JP2002265264A - 高温用酸化ジルコニウム基セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

高温用酸化ジルコニウム基セラミックス及びその製造方法

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JP2002265264A
JP2002265264A JP2001065495A JP2001065495A JP2002265264A JP 2002265264 A JP2002265264 A JP 2002265264A JP 2001065495 A JP2001065495 A JP 2001065495A JP 2001065495 A JP2001065495 A JP 2001065495A JP 2002265264 A JP2002265264 A JP 2002265264A
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oxide particles
temperature
sintering
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Tsuneji Kameda
常治 亀田
Takahiro Hamada
孝浩 浜田
Yutaka Ishiwatari
裕 石渡
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼き締まり・粒成長による剥離破壊の進行、
熱伝導率等の特性変化を抑えて構造及び組織変化を防
ぎ、高い遮熱・断熱特性を長期にわたって保持する高温
用酸化ジルコニウム基セラミックスを提供すること。 【解決手段】 安定化剤を含む酸化ジルコニウム粒子を
主体とするセラミックス形成成分の焼結体であって、そ
の粒界に存在し、該酸化ジルコニウム粒子と実質的に反
応しない第2相形成粒子9と、酸化ジルコニウム粒子の
粒界に存在し、その一部が前記酸化ジルコニウム粒子内
に固溶している焼結制御成分10とを含有する。第2相
形成粒子9が酸化ジルコニウム粒子10相互を離間さ
せ、焼結制御成分11が酸化ジルコニウム粒子10内に
拡散して酸化ジルコニウム粒子10自体の性質を相互拡
散しにくくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温下での焼き締
まりが少なく、高温下で長期にわたって優れた遮熱・断
熱特性を保持することのできる高温用酸化ジルコニウム
基セラミックス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンの燃焼ガス流路部材(特に
燃焼器、静・動翼)は、高温雰囲気や応力下等の非常に
過酷な環境のもとで使用れさる。これらの高温部材には
従来耐熱合金等の金属部材が用いられてきたが、燃焼温
度の上昇に伴って金属部材を高温雰囲気から保護するた
めに、熱伝導率が小さいセラミックス被覆層を遮熱層と
して金属部材の表面に施工することが行われるようにな
ってきている。
【0003】また、電気炉や熱処理炉等の高温の炉壁か
ら放射される輻射熱を遮るための断熱壁としてもセラミ
ックス材料が使用されている。
【0004】従来、このような遮熱層や断熱層の構成材
料としては、熱伝導率が小さく、かつ熱膨張率が大き
く、金属部材との整合性のよい酸化ジルコニウム基セラ
ミックスが使用されている。
【0005】酸化ジルコニウム基セラミックスの優れた
断熱・遮熱効果は、酸化ジルコニウム粒子の低熱伝導率
性と合わせて表面から厚さ方向(垂直方向)に多数形成
された微細なクラック及び気孔の存在によるところが大
きい。この微細なクラック及び気孔は、酸化ジルコニウ
ム基セラミックスを溶融状態あるいは1300〜150
0℃で焼結した後常温まで放冷する際に、温度が下がっ
た表面部と高温の内部との温度差に由来する熱歪みによ
り形成されるものであって、酸化ジルコニウム粒子の表
面から内部に向けて無数に形成される。
【0006】従来の酸化ジルコニウム基セラミックスで
は、焼結温度に近い高温、例えば1100℃程度の環境
に長時間おかれると酸化ジルコニウム粒子相互で構成原
子の拡散が生じて、はじめに形成されたクラック及び気
孔が減少したり消失したりして焼き締まりや結晶の粗大
化が生じるという問題があった。
【0007】このように焼き締まりや結晶の粗大化が生
じると、例えば溶射層にあっては、焼き締まりや結晶の
粗大化が生じた部分と下層の製造時のままの組織との間
に歪みが生じて表面が剥落し、さらに剥落後の新たな表
面にも同様に焼き締まり等が生じ、これが繰り返される
とついには酸化ジルコニウム基セラミックスの有する優
れた遮熱・断熱効果が喪失してしまう。
【0008】特開平11−50226号公報には、この
ような問題を解決するため、酸化ジルコニウムの粒界に
酸化ジルコニウムと反応しない元素やそれを含む化合物
の微粒子または膜を存在させ、これによって酸化ジルコ
ニウム粒子相互の拡散を防ぐようにした発明が開示され
ている。
【0009】しかし、この発明は、酸化ジルコニウム粒
子相互の間に拡散抑制要素である非拡散粒子を介在させ
て酸化ジルコニウム粒子相互の物理的接触を可及的妨げ
て酸化ジルコニウム相互の拡散を防止しようとするもの
であって、酸化ジルコニウム粒子そのものを拡散しにく
い性質にするものではない。
【0010】酸化ジルコニウム基セラミックスについて
は、特開平11−50226号公報以外にも次のような
発明が開示されている。
【0011】すなわち、特開平1−188467号公報
には、単結晶のβ−SiC粒子を複合化した酸化ジルコ
ニウム基セラミックスが開示され、特開昭63−129
066号公報には、ジルコニア、アルミナ及びチタニア
等からなる高硬度高強度の酸化ジルコニウム基セラミッ
クスが開示され、さらに、特開昭63−222070号
公報には、Si3 N4 粒子を複合化した酸化ジルコ
ニウム基セラミックスが開示されている。
【0012】また、主に強度や熱水安定性に対する特性
の改善を目的に、使用する安定化剤の種類ごとの効果も
検討されている。
【0013】すなわち、特開昭61−101463号公
報及び特開昭63−156063号公報には、安定化剤
としてイットリア及びセリアの両方を含有する酸化ジル
コニウム基セラミックスが開示され、特開昭63−27
7560号公報には、安定化剤としてマグネシア及びイ
ットリアの両方を含有する酸化ジルコニウム基セラミッ
クスが開示され、特開平6−32653号公報及び特開
平5−345665号公報には、安定化剤を含まず、ナ
ノ粒子分散による粒径微細化効果により安定化を図った
酸化ジルコニウム基セラミックスが開示されている。
【0014】しかしながら、上述した公知の文献のう
ち、特開平1−188467号公報及び特開平63−2
22070号公報に示された酸化ジルコニウム基セラミ
ックスは、いずれも微粒子の易焼結性原料粉末を用いて
比較的低温で焼結したものであり、ジルコニア相中にし
める正方晶の割合が約90vol%以上と高<、また焼
結体の粒径を微細に保ちつつ高密度とすることで、高強
度・高靭性とした材料であり、800℃から焼結温度近
傍におけるような高温での使用可能性については言及し
ていない。
【0015】また、特開昭63−129066号公報に
示された酸化ジルコニウム基セラミックスは、マグネシ
アで安定化したジルコニアをベースとし、アルミナ等の
第2成分と組み合わせてチタニア等の第三成分を存在さ
せた材料を用いているが、同様に高温での使用可能性に
ついては明らかにされていない。
【0016】さらに、特開昭61−101463号公
報、特開昭63−156063号公報及び特開昭63−
277560号公報に示されたジルコニア質焼結体は、
分散粒子を含有するジルコニア質焼結体について安定化
剤種類の効果が検討されているが、やはり800℃〜焼
結温度近傍におけるような高温での使用可能性について
は検討されていない。安定化剤を含まず、ナノ粒子分散
による粒径微細化効果により安定化を図った、特開平6
−32653号公報及び特開平5−345665号公報
に示されるジルコニア質焼結体についてもこのような高
温での使用可能性については検討されていない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、従来
の酸化ジルコニウム基セラミックスに関する発明では、
高温使用時の焼結・粒成長の抑制について検討されたも
のは少なく、高温使用時の焼結・粒成長の抑制について
検討したものでも、酸化ジルコニウムの粒子表面や結晶
粒界に拡散を防止する第2相を形成させる材料を配合す
る技術は知られているが(特願平11−50228号公
報)、酸化ジルコニウム粒子自体の焼結性を阻害する技
術は知られていない。
【0018】本発明は、かかる点に鑑みなされたもの
で、安定化材を含む酸化ジルコニウムに、酸化ジルコニ
ウムの拡散を抑制する第2相形成成分とともに、酸化ジ
ルコニウム自体の焼結・粒成長を抑制する成分を添加す
ることにより、焼結温度近傍の高温での長期間の使用に
よっても酸化ジルコニウム粒子間の拡散が生じにくく、
焼き締まり・粒成長による剥離破壊の進行、熱伝導率等
の特性変化を抑えて構造及び組織変化を防ぎ、高い遮熱
・断熱特性を長期にわたって保持することのできる高温
用酸化ジルコニウム基セラミックスを提供することを目
的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の高温用酸化ジル
コニウム基セラミックスは、安定化剤を含む酸化ジルコ
ニウム粒子を主体とするセラミックス形成成分の焼結体
であって、前記酸化ジルコニウム粒子の粒界に存在し、
該酸化ジルコニウム粒子と実質的に反応しない0.01
〜30wt%の第2相形成粒子と、前記酸化ジルコニウ
ム粒子の粒界に存在し、その一部が前記酸化ジルコニウ
ム粒子内に固溶している0.6%〜5.0wt%の焼結
制御成分とを含有することを特徴とする。
【0020】本発明の高温用酸化ジルコニウム基セラミ
ックスの構成結晶相は、その主相が、正方晶か、立方晶
である。
【0021】本発明における酸化ジルコニウムの安定化
剤は、好ましくは、酸化イットリウム、酸化セリウム及
び酸化マグネシウムから選ばれる。
【0022】これらの安定化剤は、高温用酸化ジルコニ
ウム基セラミックスの製造に際して、予め酸化ジルコニ
ウムに含有させて造粒して使用してもよく、第2相形成
粒子や焼結制御成分とともに酸化ジルコニウム粒子に添
加するようにしてもよい。
【0023】安定化剤の配合量は通常5〜30wt%の
範囲である。
【0024】酸化ジルコニウムは、成形して焼結する場
合には、平均粒径0.5〜5μmのものが使用され、溶
射により成層する場合には、平均粒径0.5〜200μ
mのものが使用される。また、CVDにより成膜する場
合には、他の成分とともに気化性の化合物の形態で使用
される。
【0025】本発明に使用する第2相形成粒子として
は、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム−酸化マグネ
シウムスピネル、ムライト及びジルコンから選ばれた少
なくとも1種の化合物が例示され、特に、酸化アルミニ
ウムを用いた場合に、添加量が微量の範囲から優れた高
温安定性が得られる。
【0026】第2相形成粒子の粒子径は、平均粒径で
0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲に
あることが望ましい。
【0027】これらの第2相形成粒子は、酸化ジルコニ
ウム粒子の焼結工程において、実質的に酸化ジルコニウ
ム粒子と反応せずに、酸化ジルコニウム粒子の粒界に存
在して酸化ジルコニウム粒子の構成原子が相互拡散する
のを抑制する作用をする。
【0028】酸化ジルコニウム基セラミックスを、溶射
により製造する場合には、この第2相形成粒子は酸化ジ
ルコニウム粒子、焼結制御成分とともに高温、高速で基
体、例えば金属板に吹き付けられ、偏平塊状に基体に付
着した酸化ジルコニウム粒子の上に溶着し、酸化ジルコ
ニウム粒子の粒子間に介在して酸化ジルコニウム粒子を
包み込み、酸化ジルコニウム粒子どうしが直接接触する
のを防止する。酸化ジルコニウム粒子を包んだ第2相形
成粒子の厚さは平均で0.1〜10μm、好ましくは
0.5〜2μmである。
【0029】本発明に使用する焼結制御成分としては、
酸化イットリウム及び酸化セリウムを除く希土類酸化
物、酸化チタニウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸
化鉄及び酸化ハフニウムから選ばれた少なくとも1種が
例示される。
【0030】酸化イットリウム及び酸化セリウムを除く
希土類酸化物としては、例えばネオジムやランタンの酸
化物が例示される。
【0031】これらの焼結制御成分は、平均粒径0.1
〜5μmのものが使用される。
【0032】次に、本発明の酸化ジルコニウム基セラミ
ックスの製造方法を図1のフローチャートを参照しなが
ら説明する。
【0033】本発明の酸化ジルコニウム基セラミックス
の製造に際しては、まず、原料粉末の調整1が行われ
る。
【0034】この原料粉末の調整においては、所定の粒
径の酸化ジルコニウム粒子、第2相形成粒子、焼結制御
成分が用意される。これらの原料粉末中、安定化剤は、
予め酸化ジルコニウム粒子と混合しておいてもよく他の
成分と一緒に次の湿式又は乾式による混合工程で混合す
るようにしてもよい。
【0035】原料成分の混合はこれらの原料粉末が所定
の配合比で計量され湿式又は乾式により均一に混合され
る2。これらの原料粉末を湿式で混合する場合には、例
えば、所定の配合料の原料粉末がジルコニアボールを用
いたボールミル中でエタノ一ルを分散媒として湿式で混
合・粉砕され、乾燥後粉末を通篩して造粒される。ま
た、乾式で混合する場合には、分散媒を用いずにボール
ミル中で混合・粉砕され、乾燥後粉末を通篩して造粒さ
れる。
【0036】次に所定の配合比率で混合造粒された原料
粉末は、用途に応じて、金型成形3された後、大気中、
真空中、N2 中又は、He・Arの不活性ガス雰囲気
中のいずれかにおいて、常圧焼結、ホットプレス焼結、
HIP(等方加圧焼結)又は常圧焼結とHIPの組み合
わせにより焼結4されるか、溶射5により金属板のよう
な基板上に溶射成層されるか、任意の成膜方法6、例え
ばペースト状にして塗布、熱処理する厚膜形成法、スパ
ッタリング法等により成膜されて酸化ジルコニウム基セ
ラミックス7が得られる。
【0037】金型成形3−焼結4の方法は、通常のセラ
ミックス成形品の製造に用いられる方法であり、図2に
示すように、この方法で製造された酸化ジルコニウム基
セラミックス8aでは、第2相形成粒子9が酸化ジルコ
ニウム粒子10の三重点や酸化ジルコニウム粒子10の
粒子間に介在して酸化ジルコニウム粒子10相互を物理
的に離間させ、焼結制御成分11が酸化ジルコニウム粒
子10内に拡散して酸化ジルコニウム粒子10自体の性
質を相互拡散しにくくして、高温下での焼き締まりを防
いでいる。
【0038】溶射法5は、基板、例えば金属板上に、セ
ラミックスを成層または成膜するのに使用される方法で
あり、図3に示すように、金属板12上にA方向から溶
射して製造された酸化ジルコニウム層8bでは、偏平状
の第2相形成粒子9が偏平状の酸化ジルコニウム粒子1
0間に介在して第2相形成粒子9で酸化ジルコニウム粒
子10を包んだような状態となり、焼結制御成分11が
酸化ジルコニウム粒子10内に拡散して酸化ジルコニウ
ム粒子10自体の性質を相互拡散しにくくして高温下で
の焼き締まりを防いでいる。
【0039】本発明の酸化ジルコニウム基セラミック
ス、特に図3の酸化ジルコニウム基セラミックスでは、
偏平状の酸化ジルコニウム粒子10に、図4に示すよう
に、厚さ方向に無数の微細クラック13が形成されて扁
平塊状の酸化ジルコニウム粒子10が複数に分割された
状態となっている。この微細クラックに沿った構成結晶
相は単斜晶であり、第2相形成粒子成分はこのクラック
の内側にも存在する。
【0040】本発明の酸化ジルコニウム基セラミックス
は、このような酸化ジルコニウム粒子構造に起因して、
高温での構造安定性が達成され、優れた遮熱・断熱効果
及び熱衝撃損傷特性を発揮する。
【0041】いずれの方法で製造された酸化ジルコニウ
ム基セラミックスも、第2相形成成分が0.01wt%
未満または焼結制御成分が0.6wt%未満では、粒成
長・焼結の進行抑制に十分な効果が得られず、逆に、第
2相形成成分が30wt%を超えるか、焼結制御成分が
5.0wt%を越えると、製造時に酸化ジルコニウムの
焼結阻害を起こして工業的な製造が困難になる。
【0042】なお、焼結制御成分には、酸化ハフニウム
が少なくともその一部として使用されることが望まし
く、より好ましくは酸化ハフニウムが焼結制御成分の過
半量で、かつ酸化ハフニウム単独で少なくとも1.0w
t%以上あることが望ましい。
【0043】第2相の主な存在形態が、平均粒径0.1
〜10μmの粒子状であるか、酸化ジルコニウム粒子を
包含するように扁平塊状であって酸化ジルコニウムを包
含した厚さが平均0.1〜10μmであると、酸化ジル
コニウムの粒成長・焼結の抑制に優れた効果を発揮す
る。
【0044】なお、ジルコニア粒子の構成結晶相の主相
は、正方晶または立方晶であることが望ましい。
【0045】さらに本発明のジルコニア基セラミックス
は、高温における使用前の特性として、かさ密度が4.
0〜6.0g/cm、好ましくは5.05〜5.7
0g/cm、ヤング率が20〜80GPa、3点曲
げ強度が30〜220MPaであることが望ましい。こ
のような特性の酸化ジルコニウムは、遮熱材または断熱
材として、優れた断熱性及び熱衝撃特性を発現する。
【0046】本発明の酸化ジルコニウム基セラミックス
は、靭性・強度、熱衝撃における強度・耐久性、及び断
熱性に優れており、従来の酸化物系セラミックスの適用
分野である断熱材、熱処理炉の治工具部品、耐食性部
品、遮熱コーティングなど、各種産業分野で広範囲に適
用することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係るジルコニア基
セラミックスの実施例を比較例と共に説明する。
【0048】
【表1】
【0049】実施例1〜3 安定化剤のY2 03 を8wt%含む平均粒径1μm
のZr02 粉末に対し、第2相形成粒子として平均粒
径1.0μmのアルミナ粒子を1.0〜20.0wt%
及び焼結制御成分を、表1に示す組成で、合計1.99
wt%添加し、ジルコニアボールを用いたボールミル中
でエタノ一ルを溶媒として湿式で混合・粉砕し、乾燥後
粉末を通篩して得た原料粉末を、500kg/cm
で金型成形した。この成形体を、大気圧中1700℃で
4時間保持して酸化ジルコニウム基セラミックスを作製
した。
【0050】得られた焼結体の寸法及び重量の測定から
密度を求め、更に焼結体から3×4×40mmの試験片
を切り出し加工して、室温での3点曲げ強度を評価し
た。また、試料を大気中、1300℃・10時間の条件
で熱処理し、熱処理後の密度を測定してその変化率を求
めた。これらの測定結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】実施例4〜7 安定化剤のY2 03 を8wt%含む平均粒径1μm
のZr02 粉末に対し、表1に示す組成で、第2相形
成粒子として平均粒径1.0〜1.6μmのアルミナ粒
子、スピネル粒子、ムライト粒子、ジルコン粒子を5.
0wt%及び焼結制御成分を合計1.7wt%添加した
原料粉末を用いた以外は、実施例1〜3と同一の条件で
酸化ジルコニウム基セラミックスを作製した。得られた
酸化ジルコニウム基セラミックスについて、実施例1〜
3と同一条件で、密度、3点曲げ強度および熱処理後の
密度を測定した。これらの測定結果を表2に示す。
【0053】実施例8 安定化剤のY2 03 を8wt%含む平均粒径1μm
のZr02 粉末に対し、表1に示すように、第2相形
成粒子として平均粒径1.0μmのアルミナ粒子を5.
0wt%及び焼結制御成分を表中に示す組成で合計2.
22wt%添加した原料微粉末を用いた以外は、実施例
1〜3と同一の条件で酸化ジルコニウム基セラミックス
を作製した。
【0054】得られた酸化ジルコニウム基セラミックス
について、実施例1〜3と同一条件で、密度、3点曲げ
強度および熱処理後の密度を測定した。これらの測定結
果を表2に示す。
【0055】実施例9 安定化剤のY2 03 を8wt%含む平均粒径1μm
のZr02 粉末に対し、表1に示すように、第2相形
成粒子として平均粒径1.0μmのアルミナ粒子を5.
0wt%及び焼結制御成分を表中に示す組成で合計1.
9wt%添加した原料粉末を用いた以外は、実施例1〜
3と同一の条件で酸化ジルコニウム基セラミックスを作
製した。
【0056】得られた酸化ジルコニウム基セラミックス
について、実施例1〜3と同一条件で、密度、3点曲げ
強度および熱処理後の密度を測定した。これらの測定結
果を表2に示す。
【0057】実施例10〜15 安定化剤のMgOを24wt%含む平均粒径3.5μm
のZr02 粉末に対し、表1に示す組成で、第2相形
成粒子として平均粒径1.0〜1.6μmのアルミナ粒
子、スピネル粒子、ムライト粒子、ジルコン粒子を1.
0〜20.0wt%及び焼結制御成分を合計0.01〜
0.21wt%添加した原料粉末を用いた以外は、実施
例1〜3と同一の条件で酸化ジルコニウム基セラミック
スを作製した。 得られた酸化ジルコニウム基セラミッ
クスについて、実施例1〜3と同一条件で、密度、3点
曲げ強度および熱処理後の密度を測定した。これらの測
定結果を表2に示す。
【0058】実施例16〜18 安定化剤のCeO2 ・Y2 03 を1wt%含むZ
rO2 粉末に対し、表1に示す組成で、第2相形成粒
子として平均粒径1.0μmのアルミナ粒子を1.0〜
20.0wt%及び焼結制御成分を表中に示す組成で合
計1.2wt%添加した原料粉末を用いた以外は、実施
例1〜3と同一の条件で酸化ジルコニウム基セラミック
スを作製した。
【0059】得られた酸化ジルコニウム基セラミックス
について、実施例1〜3と同一条件で、密度、3点曲げ
強度および熱処理後の密度を測定した。測定結果を表2
に示す。
【0060】実施例19〜24 表1に示すように、安定化剤としてのY2 03 を8
wt%、Y2 03を20wt%、MgOを24wt%
又はCeO2 ・Y2 03 を1wt%含む平均粒径
80μmのZrO2 粉末に対し、表1に示す組成で、
第2相形成粒子として平均粒径1.0μmのアルミナ粒
子を0.01〜0.21wt%及び焼結制御成分を1.
21〜2.22wt%添加した原料粉末を用い、大気プ
ラズマ溶射法で金属基材上に成層して酸化ジルコニウム
基セラミックスを作製した。これらの測定結果を表2に
示す。
【0061】また、実施例19〜22で得られた酸化ジ
ルコニウム基セラミックスについて熱処理前、1300
℃、10時間、1500℃、10時間熱処理後の断面の
SEM/BEI(走査電子顕微鏡/反射電子像)写真を
図5で示す。図5から、本発明の特徴の微細クラックが
試験片に形成されていることがわかる。
【0062】比較例1〜6 安定化剤のY2 03 を8wt%、Y2 03 を2
0wt%、MgOを24wt%又はCeO2 ・Y2
03 を1wt%含む平均粒径1.5μmのZrO2
粉末に対し、表1に示す組成で、第2相形成粒子を添加
せず、また焼結制御成分を表中に示す組成で合計0.2
wt%添加した原料粉末を用いた以外は、実施例1〜3
と同一の条件で酸化ジルコニウム基セラミックスを作製
した。
【0063】得られた酸化ジルコニウム基セラミックス
について、実施例1〜3と同一条件で、密度、3点曲げ
強度および熱処理後の密度を測定した。これらの測定結
果を表2に示す。
【0064】
【発明の効果】以上の実施例の結果からも明らかなよう
に、本発明によれば、従来比較的高温で使用した際の、
構造安定性に問題のあったジルコニア基セラミックスに
対し、第2粒子、及び/または焼結制御成分の分散によ
り、焼結・粒成長の抑制が可能で、その結果高温安定性
に優れた酸化ジルコニウム基セラミックスを得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の酸化ジルコニウム基セラミックスの
製造工程を示すフローチャート。
【図2】 本発明の酸化ジルコニウム基セラミックスの
一実施形態の模式図。
【図3】 本発明の酸化ジルコニウム基セラミックスの
他の実施形態の模式図。
【図4】 図3の酸化ジルコニウム基セラミックスの酸
化ジルコニウム粒子の断面を拡大して示す図。
【図5】 本発明の実施例19〜21における酸化ジル
コニウム基セラミックスの熱処理前、1300℃・10
時間熱処理後、1500℃・10時間熱処理後の断面の
状態を示すSEM/BEI写真。
【符号の説明】
8a……酸化ジルコニウム基セラミックス 9………第2相形成粒子 10………酸化ジルコニウム粒子 11………焼結制御成分 12………金属板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石渡 裕 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 4G031 AA03 AA04 AA07 AA08 AA10 AA11 AA12 AA21 AA29 AA30 BA20 BA22 CA01 CA04 GA03 GA08 GA12

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安定化剤を含む酸化ジルコニウム粒子を
    主体とするセラミックス形成成分の焼結体であって、 該酸化ジルコニウム粒子と実質的に反応しない0.01
    〜30wt%の第2相形成粒子と、 前記酸化ジルコニウム粒子の粒界または粒内に存在し、
    その一部が前記酸化ジルコニウム粒子内に固溶している
    0.6%〜5.0wt%の焼結制御成分とを含有するこ
    とを特徴とする高温用酸化ジルコニウム基セラミック
    ス。
  2. 【請求項2】 前記酸化ジルコニウム粒子の構成結晶相
    の主相が正方晶であることを特徴とする請求項1項記載
    の高温用酸化ジルコニウム基セラミックス。
  3. 【請求項3】 前記酸化ジルコニウム粒子の構成結晶相
    の主相が立方晶であることを特徴とする請求項1又は2
    項記載の高温用酸化ジルコニウム基セラミックス。
  4. 【請求項4】 前記安定化剤が、酸化イットリウム、酸
    化セリウム及び酸化マグネシウムから選ばれた少なくと
    も1種からなることを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れか1項記載の高温用酸化ジルコニウム基セラミック
    ス。
  5. 【請求項5】 前記第2相形成成分が、酸化アルミニウ
    ム、酸化アルミニウム−酸化マグネシウムスピネル、ム
    ライト及びジルコンから選ばれた少なくとも1種からな
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載
    の高温用酸化ジルコニウム基セラミックス。
  6. 【請求項6】 前記第2相形成成分が、酸化アルミニウ
    ムからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    1項記載の酸化ジルコニウム基セラミックス。
  7. 【請求項7】 前記第2相形成成分の主な存在形態が、
    平均粒径0.1〜10μmの粒子状であることを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれか1項記載の高温用酸化ジ
    ルコニウム基セラミックス。
  8. 【請求項8】 前記第2相形成成分の主な存在形態が、
    酸化ジルコニウム粒子を包むように酸化ジルコニウム粒
    子の粒界に存在する厚さが平均0.1〜10μmの扁平
    塊状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか
    1項記載の高温用酸化ジルコニウム基セラミックス。
  9. 【請求項9】 前記焼結制御成分が、酸化イットリウム
    及び酸化セリウムを除く希土類酸化物、酸化チタニウ
    ム、酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化鉄及び酸化ハフ
    ニウムから選ばれた少なくとも1種からなることを特徴
    とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の高温用酸化
    ジルコニウム基セラミックス。
  10. 【請求項10】 前記酸化ジルコニウム粒子が扁平塊状
    をなし、厚さ垂直方向に無数の微細クラックが形成され
    てなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項
    記載の高温用酸化ジルコニウム基セラミックス。
  11. 【請求項11】 前記酸化ジルコニウム粒子の微細クラ
    ックに沿った構成結晶相が単斜晶であることを特徴とす
    る請求項1乃至10のいずれか1項記載の高温用酸化ジ
    ルコニウム基セラミックス。
  12. 【請求項12】かさ密度が4.0〜6.0g/c
    、ヤング率が20〜80GPa、3点曲げ強度が
    30〜220MPaであることを特徴とする請求項1乃
    至11のいずれか1項記載の高温用酸化ジルコニウム基
    セラミックス。
  13. 【請求項13】 第2相形成粒子の0.01〜30wt
    %と;焼結制御成分の0.6%〜5.0wt%と;残部
    安定化剤を含む酸化ジルコニウム粒子又は安定化剤と酸
    化ジルコニウム粒子と;を混合し、この混合物を所定の
    形状に成形した後、大気中、真空中、N2 中又はHe
    ・Arの不活性ガス雰囲気中のいずれかにおいて、常圧
    焼結、ホットプレス焼結、HIP(等方加圧焼結)又は
    常圧焼結とHIPの組み合わせにより、焼結することを
    特徴とする高温用ジルコニア基セラミックスの製造方
    法。
  14. 【請求項14】 第2相形成粒子の0.01〜30wt
    %と;焼結制御成分の0.6%〜5.0wt%と;残部
    安定化剤を含む酸化ジルコニウム粒子又は安定化剤と酸
    化ジルコニウム粒子と;を混合し、この混合物を基体上
    に成層又は成膜することを特徴とする高温用酸化ジルコ
    ニウム基セラミックスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114368966A (zh) * 2021-03-26 2022-04-19 浙江丹斯登生物材料有限公司 一种氧化锆基全瓷义齿及其制备方法

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