JP2002270130A - 四重極質量分析計 - Google Patents

四重極質量分析計

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JP2002270130A
JP2002270130A JP2001066686A JP2001066686A JP2002270130A JP 2002270130 A JP2002270130 A JP 2002270130A JP 2001066686 A JP2001066686 A JP 2001066686A JP 2001066686 A JP2001066686 A JP 2001066686A JP 2002270130 A JP2002270130 A JP 2002270130A
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baking
vacuum
mass spectrometer
vacuum chamber
quadrupole mass
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JP2001066686A
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Kazuhiro Uneyama
和弘 釆山
Makoto Kishimoto
真 岸本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温条件下においても感度が劣化することな
く測定することが可能な四重極質量分析計を提供する。 【解決手段】 イオン源部11、四重極部12および検
出部13からなる分析管を真空チャンバ18のフランジ
に挿入し、密封接続部17によって真空チャンバ内を密
封するとともに、信号ケーブル16によって制御部14
と密封接続部17および分析管とを接続する。冷却ブロ
ック15は、真空チャンバ18のフランジと密封接続部
17との接合部の外周部を取り囲むように密着し、内部
には冷却用の配管が配設されており、冷却媒体が導入さ
れる。この冷却ブロック15によって接合部は局所的に
冷却され、高温条件下においても測定することが可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、四重極質量分析計
に関し、特に高温条件下において測定を行う四重極質量
分析計に関する。
【0002】
【従来の技術】四重極質量分析計の装置構成は、大きく
分類して、イオン源部、四重極部、検出部および制御部
から成る。イオン源部、四重極部および検出部は、真空
中で動作させ、通常真空フランジを介して制御部と接続
される。真空チャンバ内の気体をイオン源部にてイオン
化し、イオン化した気体を四重極部にて電場を印加する
ことにより検出部に誘導・検出することで、真空チャン
バ内の残留ガスの分析などを行う。
【0003】制御部は、大気中部品のため、前述の分析
管とは真空フランジを介して接続されており、電子回路
部、ケーブルおよび回路を含め耐熱性がなく100℃程
度以下で使用しなければならない。したがって四重極質
量分析計を取り付ける各装置を高温にする際には、その
温度によっては、耐熱性のない制御部は取り外さなけれ
ばならず、加熱中のガス分析は不可能となる。たとえ
ば、超高真空対応の真空チャンバをベーキング作業等に
より200℃程度の温度でベーキングする際には、接続
している四重極分析計の分析管部も200℃まで加熱さ
れるので、分析管に接続する制御部は取り外され、真空
チャンバ内の残留ガス分析を行うことはできない。
【0004】また化合物半導体を作製するMBE(Mole
cular Beam Epitaxy)装置などで、原材料にリンを使用
した際、基板上に飛来したリン以外は、真空チャンバ内
壁面、あるいは液体窒素シュラウドにトラップされ吸着
する。このうち一部のリンは分子を構成して白リン(P
4)となる。白リンは、大気中雰囲気では発火性がある
ため、真空チャンバを定期メンテナンスあるいはトラブ
ル時に大気開放するためには、開放前に一旦200℃程
度のベーキングを行い、高温処理により白リンを自然発
火性のない赤リン(P2)に分解してから大気開放しな
ければならない。
【0005】白リンの分解過程は、チャンバが高温状態
であるため、従来の四重極質量分析計では耐熱性の問題
から測定できない。したがって、その際のベーキング処
理時間は、真空計でチャンバ内の全圧をモニタし、経験
的に分解終了段階を決定している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】イオン源制御回路、四
重極電場制御回路およびイオン電流検出回路を含む制御
部を、分析管の真空フランジに、電流導入端子などのコ
ネクタを介して直接取付ける場合、制御部内に接続され
ている電子部品、基板等の耐熱性の低い部材を保護する
ため、通常、制御部の温度を100℃以上にしてはなら
ない。四重極質量分析計を接続する真空チャンバをベー
キングなどにより200℃程度の高温状態にする際に
は、制御部は接続部からの熱伝導により、100℃以上
になってしまうため、接続部を取り外さなければなら
ず、高温状態における真空チャンバ内の残留ガス分析が
不可能となる。
【0007】また制御部の温度を100℃以下に抑制す
るため、真空チャンバのベーキング温度の設定を150
℃程度まで低下させた場合、200℃で行うベーキング
よりもベーキング効率が低下し、高真空を得るためには
長時間のベーキングが必要となる。また真空チャンバを
200℃にてベーキングしている際に、制御部の温度を
100℃以下に抑制するため、接続している分析管全体
を冷却した場合、ベーキング中にチャンバ内から放出さ
れたガス成分が、冷却された分析管内の内表面に吸着脱
離を繰返して検出されるため、本来の真空チャンバ内の
ガス成分を測定することができず、ベーキング中の正確
な測定ができない。さらに、この場合、分析管について
はベーキングを行っていないため、接続する真空チャン
バについても分析管からの放出ガスのため、所望の到達
真空度が得られない可能性がある。
【0008】制御部を分析管から分離して、信号ケーブ
ルを介して接続する場合についても、信号ケーブル接続
部に耐熱性がないため、ベーキングにより高温となる際
には、信号ケーブルを取り外さなければならず、ベーキ
ング中のガス分析は不可能となる。
【0009】本発明の目的は、高温条件下においても感
度が劣化することなく測定することが可能な四重極質量
分析計を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、真空チャンバ
の取付口に挿入され、イオンを検出する分析管と、前記
分析管を制御する制御部が接続され、取付口を密閉する
密封接続部と、前記密封接続部の温度を調整する調温部
とを有することを特徴とする四重極質量分析計である。
【0011】本発明に従えば、分析管を制御する制御部
が接続され、分析管の取付口を密閉する密封接続部の温
度を調整する調温部を有するので、高温条件下において
も感度が劣化することなく測定することができる。ま
た、これによってベーキング工程など高温処理を伴う工
程の短縮が可能である。
【0012】また本発明は、前記調温部は、流体を流す
配管を備えることを特徴とする。本発明に従えば、調温
部が流体を流す配管を備えるので、冷却媒体を流すこと
で密封接続部を冷却することができる。
【0013】また本発明は、前記調温部は、前記密封接
続部の外周部に流体を流す配管を配設することを特徴と
する。
【0014】本発明に従えば、密封接続部の外周部に流
体を流す配管を配設するので、密封接続部を局所的に冷
却することができる。
【0015】また本発明は、前記調温部は、ファンを用
いて前記密封接続部を冷却することを特徴とする。本発
明に従えば、ファンを用いて密封接続部を冷却すること
ができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある四重極質量分析計10の構成を示す図である。四重
極質量分析計10は、分析管を構成するイオン源部1
1、四重極部12および検出部13と制御部14と冷却
ブロック15と信号ケーブル16と密封接続部17とか
らなる。イオン源部11は、真空チャンバ18内に存在
する気体に電子を衝突させイオン化する部分で、ここで
イオン化された気体の一部が四重極部12に移動する。
四重極部12では、互いに平行に配置された4本の円柱
ロッド電極が設置されており、直流と交流の重畳電場が
印加されて四重極場が形成される。
【0017】イオン源部11でイオン化された気体が四
重極部12に飛来すると、4本の電極によって印加され
ている電場の大きさにより、イオンは力を受け、4本の
電極の軸心に沿って振動しながら進行する。ここで四重
極部12を通過し、検出部13まで到達するイオンは、
四重極部12に印加されている電場の大きさによって限
定され、ある質量対電価M/eを持つイオンに限られ
る。M/eはマスナンバーとも呼ばれ、イオンの持つ質
量数に相当する。それ以外の質量数を持つイオンは、四
重極部12を通過する途中で軸心から逸脱し、検出部1
3には到達しない。したがって四重極部12に印加する
電場を変化させ、走査することにより、四重極部12を
通過する特定の質量数を持つイオンを識別することが可
能となる。
【0018】検出部13では、四重極部12を通過した
イオンを検出し、イオン電流として出力する。検出方法
として、ファラデーカップをコレクタに用いて測定する
が、より検出感度を向上させるためには、2次電子倍増
器を設置する。制御部14は、制御用の信号ケーブル1
6を介して密封接続部17と接続され、上述のイオン源
制御、四重極場制御、および検出部における検出を行う
制御回路を含む電子回路から構成されている。調温部で
ある冷却ブロック15は、取付口である真空チャンバ1
8のフランジと密封接続部17との接合部の外周部を取
り囲むように密着し、内部には図示しない冷却用の配管
が配設されており、冷却媒体が導入される。冷却ブロッ
ク15によって接合部は、局所的に冷却される。冷却媒
体としては、冷却水、液体窒素、液体ヘリウムおよび冷
却気体(空気、窒素、アルゴン等不活性ガス)を流すこ
とが可能である。密封接続部17は、真空チャンバ18
のフランジと接合し真空チャンバを密閉するとともに信
号ケーブル16を介して制御部14から送られる制御信
号を分析管に入力するための端子、および分析管からの
検出信号を出力する端子を備える。
【0019】本発明の構成により、四重極質量分析計1
0を接続する真空チャンバ18にヒータ線を巻いて20
0℃の高温ベーキングを施しても、密封接続部17の温
度は局所的に100℃以下に保持されるので高温条件下
でも測定を行うことができる。
【0020】なお、調温部として冷却媒体を流す配管を
配設した冷却ブロック15について説明したが、接合部
に冷却用パイプを直接巻いたり、ファンによって接合部
を冷却してもよい。
【0021】まず、本発明の四重極質量分析計10のア
ルゴンガスに対する感度を測定した。図2は、本発明の
四重極質量分析計10を含むアルゴンガス感度測定機器
の構成を示す図である。測定方法は、分析管(イオン源
部11、四重極部12および検出部13)を、ステンレ
ス管24内に設置し、ステンレス管24内を真空排気し
ながら、アルゴンガスを一定流量導入し、イオン電流と
真空度を測定することによって感度を測定した。ステン
レス管24には、真空排気用ポート25、真空計取付ポ
ート26、およびアルゴンガス導入用ポート27が別途
設けられ、それぞれ真空ポンプ(図示せず)、真空計
(図示せず)およびガス導入システム(図示せず)が接
続される。
【0022】制御部14は、信号ケーブル16を介して
分析管から分離されており、密封接続部17と真空フラ
ンジとの接合部の外周には、内部に冷却用配管が施され
た冷却ブロック15が設置され、冷却水を流すことによ
り、接合部は局所冷却される。ステンレス管24には、
加熱用のヒータ(図示せず)が巻かれており、測定前に
当該ヒータにより、ステンレス管24をベークし、充分
に脱ガスを行い、3×10-8Pa程度の超高真空域の真
空度に到達した後、アルゴンガスを導入し測定を行っ
た。
【0023】図3は、アルゴンガスを導入した際の測定
結果を示すグラフである。図3(a)は室温にて測定し
た場合であり、図3(b)はステンレス管を200℃に
昇温した場合の測定結果である。アルゴンガスの導入量
は、ステンレス管24に接続された真空計により真空度
が5×10-4Paで一定になるように導入した。アルゴ
ンガスは、不純物濃度が1ppm以下の高純度ガスであ
るため、真空計で検知される全圧が、アルゴン分圧と見
なしても支障はない。室温および200℃ともにM/e
=15からM/e=45の範囲で走査してイオン電流値
を測定した。M/e=20と40に現れるピークがアル
ゴンイオンを検出したもので、両ピークのイオン電流値
の和がアルゴン分圧に比例した値となる。したがって両
ピークのイオン電流値の和と導入アルゴンガス圧の比か
ら感度が求められ、室温および200℃の両条件下につ
いて感度を求めると、ともに1.2×10-2A/Paが
得られ、測定環境の温度を上げたことにより、四重極質
量分析計10の感度が劣化することはないことがわかっ
た。
【0024】次に、本発明の四重極質量分析計10を取
付けた真空チャンバをベーキングした際に得られる出力
信号レベル(イオン電流)のチャンバ温度依存性を測定
した。ベーキング方法は、図4に示すように、四重極質
量分析計10のうちイオン源、四重極部および検出部を
納めたステンレス製の分析管41を取付けた真空チャン
バ18全体をベーキングパネル46で囲うことにより実
施した。これにより、ベーキングパネル46内の全部材
が均一にベークされる。
【0025】四重極質量分析計10の制御部14は、信
号ケーブル16を介して密封接続部17により真空フラ
ンジに接続されている。密封接続部17と真空フランジ
との接合部には冷却用アルミブロック44が設置され、
内部には冷却水が流れ、局所的に接合部が冷却される。
このとき四重極質量分析計10の分析管41の水冷して
いる接合フランジのみをパネル外に出るような構成にて
ベーキングを実施し、冷却している接合フランジ以外の
分析管41全体が高温になるようにして測定を行った。
なお、測定に用いた真空チャンバ18は、本測定前にベ
ーキングを施すことにより、充分に脱ガスを行い、真空
度として5×10-9Paの超高真空域を保持している。
この際の真空チャンバ18内に存在する残留ガスとして
は、水素が主成分となっている状態であった。
【0026】図5は、ベーキング時のヘリウム(He)
のイオン電流、真空度および真空チャンバ温度の経時変
化を示すグラフである。本発明の四重極質量分析計10
を取付けた真空チャンバ18に、一定量のHeガスを導
入し、真空チャンバ18を室温から200℃まで昇温さ
せた場合のイオン電流の経時変化を測定した。Heイオ
ンのマスナンバーはM/e=4である。またバックグラ
ンドの信号レベルとして、通常存在し得ないイオン種で
あるM/e=7の経時変化も測定している。さらにこの
ときの真空チャンバの真空度および温度も同時に計測し
ている。
【0027】測定開始時、真空チャンバ18の真空度
は、5×10-9Paであり、Heガスを真空チャンバ内
に導入し、3×10-5Paまで昇圧させる。この圧力を
一定に保つようHeガスを常時導入しながら、チャンバ
温度を室温から200℃まで昇温する。このとき四重極
質量分析計10の分析管41の温度も、真空チャンバ1
8と同一温度になる。真空チャンバ18が室温時にHe
ガスを導入した場合、Heのイオン電流値は、1.5×
10-8A前後であり、真空チャンバを200℃まで昇温
しても、その過程においてイオン電流値の大きな変化は
ない。
【0028】またバックグランドレベルとして計測して
いるM/e=7のイオン電流値も1.5×10-13Aで
ほぼ一定で大きな変化は見られなかった。したがって分
析管41の温度が上がったことによる、検出信号レベル
の劣化、あるいはグランドレベルの極端な上昇がないこ
とが判る。これにより、高温条件下における真空チャン
バ18内の残留ガス分析が感度の劣化なしに計測可能で
あることがわかった。
【0029】次に、本発明の四重極質量分析計10を用
いて、真空チャンバのベーキング工程における残留ガス
の経時変化を測定した。真空チャンバは、定期的なメン
テナンスのため大気開放した後の状態であり、真空排気
を開始して1時間経過後から測定を開始した。図6は、
ベーキング時の代表的な残留ガスのイオン電流の経時変
化を示すグラフである。曲線aはM/e=2で水素(H
2)、曲線bはM/e=16で炭化水素(CH4)、曲線
cはM/e=18で水(H2O)、曲線dはM/e=1
4で窒素(N2)あるいは一酸化炭素(CO)、曲線e
はM/e=32で酸素(O2)、曲線fはM/e=40
でアルゴン(Ar)の各ガス種の経時変化に相当する。
【0030】図中A点でベーキングを開始し、B点でベ
ーキングを終了した。ベーキング開始前、真空チャンバ
内に最も多く存在する残留ガス種はM/e=18(水
分)であり、ベーキング開始後、一旦増加し、ある時点
で極大値をとった後、徐々に減少している。ベーキング
終了後、急激に減少し、ベーキング後約10時間後には
1.5×10-11Aの値でほぼ一定となっている。ベー
キング後、真空チャンバの真空度は5×10-9Paの超
高真空に到達していることを確認しており、残留ガス種
としてはM/e=2(水素)が主成分となっている。こ
のようなM/e=18(水分)の変化の傾向は、他のガ
ス種についても同様であるが、大気開放後のベーキング
工程が、排気過程の初期段階で主成分として存在する水
分を除去することにより、高真空を得る工程であること
が、本測定により明らかとなった。
【0031】図7は、ベーキング前後におけるM/e=
18(水分)のイオン電流値および真空度の経時変化を
示すグラフである。図7(a)が真空度、図7(b)が
イオン電流の経時変化である。曲線A1およびA2がベ
ーキング時間24時間、曲線B1およびB2がベーキン
グ時間38時間、曲線C1およびC2がベーキング時間
48時間の場合を示している。水分の経時変化は、A
2,B2およびC2を見ると、いずれもベーキングの開
始直後に極大値となり緩やかに減少する。ベーキング終
了後は急激に減少し、一定時間経過するとそれぞれある
イオン電流値に漸近している。この傾向は、図6の測定
結果と同様であるが、ベーキング時間の違いにより、ベ
ーキング終了後の到達真空度が異なる場合が見受けられ
る。すなわちベーキング時間が24時間(曲線A1およ
びA2)の場合、ベーキング中に水分レベルが極大値か
ら3.5×10-9A程度まで減少し、ベーキングを終了
後到達真空度としては2×10-8Paが得られた。
【0032】一方、ベーキング時間が38時間(曲線B
1およびB2)の場合、水分レベルが極大値から1.3
×10-9Aまで減少し、ベーキング後の到達真空度は4
×10-9Paとなった。また、ベーキング時間が48時
間(曲線C1およびC2)の場合、水分レベルが極大値
から1.2×10-9Aまで減少し、ベーキング後の到達
真空度は4.5×10-9Paとなった。曲線B1および
C1は、ベーキング時間は異なるが、ベーキング終了時
点の水分レベルに大差はなく、到達真空度もほぼ同じで
あることから、ベーキング中に一定レベルまで水分レベ
ルが下がれば、ベーキング終了後、同程度の超高真空域
の到達真空度が得られることがわかった。したがってベ
ーキング中の水分レベルを逐次モニタリングすることに
より、一定レベル以下に水分レベルが低下した時点でベ
ーキングの終了を判断することができるのでベーキング
時間の短縮が可能となる。逆にA1およびA2の結果か
ら、ベーキング終了直前の水分レベルが一定レベルより
高い時点でベーキングを終了させると目標の到達真空度
に達しない。
【0033】以上の結果より、ベーキング中の真空チャ
ンバ内の残留水分のレベルを四重極質量分析計で測定す
ることにより、ベーキングを充分行えたかどうかを判断
することが可能で、ベーキング時間の短縮化を図ること
ができる。
【0034】図8は、真空チャンバのベーキング中にお
ける代表的な残留ガス成分のイオン電流および真空度の
経時変化を示すグラフである。図中のA点においてM/
e=14,32および40のイオン電流値が急激に上昇
しており、これはこの時点で何らかの原因により真空チ
ャンバのいずれかの箇所において微少リークが生じ、真
空チャンバ内に大気が流入したことを示している。
【0035】このときの真空度の変化を見ると、極端に
は変化していないため、真空度の変化からリークが生じ
たかどうかを判断することは困難である。したがって従
来では、ベーキング終了後でしか確認できなかったベー
キング中の微少リークが、本発明の四重極質量分析計を
用いることにより、ベーキング中に確認できる。これに
よって、発生した時点でリークトラブルに対処すること
が可能となり、ベーキングを中止して業務の効率化を図
ることができる。また従来では不可能であったベーキン
グ中のリークチェックも本発明の四重極質量分析計を用
いることで随時可能となる。
【0036】また、本発明の四重極質量分析計をMBE
装置の成長室に取付けた場合のリン処理工程について測
定した。図9は、ベーキング時における成長室内に存在
する白リンのイオン電流の経時変化を示すグラフであ
る。分析ガス種は、M/e=124を持つP4(白リ
ン)である。白リンは、大気に接触すると発火のおそれ
があるため、成長室である真空チャンバを大気開放する
際には、真空チャンバを予めベーキングして200℃程
度に加熱することにより白リンを分解する必要がある。
なお、ベーキング開始直後は、白リンの放出および分解
が多量に起こり、真空度が極端に悪化し、四重極質量分
析計の測定圧力範囲外となるため、真空度が測定範囲内
まで低下した時点で測定を開始した。
【0037】グラフからわかるように、測定開始直後の
4のイオン電流値は、10-6A以上の高い値を示して
おり、時間が経過するとともに、1×10-8A程度の値
に漸近し、緩やかに変化することがわかった。従来は、
ベーキング中の真空チャンバ内の残留ガス分析が不可能
であったため、真空計(全圧計)により真空度をモニタ
リングしながら、ある程度真空度が高くなった時点でP
4の分解が完了したと判断しており、概して経験による
ところが多かった。また危険が伴うため、ベーキングに
は充分時間をかけていた。たとえば、ベーキング開始か
ら100時間後にリン処理が完了したものと判断し、成
長室である真空チャンバを大気開放していた。しかしな
がら、図9の測定結果からベーキング開始から80時間
後には、100時間後のP4の電流値レベルとほぼ同程
度まで低減されており、この段階で真空チャンバを大気
開放することが可能であると判断できる。この場合、少
なくとも20時間程度の工程短縮が可能となることが判
る。また、これまで真空度のみで判断していたP4の分
解完了段階をP4のイオン電流値で定量的に判断するこ
とが可能となり、工程管理にも有用である。以上の結果
より、リン処理工程の定量化と処理時間の短縮化が可能
となった。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高温条件
下においても感度が劣化することなく測定することがで
きる。また、これによってベーキング工程など高温処理
を伴う工程の短縮が可能である。
【0039】また本発明によれば、配管に冷却媒体を流
すことで密封接続部を冷却することができる。
【0040】また本発明によれば、密封接続部を局所的
に冷却することができる。また本発明によれば、ファン
を用いて密封接続部を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である四重極質量分析計
10の構成を示す図である。
【図2】本発明の四重極質量分析計10を含むアルゴン
ガス感度測定機器の構成を示す図である。
【図3】アルゴンガスを導入した際のイオン電流の測定
結果を示すグラフである。
【図4】本発明の四重極質量分析計10を取付けた真空
チャンバのベーキング状態を示す図である。
【図5】ベーキング時にヘリウムガスを導入した際のイ
オン電流、真空度および真空チャンバ温度の経時変化を
示すグラフである。
【図6】ベーキング時の代表的な残留ガスのイオン電流
の経時変化を示すグラフである。
【図7】ベーキング前後における水のイオン電流値およ
び真空度の経時変化を示すグラフである。
【図8】真空チャンバのベーキング中における残留ガス
成分のイオン電流および真空度の経時変化を示すグラフ
である。
【図9】ベーキング時における成長室内に存在する白リ
ンのイオン電流の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 四重極質量分析計 11 イオン源部 12 四重極部 13 検出部 14 制御部 15 冷却ブロック 16 信号ケーブル 17 密封接続部 18 真空チャンバ 24 ステンレス管 25 真空排気ポート 26 真空計取付部 27 アルゴンガス導入ポート 41 分析管 44 冷却用アルミブロック 46 ベーキングパネル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空チャンバーの取付口に挿入され、イ
    オンを検出する分析管と、 前記分析管を制御する制御部が接続され、取付口を密閉
    する密封接続部と、 前記密封接続部の温度を調整する調温部とを有すること
    を特徴とする四重極質量分析計。
  2. 【請求項2】 前記調温部は、流体を流す配管を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の四重極質量分析計。
  3. 【請求項3】 前記調温部は、前記密封接続部の外周部
    に流体を流す配管を配設することを特徴とする請求項1
    記載の四重極質量分析計。
  4. 【請求項4】 前記調温部は、ファンを用いて前記密封
    接続部を冷却することを特徴とする請求項1記載の四重
    極質量分析計。
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