JP2002275088A - 動脈硬化防止剤 - Google Patents

動脈硬化防止剤

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JP2002275088A JP2001078972A JP2001078972A JP2002275088A JP 2002275088 A JP2002275088 A JP 2002275088A JP 2001078972 A JP2001078972 A JP 2001078972A JP 2001078972 A JP2001078972 A JP 2001078972A JP 2002275088 A JP2002275088 A JP 2002275088A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粥状動脈硬化を防止でき、さらには粥状動脈
硬化症の進展を軽減、抑止することのできる動脈硬化防
止剤、これを含有する食品あるいは医薬品の提供。 【解決手段】 椎茸の菌糸体培養物から抽出された菌糸
体抽出物を含むことを特徴とする動脈硬化防止剤、これ
を含有する食品あるいは医薬品。上記抽出物は、バカス
を基材とする固体培地上に、椎茸菌を接種し、次いで菌
糸体を増殖して得られる菌糸体を含む固体培地を解束
し、この解束された固体培地に、水およびセルラーゼま
たはプロテアーゼから選ばれる酵素の1種またはそれ以
上を、前記固体培地を30〜50℃に保ちながら添加
し、そして前記固体培地を酵素の存在下に粉砕および擂
潰して椎茸菌糸体抽出物を抽出し、次いで95℃までの
温度に加熱することにより酵素を失活させかつ滅菌して
なる抽出物であることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、椎茸菌糸体抽出物を含む
動脈硬化防止剤に関する。さらに詳しくは、椎茸菌類の
菌糸体培養物から抽出された椎茸菌糸体抽出物を含む動
脈硬化防止剤およびこれを含む飲食物、医薬品に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】虚血性疾患である心疾患および脳
血管疾患は、第一位の悪性腫瘍とともに日本人の三大死
亡原因に数えられている。前二者は、いずれも動脈硬化
が発症因子となっており、このため動脈硬化症をいかに
防止し、進行を抑制するかが、現代医療の喫緊の課題と
なっている。
【0003】動脈硬化は、動脈血管壁が肥厚、および/
または硬化する局所性病変の総称であり、生活習慣病の
一病態として分類されている。臨床的には、細動脈硬
化、中膜硬化はもとより、最近そして今後は、とくに粥
状(またはアテローム性)動脈硬化病変が問題となるこ
とが多い。動脈硬化の進行は、不可避的に心筋梗塞、狭
心症などの虚血性心疾患、脳卒中、脳梗塞などの発症を
招く。
【0004】動脈硬化症の予防、治療には、一般的には
動脈硬化を促進する誘因をできるだけ排除することが望
ましい。動脈硬化の生起・促進に関わる危険因子は、加
齢、高血圧、高脂血症、高コレステロール症、運動不
足、肥満、喫煙、ストレス、糖尿病、性格、遺伝的要因
などと多く、これら因子が関与する機作も複雑である。
高血圧症、高脂血症、高コレステロール症、糖尿病など
に対する薬物療法は、動脈硬化に対しては対症的な効果
は期待できても、根本的に治療するものではなく、薬剤
投与だけでは動脈硬化の進展を完全に抑止することは困
難である。したがって現状は、依然として食事療法、生
活習慣の改善の併用が効果的とされる。
【0005】今後は、たとえばLDL(低比重リポタン
パク質)コレステロールとHDL(高比重リポタンパク
質)コレステロールの役割と調節に着目して、食生活の
改善と適度な運動などを通じて、動脈硬化の進展を阻止
する積極的な防止を図ることが推奨される。さらに、進
展した動脈硬化症それ自体を治療する薬物、具体的に
は、選択的に動脈血管内膜の内皮細胞機能の改善または
血管内壁の粥状硬化性動脈病変を直接防止あるいは軽減
する物質にも焦点が当てられ、そうした特異的な作用を
有する薬物・薬剤の出現が強く望まれている。とくに、
昔から食用されていた食品から抽出された物質がそのよ
うな生理作用を示すなら、かかる活性物質を主成分とす
る薬剤は、長期間の服用でも副作用が少なく使いやすい
と期待される。さらにそれを配合した保健薬または健康
食品があれば、一般の人々がビタミン剤または栄養滋養
剤と変わらない形態で摂取することも可能である。この
ような動脈硬化防止剤の開発は、高齢化社会の疾病、と
くに生活習慣病の防止に大いに貢献するものとして期待
されている。
【0006】ところで古来より、椎茸、松茸、エノキ茸
などの担子菌類の茸は世界各地で食用されており、中に
は、担子菌類サルノコシカケ科に属する茸のように漢方
薬として重用されているものもある。さらに椎茸菌糸体
抽出物、エノキタケ菌糸体あるいはその抽出物などに
は、制癌作用、便秘予防、肥満、糖尿病の予防、食品中
の毒性物質の排除促進、自己防御能の向上など、健康維
持、増進に有益な種々の作用があると報告されている。
【0007】たとえば、特公昭60-23826号公報
において、本願出願人らは、接種菌として椎茸菌を用い
た以外は特願昭62−34123号記載の方法と同様の
方法にて保健飲料を製造する方法を提案している。この
公報では、得られる保健飲料には、血圧降下作用、利尿
作用、疲労回復作用などがあると記載されている。ま
た、特開昭57−170173号公報には、砂糖きびあ
るいは砂糖大根等の原糖及び植物繊維を多量に含有する
素材を用いて培養基とし、これに椎茸等の食用茸の種菌
を接種して、菌糸体を培養させた後、子実体発生寸前ま
たは直後の培養基を粉砕、加水、加温して前記菌糸体に
自己消化を生じさせて該菌糸体に含有されている有効成
分を培養基に溶脱させ、しかる後乾燥させて微細に粉砕
した、食用菌糸体の有効成分及び食物繊維を含有した粉
末食品の製造方法が開示されている。該公報には、この
方法で得られる粉末食品は、大腸癌、動脈硬化症、糖尿
病等に有効であると記載されている。
【0008】また、特開平2−134325号公報に
は、担子菌の1種である椎茸菌の菌糸体培養物から抽出
された成分からなるエイズ治療剤が開示されている。本
発明者らは、特公昭60-23826号公報に記載の方
法と同様の方法にて得られる椎茸菌糸体抽出物が、HI
V型ウイルス活性阻害効果を有することを見出し、特開
平7−173070号公報(特許第3017630号)
において該方法で得られるHIV型ウイルス活性阻害剤
を提案している。
【0009】しかし、椎茸(菌糸体培養物)などから抽
出される椎茸菌糸体抽出物には、上記効果の詳細、さら
に他にどのような効果があるかという点について、未だ
十分に知られていないといえる。そこで、本発明者ら
は、上記のような事情に鑑み、入手が容易な椎茸の多様
な生理作用に着目して鋭意研究を進めた結果、驚くべき
ことに椎茸菌糸体抽出物(Lentinus edodes mycelia
以下、L・E・Mともいう)が、典型的な動脈硬化症
である粥状硬化性病変の生起を防止し、および/または
軽減する特異的な作用を有することを見出して本発明を
完成するに至った。すなわち、椎茸菌糸体抽出物を含む
製剤または組成物は、経口摂取が容易でしかも上記動脈
硬化の発生、進展の防止効果に優れていること、上記抽
出物を含む製剤または組成物は医薬品として利用するこ
とができ、さらに一般飲食物、健康食品、機能性食品な
どに添加してもよく、その摂取により上記効果を期待で
きることなどを確立して本発明を完成した。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記のように出現が期待され
ていた動脈硬化防止剤に関するものであって、とくに粥
状動脈硬化の防止に効果が期待される椎茸菌糸体抽出物
を含有する動脈硬化防止剤を提供することを目的とす
る。さらに本発明は、動脈硬化防止効果を有する医薬
品、飲食物を提供することを目的とする。
【0011】
【発明の概要】本発明に係る動脈硬化防止剤は、椎茸の
菌糸体培養物から抽出された椎茸菌糸体抽出物を含むこ
とを特徴としている。本発明においては、上記椎茸菌糸
体抽出物が、バカスを基材とする固体培地上に、椎茸菌
類を接種し、次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を
含む固体培地を解束し、この解束された固体培地に、水
およびセルラーゼまたはプロテアーゼから選ばれる酵素
の1種またはそれ以上を、前記固体培地を30〜50℃
に保ちながら添加し、前記固体培地を酵素の存在下に粉
砕および擂潰して椎茸菌類菌糸体抽出物を抽出し、次い
で95℃までの温度に加熱することにより酵素を失活さ
せ、かつ滅菌してなるものであることが望ましい。
【0012】本発明に係る飲食物は、上記動脈硬化防止
剤が添加されたことを特徴とする。また、本発明に係る
医薬品は、上記動脈硬化防止剤を含有することを特徴と
している。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る動脈硬化防止
剤、これを含有する医薬品および飲食物、ならびにその
摂取による動脈硬化の防止・治療改善について具体的に
説明する。本発明に係る動脈硬化防止剤は、椎茸菌糸体
培養物から抽出された椎茸菌糸体抽出物および/または
その誘導体(以下、これらをまとめて単に「椎茸菌糸体
抽出物」ともいう。)を含むことを特徴としている。
【0014】かかる動脈硬化防止剤は、粥状動脈硬化病
変の病巣部に、具体的には、おそらく泡沫細胞巣に作用
するものであること、水に可溶性であるために多様な使
用法が容易に実現できること、ならびに昔から食用され
てきた椎茸から得られる抽出物を主成分とするものであ
り、副作用のおそれがなく継続的に摂取できることを最
大の特徴としている。このように粥状動脈硬化症に作用
する防止剤は、今まで知られておらず、画期的な動脈硬
化防止剤として今後、有用性が示される。
【0015】椎茸菌糸体抽出物の製造方法 本発明に係る動脈硬化防止剤に使用される椎茸菌糸体抽
出物の製法にはとくに制限はなく、たとえば、特開平2
−134325号公報に記載されているように、椎茸菌
糸体培養物を必要により自己消化させた後、熱水抽出
し、その熱水抽出物をアルコールに沈殿させて得られる
ものでもよく、また、必要により、この沈殿物を溶解し
てさらにクロマトカラムにて分画し、エチレングリコー
ル等にて溶出画分を分取して用いてもよい。
【0016】本発明では、該椎茸菌糸体抽出物に対して
は、特公昭60-23826号公報に記載された方法を
利用して調製したものが望ましい。以下、椎茸菌糸体抽
出物の調製法の好ましい一例を挙げて、詳説する。椎茸
菌糸体抽出物を調製するには、具体的にいうと、まずバ
カスからなる固体培地に水、好ましくは純水を適度に混
ぜた後、椎茸菌を接種する。なお、このバカス培地に、
米糠の他、必要によりリン、鉄、ゲルマニウム等のミネ
ラル類、落花生表皮、玄米などを添加してもよい。
【0017】次いで、このように椎茸菌が接種された培
地を、温度および湿度が調節されさらには照度も調節さ
れた培養室内に入れて、菌糸体を増殖させる。菌糸体が
固体培地に蔓延し、子実体の発生直前・直後の時期に、
バカス基材の繊維素を解束し、12メッシュ通過分が3
0重量%以下となるようにすることが望ましい。なお、
バカス基材培地の解束は、上記のように子実体の発生直
前・直後の時期に行うことが好ましいが、子実体がかな
り成長した後の時期に行ってもよい。
【0018】このように解束された固体培地に、水およ
びセルラーゼ、プロテアーゼまたはβ-グルコシダーゼ
から選ばれる酵素の1種またはそれ以上を、固体培地を
30〜50℃に保ちながら添加する。添加する酵素とし
ては、セルラーゼが好ましい。酵素の添加量は、固体培
地1kgに対して0.5〜5g好ましくは1〜3gであ
ることが望ましい。また水は、金属イオン等のイオン類
を含まない純水が好ましく、この解束された培地1kg
に対して、純水1〜10kg好ましくは2〜6kgを加
えてバカス含有混合物とする。
【0019】次いでこのバカス含有混合物から椎茸菌糸
体抽出物を抽出する。抽出は、培地含有混合物を、たと
えば変速機付ギヤーポンプ等を用いて循環させながら、
固体培地に粉砕および擂潰作用を加えてバカス繊維の約
70重量%以上が12メッシュ通過分となるようにする
ことが望ましい。バカス含有混合物の粉砕および擂潰
は、該混合物の温度を30〜50℃に保ちながら行って
もよく、あるいは温度を上記温度より徐々に上昇させな
がら行ってもよいが、とくに温度を上昇させながら行う
ほうがより好ましい。水温が60℃以上好ましくは70
℃以上となったときに、バカス含有混合物中に室温の空
気を噴入させると、空気泡は急激に加熱されて破壊し、
バカス繊維に衝撃を与え有効成分の抽出をより効率的に
行うことができる。
【0020】次いで、このようにして処理されたバカス
含有混合物をさらに加熱して95℃までの温度、好まし
くは75〜90℃程度の温度に加熱し、この温度で数十
分間保持して該混合物中の酵素を失活させるとともに、
該混合物を殺菌すると、椎茸菌糸体抽出物が得られる。
なお、得られた椎茸菌糸体抽出物を必要に応じて、50
〜120メッシュ好ましくは60〜100メッシュ程度
の濾布を用いて濾過してもよい。
【0021】このようにして得られる椎茸菌糸体抽出物
は、濃縮して用いることもでき、また凍結乾燥して粉末
状として用いることもできる。動脈硬化防止剤 本発明の動脈硬化防止剤に使用される椎茸菌糸体抽出物
は、粉末状で入手できるため、これを所定量秤量し、さ
らに他に加える物質があればそれらの所定量を添加し混
合することにより動脈硬化防止剤を調製することができ
る。たとえばペースト状または顆粒状にするか、あるい
は成型する場合には、必要量の水などを添加して混捏
し、必要により濃縮、乾燥などをすればよい。液状品の
場合には水などの溶媒に溶解等すればよい。
【0022】本発明に係る動脈硬化防止剤において、椎
茸菌糸体抽出物を含有する限り椎茸菌糸体抽出物をどの
ような分量で用いるかはとくに限定されない。椎茸菌糸
体抽出物が効果を示す最少量以上含有するのであれば任
意の量で配合することができる。すなわち、その用途、
用法に応じて適宜、好適の量で含めることができる。た
とえば、本動脈硬化防止剤では、椎茸菌糸体抽出物を、
一般的には0.1〜100重量%、好ましくは1〜90重量%、
より好ましくは10〜80重量%の範囲で含有するように配
合される。一例を挙げると、この動脈硬化防止剤を継続
的な摂取を前提とする食事療法用食品などに用いる場合
には、椎茸菌糸体抽出物についての最終濃度が、菌糸体
抽出物の固形分換算として0.1〜10重量%、好ましくは
0.5〜5重量%、より好ましくは1〜2重量%の割合とな
るように本動脈硬化防止剤を配合することが望ましい。
【0023】本発明に係る動脈硬化防止剤には、本発明
の効果を損なわない範囲で、上記椎茸菌糸体抽出物のほ
かに、さらに他の物質を配合して共存させてもよい。た
とえば、各種アミノ酸、ビタミン類、ミネラル類などを
加えて栄養滋養の強化を図ってもよい。さらに、動脈硬
化防止剤の摂取性および品質の向上のために甘味料、増
量剤、香味料などの各種成分を1種または2種以上を必
要に応じて配合することができる。
【0024】具体的に例示すると、ぶどう糖、マルトー
ス、砂糖、異性化糖、水飴、パラチノース、ステオビオ
シド、L-アスパラチルフェニルアラニンメチルエステ
ル、グリチルリチンなどの甘味料;乳酸、クエン酸、コ
ハク酸、リンゴ酸、グルコン酸などの各種有機酸塩類;
各種フレーバーなどの香味料;乳糖、デキストリン、デ
ンプンなどの増量剤;などを配合してもよいが、これら
に限定されるものではない。さらに一般に食品、医薬品
に使用されている各種添加物、たとえば増粘剤、分散剤
など任意の成分を所望により含めることができる。
【0025】本発明に係る動脈硬化防止剤の剤型はとく
に限定されず、粉末状の椎茸菌糸体抽出物をそのまま用
いてもよく、あるいは必要に応じて増量剤、賦形剤と混
合して顆粒状、球状、キューブ、タブレット状などに成
型して使用することができる。さらにペーストまたは液
状品として用いてもよく、とくに液状品では使用上便利
なようにその濃度を適宜調節できる。また、この動脈硬
化防止剤を充填する容器の性能・形態もとくに問わな
い。
【0026】本発明に係る動脈硬化防止剤に使用される
椎茸菌糸体抽出物は、飲料、栄養剤、調味液などの液状
物にも良好に添加できる。得られる溶液状態の動脈硬化
防止剤は安定性に優れており、長期間の保存中でも、椎
茸菌糸体抽出物が析出することによるフロック(凝集
塊)の生成は、ほとんど認められない。動脈硬化防止剤の利用態様 本発明に係る動脈硬化防止剤の利用について、以下に最
も有用な適用態様を具体例として挙げるが、該動脈硬化
防止剤の用途はこれらに限定されるわけではない。
【0027】上記動脈硬化防止剤は、動脈硬化防止用の
薬剤、あるいは椎茸菌糸体抽出物の他の薬効にも着目し
た薬剤原料としての用途が例示される。また、食事療法
用の各種食品、一般食品、健康食品、機能性食品、栄養
強化食品、補助食品に添加した形の利用も挙げられる。
医薬品の薬剤原料として利用される場合、本発明に係る
動脈硬化防止剤は、顆粒状、液状、錠剤、カプセル状な
ど各種剤形の医薬品に含有された形で経口投与されても
よい。また、たとえばコレステロール代謝異常者などに
使用する注射液としての開発も可能である。
【0028】さらに動脈硬化防止作用のほかに、椎茸菌
糸体抽出物の様々な薬効を活かす利用形態が考えられ
る。たとえば、動脈硬化防止作用を発揮させることがで
きるとともに、椎茸菌糸体抽出物の種々の生理作用をも
保持した形で、従来の脂肪、糖質代謝改善作用など循環
器疾患または他の疾患の治療用医薬品の成分原料として
も使用することができる。このような医薬品としては循
環器系疾患、感受性疾患等の予防剤または治療剤(抗感
受性疾患剤);経腸栄養剤、補助栄養剤、水薬、シロッ
プ剤などの各種薬剤が挙げられる。
【0029】動脈硬化防止用を目的とする飲食物(動脈
硬化食事療法用の食品、健康食品、機能性食品、栄養強
化食品等を含む)などにおいても、たとえば免疫機能増
進剤、糖・脂質代謝改善剤の機能も併せて発揮させるこ
とができ、その場合には該動脈硬化防止剤が添加される
飲食物の種類や形態、添加量、用量などは任意に選択で
きる。さらに、たとえば抗血栓、血小板凝集抑制能など
の血行促進作用を有する物質あるいはビタミンP作用を
有する栄養素などを補完的に配合することにより、循環
動態改善の総合的効果を得るように図ってもよい。
【0030】以上述べたような一般飲食物、嗜好品、医
薬品などに本発明の動脈硬化防止剤を配合して使用する
には、その製品が完成するまでの工程のうち適切な段階
で、この動脈硬化防止剤を添加することができる。たと
えば、動脈硬化防止剤を添加する際に他の配合成分と混
合、混和、混捏してもよく、飲食物などに動脈硬化防止
剤を浸透、含浸、溶解、散布、塗布、噴霧、注入などし
てもよく、また液状の動脈硬化防止剤に飲食物を浸漬し
てもよく、そのために従来より公知の方法が適宜採用さ
れる。
【0031】動脈硬化の防止・治療改善 粥状動脈硬化症は、きわめて一般的な動脈硬化の形態で
ある。粥状硬化性動脈病変は、血中のトリグリセリドレ
ベル、コレステロール濃度が高い状況に、種々の危険因
子が複雑に作用して生起する。血管内皮機能の不全、内
膜での傷害の発生、血管透過性の亢進などに伴って、血
中を流れる余分な脂質、コレステロールなどが血管壁に
沈着する一方、炎症性リンパ球や血小板が内膜に浸潤し
て、炎症を誘発させる。引き続き、「泡沫細胞」巣、結
合組織の形成ならびにそこへの低比重リポタンパク質
(LDL)、コレステロール、フィブリン、カルシウム
などの血液成分の沈積が進行していく。その結果、粥腫
が形成され、内膜が肥厚する。このため血管内腔の狭窄
率が上昇するほど、合併症の危険性は着実に増大する。
【0032】その防止あるいは軽減は、たとえば、発症
の要因となる高脂血症、高コレステロール血症、高血圧
症、糖尿病などを治療すればよいはずであるが、実際は
それだけでは動脈硬化治療の決め手とはならない。コレ
ステロールは、生体膜成分であり、ステロイドホルモン
などの原料でもあることから、必須の生体物質であると
いう面もある。したがって、血中コレステロール濃度
は、脂質とともに、多くの因子が関わって巧妙に調節さ
れている。それゆえコレステロールの生合成抑制やその
血中レベルの調節などを狙いとする薬物療法は、医師の
専門的判断と指導の下になされるものである。
【0033】これまで臨床的には、薬物療法として、肝
臓のコレステロール生合成代謝の律速酵素、3-ヒドロキ
シ-3-メチルグルタリルCoA(HMG‐CoA)還元酵素の活性
を阻害することにより血中コレステロール値を低下させ
るスタチン類が利用されている。また、高脂血症、糖尿
病および高血圧症にもそれぞれ有効な薬物が使用されて
いる。血管拡張薬、抗血小板薬、抗凝固剤なども必要に
応じて使用されることもある。
【0034】今後、粥状動脈硬化症に対する望ましい治
療方法として、総コレステロールのなかでもとくにLDL
(低比重リポタンパク質)-コレステロールの動態に注
目し、これを低下させるとともにHDL(高比重リポタン
パク質)の比率を高める方法が期待される。さらに、コ
レステロールの血管壁への沈着を防止し、あるいは沈着
の低減により進展を抑制することも重要であると提案さ
れる。
【0035】本発明に係る動脈硬化防止剤は、そのよう
な根本的な粥状動脈硬化症の治療・防止に効能を発揮す
る可能性を秘めている。本発明に係る動脈硬化防止剤が
体内に摂取されると、動脈硬化防止剤に含まれていた椎
茸菌糸体抽出物またはその誘導体自体が、糖質・脂質代
謝改善の生理作用を示すとともに上記の抗動脈硬化作用
が発揮する。そのような作用は、次のような機作による
と思われる。
【0036】すなわち、本発明者らのこれまでの研究に
よると、本発明の動脈硬化防止剤に含まれる椎茸菌糸体
抽出物には、椎茸菌糸体から抽出される有効成分と椎茸
菌糸体が培養された固体培地とから抽出される有効成分
とが多数混在する。これらの成分のいずれか(未同定で
ある)による抗動脈硬化作用の発揮にとどまらず、混在
する成分が、総合的にコレステロールの動態、代謝にも
影響を及ぼし、併せて脂質代謝異常も改善すると考えら
れる。椎茸菌糸体からの上記有効成分による抗動脈硬化
作用の直接の対象が、泡沫細胞もしくは平滑筋細胞か、
血管内皮細胞機能、プラークの肥大もしくは不安定化の
抑制、あるいはHDL(高比重リポタンパク質)-コレ
ステロール動態のいずれにあるのかは、不明であり今後
の研究に待たねばならない。今のところ想定されている
椎茸菌糸体抽出物の成分による抗動脈硬化効果は、粥腫
形成に関わる「泡沫細胞」の内膜内における挙動に対
し、直接または間接的に特異的な作用、たとえば粥腫か
ら排除するといった作用を及ぼすことによるものと考え
られる。
【0037】以上、本発明の動脈硬化防止剤を、粥状動
脈硬化症に対して説明してきたが、これのみに限定され
る理由はなく、細動脈硬化、中膜硬化についても有効と
思われる。なぜならば、すべての種類の動脈硬化は、発
症の機作、関与因子などに互いに共通する部分があるた
めである。本発明に係る飲食物は、粥状動脈硬化症に対
する食事療法の一環として利用される態様の他に、健常
者が普段から手軽にしかも安心して健康食品、補助食品
の形で継続的に摂取することができる飲食物である。具
体的な態様として、持続的な経口摂取により血中のコレ
ステロール量や中性脂質量を低下させることができ、さ
らに動脈硬化、高血圧などを改善し、あるいは防止でき
るような新規な健康食品、機能性食品、補助食品であ
る。これまでのところ血中コレステロール濃度の上昇を
防止し、粥状動脈硬化の進行を積極的に防止または抑制
しうるような食品は提案されていなかった。このため、
本発明に係る飲食物は、日常的に摂取することにより動
脈硬化を積極的に防止できるため、高齢化社会において
その意義は高く評価される。
【0038】本発明の動脈硬化防止剤を、医薬品として
あるいは食品として摂取する場合にその用量・用法は適
宜定めるのがよい。たとえば毎日、本発明の動脈硬化防
止剤を単独に摂取する場合、とくに限定はないが、その
摂取量の目安としては、次のとおりである。1日、体重
1Kg当たり、菌糸体抽出物の固形分換算で、通常は1〜
100mgが適量であり、好ましくは10〜60mgが望まし
い。
【0039】動脈硬化症の治療には、往々にして長期間
にわたり持続的な薬剤の服用ならびに食事療法が求めら
れる。本発明に係る動脈硬化防止剤の有効成分の起源は
天然物由来の化合物であり、昔から食に供されてきた植
物から抽出されたものであり、極めて安全性に優れてい
る。したがって、長期間の摂取、服用もなんら問題はな
いといえる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、副作用のおそれがほと
んどなく安全性に優れた動脈硬化防止剤、およびこれを
添加した食品あるいはこれを含有する医薬品が提供され
る。動脈硬化症の治療、防止には、薬物療法とともに食
事療法も欠かせない。本発明に係る動脈硬化防止剤は、
そのいずれにも使用することができ、長期間の服用、摂
取にもとくに問題はない。
【0041】本発明で用いられる椎茸菌糸体抽出物は、
動脈血管壁へのコレステロールなどの沈積を防止する
か、あるいは粥腫形成の主役を演ずる泡沫細胞の集合を
低減させる。これにより粥状動脈硬化の防止または進行
を抑制し、さらには脂質代謝異常を改善することによっ
て、従来にない作用機能を発揮すると考えられ、本発明
に係る動脈硬化防止剤の開発の意義は大きい。
【0042】さらに、本発明に係る動脈硬化防止剤は、
単独の利用のほかに、健康栄養食品、補助食品、機能性
食品などの応用形態も可能であり、そうした食品の日常
的な摂取により、生活習慣病を防止するとともに総合的
な健康促進が実現できる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体
的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら
限定されるものではない。なお、以下において「%」と
あるのは重量%を示す。
【0044】
【調製例1】・椎茸菌糸体抽出物からなる動脈硬化防止
剤の調製 バカス90重量部、米糠10重量部からなる固体培地に
純水を適度に含ませた後に、椎茸種菌を接種し、温度お
よび湿度を調節した培養室内に置き、菌糸体を増殖させ
た。菌糸体が固体培地に蔓延した後、バカス基材の繊維
素を解束し、12メッシュ通過分が24重量%以下にな
るようにした。この解束された培地1.0kgに、純水
3.5リットルおよび精製セルラーゼ2.0gを固体培
地を40℃に保ちながら加えてバカス含有混合物とし
た。
【0045】次いで培地含有混合物を変速機付ギヤーポ
ンプにより循環させながら、固体培地に該ポンプのギヤ
ー部分において粉砕および擂潰作用を200分間程度加
え、バカス繊維の約80重量%が12メッシュ通過分と
なるようにした。バカス含有混合物の粉砕および擂潰
は、該混合物の温度を徐々に上昇させながら行った。そ
の後、バカス含有混合物をさらに加熱して、90℃とし
て30分間放置した。
【0046】90℃への加熱により酵素を失活させ、か
つ殺菌を施した。得られた培地含有混合物を60メッシ
ュ濾布を用いて濾過し、微小浮遊物を含有する椎茸菌糸
体抽出物を得た。上記椎茸菌糸体抽出物は、さらにフリ
ーズドライ法にて粉末化した。この抽出物(L・E・
M)および所望により他の共存物質を含む動脈硬化防止
剤を調製した。これを、以下の動物実験に使用して、そ
の効能を調べた。
【0047】
【試験例1】上記調製例1で得られた椎茸菌糸体抽出物
(L・E・M)を含む動脈硬化防止剤を用いて、高コレ
ステロール負荷により惹起された家兎の動脈硬化病変に
対する防止または改善効果を調べた。家兎の動脈硬化性
病変は、ヒト粥状動脈硬化症と同様に、泡沫細胞の集積
からなる動脈血管壁の内膜肥厚を特徴とする病変であ
る。すなわち、血管壁中膜を形成する平滑筋細胞は、内
膜に侵入したLDLコレステロールの作用や血小板から放
出された増殖因子の作用を受けて増殖し、内膜へ移行す
る。その際、脂肪を貪食した泡沫細胞として集合し、コ
レステロール沈着を招いて粥腫形成へと導く。
【0048】・高コレステロール負荷家兎へのL・E・
Mを含む動脈硬化防止剤の投与 雄性日本白色種の家兎32羽を、予備飼育として2週間飼
育した後、まず基本食餌としての通常飼育飼料に濃度1
%となるようにコレステロールを加えた食餌(これを以
下、「コレステロール食」という)を経口摂取させて、
8週間飼育した。その後、対照群(8羽)はさらにコレ
ステロール食を与えて飼育した。他方、残りの24羽の
家兎は、下記に定義する3群を実験群として、食餌にL
・E・Mを含む動脈硬化防止剤を添加した場合のその効
果を調べた。
【0049】1%L・E・M群:上記コレステロール食
にL・E・Mが1%となるように添加した食餌を投与す
る。 2%L・E・M群:上記コレステロール食にL・E・M
が2%となるように添加した食餌を投与する。 4%L・E・M群:上記コレステロール食にL・E・M
が4%となるように添加した食餌を投与する。
【0050】対照群および各実験群は、8羽からなり同
一の環境下でそれぞれ引き続き、さらに8週間飼育し
た。結局、対照群および実験群の各家兎は、実験開始時
点から16週間、コレステロールを1%含む食餌を摂取
していた。その間、すなわち2週間、8週間、12週間
の時点において、体重、血中の総コレステロール量、ト
リグリセリド濃度、血糖値などを測定した。
【0051】飼育終了後、各家兎から大動脈を摘出し、
脂肪染色後に動脈硬化性病変部の「占有面積率(Surfac
e involvement; SI)」および「粥状動脈硬化指数(Ath
erosclerotic index; AI)」などの定量分析ならびに大
動脈病変について病理組織学的検索を行った。ここで動
脈硬化性病変部の「占有面積率(SI)」とは、動脈血管
壁の内皮および内膜上における粥腫などの病変部の広が
り程度を示す指標であり、次式で算出される。
【0052】SI=(a+b+c)/(n+a+b+c) X 100 (%) 上式において、a、b、c、nは、それぞれ a:初期病変の一つである線状脂肪斑(脂肪線状,fatty
streak)、 b:線維斑(fibrous plaque)、 c:複合病変巣(complicated lesion)、 n:正常域の地点数(number points of normal area)を
意味する。
【0053】これらa、b、cは、粥状動脈硬化病変にお
いて、この順に斑点塊の進化形態を表している。「粥状
動脈硬化指数(AI)」とは、病変部の内膜内部への進
展、内膜の肥厚の程度を示す指標であり、同様に次式で
算出される。 AI=(a+10b+100c)/(n+a+b+c) (a、b、c、nの意味は、SIの場合に同じ) なお、平均値の検定は、ANOVA検定によりペア・テ
ストで行い、危険率5%未満を有意差ありと判定した。
【0054】・結果 飼育期間中、各群間の体重変化については有意の差異が
見られなかった。表1に各群の血中総コレステロール濃
度、表2に血中トリグリセリド濃度の変化を示す。な
お、「実験開始前」とは、コレステロール食を投与する
直前の値を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】実験群の血中総コレステロール濃度は、対
照群と比較して有意差を示すほどには低下しなかった
が、約10%ほどの低下傾向は認められた。とくに、1%
L・E・M群では、飼育期間中も対照群より低いコレス
テロールレベルで推移しており、このことは、L・E・
Mによる脂質代謝改善作用の結果と解される。摘出した
大動脈は、病理組織学的検索のため、SudanIV染色によ
り脂肪を染色した。図1は、対照群および1%L・E・
M群からの反転した大動脈血管内面の染色した状態を示
す写真である。対照群の大動脈において、脂肪が沈積し
ている表面部分は、白い線条、斑点、組織塊のように見
え、これは、脂肪沈積が著しいことを示す。図示しなか
った2%および4%L・E・M群においても、同様に白
い部分の比率が増加しており、とくに4%L・E・M群
は、対照群に近い程度の脂肪沈着が示唆された。これに
対して、1%L・E・M群では、白く観察される程度お
よび面積比率は少なく、血管壁への脂肪沈着は、対照群
に比べて著しく軽減されていることがわかった。
【0058】各群の16時間時点での大動脈染色パターン
をもとに、「肉眼的病変スコア」を求めた結果ならびに
動脈硬化性病変部の占有面積率(SI)および動脈硬化指
数(AI)を求めた結果を、表3に示す。「肉眼的病変ス
コア」は、内膜肥厚および病変のひろがりの観点より、
肉眼的に病変が認められないものから病変が高度なもの
まで下記に示す0〜4の5段階にスコア化して、各群に
ついて平均スコアとして求めたものである。
【0059】 0:全く病変が見られない。 1:ごく軽度の内膜肥厚を示す、小さな隆起性病変で、
脂肪線状などを含む病変。 2:内膜肥厚を示し、隆起性病変は、1より拡大傾向を
示す。 3:中程度の内膜肥厚であり、病変は融合する傾向を示
す。
【0060】 4:高度の内膜肥厚を示す融合性病変である。
【0061】
【表3】
【0062】表3から明らかなように、肉眼的病変スコ
アについてみると、L・E・M投与により病変の程度
が、対照群と比較して軽減されている。1%L・E・M
群、2%L・E・M群は、それぞれ弓部大動脈、胸部大
動脈でやや高いが、それでも良好な結果となっている。
さらにSI値、AI値の各指標についてみると、1%L・E
・M群および2%L・E・M群は、対照群と比較して有
意に低下しており(それぞれp<0.05)、病変の広
がりならびに進展の程度が他群よりも緩和されていたこ
とがわかる。4%L・E・M群では、対照群と比較して
SIおよびAIの指標は、それぞれ有意差は認められなかっ
たが、低下傾向が見られた。
【0063】したがって、L・E・M投与による動脈硬
化防止作用について、L・E・Mの濃度依存性の効果
は、今回とくに確認されなかったが、家兎において粥状
動脈硬化性病変の進展を抑止することが明らかとなっ
た。さらに上記泡沫細胞巣の形成が著しく抑制されてい
ることが視覚的に実証された。図2は、摘出した大動脈
組織試料のElastica Van Gieson染色を行った結果、そ
の血管壁断層を示す写真である。対照群での血管壁断層
は、コレステロールなどの脂質が動脈壁内膜内に、集塊
状、層状ないし巣状となって顕著に沈着していることが
わかる。このため内膜は、高度に肥厚している。下方の
中膜は内弾性板により沈着層と区別されている。2%L
・E・M群においても同様の傾向が見られるものの、動
脈硬化性病変の進行は抑制されていることが認められ
る。これに対して1%L・E・M群では、そのような沈
着が軽度にとどまっている。L・E・Mに含まれる活性
物質の作用により、上記病変部に集まっていた、脂肪貪
食細胞である泡沫細胞の排除が促進されていることが示
された。
【0064】・試験結果の考察 上記の結果を総合して判明したことは、コレステロール
を負荷されながら、L・E・Mの摂取がなかった対照群
は、高脂血症ならびに高コレステロール血症となってお
り、さらに病理組織学的検索から明白に認められた動脈
硬化性病変の進展が、実験期間を通じて全く抑止されな
かった。これに対して動脈硬化性病変が生起している家
兎に、椎茸菌糸体抽出物(L・E・M)を含む動脈硬化
防止剤を与えたところ、病理組織学的検索および観察か
ら、粥腫形成の主役である泡沫細胞が病変部から排除さ
れつつあることが示唆された。さらに、血清総コレステ
ロール値および血清トリグリセリド値(中性脂質値)に
ついても改善傾向が認められ、粥状動脈硬化性病変の進
行が抑止されたことが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、摘出大動脈のSudan IV染色をした結果
の写真を示す。
【図2】図2は、Elastica Van Gieson染色により染色
した大動脈組織の写真を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】椎茸の菌糸体培養物から抽出された椎茸菌
    糸体抽出物を含むことを特徴とする動脈硬化防止剤。
  2. 【請求項2】上記椎茸菌糸体抽出物が、 バカスを基材とする固体培地上に、椎茸菌類を接種し、
    次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含む固体培地
    を解束し、 この解束された固体培地に、水およびセルラーゼまたは
    プロテアーゼから選ばれる酵素の1種またはそれ以上
    を、前記固体培地を30〜50℃に保ちながら添加し、
    前記固体培地を酵素の存在下に粉砕および擂潰して椎茸
    菌類菌糸体抽出物を抽出し、次いで95℃までの温度に
    加熱することにより酵素を失活させかつ滅菌してなる椎
    茸菌糸体抽出物であることを特徴とする請求項1に記載
    の動脈硬化防止剤。
  3. 【請求項3】請求項1、2のいずれかに記載の動脈硬化
    防止剤を添加したことを特徴とする飲食物。
  4. 【請求項4】請求項1、2のいずれかに記載の動脈硬化
    防止剤を含有することを特徴とする医薬品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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