JP4097062B2 - ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ヘッドなどの記録再生ヘッドをアクチュエータにより記録媒体(ディスク)の目標トラックの所望の位置へ高精度に位置決めするディスク装置に関する。詳しくは、ディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータが受ける慣性力などの外乱で生じるヘッドのトラックずれを抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク装置は、小型化、大容量化が急速に進んでいる。特に磁気ディスク装置の大容量化については、磁気ディスクのトラック密度の高密度化が進み、トラックピッチはさらに狭くなる傾向にある。そのため、磁気ディスクにデータを記録再生するため、狭いトラックピッチで形成された目標トラックに磁気ヘッドを高い精度で位置決めすることが必要になってきている。
【0003】
従来の磁気ディスク装置においては、磁気ヘッドを位置決めするために磁気ディスクにサーボ情報を予め形成しておき、このサーボ情報に従って磁気ヘッドの位置決め制御が行われている。すなわち、サーボ情報を磁気ヘッドで読み取ることにより、目標トラックに対する磁気ヘッドの位置誤差を示す位置誤差信号を生成し、この位置誤差信号の大きさが最小となるように磁気ヘッドは位置決め制御されている。
【0004】
したがって、磁気ヘッドの位置決め精度を高めるためには、磁気ヘッドの位置決め制御系の制御周波数を高く設定して、磁気ヘッドを目標トラックに迅速に位置決めし、必要な位置決め精度を確保していた。
【0005】
しかし、位置決め機構のアクチュエータ自体には高次の固有機械共振が存在する場合があり、位置決め精度を高めるため制御周波数を高くすると、その固有機械共振により位置決め制御系が不安定になってしまうという問題がある。したがって、実際にはアクチュエータ自体の固有機械共振により、制御周波数の帯域は制限されるため、位置決め制御系の制御周波数を高めることには限界があった。そこで、磁気ヘッドの位置決め精度を高めるためには、位置決め精度を悪化させる要因であるアクチュエータに作用する外乱を低減することが行われている。
【0006】
近年のトラック密度の高密度化とアクチュエータの小型軽量化により、アクチュエータに作用する外力が位置決め制御系に与える影響は大きい。しかも、磁気ディスク装置の小型化と高記録密度化に伴って、磁気ヘッドの高精度位置決めの要求は厳しくなる一方で、これら磁気ディスク装置では、フィードフォワード制御により外力を補償することが行われている。
【0007】
例えば、磁気ディスクに記録されたサーボ情報からヘッド位置信号を得て、このヘッド位置信号とアクチュエータの駆動信号を入力とする外力推定手段により外力を補償する方法が提案されている(例えば、特開平9−231701号公報参照)。
【0008】
また、近年、磁気ディスク装置は、携帯型のコンピュータなどに搭載されることが多く、このような携帯型のものは外部からの振動や衝撃を受けやすい。このような振動や衝撃に対して、高精度な位置決め状態を保持して磁気ヘッドを目標トラックに追従させることは極めて困難である。
【0009】
このような外部から加わる振動や衝撃に対して位置決め精度を確保する方法としては、磁気ヘッドの搭載された回転型アクチュエータ回転軸と磁気ヘッドを結ぶ面上に2つの加速度センサを設け、検出された信号をフィードフォワードすることで、磁気ヘッドの位置決め精度が振動や衝撃に対して低下するのを補償する方法がある(例えば、特開平4−123374号公報参照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術においては、外力推定手段は、ヘッド位置信号とアクチュエータの駆動信号とを入力とする。磁気ディスクに記録されたサーボ情報は、一定のサンプリング周期をもつ離散的な状態でディスクに記録されているため、ヘッド位置信号は連続信号ではない。したがって、外力推定手段の外力を推定できる制御帯域は、ディスク装置のセクタサーボのサンプリング周波数の影響を受け、セクタサーボのサンプリング周波数によって上限が存在することになる。その結果、アクチュエータ手段に加わる外力を正確に推定することができず、アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦などの外乱を良好に打ち消すことができないといった問題があった。その結果、ヘッドを目標トラックに対して正確に追従させることができなかった。
【0011】
さらには、振動や衝撃で磁気ヘッドがディスク面より離脱したときには、もはやディスクに記録されたサーボ情報を正確に検出できず、ヘッドをディスク外周または内周へ移動させるような誤動作を発生させるといった問題があった。
【0012】
また、上記の従来技術のように、磁気ディスク装置の外部から加わる振動や衝撃に対して位置決め精度を確保するために、これらの振動や衝撃の大きさを検出する加速度センサを筐体内に設けることは、装置の小型化および低価格化を阻害する。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑み、アクチュエータの軸受摩擦やアクチュエータと回路基板とを接続するフレキシブルプリント回路(FPC)の弾性力やディスク装置に外部から振動や衝撃が加わりアクチュエータに作用する慣性力などの外乱を補償することにより、ヘッドを狭いトラックピッチで形成された目標トラックに高い精度で位置決め制御し、ディスクにデータを記録再生することが可能なディスク装置を提供することを第1の目的とする。
【0014】
また、本発明は、ディスク装置の筐体内に従来のような複数の加速度センサを特別に設けることなく、小型化および低価格化を実現することが可能なディスク装置を提供することを第2の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アクチュエータに加わる軸受摩擦や弾性力、振動や衝撃により受ける慣性力などによる外乱を打ち消すために、その外乱の大きさを推定する。この外乱の大きさの推定に際して、2つの要素を用いる。1つは、アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検出し、その検出結果としての電圧信号を用いる。もう1つは、アクチュエータ手段の駆動手段における駆動信号である。ここで、駆動手段における駆動信号としては、駆動手段に入力するものであってもよいし、あるいは、駆動手段から出力するものであってもよい。また、駆動手段における駆動信号に代えて、その駆動信号を生成するもとになる位置制御信号を用いてもよい。すなわち、ヘッド移動速度と外乱の大きさを推定するための速度・外乱推定手段を設け、この速度・外乱推定手段をもって、電圧検出手段が検出した電圧信号と駆動手段における駆動信号または位置制御信号とを入力として、速度推定信号と外乱推定信号とを生成させる。2つの要素に基づいて生成した外乱推定信号は、ヘッドに実際に加わる外乱の大きさを正確に推定したものとなる。この結果、アクチュエータ手段の軸受摩擦やアクチュエータ手段と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力やディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣性力などの外乱を正確に推定することができる。その推定にかかわる外乱が外乱推定信号となる。なお、外乱の大きさの推定の過程でヘッド移動速度の推定を並行して行うので、ヘッド移動速度についても正確な推定となる。ヘッド移動速度の推定に直接に関連付けて外乱の大きさの推定を行う点が重要である。
【0016】
以上のようにして正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すように、その外乱推定信号を位置制御手段が出力する位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その駆動信号を用いてヘッドのアクチュエータ手段を駆動することにより、アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱を良好に打ち消すことができる。すなわち、アクチュエータ手段に作用する軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱に対する補償を行うことができるので、目標トラックへのフォローイング動作時にアクチュエータ手段に作用する外乱の変動が大きくても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことができる。
【0017】
さらには、ディスクのデータの記録再生時において、速度・外乱推定手段で生成される外乱推定信号の大きさを外乱監視手段で常に監視し、外乱推定信号の大きさが所定値を超えた場合には外乱監視手段は切換信号を位置制御手段に出力する。切換信号に応じて位置制御手段は、位置検出手段の生成する位置誤差信号と速度・外乱推定手段の生成する速度推定信号より位置制御信号を生成するので、ディスク装置に加わる振動や衝撃が大きくてもヘッドが目標トラックから大きくずれることを避けることができる。位置制御信号を生成するのに、ヘッドで検出した位置誤差信号だけを用いるのではなく、アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧信号と駆動手段における駆動信号または位置制御手段における位置制御信号とを入力として、速度・外乱推定手段で得られた速度推定信号を併用する。したがって、振動や衝撃でヘッドがディスク面より離脱し、瞬間的にサーボ情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディスク外周または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことができる。
【0018】
以上のように、本発明によれば、位置決め精度を向上させることができる。また、その副次的効果として、実質的に、トラック密度の向上を可能となし、大容量のディスク装置の実現化を促すことができる。
【0019】
また、本発明によれば、外部から振動や衝撃を受けやすい携帯型のコンピュータなどに搭載されても、振動や衝撃に対して信頼性の高いディスク装置を実現することができ、なおかつ、加速度センサを特別に設ける必要がないので、小型化および低価格化を実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を総括的に説明する。
【0021】
本願第1の発明のディスク装置は、ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、前記アクチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段と、前記アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、前記駆動手段の駆動信号と前記電圧信号からヘッド移動速度と前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し速度推定信号と外乱推定信号とを出力する速度・外乱推定手段と、前記ディスクに予め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し出力する位置検出手段と、前記外乱推定信号の大きさに応じて前記位置誤差信号もしくは前記位置誤差信号と前記速度推定信号とが入力され位置制御信号を生成する位置制御手段と、前記外乱推定信号を監視し前記外乱推定信号が所定値を超えたときに前記位置制御手段へ前記速度推定信号を出力するようにした外乱監視手段と、前記位置制御信号と前記外乱推定信号を合成して前記駆動信号を生成する補正手段とを具備し、前記外乱推定信号が所定値を超えた場合には前記位置誤差信号と前記速度推定信号より前記位置制御信号を生成し、一方、前記外乱推定信号が所定値を超えない場合には前記位置誤差信号より前記位置制御信号を生成するように構成されている。なお、この構成において、駆動手段における駆動信号としては、駆動手段に入力するものであってもよいし、あるいは、駆動手段から出力するものであってもよく、この点は以下でも同様である。
【0022】
この第1の発明による作用は次のとおりである。速度・外乱推定手段は、アクチュエータ手段を駆動するための駆動手段に与える駆動信号とアクチュエータ手段から検出した電圧信号とに基づいて、アクチュエータ手段の軸受摩擦やアクチュエータ手段と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力やディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣性力などの外乱の大きさを正確に推定することができる。その推定にかかわる外乱が外乱推定信号である。ここで、特に、目標トラックにヘッドを追従させるフォローイング動作時において駆動信号と電圧信号とからアクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱の大きさを正確に推定できることが重要である。
【0023】
以上のようにして正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すように、その外乱推定信号を位置制御手段が生成する位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その駆動信号をもってヘッドのアクチュエータ手段を駆動すれば、アクチュエータ手段に加わる外乱を良好に打ち消すことができる。すなわち、アクチュエータ手段に作用する軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外力に対する補償を行うことができるので、目標トラックへのフォローイング動作時に外乱の変動が大きくても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことができ、位置決め精度を向上させることができる。
【0024】
さらに、本発明のディスク装置では、ディスク上へのデータ記録再生時において、速度・外乱推定手段で生成される外乱推定信号の大きさを外乱監視手段で常に監視し、外乱推定信号の大きさが所定値を超えた場合には外乱監視手段は速度推定信号を位置制御手段に出力する。位置制御手段は、外乱推定信号の大きさに応じて位置検出手段の生成する位置誤差信号もしくは位置誤差信号と速度・外乱推定手段の生成する速度推定信号より位置制御信号を生成するので、ディスク装置に加わる振動や衝撃が大きくてもヘッドが目標トラックから大きくずれることを避けることができる。位置制御信号を生成するのに、ヘッドで検出した位置誤差信号だけを用いるのではなく、速度・外乱推定手段で得られた速度推定信号を併用する。したがって、振動や衝撃でヘッドがディスク面より離脱し、瞬間的にサーボ情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディスク外周または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことができる。特にヘッドによるディスクへの記録時には、ヘッドが目標トラックから大きくずれ、隣接するトラックのデータを壊してしまうことを避けることができる。
【0032】
本願第2の発明のディスク装置は、上記の第1の発明において、前記速度・外乱推定手段は、前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、前記駆動信号に第1の係数を乗算する第1の乗算手段と、前記比較手段の出力に第2の係数を乗算する第2の乗算手段と、前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段と、前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段の出力と前記第1の積分手段の出力との加算値を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備し、前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成されている。
【0033】
この第2の発明による作用は次のとおりである。駆動信号を入力する第1の乗算手段の出力は、アクチュエータ手段に作用する駆動トルクに対応した駆動トルク推定信号となる。第2の積分手段の出力は、電圧検出手段から入力される電圧信号に対するフィードバック要素となる。電圧信号と第2の積分手段からのフィードバック要素との差分をとる比較手段の出力は、第1の積分手段と第2の乗算手段に与えられる。前記の差分を積分する第1の積分手段の出力は、アクチュエータ手段が軸受から受ける摩擦やFPCから受ける弾性力や振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣性力などの外乱に対応した外乱推定信号となる。その外乱推定信号に対して前記の差分に所定の係数を乗算した第2の乗算手段の出力を加算する。そして、前記駆動トルク推定信号から前記の加算値との差分をとって第2の積分手段に与える。
【0034】
以上の結果として、第1の積分手段が出力する外乱推定信号は、アクチュエータ手段が軸受やFPCから受ける弾性力や振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣性力などの外乱を正確に推定したものに相当している。そして、このように正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すようフィードフォワード補償を行うので、フォローイング動作においてアクチュエータ手段に作用する外乱に対する補償を行うことができ、フォローイング動作時にアクチュエータ手段での外乱の変動が大きくても、目標トラックに対するヘッドの位置決め制御を安定に行い、位置決め精度を向上させることができる。
【0035】
本願第3の発明のディスク装置は、ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、前記アクチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段と、前記アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、前記ディスクに予め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し出力する位置検出手段と、前記外乱推定信号の大きさに応じて前記位置誤差信号もしくは前記位置誤差信号と前記速度推定信号とが入力され位置制御信号を生成する位置制御手段と、前記電圧信号と前記位置制御手段の位置制御信号からヘッド移動速度と前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し速度推定信号と外乱推定信号とを出力する速度・外乱推定手段と、前記外乱推定信号を監視し前記外乱推定信号が所定値を超えたときに前記位置制御手段へ前記速度推定信号を出力するようにした外乱監視手段と、前記位置制御信号と前記外乱推定信号を合成して駆動信号を生成する補正手段とを具備し、前記外乱推定信号が所定値を超えた場合には前記位置誤差信号と前記速度推定信号より前記位置制御信号を生成し、一方、前記外乱推定信号が所定値を超えない場合には前記位置誤差信号より前記位置制御信号を生成するように構成されている。
【0036】
第1の発明では速度・外乱推定手段が駆動信号と電圧信号とに基づいて推定するのに対して、第3の発明では駆動信号に代えて位置制御信号を利用し、速度・外乱推定手段は位置制御信号と電圧信号とに基づいて推定する。
【0037】
この第3の発明による作用は次のとおりである。速度・外乱推定手段は、アクチュエータ手段を駆動するための駆動手段に与えるように位置制御手段から出力された位置制御信号とアクチュエータ手段から検出した電圧信号とに基づいて、アクチュエータ手段の軸受摩擦やアクチュエータ手段と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力や外部からの振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣性力などの外乱の大きさを正確に推定することができる。その推定にかかわる外乱が外乱推定信号である。ここで、特に、目標トラックにヘッドを追従させるフォローイング動作時において位置制御信号と電圧信号とからアクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱の大きさを正確に推定できることが重要である。
【0038】
以上のようにして正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すように、その外乱推定信号を位置制御手段が出力する位置制御信号に合成して駆動信号を生成する。その駆動信号をもってヘッドのアクチュエータ手段を駆動すれば、アクチュエータ手段に加わる軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱を良好に打ち消すことができるので、目標トラックへのフォローイング動作時に外乱の変動が大きくても、ヘッドの目標トラックへの位置決め制御を安定に行うことができ、位置決め精度を向上させることができる。
【0039】
さらに、本発明のディスク装置では、ディスク上へのデータ記録再生時において、速度・外乱推定手段で生成される外乱推定信号の大きさを外乱監視手段で常に監視し、外乱推定信号の大きさが所定値を超えた場合には外乱監視手段は速度推定信号を位置制御手段に出力する。位置制御手段は、外乱推定信号の大きさに応じて位置検出手段の生成する位置誤差信号もしくは位置誤差信号と速度・外乱推定手段の生成する速度推定信号より位置制御信号を生成するので、ディスク装置に加わる振動や衝撃が大きくてもヘッドが目標トラックから大きくずれることを避けることができる。
【0040】
また、位置制御信号を生成するのに、ヘッドで検出した位置誤差信号だけを用いるのではなく、速度・外乱推定手段で得られた速度推定信号を併用する。したがって、振動や衝撃でヘッドがディスク面より離脱し、瞬間的にサーボ情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディスク外周または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことができる。特にヘッドによるディスクへの記録時には、ヘッドが目標トラックから大きくずれ、隣接するトラックのデータを壊してしまうことを避けることができる。
【0041】
本願第4の発明のディスク装置は、ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、前記アクチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段と、前記アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、前記ディスクに予め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し出力する位置検出手段と、前記位置誤差信号が入力され位置制御信号を生成する位置制御手段と、前記電圧信号と前記位置制御信号からヘッド移動速度と前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し速度推定信号と外乱推定信号とを出力する速度・外乱推定手段と、前記位置制御信号と前記外乱推定信号、もしくは前記位置制御信号と前記外乱推定信号と前記速度推定信号を合成して前記駆動信号を生成する補正手段と、前記外乱推定信号を監視し前記外乱推定信号が所定値を超えたときに前記補正手段へ前記速度推定信号を出力するようにした外乱監視手段とを具備し、前記外乱推定信号が所定値を超えた場合には前記位置制御信号と前記外乱推定信号と前記速度推定信号より前記駆動信号を生成し、一方、前記外乱推定信号が所定値を超えない場合には前記位置制御信号と前記外乱推定信号より前記駆動信号を生成するように構成されている。
【0042】
第1の発明では速度・外乱推定手段が駆動信号と電圧信号とに基づいて推定するのに対して、第4の発明では駆動信号に代えて位置制御信号を利用し、速度・外乱推定手段は位置制御信号と電圧信号とに基づいて推定する。第4の発明においても、第1の発明と同様の作用が発揮される。
【0043】
本願第5の発明のディスク装置は、上記の第3または第4の発明において、前記速度・外乱推定手段は、前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、前記位置制御信号に第1の係数を乗算する第1の乗算手段と、前記比較手段の出力に第2の係数を乗算する第2の乗算手段と、前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段と、前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段の出力を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備し、前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成されている。
【0044】
この第5の発明による作用は次のとおりである。位置制御手段からの位置制御信号を入力する第1の乗算手段の出力は、アクチュエータ手段に作用する駆動トルクに対応した駆動トルク推定信号となる。第2の積分手段の出力は、電圧検出手段から入力される電圧信号に対するフィードバック要素となる。電圧信号と第2の積分手段からのフィードバック要素との差分をとる比較手段の出力は、第1の積分手段と第2の乗算手段に与えられる。前記の差分を積分する第1の積分手段の出力は、アクチュエータ手段が軸受から受ける摩擦やFPCから受ける弾性力や振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣性力などの外乱に対応した外乱推定信号となる。前記駆動トルク推定信号から前記の差分に所定の係数を乗算した第2の乗算手段の出力との差分をとって第2の積分手段に与える。第2の積分手段の演算途中の値を速度推定信号とすることができる。
【0045】
以上の結果として、第1の積分手段が出力する外乱推定信号は、アクチュエータ手段が軸受やFPCから受ける外乱と振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣性力を正確に推定したものに相当している。そして、このように正確に推定した外乱推定信号をもってアクチュエータ手段に加わる外乱を打ち消すようにフィードフォワード補償を行うので、フォローイング動作においてアクチュエータ手段に作用する外乱に対する補償を行うことができ、フォローイング動作時にアクチュエータ手段での外乱の変動が大きくても、目標トラックに対するヘッドの位置決め制御を安定に行い、位置決め精度を向上させることができる。さらに、上記の第4の発明で必要とした第1の積分手段と第2の乗算手段との加算を行う必要がなく、その加算のための手段を省略することが可能で、構成の簡素化をもたらすことができる。
【0046】
本願第6の発明のディスク装置は、上記の第1〜第5の発明において、前記速度・外乱推定手段の制御帯域が、前記位置制御手段の制御帯域よりも大きく設定されている。
【0047】
この第6の発明による作用は次のとおりである。位置決め制御系の制御帯域を広げることは比例のゲインを大きくすることであるが、ディスク装置のセクタサーボのサンプリング周波数やアクチュエータ手段がもつ固有機械共振周波数によって上限が存在することになる。これに対して、速度・外乱推定手段ではディスク装置のセクタサーボのサンプリング周波数の影響を受けない。したがって、速度・外乱推定手段においては、その制御帯域を位置決め制御系の制御帯域よりも高く設定することができる。その結果として、より高い制御帯域にわたって、ヘッドを目標トラックに対して正確に追従させることができる。
【0048】
なお、上記の説明から明かなように、構成要素の位置制御手段、速度・外乱推定手段、補正手段、外乱監視手段については、これらをハードウエアで構成してもよいし、あるいはソフトウエアで構成してもよい。
【0049】
また、構成要素の比較手段、各乗算手段および各積分手段については、上記の説明から明かなように、これらをハードウエアで構成してもよいし、あるいはソフトウエアで構成してもよい。
【0050】
なお、本発明は、磁気ディスク装置のほか、光ディスク装置、光磁気ディスク装置などに適用することも可能である。
【0051】
(具体的な実施の形態)
以下、本発明にかかわるディスク装置の具体的な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、同様の機能を有するものには同一の符号を付けて説明する。
【0052】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図である。図1において、符号の1は磁気ディスクで、スピンドルモータ(図示せず)により回転される。2は磁気ディスク1に対してデータを記録再生する磁気ヘッド、3はアームで、一端に搭載された磁気ヘッド2を軸受4の周りに回動させることにより、磁気ヘッド2を磁気ディスク1における目標トラックへ移動させる。5はアーム3の後端に設けられた駆動コイル、6は固定子で、駆動コイル5に対向する面にはマグネット(図示せず)が配置されている。固定子6に配置されたマグネットが発生する磁束と駆動コイル5に通電される電流が作る磁界との相互作用によりアーム3は回転力を受ける。アーム3、軸受4、駆動コイル5、固定子6によりアクチュエータ7を構成している。10は駆動部、11は駆動部10に含まれる電圧検出部で、駆動コイル5の両端に発生する電圧を検出し、電圧信号Vaを出力する。12は速度・外乱推定部で、電圧検出部11の出力する電圧信号Vaと駆動部10の入力である駆動信号uとからアーム3に作用する外乱トルクτdを推定し、外乱推定信号τdestを出力するとともに、アーム3の回動速度を推定し、速度推定信号vestを出力する。磁気ヘッド2で読み出された信号は、位置検出部13に入力される。磁気ディスク1の各セクタには予めサーボ情報としてトラックの位置信号が記録されており、この位置信号は磁気ヘッド2により読み込まれる。位置検出部13は、磁気ヘッド2により読み込まれた位置信号により磁気ヘッド2の現在位置を検出し、目標トラックの目標位置rとの差を示す位置誤差信号eを生成する。位置制御部14は、位置検出部13で生成された位置誤差信号eと速度・外乱推定部12で生成された速度推定信号vestとが入力されて、増幅および位相補償が行われ、位置制御信号cを生成する。15は補正部で、位置制御部14の位置制御信号cと速度・外乱推定部12の外乱推定信号τdestとが入力され、補正部15で補正演算を施した後、駆動信号uを駆動部10へ入力する。駆動部10は、入力された駆動信号uに応じて駆動コイル5に駆動電流Iaを通電し、アーム3を軸受4を中心に回動させ、アーム3の先端に取り付けられた磁気ヘッド2を回転移動させ、磁気ディスク1にデータを記録再生するために磁気ヘッド2を狭いトラックピッチで形成された目標トラックに高い精度で位置決めさせるように構成されている。16は外乱監視部で、速度・外乱推定部12で生成される外乱推定信号τdestが入力されている。外乱監視部16は、外乱推定信号τdestの大きさに応じて切換信号tを位置制御部14へ出力する。
【0053】
ここで、特許請求の範囲の記載との対照を行うと、駆動部10が駆動手段に相当し、電圧検出部11が電圧検出手段に相当し、速度・外乱推定部12が速度・外乱推定手段に相当し、位置検出部13が位置検出手段に相当し、位置制御部14が位置制御手段に相当し、補正部15が補正手段に相当し、外乱監視部16が外乱監視手段に相当している。
【0054】
次に、実施の形態1のディスク装置の位置決め制御系の動作について図2を用いて説明する。図2は、実施の形態1のディスク装置における位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図である。
【0055】
図中の一点鎖線で囲んだ部分30が速度・外乱推定部12のブロックで、図中の一点鎖線で囲んだ部分21が位置制御部14のブロックである。同じく一点鎖線で囲んだ部分47が補正部15のブロックである。なお、図2において、sはラプラス演算子を表すものである。また、図2において、セクタサーボのサンプリングによるホールド要素については、説明を簡単にするため、これを省略してある。
【0056】
図2において、磁気ヘッド2の検出した現在トラック位置をxとすれば、目標トラック位置rに対する位置誤差信号eは、(数1)で表され、この位置誤差信号eは比較部20で得られる。
【0057】
【数1】
図2において、一点鎖線で囲んで示したブロック21は、位置制御部14のブロック線図で、位置誤差信号eと速度・外乱推定部12の速度推定信号vestとが入力されている。この位置制御部14を示すブロック21に含まれるブロック54は、比較部20から出力される位置誤差信号eに伝達関数Gx(z)のディジタルフィルタ処理を施し、結果を減算部56へ出力する。ブロック30から出力される速度推定信号vestは、切換部57を介してブロック55に入力される。ブロック55は、ブロック30から出力される速度推定信号vestをKd倍し、結果を減算部56へ出力する。減算部56は、ブロック54の出力からブロック55の出力を減算して位置制御信号cを生成する。ブロック54では、通常のPID位置決め制御が施され、伝達関数Gx(z)は、例えば(数2)で表現できる。
【0058】
【数2】
ここで、z-1は1サンプル遅延を示し、Kxは位置決め制御系の比例ゲインを示す。係数ad,aiは周波数特性を表す定数を示し、係数adは微分係数、係数aiは積分係数である。
【0059】
速度・外乱推定部12で生成される外乱推定信号τdestを外乱監視部16で常に監視しておき、所定のレベルを超えない、大きな振動や衝撃が加わらない通常状態では、切換部57は開放されている。すなわち、ブロック30の出力する外乱推定信号τdestが、所定レベル内にあれば、外乱監視部16の切換信号tにより切換部57は開放されているので、位置制御部14の生成する位置制御信号cは、(数3)で表現できる。
【0060】
【数3】
一方、ブロック30の外乱推定信号τdestの大きさが所定レベルを超えたときには、外乱監視部16より“H”レベルの切換信号tが出力される。ここで、しきい値レベルは、磁気ヘッド2が目標トラックから大きくずれる程度の振動や衝撃に対応する値である。外乱監視部16の出力する切換信号tは、切換部57に入力され、“H”レベルのときに切換部57を閉じる。切換信号tが切換部57に入力された場合には、切換部57は閉じられるので、位置制御部14の生成する位置制御信号cは、(数4)で表現できる。
【0061】
【数4】
ここで、便宜上、離散値と連続値の混在した関係式で示した。
【0062】
ブロック21で生成された位置制御信号cは加算部46を経由して駆動信号uとなる。駆動信号uは、ブロック22(伝達関数はgm)の駆動部10において、電圧信号からgm倍の電流信号に変換され、駆動電流Iaを出力する。ブロック23で表されるアクチュエータ7において、駆動コイル5に通電される駆動電流Iaは、それが作る磁界と前述した固定子6のマグネットの磁束との相互作用により伝達関数Ktで駆動トルクτに変換される。ここで、伝達関数Ktはアクチュエータ7のトルク定数である。ブロック24の伝達関数(Lb/J・s)は、アーム3に作用する駆動トルクτから磁気ヘッド2の移動速度vへの伝達特性を表わす。ここで、Jはアーム3の慣性モーメントを示し、Lbはアーム3の軸受4から磁気ヘッド2までの距離を示している。ブロック29は積分部で、伝達関数は1/sで表され、磁気ヘッド2の移動速度vが現在トラック位置xに変換される。
【0063】
ブロック26とブロック27で表される電圧検出部11において、ブロック26はアクチュエータ7が回動することにより駆動コイル5の両端に発生する誘起電圧Eaを出力し、ブロック27は駆動コイル5に駆動電流Iaが通電されることにより発生する電圧降下分(Ra+La・s)・Iaを出力し、加算部28でそれぞれを加算することによりアクチュエータ7の端子電圧を電圧信号Vaとして出力する。すなわち、
【0064】
【数5】
の関係がある。ここで、Raは駆動コイル5のコイル抵抗、Laは駆動コイル5のインダクタンスを示す。
【0065】
アクチュエータ7の軸受摩擦やアクチュエータ7と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力や磁気ディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力などのアーム3に作用する外乱τdは、比較部29でブロック24の前段に入力される形に表現できる。
【0066】
図2の一点鎖線で囲んだ部分のブロック30は、速度・外乱推定部12のブロック線図を示すもので、このブロック30は、駆動部10であるブロック22の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック32と、アクチュエータ7であるブロック23の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック33と、ブロック24の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック34と、電圧検出部11であるブロック26の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック35と、ブロック27の伝達関数と同じ伝達関数をもつブロック39を含んでいる。ブロック32とブロック33を合わせたものが第1の乗算部41、ブロック44が第2の乗算部、ブロック43が第1の積分部、ブロック34とブロック35を合わせたものが第2の積分部42をそれぞれ構成している。ここで、ブロック30の各定数のサフィックス“n”は公称値を示し、“est”を付した変数は推定値を示す。ここで、特許請求の範囲の記載との対照を行うと、第1の乗算部が第1の乗算手段に相当し、第2の乗算部が第2の乗算手段に相当し、第1の積分部が第1の積分手段に相当し、第2の積分部が第2の積分手段に相当し、比較部37が比較手段に相当している。
【0067】
ブロック22に入力される駆動信号uは、速度・外乱推定部12を構成するブロック32にも入力され、ブロック32とブロック33とで(gmn・Ktn)倍することによりアーム3に作用する駆動トルクτと同一の駆動トルク推定信号τestが得られる。
【0068】
図2において、ブロック34からは速度推定信号vestが出力される。ブロック35で、速度推定信号vestをKvn倍することにより得られた誘起電圧推定信号Eaestと、アクチュエータ7に推定電流Iaestが通電されることにより発生する電圧降下分(Ran+Lan・s)・Iaestとが加算部36で加算され、加算部36からは、電圧推定信号Vaestが出力される。電圧推定信号Vaestは、比較部37に入力され、実際に検出された電圧信号Vaと比較され、その結果の位置誤差信号α(=Vaest−Va)がブロック43で表される第1の積分部とブロック44で表される第2の乗算部とに入力される。第1の積分部43は、位置誤差信号αを積分し、外乱についての外乱推定信号τdestを出力する。ブロック44で表される第2の乗算部には位置誤差信号αが入力され、g1倍されて加算部38に加えられる。加算部38の出力は減算部31に入力され、ブロック33の出力する駆動トルク推定信号τestから加算部38の出力を減算した結果γをブロック34に出力する。
【0069】
なお、ブロック44の係数g1とブロック43の係数g2は、速度・外乱推定部12の動作を安定化するための定数であり、その詳細については後述する。
【0070】
図2において、一点鎖線で囲んで示したブロック47は、補正部15のブロック線図である。この補正部15に含まれるブロック45は、外乱推定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍することにより、アーム3に外乱推定信号τdestに相当する大きさの駆動力を発生させるのに必要な駆動部10への補正信号βを生成する。補正信号βは加算部46において位置制御信号cに加算される。
【0071】
次に、ブロック30の速度・外乱推定部12の動作について図3を参照して詳細に説明する。
【0072】
図3(a)は、図2のブロック30を書き直したブロック線図で、駆動信号uの入力から外乱推定信号τdestの出力までの伝達を示す。図3(b)は、図3(a)のブロック線図において、(数5)をもとに電圧信号Vaの入力位置(比較部37)を等価的に変換移動することにより、図3(a)のブロック線図を変形したブロック線図である。ここで、説明を簡単にするため、図2のブロック22のgmとブロック32のgmnの値とが等しく、
【0073】
【数6】
と仮定し、駆動電流Ia(=gm・u)と推定電流Iaest(=gmn・u)とが等しいものとした。
【0074】
(数5)の第1項と第2項に着目して、第1項のEaは、大きさを(Jn・s)/(Lbn・Kvn)倍すれば、図3(a)の比較部37の入力位置を図3(b)に示す減算部48の入力位置に等価的に移動することができる。また、(数5)の第2項の(Ra+La・s)・Iaは、図3(a)のブロック39に含めて、図3(b)のブロック49のように表現することができる。
【0075】
図3(b)の減算部48に着目すると、減算部48の出力であるδは(数7)のように表される。
【0076】
【数7】
次に、図2の比較部29、ブロック24,26に着目すると、(数8)の関係がある。
【0077】
【数8】
ここで、簡単のために、
【0078】
【数9】
【0079】
【数10】
と仮定し、(数8)を(数7)に代入すると、(数7)は、(数11)のように変形される。
【0080】
【数11】
すなわち、減算部48の出力であるδは、アーム3に加わる外乱τdに等しい。
【0081】
したがって、図3(b)のブロック線図より、アーム3に加わる外乱τdから外乱推定信号τdestまでの伝達関数を求めると、(数12)に示すようになる。
【0082】
【数12】
(数12)から、速度・外乱推定部12は、図2の一点鎖線で囲んだブロック30内のループによって、駆動信号uと電圧信号Vaとから実際の外乱τdを2次遅れ系で推定できることが分かる。
【0083】
ここで、2次遅れ系の自然角周波数(推定角周波数)をωo、ダンピングファクタをζoとすれば、速度・外乱推定部12の動作を安定化する定数g1およびg2はそれぞれ下記の(数13)および(数14)で表される。
【0084】
【数13】
【0085】
【数14】
ここで、推定角周波数ωoを速度制御帯域fcより十分高く設定し、ダンピングファクタζoを0.7〜1に選べば、速度・外乱推定部12により軸受摩擦や弾性力や慣性力などの外乱τdを正確に推定することができる。
【0086】
(数12)を(数13),(数14)を用いて変形すると、
【0087】
【数15】
となる。すなわち、図3(a)の速度・外乱推定部12のブロック線図は、図3(c)のブロック52に示すように簡略化することができる。
【0088】
次に、ブロック47で示す補正部15の動作について図4を参照して詳細に説明する。
【0089】
図2の一点鎖線で囲んだ部分のブロック47は、補正部15のブロック線図を示す。ブロック45は、外乱推定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍した補正信号βを加算部46へ出力する。すなわち、外乱推定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍することにより、アクチュエータ7に外乱推定信号τdestに相当する大きさの駆動力を発生させるに必要な補正信号βを加算部46へ出力させる。さらに補正信号βは、ブロック22とブロック23とによりgmn・Ktn倍されることから、大きさを合わせるために前もって、外乱推定信号τdestを1/(gmn・Ktn)倍している。
【0090】
以上をまとめると、実施の形態1のディスク装置は、アクチュエータ7の軸受摩擦やアクチュエータ7と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力やディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱τdを打ち消すように、外乱推定信号τdestをアクチュエータ7に作用させるように構成されているということができる。
【0091】
図4(a)は、図2のブロック線図において、補正部15の動作に関連する加算部46から比較部29、ブロック24までの部分を抜き出したブロック線図である。図4(b)は、比較部29に加わる外乱τdとブロック52に加わる外乱τdとを、1つのτdにまとめたブロック線図である。なお、図2のブロック線図と同一の機能を有するものについては同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0092】
図4(a)のブロック線図において、ブロック52は図3(c)のブロック52に相当し、(数16)で表わされる伝達関数を有する。
【0093】
したがって、図4(b)よりアーム3に外部から加わる外乱τdは、(数16)の伝達関数で表されるフィルタを通してヘッド位置決め制御系に加わるものと考えることができる。
【0094】
【数16】
図5は、(数16)で表される伝達関数Gd(s)の周波数特性を折れ線近似で示したものである。図5に示す伝達関数Gd(s)の周波数特性から角周波数ωoより低い角周波数では、ゲインは0dB以下であり、角周波数ωの下降に伴って、−20dB/dec(ディケード)の減衰比で減衰している。decは10倍を意味する。すなわち、伝達関数Gd(s)は、図5より、角周波数ωoより低い周波数を抑制することができる低域遮断フィルタ特性を有している。
【0095】
すなわち、本発明の実施の形態1のディスク装置は、アーム3に軸受摩擦や弾性力や慣性力などによる外乱τdが作用しても、この外乱τdを速度・外乱推定部12により推定し、外乱推定信号τdestでもって外部から加わった外乱τdを打ち消すように制御するように構成されている。したがって、外部から加わった外乱τdが、あたかも(数16)および図5の遮断周波数特性を有するフィルタを通してヘッド位置決め制御系に加わったように作用する。したがって、本発明の実施の形態1のディスク装置では角周波数ωo以下の周波数においては、1次の低域遮断特性でアクチュエータ7の軸受摩擦やアクチュエータ7と電子回路基板とを接続するFPCの弾性力や磁気ディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱を抑制することができる。すなわち、本発明の実施の形態1のディスク装置は、外部から振動や衝撃が加わりアクチュエータ7に外乱τdが作用しても、この外乱τdを速度・外乱推定部12により推定し、外部から加わった外乱τdを打ち消すように制御するように構成されているので、あたかもディスク装置に機械的な防振機構を施したような効果がある。
【0096】
図6は、本発明の実施の形態1のディスク装置の速度・外乱推定部12の外乱抑制効果について、さらに詳しく説明するための時間応答波形図である。
【0097】
図6は、本発明のディスク装置で、切換信号tにより切換部57が閉じられた状態、すなわち速度・外乱推定部12の生成する速度推定信号vestが切換部57を介して位置制御部14に入力され、速度・外乱推定部12の生成する外乱推定信号τdestが補正部15に入力された本発明のディスク装置の衝撃に対する時間応答波形図と、比較のために速度・外乱推定部12を適用しない従来のディスク装置の衝撃に対する時間応答波形図を示す。
【0098】
図6(a)は、外部から最大角加速度(dωo/dt)が1000rad/s2(ラジアン/秒2)の半正弦波状の回転衝撃が磁気ディスク装置に加わったときに、アクチュエータ7が受ける慣性力の外乱τdの波形61(破線で示す)と、速度・外乱推定部12が出力する外乱推定信号τdestの波形62を示す。アクチュエータ7の軸受4の回りの慣性モーメントJを1g・cm2とすれば、外乱τdの最大値は、
【0099】
【数17】
となる。
【0100】
ここで、(数13)および(数14)の制御パラメータを決定する推定周波数fo(ωo=2πfo)とダンピングファクタζoの値をそれぞれ3kHzおよび1に選び、位置決め制御系の制御帯域を400Hzに設定してシミュレーションを行った。
【0101】
速度・外乱推定部12は、駆動部10の入力である駆動信号uと電圧検出部11の出力する電圧信号Vaからアクチュエータ7に作用する外乱トルクτdを推定し、わずかの時間遅れは存在するが、実際の外乱τdとほぼ相似の外乱推定信号τdestを出力する。
【0102】
図6(b)は、速度・外乱推定部12の出力する外乱推定信号τdestを補正部15に入力して外乱τdによる変動を打ち消すように外乱推定信号τdestをアクチュエータ7に作用させた場合の駆動電流Iaの波形64と、外乱推定信号τdestを補正部15に入力しない場合の駆動電流Iaの波形63のシミュレーション結果を示す。なお、アクチュエータ7のトルク定数Ktは、23dyn・cm/mAである。磁気ディスクに記録されたサーボ情報は、一定のサンプリング周期をもつ離散的な状態でディスクに記録されているため、ヘッド位置信号は連続信号ではない。したがって、ディジタル処理の行われる位置制御部14の位置制御信号cは、階段状に変化する。その結果、外乱推定信号τdestを補正部15に入力しない場合のアクチュエータ7の駆動電流Iaの波形は、位置制御信号cの波形と同じになり、図6(b)の波形63に示すように階段状に変化する(Ia=gm・c=gm・u)。外乱推定信号τdestを補正部15に入力した場合のアクチュエータ7の駆動電流Iaの波形64は、位置制御部14の位置制御信号cに速度・外乱推定部12の外乱推定信号τdestを補正部15により加算されて生成されるため、磁気ディスク装置に回転衝撃が加わった時点(t=0)からの時間遅れが、図6(b)の波形63に比べて少ない。
【0103】
図6(c)は、速度・外乱推定部12の出力する外乱推定信号τdestを補正部15に入力して外乱の変動を打ち消すように外乱推定信号τdestをアクチュエータ7に作用させた場合の位置誤差信号eの波形66と、速度・外乱推定部12を適用しない場合の位置誤差信号eの波形65のシミュレーション結果を示す。外部から半正弦波状の回転衝撃がディスク装置に加わっても、速度・外乱推定部12を適用すれば、波形66のように位置誤差信号eは大きく変動せず、速度・外乱推定部12を適用しない場合の波形65と比較して外乱抑制効果が改善されている。
【0104】
本発明の実施の形態1のディスク装置は、速度・外乱推定部12により外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱を正確に推定することができる。得られた外乱推定信号τdestを補正部15に加えてアクチュエータ7に作用する外乱τdを打ち消すように制御できるのでトラックずれを抑制することができ、磁気ヘッド2は目標トラックに高精度に位置決め制御される。
【0105】
さらに、本発明の実施の形態1のディスク装置は、速度・外乱推定部12の生成する速度推定信号vestが切換部57を介して位置制御部14に入力されているので、外部からの振動や衝撃によりアクチュエータ7が慣性力を受けヘッドを移動させようとしても、位置制御部14のブロック21を構成するブロック55と減算部56の作用により負帰還が施されているので、ヘッドのトラックずれが抑制される。また、位置制御信号cを生成するのに、ヘッドで検出した位置誤差信号eだけを用いるのではなく、速度・外乱推定部12で得られた速度推定信号vestを併用するので、振動や衝撃で磁気ヘッドがディスク面より離脱し、瞬間的にサーボ情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディスク外周または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことができる。
【0106】
したがって、本発明の実施の形態1のディスク装置は、振動や衝撃に対して安定なフォローイング制御が可能で、ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0107】
一般に磁気ディスク装置では、フォローイングのためのサーボ情報は、装置組立後にサーボトラックライタ(STW)と呼ばれる特別な設備によりディスク面に記録される。したがって、サーボ情報の記録されたトラックは、基本的には回転中心に対して偏心は発生しない。しかし、最近の傾向としては、装置組立後にサーボ情報を記録するのではなく、あらかじめサーボ情報が記録されたディスクを装置に組み込むことがしばしば実施され、装置の低コスト化が図られている。このようにトラックが偏心したディスク装置において、切換部57を開閉して磁気ヘッドのフォローイング動作を行った場合について、図7を用いて説明する。
【0108】
図7は、本発明の実施の形態1のディスク装置の切換部57の切換による効果について、さらに詳しく説明するための時間応答波形図である。
【0109】
図7において、図7(a)は、ディスク装置の目標トラックの偏心量を示し、例として最大偏心量が10μmのディスクの回転周期に同期した正弦波波形としてシミュレーションを行った。図7(b)は、本発明のディスク装置で、切換信号tにより切換部57が閉じられた状態、すなわち速度・外乱推定部12の生成する速度推定信号vestが切換部57を介して位置制御部14に入力されたときのフォローイング誤差eのシミュレーション結果を示す。図7(b)より、切換部57を閉じた状態では、偏心量10μmに対して、フォローイング誤差は、約10μm存在したままで、磁気ヘッドは目標トラックに追従していない。図7(c)は、本発明のディスク装置で、切換部57が開放された状態で、速度推定信号vestが位置制御部14に入力されていないときのフォローイング誤差eのシミュレーション結果を示す。図7(c)より、切換部57を開放した状態では、目標トラックの偏心量10μmに対して、フォローイング誤差は、約2μmで、磁気ヘッドは目標トラックに追従している。
【0110】
以上より、本発明の実施の形態1のディスク装置では、速度・外乱推定部12で生成される外乱推定信号τdestの大きさを外乱監視部16で常に監視しておき、速度・外乱推定部12で生成される外乱推定信号τdestの大きさが所定レベルを超えたときには、外乱監視部16より“H”レベルの切換信号tが出力される。切換信号tは、瞬時に切換部57を閉じて速度・外乱推定部12で生成される速度推定信号vestを位置制御部14(ブロック21)へ帰還するように構成している。したがって、位置制御部14には、速度・外乱推定部12の生成する速度推定信号vestが切換部57を介して入力されているので、磁気ディスク装置で、データを記録再生しているときに大きな振動や衝撃が加わっても磁気ヘッドが目標トラックから大きくずれることはない。一方、速度・外乱推定部12で生成される外乱推定信号τdestの大きさが所定レベル内にあるときは、外乱監視部16より“L”レベルの切換信号tが出力される。切換信号tは、切換部57を開放して速度・外乱推定部12で生成される速度推定信号vestを位置制御部14へ入力しないように構成している。したがって、位置制御部14には、速度・外乱推定部12の生成する速度推定信号vestが入力されていないので、磁気ディスク装置は、磁気ヘッドを目標トラックに正確に追従させることができる。
【0111】
なお、上述した本発明の実施の形態1のディスク装置では、速度・外乱推定部12に対する一方の入力信号としてブロック47から出力される駆動信号uを入力するように構成したが、駆動信号uの代わりにブロック22から出力される駆動部10の出力する駆動電流Iaを用いても同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0112】
なお、上述してきた実施の形態1では、速度・外乱推定部12の生成する外乱推定信号τdestを補正部15へ出力し、速度推定信号vestを切換部57を介して位置制御部14へ出力しているが、アクチュエータ7に加わる軸受摩擦やFPCの弾性力や外部から加わる振動や衝撃が比較的小さい場合には、外乱推定信号τdestを補正部15へ出力する必要はなく、速度推定信号vestを位置制御部14へ負帰還するだけでもヘッドのトラックずれを十分抑制することができ、補正部15を省略することができる。
【0113】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図である。図9は、実施の形態2のディスク装置におけるヘッド位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図である。なお、前述の実施の形態1と同一の機能を有するものについては同一の参照符号を付して重複した説明は省略する。
【0114】
図8に示す実施の形態2のディスク装置において、図1の実施の形態1と異なるところは、速度・外乱推定部に入力される信号である。すなわち、図1の実施の形態1では、電圧検出部11の生成する電圧信号Vaと駆動部10に入力される駆動信号uとが速度・外乱推定部12へ入力される構成であったが、図8の実施の形態2では、電圧検出部11の生成する電圧信号Vaと位置制御部14の生成する位置制御信号cとが速度・外乱推定部18に入力されるように構成されている。
【0115】
図8の速度・外乱推定部18で生成された外乱推定信号τdestは、補正部15に入力されている。補正部15は、位置制御部14の出力する位置制御信号cと速度・外乱推定部18の外乱推定信号τdestとが入力され、補正部15で補正演算を施した後、駆動信号uを駆動部10へ出力する。
【0116】
図9の一点鎖線で囲んだ部分のブロック60が速度・外乱推定部18のブロック線図である。速度・外乱推定部18には、加算部28の出力である電圧検出部11の生成する電圧信号Vaとブロック21で表される位置制御部14の生成する位置制御信号cとが入力される。
【0117】
前述の実施の形態1の速度・外乱推定部12では、次のようにしていた。補正信号αに第1の積分部のブロック43の係数(g2/s)を乗算して得られた信号と補正信号αに第2の乗算部のブロック44の係数(g1)を乗算して得られた信号とを加算部38で加算する。その加算結果で得られた信号と、第1の乗算部のブロック41の係数(gmn・Ktn)を乗算して得られた駆動トルク推定信号τestとが減算部31に入力される。減算部31で減算して得られた信号γを第2の積分部のブロック42に入力していた。すなわち、補正信号βが加算された駆動信号uを速度・外乱推定部12に入力しているために、図2の加算部38を必要としていた。
【0118】
しかし、実施の形態2の速度・外乱推定部18では、補正信号βが加算される前の位置制御信号cを入力する構成であるため、図2に示すような加算部38は不要である。
【0119】
なお、図8において、ブロック32とブロック33を合わせたブロック41が第1の乗算部、ブロック44が第2の乗算部を構成し、ブロック43が第1の積分部、ブロック34とブロック35を合わせたブロック42が第2の積分部を構成している。
【0120】
このように構成された実施の形態2のディスク装置における速度・外乱推定部18の動作について、前述の実施の形態1の速度・外乱推定部12の動作と比較して図2および図9を参照しつつ説明する。
【0121】
まず、図2において、実施の形態1の速度・外乱推定部12を構成する第2の積分部42の入力をγとすれば、信号γは、減算部31に着目して、
【0122】
【数18】
ところが、駆動信号uは、図2の加算部46に着目して(数19)で表わされる。
【0123】
【数19】
したがって、(数18)および(数19)より、信号γは、(数20)で表わすことができる。
【0124】
【数20】
(数20)をもとにして、図2に示す実施の形態1の速度・外乱推定部12のブロック線図30を書き換えると、図9に示す速度・外乱推定部18のブロック線図60のようになる。図9に示すように、位置制御部14(ブロック21)の生成する位置制御信号cがブロック32の乗算部に入力され、ブロック32の出力はブロック33の乗算部に入力されている。このため、位置制御信号cに係数(gmn・Ktn)を乗算することにより駆動トルク推定信号τestを求めることができる。
【0125】
一方、外乱推定信号τdestは、ブロック47で表される補正部15に入力される。したがって、前述の実施の形態1と同様に実施の形態2のディスク装置は、速度・外乱推定部18の働きにより、電圧検出部11の生成する電圧信号Vaと位置制御部14の生成する位置制御信号cとからヘッド移動速度vとアーム3に作用する外乱トルクτdを推定し、速度推定信号vestと外乱推定信号τdestとを出力する。速度推定信号vestは、外部からの振動や衝撃によりアクチュエータ7が慣性力を受けてもヘッド2を移動させないように負帰還を施すために位置制御部14に入力される。外乱推定信号τdestは、軸受摩擦や弾性力や慣性力などのアーム3に作用する外乱τdを打ち消すように補正部15に入力される。
【0126】
その結果、本発明の実施の形態2のディスク装置は、速度・外乱推定部18により、外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱を正確に推定することができる。アクチュエータ7に加わる軸受摩擦やFPCの弾性力や外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ7の受ける慣性力などによる外乱τdが作用しても、この外乱τdを速度・外乱推定部18により推定し、推定された外乱推定信号τdestをもって外部から加わった外乱τdを打ち消すように制御するように構成されている。したがって、実施の形態1と同様、外部から加わった外乱τdが、あたかも(数16)および図5の遮断周波数特性を有するフィルタを通して位置決め制御系に加わったように作用する。
【0127】
したがって、本発明の実施の形態2のディスク装置では角周波数ωo以下の周波数においては、1次の低域遮断特性で外乱を抑制することができる。外乱によるトラックずれを抑制することができるので、磁気ヘッド2は目標トラックに高精度に位置決め制御される。さらに、本発明の実施の形態2のディスク装置は、速度・外乱推定部18の生成する速度推定信号vestが位置制御部14に入力されているので、外部からの振動や衝撃によりアクチュエータ7が慣性力を受けヘッドを移動させようとしても、位置制御部14のブロック21を構成するブロック55と減算部56の作用により負帰還が施されているので、ヘッドのトラックずれを抑制される。
【0128】
また、位置制御信号cを生成するのに、ヘッドで検出した位置誤差信号eだけを用いるのではなく、アクチュエータ7の駆動において発生する電圧信号Vaと駆動部10における駆動信号uまたは位置制御部14における位置制御信号cとを入力として、速度・外乱推定部18で得られた速度推定信号vestを併用する。したがって、振動や衝撃で磁気ヘッド2がディスク1より離脱し、瞬間的にサーボ情報を正確に検出できなくても、ヘッド2をディスク外周または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことができる。
【0129】
したがって、振動や衝撃に対して安定なフォローイング制御が可能で、ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0130】
以上より、本発明の実施の形態2のディスク装置では、速度・外乱推定部18で生成される外乱推定信号τdestの大きさを外乱監視部16で常に監視しておき、速度・外乱推定部18で生成される外乱推定信号τdestの大きさが所定値レベルを超えたときには、外乱監視部16より“H”レベルの切換信号tが出力される。切換信号tは、瞬時に切換部57を閉じて速度・外乱推定部18で生成される速度推定信号vestを位置制御部14へ帰還するように構成している。したがって、位置制御部14には、速度・外乱推定部18の生成する速度推定信号vestが切換部57を介して入力されているので、磁気ディスク装置で、データを記録再生しているときに大きな振動や衝撃が加わっても磁気ヘッド2が目標トラックから大きくずれることはない。一方、速度・外乱推定部18で生成される外乱推定信号τdestの大きさが所定レベル内にあるときは、外乱監視部16より“L”レベルの切換信号tが出力される。切換信号tは、切換部57を開放して速度・外乱推定部18で生成される速度推定信号vestを位置制御部14へ入力しないように構成している。したがって、位置制御部14には、速度・外乱推定部18の生成する速度推定信号vestが入力されていないので、磁気ディスク装置は、磁気ヘッドを目標トラックに正確に追従させることができる。
【0131】
実施の形態2のディスク装置によれば、速度・外乱推定部18と補正部15の構成に必要な加算部の数を実施の形態1のディスク装置に比べて削減することができる。したがって、実施の形態2のディスク装置は、実施の形態1と比べて、より簡単な構成で、ヘッド移動速度vと軸受摩擦や弾性力や慣性力などのアーム3に作用する外乱τdとを推定することが可能となり、ヘッドの位置決め制御を安定に行うことができ、磁気ヘッド2を狭いトラックピッチで形成された目標トラックに高い精度で位置決めさせることができる。
【0132】
さらに、実施の形態2のディスク装置においては、加算部の数を削減したことにより、位置制御系をアナログ回路などのハードウェアで実現する場合には、回路の調整を簡単化できる。また、位置制御系をソフトウェアで実現する場合には、演算処理による演算時間遅れを短縮することが可能となり、より制御帯域を高めることが可能となる。図2のブロック30と同じように構成された速度・外乱推定部18においては、磁気ディスク装置のセクタサーボのサンプリング周波数の影響を受けない。したがって、速度・外乱推定部18の制御帯域は、位置決め制御系の制御帯域よりも高く設定することができる。
【0133】
なお、上述してきた各実施の形態では、図2および図9の位置制御部14に含まれるブロック54では、(数2)で表現される伝達関数Gx(z)のディジタルフィルタ処理を施している。ここで、(数2)の括弧中の第2項ad(1−z-1)は、位置情報である位置誤差信号e(=r−x)を微分処理したことに相当する。しかし、位置制御部14に含まれる減算部56には、ブロック55を介して速度推定信号vestの速度項が負帰還され、位置情報を微分したことと等価な処理を施している。したがって、上述してきた各実施の形態では、(数2)の括弧中の第2項は省略してもよく、伝達関数Gx(z)のディジタルフィルタ処理を簡単化することができる。
【0134】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3にかかわるディスク装置を図10および図11を用いて説明する。これは、実施の形態1の変形に相当している。なお、実施の形態1と同一の機能を有するものについては同一の参照符号を付して重複した説明は省略する。図10において、図1の構成と異なるところは、速度・外乱推定部12からの速度推定信号vestがスイッチ57を介して入力される先が補正部15aとなっている点である。また、図11において、図2と異なるところは、位置制御部14に対応するブロック21ではなく、補正部15aに対応するブロック47aに対してスイッチ57を介して速度推定信号vestをフィードバックさせている点である。ブロック47aには、加算部46とブロック45のほかに、減算部58と伝達関数Kdのブロック55aがあり、速度推定信号vestはスイッチ57を介してブロック55aに入力され、減算部58でブロック45の出力からブロック55aの出力を減算する。図11は図2と等価である。
【0135】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4にかかわるディスク装置を図12および図13を用いて説明する。これは、実施の形態2の変形に相当している。なお、実施の形態2と同一の機能を有するものについては同一の参照符号を付して重複した説明は省略する。図12において、図8の構成と異なるところは、速度・外乱推定部18からの速度推定信号vestがスイッチ57を介して入力される先が補正部15aとなっている点である。また、図13において、図9と異なるところは、位置制御部14に対応するブロック21ではなく、補正部15aに対応するブロック47aに対してスイッチ57を介して速度推定信号vestをフィードバックさせている点である。ブロック47aには、加算部46とブロック45のほかに、減算部58と伝達関数Kdのブロック55aがあり、速度推定信号vestはスイッチ57を介してブロック55aに入力され、減算部58でブロック45の出力からブロック55aの出力を減算する。図13は図9と等価である。
【0136】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5にかかわるディスク装置を図14および図15を用いて説明する。これは、実施の形態1の変形に相当している。図14に示すように、位置検出部13と駆動部10との間に、図1の場合の位置制御部14、速度・外乱推定部12、補正部15および外乱監視部16の代わりとして、マイクロプロセッサ100を備えている。マイクロプロセッサ100は、図15に示すフローチャートに従って、制御を行う。
【0137】
ステップS1において、位置検出部13が位置信号を検出したか否かを判断する。検出したときはステップS2に進み、位置誤差信号eを読み込み、ステップS3において、次の演算によって位置制御信号c*を求める。
【0138】
【数21】
次いで、ステップS4でタイマーをスタートして一定時間の経過を待ってステップS5に進む。ステップS5において、駆動部10の電圧検出部11から電圧信号Vaを読み込み、ステップS6において、駆動信号uと電圧信号Vaに基づく演算によって、外乱推定信号τdestと速度推定信号vestを求める。これらは、すでに説明した論理に従ったもので求めるものとする。なお、一連のサイクルにおいて、ステップS6の最初の処理では、駆動信号uとして適当な初期値が与えられるものとする。
【0139】
次いで、ステップS7において、前記の外乱推定信号τdestが所定値τ0を超えているか否かを判断する。その判断の結果、超えていないときはステップS8に進んで、位置制御信号cの変数に前記ステップS3による位置制御信号c*を代入する。これは図1のスイッチ57のOFFに相当する。また、外乱推定信号τdestが所定値τ0を超えているときはステップS9に進んで、所要の演算を行って位置制御信号cに代入する。これはスイッチ57のONに相当し、速度推定信号vestを加味した制御となる。
【0140】
そして、ステップS10において、駆動信号uを演算によって求める。このときの演算は(数19)に相当している。次いで、ステップS11において、駆動信号uを駆動部10に出力し、ステップS1に戻る。
【0141】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6にかかわるディスク装置を図16を用いて説明する。これは、実施の形態2の変形に相当している。本実施の形態では、図14の構成が適用される。マイクロプロセッサ100は、図16に示すフローチャートに従って、制御を行う。図15の場合とは、ステップS26が異なる。すなわち、ステップS26において、ステップS23で求めた位置制御信号c*とステップS25で読み込んだ電圧信号Vaに基づく演算によって、外乱推定信号τdestと速度推定信号vestを求める。その他のステップは図15と同様である。ステップS28は図1のスイッチ57のOFFに相当し、ステップS29はスイッチ57のONに相当する。
【0142】
なお、上述してきた各実施の形態では、乗算部や積分部はアナログ・フィルタで構成するもので説明したが、ディジタル・フィルタで構成することも可能である。さらに、各実施の形態の位置決め制御系を構成する各部についてはマイクロコンピュータによるソフトウェアにより実現するようにしてもよい。
【0143】
なお、以上説明した各実施の形態では磁気ディスク装置で説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0144】
【発明の効果】
以上のように本発明のディスク装置によれば、速度・外乱推定手段によりアクチュエータ手段の軸受摩擦やアクチュエータ手段と回路基板とを接続するFPC(フレキシブルプリント回路)の弾性力やディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ手段に作用する慣性力などの外乱を正確に推定することができ、それらの外乱の変動が大きくても、外乱の変動を補償できるので、目標トラックに対するヘッドの位置決め精度を向上させることできる。併せて、ディスク装置に外部から加わる振動や衝撃によりアクチュエータ手段の受ける慣性力を打ち消すことで、ディスク装置の耐衝撃特性を向上させることができ、ヘッドの位置決め制御を安定に行うことができる。
【0145】
また、位置制御手段で位置制御信号を生成するのに、ヘッドで検出した位置誤差信号だけを用いるのではなく、速度・外乱推定手段で得られた速度推定信号を併用するので、振動や衝撃でヘッドがディスクより離脱し、瞬間的にサーボ情報を正確に検出できなくても、ヘッドをディスク外周または内周へ移動させるような誤動作を防ぐことができる。
【0146】
また、ディスク装置が外部から受ける振動や衝撃に対して、速度・外乱推定手段で生成される外乱推定信号を外乱監視手段で常に監視しておき、所定のレベルを超えた場合には、速度・外乱推定手段で生成される速度推定信号を位置制御手段へ帰還するように構成しているので、ディスク装置で、データを記録再生しているときに大きな振動や衝撃が加わってもヘッドが目標トラックから大きくずれることはない。一方、速度・外乱推定手段で生成される外乱推定信号の大きさが所定レベル内にあるときは、速度・外乱推定手段で生成される速度推定信号を位置制御手段へ入力しないように構成しているので、ヘッドを目標トラックに正確に追従させることができる。
【0147】
したがって、本発明のディスク装置は、携帯型のコンピュータなどに搭載され、データの記録時に外部から大きな振動や衝撃を受けても、大きなトラックずれを発生することがないので、振動や衝撃に対しても信頼性の高いディスク装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図
【図2】 本発明の実施の形態1の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図
【図3】 本発明の実施の形態1の速度・外乱推定部の外乱推定動作を説明するためのブロック線図(a)と、(a)のブロック線図を等価変換したブロック線図(b)と、(a)のブロック線図をまとめて表現したブロック線図(c)
【図4】 本発明の実施の形態1のディスク装置に加わる外乱を抑制する動作を説明するためのブロック線図(a)と、(a)のブロック線図を等価変換したブロック線図(b)
【図5】 本発明の実施の形態1のディスク装置に加わる外乱に対する遮断周波数特性図
【図6】 本発明の実施の形態1のディスク装置に加わる外乱の変動と速度・外乱推定部が出力する外乱推定信号の時間波形図(a)と、速度・外乱推定部を適用した場合と速度・外乱推定部を適用しない従来の場合の違いを示す駆動電流時間波形図(b)と、速度・外乱推定部を適用した場合と速度・外乱推定部を適用しない従来の場合の違いを示すトラック誤差の時間波形図(c)
【図7】 本発明の実施の形態1のディスク装置のトラック偏心の時間波形図(a)と、切換部を閉じた状態での位置誤差信号の時間波形図(b)と、切換部を開放した状態での位置誤差信号の時間波形図(c)
【図8】 本発明の実施の形態2にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図
【図9】 本発明の実施の形態2の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図
【図10】 本発明の実施の形態3にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図
【図11】 本発明の実施の形態3の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図
【図12】 本発明の実施の形態4にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図
【図13】 本発明の実施の形態4の位置決め制御系の全体構成を示すブロック線図
【図14】 本発明の実施の形態5にかかわるディスク装置の構成を示すブロック図
【図15】 本発明の実施の形態5のディスク装置の動作を示すフローチャート
【図16】 本発明の実施の形態6にかかわるディスク装置の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
1 磁気ディスク
2 磁気ヘッド
3 アーム
4 軸受
5 駆動コイル
6 固定子
7 アクチュエータ(アクチュエータ手段)
10 駆動部(駆動手段)
11 電圧検出部(電圧検出手段)
12,18 速度・外乱推定部(速度・外乱推定手段)
13 位置検出部(位置検出手段)
14 位置制御部(位置制御手段)
15,15a 補正部(補正手段)
16 外乱監視部(外乱監視手段)
32,33 第1の乗算部(第1の乗算手段)
43 第1の積分部(第1の積分手段)
44 第2の乗算部(第2の乗算手段)
34,35 第2の積分部(第2の積分手段)
37 比較部(比較手段)
57 切換部(切換手段)
100 マイクロプロセッサ
u 駆動信号
e 位置誤差信号
c 位置制御信号
v ヘッド移動速度
vest 速度推定信号
τ 駆動トルク
t 切換信号
τd 外乱負荷
τdest 外乱推定信号
Ia 駆動電流
Iaest 推定電流
Ea 誘起電圧
Eaest 誘起電圧推定信号
Vaest 電圧推定信号
β 補正信号
Claims (6)
- ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、
前記アクチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段と、
前記アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、
前記駆動手段の駆動信号と前記電圧信号からヘッド移動速度と前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し速度推定信号と外乱推定信号とを出力する速度・外乱推定手段と、
前記ディスクに予め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し出力する位置検出手段と、
前記外乱推定信号の大きさに応じて前記位置誤差信号もしくは前記位置誤差信号と前記速度推定信号とが入力され位置制御信号を生成する位置制御手段と、
前記外乱推定信号を監視し前記外乱推定信号が所定値を超えたときに前記位置制御手段へ前記速度推定信号を出力するようにした外乱監視手段と、
前記位置制御信号と前記外乱推定信号を合成して前記駆動信号を生成する補正手段とを具備し、
前記外乱推定信号が所定値を超えた場合には前記位置誤差信号と前記速度推定信号より前記位置制御信号を生成し、一方、前記外乱推定信号が所定値を超えない場合には前記位置誤差信号より前記位置制御信号を生成するように構成されていることを特徴とするディスク装置。 - 前記速度・外乱推定手段は、前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、
前記駆動信号に第1の係数を乗算する第1の乗算手段と、
前記比較手段の出力に第2の係数を乗算する第2の乗算手段と、
前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段と、
前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段の出力と前記第1の積分手段の出力との加算値を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備し、
前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。 - ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、
前記アクチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段と、
前記アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、
前記ディスクに予め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し出力する位置検出手段と、
前記外乱推定信号の大きさに応じて前記位置誤差信号もしくは前記位置誤差信号と前記速度推定信号とが入力され位置制御信号を生成する位置制御手段と、
前記電圧信号と前記位置制御手段の位置制御信号からヘッド移動速度と前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し速度推定信号と外乱推定信号とを出力する速度・外乱推定手段と、
前記外乱推定信号を監視し前記外乱推定信号が所定値を超えたときに前記位置制御手段へ前記速度推定信号を出力するようにした外乱監視手段と、
前記位置制御信号と前記外乱推定信号を合成して駆動信号を生成する補正手段とを具備し、
前記外乱推定信号が所定値を超えた場合には前記位置誤差信号と前記速度推定信号より前記位置制御信号を生成し、一方、前記外乱推定信号が所定値を超えない場合には前記位置誤差信号より前記位置制御信号を生成するように構成されていることを特徴とするディスク装置。 - ディスクに対してヘッドの位置決めを行うアクチュエータ手段と、
前記アクチュエータ手段に駆動電流を供給する駆動手段と、
前記アクチュエータ手段の駆動において発生する電圧を検出し電圧信号を出力する電圧検出手段と、
前記ディスクに予め記録され前記ヘッドにより検出されるサーボ情報から前記ヘッドの現在位置に対応した位置誤差信号を生成し出力する位置検出手段と、
前記位置誤差信号が入力され位置制御信号を生成する位置制御手段と、
前記電圧信号と前記位置制御信号からヘッド移動速度と前記ヘッドに加わる外乱の大きさを推定し速度推定信号と外乱推定信号とを出力する速度・外乱推定手段と、
前記位置制御信号と前記外乱推定信号、もしくは前記位置制御信号と前記外乱推定信号と前記速度推定信号を合成して前記駆動信号を生成する補正手段と、
前記外乱推定信号を監視し前記外乱推定信号が所定値を超えたときに前記補正手段へ前記速度推定信号を出力するようにした外乱監視手段とを具備し、
前記外乱推定信号が所定値を超えた場合には前記位置制御信号と前記外乱推定信号と前記速度推定信号より前記駆動信号を生成し、一方、前記外乱推定信号が所定値を超えない場合には前記位置制御信号と前記外乱推定信号より前記駆動信号を生成するように構成されていることを特徴とするディスク装置。 - 前記速度・外乱推定手段は、前記電圧検出手段の検出した電圧信号が入力される比較手段と、
前記位置制御信号に第1の係数を乗算する第1の乗算手段と、
前記比較手段の出力に第2の係数を乗算する第2の乗算手段と、
前記比較手段の出力を積分する第1の積分手段と、
前記第1の乗算手段の出力から前記第2の乗算手段の出力を減算した値を積分する第2の積分手段とを具備し、
前記比較手段が前記電圧信号と前記第2の積分手段の出力とを比較し、その結果を前記第2の乗算手段と前記第1の積分手段へ出力するように構成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のディスク装置。 - 前記速度・外乱推定手段の制御帯域が、前記位置制御手段の制御帯域よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載のディスク装置。
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