JP2002260459A - 電線等の屈曲寿命予測方法 - Google Patents

電線等の屈曲寿命予測方法

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JP2002260459A
JP2002260459A JP2001057945A JP2001057945A JP2002260459A JP 2002260459 A JP2002260459 A JP 2002260459A JP 2001057945 A JP2001057945 A JP 2001057945A JP 2001057945 A JP2001057945 A JP 2001057945A JP 2002260459 A JP2002260459 A JP 2002260459A
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wire
bending
electric wire
life
bending life
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JP2001057945A
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English (en)
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Naoyoshi Onoe
尚好 尾上
Takuya Inoue
拓也 井上
Arinori Kawakita
有紀 川北
Koji Ouchi
孝司 大内
Mikio Kaji
幹雄 鍜治
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Wiring Systems Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Wiring Systems Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に被覆材である絶縁層にクラックが生じる
以前に芯線としての導体部が断線する場合の屈曲寿命を
容易に予測する。 【解決手段】 少なくとも中央に中心導体線を有する電
線等の屈曲による断線に至るまでの屈曲寿命を予測する
場合に、まず単線の歪み変化量と屈曲寿命の実測値との
相関関係を予め得ておき、予測対象となる電線等の中心
導体線の最大歪み変化量を算出して、この最大歪み変化
量を相関関係に照合することによって電線等の屈曲寿命
を予測する。特に複数の芯線を有する場合に、単一の中
心導体線のみの屈曲寿命のみを予測すればよいため、予
測処理が容易である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、導体線を絶縁層
にて被覆してなる電線またはこれらの電線を複数束ねた
電線束であって、自動車や産業機器およびそれらに装着
される電気・電子機器の電気信号や電源からの電力を供
給する電線または電線束の屈曲による断線に至るまでの
屈曲寿命を予測する電線等の屈曲寿命予測方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】周知のように、自動車や産業機器には多
くの電線が使用されている。電線または複数の電線を束
ねた電線束(この明細書では、電線および電線束を総称
して「電線等」と称することにする)には、例えば自動
車のドア部やシート部のように屈曲を受ける位置に配置
されているものもあり、このような電線等については、
繰り返し曲げ変形を受けることによって断線に至ること
がある。
【0003】一般に、冷温を含む低温下においては、P
VC等の絶縁層(被覆材)が屈曲を繰り返すことで、そ
の絶縁層が疲労破壊によりクラック(被覆割れ)が生じ
やすくなる。そうすると、そのクラックが生じた部分の
導体部(芯線)に局部的な応力がかかりやすくなること
から、低温下での断線は導体部を被覆する絶縁層の疲労
破壊に主として支配されることがわかっている。
【0004】そして、低温下での電線等の絶縁層のクラ
ックについて、その絶縁層部分での歪み変化量と屈曲寿
命との相関関係を予めマスターカーブとして把握してお
き、このマスターカーブを用いて電線の屈曲寿命を予測
する方法が、本出願人によって既に提案されている(例
えば特願平11−210650号:以下「提案例」と称
す)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
提案例は、断線が主として絶縁層のクラックに起因する
状況下での屈曲寿命を求めるものであって、絶縁層のク
ラックに至るまでの屈曲回数から屈曲寿命を求めてお
り、絶縁層にクラックが発生しない状態で導体部(芯
線)に断線が生じる状況下での屈曲寿命を予測すること
は困難である。例えば、常温においては、絶縁層にクラ
ックが発生する以前に導体部が断線することがある。ま
た、絶縁層としてハロゲンフリーの樹脂材料やPEを使
用した場合には、低温下においても、絶縁層にクラック
が発生する以前に導体部が断線することがある。
【0006】そこで、この発明の課題は、絶縁層にクラ
ックが生じる以前に内部の導体部が断線する場合に効率
良く屈曲寿命を予測できる電線等の屈曲寿命予測方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
請求項1に記載の発明は、少なくとも中央に中心導体線
を有するとともに、当該中心導体線の周囲に撚線が撚ら
れてなる電線の屈曲による断線に至るまでの屈曲寿命を
予測する電線等の屈曲寿命予測方法であって、単線の歪
み変化量と屈曲寿命の実測値との相関関係を予め得る工
程と、予測対象となる電線の前記中心導体線の最大歪み
変化量を算出する工程と、算出された前記中心導体線の
前記最大歪み変化量を前記相関関係に照合することによ
って前記電線の屈曲寿命を予測する工程とを備える。
【0008】請求項2に記載の発明は、中央に中心導体
線をそれぞれ有する複数の電線が束ねられてなる電線束
の断線に至るまでの屈曲寿命を予測する電線束の屈曲寿
命予測方法であって、前記中心導体線と同材質で形成さ
れた単線の歪み変化量と屈曲寿命の実測値との相関関係
を予め得る工程と、予測対象となる電線束内の複数の電
線のうち、屈曲において最も曲率半径の変化が大きいと
予想される単一の電線の前記中心導体線の最大歪み変化
量を算出する工程と、算出された前記電線の前記中心導
体線の前記最大歪み変化量を前記相関関係に照合するこ
とによって前記電線束の屈曲寿命を予測する工程とを備
える。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の電線等の屈曲寿命予測方法であって、
前記相関関係を得る工程は、複数の歪み変化量について
前記単線を繰り返し曲げを施して、断線に至るまでの屈
曲回数を実際に測定することにより前記相関関係を求め
る。
【0010】請求項4に記載の発明は、請求項1ないし
請求項3のいずれかに記載の電線等の屈曲寿命予測方法
であって、前記最大歪み変化量を算出する工程におい
て、前記中心導体線の半径をraとし、前記中心導体線
の屈曲を受ける領域内で最も大きく屈曲変化する位置に
おいて最も屈曲した状態の前記中心導体線の曲げ半径を
1とし、最も伸長した状態の前記中心導体線の曲げ半
径をR2として、次式により前記最大歪み変化量(Δ
ε)を算出する。
【0011】Δε=ra・(1/R1−1/R2
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明の基本的な考え方に
ついて説明する。本発明者等は、電線等の屈曲寿命を支
配する因子について鋭意検討を行った。その結果、被覆
材となる絶縁層として温度依存性の少ないハロゲンフリ
ーの樹脂材やPE等を使用する場合や、温度依存性のあ
るPVC等の絶縁層を有していても例えば常温である場
合においては、これらの電線等を繰り返し屈曲していく
と、絶縁層の疲労破壊によりクラックが生じる以前に、
内部の芯線となる導体部が断線することがある。このこ
とから、電線等の断線は必ずしも導体部を被覆する絶縁
層の疲労破壊に起因する場合ばかりでなく、むしろ、上
記のような条件下では、電線等の屈曲寿命は、内部の各
素線の屈曲寿命に等しいと考えることができる。
【0013】しかも、例えば単一の絶縁層の内部に複数
の素線が配置されている場合に、断面中央に配置された
素線(以下「中心導体線」と称す)と、この中心導体線
の周囲の撚線のそれぞれの屈曲寿命を比較すると、撚線
が略コイル状に形成されて屈曲寿命が非常に長いのに対
して、直状に張られた中心導体線の屈曲寿命が短いこと
が解っている。また、それぞれ芯線を有する複数の電線
が束ねられた電線束の場合には、最も屈曲した状態と最
も伸長した状態との間で歪み変化量の最も大きないずれ
か一本の電線の芯線(中心導体線)の屈曲寿命が最も短
いことが解っている。そして、この最も短い屈曲寿命を
有する中心導体線のみの寿命予測をするだけで、その電
線等全体の屈曲寿命を予測できることを究明した。すな
わち、電線等の内部のいずれか単一の中心導体線のみの
最大歪み変化量と、電線等の全体としての屈曲寿命との
間に強い相関関係が存在するという知見を得たのであ
る。
【0014】従って、その中心導体線の歪み変化量とそ
の中心導体線の屈曲寿命との間の相関関係を予め実験的
に求めておけば、様々な製品条件下の中心導体線につい
てその最大歪み変化量を解析するだけで電線等の全体と
しての屈曲寿命を予測することができることとなる。本
発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0015】尚、この電線等の屈曲寿命予測方法では、
以下に述べるように、複数の導体線(素線または芯線)
を有する構造において、最も屈曲寿命の短いと推測され
るいずれか一本の中心導体線の屈曲寿命を予測すること
で、全体的な電線等(電線または電線束)の屈曲寿命を
予測するが、電線束などのように複数の導体線を有する
ような構造の対象物については、この実施の形態でいう
屈曲寿命が電線または電線束の全ての導体線の完全断線
を予測することを意味しない。電線または電線束内のい
ずれかの導体線(中心導体線を含む)が断線したとして
も、その他の導体線が同時期に断線するとは限らず、こ
のため電線または電線束の全ての電線の完全断線はかな
り時間が経過した時点に発生するものである。しかしな
がら、いずれかの導体線(即ち、最も屈曲寿命の短い中
心導体線)が断線するということは、その電線または電
線束の機能品質に大きな変化を伴うことから、この実施
の形態では、完全断線には至らないものの、いずれか一
本の導体線が断線するまでの寿命をもって、屈曲寿命と
称することにする。
【0016】{第1の実施の形態}以下、具体的な屈曲
寿命予測方法のうち、第1の実施の形態として、中心導
体線1の周囲に撚線2が撚られてなる電線(図5参照)
の屈曲寿命予測方法について説明する。
【0017】図1は、この屈曲寿命予測方法の手順を示
すフローチャートである。
【0018】まず事前工程としてのステップS1で、単
一の電線の屈曲寿命と歪み変化量との相関関係を示すマ
スターカーブを予め取得する。マスターカーブは、実際
に使用される中心導体線と同一材料の、例えば銅製の単
品としての素線1について、図2のように所定の治具Z
1,Z2を用いるなどして繰り返し曲げを施し(図2の
例では治具Z2を治具Z1に対して矢示方向に往復移動
させる)、その歪み変化量を例えばCAE解析等によっ
て解析し、様々な歪み変化量について、屈曲寿命(断線
に至るまでの屈曲回数)を実際に測定することによって
取得される。
【0019】図3は、電線の歪み変化量について説明す
るための図である。電線中の絶縁層の内部の導体線(単
線)1の半径をraとする。導体線1は曲げ変形を受け
ており、その曲げ半径をRとすると、曲率KはK=1/
Rで表される。このときに導体線1の表面に生じている
歪みεは次の(1)式のように表される。
【0020】 ここで、ドア部やシート部等の屈曲を受ける位置に配置
される導体線1において、その屈曲を受ける位置で最も
屈曲した状態の導体線1の曲げ半径をR1とし、最も伸
長した状態の導体線1の曲げ半径をR2として、この最
も屈曲した状態と最も伸長した状態との間で導体線1に
繰り返し曲げを施したときの当該導体線1の表面の歪み
変化量をΔεとすると、Δεは次の(2)式にて表され
る。
【0021】 Δε=(R1+ra)/R1−(R2+ra)/R2 =ra・(1/R1−1/R2) =ra・ΔK …(2) なお、(2)式においてΔKは導体線1に繰り返し曲げ
を施したときの曲率の変化量であり、繰り返し曲げ時の
導体線1の形状変化から有限要素法を用いたコンピュー
タ解析(いわゆるCAE解析(computer-aided engineer
ing))によって算出することができる。その算出された
ΔKを、導体線1の各部位についてリストアップし、最
も値の大きいΔKを採用して、(2)式から導体線1の
表面の最大歪み変化量Δεを求めることができる。
【0022】一方、屈曲寿命については、導体線1に繰
り返し曲げを施して、断線に至るまでの屈曲回数を実際
に測定することによって求める。常温下における電線等
の全体的として断線は、その内部の各導体線1の金属疲
労破壊に主として支配されているものであるが、屈曲寿
命には温度依存性がある場合には、屈曲寿命の測定につ
いて必要な温度ごとに行うことが望ましい。
【0023】尚、マスターカーブの決定のために使用す
る導体線1としては、実際の予測対象の電線等に使用さ
れている導体線及び絶縁材と同一の材料のものである必
要があるが、その径については、必ずしも予測対象の電
線等に使用されているものと同一である必要がない。こ
れは、導体線の径が異なる試料でマスターカーブを求め
ておいても、予測対象となる導体線1の径に拘わらず当
該マスターカーブを適用できるという知見を、本願出願
人による実験の結果得られたからである。
【0024】図4は、得られたマスターカーブの一例を
示す図である。同図の横軸は導体線1の表面の歪み変化
量を示し、縦軸は屈曲寿命(断線に至るまでの屈曲回
数)を示している。
【0025】図1に戻り、マスターカーブを取得した
後、ステップS2に進み、屈曲寿命を予測する対象とし
ている電線等の中心導体線の最大歪み変化量Δεを算出
する。予測対象としている電線等の中心導体線の最大歪
み変化量Δεは、コンピュータを用いた形状シミュレー
ションによって算出され、その電線等の取り付け状態、
取り付け形状および取り付け後に受ける曲げ変形の態様
等に基づいて、有限要素法を用いたCAE解析により算
出する。なお、ここで算出する中心導体線の最大歪み変
化量Δεは、マスターカーブを取得したときと同様の工
程により求める。
【0026】具体的に、予測対象としている電線等の中
心導体線の最大歪み変化量Δεは、例えばまず電線等の
初期形状を有限要素モデルとして仮想的にコンピュータ
内に再現し、また実際の電線等の屈曲状況を設置される
場所の動き(例えばドアの開閉動作等)をシミュレーシ
ョンし、中心導体線について最も曲率半径の変化(1/
1−1/R2)が大きい点について、上記(2)式に基
づいて、その部分の最大歪み変化量Δεを求める。尚、
このような有限要素法によるコンピュータ解析の工程に
おいては、電線等の実際の状況を有限要素モデルに再現
することが重要であるため、内部の中心導体線1だけで
なく、被覆材となる絶縁層の厚み、曲げ弾性等のさまざ
まな物性をも考慮して曲げ半径(曲率半径)Rを考慮す
る。
【0027】例えば、導体部の金属材料の曲げ弾性係数
と、被覆層の絶縁材料の曲げ弾性係数を、その断面積比
率によって重み付け平均し、導体部の金属材料と被覆層
の絶縁材料とを平均化した仮想的な材料を想定する。そ
して、かかる仮想的な材料を1本の線部材(以下「仮想
的線部材」と称す)として、その仮想的線部材の半径及
びその曲げ半径を想定して形状を決定する。
【0028】このような工程を経た後、この実施の形態
では、図3のように、電線等の中心導体線1のみについ
ての曲率半径R(すなわち、(2)式におけるR1
2)を求めて最大歪み変化量Δεを求める。このよう
にして、図5のように、中心導体線1の周囲に撚線2が
撚られてなる電線の場合には、その内部の単一の中心導
体線1のみを考慮して伸屈動作におけるそれぞれの曲率
半径(R1,R2)を求める。
【0029】そして、(2)式に示したR1(最も屈曲
した状態の仮想的線部材の曲げ半径)及びR2(最も伸
長した状態の仮想的線部材の曲げ半径)を考慮して、中
心導体線1の最大歪み変化量((2)式中のΔε)を算
出する。
【0030】次に、算出された予測対象となる導体線1
の最大歪み変化量を上記のマスターカーブ(図4)に照
合することによって、その電線等の全体としての屈曲寿
命を予測する(ステップS3)。既述したように、電線
等の屈曲寿命と、その中心導体線1の最大歪み変化量と
の間の相関関係自体は、電線等及び中心導体線1の形状
に依存しない。従って、中心導体線1の最大歪み変化量
を算出することができれば、電線の径の如何によらず、
その屈曲寿命を正確に予測することができるのである。
なお、このことは本発明にかかる電線の屈曲寿命予測方
法が電線の径を全く考慮していないことを意味している
のではなく、予測対象としている電線の最大歪み変化量
を(2)式を用いて算出する段階においてそれを考慮し
ている。
【0031】このようにすれば、電線の径等の製品条件
によらず、その屈曲寿命を正確に予測することができる
ため、ワイヤーハーネスの設計等にその予測結果を反映
することによって事前に机上検討が可能となり、最適設
計、開発期間の短縮を図ることができる。
【0032】尚、図6はマスターカーブと実験結果とを
比較する図である。尚、実験では、様々な径の導体部
(芯線)を有する電線を対象としている。この図6のよ
うに中心導体線の最大歪み変化量と屈曲寿命との相関を
プロットした結果、1本の単線での屈曲試験に基づいて
得られたマスターカーブ上に、導体部の径に拘わらず、
実際の電線等の寿命がほぼ一致していることが解る。
【0033】{第2の実施の形態}上記第1の実施の形
態では、図5のように、撚線2の中心に中心導体線1が
形成されてなる電線の屈曲寿命予測方法について説明し
たが、第2の実施の形態では、図7のように、それぞれ
に芯線(中心導体線)31を有する複数の電線33が束
ねられてなる電線束32の屈曲寿命予測方法について説
明する。尚、この実施の形態の屈曲寿命予測方法は、大
部分について第1の実施の形態と同様であるため、この
第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0034】まず、屈曲寿命予測の対象が電線束32の
場合は、複数の電線33が平行に配置されており、この
複数の電線33を電線束32としてまとめて屈曲させる
場合は、その曲げ半径において最も内周に位置する一本
の電線33aにおいて、最も曲率半径の変化(1/R1
−1/R2)が大きいものとなる。したがって、この最
も曲率半径の変化が大きくなる一本の電線33aの中心
導体線31のみを屈曲寿命予測の対象とすることで、容
易に電線束の屈曲寿命予測を行うことができる。
【0035】まず、図1のステップS1のマスターカー
ブの取得においては、第1の実施の形態で説明した方法
と何ら変化ない。
【0036】次に、ステップS2においては、屈曲寿命
予測の対象が図7のような電線束32である場合には、
全ての電線33の各(芯線)及び絶縁層の曲げ弾性係数
を、その各断面積比率によって重み付け平均し、導体部
の金属材料と被覆層の絶縁材料とを総合的に平均化した
仮想的な材料を想定して、電線束32全体としての形状
(屈曲形状及び伸長形状)を決定する。
【0037】そして、このように決定された電線束32
全体の形状中において、この電線束32内の複数の電線
33の芯線のうち、曲率半径の最も内側に位置して最も
曲率半径の変化が大きくなると予想される単一の電線3
3aについて、その電線33aの中心導体線1のみの曲
率半径R(すなわち、(2)式におけるR1,R2)の変
化を求める。
【0038】そして、かかる曲率半径R(すなわち、
(2)式におけるR1,R2)について、当該電線33a
の中心導体線31の径をraとして(2)式に代入し、
当該中心導体線31の表面の最大歪み変化量Δεを算出
する。
【0039】そして、ステップS3において、その最大
歪み変化量Δεをマスターカーブに当てはめ、これによ
り電線等全体としての屈曲寿命を予測する。
【0040】尚、電線束32内の電線33が互いに撚ら
れて配置される場合は、いずれの電線33の曲率半径の
変化が最も大きくなるか予測できない場合もあり得る。
この場合は、各電線33のそれぞれについて屈曲寿命予
測を行い、最も屈曲寿命の短いと予測された電線33の
屈曲寿命を、電線束32全体の屈曲寿命として予測すれ
ばよい。
【0041】このように、極めて容易に電線束32の屈
曲寿命予測を行うことができ、コンピュータの解析処理
にかかる負荷を大幅に低減し、且つ比較的正確に屈曲寿
命を予測できる。
【0042】以上この発明の各実施の形態について説明
したが、この発明の範囲は上記実施例に限られるもので
はなく、添付された請求の範囲によって規定される。
【0043】
【発明の効果】請求項1ないし請求項4に記載の発明に
よれば、少なくとも中央に中心導体線を有する電線また
は電線束の屈曲による断線に至るまでの屈曲寿命を予測
する場合に、まず単線の最大歪み変化量と屈曲寿命の実
測値との相関関係を予め得ておき、予測対象となる電線
または電線束の中心導体線の最大歪み変化量を算出し
て、この最大歪み変化量を相関関係に照合することによ
って電線または電線束の屈曲寿命を予測するようにして
いるので、特に被覆材である絶縁層にクラックが生じる
以前に芯線としての導体部が断線する場合の屈曲寿命を
容易に予測することができる。
【0044】この場合、複数の芯線を有する電線または
電線束の場合であっても、全ての芯線についての屈曲寿
命を予測せずに、いずれか単一の中心導体線の屈曲寿命
のみを予測するので、例えば有限要素法を用いたコンピ
ュータ解析処理等で屈曲寿命の予測を行うような場合
に、有限要素モデルの設定及び最大歪み変化量の計算等
のコンピュータの計算処理負荷を大幅に低減することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態に係る電線等の屈曲
寿命予測方法を示すフローチャートである。
【図2】マスターカーブを得るために行われる単線の屈
曲試験を示す図である。
【図3】中心導体線を示す図である。
【図4】マスターカーブを示す図である。
【図5】電線中に中心導体線が含まれる状態を示す図で
ある。
【図6】マスターカーブに対して実験結果のデータをプ
ロットした状態を示す図である。
【図7】電線束が屈曲した状態を示す図である。
【符号の説明】
1,31 中心導体線 3 絶縁層 2 芯線 32 電線束 33 電線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02G 3/38 H02G 3/28 F (72)発明者 井上 拓也 三重県四日市市西末広町1番14号 住友電 装株式会社内 (72)発明者 川北 有紀 三重県四日市市西末広町1番14号 住友電 装株式会社内 (72)発明者 大内 孝司 大阪市此花区島屋1丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 鍜治 幹雄 大阪市此花区島屋1丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 Fターム(参考) 2G055 AA13 BA11 EA01 EA08 FA01 2G061 AA07 AB05 AC03 BA15 CA03 CB05 EA02 EA04 EC02 5G363 AA20 BA02 DC03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも中央に中心導体線を有すると
    ともに、当該中心導体線の周囲に撚線が撚られてなる電
    線の屈曲による断線に至るまでの屈曲寿命を予測する電
    線等の屈曲寿命予測方法であって、 前記中心導体線と同材質で形成された単線の歪み変化量
    と屈曲寿命の実測値との相関関係を予め得る工程と、 予測対象となる電線の前記中心導体線の最大歪み変化量
    を算出する工程と、 算出された前記中心導体線の前記最大歪み変化量を前記
    相関関係に照合することによって前記電線の屈曲寿命を
    予測する工程とを備えることを特徴とする電線等の屈曲
    寿命予測方法。
  2. 【請求項2】 中央に中心導体線をそれぞれ有する複数
    の電線が束ねられてなる電線束の断線に至るまでの屈曲
    寿命を予測する電線束の屈曲寿命予測方法であって、 前記中心導体線と同材質で形成された単線の歪み変化量
    と屈曲寿命の実測値との相関関係を予め得る工程と、 予測対象となる電線束内の複数の電線のうち、屈曲にお
    いて最も曲率半径の変化が大きいと予想される単一の電
    線の前記中心導体線の最大歪み変化量を算出する工程
    と、 算出された前記電線の前記中心導体線の前記最大歪み変
    化量を前記相関関係に照合することによって前記電線束
    の屈曲寿命を予測する工程とを備えることを特徴とする
    電線等の屈曲寿命予測方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の電線等
    の屈曲寿命予測方法であって、 前記相関関係を得る工程は、複数の歪み変化量について
    前記単線を繰り返し曲げを施して、断線に至るまでの屈
    曲回数を実際に測定することにより前記相関関係を求め
    ることを特徴とする電線等の屈曲寿命予測方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の電線等の屈曲寿命予測方法であって、 前記最大歪み変化量を算出する工程において、前記中心
    導体線の半径をraとし、前記中心導体線の屈曲を受け
    る領域内で最も大きく屈曲変化する位置において最も屈
    曲した状態の前記中心導体線の曲げ半径をR1とし、最
    も伸長した状態の前記中心導体線の曲げ半径をR2とし
    て、次式により前記最大歪み変化量(Δε)を算出する
    ことを特徴とする電線等の屈曲寿命予測方法。 Δε=ra・(1/R1−1/R2
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