JP2002272498A - 生化学的検査方法 - Google Patents

生化学的検査方法

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JP2002272498A
JP2002272498A JP2001081635A JP2001081635A JP2002272498A JP 2002272498 A JP2002272498 A JP 2002272498A JP 2001081635 A JP2001081635 A JP 2001081635A JP 2001081635 A JP2001081635 A JP 2001081635A JP 2002272498 A JP2002272498 A JP 2002272498A
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biochemical
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JP2001081635A
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English (en)
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Kaneyasu Ookawa
金保 大川
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各プローブアレイ要素ごとの蛍光強度の検出値
から被検サンプルに含まれる生化学的物質の数量を検査
し得る生化学的検査方法を提供すること。 【解決手段】mをプローブアレイ要素数、nを対象物質
の種類数として、プローブアレイ要素kに存在する標識
Mの蛍光分子数nMkで構成されるベクトルを検出し、検
出された該ベクトルnM 、標識Mに対応するプローブア
レイ要素k内のプローブと対象物質lとの結合率αMkl
で構成される既知なる行列および未知数である1プロー
ブアレイ要素当たりの供給サンプル内の標識Mに対応す
る対象物質lの対象物質数VMlで構成されるベクトルか
ら成る連立方程式 αVM =nMを解くことにより、前
記1プローブアレイ要素当たりの供給サンプル内の標識
Mに対応する対象物質lの対象物質数VMlで構成される
ベクトルVM を導出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生化学的反応の状
態を検査する生化学的検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、「ハイブリダイゼーションによる
配列決定」(SBH)のために、アレイドハイブリダイ
ゼーション(arrayed hybridizati
on)反応の幾つかの方法が開発されている。これに
は、例えば膜上に格子状配列された異なるオリゴヌクレ
オチドプローブとDNA試料のアレイとの段階的なハイ
ブリダイゼーションの方法を用いたSBHがある。
【0003】また、従来「ジェノセンサー(genos
ensor)」なる語は、その中で二次元アレイの表面
に標的核酸配列と相補配列の認識素子としてのオリゴヌ
クレオチドを結合する方式を称してきた。さらに、ジェ
ノセンサーの概念には、ハイブリダイゼーションを迅速
に検出することができ、各試験部位に微細電子部品が存
在する微細加工装置が含まれる。
【0004】このような二次元アレイに対して、近年以
下のような新規なフロースルージェノセンサーが提供さ
れている。そこでは、固形支持材料のウェハーにわたり
斑点状に配され密充填された孔またはチャンネル内に、
核酸認識素子が固定化されている。支持ウェハーとして
有用なマイクロチャンネルまたはナノチャンネルのガラ
ス及び多孔性シリコンの製造には、公知の微細加工技術
を利用できる。このフロースルージェノセンサーは、微
細加工された光学及び電子工学検出部品、フィルム、荷
電結合素子アレイ、カメラシステム及びりん光貯蔵技術
を包含する種々の公知の検出方法を利用している。この
フロースルー装置については、公知の平面表面設計に比
して以下の利点が得られる。
【0005】(1)表面積が膨大に増大したことによ
り、検出感度が改善される。
【0006】(2)ハイブリダイゼーション反応に要す
る時間が短縮し(平均標的分子が表面に結合したプロー
ブに出くわすのに要する時間が、数時間から数ミリ秒に
短縮され)、ハイブリダイゼーションがスピード化さ
れ、順反応及び逆反応の両方において誤対合識別ができ
る。
【0007】(3)多孔性ウェハーを通して溶液を徐々
に流動できるため、希薄な核酸溶液を分析することがで
きる。
【0008】(4)大気に曝される平面表面上のプロー
ブ溶液の小液滴が迅速に乾燥するのを避けられることに
より、各分離領域内の表面に対するプローブ分子の化学
結合が促進する。
【0009】以上の利点を有するこのフロースルー装置
を、以後三次元アレイと称する。このような三次元アレ
イに関する従来技術として、特表平9−504864号
公報を引用し、図7を用いてその構成及び作用を簡単に
説明する。
【0010】図7は、三次元アレイをなすテーパ付き試
料ウェルアレイを示す図である。図7において、多孔性
のガラスウェハー101には、複数のテーパ孔102が
配設されており、これら各孔102にテーパ付きウェル
103が埋設されている。テーパ付きウェル103は、
そこに固定した生体分子の結合領域を構成する0.1−
10μm直径のチャンネル104を底部に含む。各チャ
ンネル104は図示のように多くの微小の貫通孔105
を有している。このウェルアレイを用い、以下のステッ
プで検出を行なう。
【0011】(1)3−グリシドキシプロピル−トリメ
トキシシラン4ml、キシレン12ml、N,N−ジイ
ソプロピルエチルアミン(フーニッヒ(Hunig)塩
基)0.5mlの溶液をウェハーの孔に流入させ、次い
で、そのウェハーを80℃の該溶液に5時間浸漬し、次
いで、テトラヒドロフランでフラッシュし、80℃にて
乾燥することにより、ウェハーをエポキシシラン−誘導
体化ガラスとする。
【0012】(2)5′−または3′−アルキルアミン
(化学合成の間に導入した)を有する複数のオリゴヌク
レオチドプローブを、水に10μM−50μMにて溶解
し、それぞれ多孔性のガラスウェハー101(シリカウ
ェハー)に微量分注する。65℃にて一晩反応させた
後、その表面を65℃の水、次いで10mMトリエチル
アミンで簡単に流し、表面上の未反応エポキシ基を取り
除く。次いで、65℃の水で再度流し、風乾することに
より、アミン−誘導化オリゴヌクレオチドをエポキシシ
ラン−誘導体化ガラスに結合させる。
【0013】(3)増幅の間に産物に[32P]ヌクレオ
チドを取り込ませるポリメラーゼ連鎖反応によるか、ま
たはガンマ−32P[ATP]+ポリヌクレオチド・キナ
ーゼを用いて増幅産物を5′−標識することによって、
標的DNA(分析物)を調製する。取り込まれなかった
標識は、セントリコン(Centricon)濾過によ
って除去する。好ましくは、1のPCR断片を5′−ビ
オチン標識すれば、ストレプトアビジン・アフィニティ
ークロマトグラフィーによる一本鎖の調製ができる。少
なくとも5nM(5fmol/μl)の濃度であって、
少なくとも5,000cpm/fmolの特異活性のハ
イブリダイゼーション緩衝液(50mMトリス−HC
l、pH8、2mMEDTA、3.3M塩化テトラメチ
ルアンモニウム)中に標的DNAを溶解する。数百塩基
長のPCR断片が、少なくともオクタマー長の表面につ
なぎ留めたオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーシ
ョンに適している。
【0014】(4)標的DNA試料をチップの多孔性領
域に流し込み、6℃にて5〜15分間インキュベート
し、ハイブリダイゼーションを行なう。次いで、18℃
にて同様の時間、多孔性チップを通してハイブリダイゼ
ーション溶液を流動させることによって洗浄する。別法
として、塩化テトラメチルアンモニウムの代わりに、1
MKCLもしくはNaClまたは5.2Mベタインを含
有する緩衝液でハイブリダイゼーションを行なうことも
できる。
【0015】(5)CCDジェノセンサー装置を用いて
ハイブリダイゼーション強度の検出及び定量を行なう。
CCDジェノセンサー装置は、高解像度及び高感度のも
のを用い、化学ルミネセント、蛍光または放射能標識用
として用意される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来では、上述した従
来技術に限らず、プローブアレイ要素内での生化学的な
各反応状態を各々の蛍光強度としてCCDのような同一
のエリアセンサーまたはラインセンサーで検出し出力し
ているに過ぎず、被検サンプルに含まれる生化学的物質
の種類や数量を知ることができないという欠点が有る。
【0017】本発明の目的は、各プローブアレイ要素ご
との蛍光強度の検出値から被検サンプルに含まれる生化
学的物質の数量を検査し得る生化学的検査方法を提供す
ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、本発明の生化学的検査方法は以下の如
く構成されている。
【0019】(1)本発明の生化学的検査方法は、生化
学的物質の溶液を、表面に該生化学的物質に特異的に反
応する生化学的物質が各々保持されている生化学検査用
アレイに供給し、発光性分子による標識を用いて前記生
化学検査用アレイの各プローブアレイ要素ごとに前記発
光性分子の発光強度をアレイ型検出器で検出することに
より、前記生化学的物質と該生化学的物質に特異的に反
応する生化学的物質との反応状態を前記各プローブアレ
イ要素ごとに検査する生化学的検査方法であり、mをプ
ローブアレイ要素数、nを対象物質の種類数として、プ
ローブアレイ要素kに存在する標識Mの蛍光分子数nMk
で構成されるベクトル
【数14】
【0020】を検出し、検出された該ベクトルnM 、標
識Mに対応するプローブアレイ要素k内のプローブと対
象物質lとの結合率αMkl で構成される既知なる行列
【数15】
【0021】および未知数である1プローブアレイ要素
当たりの供給サンプル内の標識Mに対応する対象物質l
の対象物質数VMlで構成されるベクトル
【数16】
【0022】から成る連立方程式 αVM =nM を解くことにより、前記1プローブアレイ要素当たりの
供給サンプル内の標識Mに対応する対象物質lの対象物
質数VMlで構成されるベクトルVM を導出する。
【0023】(2)本発明の生化学的検査方法は、生化
学的物質の溶液を、表面に該生化学的物質に特異的に反
応する生化学的物質が各々保持されている生化学検査用
アレイに供給し、発光性分子による標識を用いて前記生
化学検査用アレイの各プローブアレイ要素ごとに前記発
光性分子の発光強度をアレイ型検出器で検出することに
より、前記生化学的物質と該生化学的物質に特異的に反
応する生化学的物質との反応状態を前記各プローブアレ
イ要素ごとに検査する生化学的検査方法であり、mをプ
ローブアレイ要素数、nを対象物質の種類数として、プ
ローブアレイ要素kに存在する標識Mの蛍光分子数nMk
で構成されるベクトル
【数17】
【0024】を検出し、検出された該ベクトルnM 、標
識Mに対応するプローブアレイ要素k内のプローブと対
象物質lとの結合率αMkl で構成される既知なる行列
【数18】
【0025】から求められた対称行列
【数19】
【0026】と、ベクトル
【数20】
【0027】および未知数である1プローブアレイ要素
当たりの供給サンプル内の標識Mに対応する対象物質l
の対象物質数VMlで構成されるベクトル
【数21】
【0028】から成る連立方程式 α′VM =n′M を解くことにより、前記1プローブアレイ要素当たりの
供給サンプル内の標識Mに対応する対象物質lの対象物
質数VMlで構成されるベクトルVM を導出する。
【0029】(3)本発明の生化学的検査方法は上記
(1)または(2)に記載の方法であり、かつ光で励起
発光する複数の異なる発光性分子で標識された生化学的
物質を含む複数のサンプルの混合溶液を被検サンプルの
溶液とし、前記複数の異なる発光性分子が一定の割合で
混在して保持された前記レファレンスアレイを用いて、
前記各プローブアレイ要素内のプローブと前記各サンプ
ルとの反応状態を検査する。
【0030】(4)本発明の生化学的検査方法は上記
(1)乃至(3)のいずれかに記載の方法であり、かつ
各プローブアレイ要素kに同一数量VM の対象物質lを
供給した時の検出値nMkl で構成される行列
【数22】
【0031】および前記数量VM を用いて、式
【数23】
【0032】により、プローブアレイ要素k内のプロー
ブと対象物質lとの結合率αMkl で構成される行列αを
求める。
【0033】(5)本発明の生化学的検査方法は上記
(1)乃至(3)のいずれかに記載の方法であり、かつ
1 〜k4 を定数、tをプローブと対象物質との反応時
間、vをサンプル液の平均流速として、プローブと対象
物質の接触確率Cを式
【数24】
【0034】により求め、k5 〜k7 を定数、Sklをプ
ローブアレイ要素k内のプローブと対象物質lとの結合
強度として、プローブアレイ要素k内のプローブと対象
物質lとの分離確率Bklを式
【数25】
【0035】により求め、求められた接触確率Cと分離
確率Bklとから、式
【数26】
【0036】により、プローブアレイ要素k内のプロー
ブと対象物質lとの結合率αklを求める。
【0037】(6)本発明の生化学的検査方法は上記
(2)に記載の方法であり、かつ2種類の各被検サンプ
ルに含まれる生化学的物質の数を各々x軸およびy軸と
した散布図を出力する。
【0038】上記手段を講じた結果、それぞれ以下のよ
うな作用を奏する。
【0039】(1)本発明の生化学的検査方法によれ
ば、被検サンプルに含まれる生化学的物質の数を対象物
質ごとに知ることができる。
【0040】(2)本発明の生化学的検査方法によれ
ば、被検サンプルに含まれる生化学的物質の数を対象物
質ごとにより正確に知ることができる。
【0041】(3)本発明の生化学的検査方法によれ
ば、上記(1)による作用効果に加えて、複数サンプル
での対象物質数の相対比較が正確にできる。
【0042】(4)本発明の生化学的検査方法によれ
ば、プローブアレイ要素k内のプローブと対象物質lと
の結合率αMkl で構成される行列αを正確に与えること
ができる。
【0043】(5)本発明の生化学的検査方法によれ
ば、k1 〜k7 を装置定数として与え、またSklに理論
値を採用することができるので、結合率αを決定するた
めの測定が不要となる。
【0044】(6)本発明の生化学的検査方法によれ
ば、上記(2)の作用効果に加えて、2種類の各被検サ
ンプルに含まれる複数の生化学的物質の構成上の相違点
の認識がし易くなる。
【0045】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態に係
る生化学的検査方法を実施する顕微鏡装置の構成を示す
図である。図1において、励起光源11には、水銀光源
等が用いられる。この光源11から出射される励起光の
光路上には、シャッター12、レンズ13、二枚の励起
フィルタ14を選択的に切り替え可能な励起フィルタユ
ニット140、およびダイクロイックミラー15が配置
され、このダイクロイックミラー15の反射光路上に
は、対物レンズ16および後述する生化学検査用アレイ
1またはレファレンスアレイ4が配置されている。ま
た、ダイクロイックミラー15の透過光路上には、複数
枚のNDフィルタ17を選択的に切り替え可能なNDフ
ィルタユニット170、結像レンズ18、およびCCD
カメラ19が配置されている。CCDカメラ19には画
像処理部20が接続され、画像処理部20には表示部2
1が接続されている。
【0046】図2は、本実施の形態で使用する生化学検
査用アレイの概略構成を示す図であり、(a)は上面の
フォーマットを示す図、(b)は一部側面図である。生
化学検査用アレイ1は、図7に示した三次元アレイから
なる。図2の(a)に示すように、生化学検査用アレイ
1にはプローブアレイ要素3が二次元に配列されてお
り、4隅にそれぞれ位置検出用アレイ要素2が配置され
ている。これらプローブアレイ要素3および位置検出用
アレイ要素2は、図7に示したようにテーパ付きウェル
103からなり、底部に0.1−10μm直径のチャン
ネル104を有し、さらに各チャンネル104は図2の
(b)に示すように多くの微小な貫通孔105を有して
いる。各貫通孔105の壁面には、プローブ31が結合
している。
【0047】すなわち生化学検査用アレイ1では、多孔
性ガラスウェハー101の表面の異なるテーパ付きウェ
ル103にそれぞれプローブの溶液が供給され、該溶液
中に含まれるプローブを多孔性ガラスウェハー101の
内部に設けられた各チャンネル104の各貫通孔105
で保持している。なお、多孔性ガラスウェハー101を
用いずに直接貫通孔105(多孔質または繊維質の物質
あるいは成形物から成る立体構造の反応担体)に分注し
てもよい。
【0048】図3は、本実施の形態で使用するレファレ
ンスアレイの上面のフォーマットを示す図である。レフ
ァレンスアレイ4は、蛍光分子(または化学発光分子)
を保持可能な三次元アレイからなる。図3に示すよう
に、レファレンスアレイ4には蛍光分子保持用要素5が
二次元に配列されており、4隅にそれぞれ位置検出用ア
レイ要素2が配置されている。
【0049】図2の(a),図3に示すように、生化学
検査用アレイ1とレファレンスアレイ4は同一のフォー
マットを有している。4隅に位置する4個の位置検出用
アレイ要素2は、生化学検査用アレイ1とレファレンス
アレイ4で同じ位置に存在するものであり、顕微鏡下の
図示しないステージ上に生化学検査用アレイ1とレファ
レンスアレイ4を配置するときの両者の位置合わせ用に
使用される。従って、位置検出用アレイ要素2は必ずし
も図2の(a),図3に示す位置である必要はなく、両
者で同じ位置に存在すればどの位置でも良い。もちろ
ん、生化学検査用アレイ1とレファレンスアレイ4のフ
ォーマット自身も、これらの条件を満たすものであれば
任意で良い。
【0050】以下、本実施の形態における生化学検査の
概略を説明する。
【0051】最初に検査者は、アレイ用基板に標識とし
て使用する蛍光分子(または化学発光分子)と同一のn
RM個の蛍光分子(または化学発光分子)をそれぞれ蛍光
分子保持用要素5に、標識と異なる発光波長の蛍光分子
(または化学発光分子)をそれぞれ位置検出用アレイ要
素2にスポッティングしてレファレンスアレイ4を製作
する。ここで、Rはレファレンスを意味する添字、Mは
蛍光物質に対応する添字である。
【0052】次に、顕微鏡観察下で位置出し配置された
レファレンスアレイ4に励起照明を与えて、蛍光画像を
CCDカメラ19で撮り込みレファレンス蛍光画像とす
る。該レファレンス蛍光画像は、標識に使用する蛍光物
質の種類数だけ撮り込まれる。なお、蛍光物質の劣化を
防止するために、撮り込まれた後直ちにシャッター12
などで励起照明を遮断するのが好ましい。
【0053】次に検査者は、前記レファレンスアレイ4
を排出し、これと同じ位置に生化学検査用アレイ1を配
置する。この生化学検査用アレイ1では、あらかじめ標
識と異なる発光波長の蛍光分子(または化学発光分子)
をアレイ用基板の位置検出用アレイ要素2に、対応する
プローブ液を同じくプローブアレイ要素3にそれぞれ固
相化してある。
【0054】次に検査者は、該生化学検査用アレイ1に
蛍光分子(または化学発光分子)で標識された被検サン
プルの溶液を供給し、各プローブとサンプル溶液中の物
質とで結合反応を生じさせた後、未結合の前記物質をプ
ローブアレイ要素3から除去する。
【0055】次に、該生化学検査用アレイ1に励起照明
を与えて、蛍光画像をCCDカメラ19で撮り込みサン
プル蛍光画像とする。該サンプル蛍光画像は、前記レフ
ァレンス蛍光画像と同じく標識に使用する蛍光物質の種
類数だけ撮り込まれる。なお、蛍光物質の劣化を防止す
るために、撮り込まれた後直ちにシャッター12などで
励起照明を遮断するのが好ましい。
【0056】次に、前記レファレンス蛍光画像および前
記サンプル蛍光画像を各々要素単位に分割し、複数の分
割画像(該分割画像は、標識に使用する蛍光物質の種類
数×プローブアレイ要素数×2だけ存在する)とする。
なお、この時の分割条件は、4個の前記位置検出用アレ
イ要素2の重心位置または二値化画像の図心位置の座標
と、既知のアレイフォーマットにより決定する。
【0057】次に、これら分割画像ごとの検出信号の総
和を信号強度として出力する。この信号強度は、標識に
使用する蛍光物質の種類数×プローブアレイ要素数×2
の数量だけ得られる。今、プローブアレイ要素3および
蛍光分子保持用要素5の信号強度をそれぞれPRMk およ
びPSMk で表す。ここでRおよびSは、それぞれレファ
レンスおよびサンプルを示す添字、Mは蛍光物質に対応
する添字、kは蛍光分子保持用要素5の番号であると同
時にこれに対応したプローブアレイ要素3の番号であ
る。
【0058】次に、プローブアレイ要素3の信号強度P
SMk をプローブアレイ要素3の面積で補正してPMkとす
る。次式によりPMkを求める。
【0059】
【数27】
【0060】ここで、S0 はプローブアレイ要素3の標
準面積、SMkは各プローブアレイ要素3の二値化画像の
実面積である。この補正により、プローブ分注誤差によ
るノイズを除去することができる。これらの信号強度を
用いて、前記プローブアレイ要素3に存在する標識Mの
蛍光分子数nMkを次式により求める。
【0061】
【数28】
【0062】ここで、nRMはレファレンスアレイ4の番
号kの蛍光分子保持用要素5に存在する標識Mの蛍光分
子数であり、この値は既知である。
【0063】今、プローブアレイ要素3に存在する標識
Mの蛍光分子数をnM とし、これを次式で定義する。
【0064】
【数29】
【0065】ここでmはプローブアレイ要素3の数であ
る。また標準面積S0 のプローブアレイ要素3に存在す
るn個の対象物質の数をVM とし、これを次式で定義す
る。
【0066】
【数30】
【0067】ここで、VMlは標識Mについて存在する対
象物質lの数である。
【0068】今、プローブと対象物質との結合率をαと
すれば、このαを次式の如く、m×nの矩形行列で定義
することができる。
【0069】
【数31】
【0070】すなわち(5)式における行列要素αij
プローブiと対象物質jとの結合率を表す。この結合率
αを用いて蛍光分子数nM と対象物質の数VM との関係
を表現すると次のようになる。
【0071】
【数32】
【0072】この結合率αは各アレイ要素kに結合して
いるプローブの構造と対象物質lの組み合わせで定まる
定数であり、理論的または実験的に定めることができ
る。また(6)式により対象物質の数VM が定まる条件
としてm≧nが必要である。
【0073】今、(6)式に最小二乗法を適用するため
に次のように関数SM を定義する。
【0074】
【数33】
【0075】(7)式で示される関数SM が最小となる
ようにVMjを決定すれば、このVMjの値が連立一次方程
式(6)式の最小二乗解となる。関数SM が最小となる
条件として次式が与えられる。
【0076】
【数34】
【0077】ここで、j=1,2,…,nであるので、
(8)式はn個の式から成ることになる。(7)式およ
び(8)式により次式が得られる。
【0078】
【数35】 ここでα′およびn′M は次式で与えられる。
【0079】
【数36】
【0080】
【数37】
【0081】(10)式で明らかなようにα′はn次の
対称行列となるので、逆行列α′-1を定義することがで
きる。(9)式により、
【数38】
【0082】(12)式により、対象物質の数VM を求
めることができる。
【0083】次に、結合率αを決定する方法について述
べる。結合率αを決定するために同一数量VM のn種の
対象物質lを用意するものとし、このときに検出される
蛍光分子数をnMkl として、VMDおよびnMDを各々次式
の如く定義する。
【0084】
【数39】
【0085】
【数40】 このとき、つぎの関係が成り立つ。
【0086】
【数41】
【0087】(13)式および(15)式により、
【数42】 (16)式を用いて結合率αを決定することができる。
【0088】以上のように本実施の形態によれば、結合
率αを導入しているので、被検サンプルに含まれる生化
学的物質の数量を物質ごとに出力することができる。
【0089】以下、本実施の形態において、理論的方法
で結合率αを決定する方法について述べる。
【0090】対象物質とプローブとの接触確率 対象物質とプローブとの反応時間をt、サンプル液の平
均流速をvとすれば、両者の接触確率Cは次式で与えら
れる。
【0091】
【数43】
【0092】対象物質とプローブとの結合強度 対象物質とプローブとの結合強度Sは、反応温度および
対象物質またはプローブの長さがパラメータとして与え
られる。この結果、結合強度Sは次式の形で表される。
【0093】
【数44】
【0094】対象物質とプローブとの分離確率 対象物質とプローブとの分離確率Bklは次式で与えられ
る。
【0095】
【数45】
【0096】対象物質とプローブとの結合率 対象物質とプローブとの結合率αklは次式で与えられ
る。
【0097】
【数46】 (17)〜(20)式により、次式が得られる。
【0098】
【数47】
【0099】ここで、k1 〜k7 は装置固有の定数と考
えて良く、実験的に与えられるものである。このように
結合強度Sに演算処理を施すことにより、結合率αを決
定することができる。
【0100】本実施の形態によれば、装置固有の定数k
1 〜k7 および結合強度Sの理論値を用いて結合率αを
求めているので、測定前の結合率αを求める実験が不要
となり、定数k1 〜k7 を装置に記憶させておくこと
と、結合強度Sの理論値を入力することだけで、被検サ
ンプルに含まれる生化学的物質の数量を物質ごとに出力
することができる。
【0101】図4,図5は、本実施の形態による検査手
順を示すフローチャートである。以下、図4,図5に従
って検査方法およびその作用を説明する。
【0102】(1)ステップS1:まず検査者は、2色の
蛍光分子(または化学発光分子)で標識された2種の生
化学的物質の溶液を作成する。この場合検査者は、比較
したい2種の生化学的物質の溶液を同一濃度で作成し、
一方をFITC、他方をローダミンで標識する。これら
の標識物質は、蛍光波長の異なる物質の組み合わせであ
れば他の物質でも構わない。その後、作成した2種の生
化学的物質の溶液を1:1の割合で混合して撹拌し、生
化学的物質の混合溶液とする。混合比率については、2
種の生化学的物質の溶液および標識物質の特性に応じて
変更しても良い。
【0103】(2)ステップS2:検査者は、2色の蛍光
分子(または化学発光分子)を保有するレファレンスア
レイ4を製作する。この場合検査者は、アレイ用基板に
蛍光標識として使用するFITCおよびローダミンを同
一の蛍光分子(または化学発光分子)数nRMだけそれぞ
れ蛍光分子保持用要素5に、標識と異なる発光波長の蛍
光分子(または化学発光分子)をそれぞれ位置検出用ア
レイ要素2にスポッティングしてレファレンスアレイ4
を製作する。この際、スポッティングする位置はプロー
ブアレイ要素3に対応する位置とする。ここでRはレフ
ァレンスを意味する添字、Mは蛍光物質に対応する添字
である。
【0104】なお、スポッティングの方法は、使用する
蛍光分子(または化学発光分子)の重量とその分子量か
ら使用する蛍光分子(または化学発光分子)数を特定
し、この蛍光分子(または化学発光分子)数の蛍光分子
(または化学発光分子)の溶液を既定量となるように作
り、この溶液をインクジェット方式によりアレイ用基板
上に吐出するものである。1要素当たりの蛍光分子(ま
たは化学発光分子)数n RMは、これらの諸量(溶液量お
よび溶液中の蛍光分子(または化学発光分子)数)と溶
液の吐出量とから計算して求められる。なお、蛍光分子
(または化学発光分子)の保持方法として固相化試薬を
用いると確実な保持が可能となるが、必ずしも必要では
ない。
【0105】(3)ステップS3:検査者は観察光路a上
のNDフィルタ17を切り替えながら、レファレンスア
レイ4の蛍光画像を色別にCCDカメラ19で撮り込
む。この場合、レファレンスアレイ4を励起光源11で
励起照明して、各蛍光分子保持用要素5内の蛍光分子
(または化学発光分子)が発生する蛍光の画像をCCD
カメラ19で撮り込む。この際、検査者は励起フィルタ
ユニット140を切り替え操作して所望の蛍光分子(ま
たは化学発光分子)の色に対応する励起フィルタ14を
照明光路b上に配置し、さらにNDフィルタユニット1
70を切り替え操作して所望のNDフィルタ17を観察
光路a上に配置する。
【0106】励起光源11からの励起光は、レンズ1
3、励起フィルタ14を介してダイクロイックミラー1
5で反射され、対物レンズ16を介してレファレンスア
レイ4の上面全体に照射される。レファレンスアレイ4
から発生した蛍光は、対物レンズ16、ダイクロイック
ミラー15、NDフィルタ17、および結像レンズ18
を介して、CCDカメラ19に入射し、蛍光分子(また
は化学発光分子)の色別に蛍光画像が撮り込まれる。従
ってこの段階で、2色×NDフィルタの枚数分の蛍光画
像が得られる。CCDカメラ19で撮り込んだ蛍光画像
は、画像処理部20へ送られる。
【0107】なお、本実施の形態では受光素子としてC
CDを用いているが、CCDに特定するものではなく、
他のエリアセンサを用いても良い。従って、以下に記述
される「CCD」は「エリアセンサ」でも通用するもの
である。
【0108】(4)ステップS4:検査者は観察光路a上
のNDフィルタ17を切り替えながら、レファレンスア
レイ4のバックグラウンド画像を蛍光分子(または化学
発光分子)の色別にCCDカメラ19で撮り込む。この
場合、レファレンスアレイ4の蛍光画像を撮り込んだ直
後にシャッター12により励起照明を遮断し、CCDカ
メラ19でバックグラウンド画像を撮り込む。このバッ
クグラウンド画像の数は、蛍光画像の数と同一となる。
このバックグラウンド画像は、検出強度に不要な暗電流
ノイズおよび迷光ノイズにより構成される。CCDカメ
ラ19で撮り込んだバックグラウンド画像は、画像処理
部20へ送られる。
【0109】(5)ステップS5:検査者は、生化学検査
用アレイ1に生化学的物質の混合溶液を供給し、各プロ
ーブと特異的に反応させる。この場合検査者は、図1に
示した蛍光顕微鏡の観察下で、試料面に図2の(a)に
示す生化学検査用アレイ1を配置し、その表面に一様に
生化学的物質の混合溶液を供給する。これにより、生化
学検査用アレイ1上のプローブアレイ要素3内のプロー
ブと混合溶液に含まれる生化学的物質との間に特異的な
結合反応が生じる。この結果、各プローブアレイ要素3
内で反応の強さに応じた数量の蛍光分子(または化学発
光分子)が間接的にプローブに結合することになる。
【0110】(6)ステップS6:検査者は、生化学検査
用アレイ1から未反応の生化学的物質を除去する。この
場合検査者は、前述した結合反応後に、生化学検査用ア
レイ1の各プローブアレイ要素3から未結合の生化学的
物質を除去する。一般的には洗浄液を用いて洗浄する方
法が採用されるが、反応担体が立体構造である場合には
洗浄液を用いずにポンプなどで溶液ごと除去しても良
い。但し、洗浄液を用いる方が確実に除去されることは
言うまでもない。
【0111】(7)ステップS7:検査者は観察光路a上
のNDフィルタ17を切り替えながら、生化学検査用ア
レイ1の蛍光画像を色別にCCDカメラ19で撮り込
む。この場合、生化学検査用アレイ1を励起光源11で
励起照明して、各プローブアレイ要素3内の蛍光分子
(または化学発光分子)が発生する蛍光の画像をCCD
カメラ19で撮り込む。この際、検査者は励起フィルタ
ユニット140を切り替え操作して所望の蛍光分子(ま
たは化学発光分子)の色に対応する励起フィルタ14を
照明光路b上に配置し、さらにNDフィルタユニット1
70を切り替え操作して所望のNDフィルタ17を観察
光路a上に配置する。
【0112】励起光源11からの励起光は、レンズ1
3、励起フィルタ14を介してダイクロイックミラー1
5で反射され、対物レンズ16を介して生化学検査用ア
レイ1の上面全体に照射される。生化学検査用アレイ1
から発生した蛍光は、対物レンズ16、ダイクロイック
ミラー15、NDフィルタ17、および結像レンズ18
を介して、CCDカメラ19に入射し、蛍光分子(また
は化学発光分子)の色別に蛍光画像が撮り込まれる。こ
の生化学検査用アレイ1の蛍光画像の数は、レファレン
スアレイ4のバックグラウンド画像および蛍光画像の数
と同一となる。CCDカメラ19で撮り込んだ蛍光画像
は、画像処理部20へ送られる。
【0113】(8)ステップS8:検査者は観察光路a上
のNDフィルタ17を切り替えながら、生化学検査用ア
レイ1のバックグラウンド画像を蛍光分子(または化学
発光分子)の色別にCCDカメラ19で撮り込む。この
場合、前述した生化学検査用アレイ1の蛍光画像を撮り
込んだ直後にシャッター12により励起照明を遮断し、
CCDカメラ19でバックグラウンド画像を撮り込む。
この生化学検査用アレイ1のバックグラウンド画像の数
は、蛍光画像の数と同一となる。このバックグラウンド
画像は、レファレンスアレイ4のバックグラウンド画像
と同様に、検出強度に不要な暗電流ノイズおよび迷光ノ
イズにより構成される。CCDカメラ19で撮り込んだ
バックグラウンド画像は、画像処理部20へ送られる。
【0114】(9)ステップS9:画像処理部20は、レ
ファレンスとサンプルの各蛍光画像から各バックグラウ
ンド画像を差し引き、色別およびNDフィルタ別の補正
画像とする。一般的に、受光素子の出力には暗電流ノイ
ズや迷光ノイズなどの直流ノイズが含まれる。この直流
ノイズを除去するために、レファレンスアレイ4および
生化学検査用アレイ1について各々蛍光画像からバック
グラウンド画像を差し引き、これを補正画像と称し以後
の処理の対象とする。従って、この段階で2色×NDフ
ィルタの枚数の補正画像が得られる。なお、蛍光画像お
よびバックグラウンド画像は、以後不要となる。
【0115】(10)ステップS10:画像処理部20は、
各補正画像中の位置検出用アレイ要素2に対応する画像
の重心位置を検出する。図2の(a)および図3に示す
ように、生化学検査用アレイ1およびレファレンスアレ
イ4に形成されるアレイ要素は二次元に配列されてお
り、共に4隅に位置する4個のアレイ要素が位置検出用
アレイ要素2として用いられる。それ以外のアレイ要素
はプローブアレイ要素3または蛍光分子保持用要素5と
して用いられる。
【0116】位置検出用アレイ要素2は位置信号を出す
ためのものであるから、その要素内の物質は発光物質ま
たは反射物質であれば何でも良いことになるが、望まし
くは使用される2色の蛍光波長とは異なる蛍光波長の蛍
光物質を用いる方が良い。その理由は、位置検出用アレ
イ要素2から発生する蛍光がノイズとして作用する可能
性を無くすことができるからである。この場合には、位
置検出用の励起波長で照明し、位置検出をすることにな
る。
【0117】位置検出には、4個の位置検出用アレイ要
素2の画像の各々の重心座標を位置座標とする方法の
他、補正画像を最大強度の1/2のレベルで二値化して
4個の図心を位置座標とする方法などを採用できる。
【0118】(11)ステップS11:画像処理部20は、
各補正画像を回転移動して、色別およびNDフィルタ別
の回転画像とする。この場合、レファレンスアレイ4お
よび生化学検査用アレイ1について各々得られた4個の
位置座標で形成される四辺形が最小偏差で矩形となるよ
うに位置座標を修正してから、各矩形の各辺が座標軸と
平行になるように各画像中心を回転中心として各補正画
像を回転移動する。移動後の画像を回転画像と呼ぶ。な
お、補正画像は以後不要となる。
【0119】(12)ステップS12:画像処理部20は、
各回転画像を蛍光分子保持用要素5およびプローブアレ
イ要素3ごとの画像に分割し、各々色別、NDフィルタ
別および要素別の分割画像とする。
【0120】この場合、画像処理部20は、レファレン
スアレイ4および生化学検査用アレイ1の各回転画像の
4個の位置座標と蛍光分子保持用要素5およびプローブ
アレイ要素3の配列条件とから分割条件を決定して、こ
の分割条件ですべての回転画像を蛍光分子保持用要素5
またはプローブアレイ要素3ごとの画像に分割し、分割
画像とする。なお、レファレンスアレイ4の回転画像の
分割画像をレファレンス分割画像、生化学検査用アレイ
1の回転画像の分割画像をサンプル分割画像と呼ぶ。従
ってこの段階で、2×NDフィルタの枚数×プローブア
レイ要素数分の分割画像が得られる。なお、各回転画像
は以後不要となる。
【0121】(13)ステップS13:画像処理部20は、
最適なNDフィルタ17に対応する各分割画像を色別お
よび要素別の測定用画像として抽出する。
【0122】この場合、画像処理部20は、同一色で同
一位置の蛍光分子保持用要素5のNDフィルタ枚数分の
レファレンス分割画像の中から、最大信号強度がダイナ
ミックレンジの範囲内にあり、その中で信号強度が最大
であるレファレンス分割画像を1個抽出する。これを測
定用レファレンス画像と呼ぶ。同様に画像処理部20
は、同一色で同一位置のプローブアレイ要素3のNDフ
ィルタ枚数分のサンプル分割画像の中から、最大信号強
度がダイナミックレンジの範囲内にあり、その中で信号
強度が最大であるサンプル分割画像を1個抽出する。こ
れを測定用サンプル画像と呼ぶ。測定用レファレンス画
像および測定用サンプル画像は、各々受光強度比率βi
を大から小の順に並べ、大きい方から順次Rk を求め、
k の変化率が負の条件を満たしたときに前のβi に対
応する画像として抽出される。この段階で、2×プロー
ブアレイ要素数の測定用画像が得られる。以後、抽出さ
れない分割画像は不要となる。
【0123】(14)ステップS14:画像処理部20は、
抽出した各測定用画像を二値化し、色別および要素別の
二値化画像とする。測定用レファレンス画像および測定
用サンプル画像のすべてについて、各々最大信号の1/
2のレベルで二値化し、これをそれぞれレファレンス二
値化画像およびサンプル二値化画像とする。サンプル二
値化画像については二値化領域の面積SMkを算出する。
【0124】(15) ステップS15:画像処理部20
は、各二値化画像により測定領域およびノイズサンプリ
ング領域を設定する。
【0125】この場合画像処理部20は、レファレンス
二値化画像のすべてについて、各々の最大x座標x
RMk max、最小x座標xRMk min、最大y座標yRMk max
よび最小y座標yRMk minを求める。同様にサンプル二
値化画像のすべてについて、各々の最大x座標x
SMk max、最小x座標xSMk min、最大y座標ySMk max
および最小y座標ySMk minを求めてから、ノイズのサ
ンプリング領域を設定するための座標x′RMk max
x′RMk min、y′RMk max、y′
RMk min、x′SMk max、x′SMk min、y′SMk maxおよ
びy′SMk minを算出する。
【0126】そして、点(x′RMk min,y′RMk min
および点(x′RMk max,y′RMk m ax)で定まる矩形内
を測定用レファレンス画像の測定領域とし、該矩形外を
測定用レファレンス画像のノイズサンプリング領域とす
る。同様に、点(x′SMk mi n,y′SMk min)および点
(x′SMk max,y′SMk max)で定まる矩形内を測定用
サンプル画像の測定領域とし、該矩形外を測定用サンプ
ル画像のノイズサンプリング領域とする。
【0127】なお、レファレンス画像の測定領域は点
(xRMk min,yRMk min)および点(xRMk max,y
RMk max)で定まる矩形を含む領域として決定する。同
様にサンプル画像の測定領域は点(xSMk min,y
SMk min)および点(xSMk max,ySMk m ax)で定まる
矩形を含む領域として決定する。
【0128】(16)ステップS16:画像処理部20は、
測定画像上で測定領域の信号から平均ノイズ信号を差し
引く。
【0129】この場合画像処理部20は、測定用レファ
レンス画像のノイズサンプリング領域の信号から単位面
積当たりのノイズを求め、測定用レファレンス画像の測
定領域の信号からこの信号を差し引いてレファレンス画
像の検出信号とする。同様に、測定用サンプル画像のノ
イズサンプリング領域の信号から単位面積当たりのノイ
ズを求め、測定用サンプル画像の測定領域の信号からこ
の信号を差し引いてサンプル画像の検出信号とする。
【0130】(17)ステップS17:画像処理部20は、
プローブアレイ要素3の標準面積当たりの信号強度を色
別に算出するこの場合画像処理部20は、各蛍光分子保
持用要素5の測定領域内での検出信号の総和をPRMk
して算出する。同様に、各プローブアレイ要素3の測定
領域内での検出信号の総和をPSMk として算出する。次
いで、プローブアレイ要素3の標準面積S0 当たりの信
号強度を(1)式を用いて色別に算出する。これらの信
号強度は、励起光むら、励起光ノイズおよびプローブの
分注誤差により生じる強度誤差が除去された強度として
得られる。
【0131】(18)ステップS18:画像処理部20は、
プローブアレイ要素3の標準面積当たりに存在する蛍光
分子(または化学発光分子)数を色別に算出する。この
場合画像処理部20は、ρを蛍光発光の非線型係数とし
て、プローブアレイ要素3の標準面積S0 当たりの信号
強度から、逐次演算式
【数48】
【0132】および初期値
【数49】
【0133】および演算中止条件式
【数50】
【0134】を用いて逐次演算をして、演算中止時の
【数51】
【0135】を求め、nMkとする。そして、このプロー
ブアレイ要素3の標準面積S0 当たりに存在する蛍光分
子数nMkを色別に算出する。
【0136】(19)ステップS19:画像処理部20は、
プローブアレイ要素3に存在する対象物質数を算出す
る。この場合画像処理部20は、(10)〜(12)式
を用いて標準面積S0 のプローブアレイ要素3に存在す
るn個の対象物質数VM を色別に算出する。
【0137】(20) ステップS30:画像処理部20
は、対象物質数を両軸とする散布図を表示する。この場
合画像処理部20は、2色の蛍光物質のプローブアレイ
要素3ごとの対象物質数を各々x軸およびy軸とした散
布図を、表示部21に表示する。
【0138】図6は、上記散布図の例であり、x軸をサ
ンプルAに含まれる生化学的物質の絶対数、y軸をサン
プルBに含まれる生化学的物質の絶対数として対数メモ
リ上に示している。図6はn個の対象物質について簡略
して示しており、‘物質3’以外はサンプルA中とサン
プルB中の各対象物質の数がほぼ同数であることが分か
る。このような散布図により、各サンプルに存在する生
化学的物質の構成の相違を正確に知ることができる。
【0139】なお、本発明は上記実施の形態のみに限定
されず、要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施でき
る。
【0140】
【発明の効果】本発明によれば、各プローブアレイ要素
ごとの蛍光強度の検出値から被検サンプルに含まれる生
化学的物質の数量を検査し得る生化学的検査方法を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る生化学的検査方法を
実施する顕微鏡装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施の形態に係る生化学検査用アレイ
の概略構成を示す図。
【図3】本発明の実施の形態に係るレファレンスアレイ
のフォーマットを示す図。
【図4】本発明の実施の形態に係る検査手順を示すフロ
ーチャート。
【図5】本発明の実施の形態に係る検査手順を示すフロ
ーチャート。
【図6】本発明の実施の形態に係る散布図。
【図7】従来例に係る三次元アレイをなすテーパ付き試
料ウェルアレイを示す図。
【符号の説明】
1…生化学検査用アレイ 2…位置検出用アレイ要素 3…プローブアレイ要素 31…プローブ 4…レファレンスアレイ 5…蛍光分子保持用要素 6…生化学検査用アレイ 7…レファレンスアレイ 8…蛍光分子保持領域 11…励起光源 12…シャッター 13…レンズ 140…励起フィルタユニット 14…励起フィルタ 15…ダイクロイックミラー 16…対物レンズ 170…NDフィルタユニット 17…NDフィルタ 18…結像レンズ 19…CCDカメラ 20…画像処理部 21…表示部 101…多孔性ガラスウェハー 102…孔 103…テーパ付きウェル 104…チャンネル 105…貫通孔
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/58 A 33/58 37/00 102 37/00 102 C12N 15/00 F Fターム(参考) 2G043 AA03 DA02 DA06 EA01 FA02 FA06 GA01 GA02 GA04 GA07 GB01 GB18 GB19 HA09 HA11 HA15 JA02 LA03 MA01 NA01 NA05 NA06 2G045 AA35 DA12 DA13 FA16 FA19 FB07 GC15 JA01 4B024 AA11 CA01 CA09 HA12 4B063 QA01 QA18 QQ42 QQ52 QQ79 QQ96 QR32 QR48 QR56 QR85 QS33 QS34 QX02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生化学的物質の溶液を、表面に該生化学的
    物質に特異的に反応する生化学的物質が各々保持されて
    いる生化学検査用アレイに供給し、発光性分子による標
    識を用いて前記生化学検査用アレイの各プローブアレイ
    要素ごとに前記発光性分子の発光強度をアレイ型検出器
    で検出することにより、前記生化学的物質と該生化学的
    物質に特異的に反応する生化学的物質との反応状態を前
    記各プローブアレイ要素ごとに検査する生化学的検査方
    法であり、 mをプローブアレイ要素数、nを対象物質の種類数とし
    て、プローブアレイ要素kに存在する標識Mの蛍光分子
    数nMkで構成されるベクトル 【数1】 を検出し、検出された該ベクトルnM 、標識Mに対応す
    るプローブアレイ要素k内のプローブと対象物質lとの
    結合率αMkl で構成される既知なる行列 【数2】 および未知数である1プローブアレイ要素当たりの供給
    サンプル内の標識Mに対応する対象物質lの対象物質数
    Mlで構成されるベクトル 【数3】 から成る連立方程式 αVM =nM を解くことにより、前記1プローブアレイ要素当たりの
    供給サンプル内の標識Mに対応する対象物質lの対象物
    質数VMlで構成されるベクトルVM を導出することを特
    徴とする生化学的検査方法。
  2. 【請求項2】生化学的物質の溶液を、表面に該生化学的
    物質に特異的に反応する生化学的物質が各々保持されて
    いる生化学検査用アレイに供給し、発光性分子による標
    識を用いて前記生化学検査用アレイの各プローブアレイ
    要素ごとに前記発光性分子の発光強度をアレイ型検出器
    で検出することにより、前記生化学的物質と該生化学的
    物質に特異的に反応する生化学的物質との反応状態を前
    記各プローブアレイ要素ごとに検査する生化学的検査方
    法であり、 mをプローブアレイ要素数、nを対象物質の種類数とし
    て、プローブアレイ要素kに存在する標識Mの蛍光分子
    数nMkで構成されるベクトル 【数4】 を検出し、検出された該ベクトルnM 、標識Mに対応す
    るプローブアレイ要素k内のプローブと対象物質lとの
    結合率αMkl で構成される既知なる行列 【数5】 から求められた対称行列 【数6】 と、ベクトル 【数7】 および未知数である1プローブアレイ要素当たりの供給
    サンプル内の標識Mに対応する対象物質lの対象物質数
    Mlで構成されるベクトル 【数8】 から成る連立方程式 α′VM =n′M を解くことにより、前記1プローブアレイ要素当たりの
    供給サンプル内の標識Mに対応する対象物質lの対象物
    質数VMlで構成されるベクトルVM を導出することを特
    徴とする生化学的検査方法。
  3. 【請求項3】光で励起発光する複数の異なる発光性分子
    で標識された生化学的物質を含む複数のサンプルの混合
    溶液を被検サンプルの溶液とし、前記複数の異なる発光
    性分子が一定の割合で混在して保持された前記レファレ
    ンスアレイを用いて、前記各プローブアレイ要素内のプ
    ローブと前記各サンプルとの反応状態を検査することを
    特徴とする請求項1または2に記載の生化学的検査方
    法。
  4. 【請求項4】各プローブアレイ要素kに同一数量VM
    対象物質lを供給した時の検出値n Mkl で構成される行
    列 【数9】 および前記数量VM を用いて、式 【数10】 により、プローブアレイ要素k内のプローブと対象物質
    lとの結合率αMkl で構成される行列αを求めることを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の生化学的
    検査方法。
  5. 【請求項5】k1 〜k4 を定数、tをプローブと対象物
    質との反応時間、vをサンプル液の平均流速として、プ
    ローブと対象物質の接触確率Cを式 【数11】 により求め、k5 〜k7 を定数、Sklをプローブアレイ
    要素k内のプローブと対象物質lとの結合強度として、
    プローブアレイ要素k内のプローブと対象物質lとの分
    離確率Bklを式 【数12】 により求め、求められた接触確率Cと分離確率Bklとか
    ら、式 【数13】 により、プローブアレイ要素k内のプローブと対象物質
    lとの結合率αklを求めることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載の生化学的検査方法。
  6. 【請求項6】2種類の各被検サンプルに含まれる生化学
    的物質の数を各々x軸およびy軸とした散布図を出力す
    ることを特徴とする請求項2に記載の生化学的検査方
    法。
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