JP2002260210A - 磁気記録媒体、その製造方法、製造装置、および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体、その製造方法、製造装置、および磁気記録再生装置

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JP2002260210A JP2001401182A JP2001401182A JP2002260210A JP 2002260210 A JP2002260210 A JP 2002260210A JP 2001401182 A JP2001401182 A JP 2001401182A JP 2001401182 A JP2001401182 A JP 2001401182A JP 2002260210 A JP2002260210 A JP 2002260210A
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彰 坂脇
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱揺らぎ耐性などの磁気特性およびグライド
ハイト特性に優れ、かつ容易に製造することができる磁
気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性基板1と、その上に形成された非
磁性下地層3、磁性層4および保護層5を基本構成と
し、非磁性下地層3が、bcc構造を有し、非磁性基板
1と非磁性下地層3との間に、非磁性下地層を(20
0)に優先的に配向させる配向調整層2が形成され、こ
の配向調整層2が、柱状微結晶粒2aが半径方向に傾い
た結晶構造を有し、磁性層4の周方向の保磁力Hccと
径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが1より大
きく、磁性層4が、複数の磁性膜4a、4bを有し、こ
れら磁性膜4a、4bが、hcp構造を有し、かつ(1
10)に優先的に配向しており、これら磁性膜4a、4
b間に反強磁性結合が形成可能な構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計算機周辺装置や
画像・音声記録用に用いられる磁気ディスク装置などに
用いられる磁気記録媒体、その製造方法、製造装置、お
よび上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体の高記録密度化に伴い、磁
性層中の磁性粒子の微細化、磁気的孤立化、磁性層の薄
膜化などによって、ノイズ低減や分解能向上を図ること
が提案されている。しかしながら、磁性粒子の微細化、
磁気的孤立化、磁性層の薄膜化を行う場合には、磁性粒
子が小さくなるため、熱揺らぎ耐性が低下しやすい問題
がある。熱揺らぎとは、記録ビットが不安定となり記録
したデータの消失が起こる現象をいい、磁気記録再生装
置においては、記録したデータの再生出力の経時的な減
衰として現れる。従来、磁気記録媒体用の基板として
は、アルミニウム合金等からなる非磁性金属基板が多く
用いられている。非磁性金属基板は、通常、表面を硬化
するためNiPなどからなる硬質膜を設け、その表面に
テクスチャ加工が施されて用いられている。テクスチャ
加工は、基板表面に所定方向(通常は円周方向)に沿う
凹凸を形成する加工であり、テクスチャ加工を施すこと
によって、基板上に形成される下地層および磁性層の結
晶配向性を向上させ、磁性層の磁気異方性を高め、熱揺
らぎ耐性などの磁気特性を向上させることができる。
【0003】ところで、近年では、磁気記録媒体用の基
板として、アルミニウム等からなる金属基板に代えて、
ガラス、セラミックスなどからなる非金属基板が多く用
いられてきている。非金属基板は、硬度が高いためヘッ
ドスラップが生じにくく、しかも表面平滑性が高いため
グライドハイト特性の点で有利である。しかしながら、
ガラス基板などの非金属基板は、テクスチャ加工を施す
のが難しく、磁性層の磁気異方性が不十分となり熱揺ら
ぎ耐性が低くなりやすいという問題がある。このため、
ガラス、セラミックスなどからなる非金属基板上に、テ
クスチャ加工が容易な硬質膜を形成することが提案され
ている。例えば特開平5−197941号公報には、非
金属基板表面に、テクスチャ加工が容易な硬質膜である
NiP膜をスパッタ法により形成した磁気記録媒体が開
示されている。非金属基板表面に硬質膜を設けた磁気記
録媒体を製造するには、スパッタ装置などの成膜装置内
において基板上に硬質膜を形成した後、基板を一旦成膜
装置から搬出し、テクスチャ加工装置を用いてテクスチ
ャ加工を施し、次いで再び成膜装置内に搬入し下地層や
磁性層の形成を行う方法が採られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ア
ルミニウム基板のような非磁性金属基板、ガラス基板の
ような非金属基板を用いた従来の磁気記録媒体では、表
面に形成されたNiPなどからなる硬質膜にテクスチャ
加工を施すことによって磁性層の磁気異方性を高めるこ
とができるものの、硬質膜の表面凹凸によって媒体の表
面平滑性が低くなりやすい。このため、グライドハイト
特性が悪化し、高記録密度化が難しくなる問題があっ
た。また製造工程が煩雑であるため製造コストが嵩む不
都合があった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたも
ので、熱揺らぎ耐性などの磁気特性およびグライドハイ
ト特性に優れ、かつ容易に製造することができる磁気記
録媒体、この磁気記録媒体を容易に製造することができ
る方法および装置、さらには熱揺らぎ耐性などの磁気特
性に優れた磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、非磁性基板
と非磁性下地層との間に配向調整層を形成し、この配向
調整層を、柱状微結晶粒が半径方向に傾いた結晶構造を
有し、磁性層の周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力
Hcrとの比Hcc/Hcrが1より大きくされた構成
とし、さらに、磁性層を、複数の磁性膜を有し、これら
磁性膜間に反強磁性結合が形成可能な構造とすることに
よって、顕著な熱揺らぎ耐性向上効果が得られることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。すなわ
ち本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と、その上に形
成された非磁性下地層、磁性層および保護層を基本構成
とし、非磁性下地層が、bcc構造を有し、非磁性基板
と非磁性下地層との間に、非磁性下地層を(200)に
優先的に配向させる配向調整層が形成され、この配向調
整層が、柱状微結晶粒が半径方向に傾いた結晶構造を有
し、磁性層の周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力H
crとの比Hcc/Hcrが、1より大きくされ、磁性
層が、複数の磁性膜を有し、これら磁性膜が、hcp構
造を有し、かつ(110)に優先的に配向しており、こ
れら磁性膜間に反強磁性結合が形成可能とされている。
本発明の磁気記録媒体では、柱状微結晶粒が半径方向に
傾いた結晶構造を有する配向調整層の利用により、磁性
層の周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの
比Hcc/Hcrが、1より大きくされているので、磁
性層において周方向の磁気異方性を強め、結晶磁気異方
性定数(Ku)を高めることができることから、熱揺ら
ぎ耐性、保磁力、記録再生信号のS/N比などの磁気特
性の向上を図ることができる。本発明では、これに加え
て、磁性膜間の反強磁性結合により、最も保磁力の高い
主磁性膜以外の磁性膜の磁化について、見かけ上磁化の
ない状態、または主磁性膜の磁化が、これ以外の磁性膜
の磁化に相当する磁化の分、見かけ上小さくなった状態
が得られる。このため、ノイズや分解能に悪影響を及ぼ
すことがなく、磁性粒子の体積を十分に大きくすること
ができ、熱的安定化を図り、熱揺らぎ耐性の向上を図る
ことができる。磁性層は、隣り合う磁性膜の磁気モーメ
ント方向が互いに正対する積層フェリ構造を有する構成
とすることができる。磁性層は、複数の磁性膜と、これ
らの間に介在する中間膜とを有する構造とすることがで
きる。磁性層は、磁性膜と、これに隣接する中間膜とか
らなる積層構造を2つ以上有する構成とすることができ
る。複数の磁性膜のうち最も保磁力が大きい主磁性膜に
対し隣接する磁性膜の反強磁性結合磁界は、この磁性膜
の保磁力よりも大きく設定するのが好ましい。中間膜
は、Ru、Cr、Ir、Rh、Mo、Cu、Co、R
e、Vのうち少なくとも1種を主成分とする材料からな
るものとするのが好ましい。配向調整層は、bcc構造
の非磁性下地層を(200)に優先的に配向させる構
成、すなわちCr、V、Nb、Mo、W、Taのうち1
種または2種以上からなる構成とすることができる。配
向調整層は、bcc構造の非磁性下地層を(200)に
優先的に配向させる構成、すなわちCrを主成分とする
合金からなるものであってもよい。配向調整層は、bc
c構造の非磁性下地層を(200)に優先的に配向させ
る構成、すなわちTaを含む合金X1Ta(X1はBe、
Co、Cr、Fe、Nb、Ni、V、Zn、Zrのうち
1種または2種以上)を主成分とし、かつFd3m構造
またはアモルファス構造を有するものであってもよい。
配向調整層は、bcc構造の非磁性下地層を(200)
に優先的に配向させる構成、すなわちNbを含む合金X
2Nb(X2はBe、Co、Cr、Fe、Ni、Ta、
V、Zn、Zrのうち1種または2種以上)を主成分と
し、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有する
ものであってもよい。配向調整層は、bcc構造の非磁
性下地層を(200)に優先的に配向させる構成、すな
わちCoTaまたはCoNbを主成分とするものであ
り、TaまたはNbの含有量が30〜75at%であ
り、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有する
構成とすることができる。配向調整層は、bcc構造の
非磁性下地層を(200)に優先的に配向させる構成、
すなわちCrTaまたはCrNbを主成分とするもので
あり、TaまたはNbの含有量が15〜75at%であ
る構成とすることができる。配向調整層は、bcc構造
の非磁性下地層を(200)に優先的に配向させる構
成、すなわちNiTaまたはNiNbを主成分とするも
のであり、TaまたはNbの含有量が30〜75at%
であり、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有
する構成とすることができる。配向調整層は、bcc構
造の非磁性下地層を(200)に優先的に配向させる構
成、すなわちFd3m構造を有する非磁性金属からなる
ものとすることができる。配向調整層は、bcc構造の
非磁性下地層を(200)に優先的に配向させる構成、
すなわちC15構造を有する非磁性金属からなるものと
することができる。本発明では、非磁性基板と配向調整
層との間に、配向性向上層が形成されている構成とする
ことができる。配向性向上層は、B2構造またはアモル
ファス構造をなす材料からなるものである構成とするこ
とができる。配向性向上層は、NiAl、FeAl、C
oAl、CoZr、CoCrZr、およびCoCrCの
うちいずれかを主成分とするものである構成とすること
ができる。本発明では、配向調整層を、複数設けること
ができる。本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と、そ
の上に形成された磁性層および保護層を基本構成とし、
非磁性基板と磁性層との間に、直上の層の結晶配向性を
調整する配向調整層が形成され、配向調整層が、柱状微
結晶粒が半径方向に傾いた結晶構造を有し、磁性層の周
方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hc
c/Hcrが、1より大きくされ、磁性層が、複数の磁
性膜を有し、これら磁性膜が、hcp構造を有し、かつ
(110)に優先的に配向しており、これら磁性膜間に
反強磁性結合が形成可能とされた構成とすることもでき
る。本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板と、その上に
形成された非磁性下地層、磁性層および保護層を基本構
成とし、非磁性基板と非磁性下地層との間に、直上の層
の結晶配向性を調整する配向調整層が形成され、非磁性
下地層が、bcc構造を有し、配向調整層が、アモルフ
ァス構造のNiP合金からなるものであり、かつ非磁性
下地層を(200)に優先的に配向させることができる
ようにされ、磁性層の周方向の保磁力Hccと径方向の
保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、1より大きくさ
れ、磁性層が、複数の磁性膜を有し、これら磁性膜が、
hcp構造を有し、かつ(110)に優先的に配向して
おり、これら磁性膜間に反強磁性結合が形成可能とされ
た構成とすることもできる。配向調整層は、窒素または
酸素を1at%以上含む構成とすることができる。本発
明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板と、その上
に形成された非磁性下地層、磁性層および保護層を基本
構成とし、非磁性下地層が、bcc構造を有し、非磁性
基板と非磁性下地層との間に、非磁性下地層を(20
0)に優先的に配向させる配向調整層が形成され、磁性
層が、複数の磁性膜を有し、これら磁性膜が、hcp構
造を有し、かつ(110)に優先的に配向しており、こ
れら磁性膜間に反強磁性結合が形成可能とされた磁気記
録媒体を製造する方法であって、配向調整層を構成する
材料からなる成膜粒子を放出源から放出させて被付着面
に付着させることにより配向調整層を形成し、この際、
成膜粒子軌道の被付着面への投影線がほぼ非磁性基板の
径方向に沿い、かつ非磁性基板に対し傾いて入射するよ
うに成膜粒子の方向を設定することを特徴とする。配向
調整層には、酸化処理または窒化処理を施すことができ
る。配向調整層を形成するにあたっては、成膜粒子の放
出源としてスパッタリングターゲットを用いるスパッタ
法を採用することができる。配向調整層を形成するに際
しては、酸素または窒素を含むスパッタガスを用いるこ
とによって酸化処理または窒化処理を行うことができ
る。酸化処理または窒化処理を、配向調整層の表面を酸
素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触させることにより
行うことができる。本発明の磁気記録媒体の製造装置
は、非磁性基板と、その上に形成された非磁性下地層、
磁性層および保護層を基本構成とし、非磁性下地層が、
bcc構造を有し、非磁性基板と非磁性下地層との間
に、非磁性下地層を(200)に優先的に配向させる配
向調整層が形成され、磁性層が、複数の磁性膜を有し、
これら磁性膜が、hcp構造を有し、かつ(110)に
優先的に配向しており、これら磁性膜間に反強磁性結合
が形成可能とされた磁気記録媒体を製造する装置であっ
て、配向調整層を構成する材料からなる成膜粒子を放出
し被付着面に付着させることにより配向調整層を形成す
る放出源と、この放出源から放出された成膜粒子の方向
を定める方向設定手段とを備え、この方向設定手段が、
成膜粒子軌道の被付着面への投影線がほぼ非磁性基板の
径方向に沿い、かつ非磁性基板に対し傾いて入射するよ
うに成膜粒子の方向を設定することができるようにされ
ていることを特徴とする。本発明の磁気記録再生装置
は、磁気記録媒体と、この磁気記録媒体に情報を記録再
生する磁気ヘッドとを備え、磁気記録媒体が、非磁性基
板と、その上に形成された非磁性下地層、磁性層および
保護層を基本構成とし、非磁性下地層が、bcc構造を
有し、非磁性基板と非磁性下地層との間に、非磁性下地
層を(200)に優先的に配向させる配向調整層が形成
され、この配向調整層が、柱状微結晶粒が半径方向に傾
いた結晶構造を有し、磁性層の周方向の保磁力Hccと
径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、1より
大きくされ、磁性層が、複数の磁性膜を有し、これら磁
性膜が、hcp構造を有し、かつ(110)に優先的に
配向しており、これら磁性膜間に反強磁性結合が形成可
能とされたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の磁気記録媒体の
第1の実施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体
は、非磁性基板1上に配向調整層2が形成され、その上
に非磁性下地層3、磁性層4、保護層5、潤滑層6が順
次形成されたものである。図1(a)は、本実施形態の
磁気記録媒体の全体構成を示す断面図であり、図1
(b)は、この磁気記録媒体の断面の透過型電子顕微鏡
(TEM)写真に基づいて作成した要部拡大図である。
【0007】非磁性基板1としては、アルミニウム、ア
ルミニウム合金等の金属材料からなる金属基板を用いて
もよいし、ガラス、セラミック、シリコン、シリコンカ
ーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基
板を用いてもよい。ガラス基板としては、アモルファス
ガラス、結晶化ガラスが使用可能であり、アモルファス
ガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノ
ケートガラス、アルミノシリケートガラスを使用でき
る。また結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラ
スを用いることができる。セラミックス基板としては、
汎用の酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素
などを主成分とする焼結体や、それらの繊維強化物など
が使用可能である。非磁性基板1としては、耐久性、コ
ストなどの観点からガラス基板を用いるのが好ましい。
また、これらの基板の表面にメッキ法などによりNiP
層が形成されたものも非磁性基板1として挙げることが
できる。本発明においては、アルミニウムなどからなる
非磁性金属基板と、ガラス基板などの非金属基板とを含
めて非磁性基板と呼ぶ。非磁性基板1の表面にはテクス
チャ加工を施してもよい。基板1の表面の平均粗さRa
は、0.01〜2nm(好ましくは0.05〜1.5n
m)とするのが好適である。
【0008】配向調整層2は、直上に形成される非磁性
下地層3の結晶配向性を整え、さらにはその上に形成さ
れる磁性層4の結晶配向性を調整し、磁性層4の磁気異
方性を向上させるためのものである。配向調整層は、C
r、V、Nb、Mo、W、Taのうち1種または2種以
上を用いるのが好ましい。これによって、bcc構造の
非磁性下地層を(200)に優先的に配向させることが
できる。配向調整層2の材料としては、Crを主成分と
する(すなわちCrの含有率が50at%を越える)合
金を用いることもでき、特にCrX0(X0はV、Nb、
Mo、Ta、Wのうち1種または2種以上)系合金を用
いるのが好ましい。これによって、bcc構造の非磁性
下地層を(200)に優先的に配向させることができ
る。CrX0系合金を用いる場合、X0の含有率は、1a
t%以上、50at%未満とするのが好ましい。X0
含有率を上記範囲とすることによって、非磁性下地層3
および磁性層4の結晶配向性を高め磁気異方性を向上さ
せることができる。
【0009】配向調整層2は、Taを含む合金X1Ta
(X1はBe、Co、Cr、Fe、Nb、Ni、V、Z
n、Zrのうち1種または2種以上)を主成分とし、か
つFd3m構造またはアモルファス構造を有するもので
あってもよい。これによって、bcc構造の非磁性下地
層3を(200)に優先的に配向させることができる。
配向調整層2は、Nbを含む合金X2Nb(X2はBe、
Co、Cr、Fe、Ni、Ta、V、Zn、Zrのうち
1種または2種以上)を主成分とし、かつFd3m構造
またはアモルファス構造を有するものであってもよい。
これによって、bcc構造の非磁性下地層3を(20
0)に優先的に配向させることができる。配向調整層2
は、CoTaまたはCoNbを主成分とするものであ
り、TaまたはNbの含有量が30〜75at%であ
り、かつFd3m構造またはアモルファス構造を有する
構成とすることができる。これによって、bcc構造の
非磁性下地層3を(200)に優先的に配向させること
ができる。配向調整層2は、CrTaまたはCrNbを
主成分とするものであり、TaまたはNbの含有量が1
5〜75at%である構成とすることもできる。これに
よって、bcc構造の非磁性下地層3を(200)に優
先的に配向させることができる。配向調整層2は、Ni
TaまたはNiNbを主成分とするものであり、Taま
たはNbの含有量が30〜75at%であり、かつFd
3m構造またはアモルファス構造を有する構成とするこ
ともできる。これによって、bcc構造の非磁性下地層
3を(200)に優先的に配向させることができる。配
向調整層2がこれらCoTa、CoNb、CrTa、C
rNb、NiTa、NiNbを主成分とするものである
場合において、TaまたはNbの含有率を上記範囲とす
るのが好適であるとしたのは、この含有率が低すぎると
保磁力が低くなりやすく、含有率が高すぎると磁性層内
の配向性が低下し保磁力が低くなるおそれがあるためで
ある。また配向調整層2は、TaまたはNbを30at
%以上含有する非磁性合金材料からなるものとすること
もできる。これによって、bcc構造の非磁性下地層3
を(200)に優先的に配向させることができる。
【0010】配向調整層2は、Fd3m構造(空間群
(Space Group)表記)を有する非磁性金属
からなるものとすることもできる。これによって、bc
c構造の非磁性下地層3を(200)に優先的に配向さ
せることができる。Fd3m構造を有する非磁性金属と
しては、上述のCrX0系合金のうちCrNb系(70
Cr30Nbなど)、CrTa系(65Cr35Taな
ど)、CrTi系(64Cr36Tiなど)等のC15
構造(Skrukturbercht Symbol表
記)合金が好適である。Fd3m構造を有する金属とし
ては、このほか、CoTa系(65Co35Taな
ど)、CoNb系(70Co30Nbなど)、WHf系
(66W34Hf)、AlY系(67Al33Yなど)
等のC15構造をなす合金がある。またCoTa系(比
較的Co含有率が小さいもの、例えば50Co50Ta
など)、FeNb系(50Fe50Nbなど)等の合金
を用いることもできる。これらFd3m構造をなす材料
を用いる場合には、成膜時に酸化処理または窒化処理
(後述)を行うことによってその結晶構造(Fd3m構
造)を整えたものが好ましい。配向調整層2は、非磁性
下地層3の結晶配向性を調整するだけでなく、非磁性下
地層3、磁性層4中の結晶粒を微細化する結晶粒微細化
層としても機能する。
【0011】配向調整層2には、窒素または酸素を1a
t%以上含有させるのが好ましい。これは、窒素または
酸素を1at%以上含有させることによって、非磁性下
地層3の結晶を、より正確に(200)に配向させ、磁
性層4の磁気異方性を高めることができるためである。
【0012】図1(b)に示すように、配向調整層2
は、柱状微結晶粒2aが、非磁性基板1に垂直な線2b
に対して半径方向に傾いた結晶構造を有する。すなわち
柱状微結晶粒2aの傾斜角度α1(柱状微結晶粒2a軸
方向の、垂直線2bに対する傾き)が0°を越え、90
°未満となるようになっている。柱状微結晶粒2aの傾
斜角度α1は、10〜75°(好ましくは15〜75
°、さらに好ましくは20〜75°、さらに好ましくは
25〜55°)であることが好ましい。傾斜角度α1が
上記範囲未満である場合には、非磁性下地層3、磁性層
4の結晶配向性が悪化し磁気異方性が低下する。また成
膜装置の構成の点から、角度α1を上記範囲を越える範
囲に設定するのは難しい。傾斜角度α1は、10°以
上、30°未満となる値とすることができる。また65
°を越え、90°未満となる値とすることもできる。ま
た配向調整層2は、柱状微結晶粒2aの傾きが中心側か
ら外周側にかけて徐々に大きくなるようになっている構
成とすることもできる。柱状微結晶粒2aの円周方向の
傾きは任意としてよいが、特に、柱状微結晶粒2aが周
方向にほとんど傾いていない構成が好ましい。
【0013】配向調整層2の厚さは2〜100nmとす
るのが望ましい。この厚さは、上記範囲未満であると磁
性層の磁気異方性が低下し、上記範囲を越えると製造効
率が低下する。
【0014】配向調整層2の表面平均粗さRaは、0.
4nm以下(好ましくは0.2nm以下)とするのが好
ましい。この表面平均粗さRaが上記範囲を越えると、
媒体の表面凹凸が大きくなり、グライドハイト特性の低
下を招く。
【0015】非磁性下地層3は、従来公知の下地層材
料、例えばCr、V、Taのうち1種以上、またはこれ
らに結晶性を損なわない範囲で他の元素を添加した合金
からなるものとすることができる。なかでも特に、Cr
またはCr合金(例えばCrW系、CrMo系、CrV
系)を用いるのが好適である。またこの材料としては、
Ni50Al(Ni−50at%Al)等のB2構造を
なす材料を用いることもできる。また非磁性下地層3は
単層構造としてもよいし、2種類以上の膜を複数積層さ
せた多層構造としてもよい。非磁性下地層3の厚さは、
1〜100nm、好ましくは2〜50nmとするのが望
ましい。
【0016】非磁性下地層3は、bcc構造をなし、か
つ配向面(非磁性下地層3の表面における支配的な結晶
面)が(200)とされており、これによって磁性層4
の磁気異方性を高めることができるようになっている。
【0017】磁性層4は、以下に示すように、複数の磁
性膜間に反強磁性結合が形成されている構造、すなわち
反強磁性結合構造(いわゆるAFC(Anti Ferro magnet
ic Coupling)構造)を有する。この磁性層4は、第1磁
性膜4a(上層側)と、第2磁性膜4b(下層側)と、
これらの間に介在する中間膜4cとを有する。第1およ
び第2磁性膜4a、4bには、例えばCr、Pt、T
a、B、Ti、Ag、Cu、Al、Au、W、Nb、Z
r、V、Ni、FeおよびMoのうち1種以上を、Co
に加えたCo合金を用いることができる。上記材料の好
適な具体例としては、CoPt系、CoCrPt系、C
oCrPtTa系、CoCrPtB系、CoCrPtB
Ta系、CoCrPtTaCu系、CoCrPtTaZ
r系、CoCrPtTaW系、CoCrPtCu系、C
oCrPtZr系、CoCrPtBCu系、CoCrP
tBZr系、CoNiTa系、CoNiTaCr系、C
oCrTa系などの合金が利用できる。また、Ag、T
i、Ru、C等の非磁性金属、この非磁性金属の化合
物、酸化物(SiO2、SiO、Al23等)、窒化物
(Si34、AlN、TiN、BN等)、フッ化物(C
aF等)、炭化物(TiC等)などの非磁性母材中に磁
性粒子が分散したグラニュラー膜を採用することもでき
る。
【0018】第1および第2磁性膜4a、4bの厚さ
は、特に限定されないが、小さすぎれば磁性粒子の体積
が少なくなり熱揺らぎ耐性の点で不利となり、大きすぎ
ればこの層の磁化が過大となりノイズ増加を招くおそれ
がある。このため、磁性膜4aの厚さは1〜40nm
(好ましくは5〜30nm)とするのが好適であり、磁
性膜4bの厚さは1〜20nm(好ましくは1〜10n
m)とするのが好適である。第1磁性膜4aの保磁力
は、2000(Oe)以上(好ましくは3000(O
e)以上)とするのが好適である。この保磁力が上記範
囲未満であると、この磁性膜4aの熱揺らぎ耐性が小さ
くなり、熱揺らぎ耐性向上効果が低下する。第1磁性膜
4aの保磁力は、第2磁性膜4bの保磁力よりも大きく
設定するのが好ましい。この場合、第1磁性膜4aは、
第2磁性膜4bに比べ保磁力が大きい主磁性膜となる。
この際、磁性層4全体(磁気記録媒体)の保磁力は主磁
性膜の保磁力に等しくなる。
【0019】第1および第2磁性膜4a、4bは、中間
膜4cを介した反強磁性結合によって、磁気モーメント
方向が互いに正対するようにされており、これによって
磁性層4は積層フェリ構造となっている。第1および第
2磁性膜4a、4bは、hcp構造をなし、かつ配向面
が(110)とされている。
【0020】中間膜4cには、Ru、Cr、Ir、R
h、Mo、Cu、Co、Re、Vのうち少なくとも1種
を主成分とする材料を用いるのが好ましい。なかでも特
に、Ruを用いるのが好ましい。中間膜4cにRuを用
いる場合には、中間膜4cの厚さを0.6〜1nm(好
ましくは0.7〜0.9nm)とするのが好適である。
この厚さが上記範囲未満である場合、または上記範囲を
越える場合には、2つの磁性膜4a、4b間の反強磁性
結合が不十分となって熱揺らぎ耐性向上効果が低下す
る。また中間膜4cに、CrまたはCr合金を用いる場
合には、その厚さは、2〜3nm(好ましくは2.2〜
2.8nm)とするのが好適である。この厚さが上記範
囲未満である場合、または上記範囲を越える場合には、
磁性膜4a、4b間の反強磁性結合が不十分となって熱
揺らぎ耐性向上効果が低下する。
【0021】保護層5の材料としては、従来公知のもの
を使用してよく、例えばカーボン、酸化シリコン、窒化
シリコン、酸化ジルコニウム等の単一成分またはこれら
を主成分とする材料を使用することができる。保護層5
の厚さは、2〜10nmとするのが好ましい。
【0022】潤滑層6は、パーフルオロポリエーテル等
のフッ素系潤滑剤などからなるものとすることができ
る。
【0023】上記構成の磁気記録媒体は、磁性層4の周
方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比Hc
c/Hcrが、1より大(好ましくは1.1以上、さら
に好ましくは1.2以上)とされている。この比Hcc
/Hcrが上記範囲未満であると、磁気記録媒体の磁気
異方性が不足し、熱揺らぎ耐性、エラーレート、ノイズ
特性などの磁気特性が不十分となる。
【0024】次に、上記磁気記録媒体を製造する場合を
例として、本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施形
態を説明する。図2は、本発明の磁気記録媒体の製造装
置の一実施形態を示すものである。ここに示すスパッタ
装置21は、非磁性基板1上に配向調整層2を形成する
ためのもので、成膜粒子を放出する放出源であるスパッ
タリングターゲット22と、このスパッタリングターゲ
ット22から放出された成膜粒子の方向を定める方向設
定手段である遮蔽板23とをチャンバ28内に備えてい
る。符号29はスパッタガス等をチャンバ28内に導入
する導入経路であり、符号30はチャンバ28内のスパ
ッタガス等をチャンバ28から導出する導出経路であ
る。
【0025】スパッタリングターゲット22は、上記配
向調整層2の構成材料からなるものであり、円板状に形
成されている。遮蔽板23は、スパッタリングターゲッ
ト22から放出された成膜粒子のうち、目的とする方向
以外の方向に放出された成膜粒子を遮ることにより成膜
粒子の方向を定めるためのもので、円板状に形成され、
ほぼ中央部に、円形の成膜粒子通過口24が形成されて
いる。遮蔽板23は、スパッタリングターゲット22に
対しほぼ平行に、スパッタリングターゲット22に対し
て所定の間隔をおいて設置されている。遮蔽板23は、
その軸線23aがスパッタリングターゲット22の軸線
22aに対しほぼ一致するように設置されている。また
成膜粒子の入射角度の精度を高めるためには、遮蔽板2
3を可能な限り薄く形成するのが好ましい。例えば、外
径2.5インチ(63.5mm)の非磁性基板1を用い
る場合には、遮蔽板23の厚さは1.5〜5mm(好ま
しくは2〜4mm)とするのが好ましい。遮蔽板23に
は、耐熱性に優れ、不純物発生が少ない材料である金属
材料(例えばステンレス、アルミニウム合金)を用いる
のが好ましく、特に、付着した成膜粒子を除去する作業
が容易であり、しかも安価であることからアルミニウム
合金を用いるのが好ましい。
【0026】成膜粒子通過口24の内径は、放出された
成膜粒子が非磁性基板1の表面1aの配向調整層形成領
域1bに付着する際の成膜粒子の非磁性基板1に対する
入射角度αが10〜75°となるように設定するのが好
ましい。この入射角度αとは、非磁性基板1に対し垂直
な線1cに対する角度をいう。成膜粒子通過口24の内
径は、成膜効率を低下させない範囲で小さくするのが好
ましい。例えば、外径2.5インチ(63.5mm)の
非磁性基板1を用いる場合には、成膜粒子通過口24の
内径は20mm以下(好ましくは15mm以下、さらに
好ましくは7mm以下)とするのが好ましい。
【0027】このスパッタ装置21を用いて配向調整層
2を形成するには、非磁性基板1をチャンバ28内に搬
入し、遮蔽板23のスパッタリングターゲット22側に
対し反対側(図中左側)に非磁性基板1を配置する。こ
の際、非磁性基板1はスパッタリングターゲット22、
遮蔽板23に対しほぼ平行に配置する。
【0028】次いで、アルゴンなどのスパッタガスを導
入経路29を通してチャンバ28内に導入するととも
に、スパッタリングターゲット22に給電し、成膜粒子
をスパッタ法により放出させる。この際、スパッタリン
グターゲット22の中央部からやや離れた位置の成膜粒
子放出箇所25、25から放出された成膜粒子のうち、
遮蔽板23中央部に向かったものは、成膜粒子通過口2
4を通過し、それ以外のものは遮蔽板23に遮られる。
【0029】図2および図3に示すように、成膜粒子通
過口24を通過した成膜粒子は、ターゲット22の中央
部からやや離れた位置の成膜粒子放出箇所25から放出
され、遮蔽板23中央部の成膜粒子通過口24を通過し
たものであるため(図2を参照)、成膜粒子軌道26の
基板表面1aへの投影線27は、ほぼ非磁性基板1の径
方向に沿うものとなる(図3を参照)。このため、成膜
粒子は基板1の周方向に均一に表面1aに付着する。成
膜粒子は、入射角度αが好ましくは10〜75°となる
ように、被付着面である表面1aの環状の配向調整層形
成領域1bに付着する。この入射角度αは、15〜75
°(好ましくは20〜75°、さらに好ましくは25〜
55°)とするのがさらに好適である。この入射角度α
が上記範囲未満である場合には、非磁性下地層3、磁性
層4の結晶配向性が悪化し磁気異方性が低下する。また
装置構成の点から入射角度αを上記範囲を越える範囲に
設定するのは難しい。また傾斜角度αは、10°以上、
30°未満となる値とすることができる。また65°を
越え、75°以下となる値とすることもできる。
【0030】入射角度αを上記範囲に設定することによ
って、図1(b)に示すように、配向調整層2は、柱状
微結晶粒2aが、非磁性基板1に垂直な線2bに対して
半径方向に傾いた結晶構造を有するものとなる。
【0031】配向調整層2には、酸化処理または窒化処
理を施すのが好ましい。酸化処理または窒化処理を行う
には、スパッタ装置21を用いて配向調整層2を形成す
るに際し、導入経路29を通してチャンバ28に導入す
るスパッタガスとして、酸素または窒素を含むものを用
いる方法を採ることができる。酸素を含むスパッタガス
としては、酸素とアルゴンの混合ガスを用いることがで
きる。窒素を含むスパッタガスとしては、窒素とアルゴ
ンの混合ガスを用いることができる。混合ガス中の酸素
または窒素の含有率は、1〜50vol%とすることが
できる。
【0032】また本発明では、配向調整層2を形成した
後に、その表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接
触させる方法によって酸化または窒化処理を行うことも
できる。酸素含有ガスとしては、空気、純酸素、水蒸気
を用いることができる。また空気中の酸素含有率を増加
させた酸素富化ガスを用いることもできる。窒素含有ガ
スとしては、空気、純窒素、窒素富化ガスを用いること
ができる。
【0033】配向調整層2表面を酸素含有ガスまたは窒
素含有ガスに接触させる方法の具体例としては、上述の
ように、スパッタ装置21内において基板1上に配向調
整層2を形成した後、チャンバ28内に、導入経路29
を通して酸素含有ガスまたは窒素含有ガスを導入する方
法を挙げることができる。酸素含有ガスまたは窒素含有
ガス中の酸素または窒素含有率は、1〜100vol%
とすることができる。導入する酸素、窒素の量や、酸
素、窒素への曝露時間を適宜設定することにより、配向
調整層2の酸化★(窒化)★度合いを調節することがで
きる。例えば、10-4〜10-6Paの真空度に対し、1
-3Pa以上の酸素ガス圧の雰囲気に、配向調整層2を
0.1〜30秒間曝すことによって、所定の酸化状態を
得ることができる。酸素含有ガスまたは窒素含有ガスの
使用によって、酸化処理または窒素処理を容易な操作で
行うことができるようになる。この酸化処理または窒化
処理によって、配向調整層2は少なくとも表面付近が酸
化または窒化される。
【0034】なお酸化処理または窒化処理を行うには、
スパッタガスとして、酸素または窒素を含むものを用い
て配向調整層2を形成した後に、その表面を酸素含有ガ
スまたは窒素含有ガスに接触させる方法を採ることもで
きる。また配向調整層2の表面を大気にさらす方法を採
ることもできる。
【0035】非磁性下地層3、磁性層4の形成は、スパ
ッタ法により行うことができる。非磁性下地層3を形成
する際、配向調整層2の影響下で成長する非磁性下地層
3は、優れた結晶配向性を有するものとなる。非磁性下
地層3は、bcc構造をなし、かつ配向面(非磁性下地
層3における支配的な結晶配向面)が(200)とな
る。非磁性下地層3が優れた結晶配向性を有するものと
なる結果、その上に形成される磁性層4の結晶配向性が
向上する。磁性層4の第1および第2磁性膜4a、4b
は、hcp構造をなし、かつ配向面(磁性層4における
支配的な結晶配向面)が(110)となる。
【0036】また保護層5は、プラズマCVD法、スパ
ッタ法などにより形成することができる。潤滑層6の形
成には、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系液体潤
滑剤などの潤滑剤を保護層5上にディッピング法により
塗布する方法を採用することができる。
【0037】本実施形態の磁気記録媒体は、非磁性基板
1と非磁性下地層3との間に、直上の層の結晶配向性を
調整する配向調整層2が形成され、この配向調整層2
が、柱状微結晶粒2aが半径方向に傾いた結晶構造を有
するので、非磁性下地層3および磁性層4の結晶配向性
を向上させ、磁性層4における周方向の磁気異方性を高
めることができる。磁性膜4において周方向の磁気異方
性が高められるため、結晶磁気異方性定数(Ku)を高
めることができることから、熱揺らぎ耐性の向上を図る
ことができる。さらには、磁性層4が、第1および第2
磁性膜4a、4bを有し、これらの間に反強磁性結合が
形成された構造を有するので、磁性膜4a、4b間の反
強磁性結合により、見かけ上、磁化の小さい状態が得ら
れる。このため、ノイズ特性や分解能に悪影響を及ぼす
ことなく、磁性粒子の体積を十分に大きくすることがで
き、熱的な安定化を図ることができる。従って、熱揺ら
ぎ耐性をさらに高めることができる。
【0038】一般に、2つの磁性膜間の反強磁性結合の
強度は、磁性膜間に設けられた中間膜の厚さに大きな影
響を受ける。例えば、中間膜にRuを用いる場合には、
磁性膜間の反強磁性結合強度は、中間膜の厚さが0.8
nm前後であるときに極大値をとり、中間膜の厚さが、
この極大値に相当する厚さに比べ、わずかに大きくなる
かまたは小さくなると、反強磁性結合強度は大きく低下
する。このため、磁性層に反強磁性結合構造(AFC構
造)を採用する場合には、磁性層の下に形成される膜の
表面凹凸が大きいと、中間膜の厚さが不均一となり、局
部的に反強磁性結合強度が低下し、熱揺らぎ耐性が不十
分となりやすい。これに対し、本実施形態の磁気記録媒
体では、磁性層4の磁気異方性を向上させることができ
ることから、製造に際してテクスチャ加工が不要となる
ため、テクスチャ加工の表面凹凸により中間膜4cの厚
さが不均一となるのを防ぎ、反強磁性結合強度を高め、
十分な熱揺らぎ耐性向上効果を得ることができる。
【0039】また、配向調整層2の表面平滑性を高める
ことができることから、媒体の表面平均粗さRaを小さ
くし、優れたグライドハイト特性を得ることができる。
またテクスチャ加工が不要となるため、製造が容易とな
り、製造コスト削減が可能となる。
【0040】さらには、磁性層4において周方向の磁気
異方性を高めることができるため、孤立再生波半値幅を
小さくし、再生出力の分解能を向上させることができ
る。従って、エラーレートを向上させることができる。
また、磁気異方性を高めることによって、保磁力を向上
させ、再生出力を向上させることができる。このため、
SNRなどのノイズ特性の向上が可能となる。また非磁
性下地層3内の結晶粒を微細化し、下地層3の影響下で
成長する磁性層4内の磁性粒を微細化、均一化すること
ができるため、ノイズの低減を図ることができる。この
ため、ノイズ特性をさらに向上させることができる。
【0041】配向調整層2を、Fd3m構造を有する非
磁性金属からなるものとする場合には、非磁性下地層
3、磁性層4における結晶配向性を向上させ、磁性層4
における磁気異方性をさらに高めることができる。
【0042】また上記実施形態の製造方法は、スパッタ
リングターゲット22から成膜粒子を放出させ、非磁性
基板1の表面1aに付着させることにより配向調整層2
を形成するにあたり、成膜粒子の軌道26の非磁性基板
1への投影線27が、ほぼ非磁性基板1の径方向に沿
い、かつ非磁性基板1に対し傾いて入射するように成膜
粒子の方向を設定するので、磁性層4における磁気異方
性を高めることができる。このため、熱揺らぎ耐性を向
上させることができる。またエラーレート、ノイズ特性
などの磁気特性を向上させるとともに、優れたグライド
ハイト特性を得ることができる。
【0043】またテクスチャ加工を行うことなく磁性層
4の磁気異方性を向上させることができるため、テクス
チャ加工の表面凹凸により媒体の表面粗さが大きくなる
ことによってグライドハイト特性が低下するのを防ぐこ
とができる。また製造に際しテクスチャ加工が不要とな
るため、製造が容易となり製造コスト削減が可能とな
る。
【0044】また配向調整層2の表面を酸化処理または
窒化処理することによって、非磁性下地層3の配向を
(200)とし、磁性層4の磁気異方性をさらに高め、
磁気記録媒体の熱揺らぎ耐性、エラーレート、ノイズ特
性などを向上させることができる。
【0045】また上記製造方法では、配向調整層2を形
成するにあたって、成膜粒子の放出源としてスパッタリ
ングターゲット22を用いるスパッタ法を採用するの
で、配向調整層2を容易に形成することができる。
【0046】また酸化処理または窒化処理を、酸素また
は窒素を含むスパッタガスを用いて配向調整層2を形成
する方法により行うことによって、配向調整層2の形成
と、酸化または窒素処理とを1つの工程で行うことがで
き、製造工程の簡略化が可能となる。従って、作業を容
易にするとともに、製造効率の向上を図ることができ
る。
【0047】また酸化処理または窒化処理を、配向調整
層2の表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触さ
せることにより行う場合には、スパッタ装置21を用い
て非磁性基板1上に配向調整層2を形成した後、得られ
た媒体基板M(非磁性基板1上に配向調整層2を形成し
たもの)をこのスパッタ装置21から搬出することな
く、引き続きこのスパッタ装置21内において配向調整
層2表面の酸化または窒化処理を行うことができる。従
って、製造工程を簡略化し、作業の容易化および製造効
率向上を図ることができる。
【0048】また上記スパッタ装置21は、成膜粒子の
放出源となるスパッタリングターゲット22と、放出さ
れた成膜粒子の方向を定める遮蔽板23を備えているの
で、非磁性基板1に対する成膜粒子の入射方向を、正確
に定めることができる。このため、非磁性下地層3およ
び磁性層4の結晶配向性を向上させ、磁性層4における
磁気異方性を確実に高めることができる。
【0049】また本発明では、配向調整層をアモルファ
ス構造のNiP合金(アモルファスNiP合金)からな
るものとすることもできる。配向調整層をアモルファス
NiP合金からなるものとした磁気記録媒体としては、
図1(a)に示す構造のものを例示できる。この図を利
用して本発明の磁気記録媒体の第2の実施形態を説明す
る。本実施形態の磁気記録媒体では、配向調整層2がN
iP合金からなるものとされ、そのNi含有率は、50
〜90at%とするのが好ましい。アモルファスNiP
合金からなる配向調整層2は、上記製造方法と同様にし
て形成することができる。すなわち、アモルファスNi
P合金からなるスパッタリングターゲット22と遮蔽板
23を有するスパッタ装置21を用い、スパッタリング
ターゲット22からの成膜粒子を、入射角度αが好まし
くは10〜75°となるように非磁性基板1の表面1a
に付着させる。
【0050】配向調整層2を形成するに際しては、上述
の方法に従って、酸素または窒素を含むスパッタガスを
用いるか、または配向調整層2表面を酸素含有ガスまた
は窒素含有ガスに接触させることによって、配向調整層
2に酸化処理または窒化処理を施す。これによって、配
向調整層2の少なくとも表面が結晶化する可能性があ
る。この磁気記録媒体は、磁性層4の周方向の保磁力H
ccと径方向の保磁力Hcrとの比Hcc/Hcrが、
1より大きくなる(好ましくは1.1以上、さらに好ま
しくは1.2以上)。
【0051】この磁気記録媒体では、上記第1の実施形
態の磁気記録媒体と同様に、非磁性下地層3および磁性
層4の結晶配向性を向上させ、磁気異方性を高めること
ができる。従って、熱揺らぎ耐性、エラーレート、ノイ
ズ特性などの磁気特性を向上させることができる。また
グライドハイト特性を向上させることができる。
【0052】図4は、本発明の磁気記録媒体の第3の実
施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体は、磁性
層14が、第1磁性膜14a(最上層側)、第2磁性膜
14b、第3磁性膜14c(最下層側)を有し、第1お
よび第2磁性膜14a、14b間に第1の中間膜14d
が設けられ、第2および第3磁性膜14b、14c間に
第2の中間膜14eが設けられている点で図1に示すも
のと異なる。第1ないし第3の磁性膜14a、14b、
14cには、上述の磁性膜4a、4bの材料として例示
した磁性材料を用いることができる。第1磁性膜14a
の保磁力Hc1は、2000(Oe)以上(好ましくは
3000(Oe)以上)とするのが好適である。保磁力
Hc1が上記範囲未満であると、この磁性膜14aの熱
揺らぎ耐性が小さくなり、熱揺らぎ耐性向上効果が低下
する。第1磁性膜14aの保磁力Hc1は、第2および
第3磁性膜14b、14cの保磁力Hc2、Hc3より
も大きく設定するのが好ましい。この場合、第1磁性膜
14aは保磁力が最も大きい主磁性膜となる。
【0053】第1ないし第3磁性膜14a、14b、1
4cの厚さは、特に限定されないが、小さすぎれば磁性
粒子の体積が少なくなり熱揺らぎ耐性の点で不利とな
り、大きすぎればこの層の磁化が過大となりノイズ増加
を招くおそれがある。このため、第1磁性膜14aの厚
さは1〜40nm(好ましくは5〜30nm)とするの
が好適であり、第2および第3磁性膜14b、14cの
厚さは1〜20nm(好ましくは1〜10nm)とする
のが好適である。第1および第2中間膜14d、14e
の材料および厚さは、上述の中間膜4cと同様とするこ
とができる。
【0054】本実施形態の磁気記録媒体では、最も保磁
力が大きい第1磁性膜14aに対し、中間膜14dを介
して隣接する第2磁性膜14bの反強磁性結合磁界が、
この磁性膜の保磁力よりも大きいことが好ましい。以
下、このことを図5を参照して説明する。図5は、本実
施形態の磁気記録媒体の履歴曲線を示すものである。こ
の磁気記録媒体では、最上層側の磁性膜(第1磁性膜1
4a)だけでなく、他の磁性膜(第2および第3磁性膜
14b、14c)においても個別に磁化反転が起きるた
め、履歴曲線が複数の段部(磁化反転部)を有するもの
となる。すなわち、図5(a)に示すように、外部磁場
Hを減少させる過程で描かれる曲線が、第2磁性膜14
bの磁化反転部R2(外部磁場Hと磁化Mがいずれも正
である第1象限にあるもの)と、第3磁性膜14cの磁
化反転部R3と、第1磁性膜14aの磁化反転部R1と
を有する履歴曲線が得られる。磁化反転部R2、R3、
R1においては、外部磁場Hの減少に伴って小さくなる
磁化の減少率が急に大きくなっている。図中破線は、こ
れら磁化反転部付近において外部磁場Hを増減させて作
成した履歴曲線(マイナーループ)の一部を示すもので
ある。
【0055】この磁気記録媒体においては、外部磁場H
が十分に高い図中領域A1では、3つの磁性膜の磁化方
向がすべて正方向となるが、外部磁場Hを減少させるに
伴い、まず磁化反転部R2において第2磁性膜14bの
磁化方向が反転し、領域A2における第2磁性膜14b
の磁化方向が負方向となる。さらに外部磁場Hを減少さ
せると、磁化反転部R3において第3磁性膜14cの磁
化方向が反転し、領域A3における第3磁性膜14cの
磁化方向は負方向となる。さらに外部磁場Hを減少させ
ると、磁化反転部R1において第1磁性膜14aの磁化
方向が反転し負方向となり、領域A4に至って完全に負
方向となる。ここで、磁性層14全体の保磁力Hcは、
最も保磁力が大きい第1磁性膜14aの保磁力Hc1に
ほぼ等しくなる。なお磁化反転部R1付近の履歴曲線の
微分値の絶対値がピークとなる外部磁場Hを保磁力Hc
1とする。磁化反転部R2付近の履歴曲線(マイナール
ープ)MR2の微分値の絶対値がピークとなる外部磁場
をHc2A、Hc2Bとし、これらHc2A、Hc2Bの平均値
を反強磁性結合磁界Hbias2とする。またHc2AとHbia
s2との差を第2磁性膜14bの保磁力Hc2とする。こ
こに示す磁気記録媒体では、図5(b)に示すように、
第2磁性膜14bの磁化反転部R2における履歴曲線
(マイナーループ)MR2の中心に相当する外部磁場H
である反強磁性結合磁界Hbias2は、第2磁性膜の保磁
力Hc2よりも大きい。このため、高い外部磁場Hを加
えて3つの磁性膜の磁化方向を全て正方向とした状態か
ら外部磁場Hをゼロにすると、第2磁性膜14bでは、
上下に隣接する磁性膜14a、14cとの反強磁性結合
により、確実に磁化方向が反転し負方向に向くようにな
る。このため、反強磁性結合により外部磁場がゼロであ
る状態における再生において、見かけ上、磁性層14の
磁化を、磁性膜14a、14b、14cの合計磁化か
ら、磁性膜14bの磁化分をマイナスした値とすること
ができる。これにより、磁性層14全体の磁化を、見か
け上小さくし、ノイズ特性や分解能を劣化させることな
く、熱揺らぎ耐性向上効果を確実に得ることができる。
これに対し、反強磁性結合磁界Hbias2が保磁力Hc2よ
りも小さい場合には、磁性膜間の反強磁性結合が不十分
となり、外部磁場をゼロとした場合でも第2磁性膜14
bの磁化方向が反転せず、再生時において、磁性層14
全体の磁化が増加することになり、ノイズ特性や分解能
に悪影響が及ぶ可能性がある。さらに、磁性膜間の反強
磁性結合が不十分となるため、磁性粒子の実効体積増加
の効果が弱くなることから、熱揺らぎ耐性を高める効果
が低下するおそれがある。
【0056】本実施形態の磁気記録媒体では、磁性層1
4が、第1ないし第3の磁性膜14a、14b、14c
と、これらの間に設けられた第1および第2の中間膜1
4d、14eとを有するので、磁性膜数が2である第1
の実施形態の磁気記録媒体(図1)に比べ、磁性層14
全体の磁性粒子の実効体積を低下させることなく、磁性
膜14aの厚さを小さく設定できる。このため、熱揺ら
ぎ耐性を向上させ、かつ磁性膜14a内の磁化方向の乱
れを最小限に抑え、記録再生におけるノイズ特性や分解
能を向上させることができる。なおこの実施形態の磁気
記録媒体では、磁性膜とこれに隣接する中間膜とからな
る積層構造を2つ有する(磁性膜14bと中間膜14d
からなる第1の積層構造と、磁性膜14cと中間膜14
eからなる第2の積層構造を有する)が、本発明におい
て、磁性層は、磁性膜と、これに隣接する中間膜とから
なる積層構造を3以上有する構成とすることもできる。
この場合には、磁性膜の磁性粒子の実効体積をさらに大
きくできるため、熱揺らぎ耐性を向上させることができ
る。
【0057】図6は、本発明の磁気記録媒体の第4の実
施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体では、非
磁性下地層3と磁性層14との間に、非磁性中間層15
が設けられている。非磁性中間層15には、hcp構造
を有する非磁性材料を用いるのが好ましい。非磁性中間
層15には、CoCr系合金を用いるのが好ましい。ま
たCoCrにPt、Ta、ZrNb、Cu、Re、N
i、Mn、Ge、Si、O、N、およびBのうち1種以
上を添加した合金を用いることもできる。非磁性中間層
15の厚さは、磁性層14における磁性粒子の粗大化を
防ぐため、20nm以下(好ましくは10nm以下)と
するのが好ましい。本実施形態の磁気記録媒体では、非
磁性中間層15を設けることによって、磁性層14の配
向性を高め、熱揺らぎ耐性をさらに向上させることがで
きる。
【0058】図7は、本発明の磁気記録媒体の第5の実
施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体では、配
向調整層2と非磁性下地層3との間に、第2下地層16
が設けられている。この第2下地層16には、Crまた
はCr合金を用いることができる。この磁気記録媒体で
は、非磁性下地層3および磁性層14における結晶配向
性を向上させ、磁性層14における磁気異方性をさらに
高めることができる。
【0059】図8は、本発明の磁気記録媒体の第6の実
施形態を示すもので、ここに示す磁気記録媒体では、非
磁性基板1と配向調整層2との間に、配向性向上層17
が設けられている。配向性向上層17は、配向調整層2
の配向性を調整するとともに、配向調整層2の基板側か
らの剥離を防ぐためのもので、材料としては、例えばC
r、Mo、Nb、V、Re、Zr、W、Tiのうち1種
以上を主成分とする合金を使用することができ、なかで
も特に、CrMo系、CrTi系、CrV系、CrW系
などの合金や、Crの使用が好適である。またB2構造
またはアモルファス構造をなす材料を用いることもでき
る。B2構造をなす材料としては、NiAl系(Ni5
0Alなど)、CoAl系(Co50Alなど)、Fe
Al系(Fe50Al)などの合金を挙げることができ
る。アモルファス構造をなす材料としては、CuZr
系、TiCu系、NbNi系、NiP系などの合金を用
いることができる。配向性向上層17の材料の好ましい
具体例としては、NiAl、FeAl、CoAl、Co
Zr、CoCrZr、およびCoCrCのうちいずれか
を主成分とするものを挙げることができる。配向性向上
層17の厚さは、200nm以下、例えば5〜200n
mとするのが好ましい。この厚さが200nmを越える
と磁性層14の磁気異方性を高める効果が低下する。
【0060】本実施形態の磁気記録媒体では、配向性向
上層17を設けることによって、配向調整層2の初期成
長時の配向性の乱れを防ぎ、非磁性下地層3および磁性
層14の結晶配向性を向上させ、磁性層14の磁気異方
性をさらに高めることができる。従って、熱揺らぎ耐性
をさらに高めることができる。また非磁性基板1から配
向調整層2が剥離するのを防ぐことができる。
【0061】また、本発明では、以下に例示するよう
に、配向調整層を複数設けることもできる。図9は、本
発明の磁気記録媒体の第7の実施形態を示すもので、こ
こに示す磁気記録媒体は、配向調整層2に代えて、第1
および第2の配向調整層2c、2dが設けられている点
で図4に示す磁気記録媒体と異なる。配向調整層2c、
2dに用いる材料やこれらの厚さは、図1に示す磁気記
録媒体の配向調整層2と同様とすることができる。なお
配向調整層の数は3以上とすることもできる。
【0062】また本発明の磁気記録媒体では、以下に例
示するように、非磁性下地層を設けず、配向調整層上に
直接、磁性層を形成した構成とすることもできる。この
場合には、非磁性下地層を設けないこと以外は本明細書
中に記載した構成とすることができる。図10は、本発
明の磁気記録媒体の第8の実施形態を示すもので、ここ
に示す磁気記録媒体は、非磁性下地層3が形成されてい
ない点で図4に示す磁気記録媒体と異なる。この磁気記
録媒体では、非磁性基板1と磁性層14との間に配向調
整層2が形成され、この配向調整層2が、柱状微結晶粒
2aが半径方向に傾いた結晶構造を有するので、磁性層
14の結晶配向性を向上させ、磁性層14における周方
向の磁気異方性を高め、熱揺らぎ耐性の向上を図ること
ができる。また本発明では、磁性層を、単一材料からな
る単層構造とすることもできる。この場合、磁性層には
上記磁性膜4a、4bに用いることができる材料を用い
ることができる。
【0063】図11は、上記磁気記録媒体を用いた磁気
記録再生装置の例を示すものである。ここに示す磁気記
録再生装置は、上記構成の磁気記録媒体7と、磁気記録
媒体7を回転駆動させる媒体駆動部8と、磁気記録媒体
7に情報を記録再生する磁気ヘッド9と、ヘッド駆動部
10と、記録再生信号処理系11とを備えている。記録
再生信号処理系11は、入力されたデータを処理して記
録信号を磁気ヘッド9に送ったり、磁気ヘッド9からの
再生信号を処理してデータを出力することができるよう
になっている。
【0064】この磁気記録再生装置にあっては、磁気記
録媒体の磁気異方性を高めることができるため、熱揺ら
ぎ耐性の向上を図り、熱揺らぎ現象に起因するデータ消
失などのトラブルを未然に防ぐことができる。またエラ
ーレート、ノイズ特性などの磁気特性を向上させるとと
もに、優れたグライドハイト特性を得ることができる。
従って、高記録密度化を図ることができる。
【0065】図12は、本発明の磁気記録媒体の製造装
置の他の実施形態を示すもので、ここに示すスパッタ装
置31は、成膜粒子の放出源であるスパッタリングター
ゲット32が環状に形成され、遮蔽板33が、環状の外
側遮蔽板33aと外側遮蔽板33aの開口部内に配設さ
れた円板状の内側遮蔽板33bとから構成されている点
で図2に示すスパッタ装置21と異なる。
【0066】遮蔽板33は、内側遮蔽板33bの外径が
外側遮蔽板33aの内径よりも小さくなるように形成さ
れ、外側遮蔽板33aの内周縁と内側遮蔽板33bの外
周縁との間に、成膜粒子が通過する成膜粒子通過スリッ
ト34が形成されている。外側遮蔽板33aの内径と内
側遮蔽板33bの外径は、放出された成膜粒子が非磁性
基板1に付着する際に、成膜粒子が非磁性基板1に対し
傾いて入射するように(好ましくは入射角度α’が10
〜75°となるように)設定されている。
【0067】このスパッタ装置31を用いて配向調整層
2を形成する際には、スパッタリングターゲット32か
ら放出されて成膜粒子通過スリット34を通過した成膜
粒子が、非磁性基板1に対する入射角度α’が好ましく
は10〜75°となるように非磁性基板1の表面1aに
付着する。
【0068】また本発明では、非磁性下地層3、磁性層
4を形成する際においても、スパッタ装置21、31を
用いて、成膜粒子軌道の被付着面への投影線が、ほぼ非
磁性基板の径方向に沿い、かつ非磁性基板に対し傾いて
入射するように(好ましくは入射角度が10〜75°と
なるように)成膜粒子の方向を設定することもできる。
この方法によれば、磁性層4の磁気異方性をさらに高め
ることができる。
【0069】また本発明では、配向調整層を形成する方
法として、スパッタ法のほかに、真空蒸着法、ガス中ス
パッタ法、ガスフロースパッタ法、イオンビーム法など
の物理蒸着法を用いることができる。また上記実施形態
では、磁気異方性の指標として、磁性層全体の保磁力H
cに関して、周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力H
crとの比Hcc/Hcrを用いたが、本発明はこれに
限らず、磁性層を構成する各磁性膜の保磁力(例えば第
2磁性膜14bの保磁力Hc2)に関して、周方向の保
磁力と径方向の保磁力との比を磁気異方性の指標として
用いることもできる。
【0070】
【実施例】以下、具体例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。 (試験例1)DCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ
社製3010)を用いたスパッタ法によって、非磁性基
板(アモルファスガラス、直径65mm、厚さ0.63
5mm)上に、50Ni50Al(50at%Ni−5
0at%Al)からなる配向性向上層、94Cr6Mo
(94at%Cr−6at%Mo)からなる非磁性下地
層(厚さ10nm)、60Co40Cr(60at%C
o−40at%Cr)からなる非磁性中間層(厚さ2n
m)、64Co22Cr10Pt4B(64at%Co
−22at%Cr−10at%Pt−4at%B)から
なる磁性層(厚さ18nm)、カーボンからなる保護層
(厚さ6nm)を形成した。次いで、ディッピング法に
よりパーフルオロエーテルからなる潤滑層を形成した。
成膜の際には、スパッタ装置のチャンバ内を真空到達度
2×10-6Paとなるまで減圧した。また非磁性基板1
は200℃に加熱した。スパッタガスとしてはアルゴン
を用いた。
【0071】(試験例2)磁性層を、64Co22Cr
10Pt4Bからなる第1磁性膜(厚さ18nm)と、
84Co12Cr4Taからなる第2および第3磁性膜
(厚さ2.5nm)と、これら磁性膜間に設けられたR
uからなる第1および第2中間膜(厚さ0.8nm)と
を有する構造として磁気記録媒体を作製した。その他の
条件は試験例1に準じた。
【0072】(試験例3)NiAlからなる配向性向上
層を設けず、非磁性基板と非磁性下地層との間にCrか
らなる第2下地層(厚さ10nm)を設けて磁気記録媒
体を作製した。その他の条件は試験例1に準じた。
【0073】(試験例4)70Cr30Nbからなる配
向調整層(厚さ20nm)を形成して磁気記録媒体を作
製した。配向調整層を形成する際には、図2に示すスパ
ッタ装置21を用い、成膜粒子の軌道26の非磁性基板
1への投影線27が、ほぼ非磁性基板1の径方向に沿
い、かつ非磁性基板1に対する入射角度が10〜75°
となるように成膜粒子の方向を設定した。また配向調整
層の形成にあたっては、スパッタガスとして、25vo
l%の窒素をアルゴンに添加した混合ガスを用いた。そ
の他の条件は試験例3に準じた。
【0074】(試験例5〜7)図7に示す磁気記録媒体
を次のようにして作製した。DCマグネトロンスパッタ
装置(アネルバ社製3010)を用いたスパッタ法によ
って、非磁性基板1(アモルファスガラス、直径65m
m、厚さ0.635mm)上に、70Cr30Nbから
なる配向調整層2(厚さ20nm)、Crからなる第2
下地層16(厚さ10nm)、94Cr6Moからなる
非磁性下地層3(厚さ10nm)、60Co40Crか
らなる非磁性中間層15(厚さ2nm)、磁性層14、
カーボンからなる保護層5(厚さ6nm)を形成した。
次いで、ディッピング法によりパーフルオロエーテルか
らなる潤滑層6を形成した。磁性層14は、第1ないし
第3磁性膜14a、14b、14c(厚さはそれぞれ1
8nm、2.5nm、2.5nm)と、これら磁性膜間
に設けられた第1および第2中間膜14d、14e(厚
さ0.8nm)とを有する構造とした。第1磁性膜14
aには64Co22Cr10Pt4Bを用い、第2およ
び第3磁性膜14b、14cには84Co12Cr4T
aを用い、中間膜14d、14eにはRuを用いた。配
向調整層2を形成する際には、図2に示すスパッタ装置
21を用い、成膜粒子の軌道26の非磁性基板1への投
影線27が、ほぼ非磁性基板1の径方向に沿い、かつ非
磁性基板1に対する入射角度が10〜75°となるよう
に成膜粒子の方向を設定した。また配向調整層2の形成
にあたっては、スパッタガスとして、25vol%の窒
素をアルゴンに添加した混合ガスを用いた。その他の条
件は試験例4に準じた。
【0075】(試験例8)磁性層4を、第1および第2
磁性膜4a、4b(厚さはそれぞれ18nm、2.5n
m)と、これらの間に介在する中間膜4c(厚さ0.8
nm)とを有する構成として磁気記録媒体を作製した。
第1磁性膜4aには64Co22Cr10Pt4Bを用
い、第2磁性膜4bには84Co12Cr4Taを用
い、中間膜4cにはRuを用いた。その他の条件は試験
例5〜7に準じた。
【0076】(試験例9〜13)図6に示す磁気記録媒
体を次のようにして作製した。非磁性基板1(結晶化ガ
ラス、直径65mm、厚さ0.635mm)上に、70
Cr30Nbからなる配向調整層2(厚さ20nm)、
85Cr15Moからなる非磁性下地層3(厚さ10n
m)、60Co40Crからなる非磁性中間層15(厚
さ2nm)、磁性層14、カーボンからなる保護層5
(厚さ6nm)、潤滑層6を形成した。配向調整層2を
形成する際には、図2に示すスパッタ装置21を用い、
成膜粒子の軌道26の非磁性基板1への投影線27が、
ほぼ非磁性基板1の径方向に沿い、かつ非磁性基板1に
対する入射角度が10〜75°となるように成膜粒子の
方向を設定した。また配向調整層2の形成にあたって
は、スパッタガスとして、25vol%の窒素をアルゴ
ンに添加した混合ガスを用いた。その他の条件は試験例
5〜7に準じた。
【0077】試験例1〜13の磁気記録媒体の静磁気特
性を、振動式磁気特性測定装置(VSM)を用いて測定
した。磁性層全体の周方向の保磁力Hccと半径方向の
保磁力Hcrの比(Hcc/Hcr)を測定し磁気異方
性の指標とした。また、試験例9〜13については、履
歴曲線(図5を参照)を作成し、これを用いて第2磁性
膜14bの保磁力Hc2および反強磁性結合磁界Hbias2
を求めた。また電磁変換特性を、Guzik社製リード
ライトアナライザRWA1632、およびスピンスタン
ドS1701MPを用いて測定した。電磁変換特性の評
価には、再生部に巨大磁気抵抗(GMR)素子を有する
複合型薄膜磁気記録ヘッドを用い、記録条件を線記録密
度600kFCIとして測定を行った。熱揺らぎ耐性
(熱減磁)については、スピンスタンドS1701MP
を用い、70℃において記録密度300kFCIでの出
力減少を測定した。またX線回折測定装置を用いて、θ
/2θ法により磁気記録媒体の非磁性下地層と磁性層の
支配的な結晶配向面を特定した。製造条件および試験結
果を表1ないし表4に示す。
【0078】(試験例14)非磁性基板1上に、NiA
lからなる配向性向上層17、94Cr6Moからなる
非磁性下地層3、60Co40Crからなる非磁性中間
層15、磁性層14、カーボンからなる保護層5、潤滑
層6を形成して磁気記録媒体を作製した。その他の条件
は試験例9〜13に準じた。
【0079】(試験例15)NiPからなる配向性向上
層17を設け、この配向性向上層17表面に周方向に沿
うテクスチャ加工を施し、その上にCrからなる第2下
地層16、60Co40Crからなる非磁性中間層1
5、磁性層14、カーボンからなる保護層5、潤滑層6
を形成して磁気記録媒体を作製した。その他の条件は試
験例14に準じた。
【0080】(試験例16)図8に示す磁気記録媒体を
次のようにして作製した。非磁性基板1上にCo30C
r10Zrからなる配向性向上層17を設け、その上に
Cr25Vからなる配向調整層2、Crからなる第2下
地層16、94Cr6Moからなる非磁性下地層3、6
0Co40Crからなる非磁性中間層15、磁性層1
4、カーボンからなる保護層5、潤滑層6を形成して磁
気記録媒体を作製した。配向調整層2を形成する際に
は、図2に示すスパッタ装置21を用い、成膜粒子の軌
道26の非磁性基板1への投影線27が、ほぼ非磁性基
板1の径方向に沿い、かつ非磁性基板1に対する入射角
度が10〜75°となるように成膜粒子の方向を設定し
た。また配向調整層2の形成にあたっては、スパッタガ
スとして、25vol%の窒素をアルゴンに添加した混
合ガスを用いた。その他の条件は試験例14に準じた。
【0081】(試験例17)基板1としてアルミニウム
合金からなるものの表面にNiPメッキ層を形成したも
のを用い、この基板1上にCrからなる第2下地層1
6、94Cr6Moからなる非磁性下地層3、60Co
40Crからなる非磁性中間層15、磁性層14、カー
ボンからなる保護層5、潤滑層6を形成して磁気記録媒
体を作製した。その他の条件は試験例14に準じた。
【0082】(試験例18)基板1表面に周方向に沿う
テクスチャ加工を施すこと以外は試験例17と同様にし
て磁気記録媒体を作製した。
【0083】(試験例19)基板1としてアルミニウム
からなるものを用いること以外は試験例16と同様にし
て磁気記録媒体を作製した。
【0084】(試験例20)磁性層を、64Co22C
r10Pt4Bからなるもの(厚さ18nm)とするこ
と以外は試験例18と同様にして磁気記録媒体を作製し
た。
【0085】試験例14〜20の磁気記録媒体の静磁気
特性を、振動式磁気特性測定装置(VSM)を用いて測
定した。また磁性層全体の周方向の保磁力Hccと半径
方向の保磁力Hcrの比(Hcc/Hcr)を測定し磁
気異方性の指標とした。また電磁変換特性を、Guzi
k社製リードライトアナライザRWA1632、および
スピンスタンドS1701MPを用いて測定した。電磁
変換特性の評価には、再生部に巨大磁気抵抗(GMR)
素子を有する複合型薄膜磁気記録ヘッドを用い、記録条
件を線記録密度600kFCIとして測定を行った。こ
の際、1記録トラックを512セクターに分割し、これ
らを128セクターごとに4つの領域に分け、領域ごと
に電磁変換特性を評価し、記録トラック内での再生出力
信号(LFTAA)およびSNRのばらつきを調べた。電磁
変換特性の評価は、半径20mmの位置および半径30
mmの位置において行った。製造条件および試験結果を
表5および表6に示す。
【0086】(試験例21)非磁性基板1(結晶化ガラ
ス、直径65mm、厚さ0.635mm)上に、45N
i55Nbからなる配向調整層2(厚さ20nm)、C
rからなる第2下地層16(厚さ10nm)、80Cr
20Vからなる非磁性下地層3(厚さ10nm)、60
Co40Crからなる非磁性中間層15(厚さ2n
m)、66Co21Cr9Pt4Bからなる磁性層(厚
さ17nm)、カーボンからなる保護層5(厚さ6n
m)、潤滑層6を形成して磁気記録媒体を作製した。配
向調整層2を形成する際には、図2に示すスパッタ装置
21を用い、成膜粒子の軌道26の非磁性基板1への投
影線27が、ほぼ非磁性基板1の径方向に沿い、かつ非
磁性基板1に対する入射角度が10〜75°となるよう
に成膜粒子の方向を設定した。また配向調整層2の形成
にあたっては、スパッタガスとして、15vol%の窒
素をアルゴンに添加した混合ガスを用いた。
【0087】(試験例22〜27)83Co14Cr3
Taからなる下層側磁性膜(厚さ2nm)と、Ruから
なる中間膜(厚さ0.8nm)とからなる積層構造を1
〜6回積層し、その上に66Co21Cr9Pt4Bか
らなる最上層側磁性膜(厚さ17nm)を設けた構成の
磁性層を用いること以外は試験例21と同様にして磁気
記録媒体を作製した。
【0088】(試験例28〜36)図7に示す磁気記録
媒体を次のようにして作製した。配向調整層2を、表7
に示す材料からなるものとし、非磁性下地層3を94C
r6Moからなるものとして磁気記録媒体を作製した。
磁性層は、83Co14Cr3Taからなる磁性膜(第
2および第3磁性膜14b、14c)と、表7に示す材
料からなる中間膜(中間膜14d、14e)とからなる
積層構造を2回積層し、その上に66Co21Cr9P
t4Bからなる磁性膜(第1磁性膜14a)(厚さ17
nm)を設けた構成とした。その他の条件は試験例21
に準じた。
【0089】(試験例37〜58)配向性向上層17、
配向調整層2の材料および厚さを表8に示すとおりと
し、配向調整層2の表面に、表8に記載の方法により酸
化または窒化処理を施して磁気記録媒体を作製した。非
磁性下地層3は、80Cr20Wからなるもの(厚さ5
nm)とし、非磁性中間層15は63Co37Crから
なるもの(厚さ2nm)とした。磁性層は、73Co1
8Cr6Pt3Taからなる第3磁性膜14c(厚さ2
nm)、Ruからなる第2中間膜14e(厚さ0.8n
m)、84Co12Cr4Taからなる第2磁性膜14
b(厚さ2.5nm)、Ruからなる第1中間膜14d
(厚さ0.8nm)、64Co22Cr10Pt4Bか
らなる第1磁性膜14a(厚さ18nm)を順次積層し
た構成とした。その他の条件は試験例21に準じた。な
お、表中、酸化・窒化処理欄には、酸化処理または窒化
処理の方法を示した。例えば、20vol%N2/Ar
は、スパッタガスとして、窒素含有率が20vol%で
あり残部がArであるものを用いたことを示し、O2
ス曝露とは、配向調整層2を酸素ガス(純酸素)にさら
す処理を行ったことを示す。
【0090】試験例21〜58の磁気記録媒体の静磁気
特性および電磁変換特性を測定した。製造条件および試
験結果を表7および表8に示す。
【0091】上記各試験例の磁気記録媒体において、配
向調整層2を形成する際に、スパッタ装置21を用い、
成膜粒子の軌道26の投影線27が非磁性基板1の径方
向に沿い、かつ非磁性基板1に対する入射角度が10〜
75°となるように成膜粒子の方向を設定したものにつ
いて、断面をTEMにより観察した結果、配向調整層2
は、柱状微結晶粒2aが半径方向に10〜75°傾いた
結晶構造を有するものとなったことが明らかになった。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】表1および表2より、配向調整層を設け
ず、AFC構造も採用しない試験例1に比べ、配向調整
層2により磁性層に磁気異方性を付与した試験例4、お
よびAFC構造を採用した試験例2では、熱揺らぎ耐性
を高めることができたものの、配向調整層2とAFC構
造とを採用した試験例5〜8では、これら試験例2、4
に比べ、顕著な熱揺らぎ耐性向上効果が得られたことが
わかる。なかでも特に、3つの磁性膜と2つの中間膜か
らなる磁性層を有する試験例5〜7では、優れた熱揺ら
ぎ耐性が得られたことがわかる。また、中間膜4d、4
eの厚さを0.8nmとした試験例5では、この厚さを
0.5nmまたは1.4nmとした試験例6、7に比
べ、熱揺らぎ耐性に優れたものとなったことがわかる。
表3および表4より、第2磁性膜14bの反強磁性結合
磁界Hbias2が保磁力Hc2よりも大きい試験例9〜12
では、Hbias2がHc2以下である試験例13に比べ、ノ
イズ特性およびPW50について優れた結果が得られた
ことがわかる。表5および表6より、テクスチャ加工を
行う試験例15、18、20では、磁気異方性を高める
ことができるものの、磁気特性の周方向のばらつきが大
きいことがわかる。このばらつきは、NiP膜(配向性
向上層)の表面凹凸により中間膜の厚さが不均一となる
ことにより磁性膜間の反強磁性結合が局部的に不十分と
なることに起因すると考えることができる。またテクス
チャ加工を行わない試験例14、17では、磁気異方性
が低く、出力、ノイズ特性の点で劣ることがわかる。こ
れに対し、配向調整層2を設ける試験例16、19で
は、テクスチャ加工を行わないにも拘わらず、磁気異方
性を高めることができ、出力、ノイズ特性とも優れた値
が得られ、しかも磁気特性の周方向のばらつきを抑える
ことができたことがわかる。表7に示すように、試験例
22〜27より、積層構造数を多くすることによって、
優れた熱揺らぎ耐性を得ることができたことがわかる。
また試験例28〜36より、中間膜の材料として、Ru
のほかに、Cr、Ir、Rh、Mo、Cu、Re、Vを
用いる場合にも、熱揺らぎ耐性向上効果を得ることがで
きたことがわかる。表8に示すように、試験例37〜4
3より、配向調整層2の材料として、各種Cr合金(C
rTi、CrMoなど)を用いた場合にも熱揺らぎ耐性
向上効果を得ることができたことがわかる。また試験例
44〜51より、配向調整層2の材料として、Vなどの
単体元素を用いた場合にも熱揺らぎ耐性向上効果を得る
ことができたことがわかる。また試験例52〜57よ
り、、配向調整層2の材料として、BeNbなどのNb
合金や、VTaなどのTa合金を用いた場合にも熱揺ら
ぎ耐性向上効果を得ることができたことがわかる。また
配向調整層2に酸化・窒化処理を施すことによって、熱
揺らぎ耐性などの磁気特性を高めることができたことが
わかる。また配向性向上層17を設けることによって、
磁気異方性が高められ、優れた熱揺らぎ耐性を得ること
ができたことがわかる。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体は、配向調整層が、柱状微結晶粒が半径方向に傾い
た結晶構造を有するので、非磁性下地層および磁性層の
結晶配向性を向上させ、磁性層における周方向の磁気異
方性を高めることができる。このため、結晶磁気異方性
定数(Ku)を高め、熱揺らぎ耐性の向上を図ることが
できる。さらには、磁性層が、複数の磁性膜を有し、こ
れらの間に反強磁性結合が形成された構造を有するの
で、磁性膜間の反強磁性結合により、最も保磁力の高い
主磁性膜以外の磁性膜の磁化について、見かけ上磁化の
ない状態、または主磁性膜の磁化が、これ以外の磁性膜
の磁化に相当する磁化の分、見かけ上小さくなった状態
が得られる。このため、ノイズ特性や分解能に悪影響を
及ぼすことなく、磁性粒子の体積を十分に大きくするこ
とができ、熱安定化を図り、熱揺らぎ耐性をさらに向上
させることができる。一般に、2つの磁性膜間の反強磁
性結合の強度は、磁性膜間に設けられた中間膜の厚さに
大きな影響を受けるため、磁性層の下に形成される膜の
表面凹凸が大きいと、中間膜の厚さが不均一となり、局
部的に反強磁性結合強度が低下し、熱揺らぎ耐性が不十
分となりやすい。これに対し、本発明の磁気記録媒体で
は、配向調整層が、柱状微結晶粒が半径方向に傾いた結
晶構造を採用することにより、磁性層における周方向の
磁気異方性を高めることができることから、製造に際し
てテクスチャ加工が不要となるため、配向調整層の表面
平滑性を高くすることができる。従って、配向調整層の
表面凹凸により中間膜の厚さが不均一となるのを防ぎ、
反強磁性結合強度を高め、十分な熱揺らぎ耐性向上効果
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の磁気記録媒体の第1の実施
形態を示す一部断面図である。(b)(a)に示す磁気
記録媒体の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真に基
づいて作成した要部拡大図である。
【図2】 本発明の磁気記録媒体の製造装置の一実施
形態を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一実施
形態を説明する説明図である。
【図4】 本発明の磁気記録媒体の第3の実施形態を
示す一部断面図である。
【図5】 図4に示す磁気記録媒体の履歴曲線を示す
グラフである。
【図6】 本発明の磁気記録媒体の第4の実施形態を
示す一部断面図である。
【図7】 本発明の磁気記録媒体の第5の実施形態を
示す一部断面図である。
【図8】 本発明の磁気記録媒体の第6の実施形態を
示す一部断面図である。
【図9】 本発明の磁気記録媒体の第7の実施形態を
示す一部断面図である。
【図10】 本発明の磁気記録媒体の第8の実施形態
を示す一部断面図である。
【図11】 本発明の磁気記録再生装置の一実施形態
を示す一部断面図である。
【図12】 本発明の磁気記録媒体の製造装置の他の
実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・非磁性基板、1a・・・非磁性基板表面(被付着
面)、2、2c、2d・・・配向調整層、2a・・・柱状微結
晶粒、3・・・非磁性下地層、4、14・・・磁性層、4a、
4b、14b、14c・・・磁性膜、4c、14d、14
e・・・中間膜、7・・・磁気記録媒体、9・・・磁気ヘッド、
14a・・・第1磁性膜(主磁性膜)、22・・・スパッタリ
ングターゲット(放出源)、23・・・遮蔽板(方向設定
手段)、26・・・成膜粒子の軌道、27・・・投影線、α、
α'・・・入射角度、α1・・・柱状微結晶粒の傾斜角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/851 G11B 5/851 Fターム(参考) 5D006 BB01 BB02 BB03 BB07 BB08 BB09 CA01 CA04 CA05 CA06 CB04 CB07 EA03 5D112 AA02 AA03 AA05 AA06 BA05 BB05 BD03 FA04 FB21 GA17

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板と、その上に形成された非
    磁性下地層、磁性層および保護層を基本構成とする磁気
    記録媒体において、 非磁性下地層が、bcc構造を有し、 非磁性基板と非磁性下地層との間に、非磁性下地層を
    (200)に優先的に配向させる配向調整層が形成さ
    れ、 この配向調整層が、柱状微結晶粒が半径方向に傾いた結
    晶構造を有し、 磁性層の周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcr
    との比Hcc/Hcrが、1より大きくされ、 磁性層が、複数の磁性膜を有し、これら磁性膜が、hc
    p構造を有し、かつ(110)に優先的に配向してお
    り、これら磁性膜間に反強磁性結合が形成可能とされて
    いることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 磁性層は、隣り合う磁性膜の磁気モー
    メント方向が互いに正対する積層フェリ構造を有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁性層は、複数の磁性膜と、これらの
    間に介在する中間膜とを有する構造とされていることを
    特徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層は、磁性膜と、これに隣接する
    中間膜とからなる積層構造を2つ以上有することを特徴
    とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の磁気記録
    媒体。
  5. 【請求項5】 複数の磁性膜のうち最も保磁力が大き
    い主磁性膜に対し隣接する磁性膜の反強磁性結合磁界
    が、この磁性膜の保磁力よりも大きいことを特徴とする
    請求項1〜4のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 中間膜は、Ru、Cr、Ir、Rh、
    Mo、Cu、Co、Re、Vのうち少なくとも1種を主
    成分とする材料からなるものであることを特徴とする請
    求項3項記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 配向調整層は、Cr、V、Nb、M
    o、W、Taのうち1種または2種以上からなるもので
    あることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項
    記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 配向調整層は、Crを主成分とする合
    金からなるものであることを特徴とする請求項1〜6の
    うちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 配向調整層は、Taを含む合金X1Ta
    (X1はBe、Co、Cr、Fe、Nb、Ni、V、Z
    n、Zrのうち1種または2種以上)を主成分とするも
    のであり、かつFd3m構造またはアモルファス構造を
    有することを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1
    項記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 配向調整層は、Nbを含む合金X2
    b(X2はBe、Co、Cr、Fe、Ni、Ta、V、
    Zn、Zrのうち1種または2種以上)を主成分とする
    ものであり、かつFd3m構造またはアモルファス構造
    を有することを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか
    1項記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 配向調整層は、CoTaまたはCo
    Nbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有
    量が30〜75at%であり、かつFd3m構造または
    アモルファス構造を有することを特徴とする請求項1〜
    6のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 配向調整層は、CrTaまたはCr
    Nbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有
    量が15〜75at%であることを特徴とする請求項1
    〜6のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 配向調整層は、NiTaまたはNi
    Nbを主成分とするものであり、TaまたはNbの含有
    量が30〜75at%であり、かつFd3m構造または
    アモルファス構造を有することを特徴とする請求項1〜
    6のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 配向調整層は、Fd3m構造を有す
    る非磁性金属からなるものであることを特徴とする請求
    項1〜6のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】 配向調整層は、C15構造を有する
    非磁性金属からなるものであることを特徴とする請求項
    1〜6のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】 非磁性基板と配向調整層との間に、
    配向性向上層が形成されていることを特徴とする請求項
    1〜15のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 配向性向上層は、B2構造またはア
    モルファス構造をなす材料からなるものであることを特
    徴とする請求項16記載の磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 配向性向上層は、NiAl、FeA
    l、CoAl、CoZr、CoCrZr、およびCoC
    rCのうちいずれかを主成分とするものであることを特
    徴とする請求項16記載の磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】 配向調整層は、複数設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜18のうちいずれか1項記
    載の磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 非磁性基板と、その上に形成された
    磁性層および保護層を基本構成とする磁気記録媒体にお
    いて、 非磁性基板と磁性層との間に、直上の層の結晶配向性を
    調整する配向調整層が形成され、 配向調整層が、柱状微結晶粒が半径方向に傾いた結晶構
    造を有し、 磁性層の周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcr
    との比Hcc/Hcrが、1より大きくされ、 磁性層が、複数の磁性膜を有し、これら磁性膜が、hc
    p構造を有し、かつ(110)に優先的に配向してお
    り、これら磁性膜間に反強磁性結合が形成可能とされて
    いることを特徴とする磁気記録媒体。
  21. 【請求項21】 非磁性基板と、その上に形成された
    非磁性下地層、磁性層および保護層を基本構成とする磁
    気記録媒体において、 非磁性基板と非磁性下地層との間に、直上の層の結晶配
    向性を調整する配向調整層が形成され、 非磁性下地層が、bcc構造を有し、 配向調整層が、アモルファス構造のNiP合金からなる
    ものであり、かつ非磁性下地層を(200)に優先的に
    配向させることができるようにされ、 磁性層の周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcr
    との比Hcc/Hcrが、1より大きくされ、 磁性層が、複数の磁性膜を有し、これら磁性膜が、hc
    p構造を有し、かつ(110)に優先的に配向してお
    り、これら磁性膜間に反強磁性結合が形成可能とされて
    いることを特徴とする磁気記録媒体。
  22. 【請求項22】 配向調整層は、窒素または酸素を1
    at%以上含むことを特徴とする請求項1〜21のうち
    いずれか1項記載の磁気記録媒体。
  23. 【請求項23】 非磁性基板と、その上に形成された
    非磁性下地層、磁性層および保護層を基本構成とし、非
    磁性下地層が、bcc構造を有し、非磁性基板と非磁性
    下地層との間に、非磁性下地層を(200)に優先的に
    配向させる配向調整層が形成され、磁性層が、複数の磁
    性膜を有し、これら磁性膜が、hcp構造を有し、かつ
    (110)に優先的に配向しており、これら磁性膜間に
    反強磁性結合が形成可能とされた磁気記録媒体を製造す
    る方法であって、 配向調整層を構成する材料からなる成膜粒子を放出源か
    ら放出させて被付着面に付着させることにより配向調整
    層を形成し、この際、成膜粒子軌道の被付着面への投影
    線がほぼ非磁性基板の径方向に沿い、かつ非磁性基板に
    対し傾いて入射するように成膜粒子の方向を設定するこ
    とを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  24. 【請求項24】 配向調整層に、酸化処理または窒化
    処理を施すことを特徴とする請求項23記載の磁気記録
    媒体の製造方法。
  25. 【請求項25】 配向調整層を形成するにあたって、
    成膜粒子の放出源としてスパッタリングターゲットを用
    いるスパッタ法を採用することを特徴とする請求項23
    または24記載の磁気記録媒体の製造方法。
  26. 【請求項26】 配向調整層を形成するに際し、酸素
    または窒素を含むスパッタガスを用いることによって酸
    化処理または窒化処理を行うことを特徴とする請求項2
    5記載の磁気記録媒体の製造方法。
  27. 【請求項27】 酸化処理または窒化処理を、配向調
    整層の表面を酸素含有ガスまたは窒素含有ガスに接触さ
    せることにより行うことを特徴とする請求項24〜26
    のうちいずれか1項記載の磁気記録媒体の製造方法。
  28. 【請求項28】 非磁性基板と、その上に形成された
    非磁性下地層、磁性層および保護層を基本構成とし、非
    磁性下地層が、bcc構造を有し、非磁性基板と非磁性
    下地層との間に、非磁性下地層を(200)に優先的に
    配向させる配向調整層が形成され、磁性層が、複数の磁
    性膜を有し、これら磁性膜が、hcp構造を有し、かつ
    (110)に優先的に配向しており、これら磁性膜間に
    反強磁性結合が形成可能とされた磁気記録媒体を製造す
    る装置であって、 配向調整層を構成する材料からなる成膜粒子を放出し被
    付着面に付着させることにより配向調整層を形成する放
    出源と、この放出源から放出された成膜粒子の方向を定
    める方向設定手段とを備え、 この方向設定手段は、成膜粒子軌道の被付着面への投影
    線がほぼ非磁性基板の径方向に沿い、かつ非磁性基板に
    対し傾いて入射するように成膜粒子の方向を設定するこ
    とができるようにされていることを特徴とする磁気記録
    媒体の製造装置。
  29. 【請求項29】 磁気記録媒体と、この磁気記録媒体
    に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備え、 磁気記録媒体が、非磁性基板と、その上に形成された非
    磁性下地層、磁性層および保護層を基本構成とし、非磁
    性下地層が、bcc構造を有し、非磁性基板と非磁性下
    地層との間に、非磁性下地層を(200)に優先的に配
    向させる配向調整層が形成され、この配向調整層が、柱
    状微結晶粒が半径方向に傾いた結晶構造を有し、磁性層
    の周方向の保磁力Hccと径方向の保磁力Hcrとの比
    Hcc/Hcrが、1より大きくされ、磁性層が、複数
    の磁性膜を有し、これら磁性膜が、hcp構造を有し、
    かつ(110)に優先的に配向しており、これら磁性膜
    間に反強磁性結合が形成可能とされていることを特徴と
    する磁気記録再生装置。
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