JP2002265219A - 金属含有物の製造方法 - Google Patents

金属含有物の製造方法

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JP2002265219A
JP2002265219A JP2001067525A JP2001067525A JP2002265219A JP 2002265219 A JP2002265219 A JP 2002265219A JP 2001067525 A JP2001067525 A JP 2001067525A JP 2001067525 A JP2001067525 A JP 2001067525A JP 2002265219 A JP2002265219 A JP 2002265219A
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Hirohide Imai
寛秀 今井
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AZUSAA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ユーザー側において特に重金属イオンを含有
する溶液又はスラリーを低コストかつ小スペースで好適
に処理でき、処理された金属含有物を資源として再利用
可能とする。 【解決手段】 金属イオンを含有する溶液又はスラリー
にpH調整剤及び還元剤を添加し、pH値及び酸化還元
電位を調整して前記溶液中に含まれる金属イオンを金属
にした後、得られた溶液中に含まれる水分の少なくとも
一部を除去して、金属含有物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属イオンを含有
する溶液又はスラリーにpH調整剤と還元剤とを作用さ
せて、当該溶液又はスラリーから金属含有物を製造する
方法に関するものであり、特に重金属イオンを含有する
溶液又はスラリーから重金属含有物を製造するのに好適
な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属加工製品の製造工程における金属の
エッチング処理、金属の表面処理及びメッキ処理には、
通常、酸又はアルカリ溶液が使用され、これらの処理後
の溶液中には金属イオンが含まれている。例えば、プリ
ント回路板の製造工程では、プリント回路板にプリント
された銅は、プリント回路に必要な銅だけをプリント回
路として基板上に残し、その他の不要な銅は、酸性エッ
チング溶液又はアルカリ性エッチング溶液を用いてエッ
チング処理される。
【0003】銅のエッチング剤として塩化第二鉄溶液を
使用する場合、銅が塩化第二鉄溶液中に溶解するに従
い、該溶液中の銅イオンの濃度が増加する。一方、塩化
第二鉄溶液中の銅イオン濃度が増加すると、酸化剤であ
る塩化第二鉄イオン濃度は減少し塩化第一鉄イオン濃度
が増加する。塩化第一鉄イオンは酸化能力はなく、溶液
中に占める割合が多くなるに従って、エッチング溶液の
エッチング能力(エッチング速度)を低下させ、作業効
率を著しく悪くする。
【0004】上記銅のエッチング処理において一定の作
業効率を維持するためには、塩化第二鉄溶液を補充する
か又は薬剤(例えば、塩素酸塩、塩素ガス、塩酸、水
等)を添加して塩化第一鉄イオンの濃度を調整する必要
がある。この際、新たにエッチング溶液を補充し又は薬
剤を添加する分だけのエッチング廃液が排出される。
【0005】また、エッチング処理後のプリント回路板
は、その表面に付着したエッチング溶液を除去する必要
がある。この除去は、一般的には多量の水による洗浄で
行われ、洗浄後の大量の水は廃液として排出される。こ
の排出される洗浄廃液の量は、エッチング溶液の使用量
の10〜30倍にも相当する。
【0006】メッキ業界において、例えば絶縁体である
プラスチックに銅メッキを行う場合、無電解銅メッキ法
が用いられる。この無電解銅メッキ液は、バッチ方式で
使用され、バッチの処理能力の限界に達すれば、その後
の溶液は廃液として処分される。この無電解メッキ廃液
には多くの錯体化合物が含まれているため、ユーザー側
で処理するのは非常に困難である。
【0007】現在、このような溶液は、廃液として薬品
メーカーや中間処理業者等により収集され、様々な方式
で再生処理が行われている。しかし、近年における廃液
量の激増に伴い、処理すべき廃液量が薬品メーカー等の
再生処理能力を遥かに超えてしまっているのが現状であ
る。また、廃液処理には甚大なコストがかかり、このコ
スト高がユーザーにとって深刻な問題となっている。
【0008】上記廃液処理時のコスト高を減らすために
は、可能な限りユーザー側で廃液の再生処理を行うこと
が好ましい。このようなユーザー側で利用することがで
きる廃液の再生技術としては、置換法、電解処理法、流
動熔焼法、沈殿分離法、冷却法、中和法などがある。し
かし、これまでの再生技術では多くの問題点があり、コ
スト面から実用的ではない。
【0009】例えば置換法では、塩化第二銅溶液の廃液
に鉄を加え、イオン化傾向の差を利用して溶解している
銅イオンを銅として回収し、次いで塩化第一鉄を塩素化
することにより塩化第二鉄溶液とし、所望の濃度まで水
で調整を行い、プリント回路用塩化第二鉄溶液として再
生する。しかし、この再生処理には大規模な設備を必要
とし、設備投資に甚大なコストがかかってしまう。ま
た、この再生処理後の体積は再生処理前の体積に比べて
約1.5倍に増加するため、この増加分についてさらに
新たな処理を必要とし新たな費用が発生する。結局、塩
化第二銅溶液の全体としてコスト高になり、ユーザー側
での再生を困難にする原因となるものである。また、電
解処理法では、電解処理に大量の電力を供給する必要が
あり、電気代にコストを要するため、実用的ではない。
また、無電解銅メッキ廃液中には再生処理可能な銅イオ
ンが数%(w/v)程度しか含まれていないため、この
廃液を上記の再生処理方法で処理した場合には、再生コ
ストの方が却って高くつく結果となる。その他、他の処
理方法は工業的規模による処理には不向きであるという
問題もある。
【0010】このような事情から、最近ではユーザ側に
おける廃液の再生よりもむしろ廃液の処理方法に重点が
移りつつある。しかし、ユーザー側で廃液を処理する方
法についても多くの問題と欠点がみられる。例えば、上
記塩化第二鉄溶液の廃液中には、塩化鉄が約35〜37
%(w/v)も含まれおり、ユーザー側の小規模な廃水
処理設備による自己処理は困難である。また、洗浄溶液
の処理する場合には、一括して処理を行うため、金属含
有物の多くは水酸化物のスラッジとして回収され、産業
廃棄物として処理される。
【0011】回収された廃棄物の処理は高コストな上、
回収された廃棄物は再利用されることもなく、その多く
は埋立処理される。このため、地球環境には多大な影響
を与える原因となるため、環境保護の面で問題となる。
廃液中に含まれる貴重かつ高価な金属を回収することが
できれば、有価物として資源を再利用することができ、
地球環境保護の観点及び資源の有効活用のいずれの観点
からも好ましいものとなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のように金属イオ
ンが含まれる廃液の処理における諸問題を解決するため
には、ユーザー側で廃液の処理を小規模かつ簡易に行う
ことができ、その処理がコスト高にならず、しかも処理
後の廃棄物を資源として再利用し得ることが要求され
る。このような廃液処理の課題を解決しようとする試み
がこれまでいくつかなされている。
【0013】例えば、特開平5−57292号公報に
は、アルカリ汚泥法による重金属含有廃水の処理法方が
開示されている。この方法によれば、高濃度の汚泥であ
っても高水質の処理水を安定かつ確実に行え、廃棄物は
ペースト状の汚泥物として得ることができる。しかし、
アルカリ汚泥法により得られる汚泥物の多くは金属イオ
ンの水酸化物であり、金属の状態で存在するものは少な
い。したがって、この汚泥物は、そのままでは金属とし
て再利用することはできず、再利用する場合には新たな
処理を必要とする。しかも、処理後の上澄液は、塩基性
溶液であるため、そのまま廃水として捨てることもでき
ず、中和してから廃水する必要があり、さらなる処理を
必要となるため、コスト面で問題がある。
【0014】また、廃液処理後の廃棄物中に水分が含ま
れる場合、水分量が多くなれば、その分だけ体積が増大
するため処理スペースが必要となる。このため、廃液処
理において処理後の廃棄物中に含まれる水分量は可能な
限り少ない方が好ましい。しかし、上記の特開平5−5
7292号公報の方法による得られる廃棄物は、ペース
ト状の汚泥であるため、多量の水分が含まれる分だけ容
積が多くなり、依然として処理スペースを必要とする。
【0015】かくして本発明は、以上のような事情に鑑
みてなされたものであり、その課題は、ユーザー側にお
いて金属イオンを含有する溶液、特に重金属イオンを含
有する溶液を低コストかつ小スペースで好適に処理で
き、かつ、処理された金属含有物が資源として再利用可
能な金属含有物を製造することができる金属含有物の製
造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は、金属イオンを含有する溶液又はスラー
状の溶液から金属含有物を製造するにあたり、pH値と
酸化還元電位の双方を調整し、該溶液中に含まれる金属
イオンを金属として析出させた後、水分を減圧乾燥法に
より除去することによって、資源として再利用可能な金
属含有物が得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0017】すなわち、本発明による金属含有物の製造
方法においては、金属イオンを含有する溶液にpH調整
剤及び還元剤を添加し、pH値及び酸化還元電位を調整
して前記溶液中に含まれる金属イオンを金属にした後、
得られた溶液中に含まれる水分の少なくとも一部を除去
して、金属含有物を製造する。
【0018】金属イオンを含有する溶液のpH値及び酸
化還元電位を、pH調整剤及び還元剤で各々調整すれ
ば、該溶液中の金属イオンが還元され有益な金属を含有
する溶液を得る。そして、得られた溶液中の水分の少な
くとも一部を除去すれば、再利用可能な金属含有物を得
ることができる。また、得られる金属含有物は含水量が
少なく、小スペースで金属含有物を製造することもでき
る。
【0019】また本発明の製造方法において金属イオン
を含有する溶液は、金属イオンを含有するスラリー状の
溶液、金属のエッチング溶液、金属の表面処理溶液、金
属メッキ溶液若しくはこれらの廃液又は金属イオンを含
有する洗浄廃液、又は銅イオンを含有する塩化第二鉄溶
液、塩化第二銅溶液、マルチボンド・プレディック(M
B−PD)液又はこれらの廃液であることができる。
【0020】さらに、本発明の製造方法においてpH調
整剤は、アルカリ化合物、アルカリ性金属イオンを含有
する溶液若しくはアルカリ性金属イオンを含有するスラ
リー状の溶液、又はアルカリエッチング溶液、脱脂用ア
ルカリ溶液、中和用アルカリ溶液若しくはこれらの廃液
であることができる。
【0021】また、本発明の製造方法におけるpH値及
び酸化還元電位の調整は、前記金属イオンを含有する溶
液に還元剤を添加して酸化還元電位を調整し、次いで得
られた溶液にpH調整剤を添加してpH値を調整するこ
とができる。
【0022】また、本発明の製造方法におけるpH値及
び酸化還元電位を調整した後の溶液中のpH値は5〜9
であり、酸化還元電位は20〜300mVとすることが
できる。
【0023】そして、本発明の製造方法における還元剤
は、亜硫酸水素ナトリウム(重亜硫酸ソーダ)又は水素
化ホウ素ナトリウムを使用でき、さらには溶液中に含ま
れる水分の除去を、減圧乾燥法により行うことができ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明の金属含有物の製造
方法をさらに詳細に説明する。本発明の金属含有物の製
造方法では、金属イオンを含有する溶液から金属含有物
が製造される。金属イオンを含有する溶液中に含まれる
金属イオンの種類は、該溶液中に金属イオンとして存在
し得るものであれば特に制限はない。このような金属イ
オンとしては、例えば、銅イオン、鉄イオン、ニッケル
イオン、亜鉛イオン、カドミウムイオン、マンガンイオ
ン、コバルトイオン、鉛イオン、金イオン、銀イオンな
どの金属イオンを挙げることができる。好ましくは、銅
イオン、ニッケルイオン、金イオン、銀イオンなどの重
金属イオンである。また、上記溶液は、これら金属イオ
ンの少なくとも1種を含んでいればよいが、2種以上含
むものであっても構わない。
【0025】本発明の金属イオンを含有する溶液は、上
記金属以外に金属イオンを溶解する溶媒や、その他の成
分を含むものであってもよい。このような溶媒として
は、一般には水を挙げることができる。また、金属イオ
ンを含有する溶液はその他の成分として、例えば、塩
酸、硫酸、硝酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、ホウ酸、次亜
硫酸、亜硫酸、フッ素酸などの酸や、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基を含ん
でいてもよい。
【0026】上記金属イオンを含有する溶液は、金属イ
オンを含有するスラリー状の溶液であってもよい。金属
イオンを含有するスラリー状の溶液としては、例えば、
銅、ニッケル、金、銀などのスラリーを含有する溶液を
使用することができる。
【0027】また、金属イオンを含有する溶液は、金属
のエッチング溶液、金属の表面処理溶液、金属メッキ溶
液若しくはこれらの廃液又は洗浄廃液であることもでき
る。金属のエッチング溶液としては、例えば塩化第二鉄
液、塩化銅液などの各種のエッチャントが挙げられる。
また、金属の表面処理溶液としては、例えば、塩酸、硫
酸などを挙げることができる。また、金属のメッキ溶液
としては、例えば、銅メッキ溶液、ニッケルメッキ溶
液、亜鉛メッキ溶液、銀メッキ溶液、金メッキ溶液など
を挙げることができる。また、金属イオンを含有する洗
浄廃液としては、例えば、プリント回路板上に付着した
銅イオンを洗浄した後の洗浄廃液などの各種の洗浄廃液
を挙げることができる。
【0028】金属イオンを含有する溶液は、資源として
再利用価値の高い重金属イオンを含有する溶液であるこ
とが好ましい。このような溶液としては、例えば、銅イ
オン含有の塩化第二鉄溶液、塩化第二銅溶液、マルチボ
ンド・プレディック(MD−PD)、金メッキ溶液、銀
メッキ溶液などが挙げられ、好ましくは銅イオン含有の
塩化第二鉄溶液、塩化第二銅溶液、マルチボンド・プレ
ディック(MD−PD)である。
【0029】本発明の製造方法で使用するpH調整剤
は、金属イオンを含有する溶液中に含まれる過剰の酸又
は塩基を化学過程において相互に打消し合うものであ
り、酸性及び塩基性の両方のpH調整剤が含まれる。例
えば、塩基性pH調整剤としては、塩基性ナトリウム
塩、塩基性カルシウム塩、塩基性カリウム塩、石灰など
アルカリ化合物を使用することができる。また、酸性p
H調整剤としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、炭酸ガス
などを使用することができる。
【0030】また本発明の製造方法では、上記のpH調
整剤以外にもアルカリ性金属イオンを含有する溶液、ア
ルカリ性金属イオンを含有するスラリー状の溶液、アル
カリエッチング溶液、脱脂用アルカリ溶液、中和用アル
カリ溶液又はこれらの廃液を利用することも可能であ
る。このようなアルカリ性金属イオンを含有する溶液又
はスラリー状の溶液としては、アルカリ沈殿法により得
られる汚泥などが挙げられ、アルカリエッチング溶液と
しては、アンモニア銅エッチング溶液が挙げられる。ま
た脱脂用アルカリ溶液としては、過マンガン酸カリウム
が挙げられ、中和用アルカリ溶液としては、水酸化ナト
リウム溶液をそれぞれ挙げることができる。
【0031】本発明の製造方法で使用する還元剤は、金
属イオンを金属に還元することができるものであれば特
に限定されず、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、水素化
ホウ素ナトリウム、ヨウ化水素、水素化アルミニウムリ
チウム、亜硫酸塩、一酸化炭素、アルデヒド類、シュウ
酸類などを各種の還元剤を挙げることができる。好まし
くは、亜硫酸水素ナトリウム又は水素化ホウ素ナトリウ
ムである。
【0032】pH値及び酸化還元電位の調整は、所望の
pH値及び酸化還元電位を得るように調整する。本発明
の金属含有物の製造方法では、金属イオンを含有する溶
液のpH値を弱酸性から弱アルカリ性の間で調整するこ
とができる。好ましくはpH値5〜9、より好ましくは
pH値6〜8、最も好ましくはpH値7に調整すること
が適当である。また、本発明における製造方法では、酸
化還元電位は20〜300mVに調整することができ、
好ましくは50〜150mV、より好ましくは80〜1
20mV、最も好ましくは90〜110mVに調整する
ことが適当である。
【0033】pH値及び酸化還元電位の調整は、所望の
pH値及び酸化還元電位に調整できれば、いずれかを先
に調整しても、また両者を同時に調整してもよい。金属
イオンを含有する溶液が酸性溶液である場合には、先ず
還元剤を添加して酸化還元電位を調整し、次いで得られ
た溶液にpH調整剤を添加してpH値を調整することが
できる。また、金属イオンを含有する溶液がアルカリ性
溶液である場合には、金属イオンを含有する溶液に第1
のpH調整剤を添加してpH値を7以下に調整した後、
還元剤を添加して酸化還元電位を調整し、さらに得られ
た溶液に第2のpH調整剤を添加して所望のpH値に調
整することができる。このような第1のpH調整剤とし
ては、前記の酸性pH調整剤を使用することができる、
また第2のpH調整剤としては、塩基性pH調整剤のほ
か、前記のアルカリ性金属イオンを含有する溶液、アル
カリ性金属イオンを含有するスラリー状の溶液、アルカ
リエッチング溶液、脱脂用アルカリ溶液、中和用アルカ
リ溶液又はこれらの廃液を使用することができる。
【0034】pH値及び酸化還元電位調整後の溶液中に
含まれる水分は、少なくとも一部が除去される。水分の
除去は、公知の条件及び方法を用いて行うことができ、
例えば、減圧乾燥法、熱風乾燥法、高周波乾燥法、通気
乾燥法、ドラム乾燥法、凍結乾燥法、熱風乾燥法などを
挙げることができる。これらの方法の中で減圧乾燥法に
よる水分除去は、比較的低温で脱水が可能であるため特
に好ましい。水分はその一部が除去され得るものであれ
ばよく、最終的に製造される金属含有物の含水量が0〜
30%、好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜1
0%になるまで水分を除去する。また、水分の除去は公
知の水分除去手段を用いることができ、それぞれの方法
に応じた乾燥装置を使用することができる。除去された
水分は、必要に応じ、アルカリ沈殿法で処理し、pH
値、重金属、COD、BOD、浮遊物質、外観、臭気な
ど水質汚濁防止法の有害物質を含まない排水することが
できる。
【0035】本発明の製造方法で得られる金属含有物
は、金属イオンを還元した金属を含む。金属含有物に
は、少なくとも金属が含まれていればよく、金属以外の
他の成分が含まれていてもよい。また、得られる金属含
有物は、資源として再利用可能な重金属を含むスラッジ
であることが好ましい。
【0036】本発明の製造方法により得られた金属含有
物は、さらに公知の方法を用いて処理し、再資源化を図
ることができる。例えば、銅含有物では、銅鉱石の精練
方法で再資源化が可能である。すなわち、銅含有物を溶
融し、硫黄と鉄分をある程度除いて銅を濃縮し、マット
溶錬、転炉製銅、電解精製の工程を経て銅を精製するこ
とができる。また、エッチング廃液から製造した金属含
有物は、多くの不純物を含むため、単に溶解するだけで
はリサイクルしにくく、主精練工程を汚染するおそれが
ある。そこで、このような金属含有物の場合には、反射
炉等を用いて予め溶融酸化してから、スクラップ用転
炉、アノード溶解炉、銅電解槽で再生する。
【0037】次に本発明による金属含有物の製造方法の
製造工程を工程図を用いて説明する。図1は、金属イオ
ンを含有する溶液が酸性の場合における本発明の製造工
程を示す工程図である。酸性金属イオン含有溶液1を攪
拌装置を用いて攪拌しながら、還元剤2、次いでpH調
整剤3を添加する。酸化還元電位測定計及びpH値測定
計で酸化還元電位及びpH値を測定し、所望の酸化還元
電位及びpH値とする。次いで得られた金属含有溶液4
を水分除去手段を用いて金属含有溶液4中に含まれる水
分の除去5を行うことにより金属含有物6を得る。該溶
液の水分の除去5によって除去された水分は、そのまま
又は所定の処理を施し排水として排出される。
【0038】図2は、金属イオンを含有する溶液が塩基
性の場合における本発明の製造工程を示す工程図であ
る。塩基性金属イオン含有溶液11を攪拌装置を用いて
攪拌し、pH値測定計でpH値が7以下になるまで第1
のpH調整剤12を添加する。次いでpH値7以下の金
属イオン含有溶液13を攪拌しながら、該溶液に還元剤
14及び第2のpH調整剤15を添加し、酸化還元電位
測定計及びpH値測定計で酸化還元電位及びpH値を測
定しながら所望の酸化還元電位及びpH値とする。得ら
れた金属含有溶液16中の水分を、水分除去手段を用い
て水分除去17を行い、金属含有物18を得る。該溶液
の水分除去17により除去された水分は、酸性金属含有
溶液の場合と同様、そのまま又は所定の処理を施し排水
として排出される。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態
をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例に示す原
料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しな
い限り適宜変更することができる。したがって、本発明
の範囲は以下に示す実施例に具体的に限定されるもので
はない。 (実施例1)0.23N、比重1.310(35℃)、
168.0g/lの銅イオンを含有する塩化第二銅廃液
を用いて金属含有物を製造した。この塩化第二銅廃液2
0Lを攪拌装置(轟社製)を用いて攪拌しながら、5%
亜硫酸水素ナトリウム水溶液100ml、10%水酸化
ナトリウム水溶液2Lをこの順に添加し、pHを7.
0、酸化還元電位を100mVに調整した。次いで、こ
の溶液を減圧脱水乾燥装置(大和化学工業株式会社製)
を用いて圧力0.1〜0.2Mpa、温度75℃で水分
を除去した。水分除去後の銅スラッジは含水率1%であ
り、そのスラッジからは4.89重量%の銅が回収され
た。また、脱水して得られた水質は、pH値7、COD
20mg/lであり、このまま排水しても水質汚濁防止
法の基準を充分満たすものであった。
【0040】(実施例2)銅イオン(38.2g/l)
を含む塩化第二鉄廃液(0.48N、比重1.354
(40℃))を用いて金属含有物を製造した。この銅イ
オン含有の塩化第二鉄廃液20Lを攪拌装置(轟社製)
を用いて攪拌しながら、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶
液120ml、10%水酸化ナトリウム水溶液3Lをこ
の順に添加し、pH値を7、酸化還元電位を120mV
に調整した。次いで、この溶液を減圧脱水乾燥装置(大
和化学工業株式会社製)を用いて圧力0.1〜0.2M
pa、温度75℃で水分を除去した。水分除去後のスラ
ッジの含水率は1%であり、そのスラッジ中には32重
量%の銅、及び1.8重量%の鉄をそれぞれ回収するこ
とができた。また、脱水して得られた水質は、pH値
7、COD10mg/lであり、水質汚濁防止法の基準
を充分満たすものであった。
【0041】(実施例3)pH値13、銅イオン120
g/lを含むプリント基板用アルカリエッチング廃液を
用いて金属含有物を製造した。このエッチング廃液20
Lを攪拌装置(轟社製)を用いて攪拌しながら、10%
塩酸2mlを添加してpH値を7以下にした後、5%亜
硫酸水素ナトリウム水溶液50ml、5%水酸化ナトリ
ウム水溶液50mlを添加し、pHを6.5、酸化還元
電位を140mVにそれぞれ調整した。次いで、この溶
液を減圧脱水乾燥装置(大和化学工業株式会社製)を用
いて圧力0.1〜0.2Mpa、温度75℃で水分を除
去した。水分除去後のスラッジの含水率は2%であり、
そのスラッジから38重量%の銅を回収することができ
た。また、脱水して得られた水質は、pH値7、COD
18mg/lであり、水質汚濁防止法の基準を充分満た
すものであった。
【0042】(比較例)実施例1と同じ0.23N、比
重1.310(35℃)、168.0g/lの銅イオン
を含有する塩化第二銅廃液を用いて通常のアルカリ沈殿
法で行った。この塩化第二銅廃液20Lを攪拌装置(轟
社製)を用いて攪拌しながら、10%水酸化ナトリウム
水溶液4Lを用いてpHを10に調整した。次いで、こ
の溶液に沈殿した沈殿物を濾過してフィルタープレスを
用いて乾燥させた。得られたスラッジは、含水率70%
の銅の水酸化物であった。一方、脱水して得られた水質
は、pH値10、COD350mg/lであり、水質汚
濁防止法の基準値を超えていたため、そのまま排出する
ことはできなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明による金属含有物の製造方法によ
れば、金属イオンを含有する溶液から資源として再利用
可能な金属含有物を簡易かつ低コストで製造することが
できる。また、本発明による製造方法によれば、廃水処
理をユーザ側で行うことができるため、廃棄物処理業者
に委託する手間と必要経費を大幅に削減することができ
る。また、本発明の製造方法により分離された水は、排
水汚濁規制法にも充分適合した水質であり、排水として
下水道に排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属イオンを含有する溶液が酸性の場合にお
ける本発明の製造工程を示す工程図である。
【図2】 金属イオンを含有する溶液が塩基性の場合に
おける本発明の製造工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1 酸性金属イオン含有溶液 2 還元剤 3 pH調整剤 4 金属含有溶液 5 金属含有物中の水分除去 6 金属含有物 11 塩基性金属イオン含有溶液 12 第1のpH調整剤 13 pH値7以下の金属イオン含有溶液 14 還元剤 15 第2のpH調整剤 16 金属含有溶液 17 金属含有物中の水分除去 18 金属含有物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 501095358 東谷 誠治 大阪府門真市千石東町5番34−4号 有限 会社テクニカ内 (71)出願人 501095587 大川 壽久 東京都豊島区池袋本町四丁目10番8号 株 式会社ダイセク内 (71)出願人 501095288 塚田 典明 東京都港区虎ノ門五丁目9番7号 株式会 社ヤマトヤ商会内 (71)出願人 501095266 阪口 保彦 大阪府大阪市北区東天満二丁目6番5号 I・S南森町ビル5階 宝産業株式会社内 (72)発明者 今井 寛秀 東京都板橋区小豆沢三丁目3番11号 小豆 沢パークハイツ101号 有限会社アズサー 内 Fターム(参考) 4D038 AA08 AB68 AB78 BA04 BB13 BB15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオンを含有する溶液から金属含有
    物を製造する方法であって、金属イオンを含有する溶液
    にpH調整剤及び還元剤を添加し、pH値及び酸化還元
    電位を調整して前記溶液中に含まれる金属イオンを金属
    にした後、得られた溶液中に含まれる水分の少なくとも
    一部を除去して、金属含有物を製造することを特徴とす
    る前記方法。
  2. 【請求項2】 前記金属イオンを含有する溶液が、金属
    イオンを含有するスラリー状の溶液である請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 前記金属イオンを含有する溶液が、金属
    のエッチング溶液、金属の表面処理溶液、金属メッキ溶
    液及びこれらの廃液、並びに金属イオンを含有する洗浄
    廃液からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求
    項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記金属イオンを含有する溶液が、銅イ
    オンを含有する塩化第二鉄溶液、塩化第二銅溶液、マル
    チボンド・プレディック(MB−PD)液およびこれら
    の廃液からなる群から選ばれる少なくとも1種である請
    求項1又は2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記pH調整剤が、アルカリ化合物、ア
    ルカリ性金属イオンを含有する溶液、アルカリ性金属イ
    オンを含有するスラリー状の溶液、アルカリエッチング
    溶液、脱脂用アルカリ溶液、中和用アルカリ溶液及びこ
    れらの廃液からなる群から選ばれる少なくとも1種であ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記pH値及び酸化還元電位の調整を、
    前記金属イオンを含有する溶液に還元剤を添加して酸化
    還元電位を調整し、次いで得られた溶液にpH調整剤を
    添加してpH値を調整する請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記pH値及び酸化還元電位を調整した
    後の溶液中のpH値が5〜9であり、酸化還元電位が2
    0〜300mVである請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 前記還元剤が、亜硫酸水素ナトリウム又
    は水素化ホウ素ナトリウムである請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記溶液中に含まれる水分の除去を、減
    圧乾燥法により行う請求項1〜8のいずれか1項に記載
    の方法。
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WO2007113926A1 (ja) * 2006-04-05 2007-10-11 Tsurumi Soda Co., Ltd. 銅塩溶液の精製方法、精製装置及び銅塩溶液
JP2007277035A (ja) * 2006-04-05 2007-10-25 Tsurumi Soda Co Ltd 銅塩溶液の精製方法、精製装置及び、銅塩溶液

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