JP2002275305A - 複合多孔体およびその製造方法 - Google Patents

複合多孔体およびその製造方法

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JP2002275305A
JP2002275305A JP2001075780A JP2001075780A JP2002275305A JP 2002275305 A JP2002275305 A JP 2002275305A JP 2001075780 A JP2001075780 A JP 2001075780A JP 2001075780 A JP2001075780 A JP 2001075780A JP 2002275305 A JP2002275305 A JP 2002275305A
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JP2001075780A
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Masaaki Suzuki
正明 鈴木
Taku Hashida
卓 橋田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾燥ゲルからなる多孔体を断熱材などとして
用いる際に、高断熱性能は期待できるが、それらを成形
体として作る際の取扱いや使用する際の作業性において
強度が弱いという課題がある。 【解決手段】 連続気孔多孔体を構造骨格として用い
て、その連続気孔多孔体の気孔内に乾燥ゲルを連続相と
して充填して成型された複合多孔体を用いる。連続気孔
多孔体は成型体である複合多孔体の取扱いやすさを向上
するために、適度な強度を持たせる役割を果している。
乾燥ゲルは成型体である複合多孔体の熱伝導率を低減し
て断熱性能を向上するための役割を果している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱材、電気絶縁
材、防音材などの用途に用いることのできる複合多孔体
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題の温暖化防止の対策
の重要性から、省エネルギー化が望まれている。民生用
機器に対しても省エネルギーの推進が行われている。特
に、温冷熱利用の機器や住宅に関しては、利用する熱を
なるべく逃がさずに効率を挙げるという観点から、断熱
材が重要である。
【0003】断熱材としては、グラスウールなどの繊維
体やウレタンフォームなどの発泡体が一般に用いられて
いる。これらを用いて断熱性能を向上するためには、断
熱材の厚みを増す必要があり、断熱材を充填できる空間
に制限があって省スペースや空間の有効利用が必要なも
のに対しては適用することができない。
【0004】そのため、高性能な断熱材の開発が望まれ
ており、微粒子や低密度多孔体を断熱材として用いるこ
とが検討されている。気体が熱伝導する空間である空隙
や孔径を100nm以下にすることで高断熱性能を得る
ことができる。すなわち、空隙のサイズを気体の平均自
由工程程度以下にすることによって、気体の熱伝導率が
低減する現象を用いたものである。軟質フォームの気泡
中に微粒子を充填して断熱材を得る方法が特開平2−3
8385号公報に開示されている。また、シリカの低密
度多孔体をゾルゲル法で形成して乾燥する方法が特開平
7−138375号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような乾燥ゲルからなる多孔体を断熱材などとして用い
る際に、高断熱性能は期待できるが、それらを断熱性の
成形体として作る際の取扱いや、断熱材として使ってい
く上で強度が弱いという課題がある。
【0006】すなわち、低密度シリカ多孔体をゾルゲル
法で形成して乾燥する方法では、低密度でゲルの骨格が
弱いために、溶媒を含んだゲルを乾燥する際に乾燥時の
応力で収縮して高密度になったり、乾燥時の応力を低減
して低密度にできても脆いために使用時の取扱いに注意
する必要がある。また、微粒子を成型する方法では、軟
質フォームの気泡中に微粒子を充填することで可撓性を
持たせることができるが、圧縮強度等は小さく、充填さ
れている微粒子が崩れ出てくるなどの取扱い性が悪いな
どの課題がある。それを解決するために、微粒子をバイ
ンダーで成型すると熱伝導率が高くなり、断熱性能が悪
くなる。
【0007】上記の従来技術の問題点を鑑み、本発明の
目的は、高い断熱性能とともに取扱い性に優れた成型体
となる多孔体を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の複合多孔体は構造骨格となる連続気孔多孔
体と、前記連続気孔多孔体の気孔内に充填された乾燥ゲ
ルから成型されてなることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明は連続気孔多孔体が熱変形1
0%以内の耐熱温度が100゜C以上であり、ポリプロ
ピレンフォーム、ポリエチレンテレフタレートフォー
ム、硬質ウレタンフォームのいずれかであることを特徴
とするものである。
【0010】また、本発明は乾燥ゲルが、酸化ケイ素ま
たはケイ素を含有する無機酸化物であることを特徴とす
るものである。
【0011】また、本発明は乾燥ゲルが表面疎水化され
てなることを特徴とするものである。
【0012】また、本発明は表面の少なくとも一部が保
護層で覆われてなることを特徴とするものである。
【0013】また、本発明の複合多孔体の製造方法は、
予め成型されてなる連続気孔多孔体にゲル化原料溶液を
含浸する注入工程、連続気孔多孔体の気孔中で前記ゲル
化原料溶液をゲル化して湿潤ゲルを得るゲル化工程、前
記気孔中の湿潤ゲルの溶媒を除去して乾燥ゲルを充填し
た複合多孔体を得る乾燥工程を含んでなることを特徴と
するものである。
【0014】また、本発明は注入工程において、ゲル化
原料溶液を連続気孔多孔体の気孔中に真空注入すること
を特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を用いて説明する。
【0016】(実施の形態1)図1に本発明の実施の形
態1における複合多孔体の断面の概念図を示す。本発明
の複合多孔体は、連続気孔多孔体1と乾燥ゲル2の成型
体であり、構造骨格として連続気孔多孔体1が役割を果
し、その気孔内に乾燥ゲル2を充填している。同図では
乾燥ゲル2が連続気孔多孔体1の気孔内で独立している
ように見えるが、その気孔が連続しているために、乾燥
ゲル2も成型体内で連続相となっている。
【0017】本発明において、連続気孔多孔体1は成型
体である複合多孔体の取扱いやすさを向上するために、
適度な強度を持たせる役割を果している。例えば、連続
気孔多孔体1の一例である硬質フォームではそれ自体に
圧縮強度が高く、それを骨格として取扱い性を向上させ
ることができる。また、他の一例である軟質フォームの
場合には、乾燥ゲル2を充填することでフォームの骨格
を保つとともに、乾燥ゲル2を補強して取扱い性を向上
させることができる。
【0018】本発明において、成型体である複合多孔体
の熱伝導率を低減して断熱性能を向上するために、乾燥
ゲル2が役割を果している。乾燥ゲル2は、その細孔直
径が1nm以上100nm以下の範囲で形成することが
可能である。この細孔サイズになると気体の平均自由行
程程度以下となり、気体分子同士の衝突による熱伝達が
なくなるために、熱伝導率の気体成分を非常に小さくす
ることができ、連続気孔多孔体1だけの場合よりも熱伝
導率を低減することが可能になる。
【0019】一般に多孔体の熱伝導率は、固体を伝導す
る成分、気体を伝導する成分、輻射・対流による成分に
よって構成されている。したがって、気体を伝導する成
分を乾燥ゲル2の細孔によって低減することができ、固
体を伝導する成分については連続気孔多孔体1の密度と
乾燥ゲル2の密度を低くすることで低減できる。なお、
対流成分については細孔を小さくすることで無くすこと
ができ、輻射成分については赤外線輻射を低減する元
素、化合物を組み合わせることで低減することができ
る。
【0020】(実施の形態2)図2に本発明の実施の形
態2における複合多孔体の断面の概念図を示す。本発明
の複合多孔体は、前記実施の形態1における複合多孔体
の少なくとも一部が保護層3で覆われてなる構成であ
る。図ではシート上の複合多孔体の両面に保護層3を形
成した構成である。
【0021】保護層3は、複合多孔体を使用する際に、
取扱いにおいて複合多孔体が損傷するのを防ぐ目的で形
成する。すなわち、連続気孔多孔体1も乾燥ゲル2も低
密度であるために、取扱い強度が確保されても作業時の
こすれや削れによって損傷しやすい状態である。そのた
め、作業する際に手や機械部に触れる部分を保護してお
くのが実用上効果がある。
【0022】(実施の形態3)図3に本発明の実施の形
態3における複合多孔体の製造方法のフローを示す。本
発明の複合多孔体の製法方法は、ゲル化原料溶液の調製
行程(101)のあと、予め任意の形状に成型された連
続気孔多孔体にゲル化原料溶液を含浸する注入工程(1
02)、その連続気孔多孔体の気孔中に注入されたゲル
化原料溶液をゲル化して湿潤ゲルを得るゲル化工程(1
03)によって、溶媒を含んだ湿潤ゲルと連続気孔多孔
体の複合体を形成する。この複合体より、気孔中に形成
された連続相の湿潤ゲル中から溶媒を除去して連続相の
乾燥ゲルが連続気孔多孔体に充填した複合多孔体を得る
乾燥工程(104)を行うことによって、複合多孔体を
得る(105)ものである。
【0023】湿潤ゲルを連続気孔多孔体内に形成するた
めに、注入工程(102)では、連続気孔多孔体のゲル
化原料溶液を浸漬することで内部まで含浸することがで
きるが、気孔サイズ500μm以下になると、浸漬する
だけでは内部まで十分に含浸するのが困難になったり、
含浸するのに時間がかかったりすることがある。このた
めには、ゲル化原料溶液を押圧して含浸するなどの工夫
が必要である。本発明の検討の結果、予め任意の形状に
成型された連続気孔多孔体を一旦真空にしてからゲル化
原料溶液を注入する真空注入による方法が、短時間に十
分に内部まで含浸させることができて効果的であった。
【0024】また、連続気孔多孔体中の湿潤ゲルから溶
媒を除去して乾燥ゲルを得る乾燥行程(104)では、
シリカゲル製造の乾燥等に用いられる一般的な乾燥方法
を用いることができる。加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾
燥、超臨界乾燥など各種の方法を用いて乾燥することが
できる。湿潤ゲルの乾燥はこのゲル中の固体成分の濃度
が少ないと乾燥時に収縮しやすい傾向があるが、連続気
孔多孔体中の湿潤ゲルが存在するときは、乾燥時の収縮
する応力を連続気孔多孔体が緩和すると考えられ、収縮
しにくいという現象が見られる。この現象によって、前
述の各種乾燥方法においても、低密度の複合多孔体を得
ることができる。
【0025】さらに、複合多孔体を表面疎水化すること
が、本発明において複合多孔体の耐久性、特に耐湿性を
向上するのに効果がある。表面疎水化する方法として
は、予めゲル化原料溶液に疎水化物質を添加しておく方
法、連続気孔多孔体中で湿潤ゲルを形成してから疎水化
物質によって処理する方法、乾燥して複合多孔体を得て
から疎水化物質によって処理する方法等で行うことがで
きる。
【0026】次に、本発明の実施の形態について詳しく
説明する。
【0027】本発明の複合多孔体は、高い断熱性能と取
扱い性に優れた強度を持たせるために検討をした結果、
複合多孔体としての密度が50kg/m3以上300k
g/m3以下の範囲が適していることがわかった。この
密度範囲では、24゜Cにおける熱伝導率が0.030
W/mK以下であり、グラスウールより低い熱伝導率で
だった。さらに、密度範囲が90kg/m3以上200
kg/m3以下の範囲では熱伝導率が0.020W/m
K以下となり、ウレタンフォームより低い熱伝導率が得
られた。この50kg/m3以上の密度範囲では断熱材
としての使用における取扱い性は問題がなかった。50
kg/m3未満の密度では、使用の際に手で持った際
に、端の部分で欠け易いなどの問題があった。なお、取
扱い性を向上するのに保護層を設けた際には、この低い
密度範囲でも取扱い性を改善することができた。
【0028】複合多孔体としての密度が50kg/m3
以上300kg/m3以下の範囲にするために、連続気
孔多孔体としてその骨格密度が10kg/m3以上10
0kg/m3以下の範囲にあるものを用いることで、上
述の複合多孔体としての最適な物性を得ることができ
た。連続気孔多孔体の密度が10kg/m3未満になる
と複合多孔体としての十分な強度が得られず、100k
g/m3より高くなると熱伝導率が高くなり断熱性能が
低下した。
【0029】また、連続気孔多孔体の選択としては、そ
の構造骨格の圧縮強度が10kg/m2以上の範囲であ
り、その平均気孔直径サイズが1mm以下の範囲のもの
を使用することができる。このときの圧縮強度とは、押
圧による厚みの変化が80%以下になるか、あるいは降
伏する圧力である。軟質フォーム等であればかなりつぶ
れるが、形状の回復をする圧力になる。この範囲の圧縮
強度であれば、連続気孔多孔体に乾燥ゲルを充填して成
型した際の強度が10000kg/m2以上となり、取
扱いに十分となる。この強度の目安は、複合多孔体を気
体遮蔽性フィルム等で真空封止した際に、減圧により複
合多孔体に加わる大気圧に抗することができる強度であ
る。
【0030】構造骨格の圧縮強度が10kg/m2未満
の場合は、成型された複合多孔体としてはこすれや削れ
などにより、成型された複合多孔体の剥離や割れなどが
発生しやすく成型強度としての十分な取扱性が得られな
かった。連続気孔多孔体の圧縮強度としては、成型され
た複合多孔体の取扱い性が得られればよく、できれば連
続気孔多孔体の圧縮強度が100kg/m2以上150
00kg/m2以下の範囲を好ましく用いることができ
る。この範囲では成型体の強度として、特に取扱い性が
よく、利用時に複合多孔体の割れなどが発生しにくく、
作業しやすい成型体を得ることができた。連続気孔多孔
体の圧縮強度が15000kg/m2より高くなると、
強度を得るために連続気孔多孔体の密度が比較的高くな
り、成型される複合多孔体の密度も高くなる。そのため
に、熱伝導率が高くなるために断熱材の用途には向かな
くなるなどの影響が出てしまう。
【0031】また、連続気孔多孔体の平均気孔直径が
0.1μm以上500μm以下の範囲が好ましい。さら
に好ましくは、1μm以上300μm以下の範囲であれ
ば、気体の連続構造の割合を高くし、かつ乾燥応力を緩
和する強度を得ることができる。この範囲であれば、ゲ
ル化原料溶液を浸漬や真空注入によって連続気孔多孔体
の内部まで十分に含浸することができ、かつ湿潤ゲルの
乾燥時に乾燥の応力を緩和することができる。また、乾
燥ゲルと連続気孔多孔体は、製法において湿潤ゲルを経
過しているために、その製造時に連続気孔多孔体の骨格
内部まで湿潤し両者の界面は反応又は親和状態になって
おり、乾燥の際に乾燥ゲルと連続気孔多孔体が剥離しに
くくなっており連続気孔多孔体の強度によって乾燥時の
応力を十分に緩和することができる。
【0032】具体的に本発明で用いることのできる連続
気孔多孔体としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロ
ピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)などの熱
可塑性樹脂の汎用樹脂フォーム、ポリウレタン(P
U)、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、エ
ポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の汎用樹脂フォームや、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレ
ンスルフィド(PPS)、シンジオタクチックポリスチ
レン(SPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミ
ドなどのエンジニアリングプラスチックフォームや、シ
リコーン樹脂などの連続気泡フォームや、さらに発泡ガ
ラスのような無機多孔体材料を用いることができる。
【0033】さらに、熱変形10%以内の耐熱温度が1
00゜C以上の耐熱性があるものが良く、ポリプロピレ
ンフォーム、ポリエチレンテレフタレートフォーム、硬
質ウレタンフォームのいずれかであるのが好ましい。な
お、複合多孔体の構造骨格として適用できればこれらに
限るものではない。上記の熱硬化性樹脂フォームやエン
ジニアリングプラスチックフォーム、シリコーン樹脂フ
ォーム、無機多孔体はこの耐熱性の条件を満たしている
ため、適宜選択して用いることができる。
【0034】次に、本発明で用いる乾燥ゲルについて説
明する。本発明で用いる乾燥ゲルの材質としては、酸化
ケイ素、酸化アルミ、酸化チタン、酸化マグネシウム、
酸化錫、酸化インジウムなどやこれらの酸化物の複合し
た無機金属酸化物などを用いることができる。これらの
熱変形温度は500゜C以上である。これらは、金属ア
ルコキシドを用いたゾルゲル法、ケイ酸塩を用いた水ガ
ラス法などで湿潤ゲルを形成することができ、低密度な
乾燥ゲルを得ることができる。特に、酸化ケイ素または
ケイ素を含有する無機酸化物を好ましく用いることがで
きた。
【0035】また、有機高分子も乾燥ゲルに用いること
ができる。特に、熱変形温度が高い耐熱性の高分子が適
している。ウレア樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などの乾燥ゲルを適用
することができる。好ましくは熱変形温度が300゜C
以上の高分子が良い。例えば、ポリイミド系樹脂、ポリ
フェニレンベンゾオキサゾール系、ポリベンゾリアゾー
ル系などの耐熱性のエンジニアリングプラスチックを用
いることができる。
【0036】乾燥ゲルの物性としては、みかけ密度が1
0kg/m3以上300kg/m3以下の範囲であり、細
孔直径が1nm以上100nm以下の範囲であるものを
好ましく用いることができる。
【0037】なお、乾燥ゲルには熱伝導率の輻射成分を
低減して断熱性能を高めるために、赤外線輻射低減剤を
添加することもできる。例えば、酸化チタン、酸化ジル
コニア、酸化鉄、炭素などの粉体をゲル形成の際に混合
しても良いし、乾燥ゲル自体にそれらの材質を少なくと
も一部に用いるのも効果がある。
【0038】また、複合多孔体を表面疎水化するには、
アルキル基、フルオロアルキル基、フェニル基などの疎
水基を有する疎水化剤を用いて反応、または塗布して用
いることができる。トリメチル−、ジメチル−、メチル
−のクロロシラン、アルコキシシラン、ヘキサメチルジ
シラザンなどのシリル化剤や、一般的なシランカップリ
ング剤、ヘキサメチルジシロキサンやジメチルシロキサ
ンベースのシリコーン油、ワックス、パラフィンなどを
用いることができるが、複合多孔体の耐湿性を向上でき
ればこれらに限らない。
【0039】次に、本発明で用いる保護層について説明
する。本発明で用いる保護層としては、プラスチックシ
ートを用いても良いし、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂等
をコーティングして用いても良い。さらに、汎用の熱可
塑性樹脂を融着して用いても良い。また、低融点ガラ
ス、ゾルゲルガラスなど無機酸化物をコーティングして
用いても良い。これら保護層は、複合多孔体の表面の一
部又は全部を覆って用いることができる。保護層の形成
は、予め連続気孔多孔体に形成しておいても良いし、複
合多孔体を形成してからでもよい。
【0040】なお、成型体としての本発明の複合多孔体
の形態は、いかなる形態でも作成することができる。こ
れは、あらかじめ連続気孔多孔体を任意の形状に成型し
ておいても良いし、複合多孔体としてから加工してもよ
い。
【0041】
【実施例】次に、本発明の具体例を説明する。
【0042】(実施例1)連続気孔多孔体として、厚さ
2mmの板状に成型した圧縮強度約15000kg/m
2、密度約48kg/m3、気泡径約200μmの連通硬
質ウレタンフォームを用いた。乾燥ゲルのゲル化原料と
して、テトラメトキシシラン:エタノール:水(0.1
規定アンモニア水)=1:5:4に調製したゲル化原料
溶液を得た。
【0043】連続気孔多孔体を容器内にセットして、そ
の内部を1/3気圧に排気した後にゲル化原料溶液を注
入した。この際、溶液は連続気孔多孔体の内部まで十分
に含浸した。この状態でゲル化を進行させ、連続気孔多
孔体と湿潤ゲルの複合体を得た。この複合体を室温で3
日間ゲルの熟成を行った。さらに、この複合多孔体を、
ヘキサメチルジシラザンのアセトン/ヘキサン溶液に浸
漬して、湿潤ゲル部の洗浄、表面疎水化、脱水を同時に
実施した。
【0044】この複合体を、一旦、アセトン/ヘキサン
溶媒で洗浄した後に減圧乾燥機の中で90゜C、600
Torrにて溶媒除去を行って、シリカ乾燥ゲルが連通
硬質ウレタンフォームに充填した複合多孔体を得た。
【0045】得られた複合多孔体中のシリカ乾燥ゲル
は、連通硬質ウレタンフォームの気泡中で部分的にヒビ
割れなどが見られたが、連続相で形成されていた。この
ときの、圧縮強度は15000kg/m2より高くな
り、密度は約240kg/m3、乾燥ゲルの細孔直径は
約10nmであった。また、作業時の取扱い性は連続気
孔多孔体である連通硬質ウレタンフォームと同等であっ
た。
【0046】複合多孔体の熱伝導率に関しては、平均温
度24゜Cにおいて連通硬質ウレタンフォームが0.0
3W/mKだったのに対して、0.021W/mKとな
り断熱性能を向上させることができた。
【0047】(実施例2)連続気孔多孔体として、厚さ
5mmの板状に成型した圧縮強度約100kg/m2
密度約14kg/m3、気泡径約500μmの軟質ポリ
プロピレンフォームを用いた。乾燥ゲルのゲル化原料と
して、ケイ酸ソーダを電気透析法によってシリカ成分濃
度14重量%に調製したゲル化原料溶液を用いた。
【0048】連続気孔多孔体をゲル化原料溶液に浸漬し
て注入した。この際、溶液が連続気孔多孔体の内部まで
十分に含浸していた。この状態でゲル化を進行させ、連
続気孔多孔体と湿潤ゲルの複合体を得た。この複合体を
室温で3日間ゲルの熟成を行った。さらに、この複合多
孔体を、トリメチルクロロシランのアセトン/ヘキサン
溶液に浸漬して、湿潤ゲル部の洗浄、表面疎水化、脱水
を同時に実施した。
【0049】この複合体を、一旦、アセトン/ヘキサン
溶媒で洗浄した後に加熱乾燥機の中で窒素雰囲気中、1
00゜Cにて溶媒除去を行って、シリカ乾燥ゲルがフォ
ームに充填した複合多孔体を得た。
【0050】この複合多孔体に、酸化インジウム・錫を
真空蒸着によって表面に厚さ500nmの薄膜形成し保
護層とした。表面に滑らかさがでて、作業性が向上し
た。
【0051】得られた複合多孔体として、圧縮強度は1
5000kg/m2より高くなり、密度は約200kg
/m3、乾燥ゲルの細孔直径は約12nmであった。ま
た、作業時の取扱い性は、柔軟性はないが板として使用
するのに十分な強度であった。
【0052】複合多孔体の熱伝導率に関しては、平均温
度24゜Cにおいて軟質ポリプロピレンフォームが0.
04W/mKだったのに対して、0.02W/mKとな
り断熱性能を向上させることができた。
【0053】(実施例3)実施例1に記載の連通硬質ウ
レタンフォームからなる連続気孔多孔体と、実施例2に
記載のゲル化原料溶液を用いて、真空注入によって湿潤
ゲルと連続気孔多孔体の複合体を得た。なお、連通硬質
ウレタンフォームは20cmx20cmx5cmのサイ
ズに成型されたものを使用した。
【0054】この複合体を、一旦、アセトン/ヘキサン
溶媒で洗浄した後に減圧乾燥機の中で90゜C、600
Torrにて溶媒除去を行って、シリカ乾燥ゲルが連通
硬質ウレタンフォームに充填した複合多孔体を得た。
【0055】これは、圧縮強度が15000kg/m2
より高くなり、密度は約240kg/m3、乾燥ゲルの
細孔直径は約8nmであった。この複合多孔体を厚さ5
mmの板状に加工した。この表面を架橋性のシリコーン
オイルで処理して熱架橋によって疎水性を付与した保護
層を形成した。
【0056】得られた複合多孔は、作業時の取扱い性は
連続気孔多孔体である連通硬質ウレタンフォームと同等
であった。
【0057】複合多孔体の熱伝導率に関しては、平均温
度24゜Cにおいて連通硬質ウレタンフォームが0.0
3W/mKだったのに対して、0.022W/mKとな
り断熱性能を向上させることができた。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、高い断
熱性能とともに取扱い性に優れた成型体となる複合多孔
体を得ることができる。
【0059】本発明の複合多孔体では、それを構成する
連続気孔多孔体は、成型体としての取扱いやすさを向上
するために適度な強度を持たせる役割を果している。複
合多孔体を構成する乾燥ゲルは、複合多孔体の熱伝導率
を低減して断熱性能を向上する役割を果している。さら
に、保護層を構成することによって、作業時のこすれや
削れによって損傷しやすい状態で手や機械部に触れる部
分を保護し、取扱いにおける複合多孔体が損傷するのを
防ぐことができる。
【0060】また、本発明の複合多孔体の製造方法で
は、ゲル化原料溶液を浸漬や真空注入によって連続気孔
多孔体の内部まで十分に含浸することができ、乾燥時の
応力を緩和して良好な取扱い性と断熱性を有する複合多
孔体を得ることができる。
【0061】また、成型体として、任意の形状へ対応す
ることが可能であるなど、本発明は工業的に価値が大な
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における複合多孔体の断
面図
【図2】本発明の実施の形態2における複合多孔体の断
面図
【図3】本発明の実施の形態3における複合多孔体の製
造方法を示すフロー図
【符号の説明】
1 連続気孔多孔体 2 乾燥ゲル 3 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F074 AA24 AA66 AA78 CE15 CE75 CE77 CE98 DA13 DA32 DA47 DA57 4F100 AA01A AA01H AA20A AB11A AK07A AK42A AK51A AS00B AS00C BA02 BA03 BA06 BA07 BA10B BA10C DC21 DJ00A DJ01A EH31 EH312 GB07 GB41 JB06A JJ03 JJ03A JK12A JL05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造骨格となる連続気孔多孔体と、前記
    連続気孔多孔体の気孔内に充填された乾燥ゲルから成型
    されてなることを特徴とする複合多孔体。
  2. 【請求項2】 前記連続気孔多孔体が熱変形10%以内
    の耐熱温度が100゜C以上であり、ポリプロピレンフ
    ォーム、ポリエチレンテレフタレートフォーム、硬質ウ
    レタンフォームのいずれかであることを特徴とする請求
    項1に記載の複合多孔体。
  3. 【請求項3】 前記乾燥ゲルが、酸化ケイ素またはケイ
    素を含有する無機酸化物であることを特徴とする請求項
    1または2記載の複合多孔体。
  4. 【請求項4】 前記乾燥ゲルが表面疎水化されてなるこ
    とを特徴とする請求項3記載の複合多孔体。
  5. 【請求項5】 表面の少なくとも一部が保護層で覆われ
    てなることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載
    の複合多孔体。
  6. 【請求項6】 構造骨格となる連続気孔多孔体と、前記
    連続気孔多孔体の気孔内に充填された乾燥ゲルから成型
    されてなる複合多孔体の製造方法であって、予め成型さ
    れてなる前記連続気孔多孔体にゲル化原料溶液を含浸す
    る注入工程、前記連続気孔多孔体の気孔中で前記ゲル化
    原料溶液をゲル化して湿潤ゲルを得るゲル化工程、前記
    気孔中の前記湿潤ゲルの溶媒を除去して前記乾燥ゲルを
    充填した複合多孔体を得る乾燥工程を含んでなることを
    特徴とする複合多孔体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記注入工程において、前記ゲル化原料
    溶液を前記連続気孔多孔体の気孔中に真空注入してなる
    請求項6記載の複合多孔体の製造方法。
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