JP2002275655A - 金属製家具およびその製造方法 - Google Patents

金属製家具およびその製造方法

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JP2002275655A
JP2002275655A JP2001082680A JP2001082680A JP2002275655A JP 2002275655 A JP2002275655 A JP 2002275655A JP 2001082680 A JP2001082680 A JP 2001082680A JP 2001082680 A JP2001082680 A JP 2001082680A JP 2002275655 A JP2002275655 A JP 2002275655A
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furniture
metal
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JP2001082680A
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Tetsuya Otsuki
哲也 大槻
Tae Yanagihara
妙 柳原
Yoshiaki Sakashita
好顕 阪下
Terubumi Sato
光史 佐藤
Riichi Nishide
利一 西出
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Nagase Chemtex Corp
Nagase and Co Ltd
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Nagase Chemtex Corp
Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 擦り傷を負う可能性を低減し、表面外観を保
持するために、金属酸化物薄膜によって優れた機械強度
を有する金属製家具およびその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 耐摩耗性に優れる金属製家具およびその
製造方法が開示されている。本発明の金属製家具は、家
具用金属基材の表面に、ジルコニア膜を有する、金属製
家具であって、該薄膜が、ジルコニウム化合物、アミノ
ポリカルボン酸、アミンおよび溶媒を含有するジルコニ
ア膜形成プレカーサー組成物由来の膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属製家具およびその
製造方法に関する。より詳細には、優れた機械強度を有
する金属製家具およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属製の家具は、主に事務用
のロッカー、机および椅子などのOA用品として広く用
いられている。これら金属製の家具は、事務所の移転お
よび事務所内の模様替えといった時に、移動することを
余儀なくされる。この際、他の家具あるいは事務所の壁
などとの接触により、家具表面に擦り傷が発生し、美観
の低下が著しくなり、外装品質が損なわれる。また、机
および椅子にいたっては、通常の使用においても、擦り
傷の発生しやすい環境下にさらされている。
【0003】従来は、家具の運搬輸送時には、家具に対
する傷つけを防止するため主に家具のコーナー部分に蒲
団あるいは毛布などを当てがい、ロープなどにより固定
し、または家具全体を毛布あるいは特製の大きな蒲団な
どで被覆しロープで固縛して持運びをした。
【0004】しかし、前記の方法によると、多数の家具
を一度に搬送する場合あるいは数個所に亘り家具の積降
しを順次行う場合に作業が非常に面倒であり、しかも家
具を運搬車から降して所定の場所に持運びをする場合は
蒲団などを排除することになり、完全な傷つけ防止対策
としては不充分であった。
【0005】このような点に鑑み、種々のクッション材
などが提案されている。このクッション材には、家具の
搬送の際に取り付けられるもの、もしくは家具の一部と
して、特には家具のコーナー部に常時装着されるものな
どがある。
【0006】しかし、搬送の際に取り付けられるタイプ
のクッション材は、上記蒲団あるいは毛布などと同様な
問題があった。また、常時装着されるタイプのクッショ
ン材は、家具の美的外観を損なうという問題点があっ
た。さらには、コーナー部以外には適用しづらいという
問題点もあった。
【0007】他方、擦り傷が発生した場合、擦り傷を見
えにくくするために、金属製の家具表面に塗装を施すと
いう手段もとられている。
【0008】しかし、擦り傷の部分にのみ塗装が成され
ると、家具の他の部分との色調が合わないなど、美観の
低下は免れない。また、家具全体を再塗装した場合にお
いても、コストが掛かることおよび他の家具との調和が
図れないといった問題点があった。
【0009】
【発明の解決すべき課題】本発明は、上記問題の解決を
課題とするものであり、その目的とするところは、擦り
傷を負う可能性を低減し、表面外観を保持するために、
ジルコニア膜によって優れた機械強度を有する金属製家
具およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、家具用金属基
材の表面に、ジルコニア膜を有する、金属製家具であっ
て、該薄膜が、ジルコニウム化合物、アミノポリカルボ
ン酸、アミンおよび溶媒を含有するジルコニア膜形成プ
レカーサー組成物由来の膜である、金属製家具である。
【0011】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウム化合物は、ジルコニウムアルコキシド、四塩化ジル
コニウム、およびオキシ塩化ジルコニウムからなる群よ
り選択される少なくとも1種のジルコニウム化合物であ
る。
【0012】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウムアルコキシドは、テトラメトキシジルコニウム、テ
トラエトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウ
ム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラプロポ
キシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニ
ウムおよびテトラ−t−ブトキシジルコニウムからなる
群より選択される少なくとも1つの化学種である。
【0013】本発明はまた、家具用金属基材の表面に、
ジルコニア膜を有する、金属製家具の製造方法であっ
て、家具用金属基材表面に、ジルコニア膜形成プレカー
サー組成物を付与する工程;および該プレカーサー溶液
が付与された家具用金属基材を焼成する工程;を包含す
る、方法である。
【0014】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ア膜形成プレカーサー組成物は、ジルコニウム化合物、
アミノポリカルボン酸、アミンおよび溶媒から調製され
た溶液である。
【0015】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウム化合物は、ジルコニウムアルコキシドおよび四塩化
ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムからなる群より
選択される少なくとも1種のジルコニウム化合物であ
る。
【0016】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウムアルコキシドは、テトラメトキシジルコニウム、テ
トラエトキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウ
ム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラプロポ
キシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニ
ウムおよびテトラ−t−ブトキシジルコニウムからなる
群より選択される少なくとも1つの化学種である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の金属製家具は、家具用金
属基材表面に、ジルコニア膜を有する。
【0018】本発明に用いられる家具用金属基材は、家
具を製造し得る一般的な金属材である。ここで、本明細
書中に用いられる用語「家具」とは、広義の家具をい
い、具体的には、机、ロッカーおよび椅子のような一般
事務用家具;浴槽、キッチン台、キッチン用収容棚およ
びレンジ台のような家庭用大型家具;ならびに水道蛇
口、シャワーノズルのような水道用物品を包含してい
う。
【0019】このような金属材は、特に限定されない
が、例としては、鉄、ステンレススチール(SUS)お
よびアルミニウムが挙げられる。また、本発明に用いら
れる家具用金属基材の形状は、特に限定されないが、板
状であっても、ロール状であってもよい。
【0020】本発明においては、上記家具用金属基材の
表面に、ジルコニア膜が形成されている。ここで、家具
用金属基材の表面とは外表面だけでなく、必要に応じて
内表面も包含される。家具用金属基材の表面に施される
ジルコニア膜の厚みは、特には限定されないが、好まし
くは10nmから300nm、より好ましくは40nm
から140nmである。ジルコニア膜の厚みが10nm
を下回ると、耐摩耗性の効果が十分でない恐れがある。
他方、ジルコニア膜の厚みが300nmを上回っても、
格段の効果の向上が見られない恐れがある。さらには、
該金属酸化物薄膜による干渉色によって家具用金属基材
が着色されたかのようになってしまう恐れがある。
【0021】本発明の金属製家具は、以下のようにして
製造される。
【0022】まず、上記家具用金属基材の表面にジルコ
ニア膜形成プレカーサー組成物が付与される。このジル
コニア膜形成プレカーサー組成物は、主に、ジルコニウ
ム化合物、アミノポリカルボン酸、アミンおよび溶媒か
ら調製される。
【0023】本発明に用いられるジルコニウム化合物の
例としては、ジルコニウムアルコキシド、四塩化ジルコ
ニウムおよびオキシ塩化ジルコニウムが挙げられる。こ
のジルコニウムアルコキシドの例としては、テトラメト
キシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テト
ラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコ
ニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラ−se
c−ブトキシジルコニウムおよびテトラ−t−ブトキシ
ジルコニウム、ならびにこれらの組合わせが挙げられ
る。本発明においては、家具用金属基材に対して腐食性
を奏する恐れのある塩素成分を含まない方が望ましいと
いう理由から、ジルコニウム化合物としてジルコニウム
アルコキシドを使用することが好ましい。
【0024】アミノポリカルボン酸の例としては、エチ
レンジアミン四酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢
酸、1,2−プロパンジアミン四酢酸、N−ヒドロキシ
エチルエチレンジアミン三酢酸、N,N’−ジヒドロキ
シエチルエチレンジアミン二酢酸、2−ヒドロキシ−
1,3−プロパンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラ
ミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三
酢酸、イミノ二酢酸、カルボキシエチルイミノ二酢酸、
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、アラニン−N,N−二
酢酸、アスパラギン酸−N,N−二酢酸およびグルタミ
ン酸−N,N−二酢酸、ならびにこれらの塩が挙げられ
る。上記アミノポリカルボン酸を1種またはそれ以上を
組み合わせて使用してもよい。
【0025】本発明において、ジルコニア膜形成プレカ
ーサー組成物に使用されるアミンの例としては、脂肪族
アミン、芳香族アミンおよびこれらの組合わせが挙げら
れる。脂肪族アミンの例としては、炭素数が12以下の
アルキル基を有する一級または二級アミンが挙げられ
る。脂肪族アミンにおいてアルキル基の炭素数が12を
上回る場合は、アミン中の有機成分が多くなり、緻密な
ジルコニア膜を形成することが困難になる恐れがある。
【0026】上記脂肪族アミンの例としては、エチルア
ミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブ
チルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチ
ルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミ
ン、アミルアミン、ジアミルアミン、イソプロピルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソ
ブチルアミン、イソアミルアミン、ジイソアミルアミ
ン、エチル−n−ブチルアミン、エチル−n−プロピル
アミン、エチルイソプロピルアミン、イソプロピル−n
−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、n−ヘキシ
ルアミン、ジヘキシルアミンおよびn−オクチルアミ
ン、ならびにこれらの組合わせが挙げられる。
【0027】上記芳香族アミンの例としては、ピリジ
ン、4−メチルピリジン、4−アミノピリジンおよび4
−ジメチルアミノピリジンのようなピリジン誘導体;ベ
ンジルアミンおよびN,N−ジメチルベンジルアミンの
ようなベンジルアミン誘導体;N,N−ジメチルアニリ
ンおよびN,N−ジメチル−p−トルイジンのようなア
ニリン誘導体;ならびにこれらの組合わせが挙げられ
る。
【0028】本発明において、ジルコニア膜形成プレカ
ーサー組成物に使用される溶媒としては、特に限定され
ないが、低沸点でかつ極性を有する溶媒が好ましい。さ
らに、上記ジルコニウム化合物として金属アルコキシド
を使用した場合、溶解性を向上させる点から、1〜4個
の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状の低級アルコ
ールを用いることが好ましい。このような低級アルコー
ルの例としては、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタ
ノールおよびt−ブタノールが挙げられる。必要に応じ
て、これら低級アルコールと混和する他の溶媒(水、ア
セトンなど)を混合して使用してもよい。
【0029】上記ジルコニア膜形成プレカーサーに使用
されるジルコニウム化合物、アミノポリカルボン酸およ
びアミンの組成比は、家具用金属基材に形成されるジル
コニア膜の厚み、その製膜条件等によって変化するた
め、一概に限定されない。
【0030】他方、ジルコニア膜形成プレカーサー組成
物に使用されるジルコニウム化合物、アミノポリカルボ
ン酸およびアミンの組成比の一例としては、上記ジルコ
ニウム化合物10重量部に対し、3重量部〜25重量部
のアミノポリカルボン酸、および1重量部〜20重量部
のアミンが挙げられる。溶媒の量は、上記ジルコニウム
化合物、アミノポリカルボン酸およびアミンの混合物が
溶解し得る範囲の量で当業者により適切に選択され得
る。
【0031】ジルコニア膜形成プレカーサー組成物は、
必要に応じて、過酸化水素、過塩素酸、オゾンなどの酸
化剤を含有していてもよい。このような酸化剤を含有す
ることにより、ジルコニア膜形成プレカーサー組成物自
体の保存安定性が向上する。組成物中の酸化剤の含有量
は特に限定されず、当業者によって適切に選択され得
る。
【0032】本発明に用いられるジルコニア膜形成プレ
カーサー組成物の調製にあたっては、まず少量の水また
は適切な他の溶媒中に上記アミノポリカルボン酸を溶解
もしくは分散させ、次いでジルコニウム化合物が添加さ
れる。この反応により、ジルコニウム化合物中のジルコ
ニウムとアミノポリカルボン酸が錯体を形成して、ジル
コニウム錯体を含有する反応液が得られる。次いで、こ
の反応液から濃縮、析出等の操作を経て、ジルコニウム
錯体を得る。この様にして得たジルコニウム錯体を前記
溶媒中に加え、さらに必要に応じてアミン類および酸化
剤が添加される。このようにして本発明に用いられるジ
ルコニア膜形成プレカーサー組成物が調製される。ま
た、ジルコニウム化合物とアミノポリカルボン酸とアミ
ン類、酸化剤を前記溶媒中で反応させることにより一工
程でジルコニア膜形成プレカーサー組成物を調製しても
良い。なお、上記ジルコニア膜形成プレカーサー組成物
の調製においては、調製時の反応を促進させるために、
必要に応じて各成分の混合が加熱下にて行われる。この
ような加熱における温度などの条件は当業者によって適
切に選択され得る。
【0033】家具用金属基材表面へのジルコニア膜形成
プレカーサー組成物の付与は、スプレー、刷毛またはロ
ーラーのような手段を用いた塗布、ジルコニア膜形成プ
レカーサー組成物を含有する浴中への家具用金属基材の
浸漬、のいずれで行われてもよい。好ましくは、スプレ
ーまたは塗布のいずれかが選択される。
【0034】ここで本発明に用いられる家具用金属基材
は、家具の形状になる前の平板もしくはロール状のもの
でも、家具の形状になったものでもよい。組成物の塗布
を考慮すると、平板もしくはロール状のものであること
が好ましい。
【0035】本発明においては、上記ジルコニア膜形成
プレカーサー組成物の付与後、当該プレカーサー組成物
が付与された家具用金属基材は焼成される。
【0036】焼成は、当該分野において一般的に使用さ
れる電気炉などの加熱手段に加えて、携帯加熱手段で行
うことができるが、家具用金属基材の大きさにとらわれ
ずに焼成できる携帯加熱手段の方がより簡便なため推奨
できる。携帯手段の例としては、ガスバーナーおよび石
油バーナーのようなバーナー類、ならびにヒートガンが
挙げられる。焼成に使用される温度は、好ましくは45
0℃と850℃との間であり、より好ましくは450℃
と600℃との間であり、最も好ましくは450℃と5
50℃との間である。この温度は、例えば、家具用金属
基材表面に白金抵抗温度計を配置することにより連続的
または定期的に測定される。さらに焼成における時間
は、家具用金属基材の大きさなどの条件により、必ずし
も限定されないが、好ましくは2分〜60分、より好ま
しくは5分〜30分である。
【0037】上記焼成を行うことにより、家具用金属基
材表面に付与されたジルコニア膜形成プレカーサー組成
物は、ジルコニアでなる緻密な薄膜を形成する。
【0038】このようにして、優れた機械強度ならびに
耐摩耗性を有する本発明の金属製家具が製造される。こ
のことによって、本発明の金属製家具は、擦り傷を負い
にくく、優れた表面外観を保持し得るようになる。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
ない。
【0040】<製造例1:ジルコニア膜形成プレカーサ
ー組成物の調製>100mLの四つ口フラスコに、エタ
ノール53.03gおよびニトリロ三酢酸4.65gを
仕込み、室温で攪拌しながらジルコニウム−n−ブトキ
シド(純度87%)10.74gを滴下した。この混合
溶液に、ブチルアミン3.56gを滴下し、1時間還流
した。次いで、この混合溶液を40℃まで冷却し、30
%の過酸化水素水3.04gを滴下して、還流下で1時
間攪拌することにより、赤橙色の透明溶液を得た。この
橙色の透明溶液をジルコニア膜形成プレカーサー組成物
とした。このジルコニア膜形成プレカーサー組成物につ
いて、室温で一日保管後の状態(保存安定性)を評価し
た。 ○:室温で一日保管後、沈殿を生じなかった。 ×:室温で一日保管後、沈殿を生じた。
【0041】<比較製造例1:ゾルゲル法ジルコニアゾ
ルの製造>100mL四ツ口フラスコにエタノール8
0.09gを入れ、攪拌しながらジルコニウム−n−ブ
トキシド(87%)8.35gを滴下した後、60%硝
酸0.52gとイオン交換水0.39gとの混合物を室
温で滴下した。そして、室温で2時間かき混ぜることに
よりジルコニアゾルを得た。この溶液を室温で1日保管
すると乳白色溶液となり、3日後には沈殿が生じた。
【0042】<実施例1>10cm×10cm(厚み2
mm)のステンレス製プレート(基材)上に、製造例1
で調製されたジルコニア膜形成プレカーサー組成物をス
ピンコート法で塗布し、毎分10℃の昇温速度で100
℃から550℃まで昇温し、550℃で30分間焼成し
た。これにより基材がジルコニア膜でコートされたプレ
ート部材を得た。この部材を、以下の項目について評価
した。この部材を、以下の項目について評価した。
【0043】(1)耐摩耗性試験 基材上の薄膜の耐摩耗性をテーバー式摩耗試験により評
価した。摩耗輪はテーバー式のNo.CS−10Fを使
用し、各摩耗輪の供試体にかかる力は、4.90Nとし
た。表1に示す各回転数における膜の外観を目視で評価
した。 ○:膜が残存している。 △:50%以上膜が剥離している。 ×:膜が完全に剥離している。 上記評価の結果をまとめて、表1に示す。
【0044】<比較例1>上記で調製したジルコニアプ
レカーサー組成物(製造例1)の代わりに、ジルコニア
ゾル(比較製造例1)を用いたこと以外は、実施例1と
同様にしてプレート部材を作成した。得られたプレート
部材についての評価結果をまとめて表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1から明らかなように、耐摩耗性試験の
結果、実施例1のプレート部材は充分な耐摩耗性を有す
ることがわかる。これに対して、比較例1のゾルゲル法
により作製した薄膜を有する部材は、耐摩耗性に欠ける
ことがわかる。
【0047】<実施例2>実施例1と同様にして、実施
例1と同質のステンレス製の板にジルコニア膜を形成す
る。この板を用いて事務用机を作製する。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、ジルコニア膜を有する
ことにより、擦り傷の発生が低減される。このことによ
り、金属製の家具は表面外観を保持し、耐久性を向上さ
せることが可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 阪下 好顕 兵庫県伊丹市千僧5丁目41番地 帝国化学 産業株式会社伊丹工場内 (72)発明者 佐藤 光史 東京都八王子市別所2−29 エストラーセ 長池4−501 (72)発明者 西出 利一 福島県郡山市本町2丁目21番5号 ファー ストパレスIII307号 Fターム(参考) 4D075 BB28Z CA02 DA03 DA06 DB02 DB04 DB07 DC38 EB47 EC07 EC08 EC30 4J038 DM021 HA106 HA216 JA19 JA23 JB03 JB06 JB10 JC38 KA06 NA11 PA19 PB02 PC02 4K044 AA02 AB10 BA12 BB01 BC01 CA53 CA62

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 家具用金属基材の表面に、ジルコニア膜
    を有する、金属製家具であって、 該薄膜が、ジルコニウム化合物、アミノポリカルボン
    酸、アミンおよび溶媒を含有するジルコニア膜形成プレ
    カーサー組成物由来の膜である、金属製家具。
  2. 【請求項2】 前記ジルコニウム化合物が、ジルコニウ
    ムアルコキシド、四塩化ジルコニウム、およびオキシ塩
    化ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも1
    種のジルコニウム化合物である、請求項1に記載の金属
    製家具。
  3. 【請求項3】 前記ジルコニウムアルコキシドが、テト
    ラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウ
    ム、テトラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキ
    シジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テト
    ラ−sec−ブトキシジルコニウムおよびテトラ−t−
    ブトキシジルコニウムからなる群より選択される少なく
    とも1つの化学種である、請求項2に記載の金属製家
    具。
  4. 【請求項4】 家具用金属基材の表面に、ジルコニア膜
    を有する、金属製家具の製造方法であって、 家具用金属基材表面に、ジルコニア膜形成プレカーサー
    組成物を付与する工程;および該プレカーサー溶液が付
    与された家具用金属基材を焼成する工程;を包含する、
    方法。
  5. 【請求項5】 前記ジルコニア膜形成プレカーサー組成
    物が、ジルコニウム化合物、アミノポリカルボン酸、ア
    ミンおよび溶媒から調製された溶液である、請求項4に
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記ジルコニウム化合物が、ジルコニウ
    ムアルコキシドおよび四塩化ジルコニウム、オキシ塩化
    ジルコニウムからなる群より選択される少なくとも1種
    のジルコニウム化合物である、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記ジルコニウムアルコキシドが、テト
    ラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウ
    ム、テトラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキ
    シジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テト
    ラ−sec−ブトキシジルコニウムおよびテトラ−t−
    ブトキシジルコニウムからなる群より選択される少なく
    とも1つの化学種である、請求項6に記載の方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006348162A (ja) * 2005-06-16 2006-12-28 Jsr Corp プライマー用組成物及びプライマー層の形成方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006348162A (ja) * 2005-06-16 2006-12-28 Jsr Corp プライマー用組成物及びプライマー層の形成方法

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