JP2002265492A - ピューロマイシン誘導体及びその利用 - Google Patents

ピューロマイシン誘導体及びその利用

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JP2002265492A
JP2002265492A JP2001065257A JP2001065257A JP2002265492A JP 2002265492 A JP2002265492 A JP 2002265492A JP 2001065257 A JP2001065257 A JP 2001065257A JP 2001065257 A JP2001065257 A JP 2001065257A JP 2002265492 A JP2002265492 A JP 2002265492A
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Susumu Sasaki
享 佐々木
Naoto Nemoto
直人 根本
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GENCOM CO
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GENCOM CO
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピューロマイシン誘導体を効率よく合成する
ための方法を確立すること。 【解決手段】 下記式(1)で表される化合物又はその
塩。 【化1】 (式中、L1はスペーサー基を示し、R1は反応性基を示
し、Nuはピリミジン塩基又はプリン塩基の残基を示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピューロマイシン
誘導体、並びにその利用に関する。より詳細には、本発
明は、合成ユニットの結合にペプチド結合が用いられた
ピューロマイシン誘導体(PNA化ピューロマイシン誘
導体)、並びにその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】抗生物質であるピューロマイシンは、リ
ボソーム上でmRNAがタンパク質に翻訳される際に合
成途中のタンパク質のC末端に取り込まれることでタン
パク質合成を阻害する。本発明者らはこの性質を利用す
ることでピューロマイシン誘導体をプロテオーム研究や
進化分子工学に応用する方法をこれまでに2つ確立し
た。第1の方法は、タンパク質のC末端を1分子ラベル
する方法であり、有機合成で得られたピューロマイシン
誘導体の存在下で目的のタンパク質のmRNAを翻訳す
ることにより蛍光色素やビオチンなどの分子プローブで
C末端が特異的に修飾されたタンパク質を調製すること
ができる(Nemoto, N., et al (1999) FEBSLett. 462,
43-46)。第2の方法は、In Vitro Virus法と呼ばれる
ものであり、スペーサーを介してピューロマイシンとm
RNAをあらかじめ結合させ、これを翻訳することによ
り遺伝情報を有するタンパク質のライブラリーを得るこ
とができる(Nemoto, N. et al (1997) FEBS Lett. 41
4, 405-408, Roberts, R. W. etal (1997) Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 94, 12297-12302)。
【0003】ピューロマイシンはヌクレオシド骨格を有
しており、その誘導体は核酸合成の方法の中で現在最も
主流であり核酸自動合成機にも応用されているホスホア
ミダイト法を用いて合成することができる。例えばデオ
キシシチジンとビオチンを導入した誘導体は、これらの
ホスホアミダイト誘導体をピューロマイシンの5'末端に
通常のホスホアミダイト法の合成サイクルで順次結合さ
せていくことで合成することができる。しかし指定され
た配列を持ったオリゴヌクレオチドを確実に得ることを
目的として開発されたホスホアミダイト法は、ヌクレオ
チド以外のユニットの導入や複雑な誘導体の合成には必
ずしも適しておらず、さらに効率よく誘導体を大量調製
することにも向いていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ピューロマ
イシン誘導体を効率よく合成するための方法を確立する
ことを解決すべき課題とした。本発明はまた、タンパク
質の効率のよいC末端ラベルを行なうために使用するこ
とができるピューロマイシン誘導体を提供することを解
決すべき課題とした。本発明はさらにピューロマイシン
誘導体を利用して核酸とそれがコードするタンパク質の
複合体を形成させるための方法を提供することを解決す
べき課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、合成ユニットの結合
にペプチド結合が用いられたピューロマイシン誘導体
(PNA化ピューロマイシン誘導体)を合成し、これを
用いてタンパク質のC末端1分子ラベルを行なうと効率
よくタンパク質をラベル化できることを見出した。本発
明はこの知見に基づいて完成したものである。
【0006】即ち、本発明によれば、下記式(1)で表
される化合物又はその塩が提供される。
【化7】 (式中、L1はスペーサー基を示し、R1は反応性基を示
し、Nuはピリミジン塩基又はプリン塩基の残基を示
す。)
【0007】式(1)において好ましくは、L1は炭素
数1〜6のアルキレン基を示し、特に好ましくは、L1
はエチレン基である。式(1)において好ましくは、R
1はアミノ基または保護されたアミノ基である。式
(1)において好ましくは、Nuはピリミジン塩基の残
基であり、特に好ましくは、Nuはシトシンの残基であ
る。本発明の特に好ましい式(1)の化合物は、下記式
(2)で表される化合物又はその塩である。
【化8】
【0008】本発明の別の側面によれば、下記式(3)
で表される化合物又はその塩が提供される。
【化9】 (式中、L1及びL3は各々独立にスペーサー基を示し、
2は連結基を示し、Nuはピリミジン塩基又はプリン
塩基の残基を示し、Xは標識物質の残基を示す。)
【0009】式(3)において好ましくは、L1及びL3
は各々独立に炭素数1〜6のアルキレン基を示す。式
(3)において好ましくは、L2は−CO−NH−基で
あり、窒素原子がL1と連結し、炭素原子がL3と連結し
ている。式(3)において好ましくは、Nuはピリミジ
ン塩基の残基である。式(3)において好ましくは、N
uはシトシンの残基である。式(3)において好ましく
は、Xは蛍光物質の残基を示す。本発明の特に好ましい
式(3)の化合物は、式(4)で表される化合物又はそ
の塩である。
【化10】
【0010】本発明のさらに別の側面によれば、下記式
(5)で表される化合物又はその塩が提供される。
【化11】 (式中、L1、L3、L6、L8、L9、L11及びL13は各
々独立にスペーサー基を示し、L2、L4、L5、L7、L
10、L12は各々独立に連結基を示し、Nuはピリミジン
塩基又はプリン塩基の残基を示し、X1及びX2は各々独
立に標識物質の残基を示す。)
【0011】式(5)において好ましくは、L1、L3
6、L8、L9、L11及びL13は各々独立に各々独立に
炭素数1〜6のアルキレン基を示す。式(5)において
好ましくは、L2、L4、L5、L7、L10、L12は各々独
立に−CO−NH−基である。式(5)において好まし
くは、Nuはピリミジン塩基の残基である。式(5)に
おいて好ましくは、Nuはシトシンの残基である。式
(5)において好ましくは、Xは蛍光物質の残基を示
す。本発明の特に好ましい式(5)の化合物は、式
(6)で表される化合物又はその塩である。
【化12】
【0012】本発明のさらに別の側面によれば、式
(1)、式(3)又は式(5)で表される化合物又はそ
の塩を構成成分として含むタンパク質又はその誘導体が
提供される。本発明のさらに別の側面によれば、式
(1)、式(3)又は式(5)で表される化合物又はそ
の塩を構成成分として含む核酸又はその誘導体が提供さ
れる。本発明のさらに別の側面によれば、式(1)、式
(3)又は式(5)で表される化合物又はその塩をタン
パク質中に取り込ませる工程を含む、修飾タンパク質の
製造方法が提供される。本発明のさらに別の側面によれ
ば、式(1)、式(3)又は式(5)で表される化合物
又はその塩を核酸中に取り込ませる工程を含む、修飾核
酸の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
てより詳細に説明する。(I) 式(1)で表される化合物について 本発明は、合成ユニットの結合にペプチド結合が用いら
れたピューロマイシン誘導体(PNA化ピューロマイシ
ン誘導体)に関するものであり、具体的には、式(1)
で表される化合物又はその塩に関するものである。
【0014】
【化13】
【0015】式(1)において、L1はスペーサー基を
示し、R1は反応性基を示し、Nuはピリミジン塩基又
はプリン塩基の残基を示す。L1が示すスペーサー基と
しては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン
基又はこれらの組み合わせが挙げられ、これらの炭素原
子上には1又は複数の置換基が存在していてもよい。主
鎖の炭素数の数は特に限定されないが、好ましくは炭素
数1から10であり、より好ましくは炭素数1から6で
あり、さらに好ましくは炭素数1から4である。主鎖の
炭素原子上に存在することができる置換基の種類は特に
限定されないが、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1
〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルキニル基、水
酸基又はハロゲン原子(例えば、フッ素、原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子など)等を挙げることができ
る。L1が示すスペーサー基としては、無置換のアルキ
レン基、アルケニレン基、アルキニレン基又はこれらの
組み合わせが好ましく、無置換のアルキレン基がより好
ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチ
レン基が特に好ましく、エチレン基が最も好ましい。
【0016】R1が示す反応性基としては、標識物質を
結合させるために標識物質が有する反応性基と反応でき
る基であれば、特に限定されない。反応性基としては、
例えば、サクシンイミジルエステル基、ハロゲン置換ト
リアジニル基、ハロゲン置換ピリミジニル基、スルホニ
ルハライド基、α−ハロアセチル基、マレイミジル基、
アジリジニル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、
カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、
アミノ基、イソチオシアナート基、イソシアナート基な
どを挙げることができ、これらは保護された基であって
もよい。R1はアミノ基または保護されたアミノ基であ
ることが特に好ましい。
【0017】Nuが示すピリミジン塩基の残基として
は、シトシン残基、チミン残基又はウラシル残基が挙げ
られ、Nuが示すプリン塩基の残基としては、アデニン
残基又はグアニン残基が挙げられる。Nuはピリミジン
塩基の残基であることが好ましく、シトシン残基である
ことがさらに好ましい。これらの塩基における結合位置
は特には限定されないが、天然の核酸の場合と同様の結
合位置であることが好ましく、シトシン残基の場合は1
位の窒素原子であることが好ましい。
【0018】式(1)で表される化合物は塩の形態で存
在することができる場合があるが、そのような塩の形態
の式(1)の化合物も本発明の範囲内である。塩の種類
は特に限定されないが、例えば、酸付加塩、金属塩、ア
ンモニウム塩、又は有機アミン付加塩等が包含される。
酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩
等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、又
はクエン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。金属塩として
は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マ
グネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、
アルミニウム塩、又は亜鉛塩等が挙げられ、アンモニウ
ム塩としては、アンモニウム又はテトラメチルアンモニ
ウム等の塩が挙げられ、有機アミン付加塩としては、モ
ルホリン又はピペリジン等の付加塩が挙げられる。
【0019】式(1)の化合物には、位置異性体、幾何
異性体、互変異性体、又は光学異性体のような異性体が
存在するが、全ての可能な異性体、並びに2種類以上の
該異性体を任意の比率で含む混合物も本発明の範囲内の
ものである。
【0020】式(1)の化合物の塩を取得したい場合、
式(1)の化合物が塩の形態で得られる場合にはそのま
ま精製すればよく、また、遊離の形態で得られる場合に
は適当な溶媒に溶解又は懸濁させ、酸又は塩基を加えて
塩を形成させ単離、精製すればよい。また、式(1)の
化合物及びその塩は、水あるいは各種溶媒との付加物
(水和物又は溶媒和物)の形で存在することもあるが、
これらの付加物も本発明の範囲内のものである。また、
式(1)の化合物及びその塩の任意の結晶形も本発明の
範囲内のものである。
【0021】次に、式(1)の化合物の製造方法につい
て説明する。合成ユニットの伸長は固相法、液相法のど
ちらを用いても行うことができる。ピューロマイシンの
アミノ基は伸長サイクルに適した保護基で保護してお
き、5'位に直接ペプチド結合を導入する場合は5'位の水
酸基をアミノ基に変換する。核酸ユニットとしてはPN
A (peptide / polyamide nucleic acids) 合成に用い
られるアミノエチルグリシン誘導体などを用いることが
できるが、主鎖のアミノ基と塩基部分に導入される保護
基は脱保護の際にピューロマイシンの脱プリンなどが生
じないものを選択することが好ましい。スペーサーやビ
オチンなどのユニットもカルボン酸誘導体あるいはその
活性エステルとして導入することができる。
【0022】より具体的な方法の一例(式(1)におい
て、R1がアミノ基である場合)を以下に述べる。先
ず、ピューロマイシンのNαアミノ基を保護する。具体
的には、ピューロマイシン2塩酸塩を炭酸ナトリウム/
炭酸水素ナトリウム/塩化ナトリウム水溶液と塩化メチ
レンに溶かし、有機層を分離する。有機層をエバポレー
ターで濃縮して得た固体をアセトニトリルとピリジン等
の溶媒に溶解し、無水トリフルオロ酢酸を加えて室温で
撹拌する。反応後、水と炭酸ナトリウム/炭酸水素ナト
リウム/塩化ナトリウム水溶液を加えて、塩化メチレン
で抽出する。得られた有機層を濃縮することにより、粗
Nα-トリフルオロアセチルピューロマイシンを得ること
ができる。
【0023】次に、ピューロマイシンの5'位の水酸基を
トルエンスルホニル基に変換する。粗Nα-トリフルオロ
アセチルピューロマイシンをピリジン等の溶媒にに溶か
した溶液に塩化トシルを溶媒に溶かした溶液を加えて反
応させる。冷却後、水を加えて撹拌し、さらに酢酸エチ
ルと炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分液操作をして
得られた有機層を洗浄、濃縮し、精製することにより、
Nα-トリフルオロアセチル-5'-トルエンスルホニルピュ
ーロマイシンを得ることができる。
【0024】次に、ピューロマイシンの5'位のトルエン
スルホニル基をアジド基に変換する。Nα-トリフルオロ
アセチル-5'-トルエンスルホニルピューロマイシンをジ
メチルスルホキシド等の溶媒に溶解し、アジ化ナトリウ
ムを加えて室温で反応させる。酢酸エチルと3%炭酸水素
ナトリウム水溶液を加えて分液し、有機層を洗浄及び乾
燥し、塩類をグラスフィルターで濾去して酢酸エチルで
洗浄し、洗液と濾液を合わせて濃縮することにより、粗
Nα-トリフルオロアセチル-5'-アジド-5'-デオキシピュ
ーロマイシンを得ることができる。
【0025】次に、ピューロマイシンの5'位のアジド基
をアミノ基に変換する。粗Nα-トリフルオロアセチル-
5'-アジド-5'-デオキシピューロマイシンをピリジン等
の溶媒に溶解し、トリフェニルホスフィンを加えて室温
で2時間撹拌し、さらに水を加えてさらに室温で反応さ
せる。酢酸エチル、ヘキサン、5%酢酸水溶液を加えて分
液し、水層を凍結乾燥して粗Nα-トリフルオロアセチル
-5'-アミノ-5'-デオキシピューロマイシンを得ることが
できる。この化合物は逆相高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)等で精製してから次の反応に用いることができ
る。
【0026】シトシンのユニットは、N-[2-((4-メトキ
シフェニル)-ジフェニルメチルアミノ)エチル]-N-[(N4-
(4-tert-ブチルベンゾイル)-シトシン-1-イル-アセチ
ル) グリシンをWillらの方法(Tetrahedron 51, 12069-
12082, 1995)に従って合成し、これをジメチルホルム
アミド中ピリジン1等量存在下でペンタフルオロフェニ
ルトリフルオロ酢酸1等量と反応させることで活性エス
テルとすることができる。活性エステル溶液をNα-トリ
フルオロアセチル-5'-アミノ-5'-デオキシピューロマイ
シンに加え、炭酸緩衝液を加えて室温で撹拌する。エタ
ノールと濃アンモニア水を加え室温で2時間50℃で反
応させたあと、濃縮、精製を行なうことにより、目的物
であるPNA化シトシン-ピューロマイシンを得ること
ができる。
【0027】上記製造法における目的化合物の精製は、
有機合成化学で常用される方法、例えば濾過、抽出、洗
浄、乾燥、濃縮、結晶化、各種クロマトグラフィー等を
適宜組み合わせて行うことができる。また、中間体にお
いては、精製してもよいし、精製することなく次の反応
に供することも可能である。
【0028】(II) 式(3)で表される化合物 C末端1分子ラベル法に用いられるPNA化ピューロマ
イシン誘導体には、ピューロマイシン部分の他にラベル
効率を高めるためのシトシン誘導体、スペーサー部分、
および目的の標識物質が導入されている。標識物質が導
入されているPNA化ピューロマイシン誘導体は、具体
的には、式(3)で表される化合物又はその塩である。
【0029】
【化14】
【0030】式(3)において、L1及びL3は各々独立
にスペーサー基を示し、L2は連結基を示し、Nuはピ
リミジン塩基又はプリン塩基の残基を示し、Xは標識物
質の残基を示す。) 式(3)におけるL1及びL3が示すスペーサー基は、式
(1)におけるL1が示すスペーサー基と同義である。
3が示すスペーサー基の主鎖の炭素数の数は特に限定
されないが、好ましくは炭素数1から10であり、より
好ましくは炭素数3から8であり、さらに好ましくは炭
素数4から6である。L2が示す連結基は、式(1)に
おけるR1が示す反応性基と、標識物質が有する反応性
基とが反応して形成される基であり、例えば、アミド結
合(−CO−NH−基)、エステル結合(−COO−
基)、チオウレア結合(−NH−CS−NH−基)、ス
ルホンアミド基(−SO2−NH−)、リン酸ジエステ
ル結合(−O−P(O)OH−O−)などが挙げられ
る。好ましくは、L2は−CO−NH−基であり、窒素
原子がL1と連結し、炭素原子がL3と連結している。式
(3)におけるNuは、式(1)におけるNuと同義で
ある。
【0031】Xは標識物質の残基を示す。標識物質の種
類は、特に限定されないが、蛍光物質(例えば、Cy5(ア
マシャム)、Cy3(アマシャム)、IC5、IC3(同仁化
学)、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、テキ
サスレッド、アクリジンオレンジ等)、化学発光物質
(例えば、ルミノール、アクリジニウム−I等)、親和
性物質(例えば、ビオチン、2,4−ジニトロフェニル
基、コレステロール等)が挙げられる。
【0032】式(3)の化合物は、R1として反応性基
を有する式(1)の化合物と、R1で表される反応性基
と反応して結合することができる反応性基を有するか導
入されている標識物質とを常法に従って反応させること
により合成することができる。
【0033】式(3)で表される化合物は塩の形態で存
在することができる場合があるが、そのような塩の形態
の式(3)の化合物も本発明の範囲内である。塩の種類
としては、式(1)で表される化合物について上述した
通りである。式(3)の化合物には、位置異性体、幾何
異性体、互変異性体、又は光学異性体のような異性体が
存在するが、全ての可能な異性体、並びに2種類以上の
該異性体を任意の比率で含む混合物も本発明の範囲内の
ものである。
【0034】式(3)の化合物の塩を取得したい場合、
式(3)の化合物が塩の形態で得られる場合にはそのま
ま精製すればよく、また、遊離の形態で得られる場合に
は適当な溶媒に溶解又は懸濁させ、酸又は塩基を加えて
塩を形成させ単離、精製すればよい。また、式(3)の
化合物及びその塩は、水あるいは各種溶媒との付加物
(水和物又は溶媒和物)の形で存在することもあるが、
これらの付加物も本発明の範囲内のものである。また、
式(3)の化合物及びその塩の任意の結晶形も本発明の
範囲内のものである。
【0035】(III) 式(5)で表される化合物 複数の標識物質を導入したPNA化ピューロマイシン誘導
体を用いることによりC末端1分子ラベル法の応用性を
より高めることができる。標識物質の数や種類は特に限
定されないが、例えば蛍光色素と親和性物質の組合せが
挙げられる。2つの標識物質が導入されたPNA化ピュー
ロマイシン誘導体は、具体的には、式(5)で表される
化合物又はその塩である。
【0036】
【化15】
【0037】(式中、L1、L3、L6、L8、L9、L11
及びL13は各々独立にスペーサー基を示し、L2、L4
5、L7、L10、L12は各々独立に連結基を示し、Nu
はピリミジン塩基又はプリン塩基の残基を示し、X1
びX2は各々独立に標識物質の残基を示す。)
【0038】式(5)におけるL1、L3、L6、L8、L
9、L11及びL13が示すスペーサー基は、式(1)又は
式(3)におけるL1が示すスペーサー基と同義であ
る。ここで言うスペーサー基の主鎖の炭素数の数は特に
限定されないが、好ましくは炭素数1から10であり、
より好ましくは炭素数1から6であり、さらに好ましく
は炭素数1から4である。該スペーサー基中には、1又
は複数の−O−基が介在していてもよい。
【0039】式(5)におけるL2、L4、L5、L7、L
10、L12が示す連結基は、例えば、アミド結合(−CO
−NH−基)、エステル結合(−COO−基)、チオウ
レア結合(−NH−CS−NH−基)、スルホンアミド
基(−SO2−NH−)、リン酸ジエステル結合(−O
−P(O)OH−O−)などが挙げられ、好ましくは−
CO−NH−基である。式(5)におけるNuは、式
(1)におけるNuと同義である。
【0040】X1及びX2は各々独立に標識物質の残基を
示す。標識物質の種類は、特に限定されないが、蛍光物
質(例えば、Cy5(アマシャム)、Cy3(アマシャム)、IC
5、IC3(同仁化学)、フルオレセイン、テトラメチ
ルローダミン、テキサスレッド、アクリジンオレンジ
等)、化学発光物質(例えば、ルミノール、アクリジニ
ウム−I等)、親和性物質(例えば、ビオチン、2,4
−ジニトロフェニル基、コレステロール等)が挙げら
れ、好ましくは、X1及びX2の片方が蛍光物質又は化学
発光物質であり、他方が親和性物質である。
【0041】式(5)の化合物は、R1として反応性基
を有する式(1)の保護基が導入された誘導体と、R1
で表される反応性基と反応して結合することができる反
応性基、及び標識物質の反応性基と反応して結合するこ
とができる反応性基2つ以上を有する化合物を常法にし
たがって反応させ、さらに得られた生成物と2種以上の
標識物質を常法にしたがって反応させることにより合成
することができる。あるいは、R1として反応性基を有
する式(1)の保護基が導入された誘導体と、R1で表
される反応性基と反応して結合することができる反応性
基、標識物質の反応性基と反応して結合することができ
る反応性基1つ以上、及び標識物質の残基を有する化合
物を常法にしたがって反応させ、さらに得られた生成物
と1種以上の標識物質を常法にしたがって反応させるこ
とにより合成することができる。
【0042】式(5)で表される化合物は塩の形態で存
在することができる場合があるが、そのような塩の形態
の式(5)の化合物も本発明の範囲内である。塩の種類
としては、式(1)で表される化合物について上述した
通りである。式(5)の化合物には、位置異性体、幾何
異性体、互変異性体、又は光学異性体のような異性体が
存在するが、全ての可能な異性体、並びに2種類以上の
該異性体を任意の比率で含む混合物も本発明の範囲内の
ものである。
【0043】式(5)の化合物の塩を取得したい場合、
式(5)の化合物が塩の形態で得られる場合にはそのま
ま精製すればよく、また、遊離の形態で得られる場合に
は適当な溶媒に溶解又は懸濁させ、酸又は塩基を加えて
塩を形成させ単離、精製すればよい。また、式(5)の
化合物及びその塩は、水あるいは各種溶媒との付加物
(水和物又は溶媒和物)の形で存在することもあるが、
これらの付加物も本発明の範囲内のものである。また、
式(5)の化合物及びその塩の任意の結晶形も本発明の
範囲内のものである。
【0044】(IV) 本発明のPNA化ピューロマイ
シン誘導体の利用 さらに本発明は、当該PNA化ピューロマイシン誘導体
を利用したC末端1分子ラベル法やIn Vitro Virus法に
関するものである。即ち、本発明によれば、式(1)、
式(3)又は式(5)で表される化合物又はその塩を構
成成分として含む、タンパク質又はその誘導体並びに核
酸又はその誘導体が提供される。さらに、式(1)、式
(3)又は式(5)で表される化合物又はその塩をタン
パク質中に取り込ませる工程を含む、修飾タンパク質の
製造方法、並びに式(1)、式(3)又は式(5)で表
される化合物又はその塩を核酸中に取り込ませる工程を
含む、修飾核酸の製造方法が提供される。
【0045】本明細書で言う「タンパク質又はその誘導
体」における誘導体とは、天然のタンパク質のみなら
ず、タンパク質と他の成分(例えば、糖や核酸など)と
の複合物やタンパク質の修飾物などを意味する。本明細
書で言う「核酸又はその誘導体」における誘導体とは、
天然の核酸のみならず、核酸と他の成分(例えば、糖や
タンパク質など)との複合物や核酸の修飾物などを意味
する。
【0046】In Vitro Virus法においては翻訳の対象と
なるmRNAをピューロマイシン誘導体と効率よく融合
させることが必要であり、従来の方法ではmRNAと相
補鎖をつくるDNAの導入が行われている。相補鎖の形
成はPNAの塩基部分でも可能であり、むしろ塩基対の
特異性や安定性の点でPNAの方がDNAよりも優れて
いることが多い。ピューロマイシン誘導体とmRNAを
共有結合させるためのライゲーションやmRNAの逆転
写のために用いられる配列はDNAであることが必要で
あるが、DNAとPNAを融合した誘導体を作る方法も
ほぼ確立されており、両者の利点を生かしたIn Vitro V
irus法のためのピューロマイシン誘導体の合成が可能で
ある。PNA化ピューロマイシン誘導体はユニットの複
雑な構築に適しているだけでなく、効率のよい大量合成
にも向いており、核酸合成法をベースとして作られたピ
ューロマイシン誘導体とともにC末端1分子ラベル法や
In Vitro Virus法の応用展開の可能性を広げることが期
待される。
【0047】式(1)、式(3)又は式(5)の化合物
をタンパク質中に取り込ませる場合には、タンパク質を
コードする核酸(好ましくはmRNA)と、取り込ませ
るべき式(1)、式(3)又は式(5)の化合物とを転
写翻訳系に導入することにより行なうことができる。核
酸からそれがコードするタンパク質を人工的に生成させ
るための転写翻訳系は当業者に公知である。具体的に
は、適当な細胞よりタンパク質合成能を有する成分を抽
出し、その抽出液を用いて目的の蛋白質を合成させる無
細胞蛋白質合成系が挙げられる。このような無細胞蛋白
質合成系には、リボゾ−ム、開始因子、伸長因子及びt
RNA等の転写・翻訳系に必要な要素が含まれている。
【0048】このような無細胞蛋白質合成系(細胞溶解
物由来の系)としては、原核又は真核生物の抽出物によ
り構成される無細胞翻訳系が挙げられ、例えば大腸菌、
ウサギ網状赤血球抽出液、小麦胚芽抽出液などが使用で
きるが、DNA又はRNAから目的とする蛋白質を産生
するものであればいずれでもよい。また、無細胞翻訳系
はキットとして市販されているものを使用することがで
き、例えば、ウサギ網状赤血球抽出液 (Rabbit Reticul
ocyte Lysate Systems, Nuclease Treated, Promega)や
小麦胚芽抽出液 (Wheat Germ Extract, Promega)などが
挙げられる。転写翻訳系としては、生細胞を使用しても
よく、具体的には、原核又は真核生物、例えば大腸菌の
細胞などが使用できる。無細胞翻訳系又は生細胞など
は、その中にタンパク質をコードする核酸を添加又は導
入することによってタンパク質合成が行われるものであ
る限り制限されない。
【0049】本発明では、タンパク質をコードするRN
Aと、該タンパク質中に取り込ませるべき式(1)、式
(3)又は式(5)の化合物とを、上記したような転写
翻訳系に導入してRNAをタンパク質に翻訳することに
より、該化合物が導入されたタンパク質を作成すること
ができる。以下の実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は実施例によって限定されることは
ない。
【0050】
【実施例】実施例1:C末端1分子ラベルのためのPN
A化ピューロマイシン誘導体の合成ピューロマイシン2
塩酸塩(和光純薬工業)272 mgを30 mlの0.3 M炭酸ナト
リウム-0.2 M炭酸水素ナトリウム-2.0 M塩化ナトリウム
水溶液(水溶液A)と20 mlの塩化メチレンに溶かし、
撹拌したのち有機層を分離した。水層に塩化メチレン
(20 ml)を加えて再度分液し、有機層を合わせてエバ
ポレーターで濃縮したのち、少量のピリジンを加えて濃
縮する操作を2回繰り返し、得られた固体をアセトニト
リル(5 ml)とピリジン(2.5 ml)に溶解した。無水ト
リフルオロ酢酸1.0 gを加えて室温で30分撹拌したのち
氷冷して水5 mlを加え、さらに20 mlの水溶液Aを徐々
に加えた。塩化メチレン(20 ml)で2回抽出し、得ら
れた有機層を濃縮してからピリジンを加えて濃縮する操
作を2回繰り返し、粗Nα-トリフルオロアセチル−ピュ
ーロマイシン(約280 mg)を得た。
【0051】粗Nα-トリフルオロアセチル−ピューロマ
イシン(約280 mg)をピリジン2.5mlに溶かした溶液に2
35 mgの塩化トシルをピリジン2.5 mlに溶かした溶液を
室温で加え1時間撹拌した。氷浴で冷却してから0.2 ml
の水を加えて5分間撹拌し、さらに酢酸エチルと5%炭酸
水素ナトリウム水溶液を加えて分液操作をして得られた
有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水
で洗浄した。有機層を濃縮し、酢酸エチルを展開溶媒と
してシリカゲルクロマトグラフィーで精製してNα-トリ
フルオロアセチル-5'-トルエンスルホニルピューロマイ
シンを290 mg得た。
【0052】Nα-トリフルオロアセチル-5'-トルエンス
ルホニルピューロマイシン(290 mg)をジメチルスルホ
キシド(10 ml)に溶解し、アジ化ナトリウム(130 m
g)を加えて室温で3日間撹拌した。酢酸エチルと3%炭
酸水素ナトリウム水溶液を加えて分液し、有機層を3%炭
酸水素ナトリウム水溶液で2回、2.0 M塩化ナトリウム
水溶液で3回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾
燥し、塩類をグラスフィルターで濾去して酢酸エチルで
洗い、洗液と濾液を合わせて濃縮し、粗Nα-トリフルオ
ロアセチル-5'-アジド-5'-デオキシピューロマイシンを
220 mg得た。
【0053】粗Nα-トリフルオロアセチル-5'-アジド-
5'-デオキシピューロマイシン約220mgをピリジン1.5 ml
に溶かし、トリフェニルホスフィン150 mgを加えて室温
で2時間撹拌したのち水2.0 mlを加えてさらに室温で1
6時間撹拌した。酢酸エチル(約30 ml)、ヘキサン
(約15 ml)、5%酢酸水溶液(約40 ml)を加えて分液
し、水層を凍結乾燥して粗Nα-トリフルオロアセチル-
5'-アミノ-5'-デオキシピューロマイシン(以下、化合
物1)を145 mg得た。化合物1は逆相高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)で精製してから次の反応に用いた。
【0054】シトシンのユニットは脱保護に強酸を用い
ないPNA合成のために開発されたユニットであるN-[2
-((4-メトキシフェニル)-ジフェニルメチルアミノ)エチ
ル]-N-[(N4-(4-tert-ブチルベンゾイル)-シトシン-1-イ
ル-アセチル)グリシンをWillらの方法(Tetrahedron 5
1, 12069-12082, 1995)に従って合成し、これをジメチ
ルホルムアミド中ピリジン1等量存在下でペンタフルオ
ロフェニルトリフルオロ酢酸1等量と反応させることで
活性エステルとした。活性エステル溶液(約25mM)を活
性エステルが化合物1に対し3等量となるように加え、
さらに3分の1容量の0.15 M炭酸緩衝液(炭酸ナトリウ
ム1に対し炭酸水素ナトリウム20)を加えて室温で撹拌
した。約5倍量のエタノールと10倍量の濃アンモニア
水を加え室温で2時間、50℃で30分反応させたあと
ほぼもとの容量となるまで濃縮し、氷浴で冷却しつつ3
倍量の75%酢酸を加えた。室温に戻してから1%トリフ
ルオロ酢酸水溶液をほぼ等量加え、6時間放置したのち
水で約2倍に希釈し、濾過をしたのち逆相HPLCで目的物
であるPNA化シトシン-ピューロマイシンを精製し
た。精製したPNA化シトシン-ピューロマイシンの物
性データを以下に示す。
【0055】MS (MALDI) 722.5 [M+H]+; H1 NMR (270 M
Hz, d6-DMSO) 8.50 (1H, d); 8.36 (1H, t); 8.26 (1H,
s); 8.12 (2H, br); 7.96 (1H, br); 7.72 (1H, br);
7.23(2H, q); 6.92 (2H, q); 6.06 (1H, t); 5.96 (1H,
s); 4.85 (1H, s); 4.7-4.5(2H, m); 4.53 (1H, s);
4.3-3.8 (10H); 3.74 (3H, s); 3.46 (6H, br); 3.35(2
H, m); 3.09 (2H, q); 2.94 (2H, d)
【0056】PNA化シトシン-ピューロマイシンをCy5
Monofunctional Dye(アマシャムファルマシアバイオ
テク)で蛍光ラベルし、逆相HPLCで目的物のCy5-c-amPu
ro(図1)を精製した。ラベル剤はNαアミノ基とはほ
とんど反応せず、5'アミノ基で蛍光ラベルが優先的に行
われた。MS (MALDI) 1360.56 [M]+実施例1の合成を示
す化学反応式を以下に示す。
【0057】
【化16】
【0058】実施例2:2つの標識物質が導入されたPN
A化ピューロマイシン誘導体の合成 実施例1で用いたシトシンユニットの活性エステル溶液
(約25 mM)を活性エステルが化合物1に対し3等量と
なるように加え、さらに3分の1容量の0.15 M炭酸緩衝
液(炭酸ナトリウム1に対し炭酸水素ナトリウム20、以
下、水溶液B)を加えて室温で撹拌した。1時間後、氷
浴で冷却しつつ3倍量の75%酢酸を加え、1時間放置し
たのち0.1%トリフルオロ酢酸水溶液を2.5倍量加えた。
室温に戻して濾過をしたのち逆相HPLCで精製してN-(2-
アミノエチル)-N-[N4-(4-tert-ブチルベンゾイル)-シト
シン-1-イル-アセチル] グリシル-Nα-トリフルオロア
セチル-5'-アミノ-5'-デオキシピューロマイシンを得
た。
【0059】N-[(4-メトキシフェニル)-ジフェニルメチ
ル]-β-アラニル-Nε-t-ブトキシカルボニル-L-リシル-
β-アラニン330 mgを5 mlのDMFに溶かし、ピリジン1等
量及びペンタフルオロフェニルトリフルオロ酢酸1等量
を加えて15分撹拌した。この溶液0.5 mlを、前項で得
られた化合物20 mgを2 mlのDMFに溶かした溶液に加え、
さらに水溶液B0.8 mlを加えて1時間撹拌した。氷冷し
たのち2倍量の75%酢酸を加え、1時間放置したのち0.
1%トリフルオロ酢酸水溶液を2倍量加えた。室温に戻
して濾過をしたのち逆相HPLCで精製してβ-アラニル-N
ε-t-ブトキシカルボニル-L-リシル-β-アラニル-N-(2-
アミノエチル)-N-[N4-(4-tert-ブチルベンゾイル)-シト
シン-1-イル-アセチル] グリシル-Nα-トリフルオロア
セチル-5'-アミノ-5'-デオキシピューロマイシンを得
た。
【0060】上記で得られた化合物約5 mgを定法に従っ
て(+)-Biotin-PEO4-NHS-Propionate(フナコシ)で修飾
したのち、生成物を単離せずに約5倍量のエタノールと
10倍量の濃アンモニア水を加え室温で2時間、50℃
で30分反応させた。溶液を濃縮したのち酢酸で酸性に
して逆相HPLCでビオチンラベル体を精製した。凍結乾燥
して得られた固体を氷浴中80%トリフルオロ酢酸水溶液
で1時間処理し、水で希釈してから再び凍結乾燥した。
β-アラニルのアミノ基が前記のビオチン修飾剤でラベ
ルされたβ-アラニル-L-リシル-β-アラニル-N-(2-アミ
ノエチル)-N-(N4-シトシン-1-イル-アセチル) グリシル
-5'-アミノ-5'-デオキシピューロマイシン誘導体が約4
mg得られた。MS (MALDI) 1466.7 [M+H]+
【0061】上記で得られた化合物を定法に従ってCy5
Monofunctional Dye(アマシャムファルマシアバイオテ
ク)で蛍光ラベルし、逆相HPLCで目的物(以下に示す式
(6)の化合物)を精製した。
【0062】
【化17】
【0063】実施例3:Cy5-c-amPuro(図1)によるGF
PのC末端1分子ラベル 合成したCy5-c-amPuroが無細胞翻訳系において実際にタ
ンパク質に取り込まれるかどうかを確認した。 活性を
比較する対象としてピューロマイシンにリン酸ジエステ
ル結合でdC、5'-アミノ修飾5(グレンリサーチ)を結合
させCy5でラベルしたCy5-dC-Puroを用いた。タンパク質
は分子量約27,000のGreen FluorescentProtein (GFP)を
選んだ。GFPは伊藤らが見い出したもの(名称:GFPuv
4)(Ito,Y. et al., Biochemical and Biophysical Re
search Communication 264, 556-560, (1999))を用
い、488nmのレーザー光でも容易に励起されてイメージ
アナライザーで確認できるようにした。このGFPの上流
にT'7プロモーター領域及びKozak配列をもったDNAコン
ストラクトを作成するために次のようなやり方をした。
【0064】T'7プロモーター領域及びKozak配列をもっ
たDNA(配列番号1)を鋳型DNAとする.この鋳型の5'側
の配列を含むプライマー(配列番号2)と3’側の相補
鎖の一部とGFPの5’側の相補鎖配列を含むプライマー
(配列番号3)でPCRを行った。PCR条件は,95℃20秒,
68℃20秒,72℃20秒を25回,EX Taqポリメラーゼ
(Takara)を用いて行った.次にGFPuv4をコードしたプ
ラスミドを鋳型として、配列番号4及び配列番号5のプ
ライマーでPCRした。PCRの条件は95℃で20秒,68℃
で20秒,72℃で30秒を30サイクル、EX Taqポリメラーゼ
(Takara)を用いて行った。
【0065】これらのPCR産物はフェノール抽出後、プ
ライマーリムーバー(Edge Biosystem)を用いてエタノ
ール沈澱を行い精製した。これらのDNAテンプレートを
各々等モル加えて、配列番号2及び配列番号5のプライ
マーでPCRした。PCR条件は95℃で20秒,68℃で20秒,72
℃で40秒を30サイクル、EX Taqポリメラーゼ(Takara)
を用いて行った。これらのPCR産物はフェノール抽出
後、プライマーリムーバー(Edge Biosystem)を用いて
エタノール沈澱を行い精製した。精製したDNAはRibo
MAX(Promega)を用いて転写し翻訳用のmRNAとし
た。このmRNA1μgとCy5-dC-Puro、Cy5-c-amPuroを
各々最終濃度が20μM,40μMになるように50μlの小麦胚
芽無細胞翻訳系(Promega)に加え、26℃で1時間反応さ
せた。サンプルは反応液10μlをサンプルバッファー
10μlに混ぜ、15%SDS-ポリアクリルアミド電気泳動に
よって分離した。確認はイメージアナライザーFX Mole
cularImager (Bio-Lad社)でGFPの蛍光およびCy5の蛍光
を検出した。いずれの翻訳反応でもGFPは合成されてお
り、ラベル化の効率はCy5-c-amPuroの方が Cy5-dC-Puro
より優れていることがわかった(図2)。
【0066】
【発明の効果】本発明により、タンパク質の効率のよい
C末端ラベルを行なうために使用することができるピュ
ーロマイシン誘導体が提供されることになった。
【0067】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> GenCom <120> Puromycin derivatives and use thereof <130> A01556MA <160> 5
【0068】 <210> 1 <211> 110 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 1 gatcccgcga aattaatacg actcactata gggagaccac aacggtttcc ctctagaaat 60 aattttgttt aactttaaga aggagatgcc accatggttg agccccgcat 110
【0069】 <210> 2 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 2 gatcccgcga aattaatacg actcactata ggg 33
【0070】 <210> 3 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 3 agatccgccg ccacccatct ccttcttaaa gttaaacaaa att 43
【0071】 <210> 4 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 4 ggtggcggcg gatctatgag taaaggagaa gaacttttca 40
【0072】 <210> 5 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA <400> 5 tttgtagagc tcatccatgc catgtgtaat cc 32
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で合成したCy5-c-amPuroの化
学構造を示す図である。
【図2】図2は、Cy5-dC-Puro(比較用)及びCy5-c-amP
uro(本発明)を用いてGFPのC末端1分子ラベルを行な
った結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA12 HA11 4B064 AG01 CA21 CC03 CC24 CD09 CD15 DA13 4C057 BB02 CC03 DD03 LL31 LL41 MM01 4H045 AA10 AA20 BA10 BA11 CA50 EA50 FA30 FA33 FA70 GA31

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表される化合物又はその
    塩。 【化1】 (式中、L1はスペーサー基を示し、R1は反応性基を示
    し、Nuはピリミジン塩基又はプリン塩基の残基を示
    す。)
  2. 【請求項2】 L1が炭素数1〜6のアルキレン基を示
    す、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 【請求項3】 L1がエチレン基である、請求項1又は
    2に記載の化合物又はその塩。
  4. 【請求項4】 R1がアミノ基または保護されたアミノ
    基である、請求項1から3の何れかに記載の化合物又は
    その塩。
  5. 【請求項5】 Nuがピリミジン塩基の残基である、請
    求項1から4の何れかに記載の化合物又はその塩。
  6. 【請求項6】 Nuがシトシンの残基である、請求項1
    から5の何れかに記載の化合物又はその塩。
  7. 【請求項7】 下記式(2)で表される化合物又はその
    塩。 【化2】
  8. 【請求項8】 下記式(3)で表される化合物又はその
    塩。 【化3】 (式中、L1及びL3は各々独立にスペーサー基を示し、
    2は連結基を示し、Nuはピリミジン塩基又はプリン
    塩基の残基を示し、Xは標識物質の残基を示す。)
  9. 【請求項9】 L1及びL3が各々独立に炭素数1〜6の
    アルキレン基を示す、請求項8に記載の化合物又はその
    塩。
  10. 【請求項10】 L2が−CO−NH−基であり、窒素
    原子がL1と連結し、炭素原子がL3と連結している、請
    求項8又は9に記載の化合物又はその塩。
  11. 【請求項11】 Nuがピリミジン塩基の残基である、
    請求項8から10の何れかに記載の化合物又はその塩。
  12. 【請求項12】 Nuがシトシンの残基である、請求項
    8から11の何れかに記載の化合物又はその塩。
  13. 【請求項13】 Xが蛍光物質の残基を示す、請求項8
    から12の何れかに記載の化合物又はその塩。
  14. 【請求項14】 下記式(4)で表される化合物又はそ
    の塩。 【化4】
  15. 【請求項15】 下記式(5)で表される化合物又はそ
    の塩。 【化5】 (式中、L1、L3、L6、L8、L9、L11及びL13は各
    々独立にスペーサー基を示し、L2、L4、L5、L7、L
    10、L12は各々独立に連結基を示し、Nuはピリミジン
    塩基又はプリン塩基の残基を示し、X1及びX2は各々独
    立に標識物質の残基を示す。)
  16. 【請求項16】 L1、L3、L6、L8、L9、L11及び
    13が各々独立に各々独立に炭素数1〜6のアルキレン
    基を示す、請求項15に記載の化合物又はその塩。
  17. 【請求項17】 L2、L4、L5、L7、L10、L12が各
    々独立に−CO−NH−基である、請求項15又は16
    に記載の化合物又はその塩。
  18. 【請求項18】 Nuがピリミジン塩基の残基である、
    請求項15から17の何れかに記載の化合物又はその
    塩。
  19. 【請求項19】 Nuがシトシンの残基である、請求項
    15から18の何れかに記載の化合物又はその塩。
  20. 【請求項20】 Xが蛍光物質の残基を示す、請求項1
    5から19の何れかに記載の化合物又はその塩。
  21. 【請求項21】 下記式(6)で表される化合物又はそ
    の塩。 【化6】
  22. 【請求項22】 請求項1から21の何れかに記載の化
    合物又はその塩を構成成分として含むタンパク質又はそ
    の誘導体。
  23. 【請求項23】 請求項1から21の何れかに記載の化
    合物又はその塩を構成成分として含む核酸又はその誘導
    体。
  24. 【請求項24】 請求項1から21の何れかに記載の化
    合物又はその塩をタンパク質中に取り込ませる工程を含
    む、修飾タンパク質の製造方法。
  25. 【請求項25】 請求項1から21の何れかに記載の化
    合物又はその塩を核酸中に取り込ませる工程を含む、修
    飾核酸の製造方法。
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