JP2002261311A - 薄膜太陽電池基材およびそれを用いた薄膜太陽電池 - Google Patents

薄膜太陽電池基材およびそれを用いた薄膜太陽電池

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JP2002261311A JP2001058763A JP2001058763A JP2002261311A JP 2002261311 A JP2002261311 A JP 2002261311A JP 2001058763 A JP2001058763 A JP 2001058763A JP 2001058763 A JP2001058763 A JP 2001058763A JP 2002261311 A JP2002261311 A JP 2002261311A
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solar cell
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thin
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film solar
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JP2001058763A
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Michio Kondo
道雄 近藤
Akihisa Matsuda
彰久 松田
Hiroshi Mase
比呂志 間瀬
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Mitsui Chemicals Inc
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透湿性、耐熱性に優れ、軽量かつ堅牢という
長所をもつ基板で、かつ従来のガラス基板を使用した薄
膜太陽電池に近い変換効率の薄膜太陽電池用基板及びそ
れを用いた薄膜太陽電池の提供。 【解決手段】分子内に少なくとも1種の脂環構造単位を
有する重合体からなる薄膜太陽電池基材及びそれを用い
た薄膜太陽電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜太陽電池に使
用される特定基材及びその基材を用いた太陽電池に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来主流となっていたシリコン結晶太陽
電池に代わり、低コストで量産性に優れた薄膜太陽電池
の生産量が著しい増加を見せている。薄膜太陽電池は、
各種の基材上に、各種の薄膜作製法を用いて半導体接合
構造を持つ発電層と電極層とを適当な組み合わせと順序
で形成した太陽電池である。
【0003】基板の形状は板状のものが多いが、例えば
屋根瓦の形など、平面でない形状を持つものを基材とし
て、その上に作製することもできる。このように形状に
自由度があることも薄膜太陽電池の大きな特徴である。
【0004】シリコンウエハ上に形成されるバルク型の
結晶太陽電池と違い、基材の材質にも選択の余地がある
ことも薄膜太陽電池の特徴である。しかし実際には、透
明性、水蒸気をはじめとするガスの遮蔽性、耐候性とい
った観点から種々のガラス板が主に使用されている。そ
の反面、ガラス基材は、強度確保の要請から厚みを薄く
できず、結果として単位面積あたりの重量が大きくなっ
て施工性に問題があること、また機械的衝撃により割れ
やすいことなどの問題を抱えているため、ガラスに代わ
る様々な材料が検討されてきた。
【0005】高分子材料は、比重が小さい上、薄いフィ
ルムにしても壊れにくいことから、ガラスの代替として
様々な産業分野で用いられている。薄膜太陽電池の分野
でも、軽量性、可橈性に注目し、これまで様々な高分子
基材を用いた薄膜シリコン系太陽電池が数多く出願され
ている。それらのものを列挙すると、ポリイミド基板を
用いた非晶質シリコン薄膜太陽電池(特開昭54-149489
号公報)、ポリアリレート樹脂を基板に用いた非晶質シ
リコン薄膜太陽電池(特開昭56-169371号公報)、芳香
族ポリアミド系樹脂を基板に用いた非晶質シリコン薄膜
太陽電池(特開昭56-169372号公報)、ポリエステルフ
ィルムを基板に用いた非晶質シリコン薄膜太陽電池(特
開昭58-194377号公報)、縮合系耐熱性高分子を基板に
用いた非晶質シリコン薄膜太陽電池(特開昭59-16386号
公報)、縮合系耐熱性高分子を基板に用いた非晶質シリ
コン薄膜太陽電池(特開昭59-189684号公報)、ポリエ
ーテルサルホンフィルムを基板に用いた非晶質シリコン
薄膜太陽電池(特開昭60-195979号公報)、ポリエチレ
ンナフタレートフィルムを基板に用いた非晶質シリコン
薄膜太陽電池(特開昭62-84568号公報)、アラミド樹脂
を基板に用いた非晶質シリコン薄膜太陽電池(特開平10
-209476号公報)等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高分子
材料を薄膜太陽電池基材として使用するに当っては様々
な課題を解決しなければならないのも事実である。
【0007】薄膜太陽電池の製造プロセスにおいては、
CVD(化学的気相成長法)やスパッタ法など、減圧下
で行う工程が多くを占める。一般に高分子材料の吸湿率
や水蒸気をはじめとするガスの透過率はガラスや金属の
それと比べて桁違いに大きい。そのため、製造装置内に
基材を投入してから減圧を開始しても、基材内部に吸蔵
した水蒸気などのガスが徐々に放出されるため、装置内
が所望の圧力に到達するのに非常な長時間を要する。ま
た、所望の圧力に到達した後も、装置の排気能力とバラ
ンスするだけのガスが放出されつづけ、その一部は形成
した薄膜中に不純物として混入し、太陽電池の性能を悪
化させる。このため、ガスの吸蔵が少なく、かつガスの
透過率の小さい基材が求められる。
【0008】他方、薄膜太陽電池の製造プロセスにおい
ては、一般に基材を加熱することが製品の性能面から望
ましい。常温またはそれに近い低温で薄膜太陽電池を作
製した報告がこれまでにいくつかなされているが、これ
らの報告では太陽電池の変換効率は、より高温の基材温
度で作製されたものより著しく低い。このため、高分子
基材にはある程度の高温でも変形しないことが求められ
る。
【0009】さらに、基板入射型薄膜太陽電池の基材と
して使用する場合には、発電に利用される光は基材を一
旦透過して発電層に到達することになるから、基材の光
線透過率は太陽電池の変換効率を大きく左右することに
なる。この場合基材は紫外線を多く含む太陽光の直射を
受けることから、高い耐光性も同時に要求される。
【0010】本発明の目的は、前記のような高分子基材
に求められる性状を満足する、軽量、堅牢かつ経済的な
薄膜太陽電池基材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の発明を包
含する。
【0012】 分子内に少なくとも1種の脂環構造単
位を有する重合体からなる薄膜太陽電池基材 前記分子内に少なくとも1種の脂環構造単位を有す
る重合体が、α−オレフィンと環状オレフィンとの共重
合体、環状オレフィンの開環重合体、環状オレフィン開
環重合体の水素添加物からなる群より選ばれる少なくと
も1種の重合体であることを特徴とする記載の薄膜太
陽電池基材。
【0013】 α−オレフィンと環状オレフィンとの
共重合体がエチレンとテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセンの共重合体である記載
の薄膜太陽電池基材。
【0014】 乃至のいずれかに記載の基材を用
いてなる薄膜太陽電池。
【0015】 シリコーンを主成分とする結晶を含有
する層を少なくとも1層以上含む記載の太陽電池。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、分子内に少なく
とも1種の脂環構造単位を有する重合体は、炭素−炭素
飽和結合よりなる環状構造(脂環構造)を有している。
このような重合体であれば適宜選択して使用することが
できるが、好ましいものとして下記の重合体を例示する
ことができる。 (a)α−オレフィン・環状オレフィン付加共重合体 (b)環状オレフィンの開環重合体およびその水素添加
物 (c)ビニル脂環式炭化水素系重合体 (d)ビニル芳香族炭化水素系重合体の水素添加物 (e)単環環状共役ジェン系重合体またはその水素添加
物 上記の(a)〜(e)について、以下に詳しく説明す
る。
【0017】(a)α−オレフィン・環状オレフィン付
加共重合体 本発明のα−オレフィン・環状オレフィン付加共重合体
は、α−オレフィンに由来する繰り返し構造単位と、環
状オレフィンに由来する繰り返し構造単位を主たつ構造
単位成分とする共重合体である。これらの共重合体は、
例えばα−オレフィンと環状オレフィンを付加重合させ
ることにより得ることができる。
【0018】α−オレフィンとしては、直鎖状でも分岐
状のものでもよい。好ましくは炭素原子数が2〜20の
α−オレフィンである。具体的な例としては、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−
テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、
1−エイコセンなどの炭素原子数が2〜20の直鎖状α
−オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−
1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル
−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−
ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペン
テン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘ
キセンなどの炭素数が4〜20の分岐状α−オレフィン
などを挙げることができる。これらの中では、炭素数が
2〜4の直鎖状α−オレフィンが好ましく、エチレンが
特に好ましい。
【0019】このような直鎖状または分岐状のα−オレ
フィンは、1種単独で、または2種以上組合わせて用い
ることができる。
【0020】本発明で用いられる環状オレフィンの代表
例としては、下記の式(I)または(II)で表される化
合物である。
【0021】
【化1】 上記式(I)中、nは0または1であり、mは0または
1以上の整数であり、qは0または1である。なお、q
が1の場合には、RaおよびRbは、それぞれ独立に、下
記に示す原子または炭化水素基であり、qが0の場合に
は、Ra、Rbの結合はなくなり、両側の炭素原子が結合
して5員環を形成する。
【0022】R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基で
ある。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子である。
【0023】また、炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子
数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙
げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル
着、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基お
よびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基とし
ては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基
としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これ
らの炭化水素基または芳香族炭化水素基は、その水素原
子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0024】さらに上記式(I)において、R15〜R18
がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環
を形成していてもよく、しかも、このようにして形成さ
れた単環または多環は二重結合を有していてもよい。こ
こで、形成される単環または多環の具体例を下記式に示
す。
【0025】
【化2】 上記例示において、1または2の番号が付された炭素原
子は、式(II)において、それぞれR15(R16)または
17(R18)が結合している炭素原子を示している。ま
たR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン
基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基
は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であ
り、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、
エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン
基を挙げることができる。
【0026】
【化3】 上記式(II)中、pおよびqは0または1以上の整数で
あり、mおよびnは0、1または2である。またR1
19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化
水素基またはアルコキシ基である。
【0027】ハロゲン原子は前記式(I)におけるハロ
ゲン原子と同じ意味である。
【0028】炭化水素基としては、それぞれ独立に炭素
原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハ
ロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアル
キル基、芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0029】より具体的には、アルキル基としては、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミ
ル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基
およびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基と
しては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素
基としては、アリール基およびアラルキル基、具体的に
はフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およ
びフェニルエチル基が例示される。
【0030】また、アルコキシ基としては、メトキシ
基、エトキシ基およびプロポキシ基などを例示すること
ができる。これらの炭化水素基及びアルコキシ基中の水
素は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原
子で置換されていてもよい。ここでR9およびR10が結
合している炭素原子とR13が結合している炭素原子また
はR11が結合している炭素原子とは、直接あるいはある
いは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合して
いてもよい。すなわち上記2個の炭素原子がアルキレン
基を介して結合している場合には、R9およびR13で表
される基が、またはR10およびR11で表される基が、互
いに共同して、メチレン基(−CH2−)、エチレン基
(−CH2CH2−)またはプロピレン基(−CH2CH2
CH2−)のうちのいずれかのアルキレン基を形成して
いる。
【0031】さらに、n=m=0のとき、R15とR12
たはR15とR19とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環として、たとえば下記のようなR15とR12
がさらに芳香族環を形成している基が挙げられる。
【0032】
【化4】 ここでqは、前記式(II)におけるqと同じ意味であ
る。
【0033】上記のような式(I)または式(II)で示
される環状オレフィンを、より具体的に次に例示する。
一例として、
【0034】
【化5】 で示されるビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(別
名ノルボルネン。上記式中において1〜7の数字は炭素
の位置番号を示す。)および該化合物の水素原子が炭化
水素基で置換した誘導体が挙げられる。
【0035】この置換炭化水素基として、5−メチル、
5,6−ジメチル、1−メチル、5−エチル、5−n−
ブチル、5−イソブチル、7−メチル、5−フェニル、
5−メチル−5−フェニル、5−ベンジル、5−トリ
ル、5−(エチルフェニル)、5−(イソプロピルフェ
ニル)、5−(ビフェニル)、5−(β−ナフチル)、
5−(α−ナフチル)、5−(アントラセニル)、5,
6−ジフェニルを例示することができる。
【0036】さらに他の誘導体として、シクロペンタジ
エン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,
4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メ
タノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロ
アントラセンなどの[2.2.1]−2−ヘプテン誘導
体を例示することができる。
【0037】このほか、トリシクロ[4.3.0.1
2,5]−3−デセン、2−メチルトリシクロ[4.3.
0.12,5]−3−デセン、5−メチルトリシクロ
[4.3.0.12,5]−3−デセンなどのトリシクロ
[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体、トリシク
ロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、10−メ
チルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセ
ンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウン
デセン誘導体、
【0038】
【化6】 で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン(以後単にテトラシクロドデセ
ンという。上記式中において1から12は炭素の位置番
号を示す。)、およびこれの化合物中の水素原子が炭化
水素基で置換した誘導体が挙げられる。
【0039】この誘導体の置換基の炭化水素基の種類と
その位置としては、8−メチル、8−エチル、8−プロ
ピル、8−ブチル、8−イソブチル、8−ヘキシル、8
−シクロヘキシル、8−ステアリル、5,10−ジメチ
ル、2,10−ジメチル、8,9−ジメチル、8−エチ
ル−9−メチル、11,12−ジメチル、2,7,9−
トリメチル、2,7−ジメチル−9−エチル、9−イソ
ブチル−2,7−ジメチル、9,11,12−トリメチ
ル、9−エチル−11,12−ジメチル、9−イソブチ
ル−11,12−ジメチル、5,8,9,10−テトラ
メチル、8−エチリデン、8−エチリデン−9−メチ
ル、8−エチリデン−9−エチル、8−エチリデン−9
−イソプロピル、8−エチリデン−9−ブチル、8−n
−プロピリデン、8−n−プロピリデン−9−メチル、
8−n−プロピリデン−9−エチル、8−n−プロピリ
デン−9−イソプロピル、8−n−プロピリデン−9−
ブチル、8イソプロピリデン、8イソプロピリデン−9
−メチル、8イソプロピリデン−9−エチル、8イソプ
ロピリデン−9−イソプロピル、8イソプロピリデン−
9−ブチル、8−クロロ、8−ブロモ、8−フルオロ、
8,9−ジクロロ、8−フェニル、8−メチル−8−フ
ェニル、8−ベンジル、8−トリル、8−(エチルフェ
ニル)、8−(イソプロピルフェニル)、8,9−ジフ
ェニル、8−(ビフェニル)、8−(β−ナフチル)、
8−(α−ナフチル)、8−(アントラセニル)、5,
6−ジフェニルを例示することができる。
【0040】さらに他の誘導体として、(シクロペンタ
ジエン−アセナフチレン付加物)とシクロペンタジエン
との付加物などが挙げられる。
【0041】また、テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ
[5.1.13,5.02,7.09,13]−4−ペンタデセン
およびその誘導体、ペンタシクロ[5.1.13,5.0
2,7.09,13]−4−ペンタデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[7.4.0.13,5.19,12.08,13
−3−ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタシクロ
[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,10−ペ
ンタデカジエン化合物、ペンタシクロ[8.4.0.1
2,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセンおよびその
誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,5.02,7.0
9,14]−4−ヘキサデセンおよびその誘導体、ペンタシ
クロ[6.6.1.13,5.110,13.02,7.09,14
−4−ヘプタデセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ
[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.0
12,16]−5−エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシ
クロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7
11,16]−4−エイコセンおよびその誘導体、ヘプタシ
クロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.0
12,17]−5−ヘンエイコセンおよびその誘導体、オク
タシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.1
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセンおよびその誘
導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.1
15,18.02,10.03,8.012,2 1.014,19]−5−ペン
タコセンおよびその誘導体、ノナシクロ[10.10.
1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013
,22.015,20]−6−ヘキサコセンおよびその誘導体な
どが挙げられる。
【0042】本発明で使用することのできる前記式
(I)または(II)で表される環状オレフィンの具体例
は、上記した通りであるが、より具体的なこれらの化合
物の構造については、特開平7−145213号公報明
細書の段落番号[0032]〜[0054]に示されて
おり、本発明においても、該明細書に例示されたものを
環状オレフィンとして使用することができる。
【0043】上記のような式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィンの製造方法としては、例えば、シク
ロペンタジエンと、対応する構造を有するオレフィン類
とのディールス・アルダー反応による方法を挙げること
ができる。
【0044】これらの環状オレフィンは、単独でも、あ
るいは2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0045】本発明で用いられるα−オレフィン・環状
オレフィン付加重合体(a)は、上記のような式(I)
または(II)で表される環状オレフィンを用いて、例え
ば特開昭60−168708号公報、同61−1208
16号公報、同61−115912号公報、同61−1
15916号公報、同61−271308号公報、同6
1−272216号公報、同62−252406号公報
および同62−252407号公報などの公報の特許請
求の範囲や実施例において提案された方法に従い、適
宜、条件を選択することにより製造することができる。
【0046】そしてα−オレフィン・環状オレフィン付
加共重合体は、α−オレフィンから誘導される構造単位
を、通常は5〜95モル%、好ましくは20〜80モル
%の量で、環状オレフィンから誘導される構造単位を、
通常は5〜95モル%、好ましくは20〜80モル%の
量で含有している。なお、α−オレフィンおよび環状オ
レフィンの組成比は、13C−NMRによって測定され
る。
【0047】このようなα−オレフィン・環状オレフィ
ン共重合体(a)は、上記のようなα−オレフィンから
誘導される構造単位と環状オレフィンから誘導される構
造単位とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状
構造を有している。この共重合体が実質的に線状であっ
て、実質的にゲル状架橋構造を有していないことは、こ
の共重合体が有機溶媒に溶解した際に、その溶液に不溶
分が含まれていないことにより確認することができる。
たとえば、極限粘度[η]を測定する際に、この共重合
体が135℃のデカリンに完全に溶解することにより確
認することができる。
【0048】本発明で用いられるα−オレフィン・環状
オレフィン付加共重合体(a)において、前記式(I)
または(II)で表される環状オレフィンの少なくとも一
部は、下記式(III)または(IV)で示される繰り返し
単位を構成していると考えられる。
【0049】
【化7】 上記式(III)において、n、m、q、R1〜R18ならび
にRaおよびRbは、式(I)におけるものと同じ意味で
ある。
【0050】
【化8】 上記式(IV)において、n、m、p、q、R1〜R
19は、式(II)におけるものと同じ意味である。
【0051】また、α−オレフィン・環状オレフィン付
加共重合体(a)は、必要に応じ、本発明の目的を損な
わない範囲内で、他の共重合可能なモノマーから誘導さ
れる構造単位を有していてもよい。
【0052】このような他のモノマーとしては、上記の
ような炭素原子数が2〜20のα−オレフィンまたは環
状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具
体的にはシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセ
ン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシク
ロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘ
キセンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7a−テ
トラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシ
クロオレフィン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−
1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジ
エン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエンお
よび5−ビニル−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン
類を挙げることができる。これらの他のモノマーは、単
独でも、あるいは組み合わせても用いることができる。
【0053】本発明のα−オレフィン・環状オレフィン
付加共重合体(a)において、上記のような他のモノマ
ーから誘導される構造単位を含有させる場合には、通常
20モル%以下、さらには10モル%以下の量とするこ
とが好ましい。
【0054】本発明で用いられるα−オレフィン・環状
オレフィン付加共重合体(a)は、例えば、炭素原子数
が2〜20のα−オレフィンと式(I)または(II)で
表される環状オレフィンとを用いて、前記公報に開示さ
れた製造方法により製造することができる。これらのう
ちでも、この共重合反応を炭化水素溶媒中で行い、該炭
化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物及び有機アルミ
ニウム化合物から形成される触媒を用いる製造方法が好
ましい。
【0055】また、この共重合反応では固体状の周期律
表IV族のメタロセン触媒を用いることもできる。ここで
固体状の周期律表IV族のメタロセン触媒とは、例えばシ
クロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属
化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要によ
り配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒で
ある。周期律表IV族の遷移金属としては、ジルコニウ
ム、チタンまたはハフニウムが挙げられ、これらの遷移
金属が少なくとも1個のシクロペンタニル骨格を含む配
位子を有している触媒であり、シクロペンタニル骨格と
してはシクロペンタジエニル基またはインデニル基、テ
トラヒドロインデニル基、フルオレニル基を挙げること
ができる。これらの基は、アルキレン基などの他の基を
介して結合していてもよい。また、シクロペンタジニエ
ル骨格を含む配位子以外の配位子の例としては、アルキ
ル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等
が挙げられる。
【0056】また、有機アルミニウムオキシ化合物およ
び有機アルミニウム化合物は、通常ポリオレフィン類の
製造に使用されるものを用いることができる。このよう
な固体状の周期律表IV族のメタロセン系触媒について
は、例えば特開昭61−221206号公報、特開昭6
4−106号公報および特開平2−173112号公報
等に記載されているものを使用することができる。
【0057】環状オレフィンの開環重合体およびその水
素添加物(b) 環状オレフィンの開環重合体は、前記式(I)または
(II)で表される環状オレフィンの開環重合体、または
前記式(III)または(IV)で表される環状オレフィン
の開環重合単位を含む共重合体である。共重合体の場
合、2種以上の異なる環状オレフィンを組み合わせて用
いる。
【0058】環状オレフィンの開環重合体または開環共
重合体において、前記式(I)または(II)で表される
環状オレフィンの少なくとも一部は、下記式(V)また
は(VI)で表される繰り返し単位を構成していると考え
られる。
【0059】
【化9】 上記式(V)において、n、m、q、R1〜R18ならびに
aおよびRbは、式(I)におけるものと同じ意味であ
る。
【0060】
【化10】 上記式(VI)において、n、m、p、q、R1〜R
19は、式(II)におけるものと同じ意味である。
【0061】このような開環重合体または開環共重合体
は、公知の方法で製造することができる。
【0062】例えば、前記式(II)で表される環状オレ
フィンを開環重合触媒の存在下に、重合または共重合さ
せることにより製造することができる。開環重合触媒と
しては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ム、インジウムまたは白金などから選ばれる金属のハロ
ゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還
元剤からなる触媒、あるいは、チタン、パラジウム、ジ
ルコニウムまたはモリブデンなどから選ばれる金属のハ
ロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アル
ミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
【0063】開環重合体の水素化物は、上記のようにし
て得られる開環重合体または共重合体を、従来公知の水
素添加触媒の存在下に水素化してできる。
【0064】この開環重合体または共重合体の水素化物
においては、式(I)または(II)で表される環状オレ
フィンのうち少なくとも一部は、下記式(VII)または
(VIII)で表される繰り返し単位を構成していると考え
られる。
【0065】
【化11】 上記式(VII)において、n、m、q、R1〜R18ならび
にRaおよびRbは、式(I)におけるものと同じ意味で
ある。
【0066】
【化12】 上記式(VIII)において、n、m、p、q、R1〜R19
は、式(II)におけるものと同じ意味である。
【0067】上記のα−オレフィン・環状オレフィン付
加共重合体(a)、環状オレフィンの開環重合体および
その水素添加物(b)(以下、これらをまとめて環状オ
レフィン系重合体という。)はグラフト変性されていて
もよい。
【0068】グラフト変性に用いられる変性剤として
は、通常、不飽和カルボン酸類が挙げられ、具体的に
は、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テト
ラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロト
ン酸、イソクロトン酸、エンドシス−ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナ
ジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、さらにこれらの
不飽和カルボン酸の誘導体、例えば不飽和カルボン酸無
水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸ア
ミド、不飽和カルボン酸のエステル化合物などが例示さ
れる。
【0069】不飽和カルボン酸の誘導体としては、より
具体的に、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マ
レイル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン
酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げられる。
【0070】これらの中では、α,β−不飽和ジカルボ
ン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物、例えば
マレイン酸、ナジック酸TMおよびこれらの無水物が好ま
しく用いられる。これらの変性剤は、2種以上組合わせ
て用いることもできる。
【0071】このような環状オレフィン系重合体のグラ
フト変性物は、所望の変性率になるように変性剤を環状
オレフィン系重合体に配合してグラフト重合させ製造す
ることもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次
いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系重合体とを
所望の変性率になるように混合することにより製造する
こともできる。
【0072】環状オレフィン系重合体と変性剤とから環
状オレフィン系重合体のグラフト変性物を得るには、従
来公知のポリマー変性方法を広く適用することができ
る。例えば溶融状態にある環状オレフィン系重合体に変
性剤を添加してグラフト重合(反応)させる方法、ある
いは環状オレフィン系重合体の溶媒溶液に変性剤を添加
してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性物
を得ることができる。
【0073】このようなグラフト反応は、通常60〜3
50℃の温度で行われる。またグラフト反応は、有機過
酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下
に行うことができる。
【0074】ビニル脂環式炭化水素系重合体(c) ビニル脂環式炭化水素系重合体(c)の単量体であるビ
ニル脂環式炭化水素系化合物とはビニル基またはα−ア
ルキル置換ビニル基に、単環のシクロアルキル基、アル
キル置換シクロアルキル基、シクロアルケニル基、また
はアルキル置換シクロアルケニル基が結合した構造を有
する化合物である。
【0075】このような化合物としては、ビニルシクロ
ブタン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサ
ン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロオクタン、お
よびこれらの化合物のビニル基のα位が、メチル、エチ
ル、プロピルなどのアルキル基で置換された化合物など
を例示できる。また、4−ビニルシクロヘキセン、1−
メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−
イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニ
ルシクロヘキセン、2−メチル−4−プロペニルシクロ
ヘキセンなどのビニルシクロヘキセン誘導体も例示でき
る。
【0076】上記の化合物は、単独で重合することもで
きるし、2種以上を組み合わせて共重合することも可能
である。また、上記の化合物と共重合可能なほかの単量
体を、本発明の主旨を損なわない範囲で組み合わせ共重
合することもできる。
【0077】ビニル脂環式炭化水素系化合物と共重合可
能な他の単量体としては、プロピレン、ブテン、アクリ
ロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイ
ン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マ
レイミド、酢酸ビニル、塩化ビニル等が例示できる。中
でもα−オレフィンを用いるのが好ましく、特にプロピ
レン、ブテンのような単量体と組み合わせると柔軟性や
耐衝撃性を付与できるので好ましい。
【0078】このようなビニル脂環式炭化水素系化合物
と共重合可能な他の単量体は、単量体総量に対して0〜
95モル%、より好ましくは0〜90モル%となる割合
で用いられるのが望ましい。
【0079】ビニル脂環式炭化水素系重合体(c)を得
るための重合方法には特に制限はなく、公知のラジカル
重合、配位アニオン重合(チーグラー重合)、カチオン
重合、アニオン重合などの重合方法が適用できる。
【0080】ビニル芳香族炭化水素系重合体の水素添加
物(d) ビニル芳香族炭化水素系重合体(d)の単量体としての
ビニル芳香族炭化水素系化合物とは、ビニル基またはα
−アルキル置換ビニル基に、芳香族炭化水素置換基が結
合した化合物である。
【0081】このような化合物としては、スチレン、α
−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピル
スチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチル
スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、
2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルス
チレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2
−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチ
レン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン、
ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等を例示するこ
とができる。
【0082】上記の化合物は、単独で重合することもで
きるし、2種以上を組み合わせて共重合することも可能
である。また、上記の化合物と共重合可能なほかの単量
体を、本発明の主旨を損なわない範囲で組み合わせ共重
合することもできる。
【0083】このようなビニル芳香族炭化水素系化合物
と共重合可能な他の単量体としては、プロピレン、ブテ
ン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、
無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニル等が例示
できる。中でもα−オレフィンを用いるのが好ましく、
特にプロピレン、ブテンのような単量体と組み合わせる
と柔軟性や耐衝撃性を付与できるので好ましい。
【0084】このようなビニル脂環式炭化水素系化合物
と共重合可能な他の単量体は、単量体総量に対して0〜
95モル%、より好ましくは0〜90モル%となる割合
で用いられるのが望ましい。重合方法は、前記(c)の
重合法と同様の方法が適用できる。
【0085】このようにして得られた重合体は、公知の
方法で芳香環を水素添加することにより所望のビニル芳
香族炭化水素系重合体の水素添加物(d)を得ることが
できる。水素添加の方法は、従来公知の方法が適用で
き、例えば、特開平7−247321号公報、米国特許
5,612,422号公報等に記載されている方法等が
例示できる。重合体中の芳香環の水素添加率(NMRに
より測定)は、30%以上、好ましくは60%以上、よ
り好ましくは90%以上であることが望ましい。
【0086】単環環状共役ジエン系重合体またはその水
素添加物(e) 単環環状共役ジエン系重合体またはその水素添加物
(e)の単量体としての単環環状共役ジエン系化合物
は、置換基を有していてもよい単環環状共役ジエンであ
って、例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエ
ン、シクロヘプタジエン、ジクロオクタジエンなどを挙
げることができる。
【0087】上記の化合物は、単独で重合することもで
きるし、2種以上を組み合わせて共重合することも可能
である。また、上記の化合物と共重合可能なほかの単量
体を、本発明の主旨を損なわない範囲で組み合わせ共重
合することもできる。
【0088】このような単環環状共役ジエン系化合物と
共重合可能な他の単量体としては、プロピレン、ブテ
ン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、
無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニル等が例示
できる。
【0089】このような単環環状共役ジエン系化合物と
共重合可能な他の単量体は、単量体総量に対して0〜9
5モル%、より好ましくは0〜90モル%となる割合で
用いられるのが望ましい。
【0090】重合方法には特に制限はなく、環状共役ジ
エン系化合物を含む単量体を付加重合する公知の方法が
適用できる。
【0091】このようにして得られた重合体は、公知の
方法で水素添加することにより所望の単環環状共役ジエ
ン系重合体の水素添加物(d)を得ることができる。具
体的には、例えば、ポリシクロヘキサジエンとそれから
なる水素添加物は、特開平11−106571号公報に
記載されている方法を用いて得ることができる。(共)
重合体中に含まれる炭化水素環中の二重結合の水素添加
率(NMRにより測定)は、30%以上、好ましくは6
0%以上、より好ましくは90%以上であることが望ま
しい。
【0092】本発明に用いられる、前記した分子内に少
なくとも1種の脂環構造を有する重合体の、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し
た重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン分子量換算
で5,000〜1,000,000、好ましくは10,
000〜500,000、より好ましくは50,000
〜300,000である。また、分子量分布(Mw/M
n;MnはGPCにより測定した数平均分子量)は、1
0以下、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0
以下である。
【0093】密度は1.5g/cm3以下、好ましくは
1.1g/cm3以下、より好ましくは0.98g/c
3以下、さらに好ましくは0.95g/cm3以下であ
る。
【0094】結晶化度は20%以下、好ましくは10%
以下、より好ましくは5%以下である。
【0095】ガラス転移温度(Tg;DSCにより測
定)は、60〜300℃、好ましくは80〜280℃、
より好ましくは100〜250℃の範囲にある。
【0096】なお、ガラス転移温度は、可塑剤を添加す
ることによって調整することができる。前記重合体のガ
ラス転移温度を調整する目的で添加する可塑剤として
は、該重合体に添加してガラス転移温度を下げ得る化合
物が制限なく全て使用できる。このような化合物として
は、流動パラフィン、スピンドル油、ナフテン系油など
のプロセスオイル、スクアラン、リモネンのようなテル
ペン系化合物を例示することができる。
【0097】本発明の脂環構造単位を有する重合体に
は、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲内で、
樹脂、添加剤を任意成分としては意号することができ
る。このような樹脂、添加剤としては、従来公知のゴム
成分、その他の樹脂成分、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐
光安定剤、耐熱安定剤、耐熱安定剤、耐候(光)安定
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、
難燃化剤、核剤、石油樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、カーボンブラックなどの顔料、染料、ガラス繊維、
炭素繊維等を挙げることができる。
【0098】例えば、任意成分として配合される安定剤
として具体的には、テトラキス[メチレン−3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステ
ル、2,2’−オキサミドビス[エチル−3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステ
アリン酸カルシウム等の脂肪酸カルシウムなどの脂肪酸
金属塩;多価アルコールの脂肪酸エステル等を挙げるこ
とができる。
【0099】これらは単独で配合してもよく、また例え
ばテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
とステアリン酸亜鉛およびグリセリンモノステアレート
の組み合わせのように組み合わせて使用することもでき
る。
【0100】本発明では特に、フェノール系酸化防止剤
と多価アルコールの脂肪酸エステルとを組み合わせて用
いることが好ましく、このような多価アルコールの脂肪
酸エステルとしては3価以上の多価アルコールの、アル
コール性水酸基の一部がエステル化された多価アルコー
ル脂肪酸エステルを挙げることができる。
【0101】このような多価アルコールの脂肪酸エステ
ルとしては、具体的にはグリセリンモノステアレート、
グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステー
ト、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジラウレ
ート等のグリセリン脂肪酸エステル;ペンタエリスリト
ールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウ
レート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタ
エリスリトールトリステアレート等のペンタエリスリト
ールの脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これ
らは単独で用いてもよく、相互間で組み合わせて用いて
もよい。
【0102】フェノール系酸化防止剤は、必須成分の合
計100重量部に対して10重量部未満、好ましくは5
重量部未満、さらに好ましくは2重量部未満の割合で用
いることが望ましい。また多価アルコールの脂肪酸エス
テルは、必須成分の合計100重量部に対して10重量
部未満。好ましくは5重量部未満の割合で用いることが
望ましい。
【0103】樹脂基板の成形加工ならびに表面処理方法 本発明に用いられる樹脂基板は、前記した分子内に少な
くとも1種の脂環構造単位を有する重合体を成形加工し
て得られる。
【0104】成形加工の方法としては、一般の熱可塑性
樹脂に適用される公知の成形方法を制限なく用いること
ができる。中でもTダイ押出成形、インフレーション成
形、溶液キャスト成形などが、平板状の樹脂基板を製造
する方法として好ましく用いられる。一方、特に建材一
体型太陽電池など、立体的な形状が必要となる場合は、
射出成形、トランスファー成形、プレス成形が好ましく
用いられる。
【0105】本発明に係る太陽電池基材には、必要に応
じて平滑化処理を行ってもよい。具体的には、特開平8
−132539号公報に開示されているような、Tダイ
などを用いてフィルム状に押し出した溶融状態の樹脂
を、キャストドラムと金属ベルトで挟み押圧する方法
や、特開平5−65350号公報に開示されている、樹
脂のガラス転移温度以下に冷却された固体状ののフィル
ムをロールで圧延する方法が例示できる。
【0106】本発明に係る太陽電池基材には、必要に応
じて表面のテクスチャ化処理を行ってもよい。テクスチ
ャ化処理とは、基板表面に微細な斜面からなる凹凸を設
けることである。その目的は、太陽電池表面に入射した
光を基板法線方向から斜めに屈折させ、それにより半導
体薄膜層内での光路長を増大させると共に入射した光の
正反射を抑制して光電変換効率を向上させることであ
る。ガラス基材の場合には、金属酸化物結晶をガラス基
材表面に配向させて堆積させた後エッチングを行い、特
定の結晶面を露出させることによりテクスチャを形成す
る方法が広く用いられている。
【0107】本発明に係る太陽電池基材には、上記ガラ
ス基材に適用されるのと同様の方法でテクスチャ化加工
を行うことができる他、適宜選択されたテクスチャを表
面に転写して形成することができる。このテクスチャの
転写は、シート、フィルムなどの基本形状を形成するた
めの一次成形加工と同時に行うことができる。
【0108】例えば射出成形で成形を行う場合には、金
型の一部または全部の表面に適宜選択されたテクスチャ
形状を形成しておくことで、成形された基材に金型のテ
クスチャ形状を転写することができる。また、テクスチ
ャ形状を金型に形成する代わりに、テクスチャ形状を有
する部材を取付可能な構造の金型を使用することもでき
る。この場合、テクスチャ形状を有する部材としては、
機械加工によりテクスチャ形状を形成したものの他、テ
クスチャ形状をもつ部材に金属を電着した後剥離したも
の(コンパクトディスクなどの製造に使用される、いわ
ゆるスタンパ)を用いることもできる。また、前記テク
スチャ形状を形成したガラス基材など、テクスチャ形状
を有する他の任意の部材をそのまま金型に取り付けても
よい。トランスファー成形やインフレーション成形でも
また、押出成形、溶液キャスト成形など、マスター形状
の転写ができない成形法でも、口金やブレードの形状を
工夫することで、成形時にテクスチャ形状を形成するこ
とが可能である。
【0109】一方、一旦シート、フィルムなどの形状に
成形された後で、上記テクスチャ形状を有する部材と同
様の方法で作製した部材を基材表面に押圧することでテ
クスチャを形成することもできる。この加工の際には、
基材または押圧する部材のうち少なくともいずれか一方
はガラス転移温度以上に加熱されていることが好まし
い。
【0110】また、本発明に係る太陽電池基材には、他
の材料からなる少なくとも1層以上の薄膜、厚膜、フィ
ルムまたはシート(以下、これらをまとめて機能層とい
う。)を表面に設けることができる。機能層の具体的な
例としては、表面ヘの塵埃の付着を抑制しまたは防止す
るために設けられる、PTFE(ポリ四フッ化エチレ
ン)をはじめとするフルオロポリマー、いわゆるシリコ
ーン樹脂、二酸化チタンを分散させた超親水性コーティ
ング材、入射光の反射を抑制または防止する目的で施さ
れる反射防止層、太陽電池の劣化をひき起こす水蒸気等
のガスの侵入防止をさらに強化するために施される、酸
化シリコン、窒化シリコン、DLC(Diamond−
Like Carbon)、フルオロポリマーなどのガ
スバリア層、耐光性を向上する目的で施される酸化亜鉛
などの紫外線吸収層、施工を容易にする目的で設けられ
る粘着剤および剥離シートなどが挙げられる。
【0111】また、強度を向上する目的で、該基材にス
テンレスやアルミニウムなどの金属シートや高強度高分
子シートなどを貼合することもできる。製造プロセス中
の強度向上を目的とする場合は、一旦貼合した該シート
などを剥離することもできる。剥離した該シートは回収
再利用することも可能である。
【0112】これらの機能層は各機能毎に重ねて複数の
層とすることもできるし、一つの層に二つ以上の機能を
兼ねさせたり、例えば反射防止層に紫外線吸収剤微粒子
を分散させる等の複合化により、二つ以上の機能を実質
上単一の層に担わせたりすることもできる。
【0113】さらにこれらの機能層に薄膜太陽電池の構
成要素の一部となる導電層の役割を担わせることもでき
る。
【0114】樹脂基板の物性 本発明に係る太陽電池基材の透湿度は、20[g/m2
・d]以下、好ましくは10[g/m2・d]以下、さ
らに好ましくは10[g/m2・d]以下である。基材
の透湿度が大きいと、プロセス中に所望の圧力に到達す
るまでの時間が長くなり、薄膜中に混入する不純物が増
大するだけにととまらず、使用中にも浸透した水分によ
る電極などの劣化が生じやすくなる。なお、本発明にお
いて、透湿度の測定はモコン社製PERMATRAN−
W600型透湿度測定装置を用い、40℃、相対湿度9
0%で行った。
【0115】また、太陽電池基材を基板側入射型の太陽
電池に適用する場合は、基材の光線透過率(ASTM
D1003に準拠して測定)は、80%以上、好ましく
は85%以上、さらに好ましくは90%以上であること
が好ましい。光線透過率が低いと太陽電池の変換効率が
悪化する。なお、表面入射型の太陽電池に適用する場合
はこの限りでない。
【0116】さらに、太陽電池基材を基板側入射型の太
陽電池に適用する場合は、基材の耐光性は、例えばフェ
ードメーターで500時間以上、好ましくは750時間
以上、さらに好ましくは1000時間以上で、着色や機
械的強度の劣化等の変化が大幅に生じないことが望まし
い。なお、表面入射型の太陽電池に適用する場合はこの
限りでないが、直射以外の入射光成分の存在を考慮する
と、フェードメーターで100時間以上で機械的強度の
変化が大幅に生じないことが望ましい。
【0117】耐熱性はプロセス条件により異なるが、一
般にガラス転移温度が60℃以上、好ましくは100℃
以上、さらに好ましくは130℃以上であることが好ま
しい。
【0118】本発明に係る太陽電池基材の厚さは用途に
より適宜選択されるが、一般に10μm〜20mm、好
ましくは50μm〜5mm、さらに好ましくは100μ
m〜2mmの範囲にある。
【0119】薄膜太陽電池 薄膜太陽電池は、太陽光の入射方向により基板入射型と
表面入射型の2種類に、また発電部の材質により、アモ
ルファスシリコン、アモルファスシリコン−ゲルマニウ
ム、アモルファスシリコン−炭素、微結晶シリコン、C
I(G)S(銅−インジウム−セレン化合物半導体)、
CdTe(カドミウム−テルル化合物半導体)など多く
の種類に分類できる。
【0120】いずれの場合も発電部は通常少なくとも1
層ずつの周期律表III価の不純物(アクセプター)を添
加された半導体層(p層)と周期律表V価の不純物(ド
ナー)を添加された半導体層(n層)とをもつ。変換効
率を向上させる目的から、p層とn層の間に不純物を添
加しない半導体層(i層)を設けることも広く行われ
る。また、さらに変換効率を向上するために、各半導体
層の中で原料ガスの混合比等の製膜条件を順次変化させ
て、半導体層中にステップ状または連続的な膜質の変化
を持たせることも広く行われている。
【0121】さらに、発電部の材質毎に光の吸収スペク
トルが異なることを利用して、例えば太陽光が最初アモ
ルファスシリコンの発電部に入射した後微結晶シリコン
の発電部に入射するように、複数の発電部を積層して設
け、変換効率を改善することも広く行われる(タンデム
接合型太陽電池)。
【0122】半導体層の製膜方法は、PECVD(プラ
ズマ化学的気相成長法)や熱CVD、スパッタ製膜、蒸
着、スクリーン印刷法による塗布など様々な方法が検討
され、用いられている。
【0123】発電部の両側には、発電部で発生した電流
を外部に取り出すための電極層が設けられる。光が入射
する側の電極層には、入射した太陽光をできるだけ多く
発電部に到達させる要請から、ITO(インジウム−錫
混合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛等の透明・導電性酸化
物(TCO)が一般に用いられる。これらTCOは一般
に電気抵抗率が低抵抗の金属に比べて大きいので、発電
部を被覆する度合いをできるだけ小さくし、かつ発電部
で発生した電流がTCOを通過する距離を短くするため
に、格子状、櫛形状、縞状などの形状に、銀、アルミニ
ウム等金属や、これらの金属を樹脂等に分散させた電極
材などの良導体で集電電極を設けることが好ましい。一
方、光が入射する側と対向する側の電極層には、高い光
線透過率は必要とされないが、生産性、原料コストの
他、発電部で吸収されなかった光を反射して再び発電層
に戻すために光線反射率も考慮する必要がある。具体的
には銀やアルミニウムなどの金属が好んで用いられる。
【0124】また、主たる電極層と半導体層の間に、層
間の接着性を高めたり、主たる電極層が半導体層の製膜
プロセスにより劣化するのを防止したりする目的で、導
電性をもつバッファ層を設けることがある。
【0125】これら電極層の製膜方法は、PECVD
(プラズマ化学的気相成長法)や熱CVD、スパッタ製
膜、蒸着、スクリーン印刷法による塗布、導電性テープ
の貼付など様々な方法が検討され、用いられている。
【0126】基材上に形成された薄膜太陽電池は、その
ままの構成では、大面積化すると発生する光電流は増加
するが、起電力は面積にほとんど関係なく一定で、最大
でもせいぜい5ボルト程度の起電力しか発生することが
できない。このため取り出せる電圧が低く、電流が大き
くなって、送電線の有効径を大きくしなければならず、
また、電流に比例する送電線での電力損失(ジュール
損)も大きい。さらに、大きな面積全体を一つの連続し
た太陽電池素子として構成すると、その大きな面積全体
のごく一部でも欠陥が発生したり日陰になって入射光強
度が低かったりすると、その部分が他で発生した光電流
の漏洩経路となって、太陽電池の変換効率が大幅に低下
する。
【0127】こうした問題を解決するために、基材上で
太陽電池の一部または全部の層を部分的に取り除いて、
電気的に独立した複数の太陽電池素子に分割することが
一般的に行われる。それぞれの分割された太陽電池素子
を基材上または外部で直列または並列または直並列に接
続することにより、太陽電池に接続する機器に適合した
電圧/電流を供給することができる。また、例えば太陽
電池素子と逆の極性をもつダイオードを太陽電池素子に
並列に接続する等の公知の方法によって、部分的な欠陥
や入射光強度の低下が変換効率に与える影響を低減させ
ることができる。
【0128】本発明の基板はこれまで説明してきた発電
層材質、層構成や素子形状などに限定されることなく使
用することができるが、特にアモルファスシリコン、ア
モルファスシリコン−ゲルマニウム、アモルファスシリ
コン−炭素、微結晶シリコン、微結晶シリコン−ゲルマ
ニウムなどのシリコンを含有する半導体層を少なくとも
1層以上設けた太陽電池に好適に用いることができる。
さらにとりわけ、実質上微結晶シリコンからなる半導体
層を少なくとも1層以上設けた太陽電池に用いることが
効果的である。
【0129】なお、ここでいうアモルファスシリコンま
たは微結晶シリコンとは、層の構成元素の50原子パー
セント以上がシリコンで、かつシリコン以外の周期律表
IV族のどの元素の量比もシリコンのそれの10分の1を
超えないものをいう。構成元素の量比は二次イオン質量
分析法(SIMS)により求められる。
【0130】また、実質上微結晶シリコンの半導体層と
は、前記アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンの
定義に該当し、かつアルゴンレーザー(488nm)励
起のラマン散乱分光測定において、波数520.5cm
の結晶シリコンに対応する信号強度Icと波数480c
mのアモルファスシリコンに対応する信号強度Iaの比
Ic/Iaが1以上であるものをいう。
【0131】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0132】(実施例1)射出成形機を用い、シリンダ
温度℃、金型温度℃、射出圧力MPa、射出速度%で、
ガラス転移温度145℃、MFR(メルトフローレー
ト;ASTM D1238準拠、温度260℃で測定)
7[g/10min.]、透湿係数0.09[g・mm
/m2・day]の、エチレンとテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンのランダム共
重合体(以下ETCDと略す。:商品名「アペル」AL
P6015T、三井化学(株)製)で辺の長さが130
mmと140mm、厚さ1.1mmの長方形の平板を成形
した。これを1辺が50mmの正方形に切り出して太陽
電池基材とした。
【0133】この基材を50℃に加熱保持しながら直流
マグネトロンスパッタ法で銀薄膜を約0.1nm/sの
製膜速度で約200nmの膜厚に形成して基板側電極と
した。次にその上に、基材を100℃に加熱保持してバ
ッファ層として直流マグネトロンスパッタ法でガリウム
ドープ酸化亜鉛薄膜を約0.3nm/sの製膜速度で約
40nmの膜厚に形成した。
【0134】さらにその上に、PECVD装置を用い
て、水素およびシランを主たる原料がス、ホスフィンお
よびジボランをドーパントガスとして用いて、微結晶シ
リコンの発電層を、n型半導体層(リンドープ、膜厚3
0nm)、i型半導体層(ドープなし、膜厚1800n
m)、p型半導体層(ホウ素ドープ、膜厚30nm)の
順に形成した。微結晶シリコン層の製膜中は基材を10
0℃に加熱保持した。
【0135】最後にこの上に表面電極を形成した。まず
基材を100℃に加熱保持しながら、高周波(13.5
6MHz)スパッタ法により、ITO(インジウム−錫
混合酸化物)透明電極層を1辺5mmの正方形に、互い
に5mmの間隔をおいて16個所形成した。その膜厚は
50nmとした。次いで幅0.8mmの柵状の銀電極
(面積約5mm2をITO電極の直上に膜厚200nm
で形成した。
【0136】このようにして作製した薄膜微結晶シリコ
ン太陽電池を、100℃の大気中で500時間エージン
グして特性の安定化を行った後、測定位置でAM1.
5,1mW/mm2の出力に調整されたソーラーシミュ
レータの光を該太陽電池に照射しながら、半導体パラメ
ータアナライザ(Hewlett−Packard社製
HP4155A)により、電流の印加電圧依存性を1辺
5mmの各々独立した素子について測定した。各素子に
ついて、それぞれの印加電圧条件に対して印加電圧と電
流の積を計算し、その積の最大値を最大出力(Pma
x)とし、柵状電極の陰となる部分を除いた1素子あた
りの有効面積(20.4mm2)に入射する光のパワー
(20.4mW)でPmaxを割った値をその素子の変
換効率とした。
【0137】(比較例1)ホウケイ素ガラス板(コーニ
ング社製、品番7059、1辺50mmの正方形板状、
厚さ1.1mm)に、実施例1と同様の手順で太陽電池
を作製し、変換効率の測定を行った。
【0138】(比較例2)比較例1と同様の基材および
製造手順で太陽電池を作製し、変換効率の測定を行っ
た。但し、発電層(微結晶シリコン層)製膜時の基材温
度を100℃〜200℃の間で変えて作製を行い、最大
の変換効率が得られた条件(n型半導体層およびi型半
導体層製膜時の基材温度180℃、p型半導体層製膜時
の基材温度140℃)で作製した太陽電池を比較例2と
して採用した。
【0139】(比較例3)ポリイミド樹脂(三井化学
(株)製「オーラム」#450、厚さ1.0mm)を1
辺50mmの正方形板状に切り出し、実施例1と同様の
手順で太陽電池を作製し、変換効率の測定を行った。
【0140】前記実施例ならびに比較例の結果を表1に
示す。
【0141】
【表1】 注)×:漏洩電流が過大なため、計測不能。
【0142】
【発明の効果】透湿性、耐熱性に優れる本発明の基材を
用いることで、軽量かつ堅牢という長所をもち、かつ従
来のガラス基板を使用した薄膜太陽電池に近い変換効率
の薄膜太陽電池を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 彰久 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 経済産 業省産業技術総合研究所電子技術総合研究 所内 (72)発明者 間瀬 比呂志 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 Fターム(参考) 4J100 AA02P AA04P AA07P AA09P AA15P AA16P AA17P AA18P AA19P AA21P AR09Q AR11Q CA04 JA43 5F051 AA04 AA05 AA09 AA10 CA15 CB15 DA04 DA15 FA04 GA05 GA14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に少なくとも1種の脂環構造単位
    を有する重合体からなる薄膜太陽電池基材
  2. 【請求項2】 前記分子内に少なくとも1種の脂環構造
    単位を有する重合体が、α−オレフィンと環状オレフィ
    ンとの共重合体、環状オレフィンの開環重合体、環状オ
    レフィン開環重合体の水素添加物からなる群より選ばれ
    る少なくとも1種の重合体であることを特徴とする請求
    項1記載の薄膜太陽電池基材。
  3. 【請求項3】 α−オレフィンと環状オレフィンとの共
    重合体がエチレンとテトラシクロ[4.4.0.
    2,5.17,10]−3−ドデセンの共重合体である請求
    項2記載の薄膜太陽電池基材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の基材
    を用いてなる薄膜太陽電池。
  5. 【請求項5】 シリコーンを主成分とする結晶を含有す
    る層を少なくとも1層以上含む請求項4記載の太陽電
    池。
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