JP2002277416A - 熱伝導率の測定方法 - Google Patents

熱伝導率の測定方法

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JP2002277416A
JP2002277416A JP2001081286A JP2001081286A JP2002277416A JP 2002277416 A JP2002277416 A JP 2002277416A JP 2001081286 A JP2001081286 A JP 2001081286A JP 2001081286 A JP2001081286 A JP 2001081286A JP 2002277416 A JP2002277416 A JP 2002277416A
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thermal conductivity
liquid sample
heater
heating energy
protective film
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Kiyoshi Ota
潔 太田
Kentaro Kataoka
健太郎 片岡
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘性の低い液体試料であっても、熱伝導率を
熱線法により迅速に精度良く測定することができる熱伝
導率の測定方法を提供することである。 【解決手段】 液体試料10の表面を保護膜3で被覆
し、この保護膜3を介してヒーター7で液体試料10を
加熱し、そのときのヒーター7の温度変化から液体試料
10の熱伝導率を測定する方法であって、ヒーター7に
加わる加熱エネルギーと熱伝導率との関係を求め、この
関係からヒーター7への加熱エネルギーがゼロの場合の
熱伝導率を求め、これを当該液体試料10の熱伝導率と
することで、粘性の低い液体試料10の熱伝導率を迅速
に精度良く求めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非定常細線加熱法
(熱線法)を利用して、液体試料、特に低粘性の液体試
料の熱伝導率を測定する方法に関する。
【従来の技術】
【0002】物質の熱の伝わり易さを表す熱伝導率は、
非定常細線加熱法(熱線法)により簡便に測定できる。
熱線法の測定原理を図5に示す。図5に示すように、無
限円筒と見なせる形状で均質な試料11の中心線上にヒ
ーター12を張り、このヒーター12に一定電力(加熱
エネルギー)を与え続けると、熱電対13で測定するヒ
ーター12の温度は時間とともに指数関数的に上昇す
る。したがって、時間軸を対数目盛にすると図6のよう
に、昇温カーブは直線になる。熱を伝えにくい熱伝導率
の小さい試料であればヒーター12は速く昇温するの
で、この直線の傾きは大きくなり、逆に熱を伝えやすい
熱伝導率の大きい試料であればこの傾きは小さくなる。
すなわち、試料の熱伝導率は対数時間による昇温グラフ
の傾きを求めることにより測定できる。このことから、
熱伝導率は下記に示す数式から近似的に求めることがで
きる。
【0003】
【数1】
【0004】ここで、λ,q,t1,t2,T1,T2は、
下記の内容を示す。 λ:試料11の熱伝導率 q:ヒーター12の単位時間、単位長さ当たりの発熱量 t1:測定開始時刻 t2:測定終了時刻 T1:時刻t1におけるヒーター12の温度 T2:時刻t2におけるヒーター12の温度
【0005】測定する試料が固体の場合は、上記の熱線
法により熱伝導率を簡便に測定することができる。ま
た、試料が液体の場合は、液体試料表面に保護膜を乗
せ、この保護膜の上にヒーター12および熱電対13を
配置することにより熱伝導率を測定することが提案され
ている。しかし、液体試料の場合は加熱エネルギーを与
えると伝導伝熱の他に対流伝熱も生じるため、測定され
た熱伝導率が実際よりも大きな値となる傾向にある。特
に液体試料の粘性が低い場合は、対流伝熱が生じ易く、
測定値の誤差が大きくなるため、粘性の低い液体試料の
熱伝導率を迅速に精度良く求める方法が必要とされてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、たと
え粘性の低い液体試料であっても、熱伝導率を熱線法に
より迅速に精度良く測定することができる熱伝導率の測
定方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の熱伝導率の測定
方法は、液体試料の表面を保護膜で被覆し、この保護膜
を介してヒーターで液体試料を加熱し、そのときのヒー
ターの温度変化から液体試料の熱伝導率を測定する方法
であって、ヒーターに加わる加熱エネルギーと熱伝導率
との関係を求め、この関係からヒーターへの加熱エネル
ギーがゼロの場合の熱伝導率を求め、これを当該液体試
料の熱伝導率とするものである。
【0008】本発明によれば、保護膜の加熱エネルギー
を複数変更して得られた各熱伝導率と加熱エネルギーと
の関係を、例えば回帰分析等の手段により外挿すること
によって、加熱エネルギーがゼロのときの値を求めるこ
とで、粘性の低い液体の熱伝導率を迅速に精度良く測定
することができる。液体の対流伝熱は、加熱エネルギー
が多いほど大きくなる傾向にあるため、加熱エネルギー
をゼロに外挿することにより、対流伝熱の影響が殆どな
い試料固有の伝導伝熱のみによる熱伝導率が得られる。
【0009】本発明における熱伝導率の測定方法は、ヒ
ーターに加わる加熱エネルギーと熱伝導率との関係を回
帰分析により外挿することによって、ヒーターへの加熱
エネルギーがゼロの場合の熱伝導率をより正確に求める
ことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を詳細
に説明する。この実施形態で使用する熱線法による熱伝
導率測定装置の概略を図1に示す。同図に示すように、
熱伝導率測定装置1は、プローブ2、保護膜3、試料を
入れる容器4、制御部5およびケーブル6からなる。
【0011】プローブ2は、保護膜3を介して容器4の
上に重ね合わされる。図2はプローブ2を裏返した状態
を示している。プローブ2は、図2に示すように、加熱
エネルギーを供給するために下面14の長手方向に直線
上に張られたヒーター7、このヒーター7と部分的に接
触してヒーター7の温度を測定するための温度センサ8
および取っ手9を備えている。プローブ2は、ケーブル
6により制御部5と接続されている。制御部5は、ヒー
ター2へ供給する電流値(A)、電流を供給する時間
(t)、温度センサ8で測定されたヒーター7の温度
(T)の制御、計測を行い、その結果を基にして熱伝導
率(λ)を求めるものである。図3は、液体試料10を
入れる容器4を示している。このような熱伝導率測定装
置を図1のように配置した状態で、ヒーター7に一定の
電流(加熱エネルギー)を一定の時間供給し、その間の
ヒーター7の温度変化を熱電対8で計測し、熱伝導率を
求める。
【0012】ヒーター7として使用する加熱線は、種々
の合金または純粋金属が利用でき、例えばニッケル45
%、銅55%合金等が挙げられる。温度センサ8として
は、種々の熱電対、例えば白金ロジウムと白金を組み合
わせた貴金属系熱電対と銅、鉄、コンスタンタン、クロ
メル、アロメルを材料とする卑金属系熱電対が使用可能
であり、測定温度域等を考慮して使用条件に適した熱電
対を選定すればよい。また、温度センサ8として、熱放
射を利用し非接触温度測定が可能な放射温度計等も使用
できる。
【0013】保護膜3は、液体試料10の熱伝導率測定
時にプローブ2のヒーター7、熱電対8等が濡れたり、
汚れたり、あるいは腐食したりするのを防止するために
使用している。保護膜3としては、液体試料10の温度
変化および温度センサ8の計測値に対して、保護膜3の
与える影響が極力少なくなるように熱伝導率の高いもの
が好ましく、厚さ1μm〜50μm程度の薄膜で、特に
耐水性、耐薬品性、耐溶剤性等を備えたものが好まし
い。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸
メチル等)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン等
のフィルムあるいはシート状のものが使用できる。な
お、保護膜3の影響を消去するために、本発明における
熱伝導率測定方法により標準物質(熱伝導率が既知の固
体等)の熱伝導率を測定し、保護膜3を介することによ
り生じる微小な誤差を予め求め、この結果をもとにして
液体試料10の熱伝導率測定結果に対する保護膜3の影
響を補正するのがより好ましい。
【0014】容器4としては、液体試料10の成分に応
じて、各種プラスチック、ガラス等の材質が使用でき
る。液体試料10は容器4の上面開口部まで入れ、その
上に乗せる保護膜3と液体試料10との間に隙間ができ
ないように密着させる。さらに保護膜3とヒーター7お
よび温度センサ8との間に隙間ができないようにプロー
ブ2を配置する。
【0015】液体試料10を構成する成分および粘性等
に関しては、特に制約はない。本発明によれば、従来の
測定方法では迅速に精度良く測定することが困難であっ
た粘性が低くヒーターに対して腐食性のある液体試料1
0でも、一般には動粘性率1cs以上のものが測定可能
である。
【0016】本発明の一実施形態である後述の実施例の
表1に示すように、ヒーター2による加熱エネルギーA
2(ここでAは電流値を示し、その2乗値は、数式1の
発熱量qと相関する。)を複数変更した場合、加熱エネ
ルギーA2が増加するとともに、液体試料の対流伝熱も
大きくなるため、得られた熱伝導率は大きくなってい
る。特に、粘性の低い液体試料aに、この傾向が顕著に
現れている。このように、対流状態によって測定値に大
きな誤差が生じることがわかる。
【0017】次に、図1の熱伝導率測定装置1を用い
て、熱伝導率を測定する手順について説明する。 手順 1)容器4に液体試料10を満たす。 2)液体試料10の上に保護膜3を被せる。 3)プローブ2を容器4の上に保護膜3を介して重ね合
わせる。 4)ヒーター7から保護膜3に一定の電流値Aを供給し
続ける(通常、約1〜2分間)。 5)そのときの熱伝導率λ1を制御部5で計測する。 6)電流値Aを変えて、同様にして、λ2を計測する。 7)以下、同様にして複数のλn値(通常2個以上、好
ましくは4個以上)を得る。(通常、λ1〜λnは、電
流値が0.25〜3Aの範囲で計測される。) 8)これらのλとA2との関係をもとに、回帰分析によ
る外挿によってA2=0のときのλ0を求める。このλ
0を液体試料10の熱伝導率とする。なお、単に、λと
2との関係を表したグラフ上の各点の最も近傍を通る
ような直線あるいは曲線を引くことによって、A2=0
に外挿してもよい。
【0018】上記のようにして求めた加熱エネルギーが
ゼロのときの熱伝導率は、対流伝熱の影響を消去できる
ため、液体試料固有の熱伝導率により近い値となる。
【0019】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0020】実施例 下記に示す液体試料a〜eについて、京都電子工業
(株)製の迅速熱伝導率計「QTM−500」を用い
て、加熱エネルギー(電流値Aの2乗にて表す)を表1
に示すように変化させて各条件における熱伝導率を測定
した。λとA2との関係を図4に示す。次に、上記各熱
伝導率をもとにして回帰分析による外挿によって、加熱
エネルギーがゼロのときの熱伝導率を求めた。 実施例(1) 液体試料a:動粘性率が10csのシリコーンオイル 実施例(2) 液体試料b:動粘性率が50csのシリコーンオイル 実施例(3) 液体試料c:動粘性率が100csのシリコーンオイル 実施例(4) 液体試料d:動粘性率が1000csのシリコーンオイル 実施例(5) 液体試料e:動粘性率が10000csのシリコーンオイル 実施例(1)〜(5)の試料a〜eについて、各加熱エネルギ
ーにおける熱伝導率、回帰分析によって求めた熱伝導率
(A2=0のときのλ)および液体用熱伝導率計ULV
AC TCW−100型(真空理工株式会社製)による
熱伝導率測定結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1、図4に示すように液体試料の動粘性
率が低い(液体試料aの動粘性率が最も低い)ほど、実
際の熱伝導率との誤差が加熱エネルギーの増加とともに
大きくなっていることがわかる。また、各加熱エネルギ
ーにおける熱伝導率をもとに、回帰分析により外挿する
ことによって求めた熱伝導率は、実際の熱伝導率に近い
値となっていることがわかる。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、粘性の低い液体試料で
あっても、熱線法により熱伝導率を迅速に精度良く測定
することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に使用される熱伝導率測定
装置の概略を示す斜視図である。
【図2】図1の測定装置におけるプローブおよび制御部
を示す斜視図である。
【図3】図1の測定装置における液体試料を入れる容器
を示す斜視図である。
【図4】実施例で得た熱伝導率と加熱エネルギーとの関
係を示すグラフである。
【図5】通常の熱線法による熱伝導率測定原理を示す斜
視図である。
【図6】熱線法による温度測定により得られる時間(対
数)と温度上昇との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 熱伝導率測定装置 2 プローブ 3 保護膜 4 容器 5 制御部 6 ケーブル 7 ヒーター 8 温度センサ 9 取っ手 10 液体試料 11 試料 12 ヒーター 13 熱電対

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体試料の表面を保護膜で被覆し、この保
    護膜を介してヒーターで液体試料を加熱し、そのときの
    ヒーターの温度変化から液体試料の熱伝導率を測定する
    方法であって、ヒーターに加わる加熱エネルギーと熱伝
    導率との関係を求め、この関係からヒーターへの加熱エ
    ネルギーがゼロの場合の熱伝導率を求め、これを当該液
    体試料の熱伝導率とすることを特徴とする熱伝導率の測
    定方法。
  2. 【請求項2】前記液体試料が低粘性の液体である請求項
    1記載の熱伝導率の測定方法。
  3. 【請求項3】ヒーターに加わる加熱エネルギーと熱伝導
    率との関係を回帰分析により外挿することによって、ヒ
    ーターへの加熱エネルギーがゼロの場合の熱伝導率を求
    める請求項1または2記載の熱伝導率の測定方法。
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