JP2002275456A - 熱搬送材及びこれを用いた熱搬送システム - Google Patents

熱搬送材及びこれを用いた熱搬送システム

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JP2002275456A
JP2002275456A JP2001075223A JP2001075223A JP2002275456A JP 2002275456 A JP2002275456 A JP 2002275456A JP 2001075223 A JP2001075223 A JP 2001075223A JP 2001075223 A JP2001075223 A JP 2001075223A JP 2002275456 A JP2002275456 A JP 2002275456A
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Akira Kishimoto
章 岸本
Takeshi Umehara
猛 梅原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潜熱蓄熱マイクロカプセル分散液による流路
摩擦抵抗を小さくし、これによって送給ポンプの動力の
低減を図ることができる熱搬送材を提供すること。 【解決手段】 熱供給側システムと熱利用側システムと
の間を接続する供給側流路と戻り側流路とを通して循環
される熱搬送材。この熱搬送材は、供給側流路と戻り側
流路の温度範囲に相変化温度を持つ相変化蓄熱物質2、
界面活性剤及び棒状ミセル形成化合物を含み、界面活性
剤及び棒状ミセル形成化合物が棒状ミセル4を形成す
る。相変化蓄熱物質を含んでいるので、大きな熱量を吸
放出することができる。また、界面活性剤を含んでいる
ので、熱搬送材の流動抵抗を小さくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷熱、温熱等の熱
を搬送する際に用いる熱搬送材及びこの熱搬送材を用い
た熱搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】熱搬送システムの供給側流路と戻り側流
路の温度範囲に相変化温度を持つ相変化蓄熱物質を分散
してなる潜熱搬送材が知られている。この種の潜熱搬送
材としては、蓄熱材料をマイクロカプセル内に収容した
構造の潜熱蓄熱マイクロカプセルを水中に安定分散した
ものが知られており、このような潜熱蓄熱マイクロカプ
セルでは、蓄熱材料は、例えばテトラデカン、ペンタデ
カン、パラフィンワックス等から形成され、マイクロカ
プセルは、例えばメラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポ
リアクリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等から形成され
る。この潜熱蓄熱マイクロカプセルを用いた熱搬送シス
テムでは、相変化を伴わない顕熱のみを利用した熱搬送
システムに比べ、融点を挟む狭い温度範囲で多量の熱エ
ネルギーを蓄えて搬送することができるため、熱搬送材
として水だけを用いた場合に比べ少ない流量で多量の熱
量を搬送できるという利点を有している。特開平5−1
17642号公報、同5−163486号公報、同5−
215369号公報等には、有機系蓄熱材料を内包する
マイクロカプセルを用いた熱搬送システムが提案されて
いる。
【0003】このような潜熱蓄熱マイクロカプセル分散
液の調製にあたっては、例えば、蓄熱材料とメラミン樹
脂のプレポリマーとを、共に水中に分散乳化させつつ重
合させることによって、蓄熱材料を主材とするコアの外
周部に、ポリマー被膜からなるカプセル外層を形成した
構成の潜熱蓄熱マイクロカプセルが水中に安定分散し、
このようにして潜熱蓄熱マイクロカプセルの分散液を得
ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】潜熱蓄熱マイクロカプ
セルを分散した分散液は、マイクロカプセルが分散して
いる故に、その粘度は水自体と比較すると高く、またそ
の粘度は、潜熱蓄熱マイクロカプセルの水に対する添加
濃度が大きいほど大きくなる傾向にある。分散液の粘度
が大きくなると、配管等を通して流れる際の流動摩擦係
数が大きくなり、それ故に、この分散液を配管等を通し
て熱供給側システムから熱利用側システムに送給するに
は、送給ポンプの動力を大きくする必要がある。一般
に、送給ポンプの動力は、流体の粘度の0.25乗に比
例することが知られている。例えば、潜熱蓄熱マイクロ
カプセルの分散液の粘度が水の10倍であるとすると、
送給ポンプは、水を送給する場合の約1.8倍の動力が
必要となる。このように、潜熱蓄熱マイクロカプセル分
散液を熱搬送材として利用すると、水と比較して、蓄熱
物質の潜熱利用により、単位体積当たりの熱密度を増加
させることができるが、同時にポンプ動力も増加すると
いう問題がある。
【0005】本発明の目的は、上述した問題を解消し、
分散液流路摩擦抵抗を小さくし、これによって送給ポン
プの動力の低減を図ることができる熱搬送材を提供する
ことである。また、本発明の他の目的は、熱搬送材の流
動摩擦抵抗を小さくして送給ポンプの動力の低減を図る
ことができる熱搬送システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
の問題点を解決すべく、鋭意検討した結果、相変化蓄熱
物質分散液に抵抗低減効果を有する界面活性剤及び棒状
ミセル形成化合物を添加することによって、水と比較し
て、高粘性になることに起因するこの分散液の送給ポン
プの動力を著しく低減させることを見出し、本発明を完
成させるに至った。
【0007】本発明は、熱供給側システムと熱利用側シ
ステムとの間を接続する供給側流路と戻り側流路とを通
して循環される熱搬送材であって、前記供給側流路と前
記戻り側流路の温度範囲に相変化温度を持つ相変化蓄熱
物質、界面活性剤及び棒状ミセル形成化合物が添加され
ていることを特徴とする。本発明に従えば、供給側流路
と戻り側流路の温度範囲に相変化温度を持つ相変化蓄熱
物質が熱搬送材に含まれているので、この相変化蓄熱物
質が相変化しつつ大きな熱量を蓄えることができ、これ
によって、熱搬送材を介して大きな熱量を吸放出するこ
とができる。また、界面活性剤及び棒状ミセル形成化合
物が熱搬送材に含まれているので、この界面活性剤及び
棒状ミセル形成化合物により、熱搬送材が循環流路(供
給側流路及び戻り側流路)を流動する際の流動抵抗を小
さくすることができ、その結果、少ないポンプ動力でも
って、熱供給側システムと熱利用側システムとの間の熱
搬送を行うことができる。
【0008】例えば、水に所定の陽イオン性界面活性剤
とサリチル酸ナトリウム等の棒状ミセル形成化合物を数
10〜数1000ppm溶解させると、界面活性剤は、
水中で疎水基部を中心にして外周部に親水基部を配置し
てミセル(会合体)を形成し、このミセルが棒状の形態
をなして高次に絡まり、粘弾性を示すようになる。この
ような特性を示す界面活性剤については、特公平3−7
6360号公報、特公平4−6231号公報、特公平5
−47534号公報、特開平8−311431号公報等
に開示されている。また、相変化蓄熱物質は、例えば、
相変化自在な有機化合物からなる蓄熱材料を主材とする
蓄熱部と、熱搬送流体中に分散可能にする被覆ポリマー
層とを備えた形態の潜熱蓄熱マイクロカプセルである。
熱搬送材は、上記潜熱蓄熱マイクロカプセルを例えば水
に分散させたスラリーに、抵抗低減効果を有する上記界
面活性剤及び棒状ミセル形成化合物を添加したものであ
り、潜熱蓄熱マイクロカプセルを水に混合することによ
って粘度が増大しても、添加した界面活性剤及び棒状ミ
セル形成化合物が棒状ミセルを形成し、熱搬送材全体が
粘弾性を示すようになり、このような作用によって、熱
搬送材の流動抵抗を低減させることができる。
【0009】また、本発明では、前記相変化蓄熱物質が
メラミン樹脂又は尿素樹脂でカプセル化されていること
を特徴とする。本発明に従えば、相変化蓄熱物質がメラ
ミン樹脂又は尿素樹脂でカプセル化されているので、相
変化蓄熱物質としての潜熱蓄熱マイクロカプセルを例え
ば水中に安定分散することができる。例えば、界面活性
剤が陽イオン系のものである場合、相変化蓄熱物質が正
帯電性樹脂であるメラミン樹脂又は尿素樹脂でカプセル
化することによって、界面活性剤と潜熱蓄熱マイクロカ
プセルとが電気的に反発し合い、これによって、例えば
水中に潜熱蓄熱マイクロカプセルを安定分散することが
できる。
【0010】更に、本発明は、請求項1又は2記載の熱
搬送材を用いて前記熱供給側システムから前記熱利用シ
ステムに熱を搬送することを特徴とする熱搬送システム
である。本発明に従えば、熱搬送材に相変化蓄熱物質、
界面活性剤及び棒状ミセル形成化合物が含まれているの
で、この熱搬送材を介して大きな熱量を吸放出すること
ができるとともに、熱搬送材の流動抵抗を小さくするこ
とができ、その結果、省エネルギー化した熱搬送システ
ムが実現される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に従う熱搬送材及びこれを用いた熱搬送システムにつ
いて説明する。図1は、本発明に従う熱搬送材の一例を
拡大するとともに簡略化して示す簡略拡大図であり、図
2は、図1の熱搬送材を用いた熱搬送システムの一実施
形態を簡略的に示すブロック図である。
【0012】図1において、図示の熱搬送材は、熱を搬
送するための蓄熱物質2と、棒状ミセル4(後述する界
面活性剤及び棒状ミセル形成化合物から形成される)を
含んでおり、これら蓄熱物質2及び棒状ミセル4が水性
液体5に、例えば水に安定して分散している。この形態
では、蓄熱物質2は、所定の温度範囲、具体的には後述
する熱搬送システムの供給側流路と戻り側流路の温度範
囲において相変化を伴う有機化合物6を樹脂製被覆材8
内に収容した構成の微小潜熱蓄熱マイクロカプセル10
から構成され、また棒状ミセル4は、界面活性剤、棒状
ミセル形成化合物とから形成される。
【0013】熱搬送材を構成する蓄熱物質2及び棒状ミ
セル4の材料について、更に、詳細に説明すると、蓄熱
物質2としての有機化合物6は、テトラデカン、ペンタ
デカン、ヘキサデカン等の直鎖のパラフィン(脂肪族炭
化水素)、ベンゼン、p−キシレン等の芳香族化合物、
ノナン酸、デカン酸等の直鎖のカルボン酸の単一物若し
くは混合物、エステル化合物等の有機化合物の単一物若
しくは混合物等が用いられる。
【0014】また、蓄熱物質2の樹脂製被覆材8、即ち
潜熱蓄熱マイクロカプセル10を構成するカプセル材料
は、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ナイロ
ン等の縮合系ポリマーやポリスチレン、ポリメタクリル
酸メチル等のアクリル系ポリマーが用いられる。添加す
る界面活性剤は、蓄熱物質2に、即ち潜熱蓄熱マイクロ
カプセル10の樹脂製被覆材8に吸着され難いものが好
ましく、界面活性剤が後述の陽イオン系界面活性剤であ
る場合、この陽イオン系界面活性剤と電気的に反発し合
う正帯電性ポリマー、例えばメラミン樹脂や尿素樹脂に
より樹脂製被覆材8を形成するのが好ましい。
【0015】界面活性剤は、特に限定されるものではな
く、例えばステアリルトリメチルアンモニウム塩、セチ
ルトリメチルアンモニウム塩、オレイルビス(ヒドロキ
シエチル)メチルアンモニウム塩の単一物若しくは混合
物が用いられる。上記単一物若しくは混合物は、陽イオ
ン系界面活性剤であり、水性液体中で陽イオンを呈す
る。また、界面活性剤とともに棒状ミセル形成4を形成
する棒状ミセル形成化合物は、例えば、サリチル酸ナト
リウム、ヒドロキシナフトエ酸ナトリウム等が用いられ
る。
【0016】更に、水性液体5は、上述したように水等
が用いられ、必要に応じてエチレングリコール、プロピ
レングリコール、各種無機塩類、防腐剤、各種劣化防止
剤、分散補助剤、比重調整剤、湿潤剤等が添加される。
熱搬送材全体(分散液全体)における蓄熱物質2として
の潜熱蓄熱マイクロカプセル10の含有割合は、少なす
ぎると単位体積当たりの熱搬送密度が減少し、逆に多す
ぎると熱搬送材の粘性が増大してしまい、その流動性が
損なわれる。依って、潜熱蓄熱マイクロカプセル10の
含有割合は、5〜50重量%であるのが好ましく、10
〜25重量%であるのが更に好ましい。
【0017】熱搬送材全体(分散液全体)における界面
活性剤の含有割合は、少なすぎると摩擦低減効果が発現
せず、また多すぎると粘度が増大し、これもまた摩擦低
減効果が発現しない。依って、界面活性剤の含有割合
は、200〜3500ppmであるのが好ましく、30
0〜2000ppmであるのが更に好ましい。また、熱
搬送材全体(分散液全体)における棒状ミセル形成化合
物の含有割合は、少なすぎると摩擦低減効果が発現せ
ず、また多すぎると粘度が増大し、これもまた摩擦低減
効果が発現しない。依って、棒状ミセル形成化合物の含
有割合は、80〜3500ppmであるのが好ましく、
120〜2000ppmであるのが更に好ましい。
【0018】潜熱蓄熱マイクロカプセル10について
も、その粒径は特に限定されるものではないが、0.1
〜1mmであるのが好ましく、1〜500μmであるの
が更に好ましい。上述した熱搬送材は、例えば、図2に
示す熱搬送システムに用いられる。図2において、図示
のシステムは、熱供給側システム12と熱利用側システ
ム14との間に設けられた供給側流路16及び戻り側流
路18とを備え、戻り側流路18に送給ポンプ20が配
設され、この送給ポンプ20の作用によって、供給側流
路16及び戻り側流路18を通して、上述した熱搬送材
が循環される。熱供給側システム12は、例えば冷温水
を発生する冷温水発生機であり、熱利用側システム14
は、例えばビルの空調装置等であり、供給側流路16及
び戻り側流路18は、各種形状の配管から構成される。
また、戻り側流路18には、水性液体としての水を補給
するための水補給手段22が接続され、循環流路(供給
側流路16及び戻り側流路18)内の水が減少すると、
この水補給手段22から補給される。
【0019】このような熱搬送システムでは、熱供給側
システム12にて生成された熱(温熱又は冷熱)は上記
熱搬送材に吸収され、熱を吸収した熱搬送材が供給側流
路16を通して熱利用側システム14に送給される。熱
利用側システム14においては、熱搬送材に吸収された
熱が放出され、放出された熱を利用して例えばビルの空
調が行われる。熱が放出された熱搬送材は戻り側流路1
8を通して熱供給側システム12に戻され、このように
熱搬送材が循環することによって、熱供給側システム1
2にて発生した熱が熱利用側システム14に送給され
る。
【0020】この実施形態では、熱搬送材は蓄熱物質2
としての蓄熱マイクロカプセル10(供給側流路16の
温度、例えば7℃と戻り側流路18の温度、例えば12
℃との間で相変化する相変化蓄熱物質を構成する)を含
んでいるので、大きい熱量を蓄えることができ、熱供給
側システム12にて発生した熱を効率良く搬送すること
ができる。また、熱搬送材に界面活性剤及び棒状ミセル
形成化合物が含まれているので、この界面活性剤が水中
で疎水基部を中心にして外周部に親水基部を配置してミ
セルを形成し、このミセルが棒状の形態となって高次に
絡まり、粘性を示すようになり、これによって、熱搬送
材の流路抵抗が小さくなり、かくして送給ポンプ20の
動力を小さくすることが可能となり、熱搬送システムの
省エネルギー化を図ることができる。
【0021】実施例及び比較例 次に、上述した熱搬送材の流動抵抗評価を確認するため
に、次の通りの実験を行った。この実験を行うために、
図3に示す通りの流動抵抗評価装置を用いた。図3にお
いて、各種形状の配管によって構成された循環流路32
に搬送材タンク34、送給ポンプ36及び電磁流量計3
8を配設し、搬送材タンク34に熱搬送材を充填し、送
給ポンプ36の作用によって、搬送材タンク34内の熱
搬送材を循環流路32を通して循環させた。送給ポンプ
36にはインバータが接続されており、電磁流量計38
により所定流量に設定して熱搬送材を循環させた。循環
流路32を規定する配管は、塩化ビニル(VP管)製の
呼び径25Aの円管であった。熱供給システムとして冷
温水発生機40が設けられ、この冷温水発生器40にて
発生された冷温水は、プレート式熱交換器42に送給さ
れ、この熱交換器42にて冷温水発生機40からの冷温
水と循環流路32を循環する熱搬送材との間で熱交換が
行われ、これにより、熱搬送材は間接的に所定の温度、
この実験では7℃に調整した。熱搬送材が循環流路32
を循環流動する際の温度は、白金測温抵抗体44により
モニターした。また、摩擦低減効果は、循環流路32に
おける差圧計測区間46(この差圧計測区間の長さは2
mであった)に設置された微差圧計48によって計測し
た。
【0022】実施例1 実施例1として、次の通りにして熱搬送材(分散液)を
調製した。n−ペンタデカンを40g、スチレン10
g、重合開始剤(2,2アゾビス(2,4ジメチルバレ
ロニトリル)を0.8g)を室温で5分間攪拌混合し
て、有機化合物混合液を調整した。次に、ポリビニルア
ルコール0.1%水溶液160gに前記有機化合物混合
液の全量を添加して、粒径3〜5μmのエマルジョンを
形成した。このとき、前記ポリビニルアルコール水溶液
を、8000rpmで激しく攪拌させながら前記有機化
合物混合液を添加し、前記有機化合物混合液を乳化し
た。そして、前記エマルジョンを攪拌条件下で60℃で
5時間保持し、前記スチレンの重合反応を促した。この
状態で、前記n−ペンタデカン、スチレンは、n−ペン
タデカンからなる蓄熱部と、ポリスチレンからなる被覆
層を備えたマイクロカプセル体になって前記水中に分散
しているものと考えられる。以上の合成を繰り返し遂行
し、分散液を合計10kg調製した。
【0023】このように調製した分散液に、更に、界面
活性剤としてのオレイルビス(ヒドロキシエチル)メチ
ルアンモニウムクロライド10gと、棒状ミセル形成化
合物としてのサリチル酸ナトリウムを6g添加して熱搬
送材とした。そして、図3に示す上記流動抵抗評価装置
を用いて、実施例1の熱搬送材の流動特性を評価した。
尚、このときの熱搬送材の温度は、上述したように7℃
に調整した。
【0024】実施例2 実施例2として、次の通りにして熱搬送材(分散液)を
調製した。メラミン粉末5gに37%ホルムアルデヒド
水溶液6.5gと水10gを加え、pHを8に調整した
後、約70℃まで加熱し、メラミン−ホルムアルデヒド
初期縮合物を得た。また、pHを4.5に調整した5%
のスチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水
溶液100g中に、相変化を伴う有機化合物としてn−
ペンタデカン80gを激しく攪拌しながら添加し、平均
粒径が5μmなるまで乳化を行った。その後、このエマ
ルジョンに前記メラミンーホルムアルデヒド初期縮合物
を全量添加し、70℃で2時間攪拌した後、pHを9に
調整してカプセル化を終了した。上述した合成を繰り返
し遂行し、分散液を合計10kg調製した。
【0025】このように調製した分散液に、界面活性剤
としてのオレイルビス(ヒドロキシエチル)メチルアン
モニウムクロライド10gと、棒状ミセル形成化合物と
してのサリチル酸ナトリウムを6g添加して熱搬送材と
した。そして、実施例1と同様にして、図3に示す上記
流動抵抗評価装置を用いて、実施例2の熱搬送材(温度
7℃)の流動特性を評価した。
【0026】比較例1 比較例1として、上述した実施例1において、マイクロ
カプセル体の分散液を合成した後に界面活性剤としての
オレイルビス(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム
クロライド及び棒状ミセル形成化合物としてのサリチル
酸ナトリウムを添加しない以外は全て同じ条件で熱搬送
材(界面活性剤及び棒状ミセル形成化合物が含まれてい
ない)を調製した。そして、実施例1と同様に、図3に
示す上記流動抵抗評価装置を用いて、比較例1の熱搬送
材(温度7℃)の流動特性を評価した。
【0027】比較例2 比較例2として、上述した実施例2において、マイクロ
カプセル体の分散液を合成した後に界面活性剤としての
オレイルビス(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム
クロライド及び棒状ミセル形成化合物としてのサリチル
酸ナトリウムを添加しない以外は全て同じ条件で熱搬送
材(界面活性剤及び棒状ミセル形成化合物が含まれてい
ない)を調製した。そして、実施例2と同様に、図3に
示す上記流動抵抗評価装置を用いて、比較例2の熱搬送
材(温度7℃)の流動特性を評価した。
【0028】実施例1及び2並びに比較例1及び2の流
路抵抗評価結果は、図4に示す通りであった。図4は、
実施例1及び2並びに比較例1及び2の熱搬送材を流し
たときの流速と圧力損失との関係を示しており、この図
4に示す通り、実施例1及び2の熱搬送媒材の圧力損失
は、比較例1及び2のそれらと比較して、同流速条件下
において、著しく低下していることが確認できた。上述
した実験結果より、水よりも熱密度が大きい潜熱蓄熱マ
イクロカプセル分散液を熱搬送材に用いる場合において
も、界面活性剤及び棒状ミセル形成化合物を添加するこ
とによって、流動抵抗を増加させることなく、少ないエ
ネルギーにてこの分散液を循環させることが可能とな
る。
【0029】
【発明の効果】本発明の請求項1の熱搬送材によれば、
供給側流路と戻り側流路の温度範囲に相変化温度を持つ
相変化蓄熱物質が熱搬送材に含まれているので、この相
変化蓄熱物質が相変化しつつ大きな熱量を蓄えることが
でき、これによって、熱搬送材を介して大きな熱量を吸
放出することができる。また、界面活性剤及び棒状ミセ
ル形成化合物が熱搬送材に含まれているので、棒状ミセ
ルを形成して熱搬送材全体が粘弾性を示すようになり、
これによって熱搬送材の流動抵抗を小さくすることがで
きる。
【0030】また、本発明の請求項2の熱搬送材によれ
ば、相変化蓄熱物質がメラミン樹脂又は尿素樹脂でカプ
セル化されているので、相変化蓄熱物質としての潜熱蓄
熱マイクロカプセルを例えば水中に安定分散することが
できる。
【0031】更に、本発明の請求項3の熱搬送システム
によれば、熱を搬送する熱搬送材に相変化蓄熱物質、界
面活性剤及び棒状ミセル形成化合物が添加されているの
で、この熱搬送材を介して大きな熱量を吸放出すること
ができるとともに、熱搬送材の流動抵抗を小さくするこ
とができ、その結果、省エネルギー化を達成することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う熱搬送材の一例を拡大するととも
に簡略化して示す簡略拡大図である。
【図2】図1の熱搬送材を用いた熱搬送システムの一実
施形態を簡略的に示すブロック図である。
【図3】実験に用いた流動抵抗評価装置を簡略的に示す
図である。
【図4】実施例及び比較例の熱搬送材を用いたときの流
速と圧力損失の関係を示す図である。
【符号の説明】
2・・・蓄熱物質 4・・・棒状ミセル 5・・・水性液体 6・・・有機化合物 8・・・樹脂製被覆材 10・・・潜熱蓄熱マイクロカプセル 12・・・熱供給側システム 14・・・熱利用側システム 16・・・供給側流路 18・・・戻り側流路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F25D 9/00 C09K 5/00 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱供給側システムと熱利用側システムと
    の間を接続する供給側流路と戻り側流路とを通して循環
    される熱搬送材であって、前記供給側流路と前記戻り側
    流路の温度範囲に相変化温度を持つ相変化蓄熱物質、界
    面活性剤及び棒状ミセル形成化合物が添加されているこ
    とを特徴とする熱搬送材。
  2. 【請求項2】 前記相変化蓄熱物質がメラミン樹脂又は
    尿素樹脂でカプセル化されていることを特徴とする請求
    項1記載の熱搬送材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の熱搬送材を用いて
    前記熱供給側システムから前記熱利用システムに熱を搬
    送することを特徴とする熱搬送システム。
JP2001075223A 2001-03-16 2001-03-16 熱搬送材及びこれを用いた熱搬送システム Pending JP2002275456A (ja)

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