JP2002272783A5 - - Google Patents

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JP2002272783A5
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【書類名】明細書
【発明の名称】パンツ型使い捨て紙おむつ
【特許請求の範囲】
【請求項1】使用状態においてウエスト開口部及び左右のレッグ開口部が形成され、前記ウエスト開口縁から前記レッグ開口始端に至る長さ範囲の胴周り部の少なくとも腰下部に、周方向に沿いかつ縦方向に7.0mm以下の間隔を有する複数の伸縮部材が配置された伸縮部と伸縮部材が配置されていない非伸縮部とを有するパンツ型使い捨て紙おむつであって、
前記非伸縮部が前身頃および後身頃の少なくとも一方の中央部にあり、前記伸縮部がその非伸縮部を除く左右脇部を含む領域にあり、かつ、
前身頃と後身頃とを重ねた状態で、前記胴回り部が製品幅方向に伸張限界まで伸張しているときの最大製品幅と前記胴回り部が非伸張の収縮状態にあるときの収縮製品幅との差が、100〜250mmであることを特徴とするパンツ型使い捨て紙おむつ。
【請求項2】使用状態においてウエスト開口部及び左右のレッグ開口部が形成され、前記ウエスト開口縁から前記レッグ開口始端に至る長さ範囲の胴周り部の少なくとも腰下部に、周方向に沿って伸縮部材が配置された伸縮部と伸縮部材が配置されていない非伸縮部とを有するパンツ型使い捨て紙おむつであって、
前記非伸縮部が前身頃および後身頃の少なくとも一方の中央部にあり、前記伸縮部がその非伸縮部を除く左右脇部を含む領域にあり、かつ、
前身頃と後身頃とを重ねた状態で前記胴回り部を製品幅方向に伸張させたときの胴回り部の製品幅方向の伸縮力が、伸張限界における最大製品幅に対して100mm収縮している状態で300〜600gfの範囲にあり、かつ伸張限界における最大製品幅に対して150mm収縮している状態で50〜300gfの範囲にあることを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】前記伸張限界状態の伸縮部100mm×100mmにつき、伸縮部材の質量が0.05〜0.13gである請求項1または2に記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【請求項4】前記非伸縮部の周方向の長さの総和が、胴回り周長の15〜40%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【請求項5】前記伸縮部の縦方向の幅が、50〜150mmの範囲にある請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【請求項6】前記伸縮部材の収縮している通常状態の長さに対する最大伸長時の長さの割合が250〜350%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【請求項7】使用状態においてウエスト開口部及び左右のレッグ開口部が形成され、前記ウエスト開口縁から前記レッグ開口始端に至る長さ範囲の胴周り部の少なくとも腰下部に、周方向に沿いかつ前記胴周り部の60%以上の長さ範囲にわたる伸縮部材が配置された伸縮部と伸縮部材が配置されていない非伸縮部とを有するパンツ型使い捨て紙おむつであって、
前記伸縮部材は網目状伸縮部材、無孔のフィルム状伸縮部材または孔開きのフィルム状伸縮部材であり、
前記非伸縮部が前身頃および後身頃の少なくとも一方の中央部にあり、前記伸縮部がその非伸縮部を除く左右脇部を含む領域にあり、かつ、
前身頃と後身頃とを重ねた状態で、前記胴回り部が製品幅方向に伸張限界まで伸張しているときの最大製品幅と前記胴回り部が非伸張の収縮状態にあるときの収縮製品幅との差が、100〜250mmであることを特徴とするパンツ型使い捨て紙おむつ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンツ型使い捨て紙おむつ、特に、使用状態においてウエスト開口部及び左右のレッグ開口部が形成され、前記ウエスト開口縁から前記レッグ開口始端に至る長さ範囲の胴周り部の少なくとも腰下部に、周方向に沿って伸縮部材が配置された伸縮部と伸縮部材が配置されていない非伸縮部とを有するパンツ型使い捨て紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パンツ型使い捨て紙おむつが汎用されている。この場合における伸縮部材は、特に胴周りについては通常は糸ゴムが使用され、この糸ゴムは、胴周り部(ウエスト開口縁からレッグ開口始端に至る長さ範囲の領域)のウエスト開口縁側に偏在させた領域の全周に配置し、配置間隔は10mm以上が一般的である。また、通常は、ウエスト開口部の配置間隔を小さく、腹部の過度の圧迫を防止するために腰下部(ウエスト開口部より股下側の部分)の配置間隔を大きくしてある。しかしこの種の製品の欠点は、体裁の悪い皺が発生することであった。そこで、前記胴周り部に伸縮部材を有さない領域を設けて体裁の悪い皺の発生を防止したパンツ型使い捨て紙おむつが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種のパンツ型使い捨て紙おむつは見栄えが非常によく、しかしながら、この種のパンツ型使い捨て紙おむつは、場合によっては使用時にはかせづらかったりまたははきづらかったり、ずれ落ちたりすることがあった。また、所望のフィット感が得られないこともあった。
【0004】
そこで、本発明は、それらの諸問題を解決し、見栄えがよくさらに使用時にはかせやすくまたははきやすく、ずれ落ちが生じることなく、フィット感に優れるパンツ型使い捨て紙おむつを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
使用状態においてウエスト開口部及び左右のレッグ開口部が形成され、前記ウエスト開口縁から前記レッグ開口始端に至る長さ範囲の胴周り部の少なくとも腰下部に、周方向に沿いかつ縦方向に7.0mm以下の間隔を有する複数の伸縮部材が配置された伸縮部と伸縮部材が配置されていない非伸縮部とを有するパンツ型使い捨て紙おむつであって、
前記非伸縮部が前身頃および後身頃の少なくとも一方の中央部にあり、前記伸縮部がその非伸縮部を除く左右脇部を含む領域にあり、かつ、
前身頃と後身頃とを重ねた状態で、前記胴回り部が製品幅方向に伸張限界まで伸張しているときの最大製品幅と前記胴回り部が非伸張の収縮状態にあるときの収縮製品幅との差が、100〜250mmであることを特徴とするパンツ型使い捨て紙おむつ。
【0006】
(作用効果)
製品を見るとき、目立つのは中央部(周方向の中央部)であるところ、本発明においては、前記非伸縮部が前身頃および後身頃の少なくとも一方の中央部にあるので、この部分における皺の発生がなく製品の見栄えに優れる。さらに、中央部に存在する吸収体の変形が防止される。しかも、前記伸縮部がその非伸縮部を除く左右脇部を含む領域にあり、かつ、前身頃と後身頃とを重ねた状態で、前記胴回り部が製品幅方向に伸張限界まで伸張しているときの最大製品幅と前記胴回り部が非伸張の収縮状態にあるときの収縮製品幅との差を100〜250mmとしたことにより、はきやすくまたははかせやすく、フィット感に優れたものとなる。
【0007】
<請求項2記載の発明>
使用状態においてウエスト開口部及び左右のレッグ開口部が形成され、前記ウエスト開口縁から前記レッグ開口始端に至る長さ範囲の胴周り部の少なくとも腰下部に、周方向に沿って伸縮部材が配置された伸縮部と伸縮部材が配置されていない非伸縮部とを有するパンツ型使い捨て紙おむつであって、
前記非伸縮部が前身頃および後身頃の少なくとも一方の中央部にあり、前記伸縮部がその非伸縮部を除く左右脇部を含む領域にあり、かつ、
前身頃と後身頃とを重ねた状態で前記胴回り部を製品幅方向に伸張させたときの胴回り部の製品幅方向の伸縮力が、伸張限界における最大製品幅に対して100mm収縮している状態で300〜600gfの範囲にあり、かつ伸張限界における最大製品幅に対して150mm収縮している状態で50〜300gfの範囲にあることを特徴とする使い捨ておむつ。
【0008】
(作用効果)
製品の見栄えおよび吸収体の変形防止に関する作用効果については、請求項1記載の発明の作用効果と同様であるが、本発明においては、前記伸縮部がその非伸縮部を除く左右脇部を含む領域にあり、かつ、前身頃と後身頃とを重ねた状態で前記胴回り部を製品幅方向に伸張させたときの胴回り部の製品幅方向の伸縮力を、伸張限界における最大製品幅に対して100mm収縮している状態で300〜600gfの範囲にあり、かつ伸張限界における最大製品幅に対して150mm収縮している状態で50〜300gfの範囲としたことにより、はきやすくまたははかせやすく、フィット感に優れたものとなる。
【0009】
<請求項3記載の発明>
前記伸張限界状態の伸縮部100mm×100mmにつき、伸縮部材の質量が0.05〜0.13gである請求項1または2に記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【0010】
(作用効果)
前記伸縮部材の質量を伸張限界状態の伸縮部100mm×100mmにつき0.05〜0.13gとすることにより、よりはきやすくまたははかせやすく、フィット感に優れたものとなる。
【0011】
<請求項4記載の発明>
前記非伸縮部の周方向の長さの総和が、胴回り周長の15〜40%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【0012】
(作用効果)
上記数値範囲を限定したものであると、請求項1〜4における作用効果がより一層明瞭になる。
【0013】
<請求項5記載の発明>
伸縮部の縦方向の幅が、50〜150mmの範囲にある請求項1〜4のいずれか1項に記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【0014】
(作用効果)
上記数値範囲を限定したものであると、請求項1〜4における作用効果がより一層明瞭になる。
【0015】
<請求項6記載の発明>
前記伸縮部材の収縮している通常状態の長さに対する最大伸長時の長さの割合が250〜350%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンツ型使い捨て紙おむつ。
【0016】
(作用効果)
胴回りのテンションが上記数値範囲内にあると、請求項1〜5における作用効果がより一層明瞭になる。
【0017】
<請求項7記載の発明>
使用状態においてウエスト開口部及び左右のレッグ開口部が形成され、前記ウエスト開口縁から前記レッグ開口始端に至る長さ範囲の胴周り部の少なくとも腰下部に、周方向に沿いかつ前記胴周り部の60%以上の長さ範囲にわたる伸縮部材が配置された伸縮部と伸縮部材が配置されていない非伸縮部とを有するパンツ型使い捨て紙おむつであって、
前記伸縮部材は網目状伸縮部材、無孔のフィルム状伸縮部材または孔開きのフィルム状伸縮部材であり、
前記非伸縮部が前身頃および後身頃の少なくとも一方の中央部にあり、前記伸縮部がその非伸縮部を除く左右脇部を含む領域にあり、かつ、
前身頃と後身頃とを重ねた状態で、前記胴回り部が製品幅方向に伸張限界まで伸張しているときの最大製品幅と前記胴回り部が非伸張の収縮状態にあるときの収縮製品幅との差が、100〜250mmであることを特徴とするパンツ型使い捨て紙おむつ。
【0018】
(作用効果)
伸縮部材が、網目状伸縮部材、無孔のフィルム伸縮部材、または孔開きのフィルム状伸縮部材であっても同様の作用効果となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
(『本発明の用語の説明』、及びパンツ型使い捨ておむつの第1の実施の形態)
主に図1によって、本発明の部位や方向に関する用語説明をしつつ、図2及び図3によって、第1の実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつについて説明する。
【0020】
この第1の実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつは、図1及び図2に示すように、可撓性の外形シート1と、この外形シート1内面に固定され、股下4を中心として縦方向(前後方向)に延在する吸収主体10とを主体として構成されている。
【0021】
外形シート1は2枚または3枚以上の通気・撥水性の不織布を積層固定してなり、この外形シート1と吸収主体10とを重ね合わせた後の製造工程の最終段階で、前身頃Fと後身頃Bとの両側縁部の長手方向全体を超音波シールや熱溶融などの手段により接合する(この接合部を符号30としてある)ことにより、図に示されているようにウエスト開口部WOおよび左右一対のレッグ開口部LOを形成してある。
【0022】
図1の符号において、「縦方向」とは、腹側と背側を結ぶ方向を意味し、「周方向」とは前記縦方向と直交する方向を意味する。「ウエスト開口縁」とはウエスト開口部WOの縁を意味し、「レッグ開口縁」とはレッグ開口部LOの縁を意味する。「レッグ開口始端」とはレッグ開口部LOのレッグ開口縁と接合部30と交差する位置を意味し、レッグ開口縁の始まり個所の意味である。「胴周り部」Tとは、ウエスト開口縁からレッグ開口始端に至る長さ範囲の全体領域を意味する。胴周り部Tは、概念的に「ウエスト部」Wと「腰下部」Uとに分けることができる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なるが、ウエスト部Wは15〜40mm、腰下部Uは65〜120mmである。
【0023】
また、本発明に言う「製品幅」とは、製品時に両側縁間の距離のことを意味する。胴回り部の製品幅がウエスト部Wと腰下部Uとで異なる場合は、特に腰下部Uにおける幅とする。また、製品幅方向とは、前記製品幅に沿う方向である。図4においては製品幅をPW、製品幅方向をpwで示してある。従って、最大製品幅とは、前身頃と後身頃を重ねた状態の製品時において胴回り部を前記製品幅PW方向に引張り、前記伸縮部を伸長限界まで伸長させたときの製品幅のことである。また、収縮幅とは、前身頃と後身頃を重ねた状態の製品時において伸縮部が伸長していない収縮状態にあるときの製品幅のことである。
【0024】
一方、本発明に言う、非伸縮部の周方向の長さの総和とは、前身頃、後身頃においてそれぞれ非伸縮部が存在する場合は、それぞれの周方向長の和を言い、胴回り部において非伸縮部が一箇所にしか存在しない場合においてはその周方向の長さである。
【0025】
「股部」Lとは、レッグ開口部LOを形成する長さ範囲の全体領域を意味する。また、「中央部」とは、製品の中央線を含む側部を除く中間領域を意味する。「脇部」とは、胴周り部Tにおける両側部を意味する。
【0026】
吸収主体10は、図3にも示すように、不織布などからなり着用者の肌に直接触れる長方形の透液性トップシート11と、綿状パルプを主体とし、ある程度の剛性を有する(半剛性の)長方形の吸収コア13とその上下面全体を包む額巻きされた長方形のクレープ紙14とからなる吸収体ABと、この吸収体ABの裏面において両側縁近傍まで達する、ポリエチレンプラスチックフィルムなどからなる長方形の不透液性バックシート12とを有し、前記透液性トップシート11は、吸収体ABの両側縁を周り込んで裏面に達し、不透液性バックシート12に重ねられており、これらの各要素はホットメルト接着剤により接着(図中*で示しているのが接着部分である)一体化されたものである。必要に応じて、図示のように透液性トップシート11とクレープ紙14との間に透液性セカンドシート11Sを介在させることができる。この吸収主体10は、ほぼ裏面全体が前記外形シート1に対して、ホットメルト接着剤により接着して一体化してある。
【0027】
吸収主体10の両側部には、使用面側に突出する脚周り起立カフスC,Cがそれぞれ形成され、この起立カフスCは、実質的に幅方向に連続した起立シート40と、伸縮部材、たとえば糸ゴムからなる一本のまたは図示のように複数本の伸縮部材50,50…とにより構成されている。
【0028】
さらに詳細には、起立カフスCは、起立シート40を2重に形成され、各伸縮部材50,50…をホットメルト接着剤などにより固着した状態で包んで形成されたものである。各起立カフスC,Cを形成する起立シート40は、透液性でなく不透液性もしくは疎水性であるのが望ましい。また、不織布などの透液性シートに対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。さらに、通気もしくは蒸気透過性を有しているのが望ましい。
【0029】
二重の起立シート40の内面は、吸収体AB及び不透液性バックシート12の裏面側に回り込んでホットメルト接着剤などにより固着されている。その結果、二重の起立シート40のこの固着始端は、起立カフスCの起立端を形成している。
【0030】
この起立端より先端側は、製品本体に固定されていない自由部分である。
【0031】
他方、長手方向前後端部において、ホットメルト接着剤などにより、前記自由部分は、その先端が物品の中央側に向かう状態で物品に、具体的には透液性トップシート11外面に固定されている。
【0032】
また、伸縮部材50,50…は、少なくとも1本が自由部分にあることを基本形態とするが、特にその伸縮部材50は自由部分の先端部にあることが好ましく、さらに、図3に示されているように、根元側にも伸縮部材50を有することが好ましい。先端部には、図示のように複数本有するのがさらに望ましい。
【0033】
図2は、紙おむつを長手方向に展開した状態を示しているが、装着時には、紙おむつが舟形に体に装着されるので、そして各伸縮部材50,50…の収縮力が作用するので、製品の前後端はそのままで、脚周りでは、各伸縮部材50,50…の収縮力により起立カフスCが起立する。そしてこのとき、吸収主体10の側部を変形させ持ち上げ、また若干吸収体ABも変形させつつ持ち上げ、深いポケット空間を形成する。
【0034】
左右の起立カフスC,Cで囲まれる空間は、尿または軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿は透液性トップシート11を通って吸収体AB内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、起立カフスCがバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。
【0035】
他方、前身頃F及び後身頃Bの長手方向端部において、ウエスト部Wにおける外形シート1の不織布間には、ウエスト周りのフィット性を高めるために、ウエスト開口部WOの端縁に平行に間隔を置いて細い糸ゴムからなるウエスト伸縮部材20F,20Bが伸縮するように伸長下に配置固定されている。ウエスト部Wにおけるウエスト伸縮部材20F,20Bの間隔および本数は適宜定めることができるが、例えば間隔としては4〜8mm程度、本数としては4〜10本程度が好ましい。
【0036】
そしてかかる構成のもと、本発明に従って、前身頃F及び後身頃Bのウエスト部Wから股部Lの間の領域たる腰下部Uにおける、前身頃Fの下腹部及び後身頃Bの臀部に、周方向に沿って腰下部伸縮部材21F,21Bが設けられている。そして、腰下部伸縮部材21F,21Bはそれぞれ、前身頃F及び後身頃Bにおいて、一方側の接合部30から他方側の接合部30までの部分のうち吸収コア13のほぼ全体を除く製品の左右脇部に設けられている。このとき、一般的なパンツ型使い捨て紙おむつの形態を考慮すれば、腰下部伸縮部材21F,21Bが設けられている伸縮部の縦方向の幅を50〜150mmとするのが望ましい。また、腰下部伸縮部材21F,21Bが設けられていない非伸縮部を、その周方向の長さの総和が胴回り周長の15〜40%となるようにするのが望ましい。
【0037】
さらに本発明では、前身頃と後身頃とを重ねた状態で、胴回り部が製品幅方向に伸張限界まで伸張しているときの最大製品幅と胴回り部が非伸張の収縮状態にあるときの収縮製品幅との差が100〜250mm、特に好適には150〜200mmとなるように構成するか、または、前身頃と後身頃とを重ねた状態で前記胴回り部を製品幅方向に伸張させたときの胴回り部の製品幅方向の伸縮力が、伸張限界における最大製品幅に対して100mm収縮している状態で300〜600gfの範囲にあり、かつ伸張限界における最大製品幅に対して150mm収縮している状態で50〜300gfの範囲となるようにする。これは、例えば、下記の構成によって達成できる。
【0038】
一般的なパンツ型使い捨て紙おむつの形態であれば、最大製品幅は300〜400mmとするのが望ましい。また、伸縮部における腰下伸縮部材の質量は、伸張限界状態の伸縮部100mm×100mmにつき0.05〜0.13gとするのが望ましい。
【0039】
一方、腰下部伸縮部材21F,21Bおける相互間隔は、ウエスト伸縮部材20F,20Bの間隔に対して同じか、あるいはそれよりも短いものが望ましく、また、これら腰下部伸縮部材21F,21Bとして使用する糸ゴムは、前述のウエスト伸縮部材20として使用する細い糸ゴムよりも伸張応力および断面外径が小さいか、あるいは実質的に同一のものとすることができ、好適には、最大伸長時の長さが、収縮している通常時の長さの250〜350%、特に250〜300%となるものである。
【0040】
図示例では、これら腰下部伸縮部材21F,21Bとして、細い糸ゴム、具体的に太さが620dtex以下とされた伸縮部材が用いられ、前身頃F及び後身頃Bの両者において、縦方向の間隔が7.0mm以下とされ、それぞれ平行に15〜40本、外形シート1の不織布間に配置固定されている。このようにすると、図に模式的に示すように、生成する皺は周方向に幅狭であり、縦方向(周方向に直交する方向)に長さが短く、皺がほぼ縦方向に連続する形態で生成する。そして、各皺の凹または凸はごく小さい。しかも、糸ゴムg部分での括れが殆どなく、外面を構成するシートの色と糸ゴムgの色とが同色である場合に糸ゴムgの存在が判別し難い。
【0041】
その結果、皺が目立たず、見えるとしても木目細かい皺であり、全体的には平坦面状の外面を呈し、すっきり感、すなわち製品の外面が「モコモコ」せず、見栄えに優れたパンツ型使い捨て紙おむつとなる。しかも、面として肌に対して押圧されるようにすることにより、局部的な過度の肌への圧迫がないことによりゴム跡の生成がなく、製品の内面と肌との摩擦が全体に及び、ぴったり接触することによりフィット性が良好であり、製品のずれ落ちが防止される。
【0042】
他方、第1の実施の形態においては、股部Lにおける中央部を除く左右部においても股部伸縮部材23を設けてある。この股部伸縮部材23についても、腰下部伸縮部材21F,21Bと同様に、太さが620dtex以下の伸縮部材を縦方向の間隔を7.0mm以下として不織布間に配置固定できる。
【0043】
このようにして構成されるパンツ型使い捨て紙おむつは、前身頃と後身頃とを重ねた状態で、胴回り部が製品幅方向に伸張限界まで伸張しているときの最大製品幅と胴回り部が非伸張の収縮状態にあるときの収縮製品幅との差が100〜250mmであり、また、前身頃と後身頃とを重ねた状態で胴回り部を製品幅方向に伸張させたときの胴回り部の製品幅方向の伸縮力が、伸張限界における最大製品幅に対して100mm収縮している状態で300〜600gfの範囲にあり、かつ伸張限界における最大製品幅に対して150mm収縮している状態で50〜300gfの範囲にある製品となるため、はかせやすくまたははきやすく、しかも、フィット感に優れるものとなる。
【0044】
(その他の実施の形態)
本発明は、少なくとも腰下部に、周方向に沿って伸縮部材が配置された伸縮部と伸縮部材が配置されていない非伸縮部とを有するものであり、ウエスト部および股部における伸縮部材の配置については特に限定されない。また、非伸縮部は、前身頃および後身頃の少なくとも一方の中央部にあればよく、したがって、前身頃Fと後身頃Bとの間で伸縮部材の配設形態を相違させることもできる。ここで、実施例1に示す形態以外の本発明の形態を図6の(A)〜(D)に示す。
【0045】
(A)の形態は、ウエスト伸縮部材20F,20Bの配置は、第1の実施の形態と同様で、股部伸縮部材23が配設されていない形態である。(B)の形態は、股部伸縮部材23の配置は、第1の実施の形態と同様であり、ウエスト伸縮部材20F,20Bが、前身頃および後身頃の両方における中央部には配置されない形態である。(C)の形態は、ウエスト伸縮部材20F,20Bが、前身頃および後身頃において中央部には配置されず、股部伸縮部材23が配置されていない形態となっている。(D)の形態は、前身頃における各伸縮部材の配置は、(B)と同様であるが、後身頃においては腰下部伸縮部材21Bが中央部にも配置されている形態となっている。このように伸縮部材の配設形態は適宜であることを付言する。また、本発明においては、腰下部伸縮部材21F,21B端部、または股部伸縮部材23の端部が吸収コア13の側縁部に重なる場合と、吸収コア13の側縁に達しないで離間する場合との両者を含む。
【0046】
また、上記例はほぼ砂時計形状の外形シート1に対して長方形の吸収主体10を接合してあるが、外形シート1と同形状の透液性トップシート11を設け、これらの間に吸収体ABを設ける形態でもよい。さらに、外形シート1と吸収主体10とが境界なく一体化してある形態でもよい。
【0047】
製品の外面を構成するシートは、上記例では2枚または3枚以上の通気・撥水性の不織布を積層固定したものであるが、1枚の不織布でもよく、この場合にはその不織布の使用面側に伸縮部材を接合することができる。さらに積層する不織布間の中間にプラスチックシートを介在させたり、または裏面側不織布の使用面側に張り合わせたりすることができる。
【0048】
腰下部伸縮部材21Fまたは腰下部伸縮部材21Bは、格子網状に配設することでもよい。この1例が()に示す形態である。
【0049】
他方で、製品の中央部(吸収コアのほぼ全体領域)に、図7に示すように、不透液性バックシート12の裏面側にキャラクターなどのデザインをたとえば印刷により施すことができる。このデザイン部分は、ある程度の剛性を有する吸収コア13を有し、かつ本発明にしたがって外形シート1が変形したり皺を生じたりすることがないために、そのデザインが崩れることなく鮮明に分かるものとなる。このようにすると、誰でも一目で前後を判別でき、おむつ換えが楽しくなり、着用者も喜ぶものとなる。デザインを施したデザインシートを外形シート間に介在させることでもよい。また、外形シート1にデザイン印刷することもできる。
【0050】
(伸縮部材について)
上記の伸縮部材としては、天然ゴムや合成ゴムなどの材質のほか、ウレタンなどの弾性伸縮性のものを用いることができる。また、細帯状の弾性伸縮性帯や、面積的に大きいシート状のものも使用できる。これらの例として、ウレタンなどの帯、フィルムまたはシートなどがある。フィルムとしては無孔フィルムや孔開きフィルム、さらにシートとしては網目状のシートなどを適宜選択できる。無孔フィルム60の配設例を図8に示した。また、網目状のフィルム61の配設例を図9に示した。これらの形態においても、本発明にかかる構成、すなわち、前記伸縮部が収縮している通常状態の製品幅と伸縮部を周方向に最大に伸長させた最大伸長状態の製品幅との差を100〜250mmにするか、あるいは前記伸縮部を周方向に最大に伸長させた最大伸長状態から100mm縮ませたときの、製品の胴回り部の伸縮力が300〜600gfの範囲にあり、かつ150mm縮ませたときの、製品の胴回り部の伸縮力が50〜300gfの範囲にすることが重要である。
【0051】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、皺が目立つことがなく、製品の見栄えとしてすっきりしたものとなり、しかも、はかせやすくまたははきやすく、しかも、フィット性に優れるなどの利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の用語説明のための、第1の実施の形態の展開状態使用面側からの平面図である。
【図2】
第1の実施の形態の展開状態使用面側からの平面図である。
【図3】
その5−5線矢視図である。
【図4】
第1の実施の形態製品の斜視図である。
【図5】
本発明製品の皺の発生状況概要図である。
【図6】
伸縮部材の配設形態の説明図である。
【図7】
製品の表裏のデザイン例を示す図である。
【図8】
別の伸縮部材を設けた実施の形態の展開状態使用面側からの平面図である。
【図9】
他の伸縮部材を設けた実施の形態の展開状態使用面側からの平面図である。
【符号の説明】
1…外形シート、4…股下、10…吸収主体、12…バックシート、13…吸収コア、AB…吸収体、C…バリヤーカフス、20F,20B…ウエスト伸縮部材、21F,21B…腰下部伸縮部材、23…股部伸縮部材、T…胴周り部、…腰下部、…股部、…ウエスト部、WO…ウエスト開口部、LO…レッグ開口部。
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