JP2002269939A - ディスク装置 - Google Patents

ディスク装置

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JP2002269939A
JP2002269939A JP2001074658A JP2001074658A JP2002269939A JP 2002269939 A JP2002269939 A JP 2002269939A JP 2001074658 A JP2001074658 A JP 2001074658A JP 2001074658 A JP2001074658 A JP 2001074658A JP 2002269939 A JP2002269939 A JP 2002269939A
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signal
head
actuator
speed
voltage
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JP2001074658A
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English (en)
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Toshio Inaji
稲治  利夫
Hiroshi Takaso
高祖  洋
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 データ記録再生時に大きな振動や衝撃が加わ
っても、磁気ヘッドの安定な位置決め制御が可能な信頼
性の高いディスク装置を提供する。 【解決手段】 ディスク1に対する磁気ヘッド2の位置
決めを行うアクチュエータ7と、アクチュエータの駆動
手段10と、アクチュエータ駆動で発生する電圧信号V
aを出力する電圧検出手段11と、駆動信号uと電圧信
号Vaからヘッド2の移動速度とヘッド2に加わる外乱
負荷の大きさを推定し速度推定信号ves tと負荷推定信
号τdestを出力する速度負荷推定手段12と、ヘッド
2の現在位置に対応した位置誤差信号eを生成する位置
検出手段13と、位置誤差信号eと速度推定信号vest
より位置制御信号cを生成する位置制御手段14とを備
え、負荷推定信号τdestと位置制御信号cより駆動信
号uを出力することにより、データ記録再生時に外部か
らの大きな振動や衝撃に対してヘッド2のトラックずれ
を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッドなどの
記録再生ヘッドをアクチュエータにより記録媒体である
ディスクの目標トラックの所望の位置へ高精度に位置決
めを行うディスク装置に関し、さらにディスク装置に外
部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータの受ける
慣性力などの外乱によるヘッドのトラックずれを抑制す
ることができるディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気ディスク装置は、小型化、大
容量化が急速に進んでいる。特に磁気ディスク装置の大
容量化については、磁気ディスクのトラック密度の高密
度化が進み、トラックピッチはさらに狭くなる傾向にあ
る。そのため、磁気ディスクにデータを記録再生するた
め、狭いトラックピッチで形成された目標トラックに磁
気ヘッドを高い精度で位置決めすることが必要になって
きている。
【0003】従来の磁気ディスク装置においては、磁気
ヘッドを位置決めするために磁気ディスクにサーボ情報
を予め形成しておき、このサーボ情報に従って磁気ヘッ
ドの位置決め制御が行われている。すなわち、サーボ情
報を磁気ヘッドで読み取ることにより、目標トラックに
対する磁気ヘッドの位置誤差を示す誤差信号を生成し、
この誤差信号の大きさが最小となるように磁気ヘッドは
位置決め制御されている。
【0004】したがって、磁気ヘッドの位置決め精度を
高めるためには、磁気ヘッドの位置決め制御系の制御周
波数を高く設定して、磁気ヘッドを目標トラックに迅速
に位置決めし、必要な位置決め精度を確保していた。
【0005】しかし、位置決め機構のアクチュエータ自
体には高次の固有機械共振が存在する場合があり、位置
決め精度を高めるため制御周波数を高くすると、その固
有機械共振により位置決め制御系が不安定になってしま
うという問題がある。したがって、実際にはアクチュエ
ータ自体の固有機械共振により、制御周波数の帯域は制
限されるため、位置決め制御系の制御周波数を高めるこ
とには限界があった。そこで、磁気ヘッドの位置決め精
度を高めるためには、位置決め精度を悪化させる要因で
あるアクチュエータに作用する外乱を低減することが行
われている。
【0006】近年のトラック密度の高密度化とアクチュ
エータの小型軽量化により、アクチュエータに作用する
外力が位置決め制御系に与える影響は大きい。しかも、
磁気ディスク装置の小型化と高記録密度化に伴って、磁
気ヘッドの高精度位置決めの要求は厳しくなる一方で、
これら磁気ディスク装置では、フィードフォワード制御
により外力を補償することが行われている。
【0007】例えば、磁気ディスクに記録されたサーボ
情報からヘッド位置信号を得て、このヘッド位置信号と
アクチュエータの駆動信号を入力とする外力推定手段に
より外力を補償する方法が提案されている(例えば、特
開平9−231701号公報参照)。
【0008】また、近年、磁気ディスク装置は、携帯型
のコンピュータなどに搭載されることが多く、このよう
な携帯型のものは外部からの振動や衝撃を受けやすい。
このような振動や衝撃に対して、磁気ディスク装置は高
精度な位置決め状態を保持して目標トラックに追従させ
ることは極めて困難である。
【0009】このような外部から加わる振動や衝撃に対
して位置決め精度を確保する方法としては、磁気ヘッド
の搭載された回転型アクチュエータ回転軸と磁気ヘッド
を結ぶ面上2つの加速度センサを設け、検出された信号
をフィードフォワードすることで、磁気ヘッドの位置決
め精度が振動や衝撃に対して低下するのを補償する方法
がある(例えば、特開平4−123374号公報参
照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術においては、外力推定手段は、ヘッド位置信号
とアクチュエータの駆動信号とを入力とする。ディスク
に記録されたサーボ情報は、一定のサンプリング周期を
もつ離散的な状態でディスクに記録されているため、ヘ
ッド位置信号は連続信号ではない。したがって、外力推
定手段の外力を推定できる制御帯域は、ディスク装置の
セクタサーボのサンプリング周波数の影響を受け、セク
タサーボのサンプリング周波数によって上限が存在する
ことになる。その結果、アクチュエータ手段に加わる外
力を正確に推定することができず、アクチュエータ手段
に加わる軸受摩擦などの外乱を良好に打ち消すことがで
きないといった問題があった。その結果、ヘッドを目標
トラックに対して正確に追従させることができなかっ
た。
【0011】さらには、振動や衝撃で磁気ヘッドがディ
スクより離脱したときには、もはやディスクに記録され
たサーボ情報を正確に検出できず、ヘッドをディスク外
周または内周へ移動させるような誤動作を発生させると
いった問題があった。
【0012】また、上記の従来技術のように、磁気ディ
スク装置の外部から加わる振動や衝撃に対して位置決め
精度を確保するために、これらの振動や衝撃の大きさを
検出する加速度センサを筐体内に設けることは、装置の
小型化および低価格化を阻害する。
【0013】本発明は、上記問題点に鑑み、アクチュエ
ータの軸受摩擦やアクチュエータと回路基板とを接続す
るフレキシブルプリント回路(FPC)の弾性力やディ
スク装置に外部から振動や衝撃が加わりアクチュエータ
に作用する慣性力などの外乱を補償することにより、ヘ
ッドを狭いトラックピッチで形成された目標トラックに
高い精度で位置決め制御し、ディスクにデータを記録、
再生することが可能なディスク装置を提供することを第
1の目的とする。
【0014】また、本発明は、ディスク装置の筐体内に
従来のような複数の加速度センサを特別に設けることな
く、小型化および低価格化を実現することが可能なディ
スク装置を提供することを第2の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクチュエー
タに加わる軸受摩擦や弾性力、振動や衝撃により受ける
慣性力などによる外乱を打ち消すために、その外乱の大
きさを推定する。この外乱の大きさの推定に際して、2
つの要素を用いる。1つは、アクチュエータ手段の駆動
において発生する電圧を検出し、その検出結果としての
電圧信号を用いる。もう1つは、アクチュエータ手段の
駆動手段における駆動信号である。ここで、駆動手段に
おける駆動信号としては、駆動手段に入力するものであ
ってもよいし、あるいは、駆動手段から出力するもので
あってもよい。また、駆動手段における駆動信号に代え
て、その駆動信号を生成するもとになる位置制御信号を
用いてもよい。すなわち、ヘッド移動速度と外乱負荷の
大きさを推定するための速度負荷推定手段を設け、この
速度負荷推定手段をもって、電圧検出手段が検出した電
圧信号と駆動手段における駆動信号または位置制御信号
とを入力として、速度推定信号と負荷推定信号とを生成
させる。2つの要素に基づいて生成した負荷推定信号
は、ヘッドに実際に加わる外乱負荷の大きさを正確に推
定したものとなる。この結果、アクチュエータ手段の軸
受摩擦やアクチュエータ手段と電子回路基板とを接続す
るFPC(フレキシブルプリント回路)の弾性力やディ
スク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエ
ータ手段の受ける慣性力などの外乱負荷を正確に推定す
ることができる。その推定にかかわる外乱負荷が負荷推
定信号となる。なお、外乱負荷の大きさの推定の過程で
ヘッド移動速度の推定を並行して行うので、ヘッド移動
速度についても正確な推定となる。ヘッド移動速度の推
定に直接に関連付けて外乱負荷の大きさの推定を行う点
が重要である。
【0016】以上のようにして正確に推定した負荷推定
信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱負荷を打
ち消すように、その負荷推定信号を位置制御手段が出力
する位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その
駆動信号を用いてヘッドのアクチュエータ手段を駆動す
ることにより、アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や
弾性力や慣性力などの外乱を良好に打ち消すことができ
る。すなわち、アクチュエータ手段に作用する軸受摩擦
や弾性力や慣性力などの外乱負荷に対する補償を行うこ
とができるので、目標トラックへのフォローイング動作
時にアクチュエータ手段に作用する外乱負荷の変動が大
きくても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安
定に行うことができる。
【0017】さらには、ディスクのデータの記録再生時
において、位置制御手段は、位置検出手段の生成する誤
差信号と速度負荷推定手段の生成する速度推定信号より
位置制御信号を生成することにより、ディスク装置に加
わる振動や衝撃が大きくてもヘッドが目標トラックから
大きくずれることを避けることができる。
【0018】また、位置制御信号を生成するのに、ヘッ
ドで検出した誤差信号だけを用いるのではなく、アクチ
ュエータ手段の駆動において発生する電圧信号と駆動手
段における駆動信号または位置制御手段における位置制
御信号とを入力として、速度負荷推定手段で得られた速
度推定信号を併用する。したがって、振動や衝撃でヘッ
ドがディスクより離脱し、瞬間的にサーボ情報を正確に
検出できなくても、ヘッドをディスク外周または内周へ
移動させるような誤動作を防ぐことができる。
【0019】以上のように、本発明によれば、位置決め
精度を向上させることができる。また、その副次的効果
として、実質的に、トラック密度の向上を可能となし、
大容量のディスク装置の実現化を促すことができる。
【0020】また、本発明によれば、外部から振動や衝
撃を受けやすい携帯型のコンピュータなどに搭載されて
も、振動や衝撃に対して信頼性の高いディスク装置を実
現することができ、なおかつ、加速度センサを特別に設
ける必要がないので、小型化および低価格化を実現する
ことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を総括
的に説明する。
【0022】本願第1の発明のディスク装置は、ディス
クに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段
と、駆動信号が入力されて前記アクチュエータ手段に駆
動電流を供給する駆動手段と、前記アクチュエータ手段
の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出力す
る電圧検出手段と、前記駆動信号と前記電圧信号からヘ
ッド移動速度と前記ヘッドに加わる外乱負荷の大きさを
推定し速度推定信号と負荷推定信号とを出力する速度負
荷推定手段と、前記ディスクに予め記録され前記ヘッド
により検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置
に対応した誤差信号を生成し出力する位置検出手段と、
前記誤差信号と前記速度推定信号とが入力され位置制御
信号を生成する位置制御手段とを具備し、前記駆動信号
は前記位置制御信号と前記負荷推定信号を合成して得ら
れ、前記ディスク上へのデータの記録再生時には前記誤
差信号と前記速度推定信号より位置制御信号を生成する
ように構成されている。なお、この構成において、駆動
手段における駆動信号としては、駆動手段に入力するも
のであってもよいし、あるいは、駆動手段から出力する
ものであってもよく、この点は以下でも同様である。
【0023】この第1の発明による作用は次のとおりで
ある。速度負荷推定手段は、アクチュエータ手段を駆動
するための駆動手段に与える駆動信号とアクチュエータ
手段から検出した電圧信号とに基づいて、アクチュエー
タ手段の軸受摩擦やアクチュエータ手段と電子回路基板
とを接続するFPCの弾性力やディスク装置に外部から
加わる振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣
性力などの外乱の大きさを正確に推定することができ
る。その推定にかかわる外乱負荷が負荷推定信号であ
る。ここで、特に、目標トラックにヘッドを追従させる
フォローイング動作時において駆動信号と電圧信号とか
らアクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣性
力などの外乱負荷の大きさを正確に推定できることが重
要である。
【0024】以上のようにして正確に推定した負荷推定
信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱負荷を打
ち消すように、その負荷推定信号を位置制御手段が生成
する位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その
駆動信号をもってヘッドのアクチュエータ手段を駆動す
れば、アクチュエータ手段に加わる外乱負荷を良好に打
ち消すことができる。すなわち、アクチュエータ手段に
作用する軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外力に対する
補償を行うことができるので、目標トラックへのフォロ
ーイング動作時に外乱負荷の変動が大きくても、ヘッド
の目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことがで
き、位置決め精度を向上させることができる。
【0025】さらに、本発明のディスク装置では、ディ
スク上へのデータ記録再生時において、位置制御手段
は、位置検出手段の生成する誤差信号と速度負荷推定手
段の生成する速度推定信号より位置制御信号を生成する
ことにより、ディスク装置に加わる振動や衝撃が大きく
てもヘッドが目標トラックから大きくずれることを避け
ることができる。特にヘッドによるディスクへの記録時
には、ヘッドが目標トラックから大きくずれ、隣接する
トラックのデータを壊してしまうことを避けることがで
きる。
【0026】また、位置制御信号を生成するのに、ヘッ
ドで検出した誤差信号だけを用いるのではなく、アクチ
ュエータ手段の駆動において発生する電圧信号と駆動手
段における駆動信号とを入力として、速度負荷推定手段
で得られた速度推定信号を併用する。したがって、振動
や衝撃でヘッドがディスクより離脱し、瞬間的にサーボ
情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディスク外周
または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことができ
る。
【0027】本願第2の発明のディスク装置は、ディス
クに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段
と、位置制御信号が入力されて前記アクチュエータ手段
に駆動電流を供給する駆動手段と、前記アクチュエータ
手段の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出
力する電圧検出手段と、前記駆動信号と前記電圧信号か
らヘッド移動速度と前記ヘッドに加わる外乱負荷の大き
さを推定し速度推定信号と負荷推定信号とを出力する速
度負荷推定手段と、前記ディスクに予め記録され前記ヘ
ッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在
位置に対応した誤差信号を生成し出力する位置検出手段
と、前記誤差信号と前記速度推定信号とが入力され前記
位置制御信号を生成する位置制御手段とを具備し、前記
駆動信号は前記位置制御信号に基づいて得られるように
構成されている。
【0028】この第2の発明による作用は次のとおりで
ある。上記の第1の発明と同様に、速度負荷推定手段
は、アクチュエータ手段を駆動するための駆動手段に与
える駆動信号とアクチュエータ手段から検出した電圧信
号とに基づいて、ヘッド移動速度とアクチュエータ手段
の受ける外乱負荷とを正確に推定することができる。ま
た、ディスク上へのデータ記録再生時において、位置制
御手段は、位置検出手段の生成する誤差信号と速度負荷
推定手段の生成する速度推定信号より位置制御信号を生
成することにより、ディスク装置に加わる振動や衝撃が
大きくてもヘッドが目標トラックから大きくずれること
を避けることができる。特にヘッドによるディスクへの
記録時には、ヘッドが目標トラックから大きくずれ、隣
接するトラックのデータを壊してしまうことを避けるこ
とができる。
【0029】また、位置制御信号を生成するのに、ヘッ
ドで検出した誤差信号だけを用いるのではなく、アクチ
ュエータ手段の駆動において発生する電圧信号と駆動手
段における駆動信号とを入力として、速度負荷推定手段
で得られた速度推定信号を併用する。したがって、振動
や衝撃でヘッドがディスクより離脱し、瞬間的にサーボ
情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディスク外周
または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことができ
る。
【0030】さらに、本願第2の発明のディスク装置
は、前記駆動信号として前記位置制御信号のみを使用し
前記負荷推定信号を合成しないように構成され、上記第
1の発明とは構成が異なる。前記駆動信号として前記位
置制御信号のみを使用するので、前記位置制御信号と前
記負荷推定信号とを合成する補正手段を省略することが
できる。その結果として、構成の簡素化をもたらすこと
ができる。
【0031】本願第3の発明のディスク装置は、上記の
第1または第2の発明において、前記速度負荷推定手段
は、前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される
比較手段と、前記駆動信号に第1の係数を乗算する第1
の乗算手段と、前記比較手段の出力に第2の係数を乗算
する第2の乗算手段と、前記比較手段の出力を積分する
第1の積分手段と、前記第1の乗算手段の出力から前記
第2の乗算手段の出力と前記第1の積分手段の出力との
加算値を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備
し、前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段
の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前
記第1の積分手段へ出力するように構成されている。
【0032】この第3の発明による作用は次のとおりで
ある。駆動信号を入力する第1の乗算手段の出力は、ア
クチュエータ手段に作用する駆動トルクに対応した駆動
トルク推定信号となる。第2の積分手段の出力は、電圧
検出手段から入力される電圧信号に対するフィードバッ
ク要素となる。電圧信号と第2の積分手段からのフィー
ドバック要素との差分をとる比較手段の出力は、第1の
積分手段と第2の乗算手段に与えられる。前記の差分を
積分する第1の積分手段の出力は、アクチュエータ手段
が軸受から受ける摩擦やフレキシブルプリント基板から
受ける弾性力や振動や衝撃によりアクチュエータ手段の
受ける慣性力などの外乱負荷に対応した負荷推定信号と
なる。その負荷推定信号に対して前記の差分に所定の係
数を乗算した第2の乗算手段の出力を加算する。そし
て、前記駆動トルク推定信号から前記の加算値との差分
をとって第2の積分手段に与える。第2の積分手段の演
算途中の値を速度推定信号とすることができる。
【0033】以上の結果として、第1の積分手段が出力
する負荷推定信号は、アクチュエータ手段が軸受やFP
Cから受ける弾性力や振動や衝撃によりアクチュエータ
手段の受ける慣性力などの外乱を正確に推定したものに
相当している。そして、このように正確に推定した負荷
推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱負荷
を打ち消すようフィードフォワード補償を行うので、フ
ォローイング動作においてアクチュエータ手段に作用す
る外乱負荷に対する補償を行うことができ、フォローイ
ング動作時にアクチュエータ手段での外乱負荷の変動が
大きくても、目標トラックに対するヘッドの位置決め制
御を安定に行い、位置決め精度を向上させることができ
る。
【0034】本願第4の発明のディスク装置は、ディス
クに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段
と、駆動信号が入力されて前記アクチュエータ手段に駆
動電流を供給する駆動手段と、前記アクチュエータ手段
の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出力す
る電圧検出手段と、前記ディスクに予め記録され前記ヘ
ッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在
位置に対応した誤差信号を生成し出力する位置検出手段
と、前記誤差信号と前記速度推定信号とが入力され位置
制御信号を生成する位置制御手段と、前記電圧信号と前
記位置制御信号からヘッド移動速度と前記ヘッドに加わ
る外乱負荷の大きさを推定し速度推定信号と負荷推定信
号とを出力する速度負荷推定手段とを具備し、前記駆動
信号は前記位置制御信号と前記負荷推定信号を合成して
得られるように構成されている。
【0035】この第4の発明による作用は次のとおりで
ある。速度負荷推定手段は、アクチュエータ手段を駆動
するため駆動手段に与えるように位置制御手段から出力
された位置制御信号とアクチュエータ手段から検出した
電圧信号とに基づいて、アクチュエータ手段の軸受摩擦
やアクチュエータ手段と電子回路基板とを接続するFP
Cの弾性力や外部からの振動や衝撃によりアクチュエー
タ手段の受ける慣性力などの外乱の大きさを正確に推定
することができる。その推定にかかわる外乱負荷が負荷
推定信号である。ここで、特に、目標トラックにヘッド
を追従させるフォローイング動作時において位置制御信
号と電圧信号とからアクチュエータ手段に加わる軸受摩
擦や弾性力や慣性力などの外乱負荷の大きさを正確に推
定できることが重要である。
【0036】以上のようにして正確に推定した負荷推定
信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消
すように、その負荷推定信号を位置制御手段が出力する
位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その駆動
信号をもってヘッドのアクチュエータ手段を駆動すれ
ば、アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣
性力などの外乱を良好に打ち消すことができるので、目
標トラックへのフォローイング動作時に外乱の変動が大
きくても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安
定に行うことができ、位置決め精度を向上させることが
できる。また、ディスク上へのデータ記録再生時におい
て、位置制御手段は位置検出手段の生成する誤差信号と
速度負荷推定手段の生成する速度推定信号より位置制御
信号を生成することにより、ディスク装置に加わる振動
や衝撃が大きくてもヘッドが目標トラックから大きくず
れることを避けることができる。特にヘッドによるディ
スクへの記録時には、ヘッドが目標トラックから大きく
ずれ、隣接するトラックのデータを壊してしまうことを
避けることができる。
【0037】また、位置制御信号を生成するのに、ヘッ
ドで検出した誤差信号だけを用いるのではなく、アクチ
ュエータ手段の駆動において発生する電圧信号と位置制
御手段における位置制御信号とを入力として、速度負荷
推定手段で得られた速度推定信号を併用する。したがっ
て、振動や衝撃でヘッドがディスクより離脱し、瞬間的
にサーボ情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディ
スク外周または内周へ移動させるような誤動作を防ぐこ
とができる。
【0038】本願第5の発明のディスク装置は、上記の
第4の発明において、前記速度負荷推定手段は、前記電
圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段
と、前記位置制御信号に第1の係数を乗算する第1の乗
算手段と、前記比較手段の出力に第2の係数を乗算する
第2の乗算手段と、前記比較手段の出力を積分する第1
の積分手段と、前記第1の乗算手段の出力から前記第2
の乗算手段の出力を減算した値を積分する第2の積分手
段とを具備し、前記比較手段が前記電圧信号と前記第2
の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗
算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成され
ている。
【0039】この第5の発明による作用は次のとおりで
ある。位置制御手段からの位置制御信号を入力する第1
の乗算手段の出力は、アクチュエータ手段に作用する駆
動トルクに対応した駆動トルク推定信号となる。第2の
積分手段の出力は、電圧検出手段から入力される電圧信
号に対するフィードバック要素となる。電圧信号と第2
の積分手段からのフィードバック要素との差分をとる比
較手段の出力は、第1の積分手段と第2の乗算手段に与
えられる。前記の差分を積分する第1の積分手段の出力
は、アクチュエータ手段が軸受から受ける摩擦やFPC
から受ける弾性力や振動や衝撃によりアクチュエータ手
段の受ける慣性力などの外乱に対応した負荷推定信号と
なる。前記駆動トルク推定信号から前記の差分に所定の
係数を乗算した第2の乗算手段の出力との差分をとって
第2の積分手段に与える。第2の積分手段の演算途中の
値を速度推定信号とすることができる。
【0040】以上の結果として、第1の積分手段が出力
する負荷推定信号は、アクチュエータ手段が軸受やFP
Cから受ける外乱と振動や衝撃によりアクチュエータ手
段の受ける慣性力を正確に推定したものに相当してい
る。そして、このように正確に推定した負荷推定信号を
もってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すよう
にフィードフォワード補償を行うので、フォローイング
動作においてアクチュエータ手段に作用する外乱に対す
る補償を行うことができ、フォローイング動作時にアク
チュエータ手段での外乱の変動が大きくても、目標トラ
ックに対するヘッドの位置決め制御を安定に行い、位置
決め精度を向上させることができる。さらに、上記の第
3の発明で必要とした第1の積分手段と第2の乗算手段
との加算を行う必要がなく、その加算のための手段を省
略することが可能で、構成の簡素化をもたらすことがで
きる。
【0041】本願第6の発明のディスク装置は、上記の
第1〜第5の発明において、前記速度負荷推定手段の制
御帯域が、前記位置制御手段の制御帯域よりも大きく設
定されている。
【0042】この第6の発明による作用は次のとおりで
ある。位置決め制御系の制御帯域を広げることは比例の
ゲインを大きくすることであるが、ディスク装置のセク
タサーボのサンプリング周波数やアクチュエータ手段が
もつ固有機械共振周波数によって上限が存在することに
なる。これに対して、速度負荷推定手段ではディスク装
置のセクタサーボのサンプリング周波数の影響を受けな
い。したがって、速度負荷推定手段においては、その制
御帯域を位置決め制御系の制御帯域よりも高く設定する
ことができる。その結果として、より高い制御帯域にわ
たって、ヘッドを目標トラックに対して正確に追従させ
ることができる。
【0043】なお、本発明は、磁気ディスク装置に適用
する場合に最も有利に作用するが、必ずしも磁気ディス
ク装置にのみ限定されるものではない。
【0044】(具体的な実施の形態)以下、本発明にか
かわるディスク装置の具体的な実施の形態を図面に基づ
いて詳細に説明する。なお、同様の機能を有するものに
は同一の符号を付けて説明する。
【0045】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図で
ある。図1において、符号の1は磁気ディスクで、スピ
ンドルモータ(図示せず)により回転される。2は磁気
ディスク1に対してデータを記録再生する磁気ヘッド、
3はアームで、一端に搭載された磁気ヘッド2を軸受4
の周りに回動させることにより、磁気ヘッド2を磁気デ
ィスク1における目標トラックへ移動させる。5はアー
ム3の後端に設けられた駆動コイル、6は固定子で、駆
動コイル5に対向する面にはマグネット(図示せず)が
配置されている。固定子6に配置されたマグネットが発
生する磁束と駆動コイル5に通電される電流が作る磁界
との相互作用によりアーム3は回転力を受ける。磁気ヘ
ッド2、アーム3、軸受4、駆動コイル5、固定子6に
よりアクチュエータ7を構成している。10は駆動器、
11は駆動器10に含まれる電圧検出器で、駆動コイル
5の両端に発生する電圧を検出し、電圧信号Vaを出力
する。12は速度負荷推定器で、電圧検出器11の出力
する電圧信号Vaと駆動器10の入力である駆動信号u
とからアーム3に作用する外乱トルクを推定し、負荷推
定信号τdestを出力する。磁気ヘッド2で読み出され
た信号は、位置検出器13に入力される。磁気ディスク
1の各セクタには予めサーボ情報としてトラックの位置
信号が記録されており、この位置信号は磁気ヘッド2に
より読み込まれる。位置検出器13は、磁気ヘッド2に
より読み込まれた位置信号により磁気ヘッド2の現在位
置を検出し、目標トラックの目標位置rとの差を示す位
置誤差信号eを生成する。位置制御器14は、位置検出
器13で生成された位置誤差信号eと速度負荷推定器1
2で生成された速度推定信号vestとが入力されて、増
幅および位相補償が行われ、位置制御信号cを生成す
る。15は補正器で、位置制御器14の位置制御信号c
と速度負荷推定器12の負荷推定信号τdestとが入力
され、補正器15で補正演算を施した後、駆動信号uを
駆動器10へ入力する。駆動器10は、入力された駆動
信号uに応じて駆動コイル5に駆動電流Iaを通電し、
アーム3を軸受4を中心に回動させ、アーム3の先端に
取り付けられた磁気ヘッド2を回転移動させ、磁気ディ
スク1にデータを記録再生するために磁気ヘッド2を狭
いトラックピッチで形成された目標トラックに高い精度
で位置決めさせるように構成されている。
【0046】ここで、特許請求の範囲の記載との対照を
行うと、駆動器10が駆動手段に相当し、電圧検出器1
1が電圧検出手段に相当し、速度負荷推定器12が速度
負荷推定手段に相当し、位置検出器13が位置検出手段
に相当し、位置制御器14が位置制御手段に相当してい
る。
【0047】次に、実施の形態1のディスク装置の位置
決め制御系の動作について図2を用いて説明する。図2
は、実施の形態1のディスク装置における位置決め制御
系の全体構成を示すブロック線図である。
【0048】図中の一点鎖線で囲んだ部分30が速度負
荷推定器12のブロックで、図中の一点鎖線で囲んだ部
分21が位置制御器14のブロックである。同じく一点
鎖線で囲んだ部分47が補正器15のブロックである。
なお、図2において、sはラプラス演算子を表すもので
ある。また、図2において、セクタサーボのサンプリン
グによるホールド要素については、説明を簡単にするた
め、これを省略してある。
【0049】図2において、磁気ヘッド2の検出した現
在トラック位置をxとすれば、目標トラック位置rに対
する位置誤差eは、(数1)で表され、この位置誤差信
号eは比較器20で得られる。
【0050】
【数1】 図2において、一点鎖線で囲んで示したブロック21
は、位置制御器14のブロック線図で、位置誤差信号e
と速度負荷推定器12の速度推定信号vestとが入力さ
れている。この位置制御器14を示すブロック21に含
まれるブロック54は、比較器20から出力される位置
誤差信号eに伝達関数Gx(z)のディジタルフィルタ
処理を施し、結果を減算器56へ出力する。ブロック5
5は、ブロック30から出力される速度推定信号vest
をKd倍し、結果を減算器56へ出力する。減算器56
は、ブロック54の出力からブロック55の出力を減算
して位置制御信号cを生成する。ブロック54では、通
常のPID位置決め制御が施され、伝達関数Gx(z)
は、例えば(数2)で表現できる。
【0051】
【数2】 ここで、z-1は1サンプル遅延を示し、Kxは位置決め
制御系の比例ゲインを示す。係数ad、aiは周波数特性
を表す定数を示し、係数adは微分係数、係数aiは積分
係数である。
【0052】すなわち、位置制御器14の生成する位置
制御信号cは、(数3)で表現できる。
【0053】
【数3】 ここで、便宜上、離散値と連続値の混在した関係式で示
した。
【0054】ブロック21で生成された位置制御信号c
は加算器46を経由して駆動信号uとなる。駆動信号u
は、ブロック22(伝達関数はgm)の駆動器10にお
いて、電圧信号からgm倍の電流信号に変換され、駆動
電流Iaを出力する。ブロック23で表されるアクチュ
エータ7において、駆動コイル5に通電される駆動電流
Iaは、それが作る磁界と前述した固定子6のマグネッ
トの磁束との相互作用により伝達関数Ktで駆動トルク
τに変換される。ここで、伝達関数Ktはアクチュエー
タ7のトルク定数である。ブロック24の伝達関数(L
b/J・s)は、アーム3に作用する駆動トルクτから
磁気ヘッド2の移動速度vへの伝達特性を表わす。ここ
で、Jはアーム3の慣性モーメントを示し、Lbはアー
ム3の軸受4から磁気ヘッド2までの距離を示してい
る。ブロック29は積分器で、伝達関数は1/sで表さ
れ、磁気ヘッド2の移動速度vが現在トラック位置xに
変換される。
【0055】ブロック26とブロック27で表される電
圧検出器11において、ブロック26はアクチュエータ
7が回動することにより駆動コイル5の両端に発生する
誘起電圧Eaを出力し、ブロック27は駆動コイル5に
駆動電流Iaが通電されることにより発生する電圧降下
分(Ra+La・s)・Iaを出力し、加算器28でそ
れぞれを加算することによりアクチュエータ7の端子電
圧を電圧信号Vaとして出力する。すなわち、
【0056】
【数4】 の関係がある。ここで、Raは、駆動コイル5のコイル
抵抗、Laは駆動コイル5のインダクタンスを示す。
【0057】アクチュエータ7の軸受摩擦やアクチュエ
ータ7と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力や磁
気ディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアク
チュエータ7の受ける慣性力などのアーム3に作用する
外乱負荷τdは、比較器25でブロック24の前段に入
力される形に表現できる。
【0058】図2の一点鎖線で囲んだ部分のブロック3
0は、速度負荷推定器12のブロック線図を示すもの
で、このブロック30は、駆動器10であるブロック2
2の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック32と、ア
クチュエータ7であるブロック23の伝達関数と同じ伝
達関数をもつブロック33と、ブロック24の伝達関数
と同じ伝達関数をもつブロック34と、電圧検出器11
であるブロック26の伝達関数と同じ伝達関数をもつブ
ロック35と、ブロック27の伝達関数と同じ伝達関数
をもつブロック39を含んでいる。ブロック32とブロ
ック33を合わせたものが第1の乗算器41、ブロック
44が第2の乗算器、ブロック43が第1の積分器、ブ
ロック34とブロック35を合わせたものが第2の積分
器42をそれぞれ構成している。ここで、ブロック30
の各定数のサフィックス“n”は公称値を示し、“es
t”を付した変数は推定値を示す。ここで、特許請求の
範囲の記載との対照を行うと、第1の乗算器41が第1
の乗算手段に相当し、第2の乗算器44が第2の乗算手
段に相当し、第1の積分器43が第1の積分手段に相当
し、第2の積分器42が第2の積分手段に相当し、比較
器37が比較手段に相当している。
【0059】ブロック22に入力される駆動信号uは、
速度負荷推定器12を構成するブロック32にも入力さ
れ、ブロック32とブロック33とで(gmn・Ktn)
倍することによりアーム3に作用する駆動トルクτと同
一の駆動トルク推定信号τes tが得られる。
【0060】図2において、ブロック34からは速度推
定信号vestが出力される。ブロック35で、速度推定
信号vestをKvn倍することにより得られた誘起電圧推
定信号Eaestと、アクチュエータ7に推定電流Iaest
が通電されることにより発生する電圧降下分(Ran+
Lan・s)・Iaestとが加算器36で加算され、加算
器36からは、電圧推定信号Vaestが出力される。電
圧推定信号Vaestは、比較器37に入力され、実際に
検出された電圧信号Vaと比較され、その結果の誤差信
号α(=Va−Vaest)がブロック43で表される第
1の積分器とブロック44で表される第2の乗算器とに
入力される。第1の積分器43は、誤差信号αを積分
し、外乱についての負荷推定信号τdestを出力する。
ブロック44で表される第2の乗算器には誤差信号αが
入力され、g1倍されて加算器38に加えられる。加算
器38の出力は減算器31に入力され、ブロック33の
出力する駆動トルク推定信号τestから加算器38の出
力を減算した結果γをブロック34に出力する。
【0061】なお、ブロック44の係数g1とブロック
43の係数g2は、速度負荷推定器12の動作を安定化
するための定数であり、その詳細については後述する。
【0062】図2において、一点鎖線で囲んで示したブ
ロック47は、補正器15のブロック線図である。この
補正器15に含まれるブロック45は、負荷推定信号τ
es tを1/(gmn・Ktn)倍することにより、アーム
3に負荷推定信号τdestに相当する大きさの駆動力を
発生させるのに必要な駆動器10への補正信号βを生成
する。補正信号βは加算器46において位置制御信号c
に加算される。
【0063】次に、ブロック30の速度負荷推定器12
の動作について図3を参照して詳細に説明する。
【0064】図3(a)は、図2のブロック30を書き
直したブロック線図で、駆動信号uの入力から負荷推定
信号τdestの出力までの伝達を示す。図3(b)は、
図3(a)のブロック線図において、(数3)をもとに
電圧信号Vaの入力位置(比較器37)を等価的に変換
移動することにより、図3(a)のブロック線図を変形
したブロック線図である。ここで、説明を簡単にするた
め、図2のブロック22のgmとブロック32のgmnの
値とが等しく、
【0065】
【数5】 と仮定し、駆動電流Ia(=gm・u)と推定電流Ia
est(=gmn・u)とが等しいものとした。
【0066】(数4)の第1項と第2項に着目して、第
1項のEaは、大きさを(Jn・s)/(Lbn・Kv
n)倍すれば、図3(a)の比較器37の入力位置を図
3(b)に示す減算器48の入力位置に等価的に移動す
ることができる。また、(数2)の第2項の(Ra+L
a・s)・Iaは、図3(a)のブロック39に含め
て、図3(b)のブロック49のように表現することが
できる。
【0067】図3(b)の減算器48に着目すると、減
算器48の出力であるδは(数6)のように表される。
【0068】
【数6】 次に、図2の比較器25、ブロック24,26に着目す
ると、(数7)の関係がある。
【0069】
【数7】 ここで、簡単のために、
【0070】
【数8】
【0071】
【数9】 と仮定し、(数7)を(数6)に代入すると、(数6)
は、(数10)のように変形される。
【0072】
【数10】 すなわち、減算器48の出力であるδは、アーム3に加
わる外乱τdに等しい。
【0073】したがって、図3(b)のブロック線図よ
り、アーム3に加わる外乱τdから負荷推定信号τd
estまでの伝達関数を求めると、(数11)に示すよう
になる。
【0074】
【数11】 (数11)から、速度負荷推定器12は、図2の一点鎖
線で囲んだブロック30内のループによって、駆動信号
uと電圧信号Vaとから実際の外乱τdを2次遅れ系で
推定できることが分かる。
【0075】ここで、2次遅れ系の自然角周波数(推定
角周波数)をωo、ダンピングファクタをζoとすれば、
速度負荷推定器12の動作を安定化する定数g1および
g2はそれぞれ下記の(数12)および(数13)で表
される。
【0076】
【数12】
【0077】
【数13】 ここで、推定角周波数ωoを速度制御帯域fcより十分高
く設定し、ダンピングファクタζoを0.7〜1に選べ
ば、速度負荷推定器12により軸受摩擦や弾性力や慣性
力などの外乱τdを正確に推定することができる。
【0078】(数11)を(数12),(数13)を用
いて変形すると、
【0079】
【数14】 となる。すなわち、図3(a)の速度負荷推定器12の
ブロック線図は、図3(c)のブロック52に示すよう
に簡略化することができる。
【0080】次に、ブロック47で示す補正器15の動
作について図4を参照して詳細に説明する。
【0081】図2の一点鎖線で囲んだ部分のブロック4
7は、補正器15のブロック線図を示す。ブロック45
は、負荷推定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍した
補正信号βを加算器46へ出力する。すなわち、負荷推
定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍することによ
り、アクチュエータ7に負荷推定信号τdestに相当す
る大きさの駆動力を発生させるに必要な補正信号βを加
算器46へ出力させる。さらに補正信号βは、ブロック
22とブロック23とによりgmn・Ktn倍されること
から、大きさを合わせるために前もって、負荷推定信号
τdestを1/(gmn・Ktn)倍している。
【0082】以上をまとめると、実施の形態1のディス
ク装置は、アクチュエータ7の軸受摩擦やアクチュエー
タ7と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力やディ
スク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエ
ータ7の受ける慣性力などによる外乱負荷τdを打ち消
すように、負荷推定信号τdestをアクチュエータ7に
作用させるように構成されているということができる。
【0083】図4(a)は、図2のブロック線図におい
て、補正器15の動作に関連する加算器46から比較器
25、ブロック24までの部分を抜き出したブロック線
図である。図4(b)は、比較器25に加わる外乱τd
とブロック52に加わる外乱τdとを、1つのτdにま
とめたブロック線図である。なお、図2のブロック線図
と同一の機能を有するものについては同一の符号を付し
て重複した説明は省略する。
【0084】図4(a)のブロック線図において、ブロ
ック52は図3(c)のブロック52に相当し、(数1
4)で表わされる伝達関数を有する。
【0085】したがって、図4(b)よりアーム3に外
部から加わる外乱τdは、(数15)の伝達関数Gd
(s)で表されるフィルタを通してヘッド位置決め制御系
に加わるものと考えることができる。
【0086】
【数15】 図5は、(数15)で表される伝達関数Gd(s)の周波
数特性を折れ線近似で示したものである。図5に示す伝
達関数Gd(s)の周波数特性から角周波数ωoより低い角
周波数では、ゲインは0dB以下であり、角周波数ωの
下降に伴って、−20dB/dec(ディケード)の減
衰比で減衰している。decは10倍を意味する。すな
わち、伝達関数Gd(s)は、図5より、角周波数ωoより
低い周波数を抑制することができる低域遮断フィルタ特
性を有している。
【0087】すなわち、本発明の実施の形態1のディス
ク装置は、アーム3に軸受摩擦や弾性力や慣性力などに
よる外乱τdが作用しても、この外乱τdを速度負荷推
定器12により推定し、負荷推定信号τdestでもって
外部から加わった外乱τdを打ち消すように制御するよ
うに構成されている。したがって、外部から加わった外
乱τdが、あたかも(数15)および図5の遮断周波数
特性を有するフィルタを通してヘッド位置決め制御系に
加わったように作用する。したがって、本発明の実施の
形態1のディスク装置では角周波数ωo以下の周波数に
おいては、1次の低域遮断特性でアクチュエータ7の軸
受摩擦やアクチュエータ7と電子回路基板とを接続する
FPCの弾性力や磁気ディスク装置に外部から加わる振
動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力などに
よる外乱負荷を抑制することができる。すなわち、本発
明の実施の形態1のディスク装置は、外部から振動や衝
撃が加わりアクチュエータ7に外乱τdが作用しても、
この外乱τdを速度負荷推定器12により推定し、外部
から加わった外乱τdを打ち消すように制御するように
構成されているので、あたかも磁気ディスク装置に機械
的な防振機構を施したような効果がある。
【0088】図6は、本発明の実施の形態1の磁気ディ
スク装置の速度負荷推定器12の外乱抑制効果につい
て、さらに詳しく説明するための時間応答波形図であ
る。
【0089】図6は、速度負荷推定器12の生成する速
度推定信号vestと負荷推定信号τdestとをそれぞれ位
置制御器14と補正器15に入力した本発明のディスク
装置の時間応答波形図と、比較のために速度負荷推定器
12を適用しない従来のディスク装置の時間応答波形図
を示す。
【0090】図6(a)は、外部から最大角加速度(d
ωo/dt)が1000rad/s2(ラジアン/秒2
の半正弦波状の回転衝撃が磁気ディスク装置に加わった
ときに、アクチュエータ7が受ける慣性力の外乱τdの
波形61(破線で示す)と、速度負荷推定器12が出力
する負荷推定信号τdestの波形62を示す。アクチュ
エータ7の軸受4の回りの慣性モーメントJを1g・c
2とすれば、外乱τdの最大値は、
【0091】
【数16】 となる。
【0092】ここで、(数12)および(数13)の制
御パラメータを決定する推定周波数fo(ωo=2πf
o)とダンピングファクタζoの値をそれぞれ3kHzお
よび1に選び、位置決め制御系の制御帯域を400Hz
に設定してシミュレーションを行った。
【0093】速度負荷推定器12は、駆動器10の入力
である駆動信号uと電圧検出器11の出力する電圧信号
Vaからアクチュエータ7に作用する外乱トルクτdを
推定し、わずかの時間遅れは存在するが、実際の外乱τ
dとほぼ相似の負荷推定信号τdestを出力する。
【0094】図6(b)は、速度負荷推定器12の出力
する負荷推定信号τdestを補正器15に入力して外乱
τdによる変動を打ち消すように負荷推定信号τdest
をアクチュエータ7に作用させた場合の駆動電流Iaの
波形64と、負荷推定信号τdestを補正器15に入力
しない場合の駆動電流Iaの波形63のシミュレーショ
ン結果を示す。なお、アクチュエータ7のトルク定数K
tは、23dyn・cm/mAである。磁気ディスクに記録され
たサーボ情報は、一定のサンプリング周期をもつ離散的
な状態でディスクに記録されているため、ヘッド位置信
号は連続信号ではない。したがって、ディジタル処理の
行われる位置制御器14の位置制御信号cは、階段状に
変化する。その結果、負荷推定信号τdestを補正器1
5に入力しない場合のアクチュエータ7の駆動電流Ia
の波形は、位置制御信号cの波形と同じになり、図6
(b)の波形63に示すように階段状に変化する(Ia
=gm・c=gm・u)。負荷推定信号τdestを補正
器15に入力した場合のアクチュエータ7の駆動電流I
aの波形64は、位置制御器14の位置制御信号cに速
度負荷推定器12の負荷推定信号τdestを補正器15
により加算されて生成されるため、磁気ディスク装置に
回転衝撃が加わった時点(t=0)からの時間遅れが、
図6(b)の波形63に比べて少ない。
【0095】図6(c)は、速度負荷推定器12の出力
する負荷推定信号τdestを補正器15に入力して外乱
負荷の変動を打ち消すように負荷推定信号τdestをア
クチュエータ7に作用させた場合の位置誤差信号eの波
形66と、速度負荷推定器12を適用しない場合の位置
誤差信号eの波形65のシミュレーション結果を示す。
外部から半正弦波状の回転衝撃がディスク装置に加わっ
ても、速度負荷推定器12を適用すれば、波形66のよ
うに位置誤差信号eは大きく変動せず、速度負荷推定器
12を適用しない場合の波形65と比較して外乱抑制効
果が改善されている。
【0096】本発明の実施の形態1のディスク装置は、
速度負荷推定器12により外部から加わる振動や衝撃に
よりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱を
正確に推定することができる。得られた負荷推定信号τ
estを補正器15に加えてアクチュエータ7に作用す
る外乱τdを打ち消すように制御できるのでトラックず
れを抑制することができ、磁気ヘッド2は目標トラック
に高精度に位置決め制御される。さらに、本発明の実施
の形態1のディスク装置は、速度負荷推定器12の生成
する速度推定信号vestが位置制御器14に入力されて
いるので、外部からの振動や衝撃によりアクチュエータ
7が慣性力を受けヘッドを移動させようとしても、位置
制御器14のブロック21を構成するブロック55と減
算器56の作用により負帰還が施されているので、ヘッ
ドのトラックずれが抑制される。
【0097】したがって、本発明の実施の形態1のディ
スク装置は、振動や衝撃に対して安定なトラッキング制
御が可能で、ディスク装置の信頼性を向上させることが
できる。
【0098】なお、上述した本発明の実施の形態1のデ
ィスク装置では、速度負荷推定器12に対する一方の入
力信号としてブロック47から出力される駆動信号uを
入力するように構成したが、駆動信号uの代わりにブロ
ック22から出力される駆動器10の出力する駆動電流
Iaを用いても同様の効果を得ることができることは言
うまでもない。
【0099】なお、上述してきた実施の形態では、速度
負荷推定器12の生成する負荷推定信号τdestを補正
器15へ出力し、速度推定信号vestを位置制御器14
へ出力しているが、アクチュエータ7に加わる軸受摩擦
やFPCの弾性力や外部から加わる振動や衝撃が比較的
小さい場合には、負荷推定信号τdestを補正器15へ
出力する必要はなく、速度推定信号vestを位置制御器
14へ負帰還するだけでもヘッドのトラックずれを十分
抑制することができ、補正器15を省略することができ
る。
【0100】(実施の形態2)図7は本発明の実施の形
態2にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図で
ある。図8は、実施の形態2のディスク装置におけるヘ
ッド位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図であ
る。なお、前述の実施の形態1と同一の機能を有するも
のについては同一の参照符号を付して重複した説明は省
略する。
【0101】図7に示す実施の形態2のディスク装置に
おいて、図1の実施の形態1と異なるところは、速度負
荷推定器に入力される信号である。すなわち、図1の実
施の形態1では、電圧検出器11の生成する電圧信号V
aと駆動信号uとが速度負荷推定器12へ入力される構
成であったが、図7の実施の形態2では、電圧検出器1
1の生成する電圧信号Vaと位置制御器14の生成する
位置制御信号cとが速度負荷推定器16に入力されるよ
うに構成されている。
【0102】図7の速度負荷推定器16で生成された負
荷推定信号τdestは、補正器15に入力されている。
補正器15は、位置制御器14の出力する位置制御信号
cと速度負荷推定器16の負荷推定信号τdestとが入
力され、補正器15で補正演算を施した後、駆動信号u
を駆動器10へ出力する。
【0103】図8の一点鎖線で囲んだ部分のブロック6
0が速度負荷推定器16のブロック線図である。速度負
荷推定器16には、加算器28の出力である電圧検出器
11の生成する電圧信号Vaとブロック21で表される
位置制御器14の生成する位置制御信号cとが入力され
る。
【0104】前述の実施の形態1の速度負荷推定器12
では、次のようにしていた。第1の積分器のブロック4
3の係数(g2/s)を乗算して得られた信号と第2の
乗算器のブロック44の係数(g1)を乗算して得られ
た信号とを加算器38で加算する。その加算結果で得ら
れた信号と、第1の乗算器のブロック41の係数(gmn
・Ktn)を乗算して得られた駆動トルク推定信号τest
とが減算器31に入力される。減算器31で減算して得
られた信号γを第2の積分器のブロック42に入力して
いた。すなわち、補正信号βが加算された駆動信号uを
速度負荷推定器12に入力しているために、図2の加算
器38を必要としていた。
【0105】しかし、実施の形態2の速度負荷推定器1
6では、補正信号βが加算される前の位置制御信号cを
入力する構成であるため、図2に示すような加算器38
は不要である。
【0106】なお、図8において、ブロック32とブロ
ック33を合わせたブロック41が第1の乗算器、ブロ
ック44が第2の乗算器を構成し、ブロック43が第1
の積分器、ブロック34とブロック35を合わせたブロ
ック42が第2の積分器を構成している。
【0107】このように構成された実施の形態2のディ
スク装置における速度負荷推定器16の動作について、
前述の実施の形態1の速度負荷推定器12の動作と比較
して図2および図8を参照しつつ説明する。
【0108】まず、図2において、実施の形態1の速度
負荷推定器12を構成する第2の積分器42の入力をγ
とすれば、信号γは、減算器31に着目して、
【0109】
【数17】 ところが、駆動信号uは、図2の加算器46に着目して
(数18)で表わされる。
【0110】
【数18】 したがって、(数17)および(数18)より、信号γ
は、(数19)で表わすことができる。
【0111】
【数19】 (数19)をもとにして、図2に示す実施の形態1の速
度負荷推定器12のブロック線図30を書き換えると、
図8に示す速度負荷推定器16のブロック線図60のよ
うになる。図8に示すように、位置制御器14(ブロッ
ク21)の生成する位置制御信号cがブロック32の乗
算器に入力され、ブロック32の出力はブロック33の
乗算器に入力されている。このため、位置制御信号cに
係数(gmn・Ktn)を乗算することにより駆動トルク
推定信号τestを求めることができる。
【0112】一方、負荷推定信号τdestは、ブロック
47で表される補正器15に入力される。したがって、
前述の実施の形態1と同様に実施の形態2のディスク装
置は、速度負荷推定器16の働きにより、電圧検出器1
1の生成する電圧信号Vaと位置制御器14の生成する
位置制御信号cとからヘッド移動速度vとアーム3に作
用する外乱トルクτdを推定し、速度推定信号vest
負荷推定信号τdestとを出力する。速度推定信号vest
は、外部からの振動や衝撃によりアクチュエータ7が慣
性力を受けてもヘッド2を移動させないように負帰還を
施すために位置制御器14に入力される。負荷推定信号
τdestは、軸受摩擦や弾性力や慣性力などのアーム3
に作用する外乱τdを打ち消すように補正器15に入力
される。
【0113】その結果、本発明の実施の形態2のディス
ク装置は、速度負荷推定器16により、外部から加わる
振動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力など
による外乱を正確に推定することができる。アクチュエ
ータ7に加わる軸受摩擦やFPCの弾性力や外部から加
わる振動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力
などによる外乱τdが作用しても、この外乱τdを速度
負荷推定器16により推定し、推定された負荷推定信号
τdestをもって外部から加わった外乱τdを打ち消す
ように制御するように構成されている。したがって、実
施の形態1と同様、外部から加わった外乱τdが、あた
かも(数15)および図5の遮断周波数特性を有するフ
ィルタを通して位置決め制御系に加わったように作用す
る。
【0114】したがって、本発明の実施の形態2のディ
スク装置では角周波数ωo以下の周波数においては、1
次の低域遮断特性で外乱を抑制することができる。外乱
によるトラックずれを抑制することができるので、磁気
ヘッド2は目標トラックに高精度に位置決め制御され
る。さらに、本発明の実施の形態2のディスク装置は、
速度負荷推定器16の生成する速度推定信号vestが位
置制御器14に入力されているので、外部からの振動や
衝撃によりアクチュエータ7が慣性力を受けヘッドを移
動させようとしても、位置制御器14のブロック21を
構成するブロック55と減算器56の作用により負帰還
が施されているので、ヘッドのトラックずれを抑制され
る。
【0115】また、位置制御信号cを生成するのに、ヘ
ッドで検出した位置誤差信号eだけを用いるのではな
く、アクチュエータ7の駆動において発生する電圧信号
Vaと駆動器10における駆動信号uまたは位置制御器
14における位置制御信号cとを入力として、速度負荷
推定器16で得られた速度推定信号vestを併用する。
したがって、振動や衝撃で磁気ヘッド2がディスク1よ
り離脱し、瞬間的にサーボ情報を正確に検出できなくて
も、ヘッドをディスク外周または内周へ移動させるよう
な誤動作を防ぐことができる。
【0116】したがって、振動や衝撃に対して安定なト
ラッキング制御が可能で、ディスク装置の信頼性を向上
させることができる。
【0117】実施の形態2のディスク装置によれば、速
度負荷推定器16と補正器15の構成に必要な加算器の
数を実施の形態1のディスク装置に比べて削減すること
ができる。したがって、実施の形態2のディスク装置
は、実施の形態1と比べて、より簡単な構成で、ヘッド
移動速度vと軸受摩擦や弾性力や慣性力などのアーム3
に作用する外乱τdとを推定することが可能となり、ヘ
ッドの位置決め制御を安定に行うことができ、磁気ヘッ
ド2を狭いトラックピッチで形成された目標トラックに
高い精度で位置決めさせることができる。
【0118】さらに、実施の形態2のディスク装置にお
いては、加算器の数を削減したことにより、位置決め制
御系をアナログ回路などのハードウェアで実現する場合
には、回路の調整を簡単化できる。また、位置決め制御
系をソフトウェアで実現する場合には、演算処理による
演算時間遅れを短縮することが可能となり、より制御帯
域を高めることが可能となる。図2のブロック30と同
じように構成された速度負荷推定器16においては、磁
気ディスク装置のセクタサーボのサンプリング周波数の
影響を受けない。したがって、速度負荷推定器16の制
御帯域は、位置決め制御系の制御帯域よりも高く設定す
ることができる。
【0119】なお、上述してきた各実施の形態では、図
2および図8の位置制御器14に含まれるブロック54
では、(数2)で表現される伝達関数Gx(z)のディ
ジタルフィルタ処理を施している。ここで、(数2)の
括弧中の第2項ad(1−z- 1)は、位置情報である位
置誤差信号e(=r−x)を微分処理したことに相当す
る。しかし、位置制御器14に含まれる減算器56に
は、ブロック55を介して速度推定信号vestの速度項
が負帰還され、位置情報を微分したことと等価な処理を
施している。したがって、上述してきた各実施の形態で
は、(数2)の括弧中の第2項は省略してもよく、伝達
関数Gx(z)のディジタルフィルタ処理を簡単化する
ことができる。
【0120】なお、上述してきた各実施の形態では、乗
算器や積分器はアナログ・フィルタで構成するもので説
明したが、ディジタル・フィルタで構成することも可能
である。さらに、各実施の形態の位置決め制御系を構成
する各部についてはマイクロコンピュータによるソフト
ウェアにより実現するようにしてもよい。
【0121】なお、以上説明した各実施の形態では磁気
ディスク装置で説明したが、本発明は、これに限定され
るものではない。
【0122】
【発明の効果】以上のように本発明のディスク装置によ
れば、速度負荷推定手段によりアクチュエータ手段の軸
受摩擦やアクチュエータ手段と回路基板とを接続するF
PC(フレキシブルプリント回路)の弾性力やディスク
装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ
手段に作用する慣性力などの外乱を正確に推定すること
ができ、それらの外乱の変動が大きくても、外乱の変動
を補償できるので、目標トラックに対するヘッドの位置
決め精度を向上させることできる。併せて、ディスク装
置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ手
段の受ける慣性力を打ち消すことで、ディスク装置の耐
衝撃特性を向上させることができ、ヘッドの位置決め制
御を安定に行うことができる。
【0123】また、位置制御信号を生成するのに、ヘッ
ドで検出した誤差信号だけを用いるのではなく、速度負
荷推定手段で得られた速度推定信号を併用するので、振
動や衝撃でヘッドがディスクより離脱し、瞬間的にサー
ボ情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディスク外
周または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことがで
きる。
【0124】したがって、本発明のディスク装置は、携
帯型のコンピュータなどに搭載されて使用される際に、
データの記録時に外部から大きな振動や衝撃を受けて
も、大きなトラックずれを発生することがないので、振
動や衝撃に対しても信頼性の高いディスク装置を実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかわるディスク装
置の構成を示すブロック図
【図2】 本発明の実施の形態1の位置決め制御系の全
体構成を示すブロック線図
【図3】 本発明の実施の形態1の速度負荷推定器の外
乱推定動作を説明するためのブロック線図(a)と、
(a)のブロック線図を等価変換したブロック線図
(b)と、(a)のブロック線図をまとめて表現したブ
ロック線図(c)
【図4】 本発明の実施の形態1のディスク装置に加わ
る外乱を抑制する動作を説明するためのブロック線図
(a)と、(a)のブロック線図を等価変換したブロッ
ク線図(b)
【図5】 本発明の実施の形態1のディスク装置に加わ
る外乱に対する遮断周波数特性図
【図6】 本発明の実施の形態1のディスク装置に加わ
る外乱の変動と速度負荷推定器が出力する負荷推定信号
の時間波形図(a)と、速度負荷推定器を適用した場合
と速度負荷推定器を適用しない従来の場合の違いを示す
駆動電流時間波形図(b)と、速度負荷推定器を適用し
た場合と速度負荷推定器を適用しない従来の場合の違い
を示すトラック誤差の時間波形図(c)
【図7】 本発明の実施の形態2にかかわるディスク装
置の構成を示すブロック図
【図8】 本発明の実施の形態2の位置決め制御系の全
体構成を示すブロック線図
【符号の説明】
1 磁気ディスク 2 磁気ヘッド 3 アーム 4 軸受 5 駆動コイル 6 固定子 7 アクチュエータ(アクチュエータ手段) 10 駆動器(駆動手段) 11 電圧検出器(電圧検出手段) 12,16 速度負荷推定器(速度負荷推定手段) 13 位置検出器(位置検出手段) 14 位置制御器(位置制御手段) 15 補正器(補正手段) 32,33 第1の乗算器(第1の乗算手段) 43 第1の積分器(第1の積分手段) 44 第2の乗算器(第2の乗算手段) 34,35 第2の積分器(第2の積分手段) 37 比較器(比較手段) u 駆動信号 e 位置誤差信号 c 位置制御信号 v ヘッド移動速度 vest 速度推定信号 τ 駆動トルク τd 外乱負荷 τdest 負荷推定信号 Ia 駆動電流 Iaest 推定電流 Ea 誘起電圧 Eaest 誘起電圧推定信号 Vaest 電圧推定信号 β 補正信号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスクに対してヘッドの位置決めを行
    うアクチュエータ手段と、駆動信号が入力されて前記ア
    クチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段と、前
    記アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検
    出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、前記駆動信号
    と前記電圧信号からヘッド移動速度と前記ヘッドに加わ
    る外乱負荷の大きさを推定し速度推定信号と負荷推定信
    号とを出力する速度負荷推定手段と、前記ディスクに予
    め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から
    前記ヘッドの現在位置に対応した誤差信号を生成し出力
    する位置検出手段と、前記誤差信号と前記速度推定信号
    とが入力され位置制御信号を生成する位置制御手段とを
    具備し、前記駆動信号は前記位置制御信号と前記負荷推
    定信号を合成して得られるように構成されていることを
    特徴とするディスク装置。
  2. 【請求項2】 ディスクに対してヘッドの位置決めを行
    うアクチュエータ手段と、位置制御信号が入力されて前
    記アクチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段
    と、前記アクチュエータ手段の駆動において発生する電
    圧を検出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、前記駆
    動信号と前記電圧信号からヘッド移動速度と前記ヘッド
    に加わる外乱負荷の大きさを推定し速度推定信号と負荷
    推定信号とを出力する速度負荷推定手段と、前記ディス
    クに予め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情
    報から前記ヘッドの現在位置に対応した誤差信号を生成
    し出力する位置検出手段と、前記誤差信号と前記速度推
    定信号とが入力され前記位置制御信号を生成する位置制
    御手段とを具備し、前記駆動信号は前記位置制御信号に
    基づいて得られるように構成されていることを特徴とす
    るディスク装置。
  3. 【請求項3】 前記速度負荷推定手段は、前記電圧検出
    手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、前記
    駆動信号に第1の係数を乗算する第1の乗算手段と、前
    記比較手段の出力に第2の係数を乗算する第2の乗算手
    段と、前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段
    と、前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段
    の出力と前記第1の積分手段の出力との加算値を減算し
    た値を積分する第2の積分手段とを具備し、前記比較手
    段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較
    し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手
    段へ出力するように構成されていることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載のディスク装置。
  4. 【請求項4】 ディスクに対してヘッドの位置決めを行
    うアクチュエータ手段と、駆動信号が入力されて前記ア
    クチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段と、前
    記アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検
    出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、前記ディスク
    に予め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情報
    から前記ヘッドの現在位置に対応した誤差信号を生成し
    出力する位置検出手段と、前記誤差信号と前記速度推定
    信号とが入力され位置制御信号を生成する位置制御手段
    と、前記電圧信号と前記位置制御信号からヘッド移動速
    度と前記ヘッドに加わる外乱負荷の大きさを推定し速度
    推定信号と負荷推定信号とを出力する速度負荷推定手段
    とを具備し、前記駆動信号は前記位置制御信号と前記負
    荷推定信号を合成して得られるように構成されているこ
    とを特徴とするディスク装置。
  5. 【請求項5】 前記速度負荷推定手段は、前記電圧検出
    手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、前記
    位置制御信号に第1の係数を乗算する第1の乗算手段
    と、前記比較手段の出力に第2の係数を乗算する第2の
    乗算手段と、前記比較手段の出力を積分する第1の積分
    手段と、前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算
    手段の出力を減算した値を積分する第2の積分手段とを
    具備し、前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分
    手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段
    と前記第1の積分手段へ出力するように構成されている
    ことを特徴とする請求項4に記載のディスク装置。
  6. 【請求項6】 前記速度負荷推定手段の制御帯域が、前
    記位置制御手段の制御帯域よりも大きく設定されている
    ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか
    に記載のディスク装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8446687B2 (en) 2011-01-28 2013-05-21 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic disk drive and method for controlling microactuator in magnetic disk drive
US9968282B2 (en) 2012-12-10 2018-05-15 Koninklijke Philips N.V. Medical device or system for measuring hemoglobin levels during accidents using a camera-projector system

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