JP2002277469A - 血清中の前立腺特異的膜抗原の検出方法 - Google Patents

血清中の前立腺特異的膜抗原の検出方法

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JP2002277469A JP2001257021A JP2001257021A JP2002277469A JP 2002277469 A JP2002277469 A JP 2002277469A JP 2001257021 A JP2001257021 A JP 2001257021A JP 2001257021 A JP2001257021 A JP 2001257021A JP 2002277469 A JP2002277469 A JP 2002277469A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 体液中の前立腺特異的膜抗原(PSMA)の
検出方法を提供する。 【解決手段】 体液中のPSMAを検出する方法であっ
て、PSMA抗体を使用して、PSMAを含む体液サン
プルからPSMAを捕捉する工程、及び、捕捉したPS
MAを、抗α−抗キモトリプシン抗体を用いて検出す
る工程、を含み、PSMAを免疫アッセイにより検出す
ることを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野及び従来の技術】本出願は同時
係属している米国出願第09/624,692号(20
00年7月24日出願)の一部継続出願である。前立腺
特異的膜抗原(PSMA)のモニターが前立腺癌の検出
及び処置にとって望ましいことがだんだん明らかになっ
てきている。前立腺癌は米国の男性において最も発症率
の高い癌である。前立腺癌の早期検出の効率は、前立腺
特異的抗原(PSA)についての血清テストを用いて増
加してきた。しかしながら、PSAは組織特異的でもな
く疾患特異的でもない。前立腺のその他多くの状態、良
性の中のあるものは、血清中のPSAレベルの異常な上
昇を引き起こすことができる(Polascikら,P
rostate−specific antigen:
A decade of discovery−wha
t we have learned and whe
re weare going,J.Urol,vol
162,pp 293−306,1999)。前立腺
特異的膜抗原(PSMA)は細胞内ドメイン及び細胞外
ドメインの両方を有する膜貫通型糖タンパク質であり、
前立腺組織に高度に特異的である(Israeliら,
Molecular cloning of a co
mplimentary DNA encoding
of prostate−specific memb
rane antigen,Cancer Res,v
ol 53,pp 227−230,1993)。PS
MAは、良性及び悪性の前立腺上皮で発現し、免疫組織
化学的に検出することができる(Horoszewic
zら,Monoclonal antibodies
to a newantigenic marker
in epithelial prostatic c
ells and serum of prostat
ic cancer patients,Antica
ncer Res,vol 7,pp 927−93
6,1987;Silverら,Prostate−s
pecific membrane antigen
expression innormal and m
alignant human tissues,Cl
in Cancer Res,vol 3,pp 81
−85,1997;Wrightら,Expressi
on of prostate−specific m
embrane antigen(PSMA)in n
ormal,benign,and malignan
t prostate tissues,Urol O
ncol,vol 1,pp 18−28,1995;
Bostwickら,Prostate−specif
ic membrane antigen expre
ssion in prostatic intrae
pithelial neoplasia and a
denocarcinoma;A study of
184 cases,Cancer,vol 82,p
p2256−2261,1998及びSweatら,P
rostate−specific membrane
antigen expressionis gre
atest in prostate adenoca
rcinoma and lymph node me
tastasis,Urology,vol 52,p
p 637−640,1998)。PSMAの血清レベ
ルは進行型の疾患を患う前立腺癌患者における徴候の有
意性(prognosticsignificanc
e)であることが提案されてきている。例えば、Gra
ssoら,Combined nested RT−P
CR assay for prostate−spe
cific antigen and prostat
e−specific membrane antig
en in prostate cancer pat
ients:correlationwith pat
hological stage,Cancer Re
search vol 58,pp 1456−145
9,1998を参照のこと。
【0002】血清中のPSMAを確実に検出する試みは
成功しておらず、現在、前立腺癌患者の血清中のPSM
Aレベルをモニターするために利用することができるル
ーチンな方法論は存在していない。ヒト前立腺組織にお
けるPSMA発現は、7E11.C5−抗体を用いた免
疫組織化学的染色によりはじめて考証された(前出、H
oroszewiczら)。ヒト前立腺癌細胞(LNC
aP)に対して産生された7E11.C5モノクローナ
ル抗体は、PSMAのアミノ末端近くの細胞内エピトー
プに結合することが知られている。CYT−356と命
名された7E11.C5のアイソトープコンジュゲート
形態は、局所及び遠位(distant)の前立腺癌の
転移及び再発の同定に利用されてきた。7E11.C5
抗体は、ATCC寄託番号HB10494でアメリカン
・タイプ・カルチャー・コレクション(Rockvil
le,Maryland,USA)に寄託されている。
PSMAの免疫反応性は、良性の前立腺肥大(BPH)
及び正常細胞と比較して高度な前立腺腫瘍において高い
ことが見いだされた(前出、Horoszewicz
ら;前出、Silverら;前出、Wrightら;前
出、Bostwickら及び前出、Sweatら)。し
かしながら、前出、Horoszewiczらにより試
験された33の細胞系の中では、前立腺のリンパ節癌
(LNCaP)細胞においてのみPSMAの免疫反応性
が検出された。1997年、米国食品医薬品庁は、局在
的前立腺癌の検出のための7E11.C5のラジオイム
ノコンジュゲート形態(CYT356)の使用を承認し
た。前立腺癌患者の血清中のPSMAをウエスタンブロ
ット分析により測定する試みは確証的なものではない
(Troyerら,Detection and ch
aracterization of the pro
state−specific membrane a
ntigen(PSMA)in tissueextr
acts and body fluids,Int.
J.Cancer,vol 62,pp 552−55
8,1995;Rochonら,Western−bl
ot assay for prostate−spe
cific membrane antigen in
serum of prostate cancer
patients,Prostate,vol 2
5,pp 219−223,1994及びBecket
tら,Prostate−specific memb
rane antigen levels inser
a from healthy men and pa
tients with benign prosta
te hyperplasia or prostat
e cancer,Clin Cancer Res,
vol 5,pp 4034−4040,1999)。
ウエスタンブロット分析は、後期C、D及びD
立腺癌患者において健常者よりも血清PSMAレベルが
増加していることを示すことができることが報告されて
いる(前出、Rochonら)。一方、前出、Troy
erらは、前立腺癌患者の血清中のPSMAを検出する
ことができなかったことを報告している。前出、Bec
kettらは、血清中のPSMAを検出することができ
たが、疾患の初期と後期とを区別することができなかっ
たことを報告している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するため
の手段】本発明よりも前においては、前立腺癌を検出す
るために単純なELISAを使用する試みは成功してい
なかった。「競合阻害」ELISAにおいて、PSMA
は前立腺癌患者由来の血清の46%で検出され、BPH
又は健常者においては検出されなかった(前出、Hor
oszewiczら)。このことは、決定的な試験につ
いて明らかに十分な信頼性である。同時係属している米
国特許出願第09/624,692号(2000年7月
24日出願)に記載されているように、本発明者等の過
去の研究において、PSAはチオフィリック(Thio
philic)ゲル(1S、2S及び3S)に対して強
いアフィニティーを有することが示された。最近、本発
明者等は、PSMAもT−ゲルに対しても強いアフィニ
ティーを有するという観察結果を得た。要約すると、T
−ゲルスラリーをカラム(0.5×5cm)に充填し、
1M 硫酸ナトリウムを含有する25mM Hepes
緩衝液、pH7.0で平衡化する。PSMA源、例えば
LNCaP細胞(5×10細胞/ml)由来の可溶化
細胞抽出物又はヒト血清(400μl)を、カラム平衡
化緩衝液を用いて再構成し、これをカラムに適用する。
次いでカラムを約10空隙容量のカラム平衡化綴衝液で
洗浄し、結合したタンパク質を25mM Hepes緩
衝液、pH7.0を用いて溶離する。種々のカラム画分
中のPSMAの存在を、SDS−PAGE及びモノクロ
ーナル抗PSMA抗体、例えば7E11.C5を用いた
ウエスタンブロット分析により検出する。例として、画
分の電気泳動を、4〜15%勾配のポリアクリルアミド
ゲル中の非還元条件下で行った。サンプルを、比較可能
なタンパク質レベルを含有する等量でロードし、200
ボルトで40分間泳動にかけた。電気泳動後、ゲル中の
タンパク質を、ポリビニリデンジフルオライド(PVD
F)膜へ電気泳動的に移した。移動用緩衝液は25mM
Tris、192mM グリシン及び20% メタノ
ールを含み、pH8.3であった。移動は100ボルト
で1時間行った。移動後、膜を、穏やかに攪拌した広範
に機能するタンパク質をベースとするブロッカー中で1
時間ブロックした。前記のブロッカーはアルブミン、カ
ゼイン又はドライミルク溶液を含んでいる。前記のブロ
ッカーはNAP−Sure blocker(登録商
標)(Geno−Technology,Inc.,S
t.Louis,MO)として商業的に入手することが
できる。免疫染色は、NAP−Sure blocke
r(登録商標)(Geno−Technology,I
nc.,St.Louis,MO)で濃度5μg/ml
に希釈した7E11.C5抗体又はα−抗キモトリプ
シンに対するモノクローナル抗体を用いて1時間行っ
た。二次抗体、セイヨウワサビペルオキシダーゼをコン
ジュゲートしたヤギ抗マウスIgG(Jackson
Immuno Research Laborator
ies,Inc.,West Grove,PA)を1
% アルブミン/PBS/0.1%Tween20で
1:5000に希釈したものを、膜と共に45分間イン
キュベートした。セイヨウワサビペルオキシダーゼに対
する強化ルミノール(ECL)試薬を用いてタンパク質
を検出した。前記の試薬は商標名NEL102(NE
N,Boston,MA)の下で入手可能である。複合
タンパク質をX線フィルムに曝露し、陽性のバンドを可
視化した。
【0004】本発明は、イムノアッセイにより前立腺特
異的膜抗原(PSMA)を含む体液サンプル中のPSM
Aを検出する方法であって、サンプル由来のPSMAを
PSMA抗体を用いて捕捉する工程及び捕捉したPSM
Aを抗−α−抗キモトリプシン抗体を用いて検出する
工程を含む方法を含んでいる。好ましい態様において、
PSMAは、抗PSMA抗体の適切な希釈物を使用する
工程、得られた溶液を用いて表面、例えばマイクロタイ
タープレート中のウェル表面をコーティングする工程、
前記表面上の非特異的部位をブロッキング溶液、例えば
アルブミンでブロックする工程、サンプルをブロッキン
グ緩衝液、例えば緩衝化アルブミンで希釈する工程、及
び、希釈したサンプルを前記表面に適用してPSMAを
捕捉する工程により捕捉される。体液は好ましくは血清
であるが、その他の液体、例えば尿であってもよい。捕
捉したPSMAを検出するための好ましい態様は、前記
表面を洗浄することにより非捕捉物質を除去する工程、
ブロッキング溶液、例えばアルブミン溶液中で希釈した
抗−α−抗キモトリプシン抗体を適用する工程、及
び、結合したPSMAを二次抗体、例えばペルオキシダ
ーゼで標識した抗ウサギIgG及び基質、例えばO−フ
ェニレンジアミン(OPD)を用いて検出する工程を含
んでいる。
【0005】
【発明の実施の形態】本明細書で使用する「PSMA」
とは、前立腺腫瘍及びLNCaP細胞膜に存在し、α
抗キモトリプシン(ACT)と複合体を形成する抗原で
ある。「抗α抗キモトリプシン抗体」(抗ACT抗
体)とは、α抗キモトリプシンと特異的に複合体を形
成する抗体である。本明細書で使用する「PSMA抗
体」とは、PSMAを選択的に捕捉する抗体を意味す
る。PSMA抗体の例は7E11.C5(ATCC寄託
番号HB−10494、米国特許第5,162,504
号)及びB−6(ATCC寄託番号PTA−3160)
である。「ブロッキング溶液」とは、非特異的結合部位
をブロックするために使用する広範囲の抗原を有するブ
ロッキング化合物を含む溶液である。最も一般的なブロ
ッキング溶液はアルブミン、通常はウシ血清アルブミン
(BSA)の溶液である。その他のブロッキング化合
物、例えばミルク固形物、カゼイン又は混合した多糖を
使用してブロッキング溶液を形成してもよい。「ブロッ
キング緩衝液」とは、緩衝化ブロッキング溶液である。
最も一般的な緩衝液はリン酸緩衝液である。特定の抗体
による検出のためにブロッキング溶液を1以上の工程で
使用する場合、通常は同一のブロッキング化合物がブロ
ッキング溶液中に存在する。55名の前立腺癌患者由来
の血清サンプル、前立腺炎と診断された患者由来の9つ
のサンプル、BPH患者由来の46のサンプル及び健常
者ドナー由来の20の血清サンプルを、PSMAを選択
的に保持するチオフィリック吸着クロマトグラフィーに
より処理した。単離したPSMAをSDS−PAGE及
び7E11.C5抗体を用いたウエスタンブロットによ
り分析した。ウエスタンブロット分析におけるPSMA
検出の前に、血清サンプルをチオフィリックゲルクロマ
トグラフィーにより処理することは必須である。しかし
ながら、ELTSAによるPSMA決定の場合、チオフ
ィリックゲルクロマトグラフィー工程は要求されない。
どんな処理をすることなくPSMAを血清中でモニター
することができる。
【0006】二重決定(double determi
nant)ELISAは、PSMAに対する「捕捉」抗
体としてのPSMA抗体及び「検出」抗体としてのポリ
クローナル抗−α−抗キモトリプシン抗体を用いて開
発された。ELISAの結果は、3名の進行した前立腺
癌患者由来のプールした血清の希釈物に基づく検量線か
ら導かれた任意単位(arbitrary unit)
で表現する。結果:PSMAはチオフィリックゲルに対
して強いアフィニティーを有している。チオフィリック
ゲルにおける患者血清のクロマトグラフィーは、アルブ
ミンを含む90%より多くのタンパク質を除去する。こ
れにより、PSMA抗体を用いて染色したときに、PS
MAのウエスタンブロット分析において、〜75から9
0kDaに対応する単一のバンドとして可視化すること
が可能になる。非癌性血清(健常者、前立腺炎及びBP
H)と比較して前立腺癌患者の血清では、染色がより強
かった。前立腺癌細胞系LNCaPから単離して同様に
処理したPSMAも単一のバンドを示した。しかしなが
ら、そのバンドは100〜110kDaに対応するやや
大きい分子量であった。直接的なサンドイッチ型酵素結
合免疫吸着アッセイ(ELISA)を、血清PSMAの
決定のために開発した。ELISAにおいて、PSMA
レベルを任意の単位として表したところ、結果は疾患の
ステージと十分に相関する。
【0007】
【実施例】LNCaP細胞抽出物の調製 LNCaP細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・
コレクション(Rockville,MD)(ATCC
寄託番号CRL1740)から入手した。これらの細胞
は、Roswell Park Cancer Ins
titute,Buffalo,NYにおいてはじめて
単離され、特徴付けられたものである。この細胞系の開
発及び特徴付けに関する詳細は、Horoszewic
zら,LNCaP model of prostat
ic carcinoma,Cancer Res,v
ol 43,pp 1809−1818,1983によ
り公開されている。LNCaP細胞は、10%ウシ胎仔
血清及び1mM L−グルタミンを補充した完全RPM
I1640増殖培地(G.Mooreら,AMA,V.
199,pp.519,1967により公開)中で維持
した。LNCaP細胞の集密単層をトリプシン処理し、
PBSで洗浄し、細胞懸濁液を1μg/mlのプロテア
ーゼ阻害剤(Aprotinin,Sigma Che
mical Co.,St.Louis,MO)の存在
下、−70℃で凍結した。凍結及び解凍からなる追加の
サイクルを1回した後、細胞溶解液を3000×gで遠
心分離して核及び不完全な破壊細胞を除去した。上清
を、0.5%のNP40を含むように再構成し、回転式
振盪機中に4℃で30分間置いた。可溶化した物質を1
5000×gで30分間回転させた。上清を集め、使用
するまで−70℃で保存した。血清サンプル 110名の患者(前立腺炎、BPH及び前立腺腫瘍)及
び20名の健常者ドナーに由来する血清サンプルを、本
研究に使用した。患者の中で、37の血液サンプルは、
クリニックにおいて定期的な外来通院の間に新たに採血
したものであり、18の患者血清サンプルは、Depa
rtment of Laboratory Medi
cine at Roswell Park Canc
er Instituteから保存された血清サンプル
として入手したものである。残り54名の患者の血清サ
ンプルはニューヨーク西地区の泌尿器クリニックへの定
期的通院の間に患者から新たに採取したものである。採
取後90日以内に分析した保存サンプルを除く全ての血
清サンプルを−70℃で凍結して維持し、72時間以内
に処理した。健常者を含む全てのドナーは、地方条例の
要求により書面によるインフォームドコンセントを受け
た。血清サンプルは使用するまで−70℃で凍結して維
持した。
【0008】抗体 7E11.C5ハイブリドーマ細胞系(ATCC HB
10494)及びB−6ハイブリドーマ細胞系(ATC
C PTA3160)は、本発明者等の研究所において
ルーチン的に維持され、また、アメリカン・タイプ・カ
ルチャー・コレクションに寄託され、そこから入手可能
である。7E11.C5抗体及びB−6抗体は、化学的
に安定なアミド結合を介して架橋したアガロースビーズ
(例えば、Affi−Gel Protein−A M
APS II system,Bio−rad,lab
oratories,Hercules,CA)に結合
したタンパク質Aを用いたアフィニティークロマトグラ
フィーにより、公表された製造者の指示に従い、マウス
の腹水から精製した。モノクローナル抗体7E11.C
5及びB−6は、LNCaP細胞を用いた免疫化により
生成したマウス免疫グロブリン(IgG1)である。こ
れらの抗体はLNCaP細胞の膜リッチ画分とは反応す
るが、サイトソル又は抗原性物質、例えば前立腺特異的
抗原(PSA)又は前立腺酸性ホスファターゼ(PA
P)との反応性は有しない。二重決定ELISAによるPSMAの定量化 未処理の血清サンプル中のPSMAの定量化は以下の通
りにして行った。モノクローナル抗体7E11.C5
を、20mMリン酸緩衝食塩水(pH7.0)中で5μ
g/mlに希釈し、マイクロタイタープレートのウェル
の4℃で一晩のコーティングに使用した。ウェルを、P
BSブロッキング緩衝液中の2%ウシアルブミンを用い
1時間かけてブロックした。ブロッキング工程及び続く
すべての工程は室温下で行った。試験サンプルをブロッ
キング緩衝液で希釈し、プレートへ三重に適用した(5
0μl/ウェル)。1時間インキュベーションした後、
プレートをPBSで洗浄し、PBS/0.1% Twe
en20の1%中のアルブミン溶液中で1:2000に
希釈したα−抗キモトリプシンポリクローナル抗体を
適用した(50μl/ウェル)。結合した抗原を、ペル
オキシダーゼ標識した抗ウサギIgG及びO−フェニレ
ンジアミン(OPD)基質により検出した。Tステー
ジの癌患者由来のプール血清を内部標準として使用し、
結果を各プレートについて行った検量線から導いた任意
単位にて表した。
【0009】結果 LNCaP細胞抽出物及び前立腺癌患者血清中のPSM
Aのウエスタンブロットによる検出 別シリーズの実験において、本発明者等はPSMAが3
S−チオフィリックゲルに対して強いアフィニティーを
有することを示した。LNCaP細胞抽出物(1ml、
5×10細胞)又は前立腺癌患者由来の血清(400
μl)を、前記と同様にして、3S,T−ゲル中のクロ
マトグラフィーに付した。10μlの溶離した画分を、
SDS PAGE/ウエスタンブロット分析に付し、7
E11.C5抗体を用いて免疫染色した。LNCaP細
胞抽出物の場合、SDS−PAGE分析の前に溶離した
画分を濃縮(6×)する必要があった。チオフィリック
ゲルクロマトグラフィーからのカラム溶離物を、全く凍
結することなく直ちに分析した。その一例の結果を図1
に示す。75〜90kDa(血清)又は100〜110
kDa(LNCaP細胞抽出物)に対応する免疫反応性
の唯一のバンドが、種々のサンプルの中で観察された。
すべての場合において、患者血清から回収したPSMA
は、LNCaP細胞中のPSMAと比較して常に分子量
が小さい。しかしながら、数回の凍結解凍サイクル後の
LNCaP細胞抽出物のカラム溶離物は、180kDa
に対応する第二の弱いバンドをしばしば示した。この1
80kDaのバンドは、前出、Troyerらによって
も観察されている。チオフィリックゲルクロマトグラフ
ィーは血清中の多数のタンパク質を明らかに除去し、こ
れにより、電気泳動的分離及びPVDF膜への移動後に
抗PSMA抗体により染色したときのPSMA検出が許
容される。チオフィリックゲルクロマトグラフィーの前
に7E11.C5を用いて患者血清のウエスタンブロッ
トを染色したとき、免疫反応性は観察されなかった。P
SMAの分子量はその起源に依存して変化する。LNC
aP細胞抽出物中のPSMAは100〜110kDaの
分子量を有する(前出、Israeliら及び前出、T
royerら)。前立腺癌腫瘍組織から単離したPSM
Aは120kDaである(前出、Troyerら)。本
発明者等の研究において、異なる前立腺癌患者の血清中
のPSMAは約75〜90kDaの分子量を有している
ことを見いだした(図1)。これらの差異についての理
由は不明である。PSAは異なるプロテアーゼ阻害剤と
複合体を形成することが知られている(前出、Pola
scikら)。PSMAも異なるタンパク質/プロテア
ーゼ阻害剤と複合体を形成することが考えられる。本発
明者等の研究では、そのような可能性を探求している。
異なる疾患ステージにある前立腺癌患者由来の血清を、
最初にチオフィリックゲル吸着クロマトグラフィーによ
り処理し、SDS−PAGE/ウエスタンブロットによ
り分析した。エレクトロブロットの後、膜を、抗PSM
A抗体7E11.C5又はプロテアーゼ阻害剤に対する
抗体、例えばα−抗トリプシン、α−抗キモトリプ
シン及びタンパク質C阻害剤に対するモノクローナル抗
体等を用いて染色した。図2Aに示すデータは、7E1
1.C5抗体との免疫反応の1つのバンドを示してい
る。α−抗トリプシン又はタンパク質C阻害剤に対す
る抗体との免疫反応性は観察されなかった。α−抗キ
モトリプシンに対する抗体との免疫反応性が2つ観察さ
れた。一つはPSMA/α−抗キモトリプシン複合体
に対応するものであり、他方は血清中に存在することが
知られている遊離のα−抗キモトリプシンに対応する
ものである(図2B)。本発明者等の以前の研究(デー
タは示さず)において、遊離のα−抗キモトリプシン
はチオフィリックゲルに対するアフィニティーを有する
ことが実証されている。これが、血清中のPSMAがα
−抗キモトリプシンとの複合体(PSMA−ACT)
として存在していることの第一の証拠である。LNCa
P細胞から調製したPSMAと女性の血清又は市販のα
−抗キモトリプシンとのインキュベートにより前記の
複合体を作成する試みは失敗した。
【0010】ウエスタンブロット及びELISAによ
る、前立腺癌患者血清中のPSMA−ACT複合体の検
異なる疾患ステージにある前立腺癌患者55名に由来す
る血清、健常者(20名)、BPH(46名)及び前立
腺炎(9名)の血清サンプルをブラインド様式で無作為
化し、PSMAの存在について分析した。全ての血清サ
ンプル最初にチオフィリックゲルクロマトグラフィーに
付した。カラム溶離物を、SDS/PAGE/ウエスタ
ンブロット分析及び7E11.C5抗体を用いた免疫染
色によりPSMAの存在について分析した。図3Aに示
すデータは、対照、BPH、前立腺炎血清及び異なる疾
患ステージ(T、T、T及びT)にある8名の
前立腺癌患者由来の血清を示している。全ての場合にお
いて、75〜90kDaに対応する免疫反応性の唯一の
バンドが観察された。免疫染色の強度は、非癌性患者と
比較して癌患者由来の血清において有意に高かった。抗
PSMA抗体B−6を用いて同様の結果が見いだされた
(図6参照)。図2及び6において本発明者等は、患者
血清中のPSMA−ACT複合体をPSMA抗体及び抗
α−抗キモトリプシン抗体を用いて同定することがで
きることを実証した。この結果は、PSMA抗体、例え
ば7E11.C5又はB−6を「捕捉」抗体として及び
抗α抗キモトリプシン抗体を「検出」抗体として使用
することにより、患者血清中のPSMAをモニターする
ためのELISAアッセイを開発するための機会をはじ
めて提供した。図3Bに示される全ての血清サンプル
を、サンドイッチELISAにおいてPSMA−ACT
複合体の存在について分析した。図3Aに示すELIS
Aの結果は、490nMにおける吸光度として表した。
BPH又は前立腺炎中のPSMA−ACTレベルは、よ
り進行した疾患と比較して低い。ウエスタンブロット分
析により検出されたPSMAレベル(図3B)は、サン
ドイッチELISAで見ることができるもの(図3A)
に対応する。PSMA−ACT複合体は血清中で検出す
ることができ、かつ、血清に基づくPSMA調製物が今
までのところ入手不可能であるという事実より、本発明
者等は3名の前立腺癌患者(Tステージ)由来のプー
ル血清を使用して内部標準を調製し、血清のスクリーニ
ングに使用した。本発明者等は、1:5〜1:160の
範囲の血清希釈を用いて、直線的な用量反応曲線を得た
(図5)。総数130の血清サンプルを、新規に開発し
たサンドイッチELISAにおいてPSMA−ACT複
合体レベルについてアッセイし、結果を図4に示す。P
SMAの結果は、各プレートについて行った検量線から
導いた任意の単位で表した。対照、BPH及び前立腺炎
のPSMAレベルは通常10単位よりも低いが、異なる
疾患ステージにあるPSMAレベルは高く、通常は疾患
の進行と十分に相関している。これらの結果は、通常は
擬陽性が真の陽性をこえる現在のPSA試験よりもはる
かに優れている。B−6ハイブリドーマクローンは、7
E11.C5細胞の親となるソースでもある7E11ハ
イブリドーマ細胞の未クローン培養からはじめて単離し
た。B−6ハイブリドーマ細胞を、10%熱不活性化ウ
シ胎仔血清を含むRPMI1640培地中で消費(ex
pend)した。B−6ハイブリドーマ細胞は低温保存
した。B−6ハイブリドーマ細胞が前立腺特異的膜抗原
を選択的に同定する抗体を産生する能力は、以下の3つ
の異なる方法により確認した。(a)間接的免疫ペルオ
キシダーゼ染色、(b)ウエスタンブロット及び(c)
サンドイッチELISA。PSMAに対する抗体を含む
B−6細胞由来のならし培地(conditioned
medium)を、前立腺癌細胞の免疫染色に使用し
た。B−6細胞を使用してBalb/cマウス中で腹水
を生成し、精製抗体をELISA及びウエスタンブロッ
ト分析に使用した。
【0011】モノクローナル抗体の産生と精製 Balb/cマウス(6〜8週齢)に、B−6細胞
(0.5ml PBS中、5×10細胞/マウス)を
腹腔内注射した。3週間後に腹水を集め、モノクローナ
ル抗体(B−6)を、硫酸アンモニウムを用いた沈殿、
続く製造者の指示に従うタンパク質Aアガロースカラム
クロマトグラフィーにより最初に精製した。IgGの精
製を、SDS/PAGE及びクーマシーブルー染色によ
り確認した。IgG濃度は、BCAアッセイ法(Pie
rce,Rockford,IL)により測定した。間接的免疫ペルオキシダーゼ染色 免疫染色について、4つのヒト前立腺癌細胞系(PC−
3、PC−3M、DU−145、LNCaP)及び2系
統の正常なヒト繊維芽細胞(BG−9、MLD)を使用
した。培養細胞、未固定及びホルマリン固定した、調製
したばかりのサイトスピン(cytospin)標本
を、最初にブロッキング溶液(PBS中の1%アルブミ
ン)で1時間処理し、続いてB−6抗体を含むB−6な
らし培地(ブロッキング溶液中1:500に希釈(di
l))と共に1時間インキュベートした。PBSで細胞
を3回洗浄した後、ペルオキシドをコンジュゲートした
ヤギ抗マウスIgG(Jackson Immune
Research Laboratories)の1:
10000希釈物に60分間曝露した。呈色反応は、P
BS(pH7.2)中の3,3’−ジアミノベンジジン
(0.05%):H(0.01%)を用いて展開
した。一次抗体に代えてPBS及びミエローマ細胞系由
来の培養液を、追加の対照として含めた。免疫特異的染
色の強度を、ツァイス(Zeiss)顕微鏡(40×対
物、10×接眼)を用いて評価した。未固定の細胞系
は、B−6抗体に対する免疫反応性を全く示さなかっ
た。ホルマリンで固定した細胞のなかで、LNCaP細
胞のみがB−6抗体に対する特異的な免疫反応性を示し
た。LNCaP細胞の免疫ペルオキシダーゼ染色の強度
は、膜貫通領域において支配的である。そのような免疫
反応性は、固定したPC−3、PC−3M、DU−14
5、BG−9及びMLD細胞においては見られなかっ
た。
【0012】ウエスタンブロット分析 LNCaP、PC3及びDU−145由来の細胞溶解物
を、B−6抗体を用いたウエスタンブロット分析に使用
した。細胞をトリプシン処理し、PBSで洗浄し、2回
の凍結解凍サイクルに付した。細胞溶解物を2000×
gで10分間遠心分離し、NP−40(終濃度0.5
%)を添加した後に、上清を4℃で30分間インキュベ
ートした。可溶化した物質を10000×gで20分間
遠心し、前記と同様にして上清を3S,T−ゲルクロマ
トグラフィーに使用した。PSMAを含むT−ゲルカラ
ム由来の画分をプールし、濃縮(×6)し、非還元条件
下で4〜15% SDS/PAGEに適用した。PVD
F膜に電気泳動的に移した後、PSMA抗原を、B−6
抗体により同定した。DU−145及びPC−3細胞由
来の細胞溶解物は、B−6抗体に対する免疫反応性を全
く示さなかった。しかしながら、LNCaP細胞調製物
の場合、100〜110kDaに対応する単一の免疫反
応バンドが見られた。別実験において、B−6及び7E
11.C5抗体の両方を用いてLNCaP細胞溶解物を
平行して精査した。結果を図6に示す。両方の抗体は、
LNCaP細胞溶解物中のPSMA抗原を同定すること
ができた。ELISA B−6及び7E11.C5抗体を使用して、ELISA
アッセイにより、前立腺癌患者の血清中のPSMAを測
定した。正常な個体及びBPH患者由来の血清も含め
た。96ウェル免疫プレートを2等分し、一方はB−6
抗体でコーティングし、他方は7E11.C5抗体でコ
ーティングした。プレートの各半分はPSMAに対する
自身の内部標準を有していた。ELISA手順のその他
の詳細は前記と同様であった。この試験の結果を図7に
示す。各血清について、PSMA抗原のインデックス
は、B−6及び7E11.C5抗体の両方と本質的に同
一である。ELISA及びウエスタンブロットの結果に
基づいて、B−6及び7E11.C5抗体の両方が、前
立腺癌患者血清中のPSMAの存在を検出するために効
果的に利用することができることが明らかになる。癌患
者のPSMAレベルは、BPH又は前立腺炎と比較して
有意に高い。
【0013】本発明者等は、ELISA及びウエスタン
ブロット分析の両方による血清PSMAをモニターし
た。ウエスタンブロット分析について、血清を、血清タ
ンパク質の大部分を除去する3S−チオフィリックゲル
中でクロマトグラフィーに付した。チオフィリックゲル
処理後の血清を、SDS−PAGE及びPSMA抗体を
用いたウエスタンブロットにより分析した。全ての場合
において、75〜90kDaに対応する単一のPSMA
バンドが観察された。総数130の血清サンプルを処理
した。前立腺癌血清、BPH、前立腺炎及び正常血清を
含む代表的な結果を図3Bに示す。血清及びLNCaP
細胞抽出物に存在するPSMAの分子量は異なるという
ことは言及する価値がある。血清PSMAは75〜90
kDaであり、LNCaP細胞由来のPSMAは100
〜110kDaである。LNCaP細胞由来のPSMA
の分子量は、還元又は非還元条件下の両方で同一のまま
であった。しかしながら、還元条件下において、血清由
来のPSMAはウエスタンブロットでは検出不可能であ
る。PSMAに対する追加の抗体は現在入手不可能であ
るので(前出、Liuら及び前出、Grauerら)、
異なる体液中のPSMAをモニターするためのイムノア
ッセイを開発する試みを行った。Sokoloffら
は、PSMAに対する二重モノクローナルサンドイッチ
アッセイを開発した(Sokoloffら,A dua
l−monoclonal sandwich ass
ay for prostate−specific
membrane antigen:Levels i
n tissues,seminal fluid a
nd urine,Prostate,vol 43,
pp150−157,2000)。Sokloffら
は、組織抽出物、尿及び精液中のPSMAレベルの測定
には成功した。しかしながら、血清中のPSMAをモニ
ターする試みは失敗している。本発明者等の血清中のP
SMAレベルをモニターする試みは成功した。この成功
は、血清中のPSMAがα−抗キモトリプシンとの複
合体(PSMA−ACT)として存在するとのはじめて
の認識に大きく依存している。本発明者等のサンドイッ
チELISAにおいては、PSMA抗体7E11.C5
及びB−6を「捕捉」抗体として、及び、抗α−抗キ
モトリプシン抗体を「検出」抗体として使用した。
【0014】PSMAは膜貫通型糖タンパク質である。
PSMA抗体はPSMAのNH末端とのみ結合するこ
とも知られている。血清中で検出されたPSMAは、P
SMAに対するエピトープを含む抗原の断片であるに違
いなく、ACTと複合体を形成したときに、分子量が7
5〜90kDaになる。ウエスタンブロット分析におけ
るPSMA検出は、妨害タンパク質の大部分を効率的に
除去するチオフィリックゲルクロマトグラフィーにより
LNCaP細胞抽出物を処理した後にのみ実施可能であ
った。LNCaP細胞抽出物及び血清中のPSMAの分
子量は異なる。血清PSMAは75〜90kDaであ
り、LNCaP細胞中のPSMAは100〜110kD
aである。血清PSMAはサンドイッチELISAによ
りはじめて検出することができる。明らかに、7E1
1.C5又はB6抗体に対するエピトープを含むPSM
A断片は、α−抗キモトリプシンと複合体化してPS
MA−ACT複合体を形成する血清へ放出される。この
ことは、新規に開発するELISA試験についての基礎
を構成する。本発明者等のELISA試験では、7E1
1.C5又はB−6抗体を使用してPSMAを捕捉し、
検出はα−抗キモトリプシン抗体の使用に基づく。E
LISAにより検出されるPSMAのレベルは、疾患の
ステージと十分に相関する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、チオフィリックゲルクロマトグラフィ
ー後のLNCaP細胞抽出物及び前立腺癌患者における
PSMAのウエスタンブロット検出を示している。LN
CaP細胞抽出物又は患者血清を3−S−チオフィリッ
クゲル中でクロマトグラフィーに付した。カラム溶離物
中のPSMAの存在を、SDS−PAGE及び抗PSM
A抗体7E11.C5を用いたウエスタンブロットによ
り検出した。「A」はLNCaP細胞抽出物を示し、
「B」は前立腺癌血清(ステージT−3)を示してい
る。LNCaP細胞抽出物の4つの異なる調製物及びス
テージTにある10名の患者の血清を分析した。結果
は全ての場合において本質的に同一であった。
【図2】図2は、患者血清中のPSMAが、当該抗原と
α−抗キモトリプシンとの複合体の形態で存在するこ
とを示すウエスタンブロット分析を示している。ステー
ジTの前立腺癌患者に由来する血清を3S、T−ゲル
中でクロマトグラフィーに付し、ウエスタンブロットに
より分析し、抗PSMA抗体7E11.C5(レーン
A)又は抗α−抗キモトリプシン抗体(レーンB)を
用いて免疫染色した。抗ACT抗体によって2つのバン
ドが検出された。1つはα−抗キモトリプシン抗体
(下部のバンド)に対応し、他方はPSMA−ACT複
合体(上部のバンド)に対応する。同様の手順により更
に13名の患者でPSMA−ACT複合体の存在を検出
した。
【図3】図3は、サンドイッチELISA(A)及びウ
エスタンブロット(B)を用いた前立腺癌患者血清中の
PSMA−ACT複合体検出の比較を示している。T
1、T 、T及びTステージの前立腺癌患者、対照
(C)、前立腺炎(P)及びBPH由来の各血清サンプ
ルにおいてPSMAを検出した。示されているデータ
は、異なるステージの疾患及び対照における12の代表
的な血清サンプルを含んでいる。
【図4】図4は、患者血清におけるPSMA−ACT複
合体のELISAによる決定のグラフを示している。正
常な対照(20)、前立腺炎(9)、BPH(46)及
び異なるステージの前立腺癌(55)を含む全130の
血清サンプルをサンドイッチELISAにより分析し
た。モノクローナル抗PSMA抗体7E11.C5によ
り抗原を捕捉し、ポリクローナル抗ACT抗体により検
出した。結果を、各マイクロプレート中に含まれる検量
線から導かれる任意単位として表す。標準は、T3ステ
ージの患者に由来するプールした血清の連続的な2倍希
釈物(1単位(1:160希釈)〜100単位(1:5
希釈)の範囲)から構成されている。各点は1つの血清
サンプルを示している。グラフは、非前立腺癌サンプル
では10未満の値に減少し、前立腺癌サンプルでは10
より高い値に減少し、約10単位ではオーバーラップが
極めて少ないことを示している。
【図5】図5は、PSMA−ACT複合体についてのE
LISAの較正を示している。T−3ステージにある3
名の前立腺癌患者に由来するプールした血清を連続希釈
し、50μlのアリコートを抗PSMA抗体で被覆した
マイクロタイタープレートに三重に添加した。抗ACT
抗体を使用してPSMA−ACT複合体の存在を検出し
た。比較可能な希釈にある正常血清を対照として使用し
た。標準は、プールした血清の連続希釈物(1単位
(1:160希釈)〜100単位(1:5希釈)の範
囲)から構成される。示される結果は、6つの独立した
アッセイを示している。
【図6】図6は、チオフィリックゲルクロマトグラフィ
ーによる分離、続く(A)7E11.C5抗体及び
(B)B−6抗体を用いたウエスタンブロット分析によ
るLNCaP細胞溶解物中のPSMA検出を示してい
る。
【図7】図7は、ELISAによる前立腺癌患者血清中
のPSMA−ACT複合体の測定についての7E11.
C5とB−6抗体との比較を示している。正常な対照
(11)、BPH(12)及び前立腺癌患者(35)を
含む全58の血清サンプルを、サンドイッチELISA
により分析した。モノクローナル7E11.C5又はモ
ノクローナルB−6抗体のいずれかにより抗原を捕捉
し、ポリクローナル抗ACT抗体により検出した。その
他の詳細は前記と同様である。結果は任意単位により示
される。
フロントページの続き (72)発明者 エルツビータ カウィンスキー アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14127 オーチャード パーク ジュエット ホ ルムウッド 7600 (72)発明者 カイラッシュ シー チャッダ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 14221 ウィリアムスヴィル サマーヴュー ロ ード 106

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体液中の前立腺特異的膜抗原(PSM
    A)を検出する方法であって、 PSMA抗体を使用して、PSMAを含む体液サンプル
    からPSMAを捕捉する工程、及び、 捕捉したPSMAを、抗α−抗キモトリプシン抗体を
    用いて検出する工程、を含み、PSMAを免疫アッセイ
    により検出することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 PSMAを、以下の工程:PSMA抗体
    を希釈することにより該PSMA抗体を使用する工程、 得られた溶液を用いて表面をコーティングする工程、 該表面上の非特異的部位をブロックする工程、 サンプルをブロッキング緩衝液で希釈する工程、及び、 希釈したサンプルをウェルに適用してPSMAを捕捉す
    る工程により捕捉する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 捕捉したPSMAを、抗−α−抗キモ
    トリプシン抗体を用いて、以下の工程:ウェルを洗浄す
    ることにより非捕捉物質を除去する工程、 ブロッキング溶液中で希釈した抗−α−抗キモトリプ
    シン抗体を適用する工程、及び、 結合したPSMAを、ペルオキシダーゼで標識した抗ウ
    サギIgG及びOPD基質を用いて検出する工程、によ
    り検出する、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 体液が血清である、請求項1に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 体液が血清である、請求項2に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 体液が血清である、請求項3に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 体液が尿である、請求項1に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 体液が尿である、請求項2に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 体液が尿である、請求項3に記載の方
    法。
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