JP2002262862A - 株化歯根膜細胞 - Google Patents

株化歯根膜細胞

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JP2002262862A
JP2002262862A JP2001069249A JP2001069249A JP2002262862A JP 2002262862 A JP2002262862 A JP 2002262862A JP 2001069249 A JP2001069249 A JP 2001069249A JP 2001069249 A JP2001069249 A JP 2001069249A JP 2002262862 A JP2002262862 A JP 2002262862A
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periodontal ligament
cell line
cells
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rat
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JP2001069249A
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Birei Miki
美麗 三木
Mamoru Kubota
衛 久保田
Hideo Mitani
英夫 三谷
Masuo Tatewaki
益夫 帯刀
Masaji Ueda
正次 上田
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Tohoku Techno Arch Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Techno Arch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯根膜の存在する細胞の機能や性質を研究
し、歯の疾患などに対する有用な薬物の開発に利用可能
なラット歯根膜細胞株を提供する。 【解決手段】 温度感受性変異株SV40ラージT 抗原遺伝
子を導入したトランスジェニックラットから、継代維持
可能で且つ歯根膜由来の細胞株、例えば骨芽細胞、セメ
ント芽細胞、破骨細胞、線維芽細胞などを樹立できる。
得られた株化歯根膜由来の細胞は、歯根膜の存在する様
々な細胞相互の作用の研究、歯周病などの歯疾患用の薬
物、歯・骨インプラント材開発などに利用でき有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラット由来の歯の
歯根膜に存在する細胞であって、継代培養可能なラット
由来細胞に関する。本発明は、特に、歯の歯根膜に存在
する細胞の株化されたラット由来細胞、該細胞を用いた
歯科領域の作用薬物のスクリーニングや、歯の歯根膜な
どでその作用が問題となる薬物のスクリーニングをする
のに利用可能な細胞株に関するものである。また、歯の
歯根膜に存在する細胞に発現する種々の受容体を標的と
した薬物のスクリーニングを行うのに利用可能な細胞株
に関するものである。さらに、歯の歯根膜に存在する細
胞の障害を標的とした薬物のスクリーニングをするのに
利用可能な細胞株に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯のセメント質と歯槽骨を連結する歯根
膜(歯周靱帯)は、感染や種々のストレスに反応して歯
周組織の発生・修復・再生に関与し、恒常性を維持して
いるものと考えられている。例えば、歯に矯正を施した
場合、歯は矯正力の作用方向に移動するが、その場合力
の作用方向の歯根膜は圧迫され、該歯根膜と接する部位
の歯槽骨は吸収されていき、一方、反対側の歯根膜は広
くなって、その部分の歯根膜線維は牽引され、当該部位
に接する歯槽骨では骨新生をきたすこととなる。その結
果、歯は力の作用方向に移動していく。こうした歯の移
動は歯根膜に存在する様々な細胞により調節されてい
る。
【0003】しかしながら、歯根膜は多種の細胞を含む
複雑な構造を呈し、各々の細胞がどのような機構で刺激
を受け取っているのかという点についてはその解明が待
たれているのである。例えば、硬組織を形成する骨芽細
胞、セメント芽細胞や歯根膜腔を構築する歯根膜線維芽
細胞は、歯の移動に伴い、歯根膜内の未分化な間葉系幹
細胞より分化すると考えられているが、その分化の過程
は解明されていない。歯根膜の機能を解析する上で重要
な細胞である線維芽細胞、骨芽細胞、セメント芽細胞な
どの間葉系細胞の相互作用や歯胚の形成、歯槽骨のリモ
デリングやセメント質の修復機構に関する研究において
は、その細胞の性質を維持した状態で培養し続けること
のできる株化歯根膜細胞を入手することが求められてい
る。
【0004】従来は、主に歯根膜片より outgrowth し
てきた primary culture の細胞を利用する試みがなさ
れてきたが、それには、例えば次のような問題があると
種々の論文で指摘されている。 (1) 採取した細胞間に反応性の違いがある、(2) 形態・
酵素化学的にも多様な細胞集団である、(3) 約5〜8継
代で実験に使用される程度で、それ以降のものは形質転
換しやすい、(4) 歯根膜は、歯肉線維芽細胞、根尖部組
織の混入などを防ぐためには、歯根の中央 1/3 より採
取する必要があるが、その組織量が少なく、従って実験
に使用できる量の細胞を得ることが困難であるし、その
細胞増殖にも時間を要する、 (5) ラットでは、ヒトに
近い根形態を有する臼歯を用いようとすると、さらに小
さい歯根片を採取しなければならないが、これは非常に
困難である、また常生歯では基本的にヒトのモデルとし
ては劣るものでしかない、(6) マウスでは、その採取は
非常に難しく、たとえ顕微鏡下で採取しようとして得ら
れたとしても、その得られた細胞の由来が疑わしいもの
である。
【0005】また、歯根膜に関して、株化技術として
は、tsSV40 large T抗原をレトロウイルスを用いて導入
した培養ヒト歯根細胞 (Parker M.H. et al., Aechives
of OralBiology, 44: 823-834 (1999)) と、tsSV40 la
rge T抗原トランスジェニックマウスを用いた歯根膜細
胞 (D'Errico J.A. et al., Bone, 25(1): 39-47 (199
9))の二つの報告のみで、両者とも歯根膜に含まれる複
数の種類の細胞を一括して培養し、その細胞群を歯根膜
細胞として用いている。こうした段階の歯根膜細胞は複
数の種類の細胞を選別するという操作が行われておら
ず、個々の細胞の性質を解析するには適さない。また、
細胞の比率を常に同じ割合で保つことは難しく、よっ
て、実験の度に同じ条件を調えるのも困難であり、再現
性の点でも問題があり、この細胞群の性質を調べても、
個々の細胞の性質を調べることはできず、またそれぞれ
の細胞の相互作用を解析することはできないという問題
がある。歯根膜採取などにより適するラットでは、これ
まで株化したラット歯根膜の報告は皆無である。
【0006】ところで、従来の株化細胞樹立法として
は、1) 初代培養細胞を長期間培養し続けて、無限増殖
能を獲得した細胞を得る方法、2) SV40などの癌遺伝子
を初代培養細胞に導入して不死化させる方法などが挙げ
られる。しかしながら、1)の方法では時間がかかるにも
かかわらず目的の細胞が必ずしも得られるとは限らな
い。また、2)の方法では遺伝子導入が増殖性の細胞のみ
に起こること、また個々の細胞で染色体導入位置の相違
があるなどの欠点がある。したがって、生体組織毎に異
なり、そして各組織に特異な形質あるいは機能を発現し
ている細胞をその性質などを損なうことなく該形質ある
いは機能を発現している不死化細胞株として得ることは
困難である。
【0007】これら従来の株化細胞樹立法の問題点を克
服する方法として、SV40などの癌遺伝子を導入したトラ
ンスジェニックマウスから目的の組織の細胞を単離し、
株化細胞を得る方法が開発された[Yanai N. et al., E
xp. Cell. Res.,197, 50-56 (1991); Yanai N. et al.,
Jpn. J. Cancer Res., 82, 1344-1348 (1991)]。該方
法は、最初から不死化に必要な癌遺伝子が細胞に組み込
まれているので、分化形質を保持したままの株化細胞を
かなり高頻度で樹立することができると期待されてい
る。しかしながら、実際は、継代維持ができる一方で、
各生体組織に特有の形質・機能を保持している細胞を株
化することは容易でない。特に、歯根膜に存在する細胞
は、その特殊性から、その継代維持ができる株化細胞の
樹立が強く要望されていたにも拘らず、それにはこれま
で成功していなかった。また、歯根膜組織の研究には、
ラット組織を使用する必要があるが、トランスジェニッ
クラットの作出は容易でないという事情もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】歯科疾病、例えば歯周
病、齲蝕などの病理研究、歯科疾病の予防・治療のため
の薬物の開発研究、歯根膜に存在する細胞に発現する種
々の受容体を標的とした薬物、例えば歯周病治療薬など
の治療薬の開発研究、歯根膜に存在する細胞に生ずる障
害あるいは異常の研究、さらにはそうした障害あるいは
異常に対して作用する薬物の開発研究に利用したり、該
薬物のスクリーニングなどに利用可能な歯の歯根膜に存
在する細胞であって、継代培養可能なラット由来細胞を
樹立し、提供することに関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、継代維持
可能な歯根膜細胞を確立すべく、広範な研究並びに探索
を行い、その結果、温度感受性変異株SV40ラージT 抗原
遺伝子を導入したトランスジェニックラットを使用すれ
ば、継代維持可能な歯根膜細胞を得ることが可能である
ことを見出して本発明に至った。すなわち、本発明は、
継代維持可能なラット由来歯根膜細胞に関する。本発明
は、また、温度感受性変異株SV40ラージT 抗原遺伝子導
入のトランスジェニックラット由来の歯根膜細胞に関す
る。本発明は、該継代維持可能な歯根膜細胞を使用し
た、種々の歯根膜疾患を含めた歯の病気の研究、歯科用
薬物の開発及びスクリーニングにも関する。本発明は、
SV40の温度感受性変異株のラージT 抗原遺伝子、例えば
SV40tsA58を導入したトランスジェニックラット由来で
ある株化歯根膜細胞であって、次の細胞:骨芽細胞、線
維芽細胞、セメント芽細胞、ラット歯根膜破骨細胞又は
間葉系幹細胞より誘導された細胞などを包含する。
【0010】本発明は、 〔1〕 継代維持可能で且つラット歯根膜由来の細胞
株; 〔2〕 該細胞株が、ラット歯根膜由来骨芽細胞、ラッ
ト歯根膜由来線維芽細胞、ラット歯根膜由来セメント芽
細胞、ラット歯根膜破骨細胞、又はラット歯根膜間葉系
幹細胞より誘導された細胞であることを特徴とする上記
〔1〕記載の細胞株; 〔3〕 細胞株が、type I collagen, osteopontin, ost
eocalcin, BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RANKL及
びOPG から成る群から選ばれたものを発現しているラッ
ト株化細胞であることを特徴とする上記〔1〕又は
〔2〕記載の細胞株; 〔4〕 細胞株が、type I collagen, osteopontin, ost
eocalcin, BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RANKL及
びOPG から成る群から選ばれたものを発現していないラ
ット株化細胞であることを特徴とする上記〔1〕又は
〔2〕記載の細胞株; 〔5〕 細胞株が、Cbfa-1活性を有する株化細胞である
ことを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の細胞株; 〔6〕 細胞株が、BMP-4 活性を有する株化細胞である
ことを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の細胞株; 〔7〕 遺伝子の発現が、 RT-PCR 法により測定された
ものであることを特徴とする上記〔3〕〜〔6〕のいず
れか一記載の細胞株; 〔8〕 該細胞株が、遺伝的、形態的、生理的又は生物
活性的に均一な細胞集団であることを特徴とする上記
〔1〕〜〔7〕のいずれか一記載の細胞株;
〔9〕 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺伝子導
入ラットの歯根膜を用いることを特徴とする、歯根膜由
来の継代維持可能な細胞株を得る方法; 〔10〕 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺伝子
導入ラットの歯根膜から分離された間葉系幹細胞を用い
ることを特徴とする、上記
〔9〕記載の方法; 〔11〕 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺伝子
導入ラットの歯根膜を用い、歯根膜の細胞に特異的なマ
ーカーを利用して選別クローニングを行うことを特徴と
する、歯根膜由来の継代維持可能な細胞株の樹立方法; 〔12〕 マーカーとして、type I collagen, osteopon
tin, osteocalcin, BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP,
RANKL及びOPG から成る群から選ばれたものを使用し、
それらに対する抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化
歯根膜細胞を得ることを特徴とする、上記〔11〕記載
の方法; 〔13〕 マーカーとして、Cbfa-1抗原を使用し、抗Cbf
a-1抗原抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化歯根膜
細胞を得ることを特徴とする、上記〔11〕記載の方
法; 〔14〕 マーカーとして、BMP-4 を使用し、抗BMP-4
抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化細胞を得ること
を特徴とする、上記〔11〕記載の方法; 〔15〕 マーカーとして、G3PDH を使用し、抗G3PDH
抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化細胞を得ること
を特徴とする、上記〔11〕記載の方法; 〔16〕 試料中のラット由来歯根膜の細胞に対する生
物活性の測定法であって、(i) 継代維持可能で且つ歯
根膜由来の細胞株を使用し、(ii) (a) 試料存在条件
下で維持した上記 (i)の細胞と、 (b) 試料の存在しな
い条件下で維持した上記 (i)の細胞とを比較することを
特徴とする、該測定法; 〔17〕 ラット由来歯根膜細胞に対する生物活性を有
する化合物の同定方法であって、(i) (a) 継代維持可能
で且つラット歯根膜由来の細胞株を、該歯根膜由来の細
胞株を維持可能な条件下で、試料化合物と接触させる場
合と、(b) 該歯根膜由来の細胞株を維持可能な条件下
で、継代維持可能で且つ歯根膜由来の細胞株を該試料化
合物の存在しない条件下に保持する場合とを比較する
か、あるいは(ii) (a)継代維持可能で且つ歯根膜由来の
細胞株を、試料化合物と、歯根膜の細胞の機能を低下せ
しめる条件下で接触させる場合と、(b)継代維持可能で
且つ歯根膜由来の細胞株を、該試料化合物の存在しない
で且つ歯根膜の細胞の機能を低下せしめる条件下で保持
する場合とを比較し、該試料化合物が歯根膜の細胞に対
する生物活性を有するか否かを測定することからなる同
定方法;及び 〔18〕 歯根膜の細胞に対する生物活性を有する化合
物が、歯根膜の細胞に発現する受容体に対するアゴニス
ト又はアンタゴニストであることを特徴とする、上記
〔17〕記載の方法を提供する。
【0011】本発明のその他の目的、特徴、優秀性及び
その有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明
白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実
施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ま
しい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されて
いるものであることを理解されたい。本明細書に開示し
た本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改
変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明
細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易
に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特
許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているも
ので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに
含めて解釈されるべきものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の株化細胞の樹立方法とし
ては、癌遺伝子を導入したトランスジェニックラットか
ら目的の組織の細胞を単離し、培養して株化細胞を樹立
する方法が挙げられる。導入する癌遺伝子としては、SV
40の温度感受性変異株のラージT 抗原遺伝子、例えばSV
40tsA58 などが挙げられる。組織は、歯根膜細胞を入手
するに適し且つ摘出に適したものであればいかなる組織
でもよいが、通常は歯組織、特には歯の歯根膜などが挙
げられる。上述のトランスジェニック動物より組織を摘
出し、細胞を酵素法[(Ichikawa N.et al., J. Pharmac
ol. Toxicol. Method. 36: 45-52 (1996); Goldstein
G.W.et al., J. Neurochem. 25: 715-717 (1975); Meye
r J. et al., J. Neurochem. 57: 1971-1977 (1991)]
により分離・回収し、培養する。培養の後、細胞のクロ
ーニングは、特異抗体を利用した濃縮・選別法、コロニ
ー形成法[Endocrinology 136: 4084-4091 (1995) ]、
限界希釈法などにより行われ、数回のクローニングの後
に、株化細胞を樹立することができる。特異抗体を利用
した目的細胞の選別には、ターゲット細胞が特異的に発
現しているマーカーに対する特異抗体を利用するものが
挙げられる。トランスジェニックラットから継代維持可
能な細胞を得る場合には、マウスやウサギで作製された
抗体を利用することが可能であり、優れている。該マー
カーとしては、type I collagen, osteopontin, osteoc
alcin, BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RANKL, OPG
などが挙げられる。ターゲット細胞の選別は、上記マー
カー遺伝子の発現の有無によって行うこともできる。該
遺伝子発現は、Polymerase Chain Reaction (PCR) 法、
Reverse Transcriptase (RT)-PCR法などにより行うこと
ができる。
【0013】PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるい
はそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことが
できるが、例えば R. Saiki et al., Science, 230: 13
50, 1985; R. Saiki et al., Science, 239: 487, 198
8; M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 85, 8998-9002 (1988); H. A. Erlich (ed.), PCR T
echnology, Stockton Press, 1989; M. A. Innis et a
l. (ed.), "PCR Protocols: A Guide to Methods and A
pplications", Academic Press, New York (1990);M.
J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (ed.), PC
R: a practical approach, IRL Press, Oxford (1991);
D. M. Glover et al. (ed.), "DNA Cloning", 2nd e
d., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL P
ress, Oxford University Press (1995); M. A. Innis
et al. (ed.), "PCR Applications: Protocols for Fun
ctional Genomics", Academic Press, New York (1999)
などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の
方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改変法によ
り行うことができる (それらの中にある記載はそれを参
照することにより本明細書の開示に含められる) 。ま
た、PCR 法は、それに適した市販のキットを用いて行う
ことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者に
より明らかにされているプロトコルに従って実施するこ
ともできる。PCR 法では、通常適切なプライマーが使用
されるが、該プライマーとしては、オリゴヌクレオチド
を使用できる。
【0014】「オリゴヌクレオチド」は、通常、短い長
さの、一本鎖または二本鎖のポリデオキシヌクレオチド
であり、これは、公知の方法(例えば、EP 266,032に記
載されるような固相技術など)を使用して化学的に合成
される。こうした方法としては、例えば、ホスホトリエ
ステル法、ホスファイト法、またはホスホルアミダイト
法、またはFroehler et al., Nucl. Acids Res. 14, 53
99 (1986)によって記載されるような方法が挙げられ
る。次いで化学的に合成されたものは、ポリアクリルア
ミドゲル上で精製される。
【0015】本発明の継代可能な歯根膜細胞株は、歯根
膜に存在する細胞の有する機能をほとんど保持したまま
株化し、継代して維持することのできる細胞を意味す
る。本発明の継代可能な歯根膜細胞株としては、例えば
歯根膜骨芽細胞、歯根膜線維芽細胞、歯根膜セメント芽
細胞、ラット歯根膜破骨細胞、歯根膜間葉系幹細胞より
誘導された細胞などが挙げられる。本発明の一態様でも
ある温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺伝子導入ラ
ットの歯から得る場合、その細胞株は不死化歯根膜細胞
株となり安定に保持できる。トランスジェニック動物の
樹立は、特開平5-292958号公報 (特許第2,988,753 号公
報) などで行うことができる。本発明の好ましい一態様
では、SV40の温度感受性変異株のラージT抗原遺伝子、
例えばSV40tsA58 DNA を導入したトランスジェニックラ
ットから、それぞれ株化歯根膜細胞、例えばラット歯根
膜由来骨芽細胞、ラット歯根膜由来線維芽細胞、ラット
歯根膜由来セメント芽細胞、ラット歯根膜由来破骨細
胞、又はラット歯根膜間葉系幹細胞より誘導された細胞
を樹立できる。具体的な株化歯根膜細胞の樹立につき説
明すると、上記特許第2,988,753 号公報の記載に従い、
SV40の温度感受性変異株のラージT 抗原遺伝子SV40tsA5
8 を導入して作出したトランスジェニックラットからそ
の歯を出発生体組織として取り出し、歯根膜組織を分離
して、トリプシン、コラゲナーゼなどの酵素で処理し、
細胞を分散した状態にしてから、該細胞懸濁液を培養す
る。
【0016】培養に使用する培地としては、公知のもの
あるいは市販のものを適宜使用することが出来る。該培
地には、炭素資化源、窒素資化源などが含まれる。該培
地は、無機塩類、アミノ酸、ビタミン類、糖類、血清、
ホルモン、成長因子、抗生物質などが適宜配合されてい
る。該培地は、緩衝剤、浸透圧調整剤などにより培養に
適した状態にされたものである。細胞培養は、細胞外基
質の存在下に行うことも可能である。該細胞外基質とし
ては、I 〜IV型コラーゲン、ファイブロネクチン、ラミ
ニン、ビトロネクチンなどが挙げられる。またこうした
細胞培養には、コートされた担体などを好適に使用でき
る。該コートされた担体としては、ポリ-L- リジンコー
ト、コラーゲンコート、ゼラチンコート、ファイブロネ
クチンコートなどされたディシュなどの培養用の容器が
挙げられる。その他、キチン、キトサン、キチン誘導
体、例えば硫酸基及び/又はカルボキシメチル基などの
カルボキシ置換アルキル基などで置換されたキチンなど
の担体上で細胞培養することも可能であり、好ましい場
合もある。
【0017】培養された細胞はそれぞれに特異的なマー
カーを使用して分離することもできる。例えばtype I c
ollagen, osteopontin, osteocalcin, BMP-4, BSP, Cbf
a-1, G3PDH, ALP, RANKL及びOPG から成る群から選ばれ
たものをマーカーとして利用することが可能で、先ずそ
れらのマーカーに対する抗体を目的の細胞を含有する細
胞懸濁液と接触せしめ、次に所定の細胞に結合している
特異抗体に特異的に結合するリガンド(例えば該抗体が
マウスモノクローナル抗体を用いているのであれば、ウ
サギの抗マウス抗体など)を固定化したカラムを使用す
るなどして、目的の細胞を選択的に分離できる。また、
ある程度、他の歯根膜由来細胞から分離されたなら、限
界希釈法により、単一なクローンとなるまでクローニン
グを行うことができる。同様な手法で、例えば歯根膜線
維芽細胞、歯根膜セメント芽細胞、歯根膜間葉系幹細胞
より誘導された細胞などを得ることができる。
【0018】これらの細胞株は、各種生理活性因子、分
化誘導因子および分化抑制因子の生産に利用できる。さ
らに組換えDNA クローニング宿主、遺伝子供与体として
も使用できる。また、歯根膜細胞特異的マーカーの作成
や、それに対する抗体の作成に有用である。得られた歯
根膜細胞特異的マーカーに対するマウスなどの抗体を基
に、ヒトの抗体も通常の遺伝子操作技術で取得可能とな
る。この抗体は、細胞移植等の際に、歯根膜細胞の分
離、同定、定量等に必要となる。本明細書中、用語「抗
体」は最も広い意味で使用され、そして特に、それらが
所望の生物学的活性を示す限りは、単一のモノクローナ
ル抗体、多エピトープ特異性を有する抗体組成物、なら
びに抗体フラグメント(例えば、Fvなど)を含んでよ
い。
【0019】用語「モノクローナル抗体」は、実質的に
均質な抗体集団から得られる抗体をいう。すなわち、そ
の集団を構成する個々の抗体は、天然に存在する可能性
のある変異体が、少量そこに存在することもある点を除
いて、互いに同一である。モノクローナル抗体は特異性
が高く、単一の抗原部位を認識するものである。さら
に、代表的には異なる抗原決定基(エピトープ)に対す
る異なる抗体を含むといった従来の(ポリクローナル)
抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗
原上の単一の抗原決定基を認識するものである。それら
の特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらがハ
イブリドーマ培養物によって合成され、他の免疫グロブ
リンが混入されていない点で有利な点を持っている。修
飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団
から得られるような抗体の特徴を示すことを意味し、そ
して任意の特定の方法による抗体の産生をそこに必要と
するというようには解釈されるべきでない。例えば、本
発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ケーラ
ー(Kohler)およびミルシュタイン(Milstein), Nature(L
ondon) 256: 495 (1975)によって最初に記載されたハ
イブリドーマ法によって作製されることができるか、ま
たは組換えDNA 法によって作製されることができる(例
えば、米国特許第4,816,567 号(Cabilly et al.)を参
照のこと)。
【0020】本発明で使用されるモノクローナル抗体
は、Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991) や
Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1991) に
記載の技術を使用して、抗体のファージライブラリーか
らも単離することができる。本明細書中のモノクローナ
ル抗体は、特に、それが所望の生物学的活性を示す限り
は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種由来の
または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する
抗体中の対応する配列と同一であるかもしくは相同であ
っても、鎖の残りが、別の種由来のまたは別の抗体のク
ラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列
と同一であるかもしくは相同である「キメラ」抗体(免
疫グロブリン)、ならびにそのような抗体のフラグメン
トを含んでよい(米国特許第4,816,567 号; Morrison e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 81, 6851-6855 (1
984))。
【0021】非ヒト抗体(例えば、マウス抗体)の「ヒ
ト化」形態のものとしては、キメラ免疫グロブリン、免
疫グロブリン鎖、またはそのフラグメント(例えば、F
v、Fab 、Fab'、F(ab')2 、または抗体の他の抗原結合
配列)であって、それらは非ヒト免疫グロブリン由来の
最小配列を含むものである。大部分の場合、ヒト化抗体
は、レシピエントの相補性決定領域 (complementarity-
determining region; CDR)の残基をマウス、ラット、ま
たはウサギといったような非ヒト動物(ドナー抗体)で
あり且つ所望の特異性、親和性、および能力を有するCD
R に由来する残基によって置換してあるヒト免疫グロブ
リン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合にお
いて、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、
対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト
化抗体は、レシピエント抗体および導入されたCDR また
はフレームワーク配列のいずれにおいても見出されない
残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能をさらに
優れたものあるいは最適なものとするために行われる。
一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、および代表的
には2つの可変ドメインの実質的な全てを含み、ここ
で、全てまたは実質的な全てのCDR 領域は、非ヒト免疫
グロブリンのCDR 領域に対応する。さらに詳しくは、Jo
nes et al., Nature 321, 522-525 (1986); Reichmann
et al., Nature 332, 323-329 (1988);EP-B-239400; Pr
esta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992); お
よびEP-B-451216 を参照することができる。
【0022】また、本発明の細胞株は、歯根膜移植、歯
欠損治療および遺伝子治療に利用できる。更に、本細胞
株は歯根膜の細胞の分化、歯周組織の発生・修復・再生
などの研究に応用できる。本発明で得られた細胞株を用
いて分子レベルでその分化などの仕組みが理解できるよ
うになり、ひいては、各種機能を有する因子が得られ
る。これらの因子は、医薬品としての利用も考えられ
る。その他、本細胞株自身の生産する新しいサイトカイ
ンの生産およびそのクローニング等にも用いることがで
き、また、様々な物質の薬理試験、毒性試験等にも使用
できる。特に本発明の株化歯根膜由来細胞は、歯周病、
虫歯などの歯科疾病に対する作用薬物のスクリーニング
などに有用である。本発明の継代維持可能なラット歯根
膜由来の細胞株の樹立により、(1) 歯周病における骨吸
収に対して、骨芽細胞を未分化細胞から分化させること
により、骨を形成し、修復することが可能となる、(2)
矯正治療における歯の移動時に歯根膜内に破骨細胞を選
択的に増加させ、より効果的な歯の移動を行うことが可
能となる、(3) デンタルインプラントの骨埋入部の表面
に歯根膜様の組織を形成させることが可能となる、さら
に歯根表面に骨の添加を促す遺伝子治療を行えるような
遺伝子形質を持つ細胞を検索することも可能となる、
(4) 吸収された歯に関してセメント質による再生、修復
を行うことのできる細胞を検索することも可能となる、
(5) 歯周組織に働く薬剤の検索に際して、樹立された該
ラット歯根膜由来の細胞株を使用することで、効率的に
薬剤の性質などのスクリーニングを行うことができ、
(6) 歯牙移植を行う際、骨の再植が安定化するように骨
形成が行われるように骨芽細胞を選択して使用すること
が可能となる、(7) 歯の再生を可能とする未分化細胞を
検索したり、該得られた未分化細胞を分化誘導する方法
の開発に利用することができ、歯の無いところに新しく
歯を再生することも可能となるなど様々な応用が可能で
ある。
【0023】本発明の継代維持可能なラット歯根膜由来
の細胞株を用いれば、対象細胞株の機能的な活性あるい
は作用(例えば、生物学的活性又は作用など)を促進
(あるいは増強)する又は阻害(あるいは抑制)する化
合物を同定するための、化合物のスクリーニング方法が
提供される。例えば、歯根膜細胞内又は細胞上で、ある
特定のタンパク質結合分子(例えば受容体に対するリガ
ンド及び酵素基質分子など)と該対象タンパク質(例え
ば受容体及び酵素など) との相互作用を促進(あるいは
増強)する化合物又は該相互作用を阻害(あるいは抑
制)する化合物を同定するための、化合物のスクリーニ
ング方法をも提供する。該促進する化合物(アゴニス
ト)は対象(目的)タンパク質の天然の生物学的機能を
促進(あるいは増強)する化合物であり、一方該阻害す
る化合物(アンタゴニスト)は、このような機能を低下
せしめる化合物又は該機能を阻害(あるいは抑制)する
化合物である。本発明の継代維持可能な歯根膜由来の細
胞株、及び該細胞から得られる調製物(例えば、細胞フ
ラクション、例えば膜、空胞、封入体 (inclusion)ある
いはそれらの任意の調製物など)を、当該対象タンパク
質アゴニスト又はアンタゴニストに成り得る候補分子の
存在下又は不在下で、必要に応じて検出用の標識化物と
共に、インキュベートする。候補分子が該対象タンパク
質(例えば受容体及び酵素など) と結合しても、該タン
パク質結合分子の結合に対して該対象タンパク質に対し
て影響を与えるような作用を誘起しないものは、最も良
好なアンタゴニストになるであろう。一方、候補分子が
該対象タンパク質と結合して、該タンパク質結合分子と
同一の効果又は非常に関連した効果を引き出すものは、
アゴニストである。本発明に従って得られた、代表的な
継代維持可能な歯根膜由来の細胞株、例えばラットの継
代維持可能な歯根膜由来の細胞株は、33℃の培養条件下
では、large T 遺伝子の発現により増殖能を持ち、継代
維持可能であるが、37℃の培養条件下では、large T 遺
伝子発現の消失が生起し、徐々にアポトーシスによる細
胞死に至るという性状を有している。該ラットの継代維
持可能な歯根膜由来の細胞株を使用し、(1)37 ℃の培養
条件下によって誘導される細胞死に対する生理活性因子
の保護作用、(2) 低酸素負荷及び感染によって引き起こ
される細胞死に対する生理活性因子の保護作用のメカニ
ズム解明などを行うことが可能であり、有用である。
【0024】本明細書において、用語「細胞(cell)」、
「細胞株 (cell line)」、および「細胞培養物(cell cu
lture)」は互いに交換可能に使用され、そして全てのこ
のような呼称は、その子孫を含む。全ての子孫は、故意
または偶然の変異によって、DNA 含有物について正確に
は同一でなくても良いことが理解されよう。そこには、
元の樹立された株化細胞においてスクリーニングされた
のと同じ機能または生物学的特性を有する変異体子孫が
含まれる。本発明の測定方法において、個々の免疫学的
測定法を適用する場合、そこでは、特別の条件、操作等
の設定は通常は特には必要とされない。それぞれの方法
における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配
慮を加えて、本発明の当該対象物質あるいはそれと実質
的に同等な活性を有する物質に関連した測定系を構築す
ればよい。
【0025】これらの一般的な技術手段の詳細について
は、総説、成書などを参照することができ、例えば、入
江 寛編,「ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和49
年発行;入江 寛編,「続ラジオイムノアッセイ」,講
談社,昭和54年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定
法」,医学書院,昭和53年発行;石川栄治ら編,「酵素
免疫測定法」(第2版),医学書院,昭和57年発行;石
川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第3版),医学書
院,昭和62年発行;H. V. Vunakis et al. (ed.), "Met
hods in Enzymology", Vol. 70 (Immunochemical Techn
iques, Part A), Academic Press, New York (1980);
J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymolog
y", Vol. 73 (Immunochemical Techniques, Part B), A
cademic Press, New York (1981); J. J. Langone et a
l. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 74 (Immuno
chemical Techniques, Part C), Academic Press, New
York (1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods
in Enzymology", Vol. 84 (Immunochemical Technique
s, Part D: Selected Immunoassays), Academic Press,
NewYork (1982); J. J. Langone et al. (ed.), "Meth
ods in Enzymology", Vol. 92 (Immunochemical Techni
ques, Part E: Monoclonal Antibodies and GeneralImm
unoassay Methods), Academic Press, New York (198
3); J. J. Langone etal. (ed.), "Methods in Enzymol
ogy", Vol. 121 (Immunochemical Techniques,Part I:
Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies), A
cademic Press, New York (1986); J. J. Langone et a
l. (ed.), "Methods in Enzymology",Vol. 178 (Antibo
dies, Antigens, and Molecular Mimicry), Academic P
ress,New York (1989); M. Wilchek et al. (ed.), "Me
thods in Enzymology", Vol.184 (Avidin-Biotin Techn
ology), Academic Press, New York (1990); J. J. Lan
gone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 2
03 (Molecular Designand Modeling: Concepts and App
lications, Part B: Anibodies and Antigens, Nucleic
Acids, Polysaccharides, and Drugs), Academic Pres
s, New York (1991) などに記載の方法あるいはそこで
引用された文献記載の方法あるいはそれらと実質的に同
様な方法や改変法により行うことができる (それらの中
にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示
に含められる) 。
【0026】本発明において使用されるDNA クローニン
グ技術においては、その具体的な操作並びに処理条件な
どは、例えばJ. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniat
is (ed.), "Molecular Cloning: A Laboratory Manual
(2nd edition)", Cold SpringHarbor Laboratory Pres
s, Cold Spring Harbor, New York (1989); D. M. Glov
er et al. (ed.), "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to
4, (The Practical Approach Series), IRL Press, Ox
ford University Press (1995)などに記載の方法あるい
はそこで引用された文献記載の方法あるいはそれらと実
質的に同様な方法や改変法により行うことができる (そ
れらの中にある記載はそれを参照することにより本明細
書の開示に含められる) 。また、細胞培養などの具体的
な操作並びに処理条件などは、例えば William B. Jako
by et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 58
(Cell Culture), Academic Press, New York (1991) 及
びその他のMethods in Enzymology シリーズ (Vol.1-31
7), Academic Press, New York; Jennie P. Mather et
al. (ed.), "Methods in Cell Biology", Vol. 57 (Ani
mal Cell Culture Methods), Academic Press, New Yor
k (1991)などに記載の方法あるいはそこで引用された文
献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改
変法により行うことができる (それらの中にある記載は
それを参照することにより本明細書の開示に含められ
る) 。
【0027】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具
体的な態様の参考のために提供されているものである。
これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明する
ためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定
したり、あるいは制限することを表すものではない。本
発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可
能であることは理解されるべきである。全ての実施例
は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用
いて実施したもの、又は実施することのできるものであ
り、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。下
記の例で使用する主な略号: BSA: bovine serum albumin SV40: simian virus 40 EDTA: ethylenediaminetetraacetic acid PBS: phosphate-buffered saline ALP: alkaline phosphatase BMP-4: bone morphogenetic protein 4 BSP: bone sialoprotein Cbfa-1: Core binding factor α1 G3PDH: glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase RANKL: Receptor activator of NF κβ Ligand OPG: Osteoprotegerin α-MEM: α Modification MINIMUM ESSENTIAL MEDIUM
【0028】実施例1 (i) 動物組織からの歯根膜構成細胞の分離 SV40の温度感受性変異株のラージT 抗原遺伝子SV40tsA5
8 を導入した4〜12週齢のトランスジェニックラット
(F1) 2匹 (ワイエスニューテクノロジー研究所より入
手; 特開平5-292958号公報 (特許第2,988,753 号公報)
記載の手法で得られた) から臼歯を摘出し、歯根膜細胞
の分離に用いた。以下のラット歯根膜細胞の培養におい
て、使用培地は、140mg/l のストレプトマイシン(和光
純薬工業株式会社) 、70 mg/l のペニシリン(和光純薬
工業株式会社) 及び 2 g/lのNaHCO3を含有するα-MEM培
地(液体培地)(SIGMA)を使用した。初代培養時には、上
記培地に、10% FBS (Biocell LABORATORIES INC)を添加
したものを使用し、継代培養時には、2% FBSを添加した
ものを使用した。また、培養条件は、通常時は、33℃、
5% CO2 in air で行い、分化促進時には、37℃、5% CO2
in air で行った。培地交換頻度は、3日おきとした。
細胞密度は、35 mm 培養皿に 50,000 個/cm3でまき、co
nfluent 時に継代した。6週齢SV40 TG-rat から臼歯を
摘出し、その摘出した臼歯から、その歯根中央1/3 部分
の歯根膜を摘出した。摘出にあたっては、氷冷下で歯肉
組織、根尖部組織のないようにして、歯根膜を採取し
た。歯根膜は、上記した10% FBS α-MEM培地中に集め
た。歯根片ごと初代培養を、33℃、5% CO2 in air で行
った。継代培養は、上記した2% FBSα-MEM培地を使用
し、33℃、5% CO2 in air で行った。2回目の継代の
後、歯根膜は、酵素液(0.05% トリプシン及び 0.02% E
DTA 含有PBS)中で37℃で処理して剥がした。35 mm 培
養皿に細胞数が 25 個になるようにしてまき、コロニー
が形成されるまで3〜5週間33℃、5% CO2 in air で培
養した。コロニーが形成されるまでは培地の交換は行わ
なかった。コロニーが形成され1mm程度になったら、倒
立顕微鏡下(40倍)で観察し、培養皿の下面にマーカー
でコロニーの境界線を引く。培地を吸引除去後、片側に
シリコングリスを塗布したペニシリンカップ(内径4m
m)を、コロニーの輪郭が中央にくるようにピンセット
を使って立てる。ピペットを用いてペニシリンカップ内
へ 400μl の酵素液(0.05% トリプシン及び 0.02% EDT
A 含有PBS)を入れ30秒静置する。酵素液をピペットで
吸引除去し、室温で5分間放置する。ピペットを用い 4
00μl の培地で静かにピペッティングして、細胞を剥が
す。剥がした細胞は20mm初代培養用の培養皿に培地を1
ml加えたものに蒔く。これを培養して得られたものを株
細胞とする。クローニングして得られた培養細胞は、石
灰化培地(組成:α-MEM培地, Dexamethasone (100nM),
β-glycerophosphate (10mM), ascorbic acid (50 μg
/ml): Expression of Extracellar Matrix Protein in
Human Periodontal LigamentCells during Mineralizat
ion in vitro. J. Periodontol 1997; 68; 320-327参
照) を用い、石灰化能についてアリザニン染色で調
べ、硬組織形成に係わる細胞マーカーについては、その
遺伝子発現について、RT-PCR法により調べた。RT用のプ
ライマーとしては、Oligo(dT)15Primer (Promega Corpo
ration) を使用し、You-prime First Strand Beads (Ph
armacia)を利用して、さらにPCR 用プライマーとして
は、次の表1のものを使用した。
【0029】
【表1】 この結果、形態的に差異の見られる19種の株細胞を樹立
した。そのうち、10種の細胞で nodule の形成が認めら
れ、石灰化能が確認された。RT-PCR法により、ALP では
9種、BMP-4 では14種の細胞に発現が見られた。
【0030】
【表2】
【0031】(ii) 細胞のクローニング 細胞のクローニングには、1.特異的な抗体を用いた濃
縮、2.コロニー形成法、3.限界希釈法の3つを用いるこ
とができる。歯根膜由来株化細胞のマーカーとしては、
例えばtype I collagen, osteopontin, osteocalcin, B
MP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RANKL, OPG などが挙
げられ、使用される抗体としては、例えば、上記マーカ
ーに対するものが挙げられる。歯根膜由来株化細胞は、
その遺伝的特性、形態的特性、生理的及び/又は生物的
特性などにより分離することができ、例えば、石灰化能
の有無、骨形成転写因子の有無、破骨細胞分解因子の有
無、RANKL リプレッサーの有無などを指標とすることが
できる。
【0032】(iii) 株化細胞の特性 (1) 歯根膜由来細胞 歯根膜細胞分別時の顕微鏡下での形態的特徴について説
明する。コロニーの形態としては、コロニーの辺縁に樹
枝状突起があるもの、コロニーの形態が不定形で樹枝状
突起の無いもの、コロニーの形態が円形で樹枝状突起の
無いものが観察された。図1の1には、コロニーの辺縁
に樹枝状突起を持つ細胞群を示してある。図1の2に
は、コロニーの形態が円形の細胞群を示してある。図1
の3には、コロニーの形態が不定形で樹枝状突起を持た
ない細胞群を示してある。コロニーの細胞密度において
もそれぞれ差異を有している。図1の4には、細胞密度
の低いコロニーが示してあり、図2の6には、細胞密度
が高いコロニーが示してある。また、細胞の形において
もそれぞれ違いがあり、紡錘形の長径と短径の比率の違
い、細胞の大きさの違い、敷石状に配列しているものな
どの区別が認められる。図2の5及び6には、紡錘形の
長径が比較的短い細胞が、図2の7及び8には、紡錘形
の長径が比較的長い細胞が、それぞれ示されている。骨
芽細胞では、Cbfa-1など歯根膜由来骨芽細胞に特異的な
遺伝子発現が知られている。これらの遺伝子の発現につ
いて、RT-PCR法により調べたところ、すべての遺伝子の
発現が確認された。Cbfa-1抗体を用いて、免疫組織化学
を行ったところ、すべての細胞がCbfa-1抗体陽性であっ
た。歯根膜の骨芽細胞は、骨折の治癒、骨や歯の形成に
関与すると考えられている。本発明で得られた上記歯根
膜細胞株は、細胞を不死化させる遺伝子を持つSV40tsA5
8 抗原遺伝子導入トランスジェニックラットの歯根膜細
胞を試料として用いている。そのため得られた細胞は不
死化されており細胞の性質を維持した状態で培養し続け
ることが可能である。また今回用いたSV40tsA58 には温
度感受性があり、33℃で増殖が開始し37〜39℃で停止す
る。この特性は細胞培養を用いた実験での温度シフトに
よる操作を考えると非常に有用である。
【0033】本発明で得られた上記歯根膜細胞株は、30
代の継代の後も、上記したような遺伝子の発現があるこ
とが確認される。かくして本発明では、株化歯根膜細胞
として、ラット歯根膜由来骨芽細胞、ラット歯根膜由来
線維芽細胞、ラット歯根膜由来セメント芽細胞、ラット
歯根膜破骨細胞が得られていると判断される。本発明に
従って、ラットの歯根膜細胞株を得ることができ、それ
により、これまでラットで得られて蓄積されたデータを
含めた技術を有利に利用することが可能となり、歯科領
域の研究において優れた技術手段を提供する。特に、上
記で指摘してきた保護作用に関する研究開発において
は、ラットを使用するのが研究の主流であり、この点で
も注目される技術手段を提供する。初代培養のインビト
ロ実験系では、その効果が悪い(実際上、多くの動物か
ら細胞を分散培養しても、維持が困難で特定細胞に対す
る薬物の反応を見ることはほとんどできない)が、これ
に対して本発明により、格段に効率を高めることが可能
となり、薬物スクリーニング使用に適した継代維持可能
細胞株を提供している。
【0034】
【発明の効果】本発明により、温度感受性変異株SV40ラ
ージT 抗原遺伝子導入ラットより歯根膜を分離培養し
て、継代維持可能な歯根膜由来細胞を得ることが可能と
なった。継代維持可能な細胞として、歯根膜骨芽細胞,
歯根膜線維芽細胞,歯根膜セメント芽細胞、歯根膜破骨
細胞などを樹立できる。該継代維持可能な歯根膜細胞を
利用して、歯根膜線維芽細胞、歯根膜骨芽細胞、歯根膜
セメント芽細胞などの歯根膜間葉系細胞の相互作用や歯
胚の形成、歯槽骨のリモデリングやセメント質の修復機
構に関する研究、種々の歯根膜疾患、歯周炎、歯周病な
どの歯科領域の疾病の治療・予防、そしてその原因など
の解明、さらにそれら歯科領域の疾病に対する薬物の開
発に利用できる。不死化細胞を使用して、歯根膜細胞に
係わる研究を培養系で行うことが可能となり、保護薬な
どの有用薬物の開発を効率よく行うことが可能となる。
そして、歯インプラント材、骨インプラント材などの開
発研究に利用可能である。本発明は、前述の説明及び実
施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかで
ある。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変
形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲
の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 倒立顕微鏡下(40倍)での株化歯根膜細胞の
形態を示す写真。1:コロニーの辺縁に樹枝状突起を持
つ細胞群を示す。2:コロニーの形態が円形の細胞群を
示す。3:コロニーの形態が不定形で樹枝状突起を持た
ない細胞群を示す。4:細胞密度の低いコロニー。
【図2】 倒立顕微鏡下(40倍)での株化歯根膜細胞の
形態を示す写真。5:紡錘形の長径が比較的短い細胞。
6:細胞密度が高いコロニー。紡錘形の長径が比較的短
い細胞。7:紡錘形の長径が比較的長い細胞。8:紡錘
形の長径が比較的長い細胞。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月6日(2001.11.
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 株化歯根膜細胞
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラット由来の歯の
歯根膜に存在する細胞であって、継代培養可能なラット
由来細胞に関する。本発明は、特に、歯の歯根膜に存在
する細胞の株化されたラット由来細胞、該細胞を用いた
歯科領域の作用薬物のスクリーニングや、歯の歯根膜な
どでその作用が問題となる薬物のスクリーニングをする
のに利用可能な細胞株に関するものである。また、歯の
歯根膜に存在する細胞に発現する種々の受容体を標的と
した薬物のスクリーニングを行うのに利用可能な細胞株
に関するものである。さらに、歯の歯根膜に存在する細
胞の障害を標的とした薬物のスクリーニングをするのに
利用可能な細胞株に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯のセメント質と歯槽骨を連結する歯根
膜(歯周靱帯)は、感染や種々のストレスに反応して歯
周組織の発生・修復・再生に関与し、恒常性を維持して
いるものと考えられている。例えば、歯に矯正を施した
場合、歯は矯正力の作用方向に移動するが、その場合力
の作用方向の歯根膜は圧迫され、該歯根膜と接する部位
の歯槽骨は吸収されていき、一方、反対側の歯根膜は広
くなって、その部分の歯根膜線維は牽引され、当該部位
に接する歯槽骨では骨新生をきたすこととなる。その結
果、歯は力の作用方向に移動していく。こうした歯の移
動は歯根膜に存在する様々な細胞により調節されてい
る。
【0003】しかしながら、歯根膜は多種の細胞を含む
複雑な構造を呈し、各々の細胞がどのような機構で刺激
を受け取っているのかという点についてはその解明が待
たれているのである。例えば、硬組織を形成する骨芽細
胞、セメント芽細胞や歯根膜腔を構築する歯根膜線維芽
細胞は、歯の移動に伴い、歯根膜内の未分化な間葉系幹
細胞より分化すると考えられているが、その分化の過程
は解明されていない。歯根膜の機能を解析する上で重要
な細胞である線維芽細胞、骨芽細胞、セメント芽細胞な
どの間葉系細胞の相互作用や歯胚の形成、歯槽骨のリモ
デリングやセメント質の修復機構に関する研究において
は、その細胞の性質を維持した状態で培養し続けること
のできる株化歯根膜細胞を入手することが求められてい
る。
【0004】従来は、主に歯根膜片より outgrowth し
てきた primary culture の細胞を利用する試みがなさ
れてきたが、それには、例えば次のような問題があると
種々の論文で指摘されている。 (1) 採取した細胞間に反応性の違いがある、(2) 形態・
酵素化学的にも多様な細胞集団である、(3) 約5〜8継
代で実験に使用される程度で、それ以降のものは形質転
換しやすい、(4) 歯根膜は、歯肉線維芽細胞、根尖部組
織の混入などを防ぐためには、歯根の中央 1/3 より採
取する必要があるが、その組織量が少なく、従って実験
に使用できる量の細胞を得ることが困難であるし、その
細胞増殖にも時間を要する、(5) ラットでは、ヒトに近
い根形態を有する臼歯を用いようとすると、さらに小さ
い歯根片を採取しなければならないが、これは非常に困
難である、また常生歯では基本的にヒトのモデルとして
は劣るものでしかない、(6) マウスでは、その採取は非
常に難しく、たとえ顕微鏡下で採取しようとして得られ
たとしても、その得られた細胞の由来が疑わしいもので
ある。
【0005】また、歯根膜に関して、株化技術として
は、tsSV40 large T抗原をレトロウイルスを用いて導入
した培養ヒト歯根細胞 (Parker M.H. et al., Aechives
of Oral Biology, 44: 823-834 (1999)) と、tsSV40 l
arge T抗原トランスジェニックマウスを用いた歯根膜細
胞 (D'Errico J.A. et al., Bone, 25(1): 39-47 (199
9))の二つの報告のみで、両者とも歯根膜に含まれる複
数の種類の細胞を一括して培養し、その細胞群を歯根膜
細胞として用いている。こうした段階の歯根膜細胞は複
数の種類の細胞を選別するという操作が行われておら
ず、個々の細胞の性質を解析するには適さない。また、
細胞の比率を常に同じ割合で保つことは難しく、よっ
て、実験の度に同じ条件を調えるのも困難であり、再現
性の点でも問題があり、この細胞群の性質を調べても、
個々の細胞の性質を調べることはできず、またそれぞれ
の細胞の相互作用を解析することはできないという問題
がある。歯根膜採取などにより適するラットでは、これ
まで株化したラット歯根膜の報告は皆無である。
【0006】ところで、従来の株化細胞樹立法として
は、1) 初代培養細胞を長期間培養し続けて、無限増殖
能を獲得した細胞を得る方法、2) SV40などの癌遺伝子
を初代培養細胞に導入して不死化させる方法などが挙げ
られる。しかしながら、1)の方法では時間がかかるにも
かかわらず目的の細胞が必ずしも得られるとは限らな
い。また、2)の方法では遺伝子導入が増殖性の細胞のみ
に起こること、また個々の細胞で染色体導入位置の相違
があるなどの欠点がある。したがって、生体組織毎に異
なり、そして各組織に特異な形質あるいは機能を発現し
ている細胞をその性質などを損なうことなく該形質ある
いは機能を発現している不死化細胞株として得ることは
困難である。
【0007】これら従来の株化細胞樹立法の問題点を克
服する方法として、SV40などの癌遺伝子を導入したトラ
ンスジェニックマウスから目的の組織の細胞を単離し、
株化細胞を得る方法が開発された[Yanai N. et al., E
xp. Cell. Res.,197, 50-56(1991); Yanai N. et al.,
Jpn. J. Cancer Res., 82, 1344-1348 (1991)]。該方
法は、最初から不死化に必要な癌遺伝子が細胞に組み込
まれているので、分化形質を保持したままの株化細胞を
かなり高頻度で樹立することができると期待されてい
る。しかしながら、実際は、継代維持ができる一方で、
各生体組織に特有の形質・機能を保持している細胞を株
化することは容易でない。特に、歯根膜に存在する細胞
は、その特殊性から、その継代維持ができる株化細胞の
樹立が強く要望されていたにも拘らず、それにはこれま
で成功していなかった。また、歯根膜組織の研究には、
ラット組織を使用する必要があるが、トランスジェニッ
クラットの作出は容易でないという事情もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】歯科疾病、例えば歯周
病、齲蝕などの病理研究、歯科疾病の予防・治療のため
の薬物の開発研究、歯根膜に存在する細胞に発現する種
々の受容体を標的とした薬物、例えば歯周病治療薬など
の治療薬の開発研究、歯根膜に存在する細胞に生ずる障
害あるいは異常の研究、さらにはそうした障害あるいは
異常に対して作用する薬物の開発研究に利用したり、該
薬物のスクリーニングなどに利用可能な歯の歯根膜に存
在する細胞であって、継代培養可能なラット由来細胞を
樹立し、提供することに関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、継代維持
可能な歯根膜細胞を確立すべく、広範な研究並びに探索
を行い、その結果、温度感受性変異株SV40ラージT 抗原
遺伝子を導入したトランスジェニックラットを使用すれ
ば、継代維持可能な歯根膜細胞を得ることが可能である
ことを見出して本発明に至った。すなわち、本発明は、
継代維持可能なラット由来歯根膜細胞に関する。本発明
は、また、温度感受性変異株SV40ラージT 抗原遺伝子導
入のトランスジェニックラット由来の歯根膜細胞に関す
る。本発明は、該継代維持可能な歯根膜細胞を使用し
た、種々の歯根膜疾患を含めた歯の病気の研究、歯科用
薬物の開発及びスクリーニングにも関する。本発明は、
SV40の温度感受性変異株のラージT 抗原遺伝子、例えば
SV40tsA58を導入したトランスジェニックラット由来で
ある株化歯根膜細胞であって、次の細胞:骨芽細胞、線
維芽細胞、セメント芽細胞、ラット歯根膜破骨細胞又は
間葉系幹細胞より誘導された細胞などを包含する。
【0010】本発明は、 〔1〕 継代維持可能で且つラット歯根膜由来の細胞
株; 〔2〕 該細胞株が、ラット歯根膜由来骨芽細胞、ラッ
ト歯根膜由来線維芽細胞、ラット歯根膜由来セメント芽
細胞、ラット歯根膜破骨細胞、又はラット歯根膜間葉系
幹細胞より誘導された細胞であることを特徴とする上記
〔1〕記載の細胞株; 〔3〕 細胞株が、type I collagen, osteopontin, os
teocalcin, BMP-4,BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RANKL及
びOPG から成る群から選ばれたものを発現しているラッ
ト株化細胞であることを特徴とする上記〔1〕又は
〔2〕記載の細胞株; 〔4〕 細胞株が、type I collagen, osteopontin, os
teocalcin, BMP-4,BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RANKL及
びOPG から成る群から選ばれたものを発現していないラ
ット株化細胞であることを特徴とする上記〔1〕又は
〔2〕記載の細胞株; 〔5〕 細胞株が、Cbfa-1活性を有する株化細胞である
ことを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の細胞株; 〔6〕 細胞株が、BMP-4 活性を有する株化細胞である
ことを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の細胞株; 〔7〕 遺伝子の発現が、 RT-PCR 法により測定された
ものであることを特徴とする上記〔3〕〜〔6〕のいず
れか一記載の細胞株; 〔8〕 該細胞株が、遺伝的、形態的、生理的又は生物
活性的に均一な細胞集団であることを特徴とする上記
〔1〕〜〔7〕のいずれか一記載の細胞株;
〔9〕 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺伝子導
入ラットの歯根膜を用いることを特徴とする、歯根膜由
来の継代維持可能な細胞株を得る方法; 〔10〕 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺伝子
導入ラットの歯根膜から分離された間葉系幹細胞を用い
ることを特徴とする、上記
〔9〕記載の方法; 〔11〕 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺伝子
導入ラットの歯根膜を用い、歯根膜の細胞に特異的なマ
ーカーを利用して選別クローニングを行うことを特徴と
する、歯根膜由来の継代維持可能な細胞株の樹立方法; 〔12〕 マーカーとして、type I collagen, osteopo
ntin, osteocalcin,BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP,
RANKL及びOPG から成る群から選ばれたものを使用し、
それらに対する抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化
歯根膜細胞を得ることを特徴とする、上記〔11〕記載
の方法; 〔13〕 マーカーとして、Cbfa-1抗原を使用し、抗Cb
fa-1抗原抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化歯根膜
細胞を得ることを特徴とする、上記〔11〕記載の方
法; 〔14〕 マーカーとして、BMP-4 を使用し、抗BMP-4
抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化細胞を得ること
を特徴とする、上記〔11〕記載の方法; 〔15〕 マーカーとして、G3PDH を使用し、抗G3PDH
抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化細胞を得ること
を特徴とする、上記〔11〕記載の方法; 〔16〕 試料中のラット由来歯根膜の細胞に対する生
物活性の測定法であって、(i) 継代維持可能で且つ歯
根膜由来の細胞株を使用し、(ii) (a) 試料存在条件
下で維持した上記 (i)の細胞と、 (b) 試料の存在しな
い条件下で維持した上記 (i)の細胞とを比較することを
特徴とする、該測定法; 〔17〕 ラット由来歯根膜細胞に対する生物活性を有
する化合物の同定方法であって、(i) (a) 継代維持可能
で且つラット歯根膜由来の細胞株を、該歯根膜由来の細
胞株を維持可能な条件下で、試料化合物と接触させる場
合と、(b) 該歯根膜由来の細胞株を維持可能な条件下
で、継代維持可能で且つ歯根膜由来の細胞株を該試料化
合物の存在しない条件下に保持する場合とを比較する
か、あるいは(ii) (a)継代維持可能で且つ歯根膜由来の
細胞株を、試料化合物と、歯根膜の細胞の機能を低下せ
しめる条件下で接触させる場合と、(b)継代維持可能で
且つ歯根膜由来の細胞株を、該試料化合物の存在しない
で且つ歯根膜の細胞の機能を低下せしめる条件下で保持
する場合とを比較し、該試料化合物が歯根膜の細胞に対
する生物活性を有するか否かを測定することからなる同
定方法;及び 〔18〕 歯根膜の細胞に対する生物活性を有する化合
物が、歯根膜の細胞に発現する受容体に対するアゴニス
ト又はアンタゴニストであることを特徴とする、上記
〔17〕記載の方法を提供する。
【0011】本発明のその他の目的、特徴、優秀性及び
その有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明
白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実
施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ま
しい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されて
いるものであることを理解されたい。本明細書に開示し
た本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改
変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明
細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易
に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特
許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているも
ので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに
含めて解釈されるべきものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の株化細胞の樹立方法とし
ては、癌遺伝子を導入したトランスジェニックラットか
ら目的の組織の細胞を単離し、培養して株化細胞を樹立
する方法が挙げられる。導入する癌遺伝子としては、SV
40の温度感受性変異株のラージT 抗原遺伝子、例えばSV
40tsA58 などが挙げられる。組織は、歯根膜細胞を入手
するに適し且つ摘出に適したものであればいかなる組織
でもよいが、通常は歯組織、特には歯の歯根膜などが挙
げられる。上述のトランスジェニック動物より組織を摘
出し、細胞を酵素法[(IchikawaN. et al., J. Pharmac
ol. Toxicol. Method. 36: 45-52 (1996); Goldstein
G.W. et al., J. Neurochem. 25: 715-717 (1975); Mey
er J. et al., J. Neurochem. 57: 1971-1977 (1991)]
により分離・回収し、培養する。培養の後、細胞のクロ
ーニングは、特異抗体を利用した濃縮・選別法、コロニ
ー形成法[Endocrinology 136: 4084-4091 (1995) ]、
限界希釈法などにより行われ、数回のクローニングの後
に、株化細胞を樹立することができる。特異抗体を利用
した目的細胞の選別には、ターゲット細胞が特異的に発
現しているマーカーに対する特異抗体を利用するものが
挙げられる。トランスジェニックラットから継代維持可
能な細胞を得る場合には、マウスやウサギで作製された
抗体を利用することが可能であり、優れている。該マー
カーとしては、type I collagen, osteopontin, osteoc
alcin, BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RANKL, OPG
などが挙げられる。ターゲット細胞の選別は、上記マー
カー遺伝子の発現の有無によって行うこともできる。該
遺伝子発現は、Polymerase Chain Reaction (PCR) 法、
Reverse Transcriptase (RT)-PCR法などにより行うこと
ができる。
【0013】PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるい
はそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことが
できるが、例えば R. Saiki et al., Science, 230: 13
50,1985; R. Saiki et al., Science, 239: 487, 1988;
M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
85, 8998-9002 (1988); H. A. Erlich (ed.), PCRTech
nology, Stockton Press, 1989; M. A. Innis et al.
(ed.), "PCR Protocols: A Guide to Methods and Appl
ications", Academic Press, New York (1990); M. J.
McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (ed.), PCR:
a practical approach, IRL Press, Oxford (1991); D.
M. Glover et al. (ed.), "DNA Cloning", 2nd ed., V
ol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press,
OxfordUniversity Press (1995); M. A. Innis et al.
(ed.), "PCR Applications: Protocols for Functiona
l Genomics", Academic Press, New York (1999)などに
記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法あ
るいはそれらと実質的に同様な方法や改変法により行う
ことができる (それらの中にある記載はそれを参照する
ことにより本明細書の開示に含められる) 。また、PCR
法は、それに適した市販のキットを用いて行うことがで
き、キット製造業者あるいはキット販売業者により明ら
かにされているプロトコルに従って実施することもでき
る。PCR 法では、通常適切なプライマーが使用される
が、該プライマーとしては、オリゴヌクレオチドを使用
できる。
【0014】「オリゴヌクレオチド」は、通常、短い長
さの、一本鎖または二本鎖のポリデオキシヌクレオチド
であり、これは、公知の方法(例えば、EP 266,032に記
載されるような固相技術など)を使用して化学的に合成
される。こうした方法としては、例えば、ホスホトリエ
ステル法、ホスファイト法、またはホスホルアミダイト
法、またはFroehler et al., Nucl. Acids Res. 14, 53
99 (1986)によって記載されるような方法が挙げられ
る。次いで化学的に合成されたものは、ポリアクリルア
ミドゲル上で精製される。
【0015】本発明の継代可能な歯根膜細胞株は、歯根
膜に存在する細胞の有する機能をほとんど保持したまま
株化し、継代して維持することのできる細胞を意味す
る。本発明の継代可能な歯根膜細胞株としては、例えば
歯根膜骨芽細胞、歯根膜線維芽細胞、歯根膜セメント芽
細胞、ラット歯根膜破骨細胞、歯根膜間葉系幹細胞より
誘導された細胞などが挙げられる。本発明の一態様でも
ある温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺伝子導入ラ
ットの歯から得る場合、その細胞株は不死化歯根膜細胞
株となり安定に保持できる。トランスジェニック動物の
樹立は、特開平5-292958号公報 (特許第2,988,753号公
報) などで行うことができる。本発明の好ましい一態様
では、SV40の温度感受性変異株のラージT抗原遺伝子、
例えばSV40tsA58 DNA を導入したトランスジェニックラ
ットから、それぞれ株化歯根膜細胞、例えばラット歯根
膜由来骨芽細胞、ラット歯根膜由来線維芽細胞、ラット
歯根膜由来セメント芽細胞、ラット歯根膜由来破骨細
胞、又はラット歯根膜間葉系幹細胞より誘導された細胞
を樹立できる。具体的な株化歯根膜細胞の樹立につき説
明すると、上記特許第2,988,753 号公報の記載に従い、
SV40の温度感受性変異株のラージT 抗原遺伝子SV40tsA5
8 を導入して作出したトランスジェニックラットからそ
の歯を出発生体組織として取り出し、歯根膜組織を分離
して、トリプシン、コラゲナーゼなどの酵素で処理し、
細胞を分散した状態にしてから、該細胞懸濁液を培養す
る。
【0016】培養に使用する培地としては、公知のもの
あるいは市販のものを適宜使用することが出来る。該培
地には、炭素資化源、窒素資化源などが含まれる。該培
地は、無機塩類、アミノ酸、ビタミン類、糖類、血清、
ホルモン、成長因子、抗生物質などが適宜配合されてい
る。該培地は、緩衝剤、浸透圧調整剤などにより培養に
適した状態にされたものである。細胞培養は、細胞外基
質の存在下に行うことも可能である。該細胞外基質とし
ては、I 〜IV型コラーゲン、ファイブロネクチン、ラミ
ニン、ビトロネクチンなどが挙げられる。またこうした
細胞培養には、コートされた担体などを好適に使用でき
る。該コートされた担体としては、ポリ-L- リジンコー
ト、コラーゲンコート、ゼラチンコート、ファイブロネ
クチンコートなどされたディシュなどの培養用の容器が
挙げられる。その他、キチン、キトサン、キチン誘導
体、例えば硫酸基及び/又はカルボキシメチル基などの
カルボキシ置換アルキル基などで置換されたキチンなど
の担体上で細胞培養することも可能であり、好ましい場
合もある。
【0017】培養された細胞はそれぞれに特異的なマー
カーを使用して分離することもできる。例えばtype I c
ollagen, osteopontin, osteocalcin, BMP-4, BSP, Cbf
a-1,G3PDH, ALP, RANKL及びOPG から成る群から選ばれ
たものをマーカーとして利用することが可能で、先ずそ
れらのマーカーに対する抗体を目的の細胞を含有する細
胞懸濁液と接触せしめ、次に所定の細胞に結合している
特異抗体に特異的に結合するリガンド(例えば該抗体が
マウスモノクローナル抗体を用いているのであれば、ウ
サギの抗マウス抗体など)を固定化したカラムを使用す
るなどして、目的の細胞を選択的に分離できる。また、
ある程度、他の歯根膜由来細胞から分離されたなら、限
界希釈法により、単一なクローンとなるまでクローニン
グを行うことができる。同様な手法で、例えば歯根膜線
維芽細胞、歯根膜セメント芽細胞、歯根膜間葉系幹細胞
より誘導された細胞などを得ることができる。
【0018】これらの細胞株は、各種生理活性因子、分
化誘導因子および分化抑制因子の生産に利用できる。さ
らに組換えDNA クローニング宿主、遺伝子供与体として
も使用できる。また、歯根膜細胞特異的マーカーの作成
や、それに対する抗体の作成に有用である。得られた歯
根膜細胞特異的マーカーに対するマウスなどの抗体を基
に、ヒトの抗体も通常の遺伝子操作技術で取得可能とな
る。この抗体は、細胞移植等の際に、歯根膜細胞の分
離、同定、定量等に必要となる。本明細書中、用語「抗
体」は最も広い意味で使用され、そして特に、それらが
所望の生物学的活性を示す限りは、単一のモノクローナ
ル抗体、多エピトープ特異性を有する抗体組成物、なら
びに抗体フラグメント(例えば、Fvなど)を含んでよ
い。
【0019】用語「モノクローナル抗体」は、実質的に
均質な抗体集団から得られる抗体をいう。すなわち、そ
の集団を構成する個々の抗体は、天然に存在する可能性
のある変異体が、少量そこに存在することもある点を除
いて、互いに同一である。モノクローナル抗体は特異性
が高く、単一の抗原部位を認識するものである。さら
に、代表的には異なる抗原決定基(エピトープ)に対す
る異なる抗体を含むといった従来の(ポリクローナル)
抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗
原上の単一の抗原決定基を認識するものである。それら
の特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらがハ
イブリドーマ培養物によって合成され、他の免疫グロブ
リンが混入されていない点で有利な点を持っている。修
飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団
から得られるような抗体の特徴を示すことを意味し、そ
して任意の特定の方法による抗体の産生をそこに必要と
するというようには解釈されるべきでない。例えば、本
発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ケーラ
ー(Kohler)およびミルシュタイン(Milstein), Nature(L
ondon) 256: 495 (1975)によって最初に記載されたハ
イブリドーマ法によって作製されることができるか、ま
たは組換えDNA 法によって作製されることができる(例
えば、米国特許第4,816,567 号(Cabilly et al.)を参
照のこと)。
【0020】本発明で使用されるモノクローナル抗体
は、Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991) や
Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1991) に
記載の技術を使用して、抗体のファージライブラリーか
らも単離することができる。本明細書中のモノクローナ
ル抗体は、特に、それが所望の生物学的活性を示す限り
は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種由来の
または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する
抗体中の対応する配列と同一であるかもしくは相同であ
っても、鎖の残りが、別の種由来のまたは別の抗体のク
ラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列
と同一であるかもしくは相同である「キメラ」抗体(免
疫グロブリン)、ならびにそのような抗体のフラグメン
トを含んでよい(米国特許第4,816,567 号; Morrison e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 6851-6855
(1984))。
【0021】非ヒト抗体(例えば、マウス抗体)の「ヒ
ト化」形態のものとしては、キメラ免疫グロブリン、免
疫グロブリン鎖、またはそのフラグメント(例えば、F
v、Fab 、Fab'、F(ab')2 、または抗体の他の抗原結合
配列)であって、それらは非ヒト免疫グロブリン由来の
最小配列を含むものである。大部分の場合、ヒト化抗体
は、レシピエントの相補性決定領域 (complementarity-
determining region; CDR)の残基をマウス、ラット、ま
たはウサギといったような非ヒト動物(ドナー抗体)で
あり且つ所望の特異性、親和性、および能力を有するCD
R に由来する残基によって置換してあるヒト免疫グロブ
リン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合にお
いて、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、
対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト
化抗体は、レシピエント抗体および導入されたCDR また
はフレームワーク配列のいずれにおいても見出されない
残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能をさらに
優れたものあるいは最適なものとするために行われる。
一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、および代表的
には2つの可変ドメインの実質的な全てを含み、ここ
で、全てまたは実質的な全てのCDR 領域は、非ヒト免疫
グロブリンのCDR 領域に対応する。さらに詳しくは、Jo
nes et al., Nature 321, 522-525 (1986); Reichmann
et al., Nature 332, 323-329 (1988);EP-B-239400; Pr
esta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992); お
よびEP-B-451216 を参照することができる。
【0022】また、本発明の細胞株は、歯根膜移植、歯
欠損治療および遺伝子治療に利用できる。更に、本細胞
株は歯根膜の細胞の分化、歯周組織の発生・修復・再生
などの研究に応用できる。本発明で得られた細胞株を用
いて分子レベルでその分化などの仕組みが理解できるよ
うになり、ひいては、各種機能を有する因子が得られ
る。これらの因子は、医薬品としての利用も考えられ
る。その他、本細胞株自身の生産する新しいサイトカイ
ンの生産およびそのクローニング等にも用いることがで
き、また、様々な物質の薬理試験、毒性試験等にも使用
できる。特に本発明の株化歯根膜由来細胞は、歯周病、
虫歯などの歯科疾病に対する作用薬物のスクリーニング
などに有用である。本発明の継代維持可能なラット歯根
膜由来の細胞株の樹立により、(1) 歯周病における骨吸
収に対して、骨芽細胞を未分化細胞から分化させること
により、骨を形成し、修復することが可能となる、(2)
矯正治療における歯の移動時に歯根膜内に破骨細胞を選
択的に増加させ、より効果的な歯の移動を行うことが可
能となる、(3) デンタルインプラントの骨埋入部の表面
に歯根膜様の組織を形成させることが可能となる、さら
に歯根表面に骨の添加を促す遺伝子治療を行えるような
遺伝子形質を持つ細胞を検索することも可能となる、
(4) 吸収された歯に関してセメント質による再生、修復
を行うことのできる細胞を検索することも可能となる、
(5) 歯周組織に働く薬剤の検索に際して、樹立された該
ラット歯根膜由来の細胞株を使用することで、効率的に
薬剤の性質などのスクリーニングを行うことができ、
(6) 歯牙移植を行う際、骨の再植が安定化するように骨
形成が行われるように骨芽細胞を選択して使用すること
が可能となる、(7) 歯の再生を可能とする未分化細胞を
検索したり、該得られた未分化細胞を分化誘導する方法
の開発に利用することができ、歯の無いところに新しく
歯を再生することも可能となるなど様々な応用が可能で
ある。
【0023】本発明の継代維持可能なラット歯根膜由来
の細胞株を用いれば、対象細胞株の機能的な活性あるい
は作用(例えば、生物学的活性又は作用など)を促進
(あるいは増強)する又は阻害(あるいは抑制)する化
合物を同定するための、化合物のスクリーニング方法が
提供される。例えば、歯根膜細胞内又は細胞上で、ある
特定のタンパク質結合分子(例えば受容体に対するリガ
ンド及び酵素基質分子など)と該対象タンパク質(例え
ば受容体及び酵素など) との相互作用を促進(あるいは
増強)する化合物又は該相互作用を阻害(あるいは抑
制)する化合物を同定するための、化合物のスクリーニ
ング方法をも提供する。該促進する化合物(アゴニス
ト)は対象(目的)タンパク質の天然の生物学的機能を
促進(あるいは増強)する化合物であり、一方該阻害す
る化合物(アンタゴニスト)は、このような機能を低下
せしめる化合物又は該機能を阻害(あるいは抑制)する
化合物である。本発明の継代維持可能な歯根膜由来の細
胞株、及び該細胞から得られる調製物(例えば、細胞フ
ラクション、例えば膜、空胞、封入体 (inclusion)ある
いはそれらの任意の調製物など)を、当該対象タンパク
質アゴニスト又はアンタゴニストに成り得る候補分子の
存在下又は不在下で、必要に応じて検出用の標識化物と
共に、インキュベートする。候補分子が該対象タンパク
質(例えば受容体及び酵素など) と結合しても、該タン
パク質結合分子の結合に対して該対象タンパク質に対し
て影響を与えるような作用を誘起しないものは、最も良
好なアンタゴニストになるであろう。一方、候補分子が
該対象タンパク質と結合して、該タンパク質結合分子と
同一の効果又は非常に関連した効果を引き出すものは、
アゴニストである。本発明に従って得られた、代表的な
継代維持可能な歯根膜由来の細胞株、例えばラットの継
代維持可能な歯根膜由来の細胞株は、33℃の培養条件下
では、large T 遺伝子の発現により増殖能を持ち、継代
維持可能であるが、37℃の培養条件下では、large T 遺
伝子発現の消失が生起し、徐々にアポトーシスによる細
胞死に至るという性状を有している。該ラットの継代維
持可能な歯根膜由来の細胞株を使用し、(1)37 ℃の培養
条件下によって誘導される細胞死に対する生理活性因子
の保護作用、(2) 低酸素負荷及び感染によって引き起こ
される細胞死に対する生理活性因子の保護作用のメカニ
ズム解明などを行うことが可能であり、有用である。
【0024】本明細書において、用語「細胞(cell)」、
「細胞株 (cell line)」、および「細胞培養物(cell cu
lture)」は互いに交換可能に使用され、そして全てのこ
のような呼称は、その子孫を含む。全ての子孫は、故意
または偶然の変異によって、DNA 含有物について正確に
は同一でなくても良いことが理解されよう。そこには、
元の樹立された株化細胞においてスクリーニングされた
のと同じ機能または生物学的特性を有する変異体子孫が
含まれる。本発明の測定方法において、個々の免疫学的
測定法を適用する場合、そこでは、特別の条件、操作等
の設定は通常は特には必要とされない。それぞれの方法
における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配
慮を加えて、本発明の当該対象物質あるいはそれと実質
的に同等な活性を有する物質に関連した測定系を構築す
ればよい。
【0025】これらの一般的な技術手段の詳細について
は、総説、成書などを参照することができ、例えば、入
江 寛編,「ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和49
年発行;入江 寛編,「続ラジオイムノアッセイ」,講
談社,昭和54年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定
法」,医学書院,昭和53年発行;石川栄治ら編,「酵素
免疫測定法」(第2版),医学書院,昭和57年発行;石
川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第3版),医学書
院,昭和62年発行;H. V. Vunakis et al. (ed.),"Meth
ods in Enzymology", Vol. 70 (Immunochemical Techni
ques, Part A), Academic Press, New York (1980); J.
J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymology",
Vol. 73 (Immunochemical Techniques, Part B), Acad
emic Press,New York (1981); J. J. Langone et al.
(ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 74 (Immunoche
mical Techniques, Part C), Academic Press, New Yor
k (1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in
Enzymology", Vol. 84 (Immunochemical Techniques, P
art D: Selected Immunoassays), Academic Press, New
York (1982); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods
in Enzymology", Vol.92 (Immunochemical Technique
s, Part E: Monoclonal Antibodies and General Immun
oassay Methods), Academic Press, New York (1983);
J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in Enzymolog
y", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: H
ybridoma Technology and Monoclonal Antibodies), Ac
ademic Press, New York (1986); J. J. Langone et a
l. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 178 (Antib
odies, Antigens, and Molecular Mimicry), Academic
Press, New York (1989); M. Wilchek et al. (ed.), "
Methods in Enzymology", Vol. 184 (Avidin-Biotin Te
chnology), Academic Press, New York (1990); J. J.L
angone et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol.
203 (Molecular Design and Modeling: Concepts and
Applications, Part B: Anibodies and Antigens, Nucl
eic Acids, Polysaccharides, and Drugs), Academic P
ress, New York(1991) などに記載の方法あるいはそこ
で引用された文献記載の方法あるいはそれらと実質的に
同様な方法や改変法により行うことができる (それらの
中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開
示に含められる) 。
【0026】本発明において使用されるDNA クローニン
グ技術においては、その具体的な操作並びに処理条件な
どは、例えばJ. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniat
is (ed.), "Molecular Cloning: A Laboratory Manual
(2nd edition)", Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s, Cold Spring Harbor, New York (1989); D. M. Glov
er et al. (ed.), "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to
4, (The Practical Approach Series), IRL Press, Ox
ford University Press (1995)などに記載の方法あるい
はそこで引用された文献記載の方法あるいはそれらと実
質的に同様な方法や改変法により行うことができる (そ
れらの中にある記載はそれを参照することにより本明細
書の開示に含められる) 。また、細胞培養などの具体的
な操作並びに処理条件などは、例えば William B. Jako
by et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 58
(Cell Culture), Academic Press, New York (1991) 及
びその他のMethods in Enzymology シリーズ (Vol.1-31
7), Academic Press, NewYork; Jennie P. Mather et a
l. (ed.), "Methods in Cell Biology", Vol. 57(Anima
l Cell Culture Methods), Academic Press, New York
(1991)などに記載の方法あるいはそこで引用された文献
記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改変
法により行うことができる (それらの中にある記載はそ
れを参照することにより本明細書の開示に含められる)
【0027】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具
体的な態様の参考のために提供されているものである。
これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明する
ためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定
したり、あるいは制限することを表すものではない。本
発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可
能であることは理解されるべきである。全ての実施例
は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用
いて実施したもの、又は実施することのできるものであ
り、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。下
記の例で使用する主な略号: BSA: bovine serum albumin SV40: simian virus 40 EDTA: ethylenediaminetetraacetic acid PBS: phosphate-buffered saline ALP: alkaline phosphatase BMP-4: bone morphogenetic protein 4 BSP: bone sialoprotein Cbfa-1: Core binding factor α1 G3PDH: glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase RANKL: Receptor activator of NF κβ Ligand OPG: Osteoprotegerin α-MEM: α Modification MINIMUM ESSENTIAL MEDIUM
【0028】実施例1 (i) 動物組織からの歯根膜構成細胞の分離 SV40の温度感受性変異株のラージT 抗原遺伝子SV40tsA5
8 を導入した4〜12週齢のトランスジェニックラット
(F1) 2匹 (ワイエスニューテクノロジー研究所より入
手; 特開平5-292958号公報 (特許第2,988,753 号公報)
記載の手法で得られた) から臼歯を摘出し、歯根膜細胞
の分離に用いた。以下のラット歯根膜細胞の培養におい
て、使用培地は、140mg/l のストレプトマイシン(和光
純薬工業株式会社) 、70 mg/l のペニシリン(和光純薬
工業株式会社) 及び 2 g/lのNaHCO3を含有するα-MEM培
地(液体培地)(SIGMA)を使用した。初代培養時には、上
記培地に、10% FBS (Biocell LABORATORIES INC)を添加
したものを使用し、継代培養時には、2% FBSを添加した
ものを使用した。また、培養条件は、通常時は、33℃、
5% CO2 in air で行い、分化促進時には、37℃、5% CO2
in air で行った。培地交換頻度は、3日おきとした。
細胞密度は、35 mm 培養皿に 50,000 個/cm3でまき、co
nfluent 時に継代した。6週齢SV40 TG-rat から臼歯を
摘出し、その摘出した臼歯から、その歯根中央1/3 部分
の歯根膜を摘出した。摘出にあたっては、氷冷下で歯肉
組織、根尖部組織のないようにして、歯根膜を採取し
た。歯根膜は、上記した10% FBS α-MEM培地中に集め
た。歯根片ごと初代培養を、33℃、5% CO2 in air で行
った。継代培養は、上記した2% FBSα-MEM培地を使用
し、33℃、5% CO2 in air で行った。2回目の継代の
後、歯根膜は、酵素液(0.05% トリプシン及び 0.02% E
DTA 含有PBS)中で37℃で処理して剥がした。35 mm 培養
皿に細胞数が 25 個になるようにしてまき、コロニーが
形成されるまで3〜5週間33℃、5% CO2 in air で培養
した。コロニーが形成されるまでは培地の交換は行わな
かった。コロニーが形成され1mm程度になったら、倒立
顕微鏡下(40倍)で観察し、培養皿の下面にマーカーで
コロニーの境界線を引く。培地を吸引除去後、片側にシ
リコングリスを塗布したペニシリンカップ(内径4mm)
を、コロニーの輪郭が中央にくるようにピンセットを使
って立てる。ピペットを用いてペニシリンカップ内へ 4
00μl の酵素液(0.05% トリプシン及び 0.02% EDTA 含
有PBS)を入れ30秒静置する。酵素液をピペットで吸引除
去し、室温で5分間放置する。ピペットを用い 400μl
の培地で静かにピペッティングして、細胞を剥がす。剥
がした細胞は20mm初代培養用の培養皿に培地を1ml加え
たものに蒔く。これを培養して得られたものを株細胞と
する。クローニングして得られた培養細胞は、石灰化培
地(組成:α-MEM培地, Dexamethasone (100nM), β-g
lycerophosphate (10mM), ascorbic acid (50 μg/ml):
Expression of Extracellar Matrix Protein in Human
Periodontal Ligament Cells during Mineralization
in vitro. J. Periodontol 1997; 68; 320-327参照) を
用い、石灰化能についてアリザニン染色で調べ、硬組織
形成に係わる細胞マーカーについては、その遺伝子発現
について、RT-PCR法により調べた。RT用のプライマーと
しては、Oligo(dT)15Primer (Promega Corporation) を
使用し、You-prime First Strand Beads (Pharmacia)を
利用して、さらにPCR 用プライマーとしては、次の表1
のものを使用した。
【0029】
【表1】 この結果、形態的に差異の見られる19種の株細胞を樹立
した。そのうち、10種の細胞で nodule の形成が認めら
れ、石灰化能が確認された。RT-PCR法により、ALP では
9種、BMP-4 では14種の細胞に発現が見られた。
【0030】
【表2】
【0031】(ii) 細胞のクローニング 細胞のクローニングには、1.特異的な抗体を用いた濃
縮、2.コロニー形成法、3.限界希釈法の3つを用いるこ
とができる。歯根膜由来株化細胞のマーカーとしては、
例えばtype I collagen, osteopontin, osteocalcin, B
MP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RANKL, OPG などが挙
げられ、使用される抗体としては、例えば、上記マーカ
ーに対するものが挙げられる。歯根膜由来株化細胞は、
その遺伝的特性、形態的特性、生理的及び/又は生物的
特性などにより分離することができ、例えば、石灰化能
の有無、骨形成転写因子の有無、破骨細胞分解因子の有
無、RANKL リプレッサーの有無などを指標とすることが
できる。
【0032】(iii) 株化細胞の特性 (1) 歯根膜由来細胞 歯根膜細胞分別時の顕微鏡下での形態的特徴について説
明する。コロニーの形態としては、コロニーの辺縁に樹
枝状突起があるもの、コロニーの形態が不定形で樹枝状
突起の無いもの、コロニーの形態が円形で樹枝状突起の
無いものが観察された。図1の1には、コロニーの辺縁
に樹枝状突起を持つ細胞群を示してある。図1の2に
は、コロニーの形態が円形の細胞群を示してある。図1
の3には、コロニーの形態が不定形で樹枝状突起を持た
ない細胞群を示してある。コロニーの細胞密度において
もそれぞれ差異を有している。図1の4には、細胞密度
の低いコロニーが示してあり、図2の6には、細胞密度
が高いコロニーが示してある。また、細胞の形において
もそれぞれ違いがあり、紡錘形の長径と短径の比率の違
い、細胞の大きさの違い、敷石状に配列しているものな
どの区別が認められる。図2の5及び6には、紡錘形の
長径が比較的短い細胞が、図2の7及び8には、紡錘形
の長径が比較的長い細胞が、それぞれ示されている。骨
芽細胞では、Cbfa-1など歯根膜由来骨芽細胞に特異的な
遺伝子発現が知られている。これらの遺伝子の発現につ
いて、RT-PCR法により調べたところ、すべての遺伝子の
発現が確認された。Cbfa-1抗体を用いて、免疫組織化学
を行ったところ、すべての細胞がCbfa-1抗体陽性であっ
た。歯根膜の骨芽細胞は、骨折の治癒、骨や歯の形成に
関与すると考えられている。本発明で得られた上記歯根
膜細胞株は、細胞を不死化させる遺伝子を持つSV40tsA5
8 抗原遺伝子導入トランスジェニックラットの歯根膜細
胞を試料として用いている。そのため得られた細胞は不
死化されており細胞の性質を維持した状態で培養し続け
ることが可能である。また今回用いたSV40tsA58 には温
度感受性があり、33℃で増殖が開始し37〜39℃で停止す
る。この特性は細胞培養を用いた実験での温度シフトに
よる操作を考えると非常に有用である。
【0033】本発明で得られた上記歯根膜細胞株は、30
代の継代の後も、上記したような遺伝子の発現があるこ
とが確認される。かくして本発明では、株化歯根膜細胞
として、ラット歯根膜由来骨芽細胞、ラット歯根膜由来
線維芽細胞、ラット歯根膜由来セメント芽細胞、ラット
歯根膜破骨細胞が得られていると判断される。本発明に
従って、ラットの歯根膜細胞株を得ることができ、それ
により、これまでラットで得られて蓄積されたデータを
含めた技術を有利に利用することが可能となり、歯科領
域の研究において優れた技術手段を提供する。特に、上
記で指摘してきた保護作用に関する研究開発において
は、ラットを使用するのが研究の主流であり、この点で
も注目される技術手段を提供する。初代培養のインビト
ロ実験系では、その効果が悪い(実際上、多くの動物か
ら細胞を分散培養しても、維持が困難で特定細胞に対す
る薬物の反応を見ることはほとんどできない)が、これ
に対して本発明により、格段に効率を高めることが可能
となり、薬物スクリーニング使用に適した継代維持可能
細胞株を提供している。
【0034】
【発明の効果】本発明により、温度感受性変異株SV40ラ
ージT 抗原遺伝子導入ラットより歯根膜を分離培養し
て、継代維持可能な歯根膜由来細胞を得ることが可能と
なった。継代維持可能な細胞として、歯根膜骨芽細胞,
歯根膜線維芽細胞,歯根膜セメント芽細胞、歯根膜破骨
細胞などを樹立できる。該継代維持可能な歯根膜細胞を
利用して、歯根膜線維芽細胞、歯根膜骨芽細胞、歯根膜
セメント芽細胞などの歯根膜間葉系細胞の相互作用や歯
胚の形成、歯槽骨のリモデリングやセメント質の修復機
構に関する研究、種々の歯根膜疾患、歯周炎、歯周病な
どの歯科領域の疾病の治療・予防、そしてその原因など
の解明、さらにそれら歯科領域の疾病に対する薬物の開
発に利用できる。不死化細胞を使用して、歯根膜細胞に
係わる研究を培養系で行うことが可能となり、保護薬な
どの有用薬物の開発を効率よく行うことが可能となる。
そして、歯インプラント材、骨インプラント材などの開
発研究に利用可能である。本発明は、前述の説明及び実
施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかで
ある。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変
形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲
の範囲内のものである。
【0035】 SEQUENCE LISTING <110> TOHOKU TECHNO ARCH CO., LTD. <120> Periodontal Ligament Cell Lines <130> PTA0400QC <140> JP 2001-069249 <141> 2001-03-12 <160> 22 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 1 catgtaggcc atgaggtcca ccac 24 <210> 2 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 2 cggtttaggc aactgtggct ggaagt 26 <210> 3 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 3 gactggtact cggataacga gatgc 25 <210> 4 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 4 ggtgatacag accttggcgt 20 <210> 5 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 5 tgcgctctgt ctctctgacc 20 <210> 6 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 6 ggacgttcat acctacagtg tc 22 <210> 7 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 7 aacaatccgt gccactca 18 <210> 8 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 8 tagtcacttc gggggagg 18 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 9 tggcttacgg actgaggtca 20 <210> 10 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 10 tctcaagtag aagactccag 20 <210> 11 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 11 tggcacacga gtgatgaatg cg 22 <210> 12 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 12 gcgttctcgt ttgaaaggtc g 21 <210> 13 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 13 acgcagattt gcaggactcg ac 22 <210> 14 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 14 ctactttcct ccctcgtgct t 21 <210> 15 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 15 ccttcctctt cccttatc 18 <210> 16 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 16 ccttgttgtt gttgttgtt 19 <210> 17 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 17 cacctacagc acgcttgtg 19 <210> 18 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 18 tattcaggga aagacgggtg a 21 <210> 19 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 19 cagcggtcca ggaagaagaa taa 23 <210> 20 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 20 gttggtacgg taacacgtct 20 <210> 21 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 21 taacaaatct cctgcctgg 19 <210> 22 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 22 aggtctagtt tgtctttact g 21
【図面の簡単な説明】
【図1】 倒立顕微鏡下(40倍)での株化歯根膜細胞の
形態を示す写真。1:コロニーの辺縁に樹枝状突起を持
つ細胞群を示す。2:コロニーの形態が円形の細胞群を
示す。3:コロニーの形態が不定形で樹枝状突起を持た
ない細胞群を示す。4:細胞密度の低いコロニー。
【図2】 倒立顕微鏡下(40倍)での株化歯根膜細胞の
形態を示す写真。5:紡錘形の長径が比較的短い細胞。
6:細胞密度が高いコロニー。紡錘形の長径が比較的短
い細胞。7:紡錘形の長径が比較的長い細胞。8:紡錘
形の長径が比較的長い細胞。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 C12R 1:91) // C12N 15/09 ZNA C12N 5/00 B (C12N 5/10 15/00 ZNAA C12R 1:91) C12R 1:91) (72)発明者 帯刀 益夫 宮城県仙台市青葉区八幡5丁目3番10− 402号 (72)発明者 上田 正次 栃木県下都賀郡石橋町下石橋519 Fターム(参考) 2G045 AA40 CB01 CB17 CB30 FB01 FB03 FB07 4B024 AA11 CA02 DA02 EA04 GA11 GA18 GA25 HA11 4B063 QA01 QA13 QA18 QQ02 QQ20 QQ53 QR08 QR62 QR72 QR80 QS25 4B065 AA91X AA95Y AB01 AC14 BA02 CA46

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 継代維持可能で且つラット歯根膜由来の
    細胞株。
  2. 【請求項2】 該細胞株が、ラット歯根膜由来骨芽細
    胞、ラット歯根膜由来線維芽細胞、ラット歯根膜由来セ
    メント芽細胞、ラット歯根膜破骨細胞、又はラット歯根
    膜間葉系幹細胞より誘導された細胞であることを特徴と
    する請求項1記載の細胞株。
  3. 【請求項3】 細胞株が、type I collagen, osteoponti
    n, osteocalcin, BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RA
    NKL及びOPG から成る群から選ばれたものを発現してい
    るラット株化細胞であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の細胞株。
  4. 【請求項4】 細胞株が、type I collagen, osteoponti
    n, osteocalcin, BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH, ALP, RA
    NKL及びOPG から成る群から選ばれたものを発現してい
    ないラット株化細胞であることを特徴とする請求項1又
    は2記載の細胞株。
  5. 【請求項5】 細胞株が、Cbfa-1活性を有する株化細胞
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞株。
  6. 【請求項6】 細胞株が、BMP-4 活性を有する株化細胞
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞株。
  7. 【請求項7】 遺伝子の発現が、 RT-PCR 法により測定
    されたものであることを特徴とする請求項3〜6のいず
    れか一記載の細胞株。
  8. 【請求項8】 該細胞株が、遺伝的、形態的、生理的又
    は生物活性的に均一な細胞集団であることを特徴とする
    請求項1〜7のいずれか一記載の細胞株。
  9. 【請求項9】 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原遺
    伝子導入ラットの歯根膜を用いることを特徴とする、歯
    根膜由来の継代維持可能な細胞株を得る方法。
  10. 【請求項10】 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原
    遺伝子導入ラットの歯根膜から分離された間葉系幹細胞
    を用いることを特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 温度感受性突然変異SV40ラージT 抗原
    遺伝子導入ラットの歯根膜を用い、歯根膜の細胞に特異
    的なマーカーを利用して選別クローニングを行うことを
    特徴とする、歯根膜由来の継代維持可能な細胞株の樹立
    方法。
  12. 【請求項12】 マーカーとして、type I collagen, os
    teopontin, osteocalcin, BMP-4, BSP, Cbfa-1, G3PDH,
    ALP, RANKL及びOPG から成る群から選ばれたものを使
    用し、それらに対する抗体を用いて歯根膜細胞を選別
    し、株化歯根膜細胞を得ることを特徴とする、請求項1
    1記載の方法。
  13. 【請求項13】 マーカーとして、Cbfa-1抗原を使用
    し、抗Cbfa-1抗原抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株
    化歯根膜細胞を得ることを特徴とする、請求項11記載
    の方法。
  14. 【請求項14】 マーカーとして、BMP-4 を使用し、抗B
    MP-4 抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化細胞を得
    ることを特徴とする、請求項11記載の方法。
  15. 【請求項15】 マーカーとして、G3PDH を使用し、抗G
    3PDH 抗体を用いて歯根膜細胞を選別し、株化細胞を得
    ることを特徴とする、請求項11記載の方法。
  16. 【請求項16】 試料中のラット由来歯根膜の細胞に対
    する生物活性の測定法であって、(i) 継代維持可能で
    且つ歯根膜由来の細胞株を使用し、(ii) (a) 試料存
    在条件下で維持した上記 (i)の細胞と、 (b) 試料の存
    在しない条件下で維持した上記 (i)の細胞とを比較する
    ことを特徴とする、該測定法。
  17. 【請求項17】 ラット由来歯根膜細胞に対する生物活
    性を有する化合物の同定方法であって、(i) (a) 継代維
    持可能で且つラット歯根膜由来の細胞株を、該歯根膜由
    来の細胞株を維持可能な条件下で、試料化合物と接触さ
    せる場合と、(b) 該歯根膜由来の細胞株を維持可能な条
    件下で、継代維持可能で且つ歯根膜由来の細胞株を該試
    料化合物の存在しない条件下に保持する場合とを比較す
    るか、あるいは(ii) (a)継代維持可能で且つ歯根膜由来
    の細胞株を、試料化合物と、歯根膜の細胞の機能を低下
    せしめる条件下で接触させる場合と、(b)継代維持可能
    で且つ歯根膜由来の細胞株を、該試料化合物の存在しな
    いで且つ歯根膜の細胞の機能を低下せしめる条件下で保
    持する場合とを比較し、該試料化合物が歯根膜の細胞に
    対する生物活性を有するか否かを測定することからなる
    同定方法。
  18. 【請求項18】 歯根膜の細胞に対する生物活性を有す
    る化合物が、歯根膜の細胞に発現する受容体に対するア
    ゴニスト又はアンタゴニストであることを特徴とする、
    請求項17記載の方法。
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