Vの電圧を
与え、トリガー電源8に接続されているトリガー電源6
に750Vの電圧を瞬間的に加えトリガー放電を起こさ
せた。トリガー放電を引き金に、アーク電源7から固体
ターゲット4に放電が起こり、固体ターゲット4の表面
から超高純度鉄のプラズマが発生する。その瞬間、プラ
ズマは真空容器2内の光学素子1の周囲へ到達し成膜が
行われる。なお、この実施の形態では、固体アーク蒸着
法を用いたが、高周波加熱蒸着法やイオンビーム蒸着法
などそれぞれ用途に応じ最適な方法を用いて成膜を行う
ことができる。
【0031】このようにして約0.5μm膜厚を有する
薄膜の成膜を行った。そして、RBS(ラザフォード後
方散乱)法およびSIMS(2次イオン質量分析)法に
より薄膜の組成分析を行った結果、鉄の純度が99.9
99%以上の超高純度であった。
【0032】この超高純度鉄薄膜の耐蝕性を確認するた
めに、成膜を行った光学素子1を25℃の酸性溶液であ
る塩酸中に500秒浸漬させた。比較例1として純度9
9.6%の高純度鉄薄膜が成膜された光学素子を用い
た。表1はこの腐食性の試験結果を示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示すように、この実施の形態の超高
純度鉄薄膜は腐食速度4.0×10 −5g/cm
あったが、比較例1である99.6%の高純度鉄薄膜の
場合は、3.0×10−2g/cm であり、この実
施の形態の超高純度鉄薄膜は高純度鉄薄膜に比べ約60
0倍の高い耐蝕性を有することがわかった。なお、50
0秒以上浸漬を行っても、腐食の進行はみうけられなか
った。また、アルカリ性溶液での耐蝕性においても、塩
酸による評価と同等の効果がある。従って、このような
超高純度鉄薄膜を反射膜に用いることにより、酸性から
アルカリ性までの幅広い薬品に耐えられる反射膜とする
ことができる。
【0035】この実施の形態では、固体ターゲット4と
して超高純度鉄を用いた場合について説明したが、超高
純度鉄クロム合金、超高純度鉄ニッケル合金、超高純度
鉄ニッケルクロム合金、超高純度ニッケルクロム合金等
を用いても同様な効果が得られる。
【0036】(実施の形態2)この実施の形態では、固
体ターゲット4として99.997%以上の超高純度鉄
クロム合金を用いた。鉄とクロムの成分比は鉄30ma
ss%、クロム60mass%である。
【0037】成膜する部材としてWCからなる超硬合金
1をホルダー5にセットし、真空容器2内を排気口3か
ら排気し、全圧を1×10−8Torr以下にした後、
真空容器2のベーキングを行い、全圧を1×10−10
Toor以下、酸素分圧Poが1×10−10To
rr以下まで減圧した。この実施の形態においても、特
にHOの排気を充分に行った。
【0038】このようにして充分に減圧した後に、アー
ク電源9に接続されているアーク電源7に60Vの電圧
を与え、トリガー電源8に接続されているトリガー電源
6に750Vの電圧を瞬間的に加えトリガー放電を起こ
させた。トリガー放電を引き金に、アーク電源7から固
体ターゲット4に放電が起こり、固体ターゲット4の表
面から超高純度鉄クロム合金のプラズマが発生する。そ
の瞬間、プラズマは真空容器2内の超硬合金の周囲へ到
達し成膜が行われる。
【0039】なお、この実施の形態では、固体アーク蒸
着法を用いたが、高周波加熱蒸着法やイオンビーム蒸着
法などそれぞれ用途に応じ最適な方法を用いて成膜を行
うことができる。
【0040】このようにして約0.5μm膜厚を有する
薄膜の成膜を行った。そして、RBS法およびSIMS
法により薄膜の組成分析を行った結果、純度99.99
5%以上の超高純度であった。また、得られた超高純度
薄膜の面粗さはRa:0.0010μmで、光学素子用
型の成形面として十分の性能を有する粗さであった。
【0041】こうして製造された1対の成形型を用い
て、酸化バリウム含有硝材(ガラス転移点:504℃)
を窒素雰囲気下で570℃に加熱し、100kgfの荷
重で連続成形したところ、1000ショット目まで膜の
剥がれやガラスの焼き付き等の不具合がなく、1000
ショット以上の耐久性を得ることができた。
【0042】比較例2としてこの実施の形態と同様の型
母材に耐熱合金であるK−63およびInconel7
18を固体ターゲットとして成膜した。K−63および
Inconel718の化学組成は表2のようになって
いる。これらの固体ターゲットには100ppm以上の
多くのガラス不純物が含まれている。
【0043】
【表2】
【0044】この成形型を用いて実施の形態と同様の条
件で成形したところ、比較例2の成形型は200ショッ
ト付近でガラスの融着が発生し膜剥がれが生じた。これ
は、膜中に不純物が多く含まれているために、この不純
物を通して酸素などが膜中に侵入するために起こる不具
合である。
【0045】このように、この実施の形態の超高純度薄
膜を成形用金型に形成することによって、耐熱性、離型
性、耐久性に優れた光学素子成形用の金型とすることが
できる。
【0046】なお、この実施の形態では、固体のターゲ
ットとして超高純度鉄クロム合金を用いたが、超高純度
鉄ニッケル合金、超高純度鉄ニッケルクロム合金、超高
純度鉄ニッケルクロム合金などを用いても同様な効果が
得られる。また、型母材として超硬合金を用いた場合を
説明したが、ステンレス鋼、インコネルなどの耐熱金属
やタングステン合金を用いても同様の効果が得られる。
【0047】
【発明の効果】以上のように、請求項1及び請求項2の
発明の超高純度薄膜によれば、不純物として含有するガ
スや金属が極めて少ない薄膜のため、不純物の悪影響が
なくなる。このため、光学素子の薄膜に用いた場合に
は、酸性、アルカリ性さらには酸化性や還元性の種々の
薬品に耐えることができ、成形用金型に用いた場合に
は、膜剥離がなく、良好な離型性、耐熱性、高強度とす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成膜装置の一例の断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/08 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H042 DA01 DA18 DB00 DB06 DC02 2K009 CC14 DD07 EE00 4G015 HA01 4G059 AA11 AC18 DA09 DB02 4K029 AA04 AA09 BA07 BA09 BA26 BC01 BD00 CA01 CA03 DD06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物として含有している酸素ガス及び
    イオウガスの総和が0〜400ppm以下であり、不純
    物として含有している金属がランタノイド、アクチノイ
    ド及び薄膜構成元素を除く周期表における2A〜7A
    族、1B〜7B族、8族に属する元素からなり、その総
    和が1〜50ppmである鉄または鉄系合金からなるこ
    とを特徴とする超高純度薄膜。
  2. 【請求項2】 不純物として含有している金属がランタ
    ノイド、アクチノイド及び薄膜構成元素を除く周期表に
    おける2A〜7A族、1B〜7B族、8族に属する元素
    からなり、その総和が0〜50ppm以下であり、不純
    物として含有している酸素ガス及びイオウガスの総和が
    1〜400ppmである鉄または鉄系合金からなること
    を特徴とする超高純度薄膜。
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WO2005040864A1 (ja) * 2003-10-29 2005-05-06 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 反射防止構造体を有する光学素子、および反射防止構造体を有する光学素子の製造方法
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